特許第6957188号(P6957188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957188
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】埋め込み型圧縮スクリュー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/86 20060101AFI20211021BHJP
   A61B 17/88 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   A61B17/86
   A61B17/88
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-82792(P2017-82792)
(22)【出願日】2017年4月19日
(65)【公開番号】特開2018-11936(P2018-11936A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2020年2月13日
(31)【優先権主張番号】15/132,368
(32)【優先日】2016年4月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エイ.,ゴールト
(72)【発明者】
【氏名】バークリー,デイビス
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−033767(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0250515(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103054642(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/86
A61B 17/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨関節に圧縮を適用するための圧縮スクリューであって、
遠位端から近位端へと延びる軸方向のスクリュー本体であって、前記遠位端が、セルフドリリング型かつセルフタッピング型であるように構成された一連の骨係合ねじ山を含み、前記近位端が、放射状に延びる肩部を画定する頭部を含む、軸方向のスクリュー本体を備え、
少なくとも1つの近位回転切断構造が、前記骨係合ねじ山の近位に画定され、前記少なくとも1つの近位回転切断構造が、セルフドリリング型であるように構成されることで、前記軸方向のスクリュー本体の近位部分が、前記骨関節の骨に切り込みを入れ、前記軸方向のスクリュー本体が前進するにつれて前記骨関節の骨内で前進する、
前記軸方向のスクリュー本体が、骨スクリュー及び圧縮スリーブによって画定され、前記骨スクリューが、骨スクリュー遠位端から骨スクリュー近位端へと延び、前記骨スクリュー遠位端が、前記一連の骨係合ねじ山を含む前記軸方向のスクリュー本体の遠位端を画定し、骨スクリュー近位端が、一連の雄ねじを含み、
前記圧縮スリーブが、圧縮本体遠位端から圧縮本体近位端へと延びる管状の本体を有し、前記圧縮スリーブ近位端が、前記頭部を含む前記軸方向のスクリュー本体近位端を画定し、前記圧縮スリーブ遠位端が、前記近位回転切断構造のうちの少なくとも1つを画定し、かつ前記圧縮スリーブが、前記骨スクリューの雄ねじに係合した雌ねじを含むことで、前記圧縮スリーブ及び骨スクリューが、互いに対してねじ式で調節可能となる、圧縮スクリュー。
【請求項2】
前記軸方向のスクリュー本体が、シャフトによって画定され、前記シャフトが、前記骨係合ねじ山と前記頭部との間にねじ山を含まない、請求項に記載の圧縮スクリュー。
【請求項3】
前記骨係合ねじ山の間隔が、前記頭部上の前記雄ねじの間隔よりも大きい、請求項に記載の圧縮スクリュー。
【請求項4】
前記放射状に延びる肩部が、先細の構成を有する、請求項1に記載の圧縮スクリュー。
【請求項5】
前記少なくとも1つの近位回転切断構造が、前記圧縮スリーブ遠位端で画定される複数の切断フルートによって画定される、請求項に記載の圧縮スクリュー。
