特許第6957203号(P6957203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957203
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20211021BHJP
   B65H 29/70 20060101ALI20211021BHJP
   B65H 29/58 20060101ALI20211021BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   G03G21/16 109
   B65H29/70
   B65H29/58 B
   B65H7/02
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-105922(P2017-105922)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-200437(P2018-200437A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】特許業務法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水口 浩平
【審査官】 飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−081686(JP,A)
【文献】 特開平01−267252(JP,A)
【文献】 特開2016−137999(JP,A)
【文献】 国際公開第1999/028223(WO,A1)
【文献】 特開平01−122851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
B65H 29/70
B65H 29/58
B65H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する上流搬送手段と、
シート搬送方向において前記上流搬送手段の下流に設けられ、シートを排出するシート排出手段と、
前記シート搬送方向において前記上流搬送手段と前記シート排出手段との間に設けられ、シートが通過するシート搬送路を形成するガイド部と、
前記ガイド部から前記シート搬送路に向けて突出するように、かつ、前記シート搬送方向と直交するシート幅方向において前記シート排出手段の搬送中心と重なる位置に設けられ、前記シート排出手段によって排出されるシートが前記シート搬送方向に視て湾曲するようにシートをシートの厚さ方向に押圧する押圧部と、
前記ガイド部から前記シート搬送路に向けて突出するように、かつ、前記上流搬送手段によって搬送されるシートの先端が前記シート排出手段に到達する前にシートの前記先端に当接されて前記押圧部に対して独立して移動するように構成された移動部であって、前記シート幅方向に視たときの前記移動部の移動範囲の一部が前記押圧部と重なるように配置された前記移動部と、
前記移動部の移動を検知する検知手段と、を備え、
前記移動部は、前記押圧部に対して前記シート幅方向における一方側で前記シート搬送路を通過するシートに当接可能な第1当接部と、前記押圧部に対して前記シート幅方向における他方側で前記シート搬送路を通過するシートに当接可能な第2当接部と、を有する、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1当接部及び前記第2当接部は、前記シート幅方向において前記搬送中心に関して対称な位置に配置される、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記シート排出手段は、前記搬送中心に対して前記シート幅方向における一方側に配置された第1のローラ対と、前記搬送中心に対して前記シート幅方向における他方側に配置された第2のローラ対とを含み、
前記押圧部、前記第1当接部及び前記第2当接部が、前記シート幅方向において前記第1のローラ対と前記第2のローラ対との間に配置される、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、シートの第1面に対向する第1ガイドと、前記第1ガイドとの間に前記シート搬送路を形成し、シートの前記第1面とは反対の第2面に対向する第2ガイドと、を有し、
前記押圧部は、前記シート搬送路に対して前記第1ガイドと同じ側から前記第2ガイドに向かって突出するように配置され、
前記移動部は、前記シート搬送路に対して前記第2ガイドと同じ側から前記第1ガイドに向かって突出するように配置され、
