(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
頭髪の洗浄を目的とするいわゆるシャンプーには、整髪料の影響を排除し、一本一本の毛髪を確実に洗浄するために、単なる皮膚洗浄料よりも高い洗浄力を必要としている。また消費者は豊かな泡量を好むため、洗髪時の泡量や泡の持続力が必要である。
さらにまた、頭部は身体の最上部に位置することから、洗髪に際し、容器から洗浄料を手に取り、頭部に移送する際、垂れ落ちの危険性が高く、指の間から垂れ落ちない程度の粘度が必要である。
さらに、洗浄成分によっては、毛髪のきしみや、毛髪の絡まりが生じやすくなることも指摘されている。そして、毛髪相互の絡まりの程度が大きくなると枝毛や裂毛を生じることがあるため、洗浄後のすすぎ時には高い指通り性が実現できることが求められる。
【0003】
毛髪洗浄用組成物にアミノ酸系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン化ポリマーの3成分を配合すると、すすぎに際してアミノ酸系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン化ポリマーによって水不溶性のコアセルベート(潤滑粒子)が形成されて指通りが良くなることが知られている(非特許文献1)。
【0004】
一方、近年使用されるシャンプーは、消費者のナチュラル志向を背景に、低刺激のものが好まれる傾向にある。このようなシャンプーとしては、低刺激の洗浄成分としてアミノ酸系界面活性剤を配合したものが主流となっている。しかし、アミノ酸系界面活性剤は刺激性が低いという利点があるものの、洗浄剤の泡立ちの速さや泡の弾力、あるいは洗浄剤の粘度は、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩などの硫酸エステル型界面活性剤と比べて劣ることが知られている。特に、シャンプーの基本機能として重要な特性である指の間から垂れ落ちない程度の粘度を維持するために、アミノ酸系界面活性剤を配合した毛髪洗浄用組成物において、粘度低下の改善方法がいくつか提案されている。
【0005】
特許文献1には、アミノ酸系界面活性剤であるアシルグルタミン酸塩と両性界面活性剤、カチオン化ポリマーに特定のノニオン性界面活性剤を多量に配合することで粘度低下を抑制できることが記載されている。しかし、この発明の組成物は粘度や、すすぎ時の指通りは良いが、洗浄後の髪の仕上がり時にごわつき感が発生することや、組成物の低温時の増粘、高温時の減粘が著しいという問題が指摘されている。
【0006】
特許文献2には、アミノ酸系界面活性剤を配合した液体洗浄剤の粘度低下を抑制するための増粘性組成物が記載されている。この組成物は、アミノ酸系界面活性剤に(A)(メタ)アクリル酸、(B)アルキル基の炭素数が1〜4である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(C)CH
2=CRC(O)−(OCH
2CH
2)
n−OC
mH
2m+1の構造を有する(メタ)アクリル酸(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)エステルを配合すると、アミノ酸型界面活性剤を含む増粘性組成物を得ることができ、この組成物はシャンプーや液体洗浄料に適していることが記載されている。しかし、この組成物は、粘度向上に効果はあるものの、洗浄後のすすぎ時の指通りや、洗浄後の髪の仕上がりのべたつき感の発生、さらには製品の日光曝露による経時的な粘度低下が著しいという問題があった。
【0007】
すなわち従来の技術にあっては、アミノ酸系界面活性剤を配合した毛髪洗浄用組成物の粘度、洗浄時の泡立ち、すすぎ時の指通り性の3項目は、互いにトレードオフの関係にあり、この3項目を満足させた組成物を得ることは困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、アミノ酸系界面活性剤を配合した毛髪洗浄用組成物において、粘度、洗浄時の泡立ち、すすぎ時の指通り性の3項目に優れた毛髪洗浄用組成物を得ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の構成である。
1.(a)中性N−アシルアミノ酸塩
(b)酸性N−アシルアミノ酸塩
(c)両性界面活性剤
(d)ノニオン性界面活性剤
(e)カチオン性ポリマーを含有し
(a)/(b)=4〜10
{(a)+(b)}/(c)=0.7〜1.5である毛髪洗浄用組成物。
2.(c)両性界面活性剤がアミドスルホベタイン型の両性界面活性剤である1に記載の毛髪洗浄用組成物。
3.(a)中性N−アシルアミノ酸塩がN−アシルメチルアラニン塩及び/又はN−アシルアラニン塩を含有する1又は2に記載の毛髪洗浄用組成物。
