(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のスイッチング素子をオン状態に制御することで電磁弁に第1の電圧を印加し、第2のスイッチング素子をオン状態に制御することで前記電磁弁に前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を印加して前記電磁弁を駆動する電磁弁駆動装置であって、
前記第1のスイッチング素子をオン状態に制御した後に、前記第1のスイッチング素子をオフ状態に制御し、且つ前記電磁弁の駆動電流が所定範囲内になるように前記第2のスイッチング素子をオン状態又はオフ状態に制御することで、前記電磁弁を開弁状態に駆動する駆動部と、
前記第2のスイッチング素子のオン状態の期間が減少した場合に前記電磁弁の開弁を検出する開弁検出部とを備え、
前記駆動部は、前記駆動電流が所定範囲の上限値を上回る場合に、前記第2のスイッチング素子をオフ状態に制御し、前記駆動電流が所定範囲の下限値を下回る場合に、前記第2のスイッチング素子をオン状態に制御し、
前記開弁検出部は、前記第2のスイッチング素子のオン状態の期間が増加から減少に転じた場合に前記電磁弁の開弁を検出することを特徴とする電磁弁駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る燃料噴射弁駆動装置1は、
図1に示すように燃料噴射弁Lを駆動する駆動装置である。すなわち、本実施形態に係る燃料噴射弁駆動装置1は、車両に搭載された内燃機関に燃料を噴射する燃料噴射弁L(電磁弁)を駆動する電磁弁駆動装置である。
【0012】
燃料噴射弁Lは、車両に搭載されたガソリンエンジンあるいはディーゼルエンジン等の内燃機関に燃料を噴射する電磁弁(ソレノイド弁)である。
以下に、まず、燃料噴射弁Lの概略構成について、
図1を用いて説明する。
【0013】
図1に示すように、燃料噴射弁Lは、固定コア2、弁座3、ソレノイドコイル4、ニードル5、弁体6、リテーナ7、ロアストッパ8、弁体付勢バネ9、可動コア10、及び可動コア付勢バネ11を備える。本実施形態では、固定コア2、弁座3、及びソレノイドコイル4が固定部材であり、ニードル5、弁体6、リテーナ7、ロアストッパ8、弁体付勢バネ9、可動コア10、及び可動コア付勢バネ11が可動部材である。
【0014】
固定コア2は、円筒状の部材であり、燃料噴射弁Lのハウジング(不図示)に固定されている。固定コア2は、磁性材料によって形成されている。
【0015】
弁座3は、燃料噴射弁Lのハウジングに固定されている。弁座3は、噴射孔3aを有する。
噴射孔3aは、燃料が噴射される孔であって、弁座3に弁体6が着座した場合に閉鎖し、弁体6が弁座3から離間した場合に開放される。
【0016】
ソレノイドコイル4は、電線が環状に巻回されることにより形成されている。ソレノイドコイル4は、固定コア2と同心状に配置されている。
ソレノイドコイル4は、燃料噴射弁駆動装置1と電気的に接続されている。ソレノイドコイル4は、燃料噴射弁駆動装置1から通電されることで、固定コア2及び可動コア10を含む磁路を形成する。
【0017】
ニードル5は、固定コア2の中心軸に沿って延在する長尺状の棒部材である。ニードル5は、固定コア2及び可動コア10を含む磁路により発生する吸引力によって、固定コア2の中心軸の軸方向(ニードル5の延在方向)に移動する。なお、以下の説明において、固定コア2の中心軸の軸方向において、上記吸引力により固定コア2が移動する方向を上方と称し、上記吸引力により固定コア2が移動する方向と反対の方向を下方と称する。
【0018】
弁体6は、ニードル5における下方の先端に形成されている。弁体6は、弁座3に着座することによって噴射孔3aを閉鎖し、弁座3から離間することによって噴射孔3aを開放する。
【0019】
リテーナ7は、ガイド部材71及びフランジ72を備える。
ガイド部材71は、ニードル5における上方の先端に固定された円筒状の部材である。
フランジ72は、上方におけるガイド部材71の端部において、ニードル5の径方向に突出するように形成されている。
フランジ72は、下方の端面が可動コア付勢バネ11との当接面である。また、フランジ72における上方の端面は、弁体付勢バネ9との当接面である。
【0020】
ロアストッパ8は、弁座3とガイド部材71との間のニードル5に固定された円筒状の部材である。このロアストッパ8は、上方の端面が可動コア10との当接面である。
【0021】
