特許第6957295号(P6957295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957295
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】キャップ、及び噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/22 20060101AFI20211021BHJP
   B65D 83/18 20060101ALI20211021BHJP
   B65D 83/20 20060101ALI20211021BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   B65D83/22
   B65D83/18
   B65D83/20 100
   B05B9/04
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-190986(P2017-190986)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-64651(P2019-64651A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】三上 礼
(72)【発明者】
【氏名】大久保 諒子
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−274984(JP,A)
【文献】 特開2011−005469(JP,A)
【文献】 実開平02−095560(JP,U)
【文献】 特開2012−214236(JP,A)
【文献】 特開2006−103750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/22
B65D 83/18
B65D 83/20
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体、及び前記容器本体に設けられ、前記容器本体に押し込まれると前記容器本体の内容物を噴射するステムを具備するエアゾール容器に固定可能なキャップであって、
前記容器本体に固定された状態において前記ステムに固定されるボタン本体、及び前記ボタン本体に設けられたノズルを具備した噴射ボタンと、
前記容器本体に固定された状態において前記ステムを囲む胴部、及び、前記胴部の一端に形成され、前記容器本体に固定された状態において前記ステムの押し込み方向に前記ボタン本体と重なる孔が形成された端壁を具備したキャップ本体と、
前記端壁に設けられ、前記容器本体に固定された状態において前記ステムの押し込み方向と平行となる第1の回動軸回りに回動可能な軸部材と、
前記第1の回動軸に直交する第2の回動軸回りに前記軸部材に回動可能に設けられた指で押されるレバー本体、及び、前記レバー本体に形成され、前記孔を通して前記ボタン本体を押し込み可能であり、かつ、前記レバー本体を前記第2の回動軸回りに前記孔から離れる方向に回転すると前記孔から出る板状のレバー用突起を具備したレバーと、を具備し
前記キャップ本体の前記端壁は、前記レバー本体を収容可能な凹溝を有し、
前記溝孔は、前記凹溝より狭く且つ前記レバー用突起を挿通可能な幅を有し、前記凹溝の底部に設けられている、
キャップ。
【請求項2】
前記レバー本体は、長板状に形成され、
前記レバー用突起は、前記レバー本体の長手方向に延びる長板状に形成される
請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記胴部の外面に形成された取っ手を具備する
請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
前記端壁の外面には、前記レバー本体の他方の主面が前記端壁の前記外面に対向する状態において前記レバー本体の少なくとも一部を配置する前記凹溝が形成される
請求項1に記載のキャップ。
【請求項5】
前記レバーに形成された第1の係合部と、
前記キャップ本体に形成され、前記レバー用突起が前記ボタン本体を押し込んだ状態において前記第1の係合部と係合する第2の係合部と、
を具備した請求項1に記載のキャップ。
【請求項6】
前記第1の係合部は、前記レバー用突起に形成された溝であり、
前記第2の係合部は、前記孔に係合可能な、前記胴部に形成された突起である
請求項5に記載のキャップ。
【請求項7】
容器本体、及び前記容器本体に設けられ、前記容器本体に押し込まれると前記容器本体の内容物を噴射するステムを具備したエアゾール容器と、
前記容器本体に固定されたキャップと、
を具備し、
前記キャップは、
前記ステムに固定されたボタン本体、及び前記ボタン本体に設けられたノズルを具備した噴射ボタンと、
前記ステムを囲む胴部、及び、前記胴部の一端に形成され、前記ステムの押し込み方向に前記ボタン本体と重なる孔が形成された端壁を具備したキャップ本体と、
前記端壁に設けられ、前記ステムの押し込み方向と平行となる第1の回動軸回りに回動可能な軸部材と、
前記第1の回動軸に直交する第2の回動軸回りに前記軸部材に回動可能に設けられた指で押されるレバー本体、及び、前記レバー本体に形成され、前記孔を通して前記ボタン本体を押し込み可能であり、かつ、前記レバー本体を前記第2の回動軸回りに前記孔から離れる方向に回転すると前記孔から出る板状のレバー用突起を具備したレバーと、を具備し
前記キャップ本体の前記端壁は、前記レバー本体を収容可能な凹溝を有し、
前記溝孔は、前記凹溝より狭く且つ前記レバー用突起を挿通可能な幅を有し、前記凹溝の底部に設けられている、
噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器に取り付けられるキャップ、及び噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
殺虫剤等を噴射する噴射装置として、エアゾール容器、及び、噴射ボタンを有するキャップを有する噴射装置が知られている。また、この種の噴射装置のキャップでは、誤噴射防止機構を有するキャップが知られている。
【0003】
誤噴射防止機構としては、噴射ボタンをキャップに対して前後方向に移動可能に設け、噴射ボタンを前後方向に移動させることにより、噴射ボタンの位置を、エアゾール容器のステムを押し込み可能となる、噴射可能位置、及び上下方向の移動が規制される、誤噴射防止位置で切り替える誤噴射防止機構が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−166572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、噴射ボタンを前後方向に移動させることにより誤噴射防止を可能とする誤噴射防止機構を有するキャップでは、以下の問題があった。即ち、噴射ボタンが比較的容易に移動してしまうため、確実に誤噴射防止を達成できるものではないという問題がある。さらに、噴射装置は噴射者が片手で操作すること多く、コンパクトに構成されている為、キャップは比較的小さい。この為、噴射ボタンが、噴射可能位置または誤噴射防止位置にあるのか判別がし難いという問題もある。
【0006】
この為、本発明は、噴射可能な状態、及び噴射不可能な状態を確実に切り替えることができ、見た目にも噴射可能な状態、及び噴射不可能な状態を容易に判別できる、噴射装置に用いられるキャップ、及び噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のキャップは、容器本体、及び前記容器本体に設けられ、前記容器本体に押し込まれると前記容器本体の内容物を噴射するステムを具備するエアゾール容器に固定可能なキャップである。前記キャップは、前記容器本体に固定された状態において前記ステムに固定されるボタン本体、及び前記ボタン本体に設けられたノズルを具備した噴射ボタンと、前記容器本体に固定された状態において前記ステムを囲む胴部、及び、前記胴部の一端に形成され、前記容器本体に固定された状態において前記ステムの押し込み方向に前記ボタン本体と重なる孔が形成された端壁を具備したキャップ本体と、前記端壁に設けられ、前記容器本体に固定された状態において前記ステムの押し込み方向と平行となる第1の回動軸回りに回動可能な軸部材と、前記第1の回動軸に直交する第2の回動軸回りに前記軸部材に回動可能に設けられた指で押されるレバー本体、及び、前記レバー本体に形成され、前記孔を通して前記ボタン本体を押し込み可能であり、かつ、前記レバー本体を前記第2の回動軸回りに前記孔から離れる方向に回転すると前記孔から出る板状のレバー用突起を具備したレバーと、を備える。前記キャップ本体の前記端壁は、前記レバー本体を収容可能な凹溝を有する。前記溝孔は、前記凹溝より狭く且つ前記レバー用突起を挿通可能な幅を有し、前記凹溝の底部に設けられている。
【0008】
本発明の噴射装置は、容器本体、及び前記容器本体に設けられ、前記容器本体に押し込まれると前記容器本体の内容物を噴射するステムを具備したエアゾール容器と、前記容器本体に固定されたキャップと、を備える。前記キャップは、前記ステムに固定されたボタン本体、及び前記ボタン本体に設けられたノズルを具備した噴射ボタンと、前記ステムを囲む胴部、及び、前記胴部の一端に形成され、前記ステムの押し込み方向に前記ボタン本体と重なる孔が形成された端壁を具備したキャップ本体と、前記端壁に設けられ、前記ステムの押し込み方向と平行となる第1の回動軸回りに回動可能な軸部材と、前記第1の回動軸に直交する第2の回動軸回りに前記軸部材に回動可能に設けられた指で押されるレバー本体、及び、前記レバー本体に形成され、前記孔を通して前記ボタン本体を押し込み可能であり、かつ、前記レバー本体を前記第2の回動軸回りに前記孔から離れる方向に回転すると前記孔から出る板状のレバー用突起を具備したレバーと、を備える。前記キャップ本体の前記端壁は、前記レバー本体を収容可能な凹溝を有する。前記溝孔は、前記凹溝より狭く且つ前記レバー用突起を挿通可能な幅を有し、前記凹溝の底部に設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、噴射可能な状態、及び噴射不可能な状態を確実に切り替えることができるので、より確実に誤噴射を防止することができ、さらに、噴射可能な状態、及び噴射不可能な状態を見た目に判別しやすいので、これらの状態を簡単に判別でき、さらに、レバーによって操作することにより、比較的弱い力で操作することができるので、女性、子供、または、高齢者でも、操作することが可能となる、噴射装置に用いられるキャップ、及び噴射装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る噴射装置を示す斜視図。
図2】第1の実施形態に係る噴射装置のキャップに用いられるレバーが持ち上げられて突起が第1の溝側に向く状態を示す斜視図。
図3】噴射不可能な状態にある第1の実施形態に係る噴射装置のキャップ及び、その周辺を示す断面図。
図4】噴射可能な状態にある第1の実施形態に係る噴射装置のキャップ、及びその周辺を示す斜視図。
図5】噴射可能な状態にある第1の実施形態に係る噴射装置のキャップ、及びその周辺を示す断面図
図6】噴射不可能な状態から噴射可能な状態への切換動作を示す、第1の実施形態に係る噴射装置のキャップ、及びその周辺を示す断面図。
図7】噴射不可能な状態から噴射可能な状態への切換動作を示す、第1の実施形態に係る噴射装置のキャップ、及びその周辺を示す断面図。
図8】第1の実施形態の噴射装置のキャップに用いられるレバーが押し込まれた状態を示す、キャップ及びその周辺を示す断面図。
図9】第1の実施形態の変形例に係る噴射装置のキャップを示す斜視図。
図10】本発明の第2の実施形態係る噴射装置を示す斜視図。
図11】第2の実施形態に係る噴射装置の変形例を示す斜視図。
図12】第2の実施形態に係る噴射装置の変形例を示す斜視図。
図13】本発明の第3の実施形態に係る噴射装置を示す斜視図。
図14】使用可能な状態にある第3の実施形態に係る噴射装置を示す斜視図。
図15】本発明の第4の実施形態噴射装置を示す断面図。
図16】第4の実施形態に係る噴射装置のレバーの溝にキャップ本体の突起が係合した状態を示す断面図。
図17】第4の実施形態に係る噴射装置の変形例の要部を示す断面図。
図18】第4の実施形態に係る噴射装置の変形例の要部を示す断面図。
図19】第4の実施形態に係る噴射装置の変形例の要部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の実施形態に係る噴射装置10を、図1乃至図9を用いて説明する。図1は、噴射装置10を示す斜視図である。図1は、具体的には、噴射不可能な状態にある噴射装置10を示している。図2は、噴射装置10のキャップ30に用いられるレバー70が持ち上げられた状態を示す斜視図である。図3は、噴射不可能な状態にある噴射装置10に用いられるキャップ30及びその周辺を示す断面図である。図3は、噴射装置10を、後述するエアゾール容器20の中心線に沿う断面に沿って切断した状態を示している。
【0012】
