【実施例1】
【0024】
まず、第1の実施例に係る第2シート排出部191(以下、単にシート排出部とする)の構成について、
図2乃至
図5を用いて説明する。
図2は、シート排出部191をプリンタ本体の外側から、つまり
図1における左側から視た概略図である。
図3及び
図4は、
図2に図示した位置におけるシート排出部191の断面図である。
図5は、シート排出部191に配置されるセンサフラグ210の斜視図である。
【0025】
図2に示すように、シート排出部191は、第2排出ローラ対161(以下、単に排出ローラ対とする)と、シート搬送路R6を形成するガイド部としての上ガイド205及び下ガイド206と、を備える。排出ローラ対161は、シートの幅方向、つまりシート搬送方向に直交する方向における複数箇所に配置され、それぞれ、モータ等の駆動源に駆動される駆動ローラ161aと駆動ローラ161aに従動回転する従動ローラ161bとによって構成される。ただし、シート搬送方向とは、排出ローラ対161が正転及び逆転する場合にシート搬送路R6に沿ってシートが移動する方向を指す。排出ローラ対161はシートを搬送するシート搬送手段に相当し、上ガイド205はシートの第1面に対向する第1ガイドに相当し、下ガイド206はシートの第2面に対向する第2ガイドに相当する。
【0026】
また、
図2及び
図3に示すように、シート排出部191は、シートを厚さ方向に押圧して湾曲させる押圧部材200と、シートの端部に当接することで移動するセンサフラグ210と、センサフラグ210の移動を検知可能なセンサ215と、を備える。押圧部材200は押圧部の一例であり、センサフラグ210は移動部の一例であり、センサ215は移動部の移動を検知可能な検知手段の一例である。
【0027】
押圧部材200は、上ガイド205に軸部200aを中心に回動可能に支持されたアーム200cと、アーム200cに回転可能に支持された押圧コロ202と、押圧コロ202を下方へ向けて付勢する押圧バネ201とによって構成される。アーム200cの端部200bは、上ガイド205に形成された開口部である位置決め部205aに係合しており、位置決め部205aによって規制される範囲で下ガイド206から接近及び離間する方向に移動可能である。付勢手段としての押圧バネ201は、アーム200cを矢印D1方向に、つまりシート搬送路R6を通過するシートの上面に押圧コロ202を押付けるようにアーム200cを付勢する。
【0028】
シート排出部191がシートの搬送を行っていない場合、アーム200cは押圧バネ201の付勢力によって端部200bが位置決め部205aに当接した状態で位置決めされる。このとき、押圧コロ202及びアーム200cの一部は、排出ローラ対161のニップ部N1に比べて下方に突出した位置に保持される。シート搬送路R6をシートが通過する場合、押圧コロ202及びアーム200cはシートを下方に押圧し、シート搬送方向から視て、2つの排出ローラ対161,161の間で下方に向かって凸となるようにシートを湾曲させる(
図2参照)。
【0029】
これによりシートの曲げ剛性が高まり、排出ローラ対161がシートを排出する場合及びスイッチバック搬送する場合に、プリンタ本体の外方に突出した部分が垂れ下がることを防いで、シートの挙動が安定化する。即ち、シートの排出中にシートの垂れ下がりが生じて第2排出トレイ171に積載されたシート束の整列性が乱れる可能性を低減することができる。また、スイッチバック搬送中にシートの垂れ下がりが生じて排出ローラ対161のスリップが生じる可能性を低減することができる。
【0030】
なお、押圧部材200の下端部が回転部材である押圧コロ202によって構成されるため、押圧コロ202がシートに連れ回り、押圧部材200がシートに付与する抵抗が抑制される。また、押圧部材200のシートに対する押圧力は押圧バネ201によって規定されるため、シートの剛性が高い程アーム200cは上方に退避し、押圧部材200がシートに形成する湾曲は小さくなる。このため、押圧部材200が剛性の高いシートを強く押圧して擦れ跡等のダメージを生じさせることを回避することができる。
【0031】
センサフラグ210及びセンサ215は、シート搬送路R6を通過するシートを検知可能な検知機構を構成する。
図3及び
図4に示すように、移動部の一例であるセンサフラグ210はシート搬送路R6を通過するシートに当接可能な当接部211を有し、下ガイド206によって回動可能に支持されている。センサフラグ210は、幅方向から視て当接部211がシート搬送路R6を遮る第1位置(