4.(b)酸性N−アシルアミノ酸塩がN−アシルグルタミン酸塩及び/又はN−アシルアスパラギン酸塩を含有する1〜3のいずれかに記載の毛髪洗浄用組成物。
5.(c)両性界面活性剤がラウラミドプロピルヒドロキシスルタインを含有する1〜4のいずれかに記載の毛髪洗浄用組成物。
6.(d)ノニオン性界面活性剤を0.1〜3質量%含有する1〜5のいずれかに記載の毛髪洗浄用組成物。
7.(d)ノニオン性界面活性剤がポリオキシエチレンセトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテルを含有する1〜6のいずれかに記載の毛髪洗浄用組成物。
8.(e)カチオン性ポリマーを0.1〜2質量%含有する1〜7のいずれかに記載の毛髪洗浄用組成物。
9.(e)カチオン性ポリマーがヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及び/又はポリクオタニウム−10を含有する1〜8のいずれかに記載の毛髪洗浄用組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成をとることでアミノ酸系界面活性剤を配合した毛髪洗浄用組成物において、製品の粘度、洗浄時の泡立ち、すすぎ時の指通り性に優れた毛髪洗浄用組成物を得ることができる。本発明の毛髪洗浄用組成物は、手に取ったときの指だれがなく、洗浄に際して十分な泡立ちを有し、洗髪後すすぎ時の指通り性が良く、髪のきしみ感がなく、さらに髪を乾燥させたときのゴワつき感がない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、以下の構成をとる毛髪洗浄用組成物に関する。
(a)中性N−アシルアミノ酸塩、
(b)酸性N−アシルアミノ酸塩、
(c)両性界面活性剤、
(d)ノニオン性界面活性剤、
(e)カチオン性ポリマーを含有し、
(a)/(b)=4〜10
{(a)+(b)}/(c)=0.7〜1.5である毛髪洗浄用組成物。
本発明で用いる(a)中性N−アシルアミノ酸塩とはN−アシル中性アミノ酸塩とも呼ばれる。N−アシル基を有する中性アミノ酸の塩である。
塩としては特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛との塩等の無機塩、あるいはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩や、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等の有機塩が挙げられる。これらのうち1種類を使用してもよいし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0014】
アシル基としては、炭素原子数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸より誘導される、直鎖のものを使用できる。例えば、脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。これらのうち1種類を使用してもよいし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸が好ましく、特に好ましくはラウリン酸、ヤシ油脂肪酸である。
中性アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、プロリン、β−アラニン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、ザルコシン、N−メチル−β−アラニン等が挙げられる。水系への溶解性の観点から、好ましいのは、グリシン、アラニン、 β−アラニン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、ザルコシンおよびN−メチル−β−アラニンであり、特に好ましくはアラニンである。
中性N−アシルアミノ酸塩としては、ココイルグリシンナトリウム、ココイルアラニンナトリウム、ココイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルグリシンナトリウム、ラウロイルアラニンナトリウムが挙げられる。ココイルアラニンナトリウム、ココイルメチルアラニンナトリウムが特に好ましい。
本発明で用いる(a)中性N−アシルアミノ酸塩は、市販品を用いることができる。例えば、川研ファインケミカル(株)製のアラノンACE(ココイルメチルアラニンナトリウム25質量%、水75質量%)、味の素(株)製のアミライトACS−12(ココイルアラニンナトリウム30質量%、水70質量%)を用いることができる。
【0015】
本発明で用いる(b)成分の酸性N−アシルアミノ酸塩とはN−アシル酸性アミノ酸塩とも呼ばれる。N−アシル基を有する酸性アミノ酸の塩である。