図4は、噴射可能な状態にある噴射装置10のキャップ30、及びその周辺を示す斜視図である。図5は、噴射可能な状態にある噴射装置10のキャップ30、及びその周辺を示す断面図である。図5は、エアゾール容器20のステム22の中心線に沿う断面に沿って切断した状態を示している。図6及び図7は、噴射不可能な状態から噴射可能な状態への切換動作を示す、キャップ30及びその周辺を示す断面図である。図6及び図7は、ステム22の中心線を通る断面に沿って示す断面図である。図8は、キャップ30に用いられるレバー70が押し込まれた状態を示す、キャップ30及びその周辺を示す断面図である。図9は、キャップ30の変形例を示す斜視図である。
【0013】
図1及び図3に示すように、噴射装置10は、エアゾール容器20、及びエアゾール容器20一端に固定されたキャップ30を有している。
エアゾール容器20は、外観が例えば略円柱状に形成された容器本体21、及び容器本体21に設けられたステム22を有している。ステム22は、容器本体21と例えば同軸に配置されている。ステム22は、容器本体21に対して一方向に押し込み可能に形成されている。ステム22は、押し込み力が解除されると、初期位置P0に復帰する。
【0014】
ステム22は、容器本体21から外部に突出している。ステム22を容器本体21内に押し込むことにより、容器本体21内に収容された薬剤等が、ステム22を通して外部に噴射される。本実施形態では、ステム22の押し込み方向を下方向として上下方向を設定する。
【0015】
ステム22は、噴射位置P1(図8に示す)まで押し込まれると、容器本体21内の弁が最大に開くことにより、容器本体21の内容物を噴射する。
【0016】
キャップ30は、容器本体21の上部に固定されており、ステム22を囲んでいる。キャップ30は、一例として、樹脂で形成されている。キャップ30は、容器本体21に固定されたキャップ本体40、ステム22に固定された噴射ボタン50、キャップ本体40の上壁部42に回動可能に設けられた軸部材60、及び、軸部材60に回動可能に設けられ、噴射ボタン50を操作可能に形成されたレバー70を有している。
【0017】
キャップ本体40は、胴部41、及び、胴部41の上端に一体に形成された上壁部42を有している。胴部41は、筒状に形成されており、ステム22を囲んでいる。胴部41は、一例として、容器本体21の外周面と面一に形成された外周面を有する円筒状に形成されている。
【0018】
胴部41は、容器本体21の上部に固定可能に形成されている。胴部41は、本実施形態では一例として、容器本体21及びステム22と同軸に配置されている。胴部41を容器本体21に固定する固定構造の一例としては、胴部41が容器本体21の上部に嵌合可能に形成されてもよい。この場合、胴部41の内径は、容器本体21の上部の外径よりもわずかに小さい内径に設定されている。
【0019】
または、胴部41は、容器本体21の上部が複数の外径を有することより、胴部41の内周面の下端に、容器本体21の上部の段部に係合可能な係合部を有してもよい。この場合、この係合部が容器本体21の上部に係合することにより、キャップ30が容器本体21に固定される。なお、キャップ30を容器本体21に固定する固定構造は上述の固定構造に限定されるものではない。
【0020】
胴部41には、噴射ボタン50の後述するノズル52を、キャップ30外へ露出する開口43が形成されている。
【0021】
上壁部42は、上壁部42の上面44に形成された第1の溝45、及び第1の溝45の底壁部46に形成された第2の溝47を有している。
【0022】
第1の溝45は、上面44が下方に凹んだ形状を有している。上面44は、本実施形態では一例として、第1の溝45以外の部分、上下方向に直交する平面に形成されている。第1の溝45は、上壁部42の中心を通る直線状に形成されている。第1の溝45は、開口43側から、開口43に対して胴部41の中心回りに180度ずれた位置まで延びている。
【0023】
第1の溝45の一端45aは、胴部41の外周面41aに開口している。開口43側の第1の溝45の他端45bの縁45cは、レバー70の回動を邪魔しない形状に形成されており、本実施形態では一例として、半円状に形成されている。第1の溝45の底面46aは、上下方向に直交する平面に形成されている。
【0024】
底壁部46には、ステム22の中心線と重ならない位置に、孔48が形成されている。本実施形態では、孔48は、一例として、底壁部46の縁45cの近傍に形成されている。孔48は、底壁部46を貫通している。
【0025】
第2の溝47は、後述するレバー70の突起72挿通することにより、突起72が噴射ボタン50を押し込み可能とする孔の一例である。第2の溝47は、突起72を内側に配置可能に形成されている。第2の溝47は、上下方向に噴射ボタン50に用いられるボタン本体51と対向する。さらに本実施形態では一例として、第2の溝47は、ステム22の中心線が通り、他端45b側から第1の溝45の一端45aまで延びる直線状に形成されている。
【0026】
第2の溝47の、噴射ボタン50に用いられるボタン本体51と上下方向に重ならない部分の少なくとも一部には、底壁部49が形成されている。本実施形態では、底壁部49は、一例として、胴部41の近傍の範囲に形成されており、胴部41と一体に形成されている。
【0027】
噴射ボタン50は、ステム22を内側に配置し、ステム22に固定されるボタン本体51、及びステム22から噴射された内容物を外部へ吐出するノズル52を有している。ボタン本体51は、有底の筒状に形成されている。ボタン本体51は、例えば外観が円柱状に形成されている。
【0028】
ボタン本体51の内周面53は、開口54からボタン本体51の軸方向に所定高さまでの範囲は、内径が漸次縮径する円錐面に形成されている。内周面53の最小径は、ステム22の外径よりも小さい。内周面53において円錐面に形成された部分より上方の部分は、円錐部の最小径以下の内径を有しており、本実施形態では一例として、内径が上述の最小径と同径に形成されている。
【0029】
ノズル52は、ボタン本体51の外周面から、ボタン本体51の径方向外側に突出する筒状に形成されている。ノズル52は、ボタン本体51内の、内周面が円錐に形成された部分より上の部分に連通している。
【0030】
このように形成された噴射ボタン50は、ボタン本体51の開口54を下方に向けた姿勢で、ステム22に取り付けられる。ステム22は、少なくとも上端部が開口54を通してボタン本体51内に挿入される。ボタン本体51の内径の最小径がステム22の外径よりも小さいことより、ステム22の上端がボタン本体51内に嵌合することによって、噴射ボタン50がステム22に固定される。
【0031】
なお、ボタン本体51の内周面53は、ステム22が嵌合したときに、噴射ボタン50の下端と容器本体21との間に、ステム22の押し込み量を確保する隙間S1を有するように形成されている。ノズル52は、その先端が、胴部41の開口43を通して外部に露出される。
【0032】