【請求項6】
各切断フルートが、そこから延びる溝を有し、各溝が、前記管状本体へと凹んでいる、請求項に記載の圧縮スクリュー。
【請求項7】
前記骨スクリュー近位端及び前記圧縮スリーブ近位端がそれぞれ、別々のドライバ特徴を画定する、請求項に記載の圧縮スクリュー。
【請求項8】
前記頭部が雄ねじを含むことで、前記頭部が皿もみ型となり、前記頭部上の前記雄ねじが、第2の近位回転切断構造を画定する、請求項に記載の圧縮スクリュー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、埋め込み型スクリューに関する。より具体的には、本開示は、スクリューが埋め込まれる骨に圧縮を提供するように構成された埋め込み型スクリューに関する。
【背景技術】
【0002】
骨折した骨は、それが身体の重量及び移動を扱うのに十分に強くなるまで慎重に安定化され、支持されなくてはならない。前世紀まで、医師はギプス及び副木に依拠して、身体の外側から骨を支持し、安定化させていた。滅菌外科手技の出現により感染症のリスクが低減し、医師が骨折した骨を体内で固定し、安定化させることが可能となった。骨折を固定するための外科手技中、骨片はまず、それらの通常の並びへと整復(復位)される。それらは、プレート、スクリュー、釘、及びワイヤなどの特別な埋め込み材でともに保持される。
【0003】
スクリューは、他の種類の埋め込み材よりも頻繁に、体内固定に使用される。スクリューは単純なデバイスであるものの、骨折の種類及びスクリューの使用方法に基づいて異なる設計が存在する。ねじには、異なる大きさの骨とともに使用するために異なる大きさがある。スクリューは、単独で、及びプレート、ロッド、または釘とともに使用して、骨折を保持することができる。骨の治癒後、スクリューはその位置に残されても、除去されてもよい。
【0004】
多くの場合、挿入されたスクリューが骨関節または骨折線に圧縮を提供して、骨折した骨の偽関節(不適切な治癒)及び変形治癒(不適切な位置での治癒)の発生率を低減することが所望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第20160038203号明細書
【特許文献2】米国特許第20150327903号明細書
【特許文献3】米国特許第20150201984号明細書
【特許文献4】米国特許第20150182271号明細書
【特許文献5】米国特許第20150134014号明細書
【特許文献6】米国特許第20140277188号明細書
【特許文献7】米国特許第20130238036号明細書
【特許文献8】米国特許第20120130433号明細書
【特許文献9】米国特許第20100211115号明細書
【特許文献10】米国特許第20100174323号明細書
【特許文献11】米国特許第20080234763号明細書
【特許文献12】米国特許第20030045881号明細書
【特許文献13】米国特許第9265540
【特許文献14】米国特許第9161793
【特許文献15】米国特許第9078716
【特許文献16】米国特許第9072561
【特許文献17】米国特許第9011505
【特許文献18】米国特許第8992587
【特許文献19】米国特許第8945193
【特許文献20】米国特許第8398690
【特許文献21】米国特許第8317846
【特許文献22】米国特許第8197523
【特許文献23】米国特許第8147531
【特許文献24】米国特許第8118849
【特許文献25】米国特許第7794483
【特許文献26】米国特許第7708738
【発明の概要】
【0006】
この要求及び他の要求を満たすため、骨を固定するためのデバイス、システム、及び方法が提供される。具体的には、骨片または骨部分に圧縮(例えば、骨折の固定または関節の癒合)を提供し、セルフタッピング型及び/またはセルフドリリング型であり、スクリューのトグル及び/または後退を最小化または防止し、骨蓄積物を(例えば、切断フルートから)除去するものなどの、骨スクリューが提供される。
【0007】