図3)と、シートに押圧されて矢印D2の方向に回動し当接部211が第1位置から下方に向かって退避した第2位置(
図4)とに移動可能である。また、センサフラグ210は、下ガイド206とセンサフラグ210との間に介在するフラグバネ214によって第1位置に向かって付勢されている。
【0032】
センサ215は、センサフラグ210に設けられた遮光部212によって遮光されるフォトインタラプタである。
図3に示すように、センサフラグ210が第1位置にある場合、センサ215の発光部215aが発する光はセンサ215の受光部215bによって検出される。一方、
図4に示すように、センサフラグ210が第2位置に変化すると、発光部215aが発する光が遮光部212によって遮られる。従って、プリンタ本体に搭載される制御部は、センサ215からの検知信号に基づいて、シートの端部がセンサ215による検知位置、つまり第1位置にあるセンサフラグ210に当接する位置まで到達したことを検知可能である。
【0033】
[押圧部材とセンサフラグの位置関係]
押圧部材200とセンサフラグ210の位置関係について詳しく説明する。
図3及び
図4に示すように、センサフラグ210は、幅方向から視て押圧部材200にオーバーラップするように、即ち当接部211の可動範囲が押圧部材200と重なるように配置されている。
【0034】
図2に示すように、押圧部材200は、2対の排出ローラ対161,161の間に、幅方向における排出ローラ対161,161の搬送中心C0と重なるように配置されている。ただし、搬送中心とは、シートの幅方向位置を、シートサイズに関わらず幅方向におけるシートの中央部を所定の基準に合わせるように搬送する構成(所謂センター基準方式)における基準位置である。本実施例における搬送中心C0は、排出ローラ対161,161の間の中央位置である。
【0035】
ここで、センサフラグ210の当接部211は、幅方向において搬送中心に対して一方側及び他方側のそれぞれに配置されている。即ち、当接部211は、幅方向において押圧部材200の一方側に配置された第1当接部211aと、押圧部材200の他方側に配置された第2当接部211bとによって構成される。第1当接部211a及び第2当接部211bは、幅方向において搬送中心C0に対して対称に配置され、幅方向における押圧部材200と排出ローラ対161,161との間に位置する。即ち、第1当接部211a、第2当接部211b及び押圧部材200は、幅方向に関して搬送中心C0を挟んで隣り合う第1のローラ対(161)及び第2のローラ対(161)の間に配置されている。
【0036】
図5に示すように、第1当接部211a及び第2当接部211bは軸部材であるフラグ軸213に取付けられ、フラグ軸213の端部にはセンサ215の検知光を遮光可能な遮光部212が取付けられている。従って、第1当接部211a及び第2当接部211bに対してシートが当接した場合、第1当接部211a、第2当接部211b、及び遮光部212を含むセンサフラグ210の全体がフラグ軸213の軸心を中心に一体的に回動する。
【0037】
このように、本実施例では、幅方向における当接部211と押圧部材200の配置をオフセットさせ、幅方向から視てセンサフラグの210の可動範囲の少なくとも一部が押圧部材200と重なるように配置している。このため、押圧部材200及びセンサフラグ210をシート搬送方向において異なる位置に配置する場合に比べて、シート搬送方向における装置の小型化を図ることができる。特に、本実施例のシート搬送路R6は第2フラップ152と排出ローラ対161とを接続し、スイッチバック搬送に用いられる搬送路であるため、多様なシートサイズに対応するためシート搬送路R6は短いことが好ましい。このような構成において、幅方向から視てセンサフラグ210と押圧部材200をオーバーラップさせて配置すると好適である。
【0038】
また、本実施例では、搬送中心C0に対して幅方向における一方側に第1当接部211aを配置し、搬送中心C0に対して幅方向における他方側に第2当接部211bを配置している。このため、シート搬送路R6を通過するシートが当接部211に突き当たってセンサフラグ210を回動させ、当接部211に対して摺動する過程において、搬送中心C0の一方側と他方側とでシートに作用する抵抗力が相殺される。即ち、センサフラグ210と押圧部材200を幅方向にオーバーラップさせる構成において、センサフラグ210がシートに付与する抵抗力によってシートの斜行が生じる可能性を低減することができる。これにより、装置の小型化とシートの斜行抑制とを両立することができる。