本実施形態では、噴射ボタン50は、一例として胴部41と一体に形成されている。具体的には、開口43の下端縁43aは、連結部55を介して、ボタン本体51の下端に連結されている。
【0033】
連結部55は、噴射ボタン50が押し込まれたときに、噴射ボタン50の変位に合わせて変形可能となる可撓性を有している。連結部55は、容器本体21との間に隙間S2を有している。隙間S2は、ステム22を初期位置P0から噴射位置P1まで変位可能な隙間に設定されている。
【0034】
連結部55、噴射ボタン50、及び胴部41は、例えば、一体に形成されている。または、連結部55、噴射ボタン50、及び胴部41は、別々に形成されて、例えば接着剤等の固定手段で固定されてよい。
【0035】
軸部材60は、第1の溝45の孔48に配置され、ステム22の中心線に平行な第1の回動軸L1回り、すなわち上下方向に平行な第1の回動軸L1回りに回動可能に形成されている。軸部材60は、軸部材本体61、及び、軸部材本体61に形成され、軸部材本体61を孔48内に保持する保持部62を有している。
【0036】
軸部材本体61は、一例として円柱状に形成されている。軸部材本体61には、レバー70の後述する軸部73を回動可能に配置する孔63が形成されている。孔63は、軸部材本体61の軸方向に直交する方向に延びている。孔63は、軸部73を取り付ける際に用いられる切り欠き63aが形成されている。軸部73は、切り欠き63aを通して孔63内に配置される。切り欠き63aは、軸部73よりわずかに小さく形成されている。軸部73を切り欠き63aに比較的強い力で押し込むことにより、切り欠き63aの縁部が変形し、軸部73を孔63内に配置することができる。
【0037】
保持部62は、一例として、軸部材本体61の外周面に形成された、周方向に環状に形成された溝である。保持部62内に、孔48の縁が配置されることにより、軸部材本体61が孔48に保持される。
【0038】
保持部62は、本実施形態では一例として、軸部材本体61の下端に形成された第1のフランジ64、及び、軸部材本体61の外周面の、第1のフランジ64より上方に形成された第2のフランジ65により構成されている。第2のフランジ65の上面は、円錐面に形成されている。第2のフランジ65が円錐面に形成されることから、軸部材60を孔48の内に下方から挿入することができる。
【0039】
なお、保持部62は、2つのフランジから構成されることに限定されない。例えば、保持部62は、軸部材本体61の外周面の一部が、他の部分に対して径方向内側に凹むことにより形成されてもよい。
【0040】
なお、軸部材60をキャップ本体40に回動可能とする構造は、底壁部46に形成された孔48、及び保持部62により構成されることに限定されない。他の例としては、底壁部46に形成された突起に、有底筒状の軸部材60が回転可能に嵌合してもよい。
【0041】
レバー70は、板状に形成されたレバー本体71、レバー本体71に設けられた軸部73、及びレバー本体71に形成された、噴射ボタン50を押し込み可能な突起72を有している。
【0042】
レバー本体71は、図1に示すように、第1の溝45内に収容可能に形成されている。レバー本体71は、第1の溝45の幅よりも小さい幅を有する長い板状に形成されている。本実施形態では、一例として、レバー本体71の幅は、第1の溝45の幅より、わずかに小さい幅に設定されている。
【0043】
レバー本体71の長手方向一端の外周面71aは、胴部41の外周面と面一となる曲面に形成されている。レバー本体71の厚みは、本実施形態では一例として、第1の溝45の深さよりも小さい。
【0044】
軸部73は、レバー70を、第1の回動軸L1に直交する第2の回動軸L2回りに回動可能に形成されている。軸部73は、本実施形態では、一例として、支持部74を介してレバー本体71に支持されている。支持部74は、一例として、2つの凸部から構成されている。支持部74は、レバー本体71の長手方向他端に形成されており、レバー本体71の一方の主面75a、及びレバー本体71の他端の外周面76に対して離間する方向に突出している。
【0045】
一方の主面75aおよび他方の主面75bは、互いに平行な平面に形成されている。他方の主面75bは、第1の溝45の底面46aに面接触可能な平面に形成されている。
【0046】
軸部73は、支持部74の一方の凸部及び他方の凸部に、レバー本体71の幅方向に平行な姿勢で固定されている。軸部73は、軸部材本体61の孔63内で回動可能に形成されている。軸部73は、本実施形態では、孔63の内径よりも小さい外径を有する円柱状に形成されている。軸部73、及びレバー本体71の間の隙間S3は、レバー70の軸部73回りの回動を阻害しない隙間に設定されている。
【0047】
突起72は、レバー本体71の一方の主面75aから、主面75aに直交する方向に突出している。突起72は、第2の溝47内に配置可能に形成されている。さらに、突起72は、第2の溝47を通して噴射ボタン50のボタン本体51に当接可能に形成されている。突起72は、本実施形態では一例として、レバー本体71の一端から他端まで延びる長板状に形成されている。突起72の幅は、一例として、第2の溝47の幅よりわずかに小さい幅に設定されている。
【0048】
突起72の突出方向の先端面77は、図5に示すように、先端面77の軸部73側の一端77aから中途部77bまでの範囲となる曲面部78、及び、この中途部77bから他端77cまでの範囲となる平面部79を有している。中途部77bは、曲面部78及び平面部79の境の部分となり、直線状に形成されている。
【0049】
曲面部78は、中途部77bがボタン本体51の上面51aに接触するまで、ボタン本体51との接触を避ける曲面に形成されている。すなわち、中途部77bは、噴射ボタン50が押し込まれていない初期位置P0にあるときに、ボタン本体51の上面51aに当接する。
【0050】
平面部79は、中途部77bより他端77cに向けて突起72の主面75aに対する高さが漸次小さくなる平面に形成されている。平面部79は、具体的には、図5に示すように、中途部77bが初期位置P0にあるボタン本体51の上面51aに当接した状態では、平面部79及び第2の溝47の底壁部49との間に隙間S4を有する平面に形成されている。隙間S4は、噴射ボタン50を初期位置P0から噴射位置P1まで押し込むことが可能となる隙間に設定されている。
【0051】
次に、噴射装置10の使用方法の一例を説明する。噴射装置10の出荷時では、レバー70は、図1に示すように、突起72が上方に向く姿勢で第1の溝45内に配置される。この状態では、図3に示すように、レバー本体71の他方の主面75bが第1の溝45の底面46aに当接している。なお、本実施形態では、支持部74及び軸部73は、主面75bが底面46aに面接触可能となるように形成されている。
【0052】
