(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
廃棄量の低減と資源の有効活用とを図る観点から、使用済みの太陽電池モジュールを再利用することが考えられる。
【0014】
太陽電池モジュールは、一般に、受光面側から、透明な基板、表面側の封止材、複数の太陽電池素子、裏面側の封止材および保護シートの順に積層された構造を有している。このような太陽電池モジュールでは、例えば、樹脂製の保護シートなどの劣化に応じて、樹脂製の保護シートから太陽電池素子への水分などの浸入が起こりやすい。これが主因の1つとなって、太陽電池モジュールを劣化させることがある。
【0015】
このため、例えば、太陽電池モジュールの保護シートの張り替えなどによって、太陽電池モジュールの裏面側における耐久性を向上させることで、太陽電池モジュールの使用可能な期間を延ばすことが考えられる。
【0016】
ただし、太陽電池モジュールの裏面側に対して耐久性を向上させるための加工を施す際に、煩雑な加工が必要であれば、新品と比較して再利用品を用いるメリットが十分得られないおそれがある。
【0017】
このため、太陽電池モジュールについては、使用可能な期間を容易に延ばす点で改善の余地がある。
【0018】
そこで、本願発明者らは、太陽電池モジュールについて、使用可能な期間を容易に延ばすことができる技術を創出した。
【0019】
これについて、以下、各種実施形態を図面に基づいて説明する。図面においては同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものである。
図1から
図4(b)および
図6から
図17には、右手系のXYZ座標系が付されている。このXYZ座標系では、後述する補修前の第1太陽電池モジュール1および補修後の第2太陽電池モジュール2の前面1fsにおける長手方向が+Y方向とされ、この前面1fsにおける短手方向が+X方向とされている。また、このXYZ座標系では、+X方向と+Y方向との両方に直交する方向でありかつ前面1fsの法線に沿った方向が+Z方向とされている。
【0020】
<1.第1実施形態>
<1−1.太陽電池モジュールの構成>
第1実施形態に係る第2太陽電池モジュール2について、
図1から
図4(b)に基づいて説明する。
【0021】
第2太陽電池モジュール2は、例えば、使用済みであって補修前の第1太陽電池モジュール1(
図6および
図7など参照)の裏面側の部分に補修が施されることで製造される。第1実施形態では、第1太陽電池モジュール1のうちの補修前の太陽電池パネル(第1太陽電池パネルともいう)Pn1の裏面側の部分に補修が施される。このため、第2太陽電池モジュール2は、補修後の太陽電池モジュールである。この第2太陽電池モジュール2は、第1太陽電池モジュール1の補修によって製造されることから、太陽電池モジュールの再利用に寄与している。
【0022】
図1から
図3で示されるように、第2太陽電池モジュール2は、例えば、太陽電池パネル(第2太陽電池パネルともいう)Pn2と、端子ボックスBx1と、フレームFl1と、を備えている。第2太陽電池パネルPn2は、第1保護部材Pr1と、封止材Sl1と、N枚(Nは自然数)の太陽電池素子Cl1と、第2保護部材Pr2と、接着層Ad2と、第3保護部材Pr3と、を備えている。また、第2太陽電池パネルPn2は、複数本の第1配線材Tb1と、複数本の第2配線材Tb2と、複数本の第3配線材Wr1と、を備えている。ここでは、例えば、第1保護部材Pr1と第2保護部材Pr2とが対向している状態で位置している。第1保護部材Pr1と第2保護部材Pr2との間には、例えば、N枚の太陽電池素子Cl1と、封止材Sl1と、複数本の第1配線材Tb1と、複数本の第2配線材Tb2と、が位置している。封止材Sl1には、第1保護部材Pr1側に位置している第1封止材Sl1fと、第2保護部材Pr2側に位置している第2封止材Sl1bと、が含まれている。複数本の第3配線材Wr1の一部は、例えば、第2保護部材Pr2に予め設けられている貫通孔Hl1を通して、外部に引き出されており、端子ボックスBx1内の端子に接続されている状態で位置している。
【0023】
図1から
図3の例では、第1保護部材Pr1と、第1封止材Sl1fと、N枚の太陽電池素子Cl1と、第2封止材Sl1bと、第2保護部材Pr2と、接着層Ad2と、第3保護部材Pr3と、がこの記載の順で積層されている。第2太陽電池パネルPn2では、第1保護部材Pr1の+Z方向の表面が、主として太陽光などの外光が照射される表面(前面ともいう)1fsとされている。また、第2太陽電池パネルPn2では、第3保護部材Pr3の−Z方向の側の面が、前面1fsよりも太陽光などの外光が照射されない表面(裏面ともいう)2bsとされている。
【0024】
第1保護部材Pr1は、透光性を有する板状の部材である。第1保護部材Pr1は、例えば、特定範囲の波長の光に対する透光性を有している。特定範囲の波長としては、例えば、特定範囲の波長としては、例えば、第2太陽電池モジュール2に照射される光に含まれる強度が高い光の波長であって、太陽電池素子Cl1が光電変換し得る光の波長が採用される。第1保護部材Pr1の素材として、例えば、ガラスあるいはアクリルまたはポリカーボネートなどの樹脂が採用されれば、第1保護部材Pr1における遮水性と特定範囲の波長の光に対する透光性とが実現される。第1保護部材Pr1としては、例えば、表面および裏面の双方が長方形状であり、厚さが1mmから5mm程度の平板状のものが採用される。上記構成を有する第1保護部材Pr1は、例えば、剛性と遮水性とによって、N枚の太陽電池素子Cl1を第2太陽電池パネルPn2の前面1fs側から保護している状態で位置している。
【0025】
第1封止材Sl1fは、例えば、第1保護部材Pr1とN枚の太陽電池素子Cl1との間において、N枚の太陽電池素子Cl1を第1保護部材Pr1側から覆っている状態で位置している。
図3の例では、第1保護部材Pr1とN枚の太陽電池素子Cl1との間の領域に第1封止材Sl1fが充填されている状態で位置している。第1封止材Sl1fの素材としては、例えば、特定範囲の波長の光に対する透光性が優れたエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、トリアセチルセルロース(TAC)またはポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂などが採用される。
【0026】
N枚の太陽電池素子Cl1は、例えば、第1保護部材Pr1と第2保護部材Pr2との間に位置している。各太陽電池素子Cl1は、例えば、入射される太陽光を電気に変換することができる。太陽電池素子Cl1としては、例えば、結晶系の太陽電池素子または薄膜系の太陽電池素子が採用され得る。
図1から
図4(b)の例では、太陽電池素子Cl1として、結晶シリコンの半導体基板St1を有している太陽電池素子が採用されている。太陽電池素子Cl1は、例えば、
図4(a)および
図4(b)で示されるように、前面1fs側の面(第1素子面ともいう)Sfc1と、裏面2bs側の面(第2素子面ともいう)Sfc2と、端面(第3素子面ともいう)Sfc3とを有している。第3素子面Sfc3は、第1素子面Sfc1と第2素子面Sfc2とを接続している。ここでは、例えば、半導体基板St1では、少なくとも第2素子面Sfc2側に第1導電型(例えば、p型)の領域が位置しており、少なくとも第1素子面Sfc1側に第2導電型(例えば、n型)の領域が位置している。このため、半導体基板St1は、pn接合を有しており、光の照射に応じた光電変換によってキャリアを生じさせることができる。
【0027】
図4(a)で示されるように、半導体基板St1の第1素子面Sfc1側には、第1電極としての第1出力取出電極Oe1と、この第1出力取出電極Oe1に交差している複数本の第1集電電極Ce1と、が位置している。換言すれば、各太陽電池素子Cl1は、第1保護部材Pr1側に第1出力取出電極Oe1を有している。第1出力取出電極Oe1は、半導体基板St1において光電変換に応じて生じたキャリアを複数本の第1集電電極Ce1を介して集めて、太陽電池素子Cl1の外部に電気を出力することができる。
図4(a)の例では、+Y方向に沿った長手方向をそれぞれ有している2本の第1出力取出電極Oe1と、+X方向に沿った長手方向をそれぞれ有している24本の第1集電電極Ce1と、が存在している。
【0028】
図4(b)で示されるように、半導体基板St1の第2素子面Sfc2側には、第2電極としての第2出力取出電極Oe2と、この第2出力取出電極Oe2に接続している第2集電電極Ce2と、が位置している。換言すれば、各太陽電池素子Cl1は、第2保護部材Pr2側に第2出力取出電極Oe2を有している。第2出力取出電極Oe2は、半導体基板St1において光電変換に応じて生じたキャリアを第2集電電極Ce2を介して集めて、太陽電池素子Cl1の外部に電気を出力することができる。
図4(b)の例では、+Y方向に沿って一列に並んでいる4つの島状の部分をそれぞれ有している2つの第2出力取出電極Oe2と、半導体基板St1の第2素子面Sfc2側の略全面に位置している第2集電電極Ce2と、が存在している。第1出力取出電極Oe1と第2出力取出電極Oe2とは、例えば、半導体基板St1を挟んでいる状態で位置している。また、例えば、第1出力取出電極Oe1は、3本以上であってもよく、第2出力取出電極Oe2も、3つ以上であってもよい。
【0029】
ここでは、複数の第1配線材Tb1および複数の第2配線材Tb2は、複数の太陽電池素子Cl1のうちの隣り合う太陽電池素子Cl1の間において、第1出力取出電極Oe1と第2出力取出電極Oe2とをそれぞれ電気的に接続している状態で位置している。具体的には、例えば、N個の太陽電池素子Cl1のうちの+Y方向において、隣り合っている状態で位置している2つの太陽電池素子Cl1の間で、第1出力取出電極Oe1と第2出力取出電極Oe2とが、第1配線材Tb1によって接続されている状態にある。ここで、第1配線材Tb1には、例えば、銅などの導電性を有する材料によって構成されている細長い箔状もしくは線状の構成を有するものが適用される。第1配線材Tb1は、例えば、第1出力取出電極Oe1および第2出力取出電極Oe2に対してはんだ付けなどで接合されている状態にある。ここでは、例えば、各太陽電池素子Cl1において、第1配線材Tb1は、第1出力取出電極Oe1に接続している部分(第1接続部ともいう)Ct1と、第2出力取出電極Oe2に接続している部分(第2接続部ともいう)Ct2と、を有している状態で位置している。
【0030】
また、N枚の太陽電池素子Cl1は、XY平面に沿って平面的に並んでいる状態で位置している。これらのN枚の太陽電池素子Cl1は、例えば、第1配線材Tb1および第2配線材Tb2によって電気的に直列に接続されている。
図1の例では、24枚の太陽電池素子Cl1は、4つの太陽電池素子群St1を構成している。各太陽電池素子群St1では、+Y方向に沿って並べられた6枚の太陽電池素子Cl1が、配線材Tb1で電気的に直列に接続されている。そして、4つの太陽電池素子群St1が、+X方向に並べられた状態で、第2配線材Tb2によって電気的に直列に接続されている。第2配線材Tb2の素材および形状には、例えば、第1配線材Tb1と同様な素材および形状が適用され得る。第2配線材Tb2は、例えば、第1配線材Tb1に対して、はんだ付けなどで接合されている状態で位置している。また、例えば、直列接続された24枚の太陽電池素子Cl1のうちの両端の太陽電池素子Cl1に接続された第1配線材Tb1に対して、第3配線材Wr1が、はんだ付けなどで接合されている状態で位置している。第3配線材Wr1の素材および形状にも、例えば、第1配線材Tb1と同様な素材および形状が適用され得る。
【0031】
第2封止材Sl1bは、例えば、N枚の太陽電池素子Cl1と第2保護部材Pr2との間において、N枚の太陽電池素子Cl1を第2保護部材Pr2側から覆うように位置している。
図3の例では、第2保護部材Pr2とN枚の太陽電池素子Cl1との間の領域に第2封止材Sl1bが充填されている状態で位置している。換言すれば、第1封止材Sl1fと第2封止材Sl1bとを含む封止材Sl1が、第1保護部材Pr1と第2保護部材Pr2との間において、N枚の太陽電池素子Cl1を封止している状態で位置している。第2封止材Sl1bの素材としては、例えば、第1封止材Sl1fと同様に、EVA、TACまたはPENなどのポリエステル樹脂などが採用される。ここで、第2封止材Sl1bは、例えば、特定範囲の波長の光に対する透光性を有していてもよいし、特定範囲の波長の光に対する透光性を有していなくてもよい。