前記検知手段は、前記シート搬送路に対して前記第2ガイドと同じ側に配置される、
ことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記シート排出手段は、第1の搬送経路から受取ったシートの移動方向を反転させ、第2の搬送経路へ送り出すスイッチバック搬送を実行可能である、
ことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記移動部は、前記第1当接部及び前記第2当接部が取付けられ前記第1当接部及び前記第2当接部と一体的に回動する軸部材を有し、
前記検知手段は、前記軸部材の回動を検知する
ことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記移動部は、前記第1当接部が取付けられた第1の軸部材と、前記第2当接部が取付けられ前記第1の軸部材とは独立に回動可能な第2の軸部材とを有し、
前記検知手段は、少なくとも前記第1の軸部材の回動を検知する
ことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記押圧部は、前記ガイド部に対して揺動可能に支持されたアームと、前記アームに回転可能に支持され、シートに当接した状態で回転可能な回転部材と、前記回転部材を前記シート搬送路を通過するシートに押し当てるように前記アームを付勢する付勢手段と、を有する、
ことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記検知手段がフォトインタラプタであり、
前記移動部は前記フォトインタラプタの検知光を遮光可能な遮光部を有する、
ことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送されるシートに画像を形成する画像形成手段と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ及びこれらの機能を併せ持つ複合機等の画像形成装置に用いられるシート搬送装置は、多くの場合、シートの位置を検知するための検知手段を備えている。特許文献1には、シートの幅方向における複数の位置にスイッチレバーを配置し、シート搬送路を通過するシートにスイッチレバーが押圧されて回動したことを検知スイッチによって検知する構成が記載されている。
【0003】
また、シート搬送装置の中には、搬送ローラ対等のシート搬送手段によって搬送されるシートをシートの厚さ方向に押圧して湾曲させ、シートの剛性を高める押圧部材を備えたものがある。例えば、画像形成装置の外部にシートを排出するシート搬送装置において、押圧部材によってシートを湾曲させることで排出動作の途中でシートが垂れ下がることを防ぎ、排出トレイ等に積載されるシートの積載性を高める構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−76140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載のスイッチレバーとシートを押圧する押圧部材とを、同一のシート搬送装置に設けることが考えられる。しかしながら、スイッチレバー及び押圧部材をシートの搬送方向における異なる位置に配置した場合、これらの部材を配置するスペースを確保するためのシートの搬送経路の長さが必要となり、シート搬送装置の小型化を妨げる要因となる。一方、スイッチレバーをシートの幅方向において押圧部材の側方に配置した場合、スイッチレバーがシートに付与する抵抗力によってシートの斜行が生じる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、装置の小型化に寄与すると共に、シートの斜行を抑制可能なシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るシート搬送装置は、シートを搬送する上流搬送手段と、シート搬送方向において前記上流搬送手段の下流に設けられ、シートを排出するシート排出手段と、前記シート搬送方向において前記上流搬送手段と前記シート排出手段との間に設けられ、シートが通過するシート搬送路を形成するガイド部と、前記ガイド部から前記シート搬送路に向けて突出するように、かつ、前記シート搬送方向と直交するシート幅方向において前記シート排出手段の搬送中心と重なる位置に設けられ、前記シート排出手段によって排出されるシートが前記シート搬送方向に視て湾曲するようにシートをシートの厚さ方向に押圧する押圧部と、前記ガイド部から前記シート搬送路に向けて突出するように、かつ、前記上流搬送手段によって搬送されるシートの先端が前記シート排出手段に到達する前にシートの前記先端に当接されて前記押圧部に対して独立して移動するように構成された移動部であって、前記シート幅方向に視たときの前記移動部の移動範囲の一部が前記押圧部と重なるように配置された前記移動部と、前記移動部の移動を検知する検知手段と、を備え、前記移動部は、前記押圧部に対して前記シート幅方向における一方側で前記シート搬送路を通過するシートに当接可能な第1当接部と、前記押圧部に対して前記シート幅方向における他方側で前記シート搬送路を通過するシートに当接可能な第2当接部と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るシート搬送装置によれば、装置の小型化に寄与すると共に、シートの斜行を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示に係る画像形成装置の構成を示す概略図。
図2】第1の実施例に係るシート排出部をシート搬送方向から視た概略図。
図3】第1の実施例に係るシート排出部の断面図。
図4】第1の実施例に係るシート排出部の断面図であって、センサフラグの動作を説明するための図。
図5】第1の実施例に係るセンサフラグの斜視図。
図6】第2の実施例に係るセンサフラグ及びセンサの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る画像形成装置について説明する。図1に示すように、本開示に係る画像形成装置は、電子写真方式の画像形成部102を備えたフルカラーレーザービームプリンタ(以下、プリンタとする)100である。プリンタ100は、外部PCから入力された画像情報や原稿から読取った画像情報に基づいてシートSに画像を形成する。ただし、シートSとは、用紙及び封筒等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート(OHT)等のプラスチックフィルム、並びに布を含む、記録媒体を指す。
【0013】
プリンタ100は、画像形成装置本体であるプリンタ本体101と、プリンタ本体101の上方に略水平に設置された画像読取装置103とを備え、画像読取装置103とプリンタ本体101との間に、シート排出用の排出空間Pが形成されている。
【0014】
画像形成部102は、スキャナーユニット142と、4つのプロセスカートリッジ140と、プロセスカートリッジ140の上方に配された中間転写ユニット145と、を備える。各プロセスカートリッジ140は、それぞれ感光体としての感光ドラム141及び現像器143等を備え、電子写真プロセスによってイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色のトナー画像を形成する。即ち、各プロセスカートリッジ140において、予め帯電された感光ドラム141にスキャナーユニット142からレーザー光が照射されて露光が行われることで静電潜像が形成され、現像器143から供給されるトナーによって静電潜像が現像される。
【0015】
中間転写ユニット145は、中間転写体として、二次転写内ローラ131等に巻き掛けられた中間転写ベルト146を備えている。また、中間転写ユニット145は、中間転写ベルト146の内側に設けられ、感光ドラム141に対向した位置で中間転写ベルト146に当接する一次転写ローラ144を備えている。中間転写ベルト146は、各感光ドラム141に接するように配置され、不図示の駆動部により駆動されて感光ドラム141に連れ回る方向(図中反時計回り方向)に回転する。各プロセスカートリッジ140の感光ドラム141に形成されたトナー像は、一次転写ローラ144にバイアス電圧が印加されることにより、中間転写ベルト146へと互いに重なり合うように一次転写される。これにより、中間転写ベルト146の表面にフルカラー画像が形成される。
【0016】
中間転写ユニット145の二次転写内ローラ131と対向する位置には、中間転写ベルト146と共に二次転写部130を構成する二次転写ローラ132が設けられている。中間転写ベルト146に担持されたフルカラー画像は、二次転写ローラ132にバイアス電圧が印加されることによりシートSへと二次転写される。二次転写ローラ132の上方には定着器150が配置される。定着器150は、シートSを挟持して搬送する定着ローラ対及び定着ローラ対を加熱するヒータ等の熱源を有し、トナー粒子に熱及び圧力を付与することでトナー像をシートSに定着させる。
【0017】
