特許第6957331号(P6957331)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957331
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】基板作業装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20211021BHJP
   B65G 43/02 20060101ALI20211021BHJP
   B65G 23/44 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   H05K13/02 U
   B65G43/02 Z
   B65G23/44
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-234545(P2017-234545)
(22)【出願日】2017年12月6日
(65)【公開番号】特開2019-102731(P2019-102731A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 謙
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−041864(JP,A)
【文献】 特開2000−275124(JP,A)
【文献】 特開2014−075510(JP,A)
【文献】 特開2008−026191(JP,A)
【文献】 特開2009−117433(JP,A)
【文献】 特開2017−117889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
B65G 43/02
B65G 23/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が実装される基板に作業を行う基板作業装置であって、
搬送対象物を搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの張力の状態を、前記搬送ベルトを上方または下方から押して押込方向に変形させてまたは前記搬送ベルトを上方へ引いて引張方向に変形させて測定するための張力状態測定部と、
前記張力状態測定部により前記搬送ベルトを前記押込方向または前記引張方向に変形させたことに基づいて取得される測定値に基づいて、前記搬送ベルトの張力の状態を判断する制御部と、
前記部品を前記基板に実装するヘッドユニットと、を備え
前記ヘッドユニットは、複数のヘッドを含み、
前記ヘッドは、前記張力状態測定部を兼ねる、基板作業装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記搬送ベルトが駆動されていない状態において、前記張力状態測定部により前記搬送ベルトを前記押込方向に変形させたことに基づいて取得される前記測定値としての電流値、または、前記張力状態測定部により前記搬送ベルトを前記引張方向に変形させたことに基づいて取得される前記測定値としての圧力値に基づいて、前記搬送ベルトの張力の状態を判断するように構成されている、請求項1に記載の基板作業装置。
【請求項3】
前記張力状態測定部としての前記ヘッドは、駆動モータにより上下方向に移動されるように構成されており
前記制御部は、前記ヘッドを下降させることにより、前記ヘッドにより前記搬送ベルトを前記押込方向に変形させた際における、前記駆動モータの電流値に基づいて、前記搬送ベルトの張力の状態を判断するように構成されている、請求項2に記載の基板作業装置。
【請求項4】
前記張力状態測定部としての前記ヘッドは、駆動モータにより上下方向に移動されるように構成され、負圧供給部からの負圧により前記部品を吸着するように構成されており
前記制御部は、前記ヘッドにより前記搬送ベルトを吸着した状態で前記ヘッドを上昇させることにより、前記ヘッドにより前記搬送ベルトを前記引張方向に変形させつつ、前記搬送ベルトの張力により前記ヘッドによる前記搬送ベルトの吸着が解除された際における、前記ヘッドの吸着用の圧力値の変化に基づいて、前記搬送ベルトの張力の状態を判断するように構成されている、請求項2に記載の基板作業装置。
【請求項5】
前記搬送ベルトの張力を調整する張力調整部をさらに備え、
前記制御部は、前記測定値に基づいて、前記張力調整部に前記搬送ベルトの張力を調整させる制御を行うように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記張力調整部による前記搬送ベルトの張力の調整後、前記張力状態測定部に前記搬送ベルトの張力の状態を再び測定させる制御を行うように構成されている、請求項に記載の基板作業装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記張力調整部による前記搬送ベルトの張力の調整ができなかったと判断され、かつ、前記搬送ベルトを駆動する駆動モータの積算回転数が規定値以上である場合、作業者に前記搬送ベルトの交換を通知する制御を行い、前記張力調整部による前記搬送ベルトの張力の調整ができなかったと判断され、かつ、前記駆動モータの積算回転数が前記規定値未満である場合、前記作業者に前記搬送ベルトの異常を通知する制御を行うように構成されている、請求項またはに記載の基板作業装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記基板の生産切替時、生産開始時、または、生産終了時に、前記張力状態測定部に前記搬送ベルトの張力の状態を測定させる制御を行うように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項9】
前記搬送ベルトは、歯付きベルトである、請求項1〜のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板作業装置に関し、特に、搬送ベルトを備える基板作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送ベルトを備える基板作業装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、回路基板に電子部品を実装する実装機(基板作業装置)が開示されている。この実装機には、回路基板を搬送するコンベアベルト(搬送ベルト)の張力を自動的に監視する張力監視装置が設けられている。初期伸びや経年劣化によりコンベアベルトが弛んだ場合、このコンベアベルトの弛みを調整するためである。この張力監視装置は、コンベアベルトの張力を測定する張力センサを備える。この特許文献1では、張力センサとして、たとえば、超音波を用いた非接触式のセンサや接触子を用いてコンベアベルトの振動数を測定するものが開示されている。これらの張力センサは、コンベアベルトを振動させてコンベアベルトの張力を測定すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−41864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の張力センサのように、超音波や接触子を用いてコンベアベルトの張力を測定する場合、コンベアベルトを振動させなければ、コンベアベルトの張力を測定して張力の状態を判断することができないという問題点がある。また、超音波を用いた非接触式の張力センサや、接触子を用いてコンベアベルトの振動数を測定する張力センサが必要であり、張力センサの準備等のためにコストが掛かるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、搬送ベルトを振動させなくても、搬送ベルトの張力の状態を測定して判断することが可能な基板作業装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面による基板作業装置は、部品が実装される基板に作業を行う基板作業装置であって、搬送対象物を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトの張力の状態を、搬送ベルトを上方または下方から押して押込方向に変形させてまたは搬送ベルトを上方へ引いて引張方向に変形させて測定するための張力状態測定部と、張力状態測定部により搬送ベルトを押込方向または引張方向に変形させたことに基づいて取得される測定値に基づいて、搬送ベルトの張力の状態を判断する制御部と、部品を基板に実装するヘッドユニットと、を備え、ヘッドユニットは、複数のヘッドを含み、ヘッドは、張力状態測定部を兼ねる。