【0032】
第2保護部材Pr2は、例えば、第2太陽電池パネルPn2の裏面2bs側からN枚の太陽電池素子Cl1を保護している状態で位置している。第2保護部材Pr2には、例えば、表面および裏面の双方が略長方形を有しており、かつ高い剛性を有する板状の部材または柔軟性を有するシート状の部材が適用され得る。ここで、板状の部材の厚さは、例えば、1mmから5mm程度とされる。板状の部材の素材として、例えば、ポリカーボネートなどの樹脂が採用されれば、第2保護部材Pr2において遮水性と特定範囲の波長の光に対する透光性とが実現される。また、シート状の部材の素材として、例えば、ポリプロピレン、ポリオレフィンおよびポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの1種あるいは2種以上の樹脂などが適用されれば、第2保護部材Pr2において耐水性および遮水性が実現される。また、第2保護部材Pr2は、例えば、特定範囲の波長の光に対する透光性を有していてもよいし、特定範囲の波長の光に対する透光性を有していなくてもよい。ここで、第2保護部材Pr2のうちの第1保護部材Pr1側とは逆側の面(第1面ともいう)1bsは、補修前の第1太陽電池モジュール1において前面1fsよりも太陽光などの外光が照射されない表面(裏面ともいう)に相当する。
【0033】
端子ボックスBx1は、例えば、第2保護部材Pr2の第1面1bs上に位置している。端子ボックスBx1は、例えば、シリコーン系の樹脂などの接着剤Sc1によって第1面1bs上に固定され得る。この端子ボックスBx1は、N枚の太陽電池素子Cl1における発電で得られた電気をケーブルCb1などで外部に出力することができる。ケーブルCb1には、例えば、正極の出力用の第1ケーブルCb1pと負極の出力用の第2ケーブルCb1nとが含まれている。
【0034】
接着層Ad2は、例えば、第2保護部材Pr2の第1面1bs上に位置している。接着層Ad2は、第1面1bs上に第3保護部材Pr3を接着させる役割を有している。接着層Ad2には、例えば、第1面1bsに沿った層状の形態を有するものが適用される。接着層Ad2の素材としては、例えば、封止材Sl1と同様に、EVA、TACまたはPENなどのポリエステル樹脂などが採用される。
【0035】
第3保護部材Pr3は、例えば、接着層Ad2のうちの第1面1bs側とは逆側の面(第2面ともいう)2ms上に位置している。この第3保護部材Pr3は、第2太陽電池パネルPn2の裏面2bsを構成する部材である。このため、第3保護部材Pr3は、例えば、裏面2bs側から第2保護部材Pr2およびN枚の太陽電池素子Cl1を保護している状態で位置している。第3保護部材Pr3には、例えば、第2保護部材Pr2と同様に、表面および裏面の双方が略長方形を有しておりかつ高い剛性を有する板状の部材もしくは柔軟性を有するシート状の部材が適用され得る。ここで、例えば、第3保護部材Pr3が、遮水性を有する板状の部材であれば、第2太陽電池モジュール2の耐久性が向上し得る。第3保護部材Pr3の形状、サイズおよび素材には、例えば、第2保護部材Pr2と類似した形状およびサイズならびに第2保護部材Pr2と同様な素材を適用することができる。また、第3保護部材Pr3の素材には、例えば、第1保護部材Pr1と同様に、ガラスまたはアクリルなどの樹脂が適用されてもよい。また、第3保護部材Pr3は、例えば、第2保護部材Pr2と同様に、特定範囲の波長の光に対する透光性を有していてもよいし、特定範囲の波長の光に対する透光性を有していなくてもよい。
【0036】
ここで、例えば、
図2および
図3で示されるように、接着層Ad2は、この接着層Ad2を厚さ方向(ここでは、±Z方向)において貫通している孔部(第1孔部ともいう)H21を有している。この第1孔部H21は、
図2で示されるように、例えば、第3保護部材Pr3、接着層Ad2および端子ボックスBx1を平面透視した場合に、端子ボックスBx1を囲んでいる状態で位置している内側の縁部分(第1内縁部分ともいう)Ip21を有している。さらに、例えば、
図2および
図3で示されるように、第3保護部材Pr3は、この第3保護部材Pr3を厚さ方向(ここでは、±Z方向)において貫通している孔部(第2孔部ともいう)H22を有している。この第2孔部H22は、
図2で示されるように、例えば、第3保護部材Pr3および端子ボックスBx1を平面視した場合に、端子ボックスBx1を囲んでいる状態で位置している内側の縁部分(第2内縁部分ともいう)Ip22を有している。換言すれば、接着層Ad2および第3保護部材Pr3は、端子ボックスBx1を避けるように位置している。
【0037】
上記構成を有する第2太陽電池モジュール2は、使用済みの第1太陽電池モジュール1から端子ボックスBx1を取り外すことなく、この第1太陽電池モジュール1の裏面としての第1面1bs上に接着層Ad2および第3保護部材Pr3を配することで製造され得る。換言すれば、補修後の第2太陽電池モジュール2は、補修前の第1太陽電池モジュール1と、第1太陽電池パネルPn1の第1面1bs上に位置している接着層Ad2および第3保護部材Pr3と、を備えている構成を有している。このように、例えば、第1太陽電池モジュール1の第1面1bs上に接着層Ad2によって第3保護部材Pr3を接着させることで、使用済みの第1太陽電池モジュール1の使用可能な期間を延ばすことができる。これにより、例えば、使用済みの第1太陽電池モジュール1における第2保護部材Pr2側の補修に要する加工工数が低減され得る。ここでは、例えば、劣化によって透湿性が増大した第2保護部材Pr2を透湿性が低い第3保護部材Pr3によって容易に補強することができる。その結果、例えば、補修後の太陽電池モジュール2の使用可能な期間(寿命ともいう)を容易に延ばすことができる。
【0038】
また、ここで、例えば、
図2で示されるように、第3保護部材Pr3および端子ボックスBx1を平面視した場合を想定する。この場合に、例えば、第3保護部材Pr3が端子ボックスBx1から離れている状態で位置している構成が採用される。この構成では、例えば、使用済みの第1太陽電池モジュール1の第2保護部材Pr2の−Z方向の側(上側ともいう)に第3保護部材Pr3を配置する際に、端子ボックスBx1に第3保護部材Pr3が接触しにくい。このため、使用済みの第1太陽電池モジュール1の第2保護部材Pr2の上側に第3保護部材Pr3を容易に配置することができる。これにより、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の使用可能な期間を容易に延ばすことができる。
図2の例では、端子ボックスBx1と第3保護部材Pr3とが離れている距離が、距離D1とされている。また、ここで、例えば、接着層Ad2および端子ボックスBx1を平面透視した場合を想定する。この場合に、例えば、接着層Ad2の内側の縁部分(内縁部分ともいう)Ip21が、端子ボックスBx1から離れている状態で位置していてもよい。
【0039】
フレームFl1は、例えば、第1保護部材Pr1の外周部(第1外周部ともいう)Op1および第2保護部材Pr2の外周部(第2外周部ともいう)Op2に沿って位置している。換言すれば、フレームFl1は、例えば、前面1fsと第1面1bsとを接続している外周部Op0に沿って取り付けられている状態で位置している。外周部Op0には、第1外周部Op1と第2外周部Op2とが含まれている。具体的には、例えば、フレームFl1の溝部に嵌まるように、第2太陽電池パネルPn2の外周部Op0が位置している。ここで、第2太陽電池パネルPn2の外周部Op0は、フレームFl1の溝部内において、例えば、ブチル系の樹脂などの接着剤(外側接着剤ともいう)Sl2によって、フレームFl1に固定されている状態で位置している。
【0040】
ここで、例えば、
図2および
図3で示されるように、第3保護部材Pr3およびフレームFl1を平面視した場合を想定する。この場合に、例えば、第3保護部材Pr3の外側の縁部分(外縁部分ともいう)Ep22が、フレームFl1から離れている状態で位置している構成が採用される。このような構成が採用されると、フレームFl1を有する使用済みの第1太陽電池モジュール1の第2保護部材Pr2の上側に第3保護部材Pr3を配置する際に、フレームFl1に第3保護部材Pr3が接触しにくい。このため、フレームFl1を有する使用済みの第1太陽電池モジュール1における第2保護部材Pr2の上側に第3保護部材Pr3を容易に配置することができる。これにより、例えば、補修済みの第2太陽電池モジュール2の使用可能な期間を容易に延ばすことができる。
図2の例では、第3保護部材Pr3とフレームFl1とが離れている距離が、距離D2とされている。また、例えば、接着層Ad2およびフレームFl1を平面透視した場合を想定する。この場合に、例えば、接着層Ad2の外側の縁部分(外縁部分ともいう)Ep21が、フレームFl1から離れている状態で位置していてもよい。
【0041】
ところで、例えば、第1太陽電池モジュール1では、仮に補修前の裏面としての第1面1bs側から水分が浸入すると、この水分に起因して封止材Sl1を構成するEVAの加水分解が生じ、酢酸が生じ得る。この酢酸は、例えば、第2出力取出電極Oe2と第1配線材Tb1との第2接続部Ct2を腐食によって劣化させるおそれがある。そして、例えば、各太陽電池素子Cl1では、第2接続部Ct2が全長にわたって劣化すると、第2出力取出電極Oe2からの第1配線材Tb1の剥離が生じるおそれがある。その結果、第1太陽電池モジュール1において、電気抵抗が増大して、出力が大きく低下するおそれがある。
【0042】
これに対して、補修後の第2太陽電池モジュール2では、例えば、第1面1bs側の広い範囲が、第3保護部材Pr3によって覆われている状態にある。具体的には、例えば、第3保護部材Pr3、太陽電池素子Cl1および第1配線材Tb1を平面透視した場合を想定する。この場合に、例えば、
図1および
図2で示されるように、第3保護部材Pr3が、N枚の太陽電池素子Cl1のうちの各太陽電池素子Cl1において、第2接続部Ct2の少なくとも一部に重なるように位置している構成が考えられる。このような構成が採用されれば、例えば、補修前の裏面としての第1面1bs側から第2接続部Ct2に向けた水分の浸入が低減される。これにより、例えば、各太陽電池素子Cl1において、第2接続部Ct2が全長にわたって劣化する不具合が生じにくい。このため、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の出力の低下が生じにくくなる。その結果、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の使用可能な期間を容易に延ばすことができる。
【0043】
また、ここで、例えば、
図2で示されるように、接着層Ad2を平面透視した場合を想定する。この場合に、
図2で示されるように、接着層Ad2は、第1中央領域Cn2と、第1周縁領域Ot2と、を有している。第1周縁領域Ot2には、例えば、第1中央領域Cn2の周囲において、接着層Ad2の外縁部分(第1外縁部分ともいう)Ep21に沿って位置している部分と、接着層Ad2の第1内縁部分Ip21に沿って位置している部分と、が含まれている。
図2の例では、接着層Ad2において、第1中央領域Cn2は、第1外縁部分Ep21と第1内縁部分Ip21との間に位置している。そして、
図3で示されるように、例えば、第1周縁領域Ot2の厚さが、第1中央領域Cn2の厚さよりも小さい構成が採用され得る。このとき、第3保護部材Pr3は、第1周縁領域Ot2に接している領域(周縁領域ともいう)Ot3において、第1中央領域Cn2に接している領域(第2中央領域ともいう)Cn3よりも、第2保護部材Pr2に接近している状態で位置している。このような構成では、例えば、第3保護部材Pr3の第2内縁部分Ip22および外縁部分(第2外縁部分ともいう)Ep22に沿って第3保護部材Pr3が第2保護部材Pr2に接近している部分において、接着層Ad2が外部に露出している領域が減少し得る。これにより、例えば、接着層Ad2の第1周縁領域Ot2および第2保護部材Pr2をこの記載の順に透過した封止材Sl1への水分の浸入が低減され得る。その結果、例えば、補修後の太陽電池モジュール2の使用可能な期間を容易に延ばすことができる。
【0044】