弁体付勢バネ9は、固定コア2の内部に収容された圧縮コイルバネであり、ハウジングの内壁面と、フランジ72と間に介挿されている。弁体付勢バネ9は、弁体6を下方に付勢する。すなわち、コイル14に通電されてない場合には、弁体付勢バネ9の付勢力により、弁体6が弁座3に当接される。
【0022】
可動コア10は、ガイド部材71とロアストッパ8との間に配置されている。可動コア10は、円筒状の部材であり、ニードル5と同軸に設けられている。この可動コア10は、中央にニードル5が挿通される貫通孔が形成されており、ニードル5の延在方向に沿って移動可能である。
可動コア10の上方の端面は、固定コア2及び可動コア付勢バネ11との当接面である。一方、可動コア10の下方の端面は、ロアストッパ8との当接面である。可動コア10は、磁性材料によって形成されている。
【0023】
可動コア付勢バネ11は、フランジ72と可動コア10との間に介挿されている圧縮コイルバネである。可動コア付勢バネ11は、可動コア10を下方に付勢する。すなわち、可動コア10は、ソレノイドコイル4に給電されていない場合には、可動コア付勢バネ11の付勢力により、ロアストッパ8に当接される。
【0024】
次に、本発明の一実施形態に係る燃料噴射弁駆動装置1について、説明する。
図2に示すように、燃料噴射弁駆動装置1は、昇圧回路19、第1のスイッチング素子21〜第4のスイッチング素子24、第1のダイオード25、第2のダイオード26、電流検出用抵抗器27、及び制御部28を備える。
【0025】
昇圧回路19は、車両に搭載されたバッテリBTから入力されるバッテリ電圧VBを所定の目標電圧(昇圧電圧)に昇圧するチョッパ回路であり、所定の昇圧電圧を生成する。なお、この昇圧電圧は、本発明の「第1の電圧」の一例である。
この昇圧回路19は、昇圧比が例えば十〜数十程度であり、制御部28によって作動が制御される。なお、この昇圧回路19は、後述する回生電流をバッテリBTに出力し得る回路構成を備えている。バッテリ電圧VBは、本発明の「第2の電圧」の一例である。
【0026】
ここで、保持電圧よりも高い電圧である昇圧電圧は、燃料噴射弁Lの駆動における初期期間T1(駆動開始時)に燃料噴射弁Lに供給される駆動電圧である。一方、昇圧電圧よりも低い保持電圧は、初期期間T1後の保持期間T3において燃料噴射弁Lに供給される駆動電圧である。
【0027】
第1のスイッチング素子21は、例えば、MOSトランジスタであり、昇圧回路19の出力端と燃料噴射弁Lの一端(より正確には燃料噴射弁Lにおけるソレノイドコイルの一端)との間に設けられている。すなわち、この第1のスイッチング素子21において、ドレイン端子は昇圧回路19の出力端に接続され、ソース端子は燃料噴射弁Lの一端に接続される、また、第1のスイッチング素子21のゲート端子は制御部28に接続されている。
第1のスイッチング素子21は、制御部28によってオン/オフ(閉/開)動作が制御される。
【0028】
第2のスイッチング素子22は、例えば、MOSトランジスタであり、バッテリBTの出力端とソレノイドコイル4の一端との間に設けられている。すなわち、この第2のスイッチング素子22において、ドレイン端子は第2のダイオード26のカソード端子に接続され、ソース端子は燃料噴射弁Lの一端に接続されている。また、第2のスイッチング素子22のゲート端子は、制御部28に接続されている。
第2のスイッチング素子22は、制御部28によってオン/オフ(閉/開)動作が制御される。すなわち、第2のスイッチング素子22は、制御部28によりスイッチング制御されることで燃料噴射弁Lに流れる駆動電流を制御する。
【0029】
第3のスイッチング素子23は、例えば、MOSトランジスタであり、ドレイン端子が燃料噴射弁Lの一端に接続され、ソース端子がGND(基準電位)に接続されている。また、第3のスイッチング素子23のゲート端子は、制御部28に接続されている。
第3のスイッチング素子23は、制御部28によってオン/オフ(閉/開)動作が制御される。第3のスイッチング素子23は、オン状態(開状態)となることで、上記回生電流の経路を形成するためのスイッチである。
【0030】
第4のスイッチング素子24は、例えば、MOSトランジスタであり、ソレノイドコイル4の他端に接続され、ソース端子が電流検出用抵抗器27の一端に接続されている。また、第4のスイッチング素子24は、ゲート端子が制御部28に接続されている。このような第4のスイッチング素子24は、制御部28によってオン/オフ(閉/開)動作が制御される。
【0031】
