特許第6957364号(P6957364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6957364-部品実装機、部品実装方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957364
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】部品実装機、部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20211021BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   H05K13/04 Z
   H05K13/04 P
   H05K13/02 U
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-3101(P2018-3101)
(22)【出願日】2018年1月12日
(65)【公開番号】特開2019-125610(P2019-125610A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2020年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】松下 大輔
(72)【発明者】
【氏名】上杉 明靖
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−28151(JP,A)
【文献】 特開2011−199048(JP,A)
【文献】 特開2008−98386(JP,A)
【文献】 特開2000−31694(JP,A)
【文献】 実開平2−94035(JP,U)
【文献】 特開2011−77207(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2302992(EP,A1)
【文献】 特開2003−158397(JP,A)
【文献】 特開2010−135517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
待機位置、実装位置および出口位置が順番に基板搬送方向に並ぶ基板搬送部と、
部品を供給する部品供給部と、
前記部品供給部により供給された部品をピックアップして、前記基板搬送部により前記実装位置に保持された基板に実装する実装処理を実行する実装ヘッドと、
前記実装処理で前記基板に部品を実装する手順を示す実装プログラムを読み込んで記憶する記憶部を有し、前記記憶部に記憶された前記実装プログラムに基づき前記実装ヘッドによる前記実装処理を制御する制御部と
を備え、
一の基板に対する前記実装処理が、前記記憶部に記憶された前記一の基板用の前記実装プログラムである一の実装プログラムに基づき実行されると、前記一の基板と異なる種類の次の基板が前記基板搬送方向の上流から前記実装位置に搬送されて、前記次の基板に対する前記実装処理が、前記記憶部に記憶された前記次の基板用の前記実装プログラムである次の実装プログラムに基づき実行され、
前記基板搬送部は、前記実装ヘッドが前記一の基板に前記一の実装プログラムに基づく前記実装処理を実行中に前記次の基板を前記待機位置に搬入する事前搬入を実行可能であり、前記実装ヘッドが前記一の基板に前記一の実装プログラムに基づく前記実装処理を完了すると、前記実装位置から前記出口位置へ前記一の基板の搬送を開始し、
前記制御部は、前記一の基板に対する前記実装処理の開始から前記一の基板の前記出口位置への到達までに、前記記憶部への前記次の実装プログラムの読み込みを開始する部品実装機。
【請求項2】
前記基板搬送部は、前記一の基板の前記出口位置への搬送の開始から前記出口位置への到達までに、前記次の基板の前記待機位置から前記実装位置への搬送を開始する請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記基板搬送部は、前記基板搬送方向において前記実装位置より下流であって前記出口位置より上流の所定位置に、前記出口位置へ向けて搬送中の前記一の基板が到達すると、前記次の基板の前記待機位置から前記実装位置への搬送を開始する請求項2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記制御部は、前記事前搬入の開始に伴って、前記記憶部への前記次の実装プログラムの読み込みを開始する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記制御部は、前記事前搬入の開始に伴って開始する前記次の実装プログラムの読み込みでは、前記次の実装プログラムのうち、前記次の基板に最初に実装する部品を示す情報を含む一部のみを前記記憶部に読み込む請求項4に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記制御部は、前記一の基板への前記実装処理が完了した後に、前記次の実装プログラムのうち前記一部以外の残りを前記記憶部へ読み込む請求項5に記載の部品実装機。
【請求項7】
前記実装ヘッドは、前記実装位置から前記出口位置への前記一の基板の搬送と並行して、前記次の基板に最初に実装する部品を前記部品供給部からピックアップする請求項5または6に記載の部品実装機。
【請求項8】
前記制御部は、前記実装位置から前記出口位置への前記一の基板の搬送が開始されると、前記記憶部への前記次の実装プログラムの読み込みを開始する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項9】
前記制御部は、前記基板搬送方向において前記実装位置より下流であって前記出口位置より上流の所定位置に、前記出口位置へ向けて搬送中の前記一の基板が到達すると、前記記憶部への前記次の実装プログラムの読み込みを開始する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項10】
前記実装ヘッドは、前記次の実装プログラムの前記記憶部への読み込みが完了すると、前記次の基板の前記待機位置から前記実装位置への搬送と並行して、前記次の基板に最初に実装する部品を前記部品供給部からピックアップする請求項8または9に記載の部品実装機。