少なくとも1つの実施形態において、骨関節に圧縮を適用するための圧縮スクリューが提供される。本圧縮スクリューは、遠位端から近位端へと延びる軸方向のスクリュー本体であって、遠位端が、セルフドリリング型かつセルフタッピング型であるように構成された一連の骨係合ねじ山を含み、近位端が、放射状に延びる肩部を画定する頭部を含む、軸方向のスクリュー本体を含む。少なくとも1つの近位回転切断構造が、骨係合ねじ山の近位に画定される。少なくとも1つの近位回転切断構造は、セルフドリリング型であるように構成されることで、軸方向のスクリュー本体の近位部分が、骨関節の骨に切り込みを入れ、軸方向のスクリュー本体が前進するにつれて骨関節の骨内で前進する。
【0008】
少なくとも1つの実施形態において、骨関節に圧縮を適用するための圧縮スクリューは、骨スクリュー及び圧縮スリーブを含む。骨スクリューは、遠位端から近位端へと延び、骨スクリュー遠位端が、セルフドリリング型かつセルフタッピング型であるように構成された一連の骨係合ねじ山を含み、骨スクリュー近位端が、一連の雄ねじを含む。圧縮スリーブは、遠位端から近位端へと延びる管状本体を有し、圧縮スリーブ遠位端が、近位回転切断構造を画定し、圧縮スリーブ近位端が、放射状に延びる肩部を画定する頭部を含む。圧縮スリーブが、骨スクリューの雄ねじに係合される雌ねじを含むことで、圧縮スリーブ及び骨スクリューが、互いに対してねじ式で調節可能となる。近位回転切断構造は、セルフドリリング型であるように構成されることで、圧縮スリーブの一部分が、骨関節の骨に切り込みを入れ、本圧縮スクリューが前進するにつれて骨関節の骨内で前進する。
【0009】
少なくとも1つの実施形態において、圧縮スクリューを骨関節に挿入する方法は、本圧縮スクリューをドライバ組立体に係合させることであって、ドライバ組立体が、第1のドライバ及び第2のドライバを含み、第1及び第2のドライバが、互いに同軸であり、一緒にまたは互いに独立して選択的に回転可能である、係合させることと、第1及び第2のドライバを同時に回転させて、本圧縮スクリューが第1の所望の位置になるまで本圧縮スクリューを骨関節内へと前進させることと、第2のドライバを静止状態に維持しながら第1のドライバを回転させることによって、本圧縮スクリューの少なくとも一部分が骨関節内へと更に前進させることで、骨関節に圧縮力が適用されることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の現在好ましい実施形態を図示し、上記の一般的記述及び後述の発明を実施するための形態とともに、本発明の特徴を説明する役割を果たす。
図1】本発明の一実施形態に従う圧縮スクリューの平面図である。
図2図1の圧縮スクリューの端面図である。
図3】別の例示的実施形態に従う圧縮スリーブの透視図である。
図4図3の圧縮スリーブの切断端の拡大図である。
図5】別の例示的実施形態に従う圧縮スリーブの切断端の拡大図である。
図6】更に別の例示的実施形態に従う圧縮スリーブの切断端の拡大図である。
図7図1の圧縮スクリューを埋め込むように構成された例示的ドライバ組立体の平面図である。
図8図1の圧縮スクリューに係合した図7のドライバ組立体の断面図である。
図9】本発明の別の実施形態に従う圧縮スクリューの平面図である。
図10】圧縮スリーブを透明に示した、図9に類似する平面図である。
図11図9の圧縮スクリューを埋め込むように構成された例示的ドライバ組立体の平面図である。
図12図11のドライバ組立体の断面図である。
図13図9の圧縮スクリューに係合した図11のドライバ組立体の断面図である。
図14】本発明の別の実施形態に従う圧縮スクリューの平面図である。
図15図14の圧縮スクリューの先端の拡大透視図である。
図16図14の圧縮スクリューの頭部の拡大透視図である。
図17図14の圧縮スクリューに係合する例示的ドライバ組立体の平面図である。
図18図14の圧縮スクリューに係合した図17のドライバ組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を通して、同様の数字は同様の要素を示す。本明細書において、特定の専門用語は便宜上使用されるにすぎず、本発明に対する限定であると見なされるべきではない。以下は、本発明の好ましい実施形態を記載する。しかしながら、本開示に基づいて、本発明は本明細書に記載される好ましい実施形態によって限定されないことを理解されたい。