第1のダイオード25は、カソード端子が昇圧回路19の出力端に接続され、アノード端子がソレノイドコイル4の他端に接続されており、ソレノイドコイル4から出力される回生電流を昇圧回路19を介してバッテリに供給する回生ダイオードである。
【0032】
第2のダイオード26は、カソード端子が第2のスイッチング素子22のドレイン端子に接続され、アノード端子がバッテリBTの出力端に接続されている、逆流防止用のダイオードである。第2のダイオード26は、第1のスイッチング素子21及び第2のスイッチング素子22がいずれもオン状態になった場合に、昇圧回路19の出力電流がバッテリBTの出力端に流入することを防止するための補助部品である。
【0033】
電流検出用抵抗器27は、一端が第4のスイッチング素子24のソース端子に接続され、他端がGND(基準電位)に接続されたシャント抵抗器である。すなわち、電流検出用抵抗器27は、第4のスイッチング素子24を介してソレノイドコイル4に直列接続されており、ソレノイドコイル4から供給される検出電流(第2の電流)が通過する。このような電流検出用抵抗器27は、一端と他端との間に検出電流の大きさに応じた電圧(検出電圧)が発生する。
【0034】
制御部28は、上位制御系から入力される指令信号に基づいて昇圧回路19、及び第1のスイッチング素子21〜第4のスイッチング素子24を制御する、例えば、集積回路(IC:Integrated Circuit)である。
【0035】
制御部28は、昇圧制御部30、電流検出部32、及び駆動制御部33を備える。
【0036】
昇圧制御部30は、昇圧回路19の動作を制御するための昇圧制御信号(PWM信号)を生成して昇圧回路19に出力する。
【0037】
電流検出部32は、一対の入力端を備え、一方の入力端が電流検出用抵抗器27の一端に接続され、他方の入力端が電流検出用抵抗器27の他端に接続されている。すなわち、この電流検出部32には、電流検出用抵抗器27で発生した検出電圧が入力される。電流検出部32は、検出電圧に基づいて、燃料噴射弁Lに通電された駆動電流の大きさ(以下、「駆動電流値」という。)を検出(演算)する。
【0038】
駆動制御部33は、駆動部331、開弁検出部332、及び記憶部333を備える。
【0039】
駆動部331は、第1のスイッチング素子21のオン状態とオフ状態とを制御する。具体的には、駆動部331は、第1のスイッチング素子21を制御するための第1のゲート信号を生成し、当該第1のゲート信号を、第1のスイッチング素子21のゲート端子に出力する。これにより、第1のスイッチング素子21は、オン状態となる。
【0040】
駆動部331は、第2のスイッチング素子22のオン状態とオフ状態とを制御する。具体的には、駆動部331は、駆動電流が所定範囲(以下、「制御範囲H」という。)内になるように、第2のスイッチング素子22をオン状態又はオフ状態に制御することで、燃料噴射弁Lを開弁状態に駆動する。例えば、駆動部331は、電流検出部32で検出された駆動電流値が、制御範囲H内になるように、ハイレベル又はロウレベルの期間を調整した第2のゲート信号を第2のスイッチング素子22のゲート端子に出力する。
【0041】
駆動部331は、第3のスイッチング素子23のオン状態とオフ状態とを制御する。具体的には、駆動部331は、第3のスイッチング素子23を制御するための第3のゲート信号を生成し、当該第3のゲート信号を、第3のスイッチング素子23のゲート端子に出力する。これにより、第3のスイッチング素子23は、オン状態となる。
【0042】
駆動部331は、第4のスイッチング素子24のオン状態とオフ状態とを制御する。具体的には、駆動部331は、第4のスイッチング素子24を制御するための第4のゲート信号を生成し、当該第4のゲート信号を、第4のスイッチング素子24のゲート端子に出力する。これにより、第4のスイッチング素子24は、オン状態となる。
【0043】
開弁検出部332は、第2のスイッチング素子22のオン状態の期間に応じて燃料噴射弁Lの開弁を検出する。具体的には、開弁検出部332は、第2のスイッチング素子22のオン状態の期間が増加から減少に転じた場合に、燃料噴射弁Lの開弁を検出する。本実施形態では、第2のスイッチング素子22のオン状態の期間とは、第2のゲート信号のハイレベルの期間である。
【0044】
記憶部333には、制御範囲Hが予め格納されている。具体的には、記憶部333には、制御範囲Hの上限値と下限値とが格納されている。
【0045】
次に、本発明の一実施形態に係る燃料噴射弁駆動装置1の動作について、