使用者が噴射装置10を使用する際には、使用者は、レバー70を、軸部材60及び軸部73回りに回動することにより、噴射装置10を使用可能な状態にする。具体的には、使用者は、図6に示すように、レバー70を軸部73により第2の回動軸L2回りに回動することにより、レバー70を底面46aに対して起立させる。
【0053】
次に、使用者は、図7に示すように、レバー70を軸部材60により第1の回動軸L1回りに180度回転する。次に、使用者は、図4及び図5に示すように、レバー70を軸部73により第2の回動軸L2回りに回転することにより、突起72を第2の溝47内に差し込む。
【0054】
突起72が第2の溝47内に差し込まれることにより、図5に示すように、突起72の先端面77の中途部77bが初期位置P0にあるボタン本体51の上面51aに当接される。この状態となると、噴射装置10が使用可能な状態となる。すなわち、レバー70を押し込むと、内容物が噴射可能な状態となる。
【0055】
使用者は、噴射装置10を使用可能な状態とすると、図8に示すようにレバー70を、他方の主面75bを指で押すなどして、下方に押し込む。レバー70が押し込まれることにより、噴射ボタン50を介してステム22が押し込まれる。
【0056】
ステム22から吐出された内容部は、ボタン本体51内、ノズル52、及び胴部41の開口43を通って、噴射装置10外へ噴射される。
【0057】
使用者は、噴射装置10の使用が終了すると、軸部材60及び軸部73により第1の回動軸L1及び第2の回動軸L2回りにレバー70を回動することにより、レバー70を持ち上げて、図1に示すように突起72が上方に向き、他方の主面75が底面46aに面接触する噴射装置10を使用不可能な状態とする。なお、噴射装置10が使用不可能な状態とは、レバー70を押し込むことができない状態である。
【0058】
このように構成された噴射装置10では、使用者は、噴射可能な状態と噴射不可能な状態を確実に切り替えることができ、突起72によって、噴射装置10が使用可能な状態であるか、または、使用不可能な状態であるかを見た目でも容易に判別することができる。このように、突起72の有無により、使用可能な状態、及び、使用不可能な状態を、確実に切り替えることができ、見た目でも判別することができる。
さらに、噴射装置10では、使用者は、レバー70を操作することにより、噴射作業を行う。レバー70は、てこの原理により、噴射ボタン50を介してステム22を押す。この為、使用者は、比較的弱い力でレバー70操作することができるので、女性、子供、または、高齢者でも、レバー70を操作することが可能となる
【0059】
なお、本実施形態では、第1の溝45の深さは、レバー70の一部が上面44より上方に配置される深さである。第1の溝45は、例えば、図9に示す変形例のように、噴射装置10が使用不可能な状態にあるときに、上面44が突起72の上端よりも高い位置となる深さを有してもよい。この場合、使用不可能な状態にある噴射装置10を、上下方向に複数積み重ねても、突起72が邪魔となることがない。
【0060】
さらに、第1の溝45は、噴射装置10が使用可能な状態にあるときのレバー70の上端よりも上面44が高い位置となる深さを有してもよい。さらに、第1の溝45は、噴射装置10の使用可能な状態及び使用不可能な状態においても、レバー70の上端より上面44が高い位置となる深さを有してもよい。
【0061】
次に、本発明の第2の実施形態に係る噴射装置10Aを、図10乃至図12を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
図10は、噴射装置10Aを示す斜視図である。図11及び図12は、噴射装置10Aの変形例を示す斜視図である。
【0063】
図10に示すように、噴射装置10Aは、エアゾール容器20、及びキャップ30Aを有している。キャップ30Aは、キャップ本体40A、噴射ボタン(第1の実施形態と同様)、軸部材60、及びレバー70を有している。
【0064】
キャップ本体40Aは、胴部41、上壁部42、及び取っ手90を有している。取っ手90は、胴部41の外周面の、開口43に対して胴部41の中心線回りに180度ずれた位置に設けられている。取っ手90は、胴部41の外周面から、一例として、胴部41の径方向外側に突出している。取っ手90は、使用者が把持可能に形成されている。取っ手90は、その上面91がキャップ30の上面44に面一な平面となる、例えば板状に形成されている。
【0065】
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、使用者は、噴射装置10Aを持ち運ぶ際に、取っ手90を把持することができるので、噴射装置10Aの持ち運ぶ際の作業の効率を向上できる。さらに、レバー70を押し込むときに、取っ手90を持つことができるので、噴射装置10Aの操作性を向上することができる。
【0066】
また、取っ手90は、図11に示す変形例のように、第1の溝45が上面91内まで延長されて形成されてもよい。さらに、レバー本体71も、第1の溝45に合わせて、第1の実施形態の噴射装置10のレバー本体71によりも長く形成されてもよい。これにより、てこの原理によりさらに弱い力で噴霧することが可能となる。
【0067】
また、図11に示す変形例の更なる変形例として、取っ手90は、図12に示す変形例のように、取っ手90の先端に向かって漸次下方に下がるよう、湾曲する形状に形成されてもよい。そして、レバー本体71も第1の溝45の湾曲形状に合わせて湾曲する形状に形成されてもよい。レバー本体71は、使用不可能な状態では、一方の面75aが、第1の溝45の底面46aに面接触する。
【0068】
このように取っ手90及びレバー本体71が湾曲することにより、噴射装置10Aが使用可能な状態では、レバー本体71の端部が上方に反りあがることとなるので、使用者は、この端部に指をかけることができる。この為、レバー本体71に対して、さらに力をかけやすくなり噴射装置10Aの使用勝手が向上する。
【0069】
次に、本発明の第3の実施形態に係る噴射装置10Bを、図13及び図14を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
図13は、噴射装置10Bを示す斜視図である。なお、図13は、使用不可能な状態にある噴射装置10Bを示している。図14は、使用可能な状態にある噴射装置10Bをしめす斜視図である。
【0070】
図13に示すように、噴射装置10Bは、エアゾール容器20、及びキャップ30Bを有している。キャップ30Bは、キャップ本体40B、噴射ボタン(第1の実施形態と同様)、軸部材60、及びレバー70Bを有している。
【0071】