【0012】
骨を固定するためのデバイス、システム、及び方法が提供される。具体的には、骨片または骨部分に圧縮を提供することができる骨スクリューが提供される。これは、例えば、骨折の固定及び/または関節の癒合のための外傷用途において特に効果的であり得る。開示されるデバイス及び方法を使用して、大腿骨、脛骨、腓骨、上腕骨、尺骨、橈骨、中足骨、指骨、指節骨、肋骨、脊椎、椎骨、鎖骨、及び他の骨を含むが、これらに限定されない骨を修復することができる。本明細書に記載される特徴のうちのいずれも、単体のねじ、または圧縮スリーブを更に含むねじに適用することができる。
【0013】
図1〜2及び8を参照すると、一実施形態に従う圧縮スクリュー10が記載される。圧縮スクリュー10は一般に、骨スクリュー12及び圧縮スリーブ30を備える。骨スクリュー12及び圧縮スリーブ30は、ステンレス鋼合金、チタン、チタン系合金、またはポリマー材料を含むが、これらに限定されない任意の生体適合性材料から構築することができる。
【0014】
骨スクリュー12は、遠位端11から近位端13へと延びるシャフト14を含む。図2及び8を参照すると、図示される実施形態において、カニューレ20が、遠位端11から近位端13へと延びることで、ガイドワイヤを使用した圧縮スクリュー10の配置が可能となる。駆動特徴22は、シャフト14の近位端13内に画定され、骨スクリュー12に係合するように設計された駆動装置の末端に対応する任意の形状であるように構成され、寸法決めされる。一例として、図示される実施形態において、駆動特徴22は、六角星型構成を有する。
【0015】
一連の骨係合ねじ山15は、遠位端11でシャフト14から放射状に延び、一連のスリーブに係合するねじ山18は、近位端13でシャフト14から放射状に延びる。好ましい実施形態において、骨係合ねじ山15は、二重リードねじ山型であり、スリーブ係合ねじ山18は、標準的な機械ねじ山である。しかしながら、いずれの一連のねじ山15、18にも、圧縮スクリュー10の機能を促進するために、任意の種類のねじ山が使用されてもよい。骨スクリュー12はまた、好ましくは、骨スクリュー12が回転するにつれて骨に切り込みを入れるように構成され、セルフドリリング及びセルフタッピングする先端を画定する、少なくとも1つの切断フルート16を含む。好ましい一実施形態において、溝17は、圧縮スクリュー10が骨組織に埋め込まれるときに発生するいかなる破片、粉塵、または細片も取り除くように、各切断フルート16に関連付けられる。
【0016】
圧縮スリーブ30は、遠位端31から近位端31へと延びる管状本体32を含み、内部通路40がその中を通る。圧縮スリーブ30が、骨スクリュー12のスリーブ係合ねじ山18に係合するように構成された一連の雌ねじ39(図8を参照されたい)を含むことで、骨スクリュー12及び圧縮スリーブ30が互いにねじ式で調節可能となる。圧縮スリーブ30の近位端33は、管状本体32と頭部34との間に肩部35を画定する、放射状に延びる頭部34を画定する。駆動特徴42は、圧縮スリーブ30の頭部34内に画定され、圧縮スリーブ30に係合するように設計された駆動装置の末端に対応する任意の形状であるように構成され、寸法決めされる。一例として、図示される実施形態において、駆動特徴42は、六角星型構成を有する。
【0017】
本明細書においてより詳細に後述されるように、埋め込み材の挿入中、両方の駆動特徴22、42は、圧縮スクリュー10が全長を維持するように係合される。骨スクリュー12の先端が所望の深さになった後、圧縮スリーブ30内の駆動特徴42のみが作動する。2つの構成要素はねじ山を介して接続されているため、圧縮スリーブ30のみの作動は、圧縮スリーブ30を骨スクリュー12の先端に向かって遠位に移動させるように作用し、これにより、圧縮スリーブ30の肩部35が近くの皮質に接触するとき、圧縮スクリュー10の長さが短縮され、骨が圧縮されるだろう。
【0018】
