(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば工場などの広い施設の夜間警備の際、警備員の人数には限りがあるため、警備員が警備のために守衛室を一時的に空室にして施設内を巡回する場合がある。
従来のインターホンシステムでは、警備員が携帯する携帯端末も呼出信号を受信する構成であるが、呼出信号を受信した携帯端末を有する警備員が、呼出操作がなされたインターホンから遠方に居る場合、呼出があったインターホン子機に警備員が駆けつけるまでに長い時間を要してしまっていた。
このように、従来のインターホンシステムでは、インターホン子機からの呼出に対して、当該インターホン子機から遠方にいる者が応対しようとした場合、応対者が当該インターホン子機が設置されている場所に駆けつけるまでに長時間を要する場合があった。
【0005】
本発明の目的は、呼出があったインターホン子機が設置されている場所に応対者が駆けつけるまでの時間が長くなることを抑制することが可能なインターホンシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるインターホンシステムは、
複数の携帯端末と、
インターホン親機と、
所定の呼出テーブルに基づいて少なくとも前記携帯端末を呼び出すことが可能なインターホン子機と、
前記携帯端末の位置情報を定期的に取得する位置情報システムと、
を備え、
前記呼出テーブルは、前記位置情報に基づいて、前記インターホン子機から所定の範囲内に存する前記携帯端末が呼び出されるように、定期的に書き換えられる。
【0007】
上記構成によれば、携帯端末を有する者の移動に伴って、呼出テーブルが定期的に書き換えられる。このように、インターホン子機から呼び出すことが可能な携帯端末が、当該インターホン子機から所定範囲内に存するものに維持される。このため、インターホン子機からの呼出に対して、当該インターホン子機から所定の範囲内に居る者が応対することができ、応対者が当該インターホン子機が設置されている場所に駆けつけるまでの時間が長くなってしまうことを抑制することができる。
【0008】
また、本発明にかかるインターホンシステムは、
複数の携帯端末と、
インターホン親機と、
所定の呼出テーブルに基づいて少なくとも前記携帯端末を呼び出すことが可能なインターホン子機と、
前記携帯端末の位置情報を定期的に取得する位置情報システムと、
を備え、
前記呼出テーブルは、前記位置情報に基づいて、前記インターホン子機から近い順に選択された所定数の前記携帯端末が呼び出されるように、定期的に書き換えられる。
【0009】
上記構成によれば、携帯端末を有する者の移動に伴って、呼出テーブルが定期的に書き換えられる。このように、インターホン子機から呼び出すことが可能な携帯端末が、当該インターホン子機から近い順に選択された所定数に維持される。このため、インターホン子機からの呼出に対して、当該インターホン子機から近い順に選択された携帯端末を所持する者が応対することができ、応対者が当該インターホン子機が設置されている場所に駆けつけるまでの時間が長くなってしまうことを抑制することができる。
【0010】
本発明のインターホンシステムにおいて、
さらに、
複数のカメラと、
前記複数のカメラの撮像情報を解析する解析装置と、
を備え、
前記複数のカメラと前記複数のインターホン子機とは対応付けて配置されており、
前記解析装置は、前記撮像情報から異常を検出した場合、前記撮像情報を撮像した前記カメラと対応付けられて配置された前記インターホン子機に対して、呼出信号を送信してもよい。
【0011】
上記構成によれば、カメラが不審者等を撮像して解析装置がそれを検出した場合、当該カメラと対応付けて配置されたインターホン子機に対して呼出信号が発信される。この結果、当該インターホン子機が、定期的に更新されている呼出テーブルに基づいて、当該インターホン子機の周囲の携帯端末を呼び出すこととなる。このため、不審者を撮像したカメラの周囲に居る者が迅速に当該インターホン子機の設置場所に駆けつけることができる。
【0012】
本発明のインターホンシステムにおいて、
前記複数のインターホン子機は、カメラ部を有し、
さらに、
各前記カメラ部の撮像情報を解析する解析装置を備え、
前記解析装置は、前記撮像情報から異常を検出した場合、前記撮像情報を撮像した前記カメラ部を有する前記インターホン子機に対して、呼出信号を送信してもよい。
【0013】