図3,4をも参照して詳しく説明する。
【0046】
燃料噴射弁駆動装置1で燃料噴射弁Lを閉弁状態から開弁状態に駆動する場合、駆動部331は、
図3に示すように、駆動開始時の初期期間T1(時刻t0〜t1の期間)において昇圧回路19が生成する昇圧電圧を燃料噴射弁Lに供給する。すなわち、初期期間T1では、昇圧制御部30が昇圧回路19に昇圧制御信号を出力することによって、所定の昇圧電圧を昇圧回路19から出力させる。
【0047】
また、この初期期間T1では、駆動部331は、第1のゲート信号を第1のスイッチング素子21のゲート端子に出力することによって昇圧電圧をソレノイドコイル4の一端に供給すると共に、第4のスイッチング素子24に第4のゲート信号を出力することによって、ソレノイドコイル4の他端を電流検出用抵抗器27を介してGND(基準電位)に接続させる。
【0048】
この結果、初期期間T1では、
図3に示すように比較的高い昇圧電圧がソレノイドコイル4に供給され、ピーク状の立ち上がり駆動電流がソレノイドコイル4に流れる。このようなピーク状の立ち上がり電流は、燃料噴射弁Lの開弁動作を高速化するものである。これにより、初期期間T1では、ソレノイドコイル4に駆動電流が流れ、ソレノイドコイル4が励磁される。そして、固定コア2及び可動コア10を含む磁路が形成され、この磁路形成により発生する吸引力により可動コア10が固定コア2側(上方)に移動する。そのため、ニードル5が上方に移動して、弁体6が弁座3から離間する。
【0049】
初期期間T1が経過すると、駆動部331は、第1のゲート信号の出力を停止させて、ソレノイドコイル4に対する昇圧電圧の供給を停止する。この場合には、第1のスイッチング素子21、第2のスイッチング素子22、及び第3のスイッチング素子23はオフ状態であり、第4のスイッチング素子24はオン状態である。
【0050】
駆動部331は、駆動部331によりソレノイドコイル4に対する昇圧電圧の供給が停止された時刻t1から時刻t2の回生期間T2において、第3のゲート信号を第3のスイッチング素子23のゲート端子に出力することにより、ソレノイドコイル4の逆起電力に起因する電流を回生電流としてGNDに回生させる。
【0051】
ここで、このような回生期間T2では、上記回生電流及び検出電流が流れることによってソレノイドコイル4の起電圧が時間の経過とともに徐々に低下する。そして、ソレノイドコイル4に流れる電流は、この起電圧の低下を主因として
図3に示すように徐々に減衰するが、可動コア10は固定コア2側の移動を継続する。
【0052】
回生期間T2が経過すると、駆動部331は、時刻t2から時刻t4の保持期間T3において、昇圧電圧よりも低い保持電圧をソレノイドコイル4に出力させる。
例えば、駆動部331は、保持期間T3において、第2のゲート信号を第2のスイッチング素子22に出力することによって保持電圧であるバッテリ電圧VBをソレノイドコイル4の一端に供給すると共に、第4のスイッチング素子24に第4のゲート信号を出力することで、ソレノイドコイル4の他端を電流検出用抵抗器27を介してGND(基準電位)に接続させる。
【0053】
この場合に、駆動部331は、駆動電流が制御範囲H内になるように、第2のスイッチング素子22をオン状態又はオフ状態に制御するため、保持電圧がソレノイドコイル4に対して断続的に供給される。具体的には、
図4に示すように、駆動部331は、電流検出部32で検出された駆動電流値が、制御範囲Hの上限値を上回る場合には第2のスイッチング素子22をオフ状態に制御する第2のゲート信号を出力し、駆動電流値が制御範囲Hの下限値を下回る場合には、第2のスイッチング素子22をオン状態に制御する第2のゲート信号を出力する。すなわち、駆動部331は、駆動電流値が常に制御範囲H内になるようにフィードバック制御する。
【0054】
ここで、可動コア10が固定コア2側へ移動している場合、すなわち、燃料噴射弁Lを閉弁状態から開弁状態に駆動している場合には、可動コア10と固定コア2とのエアギャップが急速に縮小するため、ソレノイドコイル4のインダクタンス値が増加する。そのため、
図3に示すように、保持期間T3において、可動コア10が固定コア2側へ移動している場合には、駆動電流が制御範囲Hの下限値から上限値に到達するまでの時間(以下、「オン時間」という。)が徐々に増加する。すなわち、
図3に示すように、第2のスイッチング素子22のオン状態の時間が徐々に増加することで、ソレノイドコイル4の両端に保持電圧が印加される期間は、保持電圧w1、W2、w3、w4、w5、w6の順に増加する。