【請求項11】
前記待機位置および前記実装位置は、前記基板搬送方向に直交する幅方向における幅が等しい前記基板を同時に保持可能である一方、幅が異なる前記基板を同時に保持不能であり、
前記制御部は、前記一の基板の幅と前記次の基板の幅が等しいという基板幅条件が満たされない場合には、前記基板搬送部に前記事前搬入の実行を禁止する請求項1ないし10のいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項12】
前記制御部は、前記基板幅条件が満たされる場合には、前記基板搬送部に前記事前搬入の実行を許可する請求項11に記載の部品実装機。
【請求項13】
前記実装位置には、前記基板を下方から支持する支持ピンが配置され、
前記制御部は、前記一の基板を支持するための前記支持ピンの配置態様と、前記次の基板を支持するための前記支持ピンの配置態様とが異なる場合には、前記一の基板が前記出口位置に到達した後に前記支持ピンの配置を前記実装ヘッドにより前記次の基板用に変更してから、前記次の基板の前記待機位置から前記実装位置への搬送を開始する請求項12に記載の部品実装機。
【請求項14】
前記実装位置には、前記基板を下方から支持する支持ピンが配置され、
前記制御部は、前記一の基板を支持するための前記支持ピンの配置態様と、前記次の基板を支持するための前記支持ピンの配置態様とが等しいというピン配置条件が満たされない場合には、前記基板搬送部に前記事前搬入の実行を禁止する請求項11に記載の部品実装機。
【請求項15】
前記制御部は、前記基板幅条件と前記ピン配置条件の両方が満たされる場合には、前記基板搬送部に前記事前搬入の実行を許可する請求項14に記載の部品実装機。
【請求項16】
待機位置、実装位置および出口位置が順番に基板搬送方向に並ぶ基板搬送部によって、一の基板を前記実装位置に搬送して、記憶部に記憶された一の実装プログラムに基づき前記一の基板に部品を実装する工程と、
一の基板と異なる種類の次の基板を前記基板搬送部によって前記基板搬送方向の上流から前記実装位置に搬送して、前記記憶部に記憶された次の実装プログラムに基づき前記次の基板に部品を実装する工程と
を備え、
前記一の実装プログラムに基づく部品の実装を前記一の基板に対して実行中に、前記次の基板を前記待機位置に搬入する事前搬入が実行され、
前記一の実装プログラムに基づく部品の実装が前記一の基板に対して完了すると、前記実装位置から前記出口位置へ前記一の基板の搬送が開始され、
前記一の基板に対する部品の実装の開始から前記一の基板の前記出口位置への到達までに、前記記憶部への前記次の実装プログラムの読み込みが開始される部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、実装プログラムに基づき基板に部品を実装する部品実装技術において、部品の実装対象となる基板の種類が変更された際の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装ステージに搬入した基板に部品を実装する部品実装機が知られている。かかる部品実装機は、具体的には、部品実装のシーケンスを規定する実装プログラムを読み込んで、この実装プログラムに従って基板に部品を実装する。また、特許文献1の部品実装機は、部品実装の対象となる基板の種類が変更されると、変更後の基板の種類に応じた実装プログラムを読み込んで利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−31694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品実装済みの基板を効率的に生産するためには、基板の種類が変更された後に部品実装を速やかに開始することが求められる。しかしながら、特許文献1は、基板の種類が変更された場合には変更後の基板の種類に応じた実装プログラムを読み込むといった内容を示すに過ぎず、基板生産の効率向上に大きく余地を残すものであった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、実装プログラムに基づき基板に部品を実装する部品実装技術において、部品実装の対象となる基板の種類が変更された際に基板に対する部品の実装を速やかに開始することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品実装機は、待機位置、実装位置および出口位置が順番に基板搬送方向に並ぶ基板搬送部と、部品を供給する部品供給部と、部品供給部により供給された部品をピックアップして、基板搬送部により実装位置に保持された基板に実装する実装処理を実行する実装ヘッドと、実装処理で基板に部品を実装する手順を示す実装プログラムを読み込んで記憶する記憶部を有し、記憶部に記憶された実装プログラムに基づき実装ヘッドによる実装処理を制御する制御部とを備え、一の基板に対する実装処理が、記憶部に記憶された一の基板用の実装プログラムである一の実装プログラムに基づき実行されると、一の基板と異なる種類の次の基板が基板搬送方向の上流から実装位置に搬送されて、次の基板に対する実装処理が、記憶部に記憶された次の基板用の実装プログラムである次の実装プログラムに基づき実行され、基板搬送部は、実装ヘッドが一の基板に一の実装プログラムに基づく実装処理を実行中に次の基板を待機位置に搬入する事前搬入を実行可能であり、実装ヘッドが一の基板に一の実装プログラムに基づく実装処理を完了すると、実装位置から出口位置へ一の基板の搬送を開始し、制御部は、一の基板に対する実装処理の開始から一の基板の出口位置への到達までに、記憶部への次の実装プログラムの読み込みを開始する。
【0007】
本発明に係る部品実装方法は、待機位置、実装位置および出口位置が順番に基板搬送方向に並ぶ基板搬送部によって、一の基板を実装位置に搬送して、記憶部に記憶された一の実装プログラムに基づき一の基板に部品を実装する工程と、一の基板と異なる種類の次の基板を基板搬送部によって基板搬送方向の上流から実装位置に搬送して、記憶部に記憶された次の実装プログラムに基づき次の基板に部品を実装する工程とを備え、一の実装プログラムに基づく部品の実装を一の基板に対して実行中に、次の基板を待機位置に搬入する事前搬入が実行され、一の実装プログラムに基づく部品の実装が一の基板に対して完了すると、実装位置から出口位置へ一の基板の搬送が開始され、一の基板に対する部品の実装の開始から一の基板の出口位置への到達までに、記憶部への次の実装プログラムの読み込みが開始される。