プリンタ100は、このような画像形成動作に並行して、プリンタ本体101の下部に設けられたシート給送部110によってシートSを画像形成部102に給送する給送動作を行う。給送カセット111から1枚ずつ送り出されたシートSは搬送ローラ対121により斜行補正装置120まで搬送され、斜行補正装置120によりシートSの斜行が補正される。斜行補正装置120は、シートSを挟持して搬送可能なローラ対122を有し、中間転写ベルト146に担持されたトナー像が二次転写部130に到達するタイミングに合わせてシートSを送り出す。二次転写部130においてトナー像を転写され、定着器150によってトナー像の定着が行われたシートSは、定着器150から上方に延びる定着後パスR1に送り込まれる。
【0018】
ここで、プリンタ100は、シートSが積載される積載部として、プリンタ本体101の上部に設けられた第1排出トレイ170と、プリンタ本体101から排出空間Pに突出し第1排出トレイ170の上方に位置する第2排出トレイ171を備える。また、プリンタ本体101には、第1排出トレイ170にシートSを排出する第1シート排出部190と、第2排出トレイ171にシートSを排出可能な第2シート排出部191とが設けられている。定着後パスR1に送り出されたシートSは、定着器150の上方に位置する第1フラップ151により、第1シート排出部190へ向かう第1排出パスR2及び第2シート排出部191へ向かう第2排出パスR3のいずれかに案内される。
【0019】
具体的に、プリンタ100に画像形成動作を実行させる指令(印刷ジョブ)の設定情報中に、第1排出トレイ170がシートSの排出先として指定されている場合、第1フラップ151はシートSを第1排出パスR2へ案内する。第1排出パスR2に案内されたシートSは、第1排出ローラ対160によりプリンタ本体101から排出され、第1排出トレイ171に積載される。第2排出トレイ170がシートSの排出先として指定されている場合、第1フラップ151はシートSを第2排出パスR3へ案内する。第1フラップ151の上方に位置する第2フラップ152によって第2シート排出部191に案内されたシートSは、第2排出ローラ対161によってプリンタ本体101から排出され、第2排出トレイ171に積載される。
【0020】
また、印刷ジョブの設定情報として両面印刷が指定されている場合、第1フラップ151は最終的なシートの排出先に関わらず、シートSを第2排出パスR3へ向けて案内する。第2排出ローラ対161は、正転及び逆転可能な反転ローラ対であり、両面印刷の場合には第2フラップ152から受取ったシートSをスイッチバックさせて反転搬送部20に向けて送り返すスイッチバック搬送を実行可能である。スイッチバック搬送が行われる場合、第2フラップ152は、第2排出パスR3を通過するシートSを第2排出ローラ対161へ向けて案内した後、移動方向の反転したシートSを反転搬送部20の反転パスR4へと案内する。即ち、第2フラップ152は、第2排出パスR3からのシートSを第2排出ローラ対161へ向けて案内する第1姿勢と、スイッチバック搬送されたシートSを反転パスR4へ案内する第2姿勢とに切替可能である。第1フラップ151及び第2フラップ152は、いずれも第1の搬送経路と第2の搬送経路との間でシートの搬送経路を切替可能な切替部材の一例である。
【0021】
反転搬送部20は、シートSを下方へ向けて搬送し、既に画像が形成された面(表面)とその反対の面(裏面)とを反転させた状態で斜行補正装置120に受け渡す。斜行補正装置120はシートSを再び斜行補正し、画像形成部102の動作に合わせたタイミングでシートSを二次転写部130に送り込む。そして、裏面にトナー像を転写され、定着器150によって画像の定着が行われたシートSは、第1フラップ151によって選択された経路に従って、最終的な排出先である第1排出トレイ170又は第2排出トレイ171に排出される。
【0022】
なお、第2排出パスR3には、反転ローラ対である搬送ローラ対153が配置されており、はがきサイズ等の小さなシートの両面印刷を行う場合には搬送ローラ対153によるスイッチバック搬送を行う設定とすることができる。搬送ローラ対153によって反転されたシートは、反転パスR4の下方のパスR5を介して反転搬送部20に受け渡され、画像形成部102によって裏面に画像を形成される。
【0023】
上記第1シート排出部190及び第2シート排出部191は、いずれもシートを搬送するシート搬送装置の一例である。これらの排出部には、シートを排出する際及びスイッチバック搬送を行う際のシートの垂れ下がりを防いでシート搬送動作の安定性を高める押圧部と、シート搬送路を通過するシートを検知可能な検知機構とが設けられている。以下、シート搬送装置の小型化及びシートの斜行抑制に有効な構成について、第2シート排出部191を例に説明する。
【実施例1】
【0024】