【0008】
この発明の一の局面による基板作業装置では、上記のように、搬送ベルトの張力の状態を、搬送ベルトを上方または下方から押して押込方向に変形させてまたは搬送ベルトを上方へ引いて引張方向に変形させて測定するための張力状態測定部と、張力状態測定部により搬送ベルトを押込方向または引張方向に変形させたことに基づいて取得される測定値に基づいて、搬送ベルトの張力の状態を判断する制御部と、を設ける。これにより、単に張力状態測定部により搬送ベルトを押込方向または引張方向に変形させるだけで、測定値を取得し、搬送ベルトの張力の状態を判断することができる。その結果、搬送ベルトを振動させなくても、搬送ベルトの張力の状態を測定して判断することができる。また、超音波を用いた非接触式の張力センサや、接触子を用いてコンベアベルトの振動数を測定する張力センサが不要であり、張力センサの準備等のためにコストが掛かることを防止することができる。また、判断された搬送ベルトの張力の状態に基づいて、搬送ベルトの張力を調整することができるので、搬送ベルトの張力の低下(搬送ベルトの弛み)に起因して、搬送ベルトが外れるなどの不具合が生じることを予防することができる。
【0009】
上記一の局面による基板作業装置において、好ましくは、制御部は、搬送ベルトが駆動されていない状態において、張力状態測定部により搬送ベルトを押込方向に変形させたことに基づいて取得される測定値としての電流値、または、張力状態測定部により搬送ベルトを引張方向に変形させたことに基づいて取得される測定値としての圧力値に基づいて、搬送ベルトの張力の状態を判断するように構成されている。このように構成すれば、電流値または圧力値に基づいて、搬送ベルトの張力の状態を容易に判断することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、張力状態測定部としてのヘッドは、駆動モータにより上下方向に移動されるように構成されており、制御部は、ヘッドを下降させることにより、ヘッドにより搬送ベルトを押込方向に変形させた際における、駆動モータの電流値に基づいて、搬送ベルトの張力の状態を判断するように構成されている。このように構成すれば、既存のヘッドおよびこのヘッドを駆動する既存の駆動モータを兼用して、搬送ベルトの張力の状態を測定して判断することができるので、専用の張力センサを別途設ける必要がない。その結果、搬送ベルトの張力の状態を測定するための構成の増加およびこの構成の増加に伴う構成の複雑化を抑制しつつ、搬送ベルトの張力の状態を容易に測定して判断することができる。
【0011】
上記圧力値に基づいて搬送ベルトの張力の状態を判断する構成において、好ましくは、張力状態測定部としてのヘッドは、駆動モータにより上下方向に移動されるように構成され、負圧供給部からの負圧により部品を吸着するように構成されており、制御部は、ヘッドにより搬送ベルトを吸着した状態でヘッドを上昇させることにより、ヘッドにより搬送ベルトを引張方向に変形させつつ、搬送ベルトの張力によりヘッドによる搬送ベルトの吸着が解除された際における、ヘッドの吸着用の圧力値の変化に基づいて、搬送ベルトの張力の状態を判断するように構成されている。このように構成すれば、既存のヘッド、このヘッドを駆動する既存の駆動モータおよび既存の負圧供給部を兼用して、搬送ベルトの張力の状態を測定して判断することができるので、専用の張力センサを別途設ける必要がない。その結果、搬送ベルトの張力の状態を測定するための構成の増加およびこの構成の増加に伴う構成の複雑化を抑制しつつ、搬送ベルトの張力の状態を容易に測定して判断することができる。
【0013】
上記一の局面による基板作業装置において、好ましくは、搬送ベルトの張力を調整する張力調整部をさらに備え、制御部は、測定値に基づいて、張力調整部に搬送ベルトの張力を調整させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、張力調整部に搬送ベルトの張力を自動で調整させることができる。その結果、作業者が搬送ベルトの張力を調整するための器具を揃えて、搬送ベルトの張力を調整するという煩雑な手間を省くことができる。また、作業者が搬送ベルトの張力を調整する場合と異なり、搬送ベルトの張力の調整をする際、基板作業装置を停止させる必要がない。その結果、基板作業装置を停止可能なタイミング以外のタイミングにおいても、搬送ベルトの張力を調整することができる。これにより、搬送ベルトの調整タイミングの設定の自由度を向上させることができる。
【0014】
この場合、好ましくは、制御部は、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整後、張力状態測定部に搬送ベルトの張力の状態を再び測定させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整後に、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整ができたか否かを確認することができる。その結果、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整ができなかったことを迅速に確認することができる。これにより、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整ができなかったことに対する次の動作(搬送ベルトの異常の通知など)を迅速に行うことができる。
【0015】
上記張力調整部をさらに備える構成において、好ましくは、制御部は、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整ができなかったと判断され、かつ、搬送ベルトを駆動する駆動モータの積算回転数が規定値以上である場合、作業者に搬送ベルトの交換を通知する制御を行い、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整ができなかったと判断され、かつ、駆動モータの積算回転数が規定値未満である場合、作業者に搬送ベルトの異常を通知する制御を行うように構成されている。このように、制御部を、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整ができなかったと判断され、かつ、搬送ベルトを駆動する駆動モータの積算回転数が規定値以上である場合、作業者に搬送ベルトの交換を通知する制御を行うように構成すれば、搬送ベルトの継時的な劣化によりこれ以上搬送ベルトの張力を調整できない場合に、作業者に搬送ベルトの交換を通知することができる。これにより、作業者は、搬送ベルトを交換すべきタイミングにおいて、搬送ベルトを交換すべきことを知ることができる。また、制御部を、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整ができなかったと判断され、かつ、駆動モータの積算回転数が規定値未満である場合、作業者に搬送ベルトの異常を通知する制御を行うように構成すれば、搬送ベルトの継時的な劣化がそれ程進行していないにもかかわらず搬送ベルトの張力を調整できない場合に、作業者に搬送ベルトの異常を通知することができる。これにより、作業者は、異物の付着などの搬送ベルトの異常が疑われるタイミングにおいて、搬送ベルトの異常を確認すべきことを知ることができる。
【0016】
上記一の局面による基板作業装置において、好ましくは、制御部は、基板の生産切替時、生産開始時、または、生産終了時に、張力状態測定部に搬送ベルトの張力の状態を測定させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、基板の生産途中に張力状態測定部に搬送ベルトの張力の状態を測定させる場合と異なり、基板の生産を中断することがない。その結果、搬送ベルトの張力の測定のために基板の生産に要する時間が増加することを効果的に抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による基板作業装置において、好ましくは、搬送ベルトは、歯付きベルトである。このように構成すれば、張力状態測定部により搬送ベルトを押込方向または引張方向に変形させた際、歯付きベルトの歯により、歯付きベルトとしての搬送ベルトが滑ることを抑制することができる。その結果、搬送ベルトが測定時に滑ることに起因して測定精度が低下することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、搬送ベルトを振動させなくても、搬送ベルトの張力の状態を測定して判断することが可能な基板作業装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1および第2実施形態の基板作業装置を示す模式的な平面図である。