<1−2.太陽電池モジュールの製造方法>
補修前の第1太陽電池モジュール1から補修後の第2太陽電池モジュール2を製造する方法の一例について、
図5(a)から
図11に基づいて説明する。ここでは、
図5(a)で示される第1工程Sp1および第2工程Sp2をこの記載の順に実施することで、第1太陽電池モジュール1を補修して、第2太陽電池モジュール2を製造することができる。
【0045】
まず、第1工程Sp1では、例えば、補修前の第1太陽電池モジュール1を準備する。ここでは、第1太陽電池モジュール1は、例えば、
図6および
図7で示されるように、第1保護部材Pr1と、第2保護部材Pr2と、N枚の太陽電池素子Cl1と、封止材Sl1と、端子ボックスBx1と、を備えている、第1太陽電池パネルPn1を含んでいる。ここで、第1保護部材Pr1は、透光性を有する板状の部材である。N枚の太陽電池素子Cl1は、第1保護部材Pr1と第2保護部材Pr2との間に位置している。封止材Sl1は、第1保護部材Pr1と第2保護部材Pr2との間において、N枚の太陽電池素子Cl1を封止している状態で位置している。端子ボックスBx1は、第2保護部材Pr2のうちの第1保護部材Pr1側とは逆側の第1面1bs上に位置している。換言すれば、補修前の第1太陽電池モジュール1は、上述した補修後の第2太陽電池モジュール2のうちの接着層Ad2および第3保護部材Pr3が存在していない構成を有している。
【0046】
次に、第2工程Sp2では、例えば、第1太陽電池モジュール1の裏面としての第1面1bs上において、接着層Ad2と第3保護部材Pr3とを積層させた状態で、接着層Ad2によって第1面1bsに第3保護部材Pr3を接着させる。具体的には、第2工程Sp2では、例えば、
図5(b)で示される第2A工程Sp2a、第2B工程Sp2bおよび第2C工程Sp2cがこの記載の順に実施される。
【0047】
第2A工程Sp2aでは、例えば、
図8、
図9(a)および
図9(b)で示されるように、第1太陽電池モジュール1の第1面1bs上に、接着層Ad2と第3保護部材Pr3とを積層させる。これにより、第1太陽電池モジュール1と、接着層Ad2と、第3保護部材Pr3と、がこの記載の順に積層されている積層体SK0が形成される。このとき、例えば、接着層Ad2における第1孔部H21の第1内縁部分Ip21が、端子ボックスBx1の周囲に沿って位置するように、第1面1bs上に、接着層Ad2を積層させる。また、例えば、第3保護部材Pr3における第2孔部H22の第2内縁部分Ip22が、端子ボックスBx1の周囲に沿って位置するように、接着層Ad2の第2面2ms上に、第3保護部材Pr3を積層させる。
【0048】
次に、第2B工程Sp2bでは、例えば、
図10(a)および
図10(b)で示されるように、第1太陽電池モジュール1の第1面1bs上に接着層Ad2と第3保護部材Pr3とを積層させた状態で、第3保護部材Pr3上に治具Jg1を配置する。換言すれば、積層体SK0の第3保護部材Pr3上に治具Jg1を配置する。第1実施形態では、例えば、上記第2A工程Sp2aが実施された時点で、
図9(b)で示されるように、第3保護部材Pr3の接着層Ad2とは逆の面(裏面)2bsよりも、フレームFl1の方が−Z方向に突出している状態にある。この状態では、後述する第2C工程Sp2cにおけるラミネート処理において、第3保護部材Pr3の裏面2bsを押圧することが容易でない。そこで、
図10(b)で示されるように、治具Jg1は、第3保護部材Pr3上に配置された状態で、治具Jg1の第3保護部材Pr3とは逆側(−Z方向の側)の面(上面ともいう)Su0が、フレームFl1の−Z方向の側の面Sf0よりも高くなるような厚さを有している。ここでは、治具Jg1の厚さは、±Z方向に沿った厚さである。この治具Jg1は、例えば、後述する第2C工程Sp2cにおけるラミネート処理において、第3保護部材Pr3の−Z側の面(裏面)2bsの全面を押さえることが可能であるような形状を有している。例えば、治具Jg1の形状としては、直方体状の形状が採用され得る。
【0049】
次に、第2C工程Sp2cでは、例えば、
図11で示されるように、ラミネータ装置200によって、第1面1bs上において、接着層Ad2と第3保護部材Pr3とを積層させた状態で、接着層Ad2によって第1面1bsに第3保護部材Pr3を接着させる。具体的には、例えば、積層体SK0における第1太陽電池パネルPn1と接着層Ad2と第3保護部材Pr3とを一体化させる。ここでは、まず、例えば、ラミネータ装置200のチャンバCm1内のホットプレートHp0上に積層体SK0を載置する。次に、ホットプレートHp0に電源Es2によって電圧を印加して、ホットプレートHp0に抵抗加熱を生じさせる。このとき、例えば、ホットプレートHp0によって積層体SK0が加熱させる。このとき、例えば、弁Vv1,Vv2の開放およびポンプPm2による吸引により、ラミネータ装置200の内部において、積層体SK0が位置している下方の空間(下空間ともいう)Ls0の気圧を、上方の空間(上空間ともいう)Us0の気圧よりも低下させる。この下空間Ls0と上空間Us0との間における気圧差によって、柔軟性を有するシート状のダイアフラムDf1が、治具Jg1上に押圧力を加えるように変形する。これにより、積層体SK0を加熱した状態で、治具Jg1を介して第3保護部材Pr3を第2保護部材Pr2に向けて押圧することで、補修前の第1太陽電池モジュール1と、接着層Ad2と、第3保護部材Pr3と、を一体化させるラミネート処理が行われる。
【0050】
このようにして、例えば、接着層Ad2および第3保護部材Pr3を、端子ボックスBx1を避けるように位置させることができる。このため、使用済みの第1太陽電池モジュール1から端子ボックスBx1を取り外すことなく、使用済みの第1太陽電池モジュール1における第2保護部材Pr2の上側に接着層Ad2および第3保護部材Pr3を容易に配置することができる。換言すれば、例えば、使用済みの第1太陽電池モジュール1における第2保護部材Pr2側の補修に要する加工工数を低減することができる。これにより、例えば、劣化によって透湿性が増大した第2保護部材Pr2を透湿性が低い第3保護部材Pr3によって容易に補強することができる。その結果、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の使用可能な期間を容易に延ばすことができる。