【0008】
このように構成された本発明(部品実装機、部品実装方法)では、一の実装プログラムに基づく実装処理を一の基板に対して実行中に、次の基板を待機位置に搬入する事前搬入が実行される。こうして、実装位置の基板搬送方向の上流の待機位置に予め次の基板を待機させておくことで、次の基板への部品実装の開始ために、次の基板を実装位置に速やかに搬送することが可能となる。また、一の基板に対する部品の実装の開始から一の基板の出口位置への到達までに、次の実装プログラムの読み込みが開始される。こうして、予め次の実装プログラムの読み込みを開始しておくことで、次の基板への部品実装の開始のために、次の実装プログラムを速やかに準備することが可能となる。このように本発明では、次の基板への部品実装の開始に必要となる次の基板の搬送と次の実装プログラムの読み込みとを速やかに行ことができる。その結果、部品実装の対象となる基板の種類が変更された際に基板に対する部品の実装を速やかに開始することが可能となっている。
【0009】
また、基板搬送部は、一の基板の出口位置への搬送の開始から出口位置への到達までに、次の基板の待機位置から実装位置への搬送を開始するように、部品実装機を構成しても良い。これによって、次の基板への部品実装の開始のために、次の基板を実装位置へ速やかに搬送することが可能となる。
【0010】
また、基板搬送部は、基板搬送方向において実装位置より下流であって出口位置より上流の所定位置に、出口位置へ向けて搬送中の一の基板が到達すると、次の基板の待機位置から実装位置への搬送を開始するように、部品実装機を構成しても良い。これによって、次の基板への部品実装の開始のために、次の基板を実装位置へ速やかに搬送することが可能となる。
【0011】
また、制御部は、事前搬入の開始に伴って、記憶部への次の実装プログラムの読み込みを開始するように、部品実装機を構成しても良い。これによって、次の基板への部品実装の開始のために、次のプログラムを速やかに読み込むことができる。
【0012】
また、制御部は、事前搬入の開始に伴って開始する次の実装プログラムの読み込みでは、次の実装プログラムのうち、次の基板に最初に実装する部品を示す情報を含む一部のみを記憶部に読み込むように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、次の実装プログラムのうちの一部の情報を読み込めば、次の基板への部品実装を開始できる。その結果、次の実装プログラムの全部を読み込むのに要する時間によらず、次の基板への部品実装を速やかに開始できる。
【0013】
また、制御部は、一の基板への実装処理が完了した後に、次の実装プログラムのうち一部以外の残りを記憶部へ読み込むように、部品実装機を構成しても良い。これによって、次の実装プログラムの全部を記憶部に読み込むことができる。
【0014】
また、実装ヘッドは、実装位置から出口位置への一の基板の搬送と並行して、次の基板に最初に実装する部品を部品供給部からピックアップするように、部品実装機を構成しても良い。これによって、次の基板に最初の部品を速やかに実装することが可能となる。
【0015】
また、制御部は、実装位置から出口位置への一の基板の搬送が開始されると、記憶部への次の実装プログラムの読み込みを開始するように、部品実装機を構成しても良い。これによって、次の基板への部品実装の開始のために、次のプログラムを速やかに読み込むことができる。
【0016】
また、制御部は、基板搬送方向において実装位置より下流であって出口位置より上流の所定位置に、出口位置へ向けて搬送中の一の基板が到達すると、記憶部への次の実装プログラムの読み込みを開始するように、部品実装機を構成しても良い。これによって、次の基板への部品実装の開始のために、次のプログラムを速やかに読み込むことができる。
【0017】
また、実装ヘッドは、次の実装プログラムの記憶部への読み込みが完了すると、次の基板の待機位置から実装位置への搬送と並行して、次の基板に最初に実装する部品を部品供給部からピックアップするように、部品実装機を構成しても良い。これによって、次の基板に最初の部品を速やかに実装することが可能となる。
【0018】
また、待機位置および実装位置は、基板搬送方向に直交する幅方向における幅が等しい基板を同時に保持可能である一方、幅が異なる基板を同時に保持不能であり、制御部は、一の基板の幅と次の基板の幅が等しいという基板幅条件が満たされない場合には、基板搬送部に事前搬入の実行を禁止するように、部品実装機を構成しても良い。これによって、待機位置で保持不能な幅の次の基板が、事前搬入によって誤って待機位置に搬入されるのを抑止できる。
【0019】
また、制御部は、基板幅条件が満たされる場合には、基板搬送部に事前搬入の実行を許可するように、部品実装機を構成しても良い。これによって、待機位置で保持可能な幅の次の基板を事前搬入によって待機位置に予め搬入しておき、次の基板への部品実装の開始のために、次の基板を実装位置へ速やかに搬送することが可能となる。
【0020】
また、実装位置には、基板を下方から支持する支持ピンが配置され、制御部は、一の基板を支持するための支持ピンの配置態様と、次の基板を支持するための支持ピンの配置態様とが異なる場合には、一の基板が出口位置に到達した後に支持ピンの配置を実装ヘッドにより次の基板用に変更してから、次の基板の待機位置から実装位置への搬送を開始するように、部品実装機を構成しても良い。これによって、適切に配置された支持ピンによって、次の基板を実装位置にしっかりと支持することができる。
【0021】
なお、実装位置には、基板を下方から支持する支持ピンが配置され、制御部は、一の基板を支持するための支持ピンの配置態様と、次の基板を支持するための支持ピンの配置態様とが等しいというピン配置条件が満たされない場合には、基板搬送部に事前搬入の実行を禁止するように、部品実装機を構成しても良い。
【0022】