【0055】
ただし、時刻t3において、可動コア10が固定コア2に衝突した場合、すなわち、燃料噴射弁Lが開弁した場合には、可動コア10と固定コア2とのエアギャップが無くなるために、インダクタンス値の変化が無くなる。したがって、時刻t2から徐々に増加していたオン時間は、減少に転じる。すなわち、第2のスイッチング素子22のオン状態の時間が減少することで、ソレノイドコイル4の両端に保持電圧が印加される期間は、保持電圧w6から保持電圧w7の場合において減少する。
【0056】
したがって、開弁検出部332は、保持期間T3において、第2のスイッチング素子22のオン状態の期間が増加から減少に転じた場合に、燃料噴射弁Lの開弁を検出する。本実施形態では、開弁検出部332は、第2のスイッチング素子22のゲート端子に出力される第2のゲート信号のハイレベルの期間が減少した場合に、燃料噴射弁Lの開弁を検出する。なお、燃料噴射弁Lの開弁が検出された後の期間においては、ソレノイドコイル4のインダクタンス値は変化しないため、オン時間が一定に保持される。
【0057】
なお、第2のスイッチング素子22のオン状態の期間が増加から減少に転じたことを検出するには、例えば、開弁検出部332は、第2のゲート信号の立上がりから立下りまでの期間を、第2のゲート信号の周期ごとに比較することで、第2のスイッチング素子22のオン状態の期間が増加から減少に転じたことを検出することができる。
【0058】
上述したように、本発明の一実施形態に係る燃料噴射弁駆動装置1は、ソレノイドコイル4のインダクタンス値の変化に基づいて、燃料噴射弁Lの開弁を検出する。例えば、燃料噴射弁駆動装置1は、上記インダクタンス値に応じて変化する、第2のスイッチング素子22のオン状態の期間に応じて、燃料噴射弁Lの開弁を検出する。これにより、燃料噴射弁Lの開弁の検出処理に、波形処理のような畳み込みや微積分が不要となる。そのため、燃料噴射弁駆動装置1は、燃料噴射弁Lの開弁を検出するための処理負荷を軽減することができる。また、燃料噴射弁駆動装置1では、簡素なプログラムで燃料噴射弁Lの開弁検出を実現することができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)本実施形態では、制御部28の機能を一つのICで実現される場合を一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図5に示すように、制御部28の機能を、二つのICである制御IC40と駆動IC41とで実現されてもよい。この場合には、制御IC40は、昇圧制御部30、通電制御部42、開弁検出部332、及び記憶部333を備える。駆動IC41は、駆動部331及び電流検出部32を備える。
通電制御部42は、駆動部331に対して、記憶部333に記憶されている制御範囲Hの上限値と下限値との情報を出力する。また、通電制御部42は、駆動部331に対して、第1のスイッチング素子21〜第4のスイッチング素子24のそれぞれの駆動を開始又は停止させるためのタイミング信号を出力する。
駆動部331は、このタイミング信号に基づいて、第1のスイッチング素子21〜第4のスイッチング素子24を駆動開始又は駆動停止を制御する。
駆動部331は、通電制御部42に接続されており、通電制御部42から取得した制御範囲Hの上限値と下限値とを用いて、第2のゲート信号のハイレベルの期間を調整する。
開弁検出部332は、第2のスイッチング素子のゲート端子に電気的に接続されており、第2のゲート信号を取得する。そして、開弁検出部332は、第2のゲート信号に基づいて、燃料噴射弁Lの開弁を検出する。
【0060】
(2)初期期間T1は、ソレノイドコイル4に昇圧電圧が供給されてから、ソレノイドコイル4に流れる駆動電流が予め設定された閾値を超えるまでの期間であってもよい。
【0061】
(3)本実施形態では、駆動部331は、駆動電流が制御範囲H内になるように、第2のスイッチング素子22をオン状態又はオフ状態に制御することで、保持電圧をソレノイドコイル4に対して断続的に供給したが、本発明はこれに限定されない。例えば、駆動部331は、駆動電流が制御範囲H内になるように、第2のスイッチング素子22をオン状態に制御すると共に、第4のスイッチング素子24をオン状態又はオフ状態に制御することで、保持電圧をソレノイドコイル4に対して断続的に供給してもよい。すなわち、本発明の「スイッチング素子」は、第2のスイッチング素子22であってもよいし、第4のスイッチング素子24であってもよい。