【0051】
ところで、例えば、上記第2工程Sp2において、第2保護部材Pr2、第3保護部材Pr3および端子ボックスBx1を平面透視した場合を想定する。この場合に、第3保護部材Pr3の第2内縁部分Ip22が端子ボックスBx1から離れている状態で、接着層Ad2によって第1面1bsに第3保護部材Pr3を接着させることが考えられる。これにより、使用済みの第1太陽電池モジュール1の第2保護部材Pr2の上側に第3保護部材Pr3を配置する際に、端子ボックスBx1に第3保護部材Pr3が接触しにくい。このため、使用済みの第1太陽電池モジュール1の第2保護部材Pr2の上側に第3保護部材Pr3を容易に配置することができる。これにより、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の使用可能な期間を容易に延ばすことができる。
【0052】
また、例えば、補修前の第1太陽電池モジュール1は、上述した補修後の第2太陽電池モジュール2(
図1から
図4(b))と同様に、複数の第1配線材Tb1と、N枚の太陽電池素子Cl1と、を備えている。ここで、
図1、
図4(a)および
図4(b)の例では、複数の第1配線材Tb1のそれぞれが、N枚の太陽電池素子Cl1のうちの隣り合う太陽電池素子Cl1の第1出力取出電極Oe1と第2出力取出電極Oe2とを電気的に接続している状態で位置している。具体的には、各太陽電池素子Cl1において、第1配線材Tb1が、第1出力取出電極Oe1に接続している第1接続部Ct1と、第2出力取出電極Oe2に接続している第2接続部Ct2と、を有している状態で位置している。このとき、例えば、第2工程Sp2において接着層Ad2によって第3保護部材Pr3を第1面1bsに接着する際に、第3保護部材Pr3および第2接続部Ct2を平面透視した場合を想定する。この場合には、例えば、各太陽電池素子Cl1において、第2接続部Ct2の少なくとも一部に重なるように第3保護部材Pr3が位置している構成が採用される。この構成では、例えば、全ての太陽電池素子Cl1について、第2接続部Ct2の一部が、第2保護部材Pr2の上側から第3保護部材Pr3によって覆われ得る。このため、例えば、裏面2bs側から第2接続部Ct2に向けた水分の浸入が低減され得る。これにより、例えば、各太陽電池素子Cl1において、第2接続部Ct2が全長にわたって劣化する不具合が生じにくい。このため、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の出力の低下が生じにくくなる。その結果、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の使用可能な期間を容易に延ばすことができる。
【0053】
また、第1実施形態では、例えば、補修前の第1太陽電池モジュール1は、上述した補修後の第2太陽電池モジュール2(
図1から
図4(b))と同様に、フレームFl1を備えている。ここで、
図1、
図4(a)および
図4(b)の例では、フレームFl1は、例えば、第1保護部材Pr1の周縁部(第1周縁部)Op1および第2保護部材Pr2の周縁部(第2周縁部)Op2に沿って位置している。このとき、例えば、第2工程Sp2において、第2保護部材Pr2、第3保護部材Pr3およびフレームFl1を平面透視した場合を想定する。この場合には、例えば、第3保護部材Pr3の第2外縁部分Ep22がフレームから離れている状態で、接着層Ad2によって第1面1bsに第3保護部材Pr3を接着すれば、端子ボックスBx1に第3保護部材Pr3が接触しにくい。このため、使用済みの第1太陽電池モジュール1の第2保護部材Pr2の上側から第3保護部材Pr3を容易に接着させることができる。これにより、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の使用可能な期間を容易に延ばすことができる。
【0054】
また、ここで、例えば、上述した治具Jg1が、端子ボックスBx1との接触を避けるための構造を有していてもよい。例えば、
図10(a)で示されるように、第3保護部材Pr3上に治具Jg1が配置される際に、治具Jg1のうちの第3保護部材Pr3側に位置している面(下面ともいう)Sb0に、端子ボックスBx1との接触を避けるための凹み部Rc0が存在していてもよい。この場合には、例えば、
図10(b)で示されるように、上記第2B工程Sp2bでは、凹み部Rc0を有する治具Jg1が、凹み部Rc0内の空間(内部空間ともいう)Is0に端子ボックスBx1が位置するように、第3保護部材Pr3上に配置される。これにより、例えば、ラミネータ装置200のダイアフラムDf1によって、治具Jg1を介して、端子ボックスBx1を避けつつ、第3保護部材Pr3と接着層Ad2とを第2保護部材Pr2に向けて容易に押圧させることができる。その結果、例えば、補修前の第1太陽電池モジュール1と、第3保護部材Pr3と、接着層Ad2と、を容易に一体化させることができる。
【0055】
また、ここで、例えば、上述した治具Jg1が、下面Sb0において、第3保護部材Pr3のうちの第2内縁部分Ip22に沿った第2周縁領域Ot3を押下するために、−Z方向に突起している第1突起部Pj1を有していてもよい。また、例えば、上述した治具Jg1が、下面Sb0において、第3保護部材Pr3のうちの第2外縁部分Ep22に沿った第2周縁領域Ot3を押下するために、−Z方向に突起している第2突起部Pj2を有していてもよい。具体的には、例えば、下面Sb0を平面視した場合に、第1突起部Pj1は、下面Sb0のうちの凹み部Rc0に沿って環状に位置している。また、例えば、下面Sb0を平面視した場合に、第2突起部Pj2は、下面Sb0の外周部に沿って環状に位置している。このような第1突起部Pj1および第2突起部Pj2が存在していれば、例えば、ラミネート処理が行われる際に、第3保護部材Pr3のうちの第2中央領域Cn3よりも第2周縁領域Ot3の方が−Z方向により押し下げられる。これにより、例えば、
図3で示されたように、接着層Ad2では、第1周縁領域Ot2の厚さが、第1中央領域Cn2の厚さよりも小さくなり、第3保護部材Pr3では、第2中央領域Cn3よりも第2周縁領域Ot3が、第2保護部材Pr2に接近している状態となり得る。