キャップ本体40Bは、胴部41、上壁部42、及び取っ手90Bを有している。取っ手90Bは、胴部41の外周面に設けられている。取っ手90Bは、胴部41の外周面の、胴部41の中心線回りに、開口43に対して180度ずれた位置に形成されている。取っ手90Bは、胴部41の外周面から、一例として、胴部41の径方向外側に突出している。取っ手90Bは、さらに、胴部41の径方向外側に向かって漸次下方に下がる形状を有している。
【0072】
取っ手90Bは、本実施形態では一例として、取っ手90Bの上面91が、キャップ本体40Bの上面44に対して傾斜する平面となる板状に形成されている。上面91には、第1の溝45に連通する第3の溝92が形成されている。第3の溝92の幅及び深さは、一例として、第1の溝45の幅及び深さと同じである。
【0073】
レバー70Bは、レバー本体71B、レバー本体71Bに設けられた軸部73、支持部74、及びレバー本体71Bに形成された、噴射ボタン50を押し込み可能な突起72を有している。
レバー本体71Bは、第1の溝45に配置可能な第1の部分93、及び、第1の部分93に対して、第3の回動軸L3回りに所定角度の範囲で回動可能な第2の部分94を有している。
【0074】
第1の部分93は、板状に形成されている。なお、第1の部分93は、第1の実施形態の噴射装置10のレバー本体71と同じ厚み、及び幅を有している。突起72は、第1の部分93の一方の主面93aに形成されている。
【0075】
第2の部分94は、第1の部分93に対して所定の角度範囲で回動することにより、図13に示すように、第3の溝92内に配置される姿勢、及び、図14に示すように、第3の溝92の底面92aに対して隙間S5を有する姿勢に変位可能となる。
【0076】
ここで、第1の部分93に対して第2の部分94を所定の角度範囲で回動可能とする回動構造95について、説明する。本実施形態では、回動構造95は、レバー本体71Bに形成された溝96により構成される。溝96は、第1の部分93の幅方向に平行に延びている。溝96は、レバー本体71において、突起72が形成される主面に形成されている。このように、レバー本体71Bに対して溝96を形成することによって、レバー本体71Bに薄肉部を形成する。この薄肉部がヒンジとして機能することにより、第2の部分94は第1の部分93に対して回動可能となる。
【0077】
第1の部分93の、第2の部分94側の端面97、及び第2の部分94の、第1の部分93側の端面98は、図14中の範囲F14に拡大して示すように、互いに面接触することにより、レバー本体71Bを屈曲した形状に維持する。
【0078】
隙間S5は、ステム22が初期位置P0から噴射位置P1まで移動可能となる隙間に設定されている。
【0079】
このように構成された噴射装置10Bでは、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、噴射装置10Bの使用可能な状態では、レバー本体71Bが屈曲することにより、使用者がレバー本体71Bの第2の部分94、及び取っ手90Bを片手で握ることが可能となるので、噴射装置10Bの使用勝手が向上する。さらに、てこの原理が働き、本発明の第2の実施形態と比較しても、より弱い力で、なおかつ握るという力の掛けやすい動作で、噴霧することが可能となる。
【0080】
取っ手90Bが、胴部41の開口43に対して、胴部41の中心線回りに180度ずれた位置に形成されているので、使用者は、取っ手90B及び第2の部分94を握ることにより、開口43を噴射対象に向けた姿勢とすることができるので、噴射装置10Bの使い勝手が向上する。
【0081】
なお、本実施形態では、回動構造95として、溝96により形成されたヒンジ部(薄肉部)が用いられた。他の例としては、第2の部分94が第1の部分93に対して別部品として形成され、第2の部分94が、ヒンジにより第1の部分93に連結されてもよい。
【0082】
次に、本発明の第4の実施形態に係る噴射装置10Cを、図15乃至図19を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
図15は、突起72が第2の溝47の底壁部49に当接するまで押し込まれた状態の噴射装置10Cのキャップ30、及びその周辺を示す断面図である。図15は、噴射装置10を、ステム22の中心線に沿う断面に沿って切断した状態を示している。図16は、レバー70の後述する溝101に、キャップ本体40の後述する突起102が係合した状態にあるキャップ30、及びその周辺を示す断面図である。
【0084】
図15に示すように、噴射装置10Cは、エアゾール容器20、及びキャップ30Cを有している。キャップ30Cは、キャップ本体40、噴射ボタン50、軸部材60、及びレバー70、及び、固定構造100を有している。
固定構造100は、レバー70を、ステム22を噴射位置P1に固定可能に構成されている。固定構造100は、レバー70に形成された溝101、及びキャップ本体40に形成され、溝101が係合可能な突起102を有している。
【0085】
本実施形態では、溝101は、一例として、図15に示すように突起72の長手方向一端の端面103において、突起72の先端面77の近傍の部分に形成されている。
【0086】
図16に示すように、溝101の底面104は、溝101に突起102が係合した状態において、レバー70が第2の回動軸L2回りに持ち上げる方向に回動しようとしたときに、突起102に面接触することにより突起102との係合が解除されることを防止する面に係止されている。底面104は、溝101が突起102に係合した状態において上下方向に直交する平面、または、上下方向に略直交する平面に形成されている。
【0087】
突起102は、一例として、第2の溝47の底壁部49の、胴部41の径方向に沿って内側となる先端部である。本実施形態では、底壁部49は、胴部41の内周面に対して胴部41の径方向内側に、突起102を構成する先端部が溝101に係合可能となる程度突出することにより構成されている。
【0088】
突起102の下面105は、溝101に突起102が係合した状態からレバー70が上方に持ち上げられようとすると、溝101の底面104に面接触する面に形成されている。下面105は、具体的には、上下方向に直交する平面に形成されている。上面107は、突起102が溝101に係合しやすくする為に、胴部41の中心側に向かって漸次下がる、上下方向に対して傾斜する、傾斜平面に形成されている。または、上面107は、胴部41の中心側に向かって漸次下がる曲面に形成されてもよい。
【0089】
本実施形態の噴射装置10Cによれば、使用者は、噴射装置10Cを廃棄する前に容器本体21の内容物を全て排出する場合は、レバー70を、溝101に突起102が係合するまで押し込む。
【0090】