図2】第1および第2実施形態の基板作業装置の制御的な構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態の基板作業装置のヘッドおよび搬送部を示す模式的な側面図である。
図4】第1実施形態の基板作業装置による搬送ベルトの張力の状態の測定動作を説明するための図である。
図5】第1実施形態の基板作業装置による搬送ベルトの張力の状態の測定動作の基準値および測定値を説明するための図である。
図6】第1実施形態の基板作業装置による搬送ベルトの張力の状態の測定値に基づく判断を説明するための図である。
図7】第1実施形態の基板作業装置の張力調整部を説明するための模式的な図である。
図8】第1実施形態の基板作業装置による搬送ベルトの張力の調整動作を説明するための図である。
図9】第1実施形態の基板作業装置による張力状態測定処理を説明するためのフローチャートである。
図10】第2実施形態の基板作業装置による搬送ベルトの張力の状態の測定動作を説明するための図である。
図11】第2実施形態の基板作業装置による搬送ベルトの張力の状態の測定動作の基準値および測定値を説明するための図である。
図12参考例の基板作業装置の張力状態測定部および搬送部を示す模式的な側面図である。
図13参考例の基板作業装置による搬送ベルトの張力の状態の測定動作を説明するための図である。
図14】第1および実施形態の変形例の基板作業装置による歯付きベルトを示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1図8を参照して、本発明の一実施形態による基板作業装置100の構成について説明する。なお、以下の説明では、基板搬送方向に沿う方向をX方向とし、水平面内でX方向と直交する方向をY方向とし、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向とする。
【0022】
(基板作業装置の構成)
基板作業装置100は、図1図3に示すように、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、プリント基板などの基板Pに実装する装置である。
【0023】
基板作業装置100は、基台1と、搬送部2と、ヘッドユニット3と、ヘッド水平移動機構部4と、部品撮像部5と、基板撮像部6と、制御部7(図2参照)とを備える。
【0024】
基台1は、基板作業装置100において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1上には、搬送部2、レール部42および部品撮像部5が設けられている。また、基台1内には、制御部7が設けられている。また、基台1には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、部品供給部11がそれぞれ配置されている。
【0025】
部品供給部11は、基板Pに実装される部品Eを供給する装置である。部品供給部11は、複数のテープフィーダ12およびトレイフィーダ13を含む。テープフィーダ12は、複数の部品Eを保持した部品供給テープ(図示せず)が巻き回されたリール(図示せず)を保持している。また、テープフィーダ12は、ヘッドユニット3による部品Eの取出しのための部品保持動作に応じて、保持されたリールを回転させて部品供給テープを送り出すことにより、部品Eを供給するように構成されている。トレイフィーダ13は、複数の部品Eを保持したトレイ13aを複数保持している。トレイフィーダ13は、トレイ13aを一対の搬送ベルト13bにより基台1上に搬送して供給することにより、部品Eを供給するように構成されている。なお、トレイ13aは、特許請求の範囲の「搬送対象物」の一例である。
【0026】
搬送部2は、実装前の基板Pを搬入し、基板搬送方向(X方向)に搬送し、実装後の基板Pを搬出するように構成されている。また、搬送部2は、搬入された基板Pを実装停止位置Aまで搬送するとともに、実装停止位置Aにおいて基板固定機構(図示せず)により固定するように構成されている。また、搬送部2は、一対の搬送ベルト21を含み、一対の搬送ベルト21により、搬送ベルト21上の基板Pを基板搬送方向に搬送するように構成されている。なお、搬送部2は、基板Pだけでなく、複数の基板Pを保持したパレット(図示せず)を搬送してもよい。また、基板Pおよびパレットは、特許請求の範囲の「搬送対象物」の一例である。
【0027】
図3に示すように、搬送ベルト21は、樹脂製またはゴム製の輪状の平ベルトである。搬送ベルト21は、複数(6つ)のプーリ22に掛け回されている。プーリ22は、駆動プーリ23を含む。駆動プーリ23は、搬送ベルト21を駆動するためのプーリである。駆動プーリ23は、駆動プーリ23の回転軸部24を介して、駆動プーリ23を回転させるための駆動モータ25に接続されている。
【0028】
搬送ベルト21の上側部分21aは、ベルト支持部材26により下側(Z2方向側)から支持されている。搬送ベルト21の上側部分21aは、基板Pが上側(Z1方向側)に載置される基板Pの載置部分である。ベルト支持部材26により搬送ベルト21を支持することにより、基板Pを安定して搬送可能である。ベルト支持部材26は、板状形状に形成されている。ベルト支持部材26は、搬送ベルト21の上側部分21aのX方向の一端の近傍に対応する位置から、搬送ベルト21の上側部分21aのX方向の他端の近傍に対応する位置まで形成されている。なお、図3では、Y1方向側の搬送ベルト21を示している。
【0029】
図1および図2に示すように、ヘッドユニット3は、部品実装用のヘッドユニットである。ヘッドユニット3は、実装停止位置Aにおいて固定された基板Pに部品Eを実装する。ヘッドユニット3は、複数(5つ)のヘッド(実装ヘッド)31を含む。ヘッド31の先端には、部品Eを保持(吸着)するためのノズル(吸着ノズル)31aが着脱可能に装着されている。ヘッド31は、負圧供給部100aからの負圧により、ノズル31aに部品Eを保持(吸着)可能に構成されている。
【0030】
また、ヘッドユニット3は、ヘッド31を上下方向(Z方向)に移動させるZ軸モータ32(図2参照)と、ヘッド31をZ方向に延びる回転軸線回りに回転させるR軸モータ33(図2参照)とを含む。ヘッド31は、Z軸モータ32により、部品Eを保持する際かまたは保持された部品Eを実装する際の下降位置と、保持された部品Eを基板Pに搬送する際の上昇位置との間で、上下方向に移動可能に構成されている。また、ヘッド31は、部品Eを保持した状態でR軸モータ33により回転されることにより、保持している部品Eの向きを調整可能に構成されている。なお、Z軸モータ32は、特許請求の範囲の「駆動モータ」の一例である。
【0031】
ヘッド水平移動機構部4は、ヘッドユニット3を水平方向(X方向およびY方向)に移動させるように構成されている。ヘッド水平移動機構部4は、ヘッドユニット3を基板搬送方向(X方向)に移動可能に支持する支持部41と、支持部41をY方向に移動可能に支持するレール部42とを含む。支持部41は、基板搬送方向に延びるボールねじ軸41aと、ボールねじ軸41aを回転させるX軸モータ41bとを有する。ヘッドユニット3には、支持部41のボールねじ軸41aと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット3は、X軸モータ41bによりボールねじ軸41aが回転されることにより、ボールねじ軸41aと係合するボールナットとともに、支持部41に沿って基板搬送方向に移動可能に構成されている。
【0032】