塩としては特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛との塩等の無機塩、あるいはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩や、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等の有機塩が挙げられる。これらのうち1種類を使用してもよいし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0016】
アシル基としては、炭素原子数8〜22の飽和または不飽和脂肪酸より誘導される、直鎖のものを使用できる。例えば、脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。またアシル基としてヤシ脂肪酸/パーム脂肪酸/ヒマワリ脂肪酸を導入したものが挙げられる。これは特許第4257442号公報あるいは特許第4770286号公報に記載された方法で製造することができる。これらのうち1種類を使用してもよいし、上記群から選ばれる2種以上を混合して使用しても構わない。特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、ヤシ脂肪酸/パーム脂肪酸/ヒマワリ脂肪酸が好ましく、特に好ましくはラウリン酸、ヤシ油脂肪酸、ヤシ脂肪酸/パーム脂肪酸/ヒマワリ脂肪酸である。
酸性アミノ酸としては、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられる。
酸性N−アシルアミノ酸塩としては、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸2ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ココイルアスパラギン酸ナトリウム、ココイルアスパラギン酸カリウム、(ヤシ脂肪酸/パーム脂肪酸/ヒマワリ脂肪酸)グルタミン酸ナトリウム、(ヤシ脂肪酸/パーム脂肪酸/ヒマワリ脂肪酸)アスパラギン酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムが挙げられる。特に、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸2ナトリウム、(ヤシ脂肪酸/パーム脂肪酸/ヒマワリ脂肪酸)グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムが好ましい。
本発明で用いる(b)酸性N−アシルアミノ酸塩は、市販品を用いることができる。例えば、旭化成ファインケム(株)製のアミノフォーマーFLDS−L(ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム25質量%、水75質量%)、味の素(株)製のアミソフトCS−22(ココイルグルタミン酸2ナトリウム30質量%、水70質量%)を用いることができる。なお、アミソフトCS−22の表示名称はココイルグルタミン酸2ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウムである。
【0017】
(c)成分の両性界面活性剤としては、アミノ酢酸ベタイン型界面活性剤(例、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヒドロキシアルキル(C12-14)ヒドロキシエチルサルコシン、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン)、イミダゾリニウムベタイン型界面活性剤(例、ココアンホ酢酸、ラウロアンホ酢酸、ココアンホジ酢酸、ラウロアンホジ酢酸、ラウラミノプロピオン酸等のナトリウム塩等)、アルキルベタイン型界面活性剤、ラウロイルアルギニン、脂肪酸アミドプロピルベタイン型界面活性剤(例、コカミドプロピルベタイン等)、スルタイン型界面活性剤等が挙げられる。なかでもアミドスルホベタイン型の両性界面活性剤、特にラウラミドスルホキシスルタインが好ましい。本発明で用いる(c)両性界面活性剤は、市販品を用いることができ、例えば、川研ファインケミカル(株)製のソフタゾリンLSB−R(ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン29質量%、水71質量%)を用いることができる。
【0018】