まず、第1の実施例に係る第2シート排出部191(以下、単にシート排出部とする)の構成について、図2乃至図5を用いて説明する。図2は、シート排出部191をプリンタ本体の外側から、つまり図1における左側から視た概略図である。図3及び図4は、図2に図示した位置におけるシート排出部191の断面図である。図5は、シート排出部191に配置されるセンサフラグ210の斜視図である。
【0025】
図2に示すように、シート排出部191は、第2排出ローラ対161(以下、単に排出ローラ対とする)と、シート搬送路R6を形成するガイド部としての上ガイド205及び下ガイド206と、を備える。排出ローラ対161は、シートの幅方向、つまりシート搬送方向に直交する方向における複数箇所に配置され、それぞれ、モータ等の駆動源に駆動される駆動ローラ161aと駆動ローラ161aに従動回転する従動ローラ161bとによって構成される。ただし、シート搬送方向とは、排出ローラ対161が正転及び逆転する場合にシート搬送路R6に沿ってシートが移動する方向を指す。排出ローラ対161はシートを搬送するシート搬送手段に相当し、上ガイド205はシートの第1面に対向する第1ガイドに相当し、下ガイド206はシートの第2面に対向する第2ガイドに相当する。
【0026】
また、図2及び図3に示すように、シート排出部191は、シートを厚さ方向に押圧して湾曲させる押圧部材200と、シートの端部に当接することで移動するセンサフラグ210と、センサフラグ210の移動を検知可能なセンサ215と、を備える。押圧部材200は押圧部の一例であり、センサフラグ210は移動部の一例であり、センサ215は移動部の移動を検知可能な検知手段の一例である。
【0027】
押圧部材200は、上ガイド205に軸部200aを中心に回動可能に支持されたアーム200cと、アーム200cに回転可能に支持された押圧コロ202と、押圧コロ202を下方へ向けて付勢する押圧バネ201とによって構成される。アーム200cの端部200bは、上ガイド205に形成された開口部である位置決め部205aに係合しており、位置決め部205aによって規制される範囲で下ガイド206から接近及び離間する方向に移動可能である。付勢手段としての押圧バネ201は、アーム200cを矢印D1方向に、つまりシート搬送路R6を通過するシートの上面に押圧コロ202を押付けるようにアーム200cを付勢する。
【0028】
シート排出部191がシートの搬送を行っていない場合、アーム200cは押圧バネ201の付勢力によって端部200bが位置決め部205aに当接した状態で位置決めされる。このとき、押圧コロ202及びアーム200cの一部は、排出ローラ対161のニップ部N1に比べて下方に突出した位置に保持される。シート搬送路R6をシートが通過する場合、押圧コロ202及びアーム200cはシートを下方に押圧し、シート搬送方向から視て、2つの排出ローラ対161,161の間で下方に向かって凸となるようにシートを湾曲させる(図2参照)。
【0029】
これによりシートの曲げ剛性が高まり、排出ローラ対161がシートを排出する場合及びスイッチバック搬送する場合に、プリンタ本体の外方に突出した部分が垂れ下がることを防いで、シートの挙動が安定化する。即ち、シートの排出中にシートの垂れ下がりが生じて第2排出トレイ171に積載されたシート束の整列性が乱れる可能性を低減することができる。また、スイッチバック搬送中にシートの垂れ下がりが生じて排出ローラ対161のスリップが生じる可能性を低減することができる。
【0030】
なお、押圧部材200の下端部が回転部材である押圧コロ202によって構成されるため、押圧コロ202がシートに連れ回り、押圧部材200がシートに付与する抵抗が抑制される。また、押圧部材200のシートに対する押圧力は押圧バネ201によって規定されるため、シートの剛性が高い程アーム200cは上方に退避し、押圧部材200がシートに形成する湾曲は小さくなる。このため、押圧部材200が剛性の高いシートを強く押圧して擦れ跡等のダメージを生じさせることを回避することができる。
【0031】
センサフラグ210及びセンサ215は、シート搬送路R6を通過するシートを検知可能な検知機構を構成する。図3及び図4に示すように、移動部の一例であるセンサフラグ210はシート搬送路R6を通過するシートに当接可能な当接部211を有し、下ガイド206によって回動可能に支持されている。センサフラグ210は、幅方向から視て当接部211がシート搬送路R6を遮る第1位置(図3)と、シートに押圧されて矢印D2の方向に回動し当接部211が第1位置から下方に向かって退避した第2位置(図4)とに移動可能である。また、センサフラグ210は、下ガイド206とセンサフラグ210との間に介在するフラグバネ214によって第1位置に向かって付勢されている。