レール部42は、支持部41のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する一対のガイドレール42aと、Y方向に延びるボールねじ軸42bと、ボールねじ軸42bを回転させるY軸モータ42cとを有する。支持部41には、レール部42のボールねじ軸42bと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。支持部41は、Y軸モータ42cによりボールねじ軸42bが回転されることにより、ボールねじ軸42bと係合するボールナットとともに、レール部42の一対のガイドレール42aに沿ってY方向に移動可能に構成されている。
【0033】
ヘッド水平移動機構部4の支持部41およびレール部42により、ヘッドユニット3は、基台1上を水平方向に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット3のヘッド31は、部品供給部11の上方に移動して、部品供給部11から供給される部品Eを保持(吸着)可能である。また、ヘッドユニット3のヘッド31は、実装停止位置Aにおいて固定された基板Pの上方に移動して、保持(吸着)された部品Eを基板Pに実装可能である。
【0034】
部品撮像部5は、部品認識用のカメラである。部品撮像部5は、ヘッドユニット3のヘッド31による部品Eの基板Pへの搬送中に、ヘッド31のノズル31aに保持(吸着)された部品Eを撮像する。部品撮像部5は、基台1の上面上に固定されており、部品Eの下側(Z2方向側)から、ヘッド31のノズル31aに保持(吸着)された部品Eを撮像する。部品撮像部5による部品Eの撮像画像に基づいて、制御部7は、部品Eの保持状態(回転姿勢およびヘッド31に対する保持位置)を取得(認識)する。
【0035】
基板撮像部6は、基板認識用のカメラである。基板撮像部6は、ヘッドユニット3のヘッド31による基板Pへの部品Eの実装開始前に、実装停止位置Aにおいて固定された基板Pにおいて、基板Pの上面に付された位置認識マーク(フィデューシャルマーク)Fを撮像する。位置認識マークFは、基板Pの位置を認識するためのマークである。基板撮像部6による位置認識マークFの撮像画像に基づいて、制御部7は、実装停止位置Aにおいて固定された基板Pの正確な位置および姿勢を取得(認識)する。
【0036】
制御部7は、基板作業装置100の動作を制御する制御回路である。制御部7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)を含む。制御部7は、搬送部2、部品供給部11、X軸モータ41bおよびY軸モータ42cなどを生産プログラムに従って制御することにより、ヘッドユニット3により基板Pに部品Eを実装させる制御を行うように構成されている。
【0037】
(搬送ベルトの張力の状態の測定)
ここで、第1実施形態では、図3および図4に示すように、制御部7は、張力状態測定部8としてのヘッド31により搬送ベルト21を上方(Z1方向側)から押して押込方向(Z2方向)に変形させたことに基づいて取得される測定値に基づいて、搬送ベルト21の張力の状態を判断するように構成されている。制御部7は、基板Pの生産切替時、生産開始時、または、生産終了時に、張力状態測定部8としてのヘッド31に搬送ベルト21の張力の状態を測定させる制御を行うように構成されている。また、制御部7は、搬送ベルト21上に基板Pが残存しておらず、かつ、搬送ベルト21が駆動されていない(停止された)状態において、張力状態測定部8としてのヘッド31に搬送ベルト21の張力の状態を測定させる制御を行うように構成されている。
【0038】
第1実施形態では、ヘッド31は、搬送ベルト21の張力の状態を、搬送ベルト21を上方(Z1方向側)から押して押込方向(Z2方向)に変形させて測定するための張力状態測定部8として構成されている。張力状態測定部8としてのヘッド31は、部品吸着用のノズル31aに代えて、張力状態測定用の測定具8aが先端に装着されている。測定具8aは、搬送ベルト21を押込可能なように、少なくとも搬送ベルト21と接触する先端部が棒状(柱状)に形成され、搬送ベルト21を極力傷付けないように、先端が曲面等に形成されている。測定具8aは、搬送ベルト21の張力状態の測定に用いられない場合には、複数種類のノズル31aと共に、基板作業装置100のノズルチェンジャ1a(図1参照)に配置されている。制御部7は、搬送ベルト21の張力の状態の測定前に、ヘッド31の先端に装着される装着具をノズル31aから測定具8aに付け替える制御を行うように構成されている。
【0039】
搬送ベルト21の張力状態測定では、制御部7は、まず、測定具8aが装着されたヘッド31を測定位置に移動させる制御を行う。測定位置は、搬送ベルト21の上方位置である。そして、制御部7は、ヘッド31を搬送ベルト21に向かって下降させる制御を行う。具体的には、制御部7は、予め決められた一定の押込量Dだけ搬送ベルト21の上側部分21aを押込方向(Z2方向)に変形させるように、ヘッド31を搬送ベルト21に向かって下降させる制御を行う。ヘッド31が搬送ベルト21に向かって下降されると、ヘッド31に装着された測定具8aが、搬送ベルト21の上側部分21aに接触する。そして、測定具8aと接触した搬送ベルト21の上側部分21aは、測定具8aにより押込方向に一定の押込量Dだけ変形される。なお、ヘッド31が搬送ベルト21の上側部分21aを押込方向に変形させることが可能なように、ベルト支持部材26には、測定用切り欠き部26aが設けられている。測定用切り欠き部26aは、実装停止位置Aよりも外側(上流側または下流側)の位置に形成されている。これにより、ベルト支持部材26に測定用切り欠き部26aを設ける場合にも、実装停止位置Aにおいては、ベルト支持部材26により基板Pを安定して支持可能である。
【0040】
そして、図5に示すように、制御部7は、測定具8aが装着されたヘッド31により搬送ベルト21を押込方向(Z2方向)に変形させた際における、ヘッド31を駆動するZ軸モータ32の電流値Iaを測定値として取得する。そして、制御部7は、測定値としてのZ軸モータ32の電流値Iaに基づいて、搬送ベルト21の張力の状態を判断する。
【0041】
具体的には、制御部7は、測定値としての電流値Iaと、基準値としての電流値Irとを比較することにより、搬送ベルト21の張力の状態を判断する。基準値としての電流値Irは、基準状態(張力の状態が正常な状態)の搬送ベルト21について予め測定されたZ軸モータ32の電流値Iaである。搬送ベルト21の張力が基準状態の搬送ベルト21の張力よりも低下している場合、測定値としての電流値Iaは、基準値としての電流値Irよりも小さくなる。また、搬送ベルト21の張力が基準状態の搬送ベルト21の張力よりも増加している場合、測定値としての電流値Iaは、基準値としての電流値Irよりも大きくなる。なお、図5および図6では、測定値としての電流値Iaが基準値としての電流値Irよりも小さい場合を示している。
【0042】
図6に示すように、制御部7は、測定値としての電流値Iaが基準値としての電流値Irに対して設定された所定のしきい値範囲内である場合、搬送ベルト21の張力の状態が正常な状態であると判断する。また、制御部7は、測定値としての電流値Iaが所定のしきい値範囲外である場合、搬送ベルト21の張力の状態が異常な状態であると判断する。測定値としての電流値Iaが所定のしきい値範囲外である場合とは、測定値としての電流値Iaが所定のしきい値範囲の上限値を上回る場合、および、測定値としての電流値Iaが所定のしきい値範囲の下限値を下回る場合を含む。
【0043】
(搬送ベルトの張力の調整)
また、本実施形態では、図3および図7に示すように、搬送ベルト21の張力を調整する張力調整部9が設けられている。張力調整部9は、輪状の搬送ベルト21の輪の外側に配置されている。張力調整部9は、搬送ベルト21の下側部分21bよりも下側(Z2方向側)に配置されている。これにより、張力調整部9を搬送ベルト21の輪の内側に配置する場合や、搬送ベルト21の上側部分21aよりも上側に配置する場合に比べて、張力調整部9を配置するスペースを容易に確保可能である。
【0044】