【0039】
第1当接部211a及び第2当接部211bは、本実施例のように幅方向に関して搬送中心C0に対して対称に配置すると好適である。これにより、第1当接部211a及び第2当接部211bがシートに与える抵抗力が搬送中心C0の一方側と他方側とでより正確に均衡することが期待できる。特に、本実施例の排出部は、両面印刷が行われる場合にシートをスイッチバック搬送して、再び画像形成部102に向かって送り出す機能を有する(
図1参照)。このため、裏面に形成される画像の傾斜及び位置ずれが生じる可能性を低減し、画像の品質向上に寄与する。
【0040】
また、本実施例では、シート搬送方向から視て、押圧部材200を2対の排出ローラ対161,161の間に配置すると共に、第1当接部211a及び第2当接部211bを押圧部材200と排出ローラ対161,161との間に配置している。このため、はがきサイズ等の小さなシートであってもセンサフラグ210を用いてシートの搬送タイミングを確実に検知することができる。
【0041】
さらに、本実施例では、押圧部材200をシート搬送路R6に対して上ガイド205と同じ側(上側)から突出させ、センサ215をシート搬送路R6に対して下ガイド206と同じ側(下側)に配置している。この構成により、幅方向から視てセンサフラグ210と押圧部材200がオーバーラップする構成を無理なく実現することができる。また、押圧部材200が、直前に画像形成部102によって画像を形成された面とは反対側の面(シート搬送路R6におけるシートの上面)に当接する構成であるため、押圧部材200による擦れ跡等の画像不良の発生を回避することができる。なお、例えばセンサ215を上ガイド205に配置した場合には、フラグ軸213を押圧部材200を迂回する形状とする等、押圧部材200とセンサフラグ210の干渉を避ける構成及びそのための配置空間が追加で必要になると考えられる。
【0042】
[変形例]
本実施例では、押圧部材200が搬送中心C0と重なる位置に配置され、第1当接部211a及び第2当接部211bが押圧部材200の両側に配置される構成として説明したが、当接部及び押圧部材の配置及び数は変更可能である。例えば、
図2に破線で示すように、センサフラグ210の当接部211cを搬送中心C0と重なる位置に配置すると共に、押圧部材200に切欠きを設け、又は2つの押圧部材を搬送中心C0の両側に配置する構成としてもよい。また、この当接部211cに加えて上述の第1当接部211a及び第2当接部211cを配置して、3つの当接部を搬送中心C0に関して対称に配置する構成としてもよい。さらに、押圧部材200は複数配置してもよく、例えば、幅方向における2対の排出ローラ対161,161の外側に1つずつ押圧部材を配置し、合計3つの押圧部材によってシートの湾曲形状を規定する構成としてもよい。
【0043】
要するに、幅方向から視てセンサフラグ等の移動部と押圧部とを少なくとも部分的に重なるように配置する構成で、移動部の当接部がシートに付与する抵抗力が、幅方向における搬送中心の一方側と他方側とで可能な限り均等となる構成であればよい。押圧部は、幅方向における少なくとも1箇所に設けられていればよく、搬送中心上に、又は搬送中心に関して対称な複数の位置に配置されることが好ましい。
【0044】
上述の押圧部材200はシートを押圧することでシートの湾曲を形成可能な押圧部の一例であり、例えば押圧コロ202がなく専らアーム200cによってシートを押圧するもの等を用いてもよい。押圧部は上記押圧部材200のように揺動可能な部材に限らず、上ガイド205等に固定されたものであってもよい。また、上述の排出ローラ対161は、シートをスイッチバック搬送可能な反転ローラ対であると共に、シートを第2排出トレイ171に排出可能な排出手段を兼ねているが、スイッチバック搬送及び排出のいずれか一方を行うシート搬送手段を用いてもよい。さらに、センサ215は検知手段の一例であり、フォトインタラプタに代えてフォトリフレクタ等の光電センサをセンサ215として用いてもよく、接触式のスイッチをセンサ215として用いてもよい。
【実施例2】
【0045】
次に、第2の実施例に係るシート排出部の構成について、