上記構成によれば、インターホン子機のカメラ部が不審者等を撮像して解析装置がそれを検出した場合、当該カメラ部を有するインターホン子機に対して呼出信号が発信される。この結果、当該インターホン子機が、定期的に更新されている呼出テーブルに基づいて、当該インターホン子機の周囲の携帯端末を呼び出すこととなる。このため、不審者を撮像したカメラ部を有するインターホン子機の周囲に居る者が迅速に当該インターホン子機の設置場所に駆けつけることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、呼出があったインターホン子機が設置されている場所に応対者が駆けつけるまでの時間が長くなることを抑制することが可能なインターホンシステムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るインターホンシステムの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0017】
図1〜2に示すように、本実施形態に係るインターホンシステム10は、大型の施設1に導入される。施設1は、例えば、ショッピングモール、工場あるいは空港等であり、複数の通用口2を備えている。施設1は、通用口2のうちの特定のものが、夜間通用口2Aとされている。夜間通用口2A以外の通用口2は、予め設定された時刻に施錠されて夜間における通用が規制された状態とされる。夜間通用口2Aは、夜間に施設1内で作業を行う作業者などが通用するための通用口である。施設1は、複数の警備員が常駐する守衛室3を備えている。また、施設1は、その周囲に、複数の通信装置16が間隔をあけて設置されている。
【0018】
図2に示すように、本実施形態に係るインターホンシステム10は、携帯端末11と、インターホン子機12と、インターホン親機13と、構内電話交換機14と、位置情報システム15と、通信装置16と、を備えている。さらに、インターホンシステム10は、アクセスコントローラ17と、監視カメラ(カメラの一例)18と、解析装置19と、を備えている。
【0019】
インターホンシステム10は、LAN回線Lを有しており、インターホン子機12、インターホン親機13、構内電話交換機14、通信装置16、アクセスコントローラ17、監視カメラ18及び解析装置19は、LAN回線Lに接続されている。インターホンシステム10は、LAN回線LによってIP(インターネット・プロトコル)ネットワークが構築されている。これにより、インターホン子機12、インターホン親機13、構内電話交換機14、通信装置16、アクセスコントローラ17、監視カメラ18及び解析装置19は、LAN回線Lによって構築されたIPネットワークを介して互いに通信可能とされている。
【0020】
携帯端末11は、例えば、スマートフォンや携帯電話などの通信端末である。携帯端末11は、施設1を警備する複数の警備員に携帯される。通信装置16は、例えばWifi(登録商標)ルータなどの中継器であり、携帯端末11は、通信装置16によって通信可能なエリア(Wifiエリア)において、LAN回線Lに接続された機器と通信可能とされている。
【0021】
インターホン子機12は、施設1の各通用口2に設置されている。インターホン子機12は、警備員を呼び出して通話するために用いられる。インターホン子機12とインターホン親機13とはLAN回線Lを介して通信可能に構成されている。
【0022】
インターホン子機12は、子機マイク21、子機スピーカ22、呼出ボタン23、カメラ部24を備えている。インターホン子機12は、警備員を呼び出す際に、来訪者が所定の呼出操作を行うためのものであり、施設1の各通用口2における外壁面等に設けられている。
【0023】
子機マイク21及び子機スピーカ22は、来訪者が警備員との間で通話をする際に、音声を入出力するためのものである。呼出ボタン23は、来訪者が警備員を呼び出すための呼出操作を行う際に来訪者によって操作される部分である。カメラ部24は、呼出操作を行う来訪者を撮影するためのものである。
【0024】
インターホン親機13は、受話器31、親機スピーカ32、親機操作部33、親機表示部34を備えている。インターホン親機13は、インターホン子機12からの来訪者による呼出に応答するためのものであり、守衛室3における壁面等に設けられている。
【0025】
受話器31及び親機スピーカ32は、警備員が来訪者との間で通話をする際に、音声を入出力するためのものである。親機操作部33は、警備員によって操作される部分である。親機操作部33は、インターホン子機12からの呼出に応対するための応対操作を受け付ける。例えば、親機操作部33を操作することで、インターホン子機12からの呼出に応対すべく、来訪者との間での通話を可能としたり、施設1の通用口2の扉を開錠する開錠操作が行われる。親機表示部34は、インターホン子機12のカメラ部24で撮影された来訪者の映像を表示するためのものである。
【0026】