【0056】
また、ここで、例えば、第3保護部材Pr3が柔軟性を有するシート状の部材である場合に、上記第2B工程Sp2bにおいて治具Jg1のうちの第3保護部材Pr3と接触する部位(接触部位ともいう)Rp0が、樹脂製の弾性体によって構成されていてもよい。換言すれば、例えば、第3保護部材Pr3として、柔軟性を有するシート状の部材を含むものを用いる場合に、治具Jg1として、上記第2工程Sp2において第3保護部材Pr3と接触する部位が、樹脂製の弾性体によって構成されているものが用いられてもよい。この場合には、例えば、補修前の第1太陽電池モジュール1の第2保護部材Pr2の第1面1bsに、太陽電池素子Cl1、第1配線材Tb1および第2配線材Tb2などの存在に応じた凹凸が存在していても、この凹凸に合わせて治具Jg1の表面が変形し得る。これにより、例えば、第2保護部材Pr2の第1面1bsの凹凸に沿って接着層Ad2および第3保護部材Pr3を押圧および変形させることが可能となる。その結果、例えば、ラミネート処理において、第2保護部材Pr2と第3保護部材Pr3との間に気泡などの空隙が生じにくく、第2保護部材Pr2に対する接着層Ad2および第3保護部材Pr3の密着性が高まり得る。したがって、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の使用可能な期間を容易に延ばすことができる。ここでは、例えば、治具Jg1の全体あるいは治具Jg1の下面Sb0に沿った接触部位Rp0が、樹脂製の弾性体によって構成される構成が考えられる。樹脂製の弾性体には、例えば、エチレンとプロピレンと少量のジエンとを含む三元共重合体(EPDM)のスポンジなどが適用される。
【0057】
また、ここで、例えば、
図12(a)で示されるように、治具Jg1は、凹み部Rc0の代わりに、端子ボックスBx1との接触を避けるために、この治具Jg1を貫通している孔部(貫通孔部ともいう)Th0を有していてもよい。この場合には、例えば、
図12(b)で示されるように、上記第2B工程Sp2bでは、貫通孔部Th0を有する治具Jg1が、貫通孔部Th0内の空間(内部空間)Is0に端子ボックスBx1が位置するように、第3保護部材Pr3上に配置される。
【0058】
<1−3.第1実施形態のまとめ>
以上のように、第1実施形態に係る補修後の第2太陽電池モジュール2は、例えば、補修前の第1太陽電池モジュール1と、この第1太陽電池モジュール1の裏面としての第1面1bs上に位置している、接着層Ad2および第3保護部材Pr3と、を備えている。このため、例えば、補修前の第1太陽電池モジュール1の第1面1bs上に接着層Ad2によって第3保護部材Pr3を接着させることで、使用済みの第1太陽電池モジュール1の使用可能な期間を延ばすことができる。これにより、例えば、使用済みの第1太陽電池モジュール1における第2保護部材Pr2側の補修に要する加工工数が低減され得る。その結果、例えば、補修後の太陽電池モジュール2の使用可能な期間(寿命ともいう)が容易に延ばされ得る。したがって、第1実施形態に係る第2太陽電池モジュール2は、例えば、使用済みの第1太陽電池モジュール1を補修して再利用を図る上で、再利用に適した構造を有していると言える。
【0059】
また、第1実施形態に係る第2太陽電池モジュール2の製造方法では、例えば、第1太陽電池モジュール1の第1面1bs上に、接着層Ad2と第3保護部材Pr3とが積層された状態で、接着層Ad2によって第1面1bsに第3保護部材Pr3が接着される。このとき、例えば、第1孔部H21の第1内縁部分Ip21および第2孔部H22の第2内縁部分Ip22が、それぞれ端子ボックスBx1の周囲に沿って位置するように、第1面1bs上に接着層Ad2および第3保護部材Pr3が積層される。このように、第1太陽電池モジュール1の第1面1bs上に接着層Ad2と第3保護部材Pr3とを積層させる際に、例えば、接着層Ad2および第3保護部材Pr3を、端子ボックスBx1を避けるように位置させる。このため、例えば、使用済みの第1太陽電池モジュール1から端子ボックスBx1を取り外すことなく、使用済みの第1太陽電池モジュール1における第2保護部材Pr2の上側に接着層Ad2および第3保護部材Pr3を容易に配置することができる。これにより、例えば、使用済みの第1太陽電池モジュール1における第2保護部材Pr2側の補修に要する加工工数が低減され得る。その結果、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の使用可能な期間が容易に延ばされ得る。
【0060】
<2.他の実施形態>
本開示は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
【0061】
<2−1.第2実施形態>
上記第1実施形態において、例えば、
図13で示されるように、第3保護部材Pr3が、金属層Ml1と、この金属層Ml1を挟んでいる状態で位置している第1樹脂層Rl1および第2樹脂層Rl2と、を有している、第3保護部材Pr3Aに置換されてもよい。この場合には、
図14および
図15で示されるように、例えば、第3保護部材Pr3Aの第2外縁部分Ep22を覆っている状態で位置している、絶縁部材Ri3が存在していてもよい。ここでは、例えば、第3保護部材Pr3が金属層Ml1を有しているため、第3保護部材Pr3の透湿性が低下し得る。これにより、例えば、接着層Ad2および第2保護部材Pr2を経由した封止材Sl1への水分の浸入が低減され得る。その結果、例えば、補修後の太陽電池モジュール2の使用可能な期間(寿命ともいう)を容易に延ばすことができる。また、例えば、金属層Ml1を有する第3保護部材Pr3Aの第2外縁部分Ep22が絶縁部材Ri3で覆われていれば、第2太陽電池モジュール2において、雨水などの影響に拘わらず、フレームFl1と金属層Ml1との間における絶縁抵抗が向上し得る。これにより、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の出力の低下が生じにくくなる。
【0062】