この場合、制御部は、基板幅条件とピン配置条件の両方が満たされる場合には、基板搬送部に事前搬入の実行を許可するように、部品実装機を構成しても良い。これによって、支持ピンの配置変更を要しない次の基板を待機位置に事前搬入により予め搬入しておき、次の基板への部品実装の開始のために、次の基板を実装位置へ速やかに搬送することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、実装プログラムに基づき基板に部品を実装する部品実装技術において、部品実装の対象となる基板の種類が変更された際に基板に対する部品の実装を速やかに開始することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る部品実装機を模式的に示す部分平面図。
図2図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図。
図3図1の部品実装機が実行する基板種類変更準備の第1例を示すフローチャート。
図4図3のフローチャートに従って実行される動作を模式的に示す図。
図5図1の部品実装機が実行する基板種類変更準備の第2例を示すフローチャート。
図6図5のフローチャートに従って実行される動作を模式的に示す図。
図7図1の部品実装機が実行する基板種類変更準備の第3例を示すフローチャート。
図8図7のフローチャートに従って実行される動作を模式的に示す図。
図9図1の部品実装機が実行する基板種類変更準備の第4例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本発明に係る部品実装機を模式的に示す部分平面図である。図1および以下の図では、Z方向を鉛直方向とし、X方向およびY方向のそれぞれを水平方向とするXYZ直交座標を示す。また、図2図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図である。図2では、部品実装機の外部に設けられて、部品実装機を制御するホストコンピューターが併記されている。
【0026】
図2に示すように、部品実装機1は、演算処理部110、駆動制御部120、記憶部130および通信制御部140を有する主制御部100を備える。演算処理部110は、CPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)等で構成されたプロセッサーであり、記憶部130に記憶された実装プログラムP等に基づき、駆動制御部120、記憶部130および通信制御部140を制御することで、後述する各動作を制御する。また、記憶部130は、例えばHDD(Hard Disk Drive)で構成された記憶装置である。
【0027】
図1に示すように、部品実装機1は、基板BをX方向(基板搬送方向)に搬送する基板搬送部12を備える。この基板搬送部12は、X方向に並列に配置された一対のコンベア121、121を基台11上に有し、コンベア121、121によって基板BをX方向に搬送する。これらコンベア121、121の間隔は、X方向に直交するY方向(幅方向)に変更可能であり、基板搬送部12は、搬送する基板Bの幅に応じてコンベア121の間隔を調整する。
【0028】
コンベア121、121の基板Bの搬送路には、待機位置Lw、実装位置Lmおよび出口位置LeがX方向に並んでおり、基板搬送部12は、位置Lw、Lm、LeそれぞれのX方向の下流側にストッパーSw、Sm、Seを有する。ストッパーSw、Sm、Seのそれぞれには、例えばアクチュエーターで構成されたストッパー駆動部Msが設けられており、駆動制御部120は、ストッパー駆動部MsによってストッパーSw、Sm、Seを個別に昇降させることで、位置Lw、Lm、Leのそれぞれに基板Bを停止させることができる。
【0029】
つまり、ストッパーSwは、当接位置に位置することで、コンベア121によってX方向の上流から搬送されてきた基板Bの先端に当接して、基板Bを待機位置Lwに停止させる(図1の状態)。一方、ストッパーSwが当接位置から下降した状態では、基板Bは待機位置LwをX方向の下流側へ通過する。ストッパーSmは、当接位置に位置することで、コンベア121によってX方向の上流から搬送されてきた基板Bの先端に当接して、基板Bを実装位置Lmに停止させる。一方、ストッパーSmが当接位置から下降した状態では、基板Bは実装位置LmをX方向の下流側へ通過する。ストッパーSeは、当接位置に位置することで、コンベア121によってX方向の上流から搬送されてきた基板Bの先端に当接して、基板Bを出口位置Leに停止させる。一方、ストッパーSeが当接位置から下降した状態では、基板Bは出口位置LeをX方向の下流側へ通過する。
【0030】
また、基板搬送部12は、例えば特開2009−44084号公報等に記載された機構と同様の基板支持機構を有する。つまり、基板搬送部12では、実装位置Lmの下方に設けられた昇降ステージに複数のバックアップピンIが配置されている。そして、複数のバックアップピンIは昇降ステージとともに上昇することで、実装位置Lmに停止した基板Bをコンベア121、121から持ち上げて実装位置Lmに基板Bを固定する。一方、複数のバックアップピンIは昇降ステージとともに下降することで、基板Bの固定を解除して基板Bをコンベア121、121に載置する。
【0031】
さらに、基板搬送部12は、実装位置Lmと出口位置Leとの間の検出位置D123(図4等)に存在する基板Bを検出する基板センサー123を有する。つまり、基板センサー123は、実装位置Lmから出口位置Leに搬送途中の基板Bの先端を検出することができる。この基板センサー123は例えば光学式センサーであり、基板Bを検出している間はオン信号を駆動制御部120に出力する一方、基板Bを検出しない間はオフ信号を駆動制御部120に出力する。
【0032】
一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは2つの部品供給部25がX方向に並んでおり、各部品供給部25では、複数のテープフィーダー26がX方向に並ぶ。各テープフィーダー26に対しては、集積回路、トランジスター、コンデンサー等の小片状の部品Eを所定間隔おきに収容したキャリアテープが巻き付けられた部品供給リールが配置されており、各テープフィーダー26は部品供給リールから引き出されたキャリアテープを間欠的に送り出すことで、その先端部の部品供給位置に部品Eを供給する。