圧縮スクリュー10のそのような短縮を促進するために、圧縮スリーブ30の遠位端31には、圧縮スリーブ30が回転するにつれて骨に切り込みを入れるように構成された1つ以上の切断フルート36が提供される。切断フルート36は、圧縮スリーブ管状本体32の外径を穿孔する必要なく材料を除去することによって、手順を単純化する。これにより、圧縮スリーブ30を収容するために所望の深さまで事前に穿孔する必要なく、圧縮スクリュー10を任意の長さに調節することもまた可能になる。本実施形態において、切断フルート36は、近位回転切断構造を画定する。
【0019】
図3及び4に図示される圧縮スリーブ30’の代替的実施形態において、溝38は、各溝が管状本体32の表面へと凹んでおり、上述の切断された骨を溝38へとガイドするように構成されることで、各切断フルート36に関連付けられる。この技術の作用機序はまず、切断フルート36が、材料が挿入されている基材から材料を除去することに依拠する。その後、この材料は、2つの機序、つまり、(1)最少の抵抗力を有する経路(材料は他に行くところがない)、または(2)切断フルート36が骨内へと前進するにつれて、溝38の軌跡が切断フルート36の間隔におよそ追従し、故にスクリューがスクリューの螺旋を介して軸方向に前進するにつれて、切り取り材料がその元の位置近くに留まること、のうちの1つによって、溝38の経路を通って追従する。
【0020】
溝38は、2つの機能、つまり、(1)溝38に追従する切断された骨が、元々の骨と骨に挿入される構成要素との間のフィットを強化するように作用すること、(2)骨の内部成長を可能にして、圧縮スクリュー10の脱落を防止すること、を果たす。切断フルート36は、骨を除去し、該除去された骨を溝38へとガイドするように作用する。これは事実上、引っかかりを強化する圧縮スリーブ30の自己移植的特徴である。外科医は時には骨を除去し、それを埋め込み材に詰め戻して、引っかかりを強化することがあるが、圧縮スリーブ30上のこの構成は、彼らのためにそれを行ってくれる。強化された引っかかりは、スクリューのトグル及びスクリューの軸方向運動を防止するように作用する。溝38が骨で充填されない場合でさえ、それらは、元々の骨上に引っかかる表面を提供することによって、スクリューのトグル及びスクリューの軸方向運動の両方を防止するように作用することができる。更に、溝38は骨の内部成長のための表面を提供し、これもまた、スクリューのトグル及びスクリューの軸方向運動を防止することができる。
【0021】
図3及び4の実施形態において、溝38の軌跡が、切断フルート36の間隔におよそ追従するように示されるものの、溝は、他の構成を有してもよい。例えば、図5に図示される圧縮スリーブ30”において、溝38’は、切断フルートの間隔よりも急な軌跡を有する。図6は、圧縮スリーブ30”’の別の実施形態を図示し、溝38”は、圧縮スリーブ30”’の軸と実質的に平行である、更により急な軌跡を有する。異なる軌跡を有することに加えて、溝38、38’、38”は、溝がともにより近くに、または更に離れて離間配置されることをもたらす、異なる間隔を有してもよい。更に、溝38、38’、38”は、異なる構成、例えば、半円形、半楕円形、V形、正方形、または矩形などを有してもよい。更に、切断フルート36及び溝38、38’、38”の組み合わせが圧縮スリーブ30とともに図示される一方で、そのようなものは、骨に挿入される任意の種類の構成要素の表面に適用され得ることが認識される。
【0022】
圧縮スクリュー10を一般的に記載したところで、図7及び8を参照しながら、圧縮スクリュー10を挿入するための例示的ドライバ組立体100及び一例示的挿入方法を記載する。
【0023】