張力調整部9は、張力調整用のプーリ91を含む。プーリ91は、搬送ベルト21が掛け回されたプーリ22のうちの一部(1つ)である。プーリ91は、上下方向(Z方向)に移動可能に構成されている。プーリ91は、上下方向に移動して搬送ベルト21との接触状態を変化させることにより、搬送ベルト21の張力を調整可能に構成されている。具体的には、プーリ91は、上方向(Z1方向)に移動することにより、搬送ベルト21を下方(Z2方向側)から押して押込方向(Z1方向)に変形させて、搬送ベルト21の張力を増加させる。また、プーリ91は、下方向(Z2方向)に移動することにより、搬送ベルト21の押込方向への変形を弛めて、搬送ベルト21の張力を低下させる。
【0045】
また、張力調整部9は、プーリ91を上下方向に移動させるプーリ駆動機構92を含む。プーリ駆動機構92は、偏心カムとしての押し当て部材92aと、押し当て部材92aを回転させる駆動モータ92bと、押し当て部材92aと駆動モータ92bとを接続する回転軸部92cとを有する。押し当て部材92aは、プーリ91に押し当てられる部材である。押し当て部材92aは、プーリ91に押し当てられる場合、プーリ91の軸部(プーリシャフト)91aに接触する。軸部91aは、搬送ベルト21に接触するプーリ91の外輪91bを回転可能に支持する軸部である。押し当て部材92aをプーリ91の軸部91aに押し当てることにより、押し当て部材92aをプーリ91の外輪91bに押し当てる場合と異なり、押し当て部材92aによりプーリ91の外輪91bの回転が阻害されることを抑制可能である。
【0046】
図8に示すように、プーリ駆動機構92は、回転軸部92cを介して駆動モータ92bにより押し当て部材92aを回転させることにより、プーリ91を上下方向に移動させる。具体的には、プーリ駆動機構92は、押し当て部材92aを所定の方向(図8では、時計回り方向)に回転させることにより、プーリ91を上方向に移動させる。また、プーリ駆動機構92は、押し当て部材92aを所定の方向とは反対方向に回転させることにより、押し当て部材92aによるプーリ91の軸部91aへの力を弛めて、プーリ91を下方向に移動させる。
【0047】
制御部7は、測定値としての電流値Iaに基づいて、張力調整部9に搬送ベルト21の張力を調整させる制御を行うように構成されている。具体的には、制御部7は、測定値としての電流値Iaに基づいて、搬送ベルト21の張力の状態が異常な状態であると判断された場合、張力調整部9に搬送ベルト21の張力を調整させる制御を行うように構成されている。この場合、制御部7は、搬送ベルト21の張力が基準状態の搬送ベルト21の張力に近付くように、張力調整部9に搬送ベルト21の張力を調整させる制御を行うように構成されている。
【0048】
たとえば、制御部7は、搬送ベルト21の張力の状態が異常な状態であると判断され、かつ、測定値としての電流値Iaが所定のしきい値範囲の下限値を下回る場合、搬送ベルト21の張力が増加するように、張力調整部9に搬送ベルト21の張力を調整させる制御を行う。これにより、搬送ベルト21の張力が基準状態の搬送ベルト21の張力よりも過度に低下している場合、制御部7からの駆動信号に基づいて駆動モータ92bにより押し当て部材92aを図8の矢印に示した方向に回動させ、 搬送ベルト21の張力を増加させて、搬送ベルト21の張力を基準状態の搬送ベルト21の張力に近付けることが可能である。
【0049】
また、たとえば、制御部7は、搬送ベルト21の張力の状態が異常な状態であると判断され、かつ、測定値としての電流値Iaが所定のしきい値範囲の上限値を上回る場合、搬送ベルト21の張力が低下するように、張力調整部9に搬送ベルト21の張力を調整させる制御を行う。これにより、搬送ベルト21の張力が基準状態の搬送ベルト21の張力よりも過度に増加している場合、制御部7からの駆動信号に基づいて駆動モータ92bにより押し当て部材92aを図8の矢印に示した方向とは反対方向に回動させ、搬送ベルト21の張力を低下させて、搬送ベルト21の張力を基準状態の搬送ベルト21の張力に近付けることが可能である。
【0050】
なお、測定値としての電流値Iaに基づいて、搬送ベルト21の張力の状態が正常な状態であると判断された場合には、張力調整部9に搬送ベルト21の張力を調整させる制御は行われない。
【0051】
また、第1実施形態では、制御部7は、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整後、連続して、張力状態測定部8としてのヘッド31に搬送ベルト21の張力の状態を再び測定させる制御を行うように構成されている。再測定における測定動作は、上記した初回の測定動作と同様であるので、詳細な説明は省略する。再測定では、制御部7は、測定動作における、Z軸モータ32の電流値Iaを再測定の測定値として取得する。
【0052】
制御部7は、再測定の測定値としての電流値Iaが所定のしきい値範囲外である場合、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができなかったと判断するように構成されている。つまり、制御部7は、初回の測定、および、再測定のいずれにおいても、搬送ベルト21の張力の状態が異常な状態であると判断された場合、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができなかったと判断するように構成されている。
【0053】
また、本実施形態では、制御部7は、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができなかったと判断された場合、作業者に搬送ベルト21に関する警告情報を通知する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部7は、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができなかったと判断された場合、搬送ベルト21を駆動する駆動モータ25の積算回転数に応じて、作業者に異なる種類の警告情報を通知する制御を行うように構成されている。なお、駆動モータ25の積算回転数は、たとえば、搬送ベルト21の使用開始時点から測定時点までの間の駆動モータ25の積算回転数である。
【0054】
制御部7は、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができなかったと判断され、かつ、駆動モータ25の積算回転数が予め決められた規定値以上である場合、作業者に搬送ベルト21の交換を促す警告情報を通知する制御を行うように構成されている。また、制御部7は、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができなかったと判断され、かつ、駆動モータ25の積算回転数が予め決められた規定値未満である場合、作業者に搬送ベルト21の異常を知らせる警告情報を通知する制御を行うように構成されている。この場合、作業者に張力調整部9の異常を知らせる警告情報を通知する制御が行われてもよい。警告情報は、たとえば、基板作業装置100のモニタなどの表示部に表示されることにより、作業者に通知される。
【0055】
(張力状態測定処理)
次に、図9を参照して、第1実施形態の基板作業装置100による張力状態測定、張力状態の判定、及び作業者への通知の処理(以下、単に「張力状態測定処理」という)をフローチャートに基づいて説明する。フローチャートの各処理は、制御部7により行われる。
【0056】
図9に示すように、まず、ステップS1において、タイミングが測定タイミングであるか否かが判断される。ステップS1では、タイミングが、測定タイミングとしての生産切替時、生産開始時または生産終了時であるか否かが判断される。タイミングが測定タイミングではないと判断された場合、張力状態測定処理が終了される。
【0057】
また、ステップS1において、タイミングが測定タイミングであると判断された場合、ステップS2に進む。
【0058】
そして、ステップS2において、搬送ベルト21上に基板Pが残存しているか否かが判断される。搬送ベルト21上に基板Pが残存していると判断された場合、ステップS3に進む。そして、ステップS3において、基板Pを下流側に搬送して搬送ベルト21上から除去する処理が行われる。そして、ステップS4に進む。
【0059】
また、ステップS2において、搬送ベルト21上に基板Pが残存していないと判断された場合、ステップS3の処理を行うことなく、ステップS4に進む。なお、搬送ベルト21上に基板Pが残存していると判断された場合、基板Pを除去する処理を行うことなく、張力状態測定処理を終了させて、測定をスキップしてもよい。
【0060】