【0032】
センサ215は、センサフラグ210に設けられた遮光部212によって遮光されるフォトインタラプタである。図3に示すように、センサフラグ210が第1位置にある場合、センサ215の発光部215aが発する光はセンサ215の受光部215bによって検出される。一方、図4に示すように、センサフラグ210が第2位置に変化すると、発光部215aが発する光が遮光部212によって遮られる。従って、プリンタ本体に搭載される制御部は、センサ215からの検知信号に基づいて、シートの端部がセンサ215による検知位置、つまり第1位置にあるセンサフラグ210に当接する位置まで到達したことを検知可能である。
【0033】
[押圧部材とセンサフラグの位置関係]
押圧部材200とセンサフラグ210の位置関係について詳しく説明する。図3及び図4に示すように、センサフラグ210は、幅方向から視て押圧部材200にオーバーラップするように、即ち当接部211の可動範囲が押圧部材200と重なるように配置されている。
【0034】
図2に示すように、押圧部材200は、2対の排出ローラ対161,161の間に、幅方向における排出ローラ対161,161の搬送中心C0と重なるように配置されている。ただし、搬送中心とは、シートの幅方向位置を、シートサイズに関わらず幅方向におけるシートの中央部を所定の基準に合わせるように搬送する構成(所謂センター基準方式)における基準位置である。本実施例における搬送中心C0は、排出ローラ対161,161の間の中央位置である。
【0035】
ここで、センサフラグ210の当接部211は、幅方向において搬送中心に対して一方側及び他方側のそれぞれに配置されている。即ち、当接部211は、幅方向において押圧部材200の一方側に配置された第1当接部211aと、押圧部材200の他方側に配置された第2当接部211bとによって構成される。第1当接部211a及び第2当接部211bは、幅方向において搬送中心C0に対して対称に配置され、幅方向における押圧部材200と排出ローラ対161,161との間に位置する。即ち、第1当接部211a、第2当接部211b及び押圧部材200は、幅方向に関して搬送中心C0を挟んで隣り合う第1のローラ対(161)及び第2のローラ対(161)の間に配置されている。
【0036】
図5に示すように、第1当接部211a及び第2当接部211bは軸部材であるフラグ軸213に取付けられ、フラグ軸213の端部にはセンサ215の検知光を遮光可能な遮光部212が取付けられている。従って、第1当接部211a及び第2当接部211bに対してシートが当接した場合、第1当接部211a、第2当接部211b、及び遮光部212を含むセンサフラグ210の全体がフラグ軸213の軸心を中心に一体的に回動する。
【0037】
このように、本実施例では、幅方向における当接部211と押圧部材200の配置をオフセットさせ、幅方向から視てセンサフラグの210の可動範囲の少なくとも一部が押圧部材200と重なるように配置している。このため、押圧部材200及びセンサフラグ210をシート搬送方向において異なる位置に配置する場合に比べて、シート搬送方向における装置の小型化を図ることができる。特に、本実施例のシート搬送路R6は第2フラップ152と排出ローラ対161とを接続し、スイッチバック搬送に用いられる搬送路であるため、多様なシートサイズに対応するためシート搬送路R6は短いことが好ましい。このような構成において、幅方向から視てセンサフラグ210と押圧部材200をオーバーラップさせて配置すると好適である。
【0038】
また、本実施例では、搬送中心C0に対して幅方向における一方側に第1当接部211aを配置し、搬送中心C0に対して幅方向における他方側に第2当接部211bを配置している。このため、シート搬送路R6を通過するシートが当接部211に突き当たってセンサフラグ210を回動させ、当接部211に対して摺動する過程において、搬送中心C0の一方側と他方側とでシートに作用する抵抗力が相殺される。即ち、センサフラグ210と押圧部材200を幅方向にオーバーラップさせる構成において、センサフラグ210がシートに付与する抵抗力によってシートの斜行が生じる可能性を低減することができる。これにより、装置の小型化とシートの斜行抑制とを両立することができる。
【0039】
第1当接部211a及び第2当接部211bは、本実施例のように幅方向に関して搬送中心C0に対して対称に配置すると好適である。これにより、第1当接部211a及び第2当接部211bがシートに与える抵抗力が搬送中心C0の一方側と他方側とでより正確に均衡することが期待できる。特に、本実施例の排出部は、両面印刷が行われる場合にシートをスイッチバック搬送して、再び画像形成部102に向かって送り出す機能を有する(図1参照)。このため、裏面に形成される画像の傾斜及び位置ずれが生じる可能性を低減し、画像の品質向上に寄与する。