【0033】
また、部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール21、21と、Y方向に延びるY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モーターMyとが設けられ、ヘッド支持部材23が一対のY軸レール21、21にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。ヘッド支持部材23には、X方向に延びるX軸ボールネジ24と、X軸ボールネジ24を回転駆動するX軸モーターMxとが取り付けられており、ヘッドユニット3がヘッド支持部材23にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ24のナットに固定されている。したがって、駆動制御部120は、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット3をY方向に移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ24を回転させてヘッドユニット3をX方向に移動させることができる。
【0034】
ヘッドユニット3は、X方向に並ぶ複数(5本)の実装ヘッド4を有し、実装ヘッド4は、実装位置Lmに固定された基板Bに部品Eを実装する実装処理を実行する。つまり、駆動制御部120によって、X軸モーターMxおよびY軸モーターMyによって、実装ヘッド4のノズルを、テープフィーダー26によって供給された部品Eに上方から対向させる。次に、駆動制御部120は実装ヘッド4を下降させて部品Eにノズル32を接触させてから、ノズルにより部品Eを吸着した実装ヘッド4を上昇させる。こうして実装ヘッド4がテープフィーダー26からの部品Eのピックアップを完了すると、駆動制御部120は、X軸モーターMxおよびY軸モーターMyによって実装ヘッド4を基板Bの上方に移動させ、実装ヘッド4は、部品Eの吸着を解除することで、基板Bに部品Eを実装する。
【0035】
このように実装ヘッド4は、部品Eをテープフィーダー26からピックアップして基板Bに実装する実装ターンを繰り返し実行することで、基板Bに設けられた全実装箇所に部品Eを実装する実装処理を完了する。この際、基板Bに部品Eを実装する手順は実装プログラムPに規定されており、演算処理部110は、記憶部130に記憶された実装プログラムPに基づき、実装ヘッド4に実装ターンを実行させる。こうして、実装プログラムPにおいて実装するように規定された全部品Eが基板Bに実装されて、基板Bへの実装処理が完了する。
【0036】
ところで、部品実装機1で実装処理を実行可能な基板Bの種類は1種類に限られず、部品実装機1は、互いに異なる複数の種類の基板Bに対して実装処理を実行可能である。この際、部品実装機1は、基板Bの種類に応じた実装プログラムPを、通信制御部140を介して外部のホストコンピューターCから記憶部130に読み込む(ダウンロードする)。特に本実施形態では、次のようにして、実装処理の対象となる基板Bの種類の変更に対する準備を実行する。
【0037】
図3図1の部品実装機が実行する基板種類変更準備の第1例を示すフローチャートであり、図4図3のフローチャートに従って実行される動作を模式的に示す図である。なお、図4において、基板B1は、先に生産される種類の基板Bのうち、実装処理が実行される最後の1枚であり、基板B2は、次に生産される種類の基板Bのうち、実装処理が実行される最初の1枚である。また、図4では、部品実装機1以外に、部品実装機1のX方向の上流側で基板Bに部品Eの実装を実行する上流実装機1Uが部分的に示されている。この上流実装機1Uは、基本的に部品実装機1と同一の構成を具備する。図4に関するこれらの表記は、以下に示す図6図8等でも同様である。
【0038】
部品実装機1の演算処理部110は、実装位置Lmに保持された基板B1に実装処理を実行しつつ、上流実装機1Uの出口位置Leに次の種類の基板B2が到達したかを監視する(ステップS101)。なお、基板B1への実装処理は、記憶部130に記憶された基板B1用の実装プログラムP1に従って実行される。図4の欄「A11」に示す状況では、基板B2は上流実装機1Uの出口位置Leに未到達であり、ステップS101で「NO」と判断される。一方、図4の欄「A12」に示すように、上流実装機1Uにおいて基板B2が出口位置Leに到達すると、上流実装機1Uは、ホストコンピューターCを介して到達通知を部品実装機1に向けて送信し、部品実装機1の演算処理部110は、通信制御部140を介して到達通知を受け取ると、上流実装機1Uの出口位置Leに基板B2が到達したと判断する(ステップS101で「YES」)。この際、上流実装機1Uは、基板B2に付された識別子から基板B2に関する基板情報(基板Bの幅および基板Bを支持するためのバックアップピンIの配置態様を含む)を取得して、部品実装機1の演算処理部110に送信する。
【0039】
ステップS101で「YES」と判断されると、部品実装機1の演算処理部110は、上流実装機1Uから待機位置Lwに基板B2を受け取るための条件、すなわち基板幅条件およびピン配置条件が満たされるか否かを、基板情報に基づき判断する(ステップS102)。つまり、基板搬送部12の待機位置Lw、実装位置Lmおよび出口位置Leのそれぞれは、幅が等しい基板Bは同時に保持可能である一方、幅が異なる基板Bは同時に保持不能である。そこで、演算処理部110は、実装位置Lmで実装処理を実行中の基板B1の幅と基板B2の幅とが等しいことを求める基板幅条件が満たされるか否かを判断する。さらに、演算処理部110は、基板B1を支持するためのバックアップピンIの配置態様と、基板B2を支持するためのバックアップピンIの配置態様とが等しいことを求めるピン配置条件が満たされるかを判断する。
【0040】