ドライバ組立体100は、骨スクリュードライバ110及び圧縮スリーブドライバ120を有する。骨スクリュードライバ110は、遠位端111から近位端113へと延びるドライバシャフト112を含む。ドライバ先端114は、ドライバシャフト112の遠位端111上に画定され、骨スクリュー12のドライバ特徴22に係合するように構成される。接続キー115は、ドライバシャフト112の近位端113上に画定され、回転を防止する手動または電動の回転デバイスまたは係止デバイス(図示せず)への骨スクリュードライバ110の接続を促進するように構成される。一連の軸方向キー溝116は、本明細書においてより詳細に後述されるように、ドライバシャフト112から放射状に延び、圧縮スリーブドライバ120の接続スイッチ128によって選択的に係合されるように構成される。一連の雄ねじ119は、キー溝116の遠位のドライバシャフト112から延びる。雄ねじ119は、本明細書においてより詳細に後述されるように、圧縮スリーブドライバ120のねじ式係合部材132によって選択的に係合されるように構成される。
【0024】
圧縮スリーブドライバ120は、遠位端121から近位端123へと延びる。近位端121は、ドライバ先端124が最遠位端に、かつ外面収容部130がそこから近位にあるように、管状本体125によって画定される。ドライバ先端124は、圧縮スリーブ30のドライバ特徴42に係合するように構成される。収容部130は、ねじ式係合部材132が放射状に移動可能である放射状チャンバを画定する。ねじ式係合部材132の押下時、その雌ねじがドライバシャフト112の雄ねじ119に係合することで、記載されるようにそれらがともに回転するとき、ドライバシャフト112が圧縮スリーブドライバ120とともに軸方向に移動させられる。
【0025】
柄部材126は、収容部130から近位端123へと近位に延びる。接続スイッチ128は、柄部材126を通して横方向に延び、非係合位置(図8を参照されたい)と係合位置(図13を参照されたい)との間で移動可能である。非係合位置において、接続スイッチ128の開口領域129がキー溝116と並ぶことで、スイッチ128はキー溝116には係合されず、圧縮スリーブドライバ120は骨スクリュードライバ110とは独立して回転する。係合位置において、接続スイッチ128の接触部分127がキー溝116に係合することで、圧縮スリーブドライバ120の回転が骨スクリュードライバ110の同時回転を引き起こす。
【0026】
圧縮スクリュー10を挿入するために、ドライバ組立体100は、図8に示されるように、シャフト112のドライバ先端114が骨スクリュー12の駆動特徴22に係合し、管状本体125のドライバ先端124が圧縮スリーブ30の駆動特徴42に係合するように配置される。初期挿入中、接続スイッチ128が係合位置に移動されることで、骨スクリュードライバ110及び圧縮スリーブドライバ120がともに回転する。ドライバ組立体100は、回転するドライバ110、120の両方とともに回転され、故に圧縮スクリュー10は、骨スクリュー12の遠位端11が所望の位置になるまで単一ユニットとして前進する。そのような回転中にねじ式係合部材132を押下して、同時回転中のシャフト112の軸方向への前進を確保してもよい。圧縮スクリュー10が前進するにつれて圧縮スリーブ30の遠位端31が骨に接触した場合、近位回転切断構造、すなわち、切断フルート36は骨に切り込みを入れ、圧縮スクリュー10は単一ユニットとして自由に前進を続ける。
【0027】
骨スクリュー12の遠位端11が所望の位置に着いた後、骨スクリュー12は静止状態のままでありながら圧縮スリーブ30を前進させることによって、圧縮が達成されてもよい。骨スクリュードライバ110を静止状態に保持することによって、例えば、接続キー115に係止デバイスを取り付けることによって、及び接続スイッチ128を脱係合することによって、骨スクリュー12は静止状態のままとなる。接続スイッチ128が脱係合位置に移動されると、圧縮スリーブドライバ120は、骨スクリュードライバ110のまわりを自由に回転する。圧縮スリーブドライバ120の回転は、圧縮スリーブ30の前進を引き起こす。圧縮スリーブドライバ120が圧縮スリーブ30を前進させるとき、骨スクリュー12は静止状態にあるため、圧縮スクリュー10の長さが短縮し、故に肩部35が圧縮を適用する。繰り返すと、圧縮スリーブ遠位端31上の切断フルート36は、圧縮スリーブ30が骨に切り込みを入れ、骨内へと前進することを可能にする。
【0028】