そして、ステップS4において、測定具8aが装着されたヘッド31が測定位置(搬送ベルト21の上方位置)に移動される。
【0061】
そして、ステップS5において、測定具8aが装着されたヘッド31により搬送ベルト21の張力の状態が測定される。
【0062】
そして、ステップS6において、測定値としての電流値Iaと、基準値としての電流値Irとが比較される。
【0063】
そして、ステップS7において、ステップS6の比較結果に基づいて、搬送ベルト21の張力の状態が正常な状態であるか否かが判断される。搬送ベルト21の張力の状態が正常な状態であると判断された場合、搬送ベルト21の張力を調整する必要がないため、張力状態測定処理が終了される。
【0064】
また、ステップS7において、搬送ベルト21の張力の状態が異常な状態であると判断された場合、ステップS8に進む。
【0065】
そして、ステップS8において、張力調整部9により搬送ベルト21の張力が調整される。
【0066】
そして、ステップS9において、測定具8aが装着されたヘッド31により搬送ベルト21の張力の状態が再び測定される。
【0067】
そして、ステップS10において、再測定における測定値としての電流値Iaと、基準値としての電流値Irとが比較される。
【0068】
そして、ステップS11において、ステップS10の比較結果に基づいて、搬送ベルト21の張力の状態が正常な状態であるか否かが判断される。搬送ベルト21の張力の状態が正常な状態であると判断された場合、搬送ベルト21の張力の状態が正常な状態に調整されたため、張力状態測定処理が終了される。
【0069】
また、ステップS11において、搬送ベルト21の張力の状態が異常な状態であると判断された場合、ステップS12に進む。
【0070】
そして、ステップS12において、搬送ベルト21を駆動する駆動モータ25の積算回転数が規定値以上であるか否かが判断される。駆動モータ25の積算回転数が規定値未満であると判断された場合、ステップS13に進む。
【0071】
そして、ステップS13において、搬送ベルト21の異常を知らせる警告情報が作業者に通知される。その後、張力状態測定処理が終了される。
【0072】
また、ステップS12において、駆動モータ25の積算回転数が規定値以上であると判断された場合、ステップS14に進む。
【0073】
そして、ステップS14において、搬送ベルト21の交換を促す警告情報が作業者に通知される。その後、張力状態測定処理が終了される。なお、ステップS14において、搬送ベルト21の交換を促す警告情報が作業者に通知された後、この警告情報による警告状態が解除されるまでは、測定タイミングであっても、次の搬送ベルト21の張力の状態の測定が行われないようにしてもよい。
【0074】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0075】
第1実施形態では、上記のように、搬送ベルト21の張力の状態を、搬送ベルト21を上方から押して押込方向に変形させて測定するための張力状態測定部8と、張力状態測定部8により搬送ベルト21を押込方向に変形させたことに基づいて取得される測定値に基づいて、搬送ベルト21の張力の状態を判断する制御部7と、を設ける。これにより、単に張力状態測定部8により搬送ベルト21を押込方向に変形させるだけで、測定値を取得し、搬送ベルト21の張力の状態を判断することができる。その結果、搬送ベルト21を振動させなくても、搬送ベルト21の張力の状態を測定して判断することができる。また、判断された搬送ベルト21の張力の状態に基づいて、搬送ベルト21の張力を調整することができるので、搬送ベルト21の張力の低下(搬送ベルト21の弛み)に起因して、搬送ベルト21が外れるなどの不具合が生じることを予防することができる。
【0076】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部7を、搬送ベルト21が駆動されていない状態において、張力状態測定部8により搬送ベルト21を押込方向に変形させたことに基づいて取得される測定値としての電流値Iaに基づいて、搬送ベルト21の張力の状態を判断するように構成する。これにより、電流値Iaに基づいて、搬送ベルト21の張力の状態を容易に判断することができる。
【0077】
また、第1実施形態では、上記のように、張力状態測定部8を、Z軸モータ32により上下方向に移動されるように構成され、部品Eを実装するヘッド31を含むように構成する。また、制御部7を、ヘッド31を下降させることにより、ヘッド31により搬送ベルト21を押込方向に変形させた際における、Z軸モータ32の電流値Iaに基づいて、搬送ベルト21の張力の状態を判断するように構成する。これにより、既存のヘッド31およびこのヘッド31を駆動する既存のZ軸モータ32を兼用して、搬送ベルト21の張力の状態を測定して判断することができるので、専用の張力センサを別途設ける必要がない。その結果、搬送ベルト21の張力の状態を測定するための構成の増加およびこの構成の増加に伴う構成の複雑化を抑制しつつ、搬送ベルト21の張力の状態を容易に測定して判断することができる。
【0078】
また、第1実施形態では、上記のように、基板作業装置100を、搬送ベルト21の張力を調整する張力調整部9を備えるように構成する。また、制御部7を、測定値に基づいて、張力調整部9に搬送ベルト21の張力を調整させる制御を行うように構成する。これにより、張力調整部9に搬送ベルト21の張力を自動で調整させることができる。その結果、作業者が搬送ベルト21の張力を調整するための器具を揃えて、搬送ベルト21の張力を調整するという煩雑な手間を省くことができる。また、作業者が搬送ベルト21の張力を調整する場合と異なり、搬送ベルト21の張力の調整をする際、基板作業装置100を停止させる必要がない。その結果、基板作業装置100を停止可能なタイミング以外のタイミングにおいても、搬送ベルト21の張力を調整することができる。これにより、搬送ベルト21の調整タイミングの設定の自由度を向上させることができる。
【0079】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部7を、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整後、張力状態測定部8に搬送ベルト21の張力の状態を再び測定させる制御を行うように構成する。これにより、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整後に、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができたか否かを確認することができる。その結果、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができなかったことを迅速に確認することができる。これにより、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができなかったことに対する次の動作(搬送ベルト21の異常の通知など)を迅速に行うことができる。