基板幅条件およびピン配置条件の両方が満たされる場合(ステップS102で「YES」の場合)には、図4の欄「A13」に示すように、部品実装機1の基板搬送部12は、上流実装機1U(の出口位置Le)からその待機位置Lwに基板B2を搬入する(ステップS103)。こうして、実装ヘッド4が実装位置Lmの基板B1に実装プログラムP1に基づく実装処理を実行中に、基板B2を待機位置Lwに搬入する事前搬入が実行される。
【0041】
実装位置Lmの基板B1に対する実装処理が完了すると、実装位置Lmから出口位置Leへの基板B1の搬送が開始される。そして、図4の欄「A14」に示すように、出口位置Leへ搬送中の基板B1の先端が基板センサー123の検出位置D123(図4の一点鎖線の位置)に到達し、基板センサー123により検出されると(ステップS104で「YES」)、演算処理部110は、通信制御部140を介して外部のホストコンピューターCから記憶部130に、基板B2用の実装プログラムP2を読み込む(ステップS105)。また、基板センサー123による基板B1の検出に伴って、演算処理部110は、図4の欄「A15」に示すように、待機位置Lwから実装位置Lmへの基板B2への搬送を開始する(ステップS106)。そして、図4の欄「A16」に示すように、基板B2が実装位置Lmに搬送されると、実装プログラムP2に基づく基板B2への実装処理が開始される(ステップS107)。
【0042】
一方、ステップS102において、基板幅条件およびピン配置条件の少なくとも一方が満たされないと判断された場合(「NO」と判断された場合)、上流実装機1Uの出口位置Leで基板B2が待機する(ステップS108)。そして、部品実装機1のコンベア121から基板B1が搬出されると(ステップS109で「YES」)、コンベア121、121の幅の調整およびバックアップピンIの配置変更が必要に応じて実行される(ステップS110)。つまり、ステップS102で基板幅条件が満たされていないと判断された場合には、基板B2の幅に応じてコンベア121、121の間隔が調整される(ステップS110)。また、ステップS102でピン配置条件が満たされていないと判断された場合には、基板B2を支持するための配置態様に、バックアップピンIの配置が変更される。このバックアップピンIの配置変更は、実装ヘッド4によって実行される。そして、ステップS110が完了すると、上述と同様にステップS105〜S107が実行される。
【0043】
以上に説明した第1例では、実装プログラムP1に基づく実装処理を基板B1に対して実行中に、基板B2を待機位置Lwに搬入する事前搬入が実行される(ステップS103)。こうして、実装位置LmのX方向の上流の待機位置Lwに予め基板B2を待機させておくことで、基板B2への部品実装の開始ために、基板B2を実装位置Lmに速やかに搬送することが可能となる。また、基板B1に対する部品Eの実装の開始から基板B1の出口位置Leへの到達までの期間に、実装プログラムP2の読み込みが開始される(ステップS104、S105)。こうして、予め実装プログラムP2の読み込みを開始しておくことで、基板B2への部品実装の開始のために、実装プログラムP2を速やかに準備することが可能となる。このように第1例では、基板B2への部品実装の開始に必要となる実装位置Lmへの基板B2の搬送と実装プログラムP2の読み込みとを速やかに行ことができる。その結果、部品実装の対象となる基板Bの種類が変更された際に基板Bに対する部品Eの実装を速やかに開始することが可能となっている。
【0044】
また、基板搬送部12は、基板B1の出口位置Leへの搬送の開始から出口位置Leへの到達までの間に、基板B2の待機位置Lwから実装位置Lmへの搬送を開始する(ステップS104、S106)。これによって、基板B2への部品実装の開始のために、基板B2を実装位置Lmへ速やかに搬送することが可能となる。
【0045】
具体的には、基板搬送部12は、X方向において実装位置Lmより下流であって出口位置Leより上流の検出位置D123に、出口位置Leへ向けて搬送中の基板B1が到達すると(ステップS104)、基板B2の待機位置Lwから実装位置Lmへの搬送を開始する(ステップS106)。これによって、基板B2への部品実装の開始のために、基板B2を実装位置Lmへ速やかに搬送することが可能となる。
【0046】
また、演算処理部110は、出口位置Leへ向けて搬送中の基板B1が検出位置D123に到達すると(ステップS104)、ホストコンピューターCから記憶部130への実装プログラムP2の読み込みを開始する(ステップS105)。これによって、基板B2への部品実装の開始のために、実装プログラムP2を速やかに読み込むことができる。
【0047】
また、演算処理部110は、基板B1の幅と基板B2の幅が等しいという基板幅条件が満たされない場合には、基板搬送部12に事前搬入の実行を禁止する(ステップS102、S108)。これによって、待機位置Lwで保持不能な幅の基板B2が、事前搬入によって誤って待機位置Lwに搬入されるのを抑止できる。
【0048】
また、演算処理部110は、基板幅条件が満たされる場合には、基板搬送部12に事前搬入の実行を許可する(ステップS102、S103)。これによって、待機位置Lwで保持可能な幅の基板B2を事前搬入によって待機位置Lwに予め搬入しておき、基板B2への部品実装の開始のために、基板B2を実装位置Lmへ速やかに搬送することが可能となる。
【0049】
また、演算処理部110は、基板B1を支持するためのバックアップピンIの配置態様と、基板B2を支持するためのバックアップピンIの配置態様とが等しいというピン配置条件が満たされない場合には、基板搬送部12に事前搬入の実行を禁止する(ステップS102、S108)。一方、演算処理部110は、基板幅条件とピン配置条件の両方が満たされる場合には、基板搬送部12に事前搬入の実行を許可する(ステップS102、S103)。これによって、バックアップピンIの配置変更を要しない基板B2を待機位置Lwに事前搬入により予め搬入しておき、基板B2への部品実装の開始のために、基板B2を実装位置Lmへ速やかに搬送することが可能となる。
【0050】
図5図1の部品実装機が実行する基板種類変更準備の第2例を示すフローチャートであり、図6図5のフローチャートに従って実行される動作を模式的に示す図である。ここでは、上記の実施例との差異点を中心に説明を行うこととし、共通点については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、実施例と共通する構成を備えることで、同様の効果が奏される点は言うまでもない。