【0040】
また、本実施例では、シート搬送方向から視て、押圧部材200を2対の排出ローラ対161,161の間に配置すると共に、第1当接部211a及び第2当接部211bを押圧部材200と排出ローラ対161,161との間に配置している。このため、はがきサイズ等の小さなシートであってもセンサフラグ210を用いてシートの搬送タイミングを確実に検知することができる。
【0041】
さらに、本実施例では、押圧部材200をシート搬送路R6に対して上ガイド205と同じ側(上側)から突出させ、センサ215をシート搬送路R6に対して下ガイド206と同じ側(下側)に配置している。この構成により、幅方向から視てセンサフラグ210と押圧部材200がオーバーラップする構成を無理なく実現することができる。また、押圧部材200が、直前に画像形成部102によって画像を形成された面とは反対側の面(シート搬送路R6におけるシートの上面)に当接する構成であるため、押圧部材200による擦れ跡等の画像不良の発生を回避することができる。なお、例えばセンサ215を上ガイド205に配置した場合には、フラグ軸213を押圧部材200を迂回する形状とする等、押圧部材200とセンサフラグ210の干渉を避ける構成及びそのための配置空間が追加で必要になると考えられる。
【0042】
[変形例]
本実施例では、押圧部材200が搬送中心C0と重なる位置に配置され、第1当接部211a及び第2当接部211bが押圧部材200の両側に配置される構成として説明したが、当接部及び押圧部材の配置及び数は変更可能である。例えば、図2に破線で示すように、センサフラグ210の当接部211cを搬送中心C0と重なる位置に配置すると共に、押圧部材200に切欠きを設け、又は2つの押圧部材を搬送中心C0の両側に配置する構成としてもよい。また、この当接部211cに加えて上述の第1当接部211a及び第2当接部211cを配置して、3つの当接部を搬送中心C0に関して対称に配置する構成としてもよい。さらに、押圧部材200は複数配置してもよく、例えば、幅方向における2対の排出ローラ対161,161の外側に1つずつ押圧部材を配置し、合計3つの押圧部材によってシートの湾曲形状を規定する構成としてもよい。
【0043】
要するに、幅方向から視てセンサフラグ等の移動部と押圧部とを少なくとも部分的に重なるように配置する構成で、移動部の当接部がシートに付与する抵抗力が、幅方向における搬送中心の一方側と他方側とで可能な限り均等となる構成であればよい。押圧部は、幅方向における少なくとも1箇所に設けられていればよく、搬送中心上に、又は搬送中心に関して対称な複数の位置に配置されることが好ましい。
【0044】
上述の押圧部材200はシートを押圧することでシートの湾曲を形成可能な押圧部の一例であり、例えば押圧コロ202がなく専らアーム200cによってシートを押圧するもの等を用いてもよい。押圧部は上記押圧部材200のように揺動可能な部材に限らず、上ガイド205等に固定されたものであってもよい。また、上述の排出ローラ対161は、シートをスイッチバック搬送可能な反転ローラ対であると共に、シートを第2排出トレイ171に排出可能な排出手段を兼ねているが、スイッチバック搬送及び排出のいずれか一方を行うシート搬送手段を用いてもよい。さらに、センサ215は検知手段の一例であり、フォトインタラプタに代えてフォトリフレクタ等の光電センサをセンサ215として用いてもよく、接触式のスイッチをセンサ215として用いてもよい。
【実施例2】
【0045】
次に、第2の実施例に係るシート排出部の構成について、図6を用いて説明する。本実施例に係るシート排出部は、シート搬送路を通過するシートを検知する検知機構の構成が上記実施例1と異なっている。その他の実施例1と共通する要素には同符号を付して説明を省略する。
【0046】
図6に示すセンサフラグ220は、上記実施例1のセンサフラグ210と同様に、当接部221がシート搬送路R6を遮る第1位置と、当接部221が第1位置から下方に向かって退避した第2位置とに移動可能である。即ち、センサフラグ220は移動部の他の一例である。ただし、本実施例に係るセンサフラグ220は、独立に回動可能な第1フラグ220a及び第2フラグ220bによって構成される。
【0047】