(d)成分のノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンセトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテル(セテアレス−60ミリスチルグリコール)が好ましい。本発明で用いる(d)ノニオン性界面活性剤は、市販品を用いることができ、例えば、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のエルファコスGT−282(セテアレス−60ミリスチルグリコール)を用いることができる。
【0019】
(e)成分のカチオン性ポリマーとしては、水溶性カチオン性高分子が好ましい。具体的には、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−44、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−52、ポリクオタニウム−55、ポリクオタニウム−64、ポリクオタニウム−67、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、VP/メタクリル酸ジメチルアミノエチル)コポリマー、(アクリル酸アミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリル酸アミド)コポリマー、(シリコーンクオタニウム−16/グリシドキシジメチコン)クロスポリマー、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体が挙げられる。ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム−10が好ましく、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドが特に好ましい。本発明で用いる(e)カチオン性ポリマーは、市販品を用いることができ、例えば、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドとしては、Solvay Novecare社製のJAGUAR C−162(ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)を用いることができる。ポリクオタニウム−10としては、アクゾノーベル(株)製のセルコート SC230M(カチオン化セルロース)を用いることができる。
【0020】
本発明において、成分(a)と成分(b)の配合比率は(a)/(b)=4〜10であり、かつ成分(a)と成分(b)の合計量と成分(c)との配合比率は{(a)+(b)}/(c)=0.7〜1.5とすることが必須である。
なお、本発明の毛髪洗浄用組成物において、経済性を考慮すると成分(a)〜(e)の好ましい配合量は次のとおりである。
(a)成分の含有量は、組成物全量に対して1〜10質量%、好ましくは4〜6質量%である。
(b)成分の含有量は、組成物全量に対して0.1〜3質量%、好ましくは0.5〜1.2質量%である。
(c)成分の含有量は、組成物全量に対して1〜10質量%、好ましくは4〜7質量%である。
【0021】
(d)成分の含有量は、組成物全量に対して0.1〜3質量%である。好ましくは0.5〜2質量%、より好ましくは1〜1.8質量%である。
(e)成分の含有量は、組成物全量に対して0.1〜2質量%である。好ましくは0.3〜0.7質量%である。
【0022】
本発明の組成物のpHは特に限定されないが、皮膚への安全性や組成物の安定性を考慮するとpH4〜8、より好ましくはpH5〜7とすることが好ましい。pHの調整には、化粧料で用いられるものであればいずれでもよいが、クエン酸を用いることが好ましい。
【0023】
本発明の組成物の形状は、液状、ゲル状、ゼリー状とすることができる。
【0024】
本発明の組成物を洗浄剤とするとき、液状洗浄剤、ゲル状洗浄剤、ゼリー状洗浄剤が好ましく、液状洗浄剤がより好ましい。具体的には、シャンプーである。
【0025】
本発明の組成物の洗浄剤は、通常洗浄剤に添加できる成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。具体的には、油剤、キレート剤、アミノ酸類、ポリアミノ酸およびその塩、糖アルコールおよびそのアルキレンオキシド付加物、低級アルコール、動植物抽出物、核酸、ビタミン、酵素、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、色素、酸化染料、pH調整剤、パール化剤、湿潤剤等が挙げられる。
本発明の毛髪洗浄用組成物は、常法に従って製造することができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の毛髪洗浄用組成物について詳細に説明する。
【実施例】
【0026】
表1に示す組成の実施例1〜10の毛髪洗浄用組成物(洗髪用シャンプー)を下記の方法により調製した。また表2に示す組成の比較例1〜9の毛髪洗浄用組成物(洗髪用シャンプー)を同様の方法で調製した。
(調製方法)