構内電話交換機14は、例えば、PBX(Private Branch Exchange)等の交換機である。構内電話交換機14は、インターホン子機12からの呼出に対して、インターホン親機13及び複数の携帯端末11のうちの選択した所定の携帯端末11を応答可能とする。例えば、インターホンシステム10が10台の携帯端末11を備えている場合に、そのうちの所定の3台をインターホン子機12からの呼出に応対可能とする。
【0027】
位置情報システム15は、構内電話交換機14に設けられている。位置情報システム15は、パーソナルコンピュータ等からなるもので、その記憶部には、呼出テーブルが記憶されている。呼出テーブルは、構内電話交換機14で携帯端末11を選択する際に用いられるテーブルである。位置情報システム15は、携帯端末11の位置情報を定期的に取得し、その位置情報に基づいて、呼出テーブルを書き換える。携帯端末11の位置情報は、施設1の周囲に配置させた通信装置16を介して取得する。
【0028】
位置情報システム15において、呼出テーブルは、位置情報に基づいて、インターホン子機12から所定の範囲内に存する所定数の携帯端末11が呼び出されるように、定期的に書き換えられる。例えば、呼出テーブルは、携帯端末11の位置情報に基づいて、インターホン子機12から近い順に選択された所定数の携帯端末11が呼び出されるように書き換えられる。
【0029】
構内電話交換機14及び位置情報システム15は、施設1に設けられたサーバールーム4に設置されている。
【0030】
アクセスコントローラ17は、施設1の各通用口2に設けられている。アクセスコントローラ17は、例えば、警備員や特定者が所持する磁気カードやICカードなどのセキュリティカードをかざすことで、通用口2の扉の電子錠の開錠を行う。
【0031】
監視カメラ18は、施設1の各通用口2の付近などを含む所定位置に設けられている。監視カメラ18は、各通用口2に設けられたインターホン子機12にそれぞれ対応付けられて配置されている。監視カメラ18は、その設置場所の映像を撮影し、その撮像情報を、LAN回線Lを介して解析装置19へ送信する。
【0032】
解析装置19は、監視カメラ18及びインターホン子機12のカメラ部24とともに、監視カメラシステムを構成する。解析装置19は、モーション検知機能を有しており、このモーション検知機能によって、異常の有無を監視する。
【0033】
解析装置19には、各監視カメラ18で撮影された映像の撮像情報が送信される。解析装置19は、監視カメラ18からの撮像情報に基づいて、モーション検知機能によって異常の有無を監視する。解析装置19は、監視カメラ18からの映像における異常な動きなどを検知して異常有りと判定すると、その映像を撮影した監視カメラ18に対応付けられたインターホン子機12に対して呼出信号を送信する。
【0034】
また、解析装置19には、各インターホン子機12のカメラ部24で撮影された映像の撮像情報も送信される。解析装置19は、インターホン子機12からの撮像情報に基づいて、モーション検知機能によって異常の有無を監視する。解析装置19は、インターホン子機12からの映像における異常な動きなどを検知して異常有りと判定すると、その映像を撮影したカメラ部24を有するインターホン子機12に対して呼出信号を送信する。
【0035】
上記構成のインターホンシステム10を備えた施設1では、予め設定された時刻になると、通用口2の扉が施錠されて通行不可とされ、所定の通用口2が夜間通用口2Aとされた夜間警備モードとなる。この夜間警備モードにおける呼出応対について説明する。
【0036】
(通常呼出)
来訪者によってインターホン子機12の呼出ボタン23が押下されると、守衛室3に設けられたインターホン親機13の親機スピーカ32から呼出音が報知される。また、このインターホン親機13での呼出音の報知とともに、呼出操作が行われたインターホン子機12から所定の範囲に存する所定数の携帯端末11で呼出動作が行われる。これらの携帯端末11は、位置情報システム15の記憶部に記憶されている呼出テーブルに基づいて選択される。例えば、これらの呼出動作が行われる携帯端末11は、呼出操作が行われたインターホン子機12から近い順に選択された所定数の携帯端末11である。
【0037】
これにより、守衛室3に警備員が居る場合、その警備員が守衛室3のインターホン親機13でインターホン子機12からの呼出に応対する。また、警備員が巡回していて守衛室3に警備員が居ないためにインターホン親機13による呼出応対ができない場合、または、守衛室3に居る警備員が手が離せずインターホン親機13による呼出応対ができない場合には、呼出動作が行われる携帯端末11を所持している警備員がインターホン子機12からの呼出に応対する。
【0038】
このとき、呼出動作が行われる携帯端末11は、呼出操作が行われたインターホン子機12から近い順に選択された所定数の携帯端末11である。したがって、警備員は、インターホン子機12の呼出に対応し、呼出操作が行われたインターホン子機12の設置場所へ迅速に駆けつけることが可能である。