【0080】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部7を、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができなかったと判断され、かつ、搬送ベルト21を駆動する駆動モータ25の積算回転数が規定値以上である場合、作業者に搬送ベルト21の交換を通知する制御を行い、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができなかったと判断され、かつ、駆動モータ25の積算回転数が規定値未満である場合、作業者に搬送ベルト21の異常を通知する制御を行うように構成する。このように、制御部7を、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができなかったと判断され、かつ、搬送ベルト21を駆動する駆動モータ25の積算回転数が規定値以上である場合、作業者に搬送ベルト21の交換を通知する制御を行うように構成することにより、搬送ベルト21の継時的な劣化によりこれ以上搬送ベルト21の張力を調整できない場合に、作業者に搬送ベルト21の交換を通知することができる。これにより、作業者は、搬送ベルト21を交換すべきタイミングにおいて、搬送ベルト21を交換すべきことを知ることができる。また、制御部7を、張力調整部9による搬送ベルト21の張力の調整ができなかったと判断され、かつ、駆動モータ25の積算回転数が規定値未満である場合、作業者に搬送ベルト21の異常を通知する制御を行うように構成することにより、搬送ベルト21の継時的な劣化がそれ程進行していないにもかかわらず搬送ベルト21の張力を調整できない場合に、作業者に搬送ベルト21の異常を通知することができる。これにより、作業者は、異物の付着などの搬送ベルト21の異常が疑われるタイミングにおいて、搬送ベルト21の異常を確認すべきことを知ることができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部7を、基板Pの生産切替時、生産開始時、または、生産終了時に、張力状態測定部8に搬送ベルト21の張力の状態を測定させる制御を行うように構成する。これにより、基板Pの生産途中に張力状態測定部8に搬送ベルト21の張力の状態を測定させる場合と異なり、基板Pの生産を中断することがない。その結果、搬送ベルト21の張力の測定のために基板Pの生産に要する時間が増加することを効果的に抑制することができる。
【0082】
[第2実施形態]
次に、図1図2図10および図11を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、ヘッドにより搬送ベルトを押込方向に変形させて搬送ベルトの張力の状態を測定した上記第1実施形態と異なり、ヘッドにより搬送ベルトを引張方向に変形させて搬送ベルトの張力の状態を測定する例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0083】
(基板作業装置の構成)
第2実施形態による基板作業装置200は、図1および図2に示すように、制御部107を備える点で、上記第1実施形態の基板作業装置100と相違する。
【0084】
第2実施形態では、図10に示すように、制御部107は、張力状態測定部108としてのヘッド31により搬送ベルト21を上方(Z1方向側)へ引いて引張方向(Z1方向)に変形させたことに基づいて取得される測定値に基づいて、搬送ベルト21の張力の状態を判断するように構成されている。
【0085】
第2実施形態では、ヘッド31は、搬送ベルト21の張力の状態を、搬送ベルト21を上方(Z1方向側)へ引いて引張方向(Z1方向)に変形させて測定するための張力状態測定部108として構成されている。張力状態測定部108としてのヘッド31は、部品吸着用のノズル31aが先端に装着されている。
【0086】
搬送ベルト21の張力状態測定では、制御部107は、まず、ノズル31aが装着されたヘッド31を測定位置に移動させる制御を行う。測定位置は、搬送ベルト21の上方位置である。そして、制御部107は、ヘッド31を搬送ベルト21に向かって下降させる制御を行う。具体的には、制御部107は、ヘッド31のノズル31aが搬送ベルト21の上側部分21aの上面に接触するまで、ヘッド31を搬送ベルト21に向かって下降させる制御を行う。そして、制御部107は、負圧供給部100aからの負圧により、ヘッド31のノズル31aに搬送ベルト21の上側部分21aを吸着させる制御を行う。
【0087】
そして、制御部107は、ヘッド31のノズル31aにより搬送ベルト21の上側部分21aを吸着した状態で、ヘッド31を上昇させる制御を行う。これにより、制御部107は、ヘッド31により搬送ベルト21の上側部分21aを引張方向(Z1方向)に変形させる制御を行う。また、制御部107は、ヘッド31により搬送ベルト21の上側部分21aを引張方向(Z1方向)に変形させつつ、少なくとも搬送ベルト21の張力によりヘッド31のノズル31aによる搬送ベルト21の吸着が解除されるまで、ヘッド31を上昇させる制御を行う。つまり、制御部107は、少なくともヘッド31のノズル31aに吸着された搬送ベルト21がヘッド31のノズル31aから離れるまで、ヘッド31を上昇させる制御を行う。
【0088】
そして、図11に示すように、制御部107は、ノズル31aが装着されたヘッド31により搬送ベルト21を引張方向(Z1方向)に変形させつつ、搬送ベルト21の張力によりヘッド31のノズル31aによる搬送ベルト21の吸着が解除された際における、ヘッド31の吸着用の圧力値の変化に基づいて、搬送ベルト21の張力の状態を判断する。
【0089】
具体的には、制御部107は、ヘッド31の吸着用の圧力値の変化に基づいて、圧力値が変化した時のヘッド31の高さ位置Haを測定値として取得する。そして、制御部107は、測定値としての高さ位置Haと、基準値としての高さ位置Hrとを比較することにより、搬送ベルト21の張力の状態を判断する。基準値としての高さ位置Hrは、基準状態(張力の状態が正常な状態)の搬送ベルト21について予め測定されたヘッド31の高さ位置Haである。搬送ベルト21の張力が基準状態の搬送ベルト21の張力よりも低下している場合、測定値としての高さ位置Haは、基準値としての高さ位置Hrよりも高くなる。また、搬送ベルト21の張力が基準状態の搬送ベルト21の張力よりも増加している場合、測定値としての高さ位置Haは、基準値としての高さ位置Hrよりも低くなる。なお、図11では、測定値としての高さ位置Haが基準値としての高さ位置Hrよりも高い場合を示している。そして、制御部107は、測定値としての高さ位置Haに基づいて、上記第1実施形態と同様に、搬送ベルト21の張力の状態が正常な状態であるか否かを判断する。
【0090】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0091】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0092】
第2実施形態では、上記のように、制御部107を、搬送ベルト21が駆動されていない状態において、張力状態測定部108により搬送ベルト21を引張方向に変形させたことに基づいて取得される測定値としての圧力値に基づいて、搬送ベルト21の張力の状態を判断するように構成する。これにより、圧力値に基づいて、搬送ベルト21の張力の状態を容易に判断することができる。
【0093】
また、第2実施形態では、上記のように、張力状態測定部108を、Z軸モータ32により上下方向に移動されるように構成され、負圧供給部100aからの負圧により部品を吸着するヘッド31を含むように構成する。また、制御部107を、ヘッド31により搬送ベルト21を吸着した状態でヘッド31を上昇させることにより、ヘッド31により搬送ベルト21を引張方向に変形させつつ、搬送ベルト21の張力によりヘッド31による搬送ベルト21の吸着が解除された際における、ヘッド31の吸着用の圧力値の変化に基づいて、搬送ベルト21の張力の状態を判断するように構成する。これにより、既存のヘッド31、このヘッド31を駆動する既存のZ軸モータ32および既存の負圧供給部100aを兼用して、搬送ベルト21の張力の状態を測定して判断することができるので、専用の張力センサを別途設ける必要がない。その結果、搬送ベルト21の張力の状態を測定するための構成の増加およびこの構成の増加に伴う構成の複雑化を抑制しつつ、搬送ベルト21の張力の状態を容易に測定して判断することができる。
【0094】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0095】
参考例
次に、図12および図13を参照して、参考例について説明する。この参考例では、基板作業装置がヘッドを備える装置であった上記第1および第2実施形態と異なり、基板作業装置がヘッドを備えない装置である例について説明する。
【0096】
(基板作業装置の構成)
参考例による基板作業装置300は、図12に示すように、基板を検査する装置であって、水平方向および上下方向に移動するヘッドを備えない検査装置である。基板作業装置300は、検査部201と、搬送部202と、制御部203とを備える。検査部201は、基板を撮像する撮像部201aと、撮像部201aによる撮像の際の照明光を照射する複数の照明部201bとを含む。搬送部202は、上記第1実施形態の搬送部2と実質的に同様の構成である。このため、図中において各構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。制御部203は、撮像部201aによる基板の撮像結果に基づいて、基板を検査する。たとえば、制御部203は、撮像部201aによる基板の撮像結果に基づいて、基板上の部品や接合材(はんだなど)の状態を検査する。