図9〜10を参照すると、別の例示的実施形態に従う圧縮スクリュー10’が記載される。圧縮スクリュー10’は、圧縮スリーブ30iv上に自己皿もみ型頭部34’が追加されることを除いて、前の実施形態と実質的に同一である。自己皿もみ型頭部34’は、先細の肩部35’及び一連の雄ねじ37を有する。ねじ山37は、セルフドリリング型かつセルフタッピング型であるように構成される。自己皿もみ型頭部34’は、頭部が近くの皮質から突出せず、これにより軟部組織刺激が最小化され、再手術率が低減され得るという点で有利である。本実施形態において、切断フルート36及びねじ山37はそれぞれ、近位回転切断構造を画定する。全ての他の態様において、圧縮スクリュー10’は、前に記載した圧縮スクリュー10と同一である。
【0029】
図11〜13を参照すると、ドライバ組立体100’及び圧縮スクリュー10’を挿入するための方法が記載される。ドライバ組立体100’は、圧縮スリーブドライバ120’の管状本体125’の遠位端121’を除いて、前の実施形態と実質的に同一である。ドライバ先端の代わりに、遠位端121’は、自己皿もみ型頭部34’のねじ山137にねじ式で係合する雌ねじ付きチャンバ122を画定する。
【0030】
圧縮スクリュー10’を挿入するために、ドライバ組立体100’は、図13に示されるように、シャフト112のドライバ先端114が骨スクリュー12の駆動特徴22に係合し、自己皿もみ型頭部34’のねじ山137が圧縮スリーブドライバ120’のねじ山付きチャンバ122内にねじ式で受容されるように配置される。初期挿入中、接続スイッチ128が係合位置に移動することで、骨スクリュードライバ110及び圧縮スリーブドライバ120’がともに回転する。ドライバ組立体100’は、回転するドライバ110、120’の両方とともに回転され、故に圧縮スクリュー10’は、骨スクリュー12の遠位端11が所望の位置になるまで単一ユニットとして前進する。そのような回転中にねじ式係合部材132を押下して、同時回転中のシャフト112の軸方向への前進を確保してもよい。圧縮スクリュー10’が前進するにつれて、圧縮スリーブ30ivの遠位端31が骨に接触した場合、切断フルート36は骨に切り込みを入れ、圧縮スクリュー10’は単一ユニットとして自由に前進を続ける。
【0031】
骨スクリュー12の遠位端11が所望の位置に着いた後、骨スクリュー12は静止状態のままでありながら圧縮スリーブ30ivを前進させることによって、圧縮が達成されてもよい。骨スクリュードライバ110を静止状態に保持することによって、例えば、接続キー115に係止デバイスを取り付けることによって、及び接続スイッチ128を脱係合することによって、骨スクリュー12は静止状態のままとなる。接続スイッチ128が脱係合位置に移動されると、圧縮スリーブドライバ120’は、骨スクリュードライバ110のまわりを自由に回転する。圧縮スリーブドライバ120の回転は、圧縮スリーブ30ivの前進を引き起こす。圧縮スリーブドライバ120’が圧縮スリーブ30ivを前進させるとき、骨スクリュー12は静止状態にあるため、圧縮スクリュー10’の長さが短縮し、故に肩部35’及び圧縮スリーブドライバ120’の遠位端121’が圧縮を適用する。繰り返すと、圧縮スリーブ遠位端31上の切断フルート36は、圧縮スリーブ30が骨に切り込みを入れ、骨内へと前進することを可能にする。
【0032】
所望の量の圧縮が達成された後、頭部34’は皿もみされてもよい。皿もみは、圧縮スリーブドライバ特徴42に契合する第3のドライバ構成要素(図示せず)によって行われる。例えば、骨スクリュー12を静止状態に維持しながら、ドライバ先端124を使用して圧縮スリーブ30ivを回転させることができるように、ドライバ組立体100はドライバ組立体100’と交換されてもよい。圧縮スリーブ30ivが骨スクリュー12上を前進するにつれて、ねじ山37は、骨に切り込みを入れ、頭部34’を骨内の皿もみ位置へと前進させる。
【0033】