キャップ30が樹脂で形成されることから、ステム22が噴射位置P1にある状態からレバー70をさらに押し込むと、レバー70の突起72が変形するなどして、レバー70を、突起72の先端面77が底壁部49に接触した位置から、溝101に突起102が係合する位置まで、押し込むことが可能となる。すなわち、ステム22の位置は、噴射位置P1に維持されたたま、レバー70のみがさらに押し込まれる。
【0091】
溝101に突起102が係合することにより、使用者がレバー70から手を離しても、ステム22は噴射位置P1に維持される。ステム22が噴射位置P1に維持されるので、使用者は、容器本体21内の内容物を全て排出する際に、レバー70を押し続ける必要がない。
【0092】
このように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、使用者は、容器本体21の内容物を全て排出する際にはレバー70を押し込むことによって溝101を突起102に係合させるだけでよいので、簡単に、内容物を排出することができる。
【0093】
さらに、ステム22を噴射位置P1に維持する維持構造を、レバー70に形成された溝101、及びキャップ本体40に形成された突起102により構成することにより、固定構造を、複雑な形状、及び、複雑な操作を必要としない構造に構成することができる。
【0094】
溝101の底面104は、溝101が突起102に係合した状態において上下方向に直交する平面または略直交する平面に形成された。そして、突起102として機能する第2の溝47の底壁部49の先端部の下面105は、上下方向に直交する平面に形成された。
【0095】
この為、底面104及び下面105は、溝101が突起102に係合した状態からこの係合を解除すべくレバー70を上方に持ち上げようとするときにレバー70が移動しようとする方向に対して直交する平面となる。この為、係合は、解除されにくくなる。
【0096】
なお、底面104は、溝101が突起102に係合したときに上下方向に直交する平面または略直交する平面であることに限定されない。さらに、下面105は、上下方向に直交する平面であるとことに限定されない。
【0097】
例えば、図17に示す変形例のように、底面104及び下面105は、溝101及び突起102の係合を比較的小さな力で解除可能とする為に、上下方向に対して傾斜する傾斜面に形成されてもよい。
【0098】
底面104は、具体的には、溝101が突起102に係合した状態において、底面104の胴部41の径方向の内端104aが、外端104bよりも上方に位置する、上下方向に対して傾斜する傾斜面に形成されてもよい。下面105は、胴部41の径方向の内端105aが外端105bよりも上方に位置する、上下方向に対して傾斜する傾斜面に形成されてもよい。
【0099】
このように、底面104が、溝101及び突起102が係合した状態において上下方向に対して傾斜する平面に形成され、かつ、下面105が上下方向に対して傾斜する平面に形成されることにより、溝101が突起102に係合した状態から、レバー70を上方に持ち上げると、比較的小さい力で、係合状態を解除することができる。
【0100】
この変形例によれば、使用者は、容器本体21より内容物を長時間噴射させる場合は、溝101を突起102に係合させることができる。すなわち、溝101を突起102に係合することにより、レバー70を押し込む操作をすることなく、噴射状態を維持することができる。そして、使用者は、噴射を停止する場合は、レバー70を上方に持ち上げる。レバー70が持ち上げられることにより、溝101及び突起102の係合が解除される。
【0101】
さらに、図17に示す噴射装置10Cの更なる変形例として、図18に示す変形例のように、突起102との係合が解除し難い深さを有する溝に形成された、排出用溝106がさらに形成されてもよい。排出用溝106は、レバー70の突起72の長手方向の端面103において、溝101よりも一方の主面75a側の位置に形成されている。
【0102】
溝101の深さaは、突起72の端面103の先端部103aからの深さである。下端103aは、図18に示すように、レバー70を押し下げる際には、下端となる。レバー70を下げたときに、突起102に当接する。深さaは、突起102が略嵌まる深さを有している。突起102が溝101に係合した状態では、先端部103a及び胴部41の内周面の間には、隙間が形成される。
排出用溝106の深さbは、溝101の深さaよりも深い。排出用溝106の深さは、端面103において、溝101及び排出用溝106の間の面部103bの深さである。突起102を含む底壁部49の、胴部41の内周面に対する高さ、すなわち、底壁部49の胴部41の径方向に沿う長さは、bである。この為、突起102が排出用溝106に係合する状態では、面部103bは、胴部41の内周面に当接する。排出用溝106の深さbが、溝101の深さaよりも深いことにより、排出用溝106及び突起102の係合は、解除しにくくなる。なお、排出用溝106の形状は、突起102が係合可能となる形状であればよい。排出用溝106は、本変形例では、一例として、図17に示す変形例の溝101の底面104aと同様の底面106cを有する。なお、排出用溝106の底面106cは、図16に示す変形例のように、上下方向に直交する平面であってもよい。
【0103】
この変形例では、使用者は、連続噴射状態を維持する場合は、溝101を突起102に係合させる。図17に示す変形例の通り、底面104及び下面105が傾斜する面に形成されることより、溝101及び突起102の係合は比較的解除しやすい。そして、使用者は、噴射装置10Bを廃棄する前に容器本体21の内容物を排出する場合は、レバー70をさらに押し込むことにより、排出用溝106に、突起102を含む底壁部49全体が係合する。すなわち、噴射状態の解除が不要な場合には、突起102を排出用溝106に係合させることにより、不意に係合が解除されて噴射が停止されることを防止することができる。
【0104】
さらに、図18に示す排出用溝106を有するレバー70の更なる変形例として、排出用溝106は、排出用溝106及び突起102が係合した状態においてレバー70を第2の回動軸L2回りに回動することにより持ち上げようとするときにレバー70が移動しようとする方向に直交する面を有し、この面により、突起102に面接触してもよい。
【0105】
この変形例では、図19に示すように、胴部41の縁が突起102として機能する。突起102は、断面矩形状に形成されている。すなわち、胴部41の内側の縁の角部102aは、90度に形成され、外側の縁の角部102bは、90度に形成されている。
【0106】
レバー本体71の端面103は、曲面に形成されている。突起102は、レバー本体71の押し込み量を規制する規制部としても機能する。すなわち、レバー本体71が、突起102に当接するまで押し込まれると、ステム22が噴射位置P1まで押し込まれる。