図6を用いて説明する。本実施例に係るシート排出部は、シート搬送路を通過するシートを検知する検知機構の構成が上記実施例1と異なっている。その他の実施例1と共通する要素には同符号を付して説明を省略する。
【0046】
図6に示すセンサフラグ220は、上記実施例1のセンサフラグ210と同様に、当接部221がシート搬送路R6を遮る第1位置と、当接部221が第1位置から下方に向かって退避した第2位置とに移動可能である。即ち、センサフラグ220は移動部の他の一例である。ただし、本実施例に係るセンサフラグ220は、独立に回動可能な第1フラグ220a及び第2フラグ220bによって構成される。
【0047】
第1フラグ220aは、第1の軸部材である第1軸部223aと、第1軸部223aに取付けられた第1当接部221a及び第1遮光部222aとによって構成される。また、第2フラグ220bは、第1軸部223aと同軸上に配置された第2の軸部材である第2軸部223bと、第2軸部223bに取付けられた第2当接部221b及び第2遮光部222bとによって構成される。第1軸部223a及び第2軸部223bは、いずれも下ガイド206によって回動可能に支持される。また、第1フラグ220a及び第2フラグ220bは、それぞれフラグバネに接続されており、いずれも第1位置に向けて付勢されている。
【0048】
幅方向における第1当接部221a及び第2当接部221bの配置は実施例1の第1当接部211a及び第2当接部211bと同様である。即ち、第1当接部221a及び第2当接部221bは、幅方向における押圧部材200の両側に、搬送中心C0に関して対称となる位置に配置される。また、第1フラグ220a及び第2フラグ220bは、第1当接部221aの可動範囲及び第2当接部221bの可動範囲が、いずれも幅方向から視て押圧部材200と重なるように配置されている。
【0049】
検知手段としてのセンサ225は、第1フラグ220a及び第2フラグ220bの少なくとも一方に対応して、少なくとも1つ配置される。第1フラグ220a及び第2フラグ220aは、2つのフラグバネから等しい付勢力を受け、シートの端部がいずれかのフラグの当接部に当接してフラグが第2位置に移動する場合に他方のフラグも同時に第2位置へ移動するように構成される。このため、図示した例では第1フラグ220aにのみセンサ225を配置している。センサ225は、第1フラグ220aが矢印D3の方向に回動した場合に第1遮光部222aによって遮光されるフォトインタラプタである。
【0050】
このように、本実施例では、幅方向から視てセンサフラグ220と押圧部材200をオーバーラップする配置とすると共に、センサフラグ220の第1当接部221a及び第2当接部221bを幅方向における搬送中心C0の一方側と他方側とに配置している。このため、実施例1と同様に、装置の小型化を図ると同時に、センサフラグ210がシートに付与する抵抗力によってシートの斜行が生じる可能性を低減することができる。
【0051】
なお、センサフラグ220を構成する回動部材の個数及び配置は、シートに付与する抵抗力が幅方向における搬送中心C0の一方側と他方側とで均衡する限り適宜変更可能である。また、本実施例では付勢力の等しいフラグバネによって第1フラグ220a及び第2フラグ220bを付勢する構成としたが、第1フラグ220a及び第2フラグ220bが自重によって第1位置に復帰する構成としてもよい。その場合、第1フラグ220a及び第2フラグ220bの材質及び形状を等しく設計することで、第1フラグ220a及び第2フラグ220bがシートに付与する抵抗力が等しくなる。
【0052】
[他の実施形態]
上述のシート排出部(第2排出部)191はシート搬送装置の一例であり、画像形成装置の他の部位に用いられるシート搬送装置として本技術を適用してもよい。例えば、第1実施例又は第2実施例の構成は、第1シート排出部190に適用可能である。また、画像形成装置には、画像形成手段を備えた装置本体の他に、原稿となるシートを自動で給送しながら画像を読取る画像読取装置や、装置本体から出力されたシートに綴じ処理等の処理を施すシート処理装置等の付属機器を備えたものがある。本技術は、このような付属機器においてシートを搬送するシート搬送装置に適用してもよい。
【0053】
プリンタ100は画像形成装置の一例であり、複写機、ファクシミリ及び複合機等に置き換えてもよい。また、上述の電子写真方式の画像形成部102は画像形成手段の一例であり、インクジェット方式の画像形成部や直接転写方式の電子写真ユニットを用いてもよい。