図14〜16を参照すると、別の実施形態に従う圧縮スクリュー50が記載される。圧縮スクリュー50は、遠位端51から近位端53へと延びるシャフト52を含む。一連の骨係合ねじ山55は、遠位端51でシャフト52から放射状に延びる。好ましい実施形態において、骨係合ねじ山55は、二重リードねじ山型であるが、圧縮スクリュー50の機能を促進するために、任意の種類のねじ山が使用されてもよい。遠位端51はまた、好ましくは、圧縮スクリュー12が回転するにつれて骨に切り込みを入れるように構成され、セルフドリリング及びセルフタッピングする先端を画定する、少なくとも1つの切断フルート56を含む。好ましい一実施形態において、溝57は、圧縮スクリュー50が骨組織に埋め込まれるときに発生するいかなる破片、粉塵、または細片も取り除くように、各切断フルート56に関連付けられる。
【0034】
シャフト52の近位端53は、自己皿もみ型頭部54を含む。自己皿もみ型頭部54は、先細の肩部68及び一連の雄ねじ64を有する。ねじ山64が、セルフドリリング型かつセルフタッピング型であるように、ねじ山64は、1つ以上の切断フルート66を含んでもよい。本実施形態において、ねじ山64は、近位回転切断構造を画定する。駆動特徴62は、シャフト52の近位端53内に画定され、圧縮スクリュー50に係合するように設計された駆動装置の末端に対応する任意の形状であるように構成され、寸法決めされる。一例として、図示される実施形態において、駆動特徴62は、六角星型構成を有する。
【0035】
骨係合ねじ山55と頭部54との間のシャフト52は、好ましくは、ねじ山を含まない。この構成で、骨係合ねじ山55と頭部54のねじ山64との間の間隔の差は、圧縮スクリュー50が挿入されるにつれて更なる圧縮制御を提供することができる。つまり、骨係合ねじ山55の間隔が頭部54のねじ山64の間隔よりも大きく、かつ骨折または関節線がスクリュー50のシャフト52区分内のどこかにある場合、この構成は、遠位端51がスクリュー50の頭部54よりも速い前進を試みるにつれて、2つの骨の間に圧縮を提供するだろう。
【0036】
図17及び18を参照すると、外科医が達成される圧縮の程度を更に制御することを可能にするドライバ組立体150が記載される。ドライバ組立体150は、内側ドライバ部材152及び外側ドライバ部材160を含む。内側ドライバ部材152は、遠位端151から近位端153へと延びる。ドライバ先端154は、遠位端151上に画定され、圧縮スクリュー50のドライバ特徴62に係合するように構成される。
【0037】
外側ドライバ部材160は、遠位端161から近位端163へと延びる管状本体を含む。遠位端161は、圧縮スクリュー頭部54のねじ山64をねじ式で受容するように構成されたスクリュー山付きチャンバ164を画定する。
【0038】
圧縮スクリュー50を挿入するために、ドライバ組立体50は、ドライバ先端154がドライバ特徴62に係合され、頭部54のねじ山64がねじ山付きチャンバ164内にねじ式で受容されるように配置される。内側及び外側ドライバ部材152、160が回転されることで、圧縮スクリュー50が前進する。圧縮スクリュー50が前進するにつれて、外側ドライバ部材160の遠位端161は近くの皮質にぶつかり、スクリュー50が挿入され続けるにつれて、骨折線を圧縮するだろう。
【0039】
所望の量の圧縮が達成された後、内側ドライバ部材152が外側ドライバ部材160とは独立して回転されることで、外側ドライバ部材遠位端161が圧縮を維持したまま、圧縮スクリュー50が前進を続ける。圧縮スクリュー50が前進するにつれて、頭部54のねじ山64は骨に進入し、頭部54の皿もみを開始するだろう。頭部54が前進し、皿もみするにつれて、それは同時に、ねじ山付きチャンバ164からねじ式で外れる。前に説明したように、骨係合ねじ山55と頭部54のねじ山64との間隔は、頭部54の皿もみが更なる圧縮を引き起こすように構成され得る。
【0040】
本発明のこれら及び他の利点は、上記の明細書から当業者に明らかとなるだろう。したがって、本発明の幅広い発明概念から逸脱することなく、上記の実施形態に対して変更または修正がなされ得ることが当業者によって認識されるだろう。したがって、本発明は本明細書に記載される特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲及び趣旨内にある全ての変更及び修正を含むことが意図されることを理解されたい。
図1
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