【0039】
(異常時呼出)
解析装置19は、監視カメラ18で撮影された映像の撮像情報を解析し、その撮像情報から異常を検知した際に、異常が検知された撮像情報を送信した監視カメラ18に対応付けられたインターホン子機12に対して呼出信号を送信する。
【0040】
また、解析装置19は、インターホン子機12のカメラ部24で撮影された映像の撮像情報を解析し、その撮像情報から異常を検知した際にも、異常が検知された撮像情報を撮影したカメラ部24を有するインターホン子機12に対して呼出信号を送信する。
【0041】
インターホン子機12に呼出信号が送信されると、守衛室3に設けられたインターホン親機13の親機スピーカ32から呼出音が報知される。また、このインターホン親機13での呼出音の報知とともに、呼出信号が送信されたインターホン子機12から、呼出テーブルに基づいて選択された所定の範囲に存する所定数の携帯端末11で呼出動作が行われる。つまり、呼出信号が送信されたインターホン子機12から近い順に選択された所定数の携帯端末11で呼出動作が行われる。
【0042】
守衛室3に警備員が居る場合、その警備員は、守衛室3のインターホン親機13で異常を確認することが可能である。また、警備員が巡回していて守衛室3に警備員が居ないためにインターホン親機13による異常の確認ができない場合、または、守衛室3に居る警備員が手が離せずインターホン親機13による異常の確認ができない場合には、呼出動作が行われる携帯端末11を所持している警備員が携帯端末11によって異常を確認することが可能である。
【0043】
このとき、呼出動作が行われる携帯端末11は、呼出信号が送信されたインターホン子機12から近い順に選択された所定数の携帯端末11である。したがって、インターホン子機12の呼出に対応し、警備員は、異常のある映像を撮影した監視カメラ18に対応付けられたインターホン子機12の設置場所、あるいは異常のある映像を撮影したカメラ部24を備えたインターホン子機12の設置場所へ迅速に駆けつけることが可能である。
【0044】
以上、説明したように、本実施形態に係るインターホンシステム10によれば、携帯端末11を有する警備員の移動に伴って、呼出テーブルが定期的に書き換えられる。このように、インターホン子機12から呼び出すことが可能な携帯端末11が、当該インターホン子機12から所定範囲内に存するものに維持される。このため、インターホン子機12からの呼出に対して、当該インターホン子機12から所定の範囲内に居る警備員が応対することができ、警備員が当該インターホン子機12が設置されている場所に駆けつけるまでの時間が長くなってしまうことを抑制することができる。
【0045】
例えば、位置情報に基づいて、インターホン子機12から近い順に選択された所定数の携帯端末11が呼び出されるように、呼出テーブルが定期的に書き換えられるようにする。このようにすれば、インターホン子機12からの呼出に対して、当該インターホン子機12から近い順に選択された携帯端末11を所持する警備員が応対することができ、警備員が当該インターホン子機12が設置されている場所に駆けつけるまでの時間が長くなってしまうことを抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、監視カメラ18が不審者等を撮像して解析装置19がそれを検出した場合、当該監視カメラ18と対応付けて配置されたインターホン子機12に対して呼出信号が発信される。この結果、当該インターホン子機12が、定期的に更新されている呼出テーブルに基づいて、当該インターホン子機12の周囲の携帯端末11を呼び出すこととなる。このため、不審者を撮像した監視カメラ18の周囲に居る警備員が迅速に当該インターホン子機12の設置場所に駆けつけることができる。
【0047】
さらに、インターホン子機12のカメラ部24が不審者等を撮像して解析装置19がそれを検出した場合、当該カメラ部24を有するインターホン子機12に対して呼出信号が発信される。この結果、当該インターホン子機12が、定期的に更新されている呼出テーブルに基づいて、当該インターホン子機12の周囲の携帯端末11を呼び出すこととなる。このため、不審者を撮像したカメラ部24を有するインターホン子機12の周囲に居る警備員が迅速に当該インターホン子機12の設置場所に駆けつけることができる。
【0048】
なお、上記実施形態では、呼出が行われたインターホン子機12から近い順に選択された所定数の携帯端末11を呼び出す動作を例示したが、呼び出す携帯端末11は、呼出が行われたインターホン子機12から近い順に選択された所定数のものに限らず、例えば、AED(自動体外式除細動器)などの設置場所の近くの所定数の携帯端末11としてもよい。