【0107】
溝101の内面101aは、図19の範囲F19aに拡大して示すように、突起102に係合したときに、突起102の角部102aまたは角部102bが当接する。本実施形態では、内面101aは、図19に示すように、断面が三角形状に形成されている。溝101の断面形状が三角形状であることから、突起102の角部102a及び角部102bの少なくとも一方が、溝101の内面101aに当接する。
【0108】
排出用溝106は、突起102が嵌まる形状、または略嵌まる形状に形成されている。排出用溝106の内面106aにおいて、レバー70を持ち上げようとするときに、突起102に押し付けられる面部106bは、突起102に対してレバー70が移動しようとする方向に直交する面に形成されている。
【0109】
換言すると、レバー本体71の端面103は、排出用溝106に突起102が係合した状態において、面部106bが直交する面となる曲面に形成されている。面部106bは、突起102の内側面、すなわち、胴部41の内周面に面接触する面に形成されている。なお、胴部41の内周面は曲面であるが、突起102の内周面は、平面に形成されてもよい。この場合、面部106も平面に形成される。突起102の内周面が曲面である場合は、面部106も曲面に形成される。
【0110】
このように、溝101の内面101aに突起102の角部102a及び角部102bの少なくとも一方が当接することにより、溝101及び突起102が係合されるので、溝101及び突起102の係合は、比較的小さい力で解除可能となる。
【0111】
さらに、排出用溝106内に突起102が嵌合し、さらに、面部106b及び突起102が、レバー本体71の移動しようとする方向に直交する面であって互いに面接触するので、排出用溝106及び突起102の係合を解除し難くなる。
【0112】
なお、第4の実施形態では、レバー本体71に形成される第1の係合部の一例として溝101が形成され、キャップ本体40に形成され、第1の係合部と係合する第2の係合部の一例として、突起102が形成された。第1の係合部、及び第2の係合部の他の例としては、レバー本体71に第1の係合部として突起が形成され、キャップ本体40に第2の係合部として、第1の係合部が係合可能な溝が形成されてもよい。
【0113】
要するに、第1の係合部、及び第2の係合部は、互いに係合することにより、噴射状態を維持可能に形成されればよい。
【0114】
なお、第1乃至第4の実施形態では、突起72は、長板状に形成され、突起72が挿通する孔として、第2の溝47が形成された。しかしながら、突起72は、長板状であることに限定されない。他の例では、円柱などの柱状に形成されてもよい。この場合、突起72が挿通する孔としては、溝形状ではなく、突起72が挿通可能な孔であってもよい。
【0115】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
容器本体、及び前記容器本体に設けられ、前記容器本体に押し込まれると前記容器本体の内容物を噴射するステムを具備するエアゾール容器に固定可能なキャップであって、
前記容器本体に固定された状態において前記ステムに固定されるボタン本体、及び前記ボタン本体に設けられたノズルを具備した噴射ボタンと、
前記容器本体に固定された状態において前記ステムを囲む胴部、及び、前記胴部の一端に形成され、前記容器本体に固定された状態において前記ステムの押し込み方向に前記ボタン本体と重なる孔が形成された端壁を具備したキャップ本体と、
前記端壁に設けられ、前記容器本体に固定された状態において前記ステムの押し込み方向と平行となる第1の回動軸回りに回動可能な軸部材と、
前記第1の回動軸に直交する第2の回動軸回りに前記軸部材に回動可能に設けられたレバー本体、及び、前記レバー本体に形成され、前記孔を通して前記ボタン本体を押し込み可能であり、かつ、前記レバー本体を前記第2の回動軸回りに前記孔から離れる方向に回転すると前記孔から出るレバー用突起を具備したレバーと、
を具備したキャップ。
[2]
前記レバー本体は、長板状に形成され、
前記レバー用突起は、前記レバー本体の長手方向に延びる長板状に形成される
[1]に記載のキャップ。
[3]
前記胴部の外面に形成された取っ手を具備する
[1]に記載のキャップ。
[4]
前記端壁の外面には、前記レバー本体の他方の主面が前記端壁の前記外面に対向する状態において前記レバー本体の少なくとも一部を配置する溝が形成される
[1]に記載のキャップ。
[5]
前記レバーに形成された第1の係合部と、
前記キャップ本体に形成され、前記レバー用突起が前記ボタン本体を押し込んだ状態において前記第1の係合部と係合する第2の係合部と、
を具備した[1]に記載のキャップ。
[6]
前記第1の係合部は、前記レバー用突起に形成された溝であり、
前記第2の係合部は、前記孔に係合可能な、前記胴部に形成された突起である
[5]に記載のキャップ。
[7]
容器本体、及び前記容器本体に設けられ、前記容器本体に押し込まれると前記容器本体の内容物を噴射するステムを具備したエアゾール容器と、
前記容器本体に固定されたキャップと、
を具備し、
前記キャップは、
前記ステムに固定されたボタン本体、及び前記ボタン本体に設けられたノズルを具備した噴射ボタンと、
前記ステムを囲む胴部、及び、前記胴部の一端に形成され、前記ステムの押し込み方向に前記ボタン本体と重なる孔が形成された端壁を具備したキャップ本体と、
前記端壁に設けられ、前記ステムの押し込み方向と平行となる第1の回動軸回りに回動可能な軸部材と、
前記第1の回動軸に直交する第2の回動軸回りに前記軸部材に回動可能に設けられたレバー本体、及び、前記レバー本体に形成され、前記孔を通して前記ボタン本体を押し込み可能であり、かつ、前記レバー本体を前記第2の回動軸回りに前記孔から離れる方向に回転すると前記孔から出るレバー用突起を具備したレバーと、
を具備した噴射装置。
【符号の説明】
【0116】
10…噴射装置、10A…噴射装置、10B…噴射装置、10C…噴射装置、20…エアゾール容器、21…容器本体、22…ステム、30…キャップ、30A…キャップ、30B…キャップ、30C…キャップ、40…キャップ本体、40A…キャップ本体、40B…キャップ本体、41…胴部、42…上壁部(端壁)、45…第1の溝(溝)、47…第2の溝(孔)、50…噴射ボタン、51…ボタン本体、52…ノズル、60…軸部材、70…レバー、71…レバー本体、71B…レバー本体、72…突起(レバー用突起)、90…取っ手、101…溝(第1の係合部)、102…突起(第2の係合部)、L1…第1の回動軸、L2…第2の回動軸。
図1
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