(1)80℃に加熱混合した(a)、(b)、(c)、(d)に先に精製水に分散した(e)を徐々に添加し80℃で均一撹拌する。
(2)(1)を30℃まで冷却しpH調整剤(クエン酸)をpH6になるまで加えて均一混合し洗浄用組成物とした。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
(1)試験方法
調製した毛髪洗浄用組成物について、粘度、洗髪時の指通り、泡立ちの3項目を次の試験法によって評価した。
<粘度>
試料(100mL)をB型粘度計(ローターNo.2、回転数12rpm、25±2℃) に入れ、ローター回転開始から30秒間経過後の試料粘度を測定した。表には実測値を記載した。
粘度が500mPa・s以上の試料を適切な粘性であると判断したが、500mPa・sという基準値は、容器から手に取ったときに指だれしないと確認できた最低粘度である。なお、粘度が3000mPa・sを超えると容器から出にくくなる恐れが高まる。容器からの出しやすさも考慮すると、毛髪洗浄用組成物の粘度は500〜3000mPa・sが好ましい。
【0030】
<洗髪時の指通り>
試料を10倍量の精製水で希釈し、MS3 Basic Small Shaker(イカジャパン(株)製)にて撹拌した後、1分間静置し泡が混入しないように分光光度計用セルに溶液を注入し、420nmにおける透過率(%、光路長1cm、25℃)をUV/VIS分光光度計UV−2450((株)島津製作所製)により測定した。得られた値を元に、濁度(%)を以下の式(1)にて算出し、濁度90%以上の試料を洗髪時の指通りが優れていると評価する基準値とした。
濁度(%)=100−透過率(%)
濁度90%は、非特許文献1で明示されているとおり、指通りの良さを左右するコアセルベーションの形成が促進されて、洗髪後のすすぎ時の指通り性が良く、髪のきしみ感がなく、さらに髪を乾燥させたときのゴワつき感を与えない境界値である。
【0031】
<泡立ち>
試料を10倍量の精製水で希釈し、希釈液50gをミルサーIFM−100(岩谷産業(株)製)にて50秒撹拌、3分静置した後の泡の高さ(cm)を測定した。この試験法は、実使用での官能試験による泡立ち評価結果とよく相関しており、その実績から本試験で泡量が8cm以上の場合、泡立ちに優れていると判断した。すなわち、表中、評価「○」とあるのは泡量が8cm以上あり泡量が優れているもの、評価「×」とあるのは泡量が8cmに満たず泡量が少ないものである。
【0032】
(2)試験結果
試験結果は表1、表2に示した。
【0033】
表1に示したとおり、実施例1〜10の毛髪洗浄用組成物は、粘度、指通り、泡立ちの3つの項目のすべてが優れていた。
一方、表2に示したとおり比較例1〜9の毛髪洗浄用組成物は粘度、指通り、泡立ちの、いずれかの項目あるいは2つ以上の項目が基準に満たず劣っていた。具体的には、(b)成分を含まない組成の比較例1〜3は、洗髪時の指通り試験結果が境界とした濁度90%の基準を下回った。そして洗髪後のすすぎ時の指通り性が悪く、髪のきしみ感があり、さらに髪を乾燥させたときにゴワついた。(a)成分を含まない組成の比較例4は、泡立ち(泡量)が悪く、粘度も300mPa・sと低く、指だれした。比較例5はココイルメチルタウリンNaを配合した組成であるが、洗髪時の指通り試験結果が境界とした濁度90%の基準を下回り、洗髪後のすすぎ時の指通り性が悪く、髪のきしみ感があり、さらに髪を乾燥させたときにゴワついた。比較例6〜9は、成分(a)と成分(b)の配合比率:(a)/(b)、成分(a)と成分(b)の合計量と成分(c)との配合比率:{(a)+(b)}/(c)が本発明の範囲を外れた組成であるが、粘度が500mPa・s未満と低く指だれした。さらに比較例9は洗髪時の指通り試験結果が境界とした濁度90%の基準を下回り、洗髪後のすすぎ時の指通り性が悪く、髪のきしみ感があり、さらに髪を乾燥させたときにゴワついた。
なお、比較例4、6〜9については、前述のとおり粘度が500mPa・s未満と低く指だれしたので、これを(d)セテアレス−60ミリスチルグリコールの増量(水の一部を置き換えて2%以上の配合とした)で改善できないかさらに実験を行ったが、組成物の粘度は500mPa・sを超えたものの泡立ちが悪化してしまい、目的とする3つの項目(粘度、洗髪時の指通り、泡立ち)のすべてに優れた毛髪洗浄用組成物は得られなかった。
【0034】
以上の結果から、アミノ酸系界面活性剤を用いて、毛髪洗浄用組成物を調製する場合に、粘度、洗髪時の指通り、泡立ちの3項目すべてに優れる毛髪洗浄用組成物を得るためには、(a)中性N−アシルアミノ酸塩、(b)酸性N−アシルアミノ酸塩、(c)両性界面活性剤、(d)ノニオン性界面活性剤、(e)カチオン性ポリマーを配合し、(a)/(b)=4〜10、{(a)+(b)}/(c)=0.7〜1.5にすることで達成できることがわかった。