【0051】
第2例では、基板幅条件およびピン配置条件が満たされる場合(ステップS102で「YES」の場合)の事前搬入(ステップS103)より後の動作が異なる。つまり、事前搬入(ステップS103)の後に、実装位置Lmの基板B1に対する実装処理が完了すると、実装位置Lmから出口位置Leへの基板B1の搬送が開始される。そして、第2例では、この出口位置Leへの基板B1の搬送が開始されると(ステップS201で「YES」)、演算処理部110が通信制御部140を介してホストコンピューターCから記憶部130に、基板B2用の実装プログラムP2を読み込む(ステップS105)。また、出口位置Leへの基板B1の搬送の開始に伴って、演算処理部110は、図6の欄「A21」に示すように、待機位置Lwから実装位置Lmへの基板B2への搬送を開始する(ステップS106)。
【0052】
かかるフローによると、基板B1が出口位置Leに到達するより前に、実装プログラムP2の読み込みを完了することができ、演算処理部110は、この実装プログラムP2を参照することで基板B2に最初に実装する部品Eを確認できる。そこで、演算処理部110は、実装プログラムP2の記憶部130への読み込みが完了すると、実装ヘッド4に当該部品Eをピックアップさせる(ステップS202)。つまり、第2例では、実装ヘッド4は、実装位置Lmから出口位置Leへの基板B1の搬送と並行して(換言すれば、基板B1が出口位置Leに到達する前に)、基板B2に最初に実装する部品Eを部品供給部25からピックアップする。これによって、基板B2に最初の部品Eを速やかに実装することが可能となる。
【0053】
また、別の見方をすると、かかるフローによれば、基板B2が実装位置Lmに到達するより前に、実装プログラムPの読み込みが完了すると、演算処理部110は、基板B2に最初に実装する部品Eを実装ヘッド4にピックアップさせる(ステップS202)。つまり、第2例では、実装ヘッド4は、待機位置Lwから実装位置Lmへの基板B2の搬送と並行して(換言すれば、基板B2が実装位置Lmに到達する前に)、基板B2に最初に実装する部品Eを部品供給部25からピックアップする。これによって、基板B2に最初の部品Eを速やかに実装することが可能となる。
【0054】
また、演算処理部110は、実装位置Lmから出口位置Leへの基板B1の搬送が開始されると(ステップS201)、ホストコンピューターCから記憶部130への実装プログラムP2の読み込みを開始する(ステップS105)。これによって、基板B2への部品実装の開始のために、実装プログラムP2を速やかに読み込むことができる。
【0055】
図7図1の部品実装機が実行する基板種類変更準備の第3例を示すフローチャートであり、図8図7のフローチャートに従って実行される動作を模式的に示す図である。ここでは、上記の実施例との差異点を中心に説明を行うこととし、共通点については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、実施例と共通する構成を備えることで、同様の効果が奏される点は言うまでもない。
【0056】
第3例では、第1例と異なり、上流実装機1Uから待機位置Lwに基板B2を受け取るための条件として、ピン配置条件を要求しない(ステップS301)。つまり、上流実装機1Uの出口位置Leに基板B2が到達すると(ステップS101で「YES」)、部品実装機1の演算処理部110は、基板幅条件が満たされるか否かを判断する(ステップS301)。そして、基板幅条件が満たされる場合(ステップS301で「YES」の場合)には、図8の欄「A13」に示すように、部品実装機1の基板搬送部12は、上流実装機1Uの出口位置Leからその待機位置Lwに基板B2を搬入する(ステップS103)。一方、基板幅条件が満たされない場合(ステップS301で「NO」の場合)には、基板B2は上流実装機1Uの出口位置Leで待機する(ステップS108)。
【0057】
また、出口位置Leへの基板B1の搬送が開始されると、演算処理部110は、ピンの配置変更が必要か否かを判断する(ステップS302)。そして、基板B1を支持するためのバックアップピンIの配置態様と、基板B2を支持するためのバックアップピンIの配置態様が等しい場合には、ピンの配置変更が不要と判断され(ステップS302で「NO」)、待機位置Lwから実装位置Lmに基板B2が搬送される(「ステップS106」)。
【0058】
基板B1を支持するためのバックアップピンIの配置態様と、基板B2を支持するためのバックアップピンIの配置態様が異なる場合には、ピンの配置変更が必要と判断される(ステップS302で「YES」)。そして、図8の欄「A31」に示すように、基板B2が待機位置Lwに待機しつつ基板B1が出口位置Leに到達した状態で、実装ヘッド4がバックアップピンIの配置を基板B2用に変更する(ステップS303)。そして、バックアップピンIの配置変更が完了すると、図8の欄「A16」に示すように、待機位置Lwから実装位置Lmに基板B2が搬送される(「ステップS106」)。
【0059】
このように第3例では、演算処理部110は、基板B1を支持するためのバックアップピンIの配置態様と、基板B2を支持するためのバックアップピンIの配置態様とが異なる場合には、基板B1が出口位置Leに到達した後にバックアップピンIの配置を実装ヘッド4により基板B2用に変更してから(ステップS303)、基板B2の待機位置Lwから実装位置Lmへの搬送を開始する(ステップS106)。これによって、適切に配置されたバックアップピンIによって、基板B2を実装位置Lmにしっかりと支持することができる。
【0060】
図9図1の部品実装機が実行する基板種類変更準備の第4例を示すフローチャートであり、ここでは、上記の実施例との差異点を中心に説明を行うこととし、共通点については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、実施例と共通する構成を備えることで、同様の効果が奏される点は言うまでもない。
【0061】