第1フラグ220aは、第1の軸部材である第1軸部223aと、第1軸部223aに取付けられた第1当接部221a及び第1遮光部222aとによって構成される。また、第2フラグ220bは、第1軸部223aと同軸上に配置された第2の軸部材である第2軸部223bと、第2軸部223bに取付けられた第2当接部221b及び第2遮光部222bとによって構成される。第1軸部223a及び第2軸部223bは、いずれも下ガイド206によって回動可能に支持される。また、第1フラグ220a及び第2フラグ220bは、それぞれフラグバネに接続されており、いずれも第1位置に向けて付勢されている。
【0048】
幅方向における第1当接部221a及び第2当接部221bの配置は実施例1の第1当接部211a及び第2当接部211bと同様である。即ち、第1当接部221a及び第2当接部221bは、幅方向における押圧部材200の両側に、搬送中心C0に関して対称となる位置に配置される。また、第1フラグ220a及び第2フラグ220bは、第1当接部221aの可動範囲及び第2当接部221bの可動範囲が、いずれも幅方向から視て押圧部材200と重なるように配置されている。
【0049】
検知手段としてのセンサ225は、第1フラグ220a及び第2フラグ220bの少なくとも一方に対応して、少なくとも1つ配置される。第1フラグ220a及び第2フラグ220aは、2つのフラグバネから等しい付勢力を受け、シートの端部がいずれかのフラグの当接部に当接してフラグが第2位置に移動する場合に他方のフラグも同時に第2位置へ移動するように構成される。このため、図示した例では第1フラグ220aにのみセンサ225を配置している。センサ225は、第1フラグ220aが矢印D3の方向に回動した場合に第1遮光部222aによって遮光されるフォトインタラプタである。
【0050】
このように、本実施例では、幅方向から視てセンサフラグ220と押圧部材200をオーバーラップする配置とすると共に、センサフラグ220の第1当接部221a及び第2当接部221bを幅方向における搬送中心C0の一方側と他方側とに配置している。このため、実施例1と同様に、装置の小型化を図ると同時に、センサフラグ210がシートに付与する抵抗力によってシートの斜行が生じる可能性を低減することができる。
【0051】
なお、センサフラグ220を構成する回動部材の個数及び配置は、シートに付与する抵抗力が幅方向における搬送中心C0の一方側と他方側とで均衡する限り適宜変更可能である。また、本実施例では付勢力の等しいフラグバネによって第1フラグ220a及び第2フラグ220bを付勢する構成としたが、第1フラグ220a及び第2フラグ220bが自重によって第1位置に復帰する構成としてもよい。その場合、第1フラグ220a及び第2フラグ220bの材質及び形状を等しく設計することで、第1フラグ220a及び第2フラグ220bがシートに付与する抵抗力が等しくなる。
【0052】
[他の実施形態]
上述のシート排出部(第2排出部)191はシート搬送装置の一例であり、画像形成装置の他の部位に用いられるシート搬送装置として本技術を適用してもよい。例えば、第1実施例又は第2実施例の構成は、第1シート排出部190に適用可能である。また、画像形成装置には、画像形成手段を備えた装置本体の他に、原稿となるシートを自動で給送しながら画像を読取る画像読取装置や、装置本体から出力されたシートに綴じ処理等の処理を施すシート処理装置等の付属機器を備えたものがある。本技術は、このような付属機器においてシートを搬送するシート搬送装置に適用してもよい。
【0053】
プリンタ100は画像形成装置の一例であり、複写機、ファクシミリ及び複合機等に置き換えてもよい。また、上述の電子写真方式の画像形成部102は画像形成手段の一例であり、インクジェット方式の画像形成部や直接転写方式の電子写真ユニットを用いてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100…画像形成装置(プリンタ)/102…画像形成手段(画像形成部)/151,152…切替部材(第1フラップ、第2フラップ)/161…シート搬送手段、反転ローラ対、搬送手段(排出ローラ対)/190,191…シート搬送装置(第1シート排出部、第2シート排出部)/200…押圧部(押圧部材)/200c…アーム/201…付勢手段(押圧バネ)/202…回転部材(押圧コロ)/205,206…ガイド部、第1ガイド、第2ガイド(上ガイド、下ガイド)/210,220…移動部(センサフラグ)/211a,221a…第1当接部(第1当接部)/211b,221b…第2当接部(第2当接部)/211c…当接部/213…軸部材/215,225…検知手段、センサ/223a,223b…第1の軸部材、第2の軸部材(第1軸部、第2軸部)/C0…搬送中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6