ここで、金属層Ml1には、例えば、アルミニウム箔、鉄箔に亜鉛のメッキ処理を施した亜鉛メッキ鉄箔、鉄箔に錫のメッキ処理を施した錫メッキ鉄箔、およびステンレス箔などが適用され得る。絶縁部材Ri3は、例えば、第3保護部材Pr3Aの第2外縁部分Ep22に沿った円環状の領域に位置している。絶縁部材Ri3の材料には、例えば、架橋ポリエチレン、エポキシ樹脂、塩化ビニルおよび合成ゴムなどの種々の絶縁材料が適用され得る。この絶縁材料には、例えば、固体絶縁材料が適用される。固体絶縁材料には、例えば、有機繊維質材料および無機固体絶縁材料が含まれる。有機繊維質材料には、例えば、紙、綿、ポリエステルおよびナイロンなどの合成繊維または天然の繊維が含まれる。紙は絶縁油に浸されることで透湿性が低下し得る。無機固体絶縁材料には、例えば、雲母(うんも)、セラミック、ガラスおよびアスベストなどが含まれる。絶縁抵抗およびこの絶縁抵抗の測定方法は、例えば、日本工業規格(JIS)C8951:2011で規定されている。
【0063】
<2−2.第3実施形態>
上記各実施形態において、例えば、
図16で示されるように、第1太陽電池モジュール1および第2太陽電池モジュール2は、フレームFl1を備えていなくてもよい。この場合には、例えば、第1太陽電池モジュール1は、第1太陽電池パネルPn1と同等なものとなり、第2太陽電池モジュール2は、第2太陽電池パネルPn2と同等なものとなり得る。
【0064】
<2−3.第4実施形態>
上記各実施形態において、例えば、
図17で示されるように、接着層Ad2の第1孔部H21は、この接着層Ad2の端部に位置している、第1内縁部分Ip21Cを有している第1欠け部H21Cに置換されてもよい。この第1欠け部H21Cは、例えば、
図17で示されるように接着層Ad2を平面透視した場合に、接着層Ad2の外周部分が切り欠かれて凹んでいるような形態を有している部分である。
図17の例では、接着層Ad2を平面透視した場合に、第1欠け部H21Cは、接着層Ad2の外周部分のうち、矩形状の領域を基準として凹んでいる形状を有している部分である。そして、
図17の例では、第1内縁部分Ip21Cは、U字状の部分である。このとき、第3保護部材Pr3の第2孔部H22は、この第3保護部材Pr3の端部に位置している、第2内縁部分Ip22Cを有している第2欠け部H22Cに置換されてもよい。この第2欠け部H22Cは、例えば、
図17で示されるように第3保護部材Pr3を平面視した場合に、第3保護部材Pr3の外周部分が切り欠かれて凹んでいるような形態を有している部分である。
図17の例では、第3保護部材Pr3を平面視した場合に、第2欠け部H22Cは、第3保護部材Pr3の外周部分のうち、矩形状の領域を基準として凹んでいる形状を有している部分である。そして、
図17の例では、第2内縁部分Ip22Cは、U字状の部分である。ここで、例えば、
図17で示されるように、第3保護部材Pr3、接着層Ad2および端子ボックスBx1を平面透視した場合を想定する。この場合には、例えば、接着層Ad2の第1欠け部H21Cは、端子ボックスBx1の周囲の一部分(例えば、4つの側面のうちの3つの側面の部分)に沿って凹んでいる状態で位置している第1内縁部分Ip21Cを有している。また、例えば、第3保護部材Pr3の第2欠け部H22Cは、端子ボックスBx1の周囲の一部分(例えば、4つの側面のうちの3つの側面の部分)に沿って凹んでいる状態で位置している第2内縁部分Ip22Cを有している。このような構成が採用されても、例えば、補修前の第1太陽電池モジュール1の裏面としての第1面1bs上に接着層Ad2によって第3保護部材Pr3を接着させることで、使用済みの第1太陽電池モジュール1の使用可能な期間を延ばすことができる。これにより、例えば、使用済みの第1太陽電池モジュール1における第2保護部材Pr2側の補修に要する加工工数が低減され得る。その結果、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の使用可能な期間(寿命ともいう)を容易に延ばすことができる。
【0065】
上記構成が採用される場合には、例えば、上記第2工程Sp2において、第2保護部材Pr2の第1面1bs上において、端子ボックスBx1の周囲に沿って、接着層Ad2の第1欠け部H21Cの第1内縁部分Ip21Cが位置される。また、端子ボックスBx1の周囲に沿って、第3保護部材Pr3の第2欠け部H22Cの第2内縁部分Ip22Cが位置される。このため、端子ボックスBx1の周囲に沿って、接着層Ad2の第1欠け部H21Cの第1内縁部分Ip21Cおよび第3保護部材Pr3の第2欠け部H22Cの第2内縁部分Ip22Cが位置するように、第1面1bs上に接着層Ad2と第3保護部材Pr3とが積層された状態とされる。そして、この状態で、ラミネート処理などにより、接着層Ad2によって第1面1bsに第3保護部材Pr3を接着させることができる。このような構成が採用されても、例えば、第1太陽電池モジュール1の第1面1bs上に接着層Ad2と第3保護部材Pr3とを積層させる際に、接着層Ad2および第3保護部材Pr3を、端子ボックスBx1を避けるように位置させことができる。このため、使用済みの第1太陽電池モジュール1から端子ボックスBx1を取り外すことなく、使用済みの第1太陽電池モジュール1における第2保護部材Pr2の上側に接着層Ad2および第3保護部材Pr3を容易に配置することができる。これにより、例えば、使用済みの第1太陽電池モジュール1における第2保護部材Pr2側の補修に要する加工工数が低減され得る。したがって、例えば、補修後の第2太陽電池モジュール2の使用可能な期間が容易に延ばされ得る。
【0066】
<3.その他>
上記各実施形態では、例えば、第3保護部材Pr3に予め接着されている状態にある接着層Ad2によって、第2保護部材Pr2の第1面1bs上に、第3保護部材Pr3が接着されてもよい。この場合には、例えば、第2保護部材Pr2の第1面1bs上に、シールを貼付するような形態で、第3保護部材Pr3が貼付されてもよい。
【0067】
上記各実施形態では、例えば、接着層Ad2および第3保護部材Pr3の一部が、端子ボックスBx1およびフレームFl1の一部に接触していてもよい。
【0068】
上記各実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。