【0097】
参考例では、基板作業装置300は、搬送ベルト21の張力の状態の測定の専用の張力状態測定部204を備える。張力状態測定部204は、測定位置(搬送ベルト21の上方位置、測定用切り欠き部26aの上方位置)に固定的に配置されている。張力状態測定部204は、搬送ベルト21を上方(Z1方向側)から押して押込方向(Z2方向)に変形させるための押込部204aと、押込部204aを上下方向(Z方向)に移動させる駆動モータ204bとを含む。押込部204aは、搬送ベルト21を押込可能なように、少なくとも搬送ベルト21と接触する先端部が棒状(柱状)に形成されている。
【0098】
搬送ベルト21の張力状態測定は、上記第1実施形態と略同様である。つまり、図13に示すように、制御部203は、押込部204aを搬送ベルト21に向かって下降させる制御を行う。具体的には、制御部203は、予め決められた一定の押込量Dだけ搬送ベルト21の上側部分21aを押込方向(Z2方向)に変形させるように、押込部204aを搬送ベルト21に向かって下降させる制御を行う。押込部204aが搬送ベルト21に向かって下降されると、押込部204aの先端が、搬送ベルト21の上側部分21aに接触する。そして、押込部204aの先端と接触した搬送ベルト21の上側部分21aは、押込部204aの先端により押込方向に一定の押込量Dだけ変形される。
【0099】
そして、制御部203は、押込部204aにより搬送ベルト21を押込方向(Z2方向)に変形させた際における、押込部204aを駆動する駆動モータ204bの電流値を測定値として取得する。そして、制御部203は、測定値としての駆動モータ204bの電流値に基づいて、搬送ベルト21の張力の状態が正常な状態であるか否かを判断する。
【0100】
なお、参考例のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0101】
参考例の効果)
参考例では、以下のような効果を得ることができる。
【0102】
参考例では、上記のように、張力状態測定部204を、搬送ベルト21の張力の状態の測定の専用の押込部204aを含むように構成する。また、制御部203を、押込部204aを下降させることにより、押込部204aにより搬送ベルト21を押込方向に変形させた際における、押込部204aを上下方向に駆動する駆動モータ204bの電流値に基づいて、搬送ベルト21の張力の状態を判断するように構成する。これにより、基板作業装置300がヘッドを備えていない場合にも、専用の押込部204aにより、搬送ベルト21の張力の状態を容易に測定して判断することができる。
【0103】
なお、参考例のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0104】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0106】
また、上記第1および実施形態では、基板またはパレットを搬送する搬送ベルトの張力の状態が測定され、張力が調整される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、トレイ13aを搬送する搬送ベルト13b(図1参照)の張力の状態が測定され、張力が調整されてもよい。
【0107】
また、上記第1実施形態では、制御部が、ヘッド(押込部)により搬送ベルトを押込方向に変形させた際における、Z軸モータ(駆動モータ)の電流値に基づいて、搬送ベルトの張力の状態を判断する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ヘッド(押込部)の先端に圧電素子を設けた構成において、制御部が、ヘッド(押込部)により搬送ベルトを押込方向に変形させた際における、圧電素子の電流値に基づいて、搬送ベルトの張力の状態を判断してもよい。この場合、制御部が、圧電素子の電圧値に基づいて、搬送ベルトの張力の状態を判断してもよい
【0108】
また、上記第1および実施形態では、基板作業装置が、張力調整部を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板作業装置が、張力調整部を必ずしも備えている必要はない。張力調整部を備えていない場合には、搬送ベルトの張力の状態が異常な状態であると判断された場合、搬送ベルトの張力の調整を行うことなく、作業者に搬送ベルトに関する警告情報を通知してもよい。
【0109】
また、上記第1および実施形態では、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整後、張力状態測定部により搬送ベルトの張力の状態が再測定される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整後、張力状態測定部により搬送ベルトの張力の状態が再測定されなくてもよい。
【0110】
また、上記第1および実施形態では、張力調整部が、張力調整用のプーリと、偏心カムとしての押し当て部材を有するプーリ移動機構とを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、張力調整部は、搬送ベルトの張力を調整可能であれば、どのような構成であってもよい。たとえば、張力調整部が、押し当て部材を介して張力調整用のプーリを駆動する構成ではなく、張力調整用のプーリ自体を直接的に駆動モータで駆動する構成であってもよい。
【0111】
また、上記第1および実施形態では、生産切替時、生産開始時、または、生産終了時に、張力状態測定部により搬送ベルトの張力の状態が測定される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、生産切替時、生産開始時、または、生産終了時以外のタイミングに、張力状態測定部により搬送ベルトの張力の状態が測定されてもよい。
【0112】
また、上記第1および実施形態では、搬送ベルトが、平ベルトにより構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図14に示す変形例の搬送ベルト121のように、搬送ベルトが、歯付きベルトにより構成されていてもよい。これにより、張力状態測定部により搬送ベルトを押込方向または引張方向に変形させた際、歯付きベルトの歯により、歯付きベルトとしての搬送ベルト121が滑ることを抑制することができる。その結果、搬送ベルト121が測定時に滑ることに起因して測定精度が低下することを抑制することができる。
【0113】
また、上記第1および実施形態では、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整ができなかったと判断された場合、搬送ベルトを駆動する駆動モータの積算回転数に応じて、作業者に異なる種類の警告情報が通知される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、張力調整部による搬送ベルトの張力の調整ができなかったと判断された場合、搬送ベルトの交換後のプーリ22(図3参照)の積算回転数に応じて、作業者に異なる種類の警告情報が通知されてもよい。
【0114】
また、上記第1実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0115】
7、107、203 制御部
8、108、204 張力状態測定部
9 張力調整部
13a トレイ(搬送対象物)
21、121 搬送ベルト
31 ヘッド
32 Z軸モータ(駆動モータ)
100、200、300 基板作業装置
100a 負圧供給部
204a 押込部
204b 駆動モータ
E 部品
P 基板(搬送対象物)
図1
図2
図3
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図5
図6
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図9
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図11
図12
図13
図14