第4例では、基板幅条件およびピン配置条件が満たされる場合(ステップS102で「YES」の場合)の動作が第2例と異なる。つまり、ステップS102に続くステップS103で、待機位置Lwへの基板B2の搬入(事前搬入)が開始されると、実装プログラムP2のうちの一部である初期データがホストコンピューターCから記憶部130に読み込まれる(ステップS401)。この初期データは、実装プログラムP2のうち、基板B2に最初に実装する部品Eを示す情報を含む。ステップS103で開始された事前搬入が完了し、さらに実装位置Lmの基板B1に対する実装処理が完了すると、実装位置Lmから出口位置Leへの基板B1の搬送が開始される。そして、この出口位置Leへの基板B1の搬送の開始に伴って(ステップS201で「YES」)、実装プログラムP2の残データ(初期データ以外のデータ)の読み込みが開始される(ステップS402)。
【0062】
また、ステップS202では、第2例と同様に、実装ヘッド4は、実装位置Lmから出口位置Leへの基板B1の搬送と並行して、基板B2に最初に実装する部品Eを部品供給部25からピックアップする。ただし、実装ヘッド4による部品Eのピックアップは、ステップS402で読み込んだ初期データに基づき実行されるため、ステップS403で開始された残データの読み込みの完了を要しない。
【0063】
このように第4例では、演算処理部110は、事前搬入の開始に伴って、ホストコンピューターCから記憶部130への次の実装プログラムP2の読み込みを開始する(ステップS103、S401)。これによって、基板B2への部品実装の開始のために、次の実装プログラムP2を速やかに読み込むことができる。
【0064】
また、演算処理部110は、事前搬入の開始に伴って開始する実装プログラムP2の読み込みでは、実装プログラムP2のうち、基板B2に最初に実装する部品Eを示す情報を含む初期データのみを記憶部130に読み込む(ステップS401)。かかる構成では、実装プログラムP2のうちの初期データを読み込めば、基板B2への部品実装を開始できる。その結果、実装プログラムP2のデータ量が多い場合であっても、実装プログラムP2の全部を読み込むのに要する時間によらず、基板B2への部品実装を速やかに開始できる。
【0065】
また、演算処理部110は、基板B1への実装処理が完了した後に、実装プログラムP2のうちの残データをホストコンピューターCから記憶部130へ読み込む(ステップS402)。これによって、実装プログラムP2の全部を記憶部130に読み込むことができる。
【0066】
また、実装ヘッド4は、実装位置Lmから出口位置Leへの基板B1の搬送と並行して、基板B2に最初に実装する部品Eを部品供給部25からピックアップする(ステップS201、S202)。これによって、基板B2に最初の部品Eを速やかに実装することが可能となる。
【0067】
このように本実施形態では、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、基板搬送部12が本発明の「基板搬送部」の一例に相当し、部品供給部25が本発明尾「部品供給部」の一例に相当し、主制御部100が本発明の「制御部」の一例に相当し、記憶部130が本発明の「記憶部」の一例に相当し、実装ヘッド4が本発明の「実装ヘッド」の一例に相当し、待機位置Lwが本発明の「待機位置」の一例に相当し、実装位置Lmが本発明の「実装位置」の一例に相当し、出口位置Leが本発明の「出口位置」の一例に相当し、X方向が本発明の「基板搬送方向」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、基板B1が本発明の「一の基板」の一例に相当し、基板B2が本発明の「次の基板」の一例に相当し、実装プログラムPが本発明の「実装プログラム」の一例に相当し、実装プログラムP1が本発明の「一の実装プログラム」の一例に相当し、実装プログラムP2が本発明の「次の実装プログラム」の一例に相当し、検出位置D123が本発明の「所定位置」の一例に相当し、バックアップピンIが本発明の「支持ピン」の一例に相当する。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、基板種類変更準備の第1例〜第4例のフローチャートを適宜変更できる。具体的には、例えば、図9のステップS102でピン配置条件を求めずに、基板幅条件のみを求めるように構成しても良い。また、これらのフローチャートの各ステップを適宜省略したり、入れ換えたりしても良い。
【0069】
また、待機位置Lw、実装位置Lmおよび出口位置Leそれぞれの幅を個別に変更できるように基板搬送部12を構成しても良い。この場合、上流実装機1Uから待機位置Lwに基板Bを搬入するための条件として、基板幅条件を求める必要はない。つまり、基板B1と基板B2との幅が異なる場合には、実装位置Lmに基板B1を保持しつつ、基板B2の幅に応じて待機位置Lwの幅を変更して、基板B2を待機位置Lwに搬入すればよい。
【0070】
また、上記の例では、記憶部130は、部品実装機1の外部に設けられたホストコンピューターCから実装プログラムPを読み込んでいた。しかしながら、記憶部130は、部品実装機1の内部に設けられた別の記憶部(例えば、HDD)に予め記憶された実装プログラムPを、当該別の記憶部から読み込んでも良い。つまり、部品実装機1の外部に設けられた外部装置(ホストコンピューターC)あるいは部品実装機1の内部に設けられた内部装置(別の記憶部)等を含む他の記憶装置から記憶部130に実装プログラムPを読み込んで、当該実装プログラムPに基づく実装処理を実行するように、部品実装機1を構成できる。
【符号の説明】
【0071】
1…部品実装機
12…基板搬送部
25…部品供給部
4…実装ヘッド
100…主制御部(制御部)
130…記憶部
B…基板
B1…基板(一の基板)
B2…基板(次の基板)
C…ホストコンピューター
Lw…待機位置
Lm…実装位置
Le…出口位置
X…X方向(基板搬送方向)
E…部品
D123…検出位置(所定位置)
I…バックアップピン(支持ピン)
P…実装プログラム
P1…実装プログラム(一の実装プログラム)
P2…実装プログラム(次の実装プログラム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9