(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各無停電電源装置の前記制御回路は、さらに、前記指令部によって前記自装置が前記待機状態に停止されている時間を計測し、計測した時間が予め定められた時間に到達した場合に起動信号を出力するタイマを含み、
前記指令部は、前記自装置の前記タイマから前記起動信号が出力されたことに応じて前記自装置を前記運転状態にし、前記自装置が前記待機状態になる優先順位を最下位にするとともに、前記通信回線を介して各他装置の優先順位を1つ繰り上げ、
各無停電電源装置の前記記憶部は、前記指令部によって変更された前記優先順位を記憶する、請求項2に記載の無停電電源システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による無停電電源システムの構成を示す回路ブロック図である。
図1において、この無停電電源システムは、複数(図では3つ)の無停電電源装置U1〜U3および複数のバッテリB1〜B3を備える。
【0017】
無停電電源装置U1〜U3の各々は、入力端子T1、バッテリ端子T2、および出力端子T3を含む。入力端子T1は、商用交流電源51から商用周波数の交流電力を受ける。無停電電源装置U1〜U3のバッテリ端子T2は、それぞれバッテリ(電力貯蔵装置)B1〜B3に接続される。バッテリB1〜B3の各々は、直流電力を蓄える。バッテリBの代わりにコンデンサが接続されていても構わない。
【0018】
出力端子T3は、負荷52に接続される。負荷52は、交流電力によって駆動される。無停電電源装置U1〜U3は、負荷52に対して並列接続されている。無停電電源装置U1〜U3のうちの負荷52の運転に必要な適正運転台数(たとえば2台)の無停電電源装置(たとえばU1,U2)のみが運転状態にされ、残りの無停電電源装置(この場合はU3)は待機状態にされる。
【0019】
無停電電源装置U1〜U3の各々は、さらに、スイッチS1〜S3、コンデンサ1,5,10、リアクトル2,9、コンバータ4、直流ライン6、双方向チョッパ7、インバータ8、電流検出器12、操作部13、および制御回路14を備える。
【0020】
スイッチS1およびリアクトル2は、入力端子T1とコンバータ4の入力ノードとの間に直列接続される。コンデンサ1は、スイッチS1とリアクトル2の間のノードN1に接続される。スイッチS1は、対応する無停電電源装置Uが運転状態にされた場合にオンされ、対応する無停電電源装置Uが待機状態にされた場合にオフされる。ノードN1に現れる交流入力電圧VIの瞬時値は、制御回路14によって検出される。交流入力電圧VIの瞬時値に基づいて、停電の発生の有無などが判別される。
【0021】
コンデンサ1およびリアクトル2は、交流入力フィルタ3を構成する。交流入力フィルタ3は、低域通過フィルタであり、商用交流電源51からコンバータ4に商用周波数の交流電力を通過させ、コンバータ4で発生するスイッチング周波数の信号が商用交流電源51に通過することを防止する。
【0022】
コンバータ4は、制御回路14によって制御され、商用交流電源51から交流電力が供給されている通常時は、交流電力を直流電力に変換して直流ライン6に出力する。商用交流電源51からの交流電力の供給が停止された停電時は、コンバータ4の運転は停止される。コンバータ4の出力電圧は、所望の値に制御可能になっている。
【0023】
コンデンサ5は、直流ライン6に接続され、直流ライン6の電圧を平滑化させる。直流ライン6に現れる直流電圧VDの瞬時値は、制御回路14によって検出される。直流ライン6は双方向チョッパ7の高電圧側ノードに接続され、双方向チョッパ7の低電圧側ノードはスイッチS2を介してバッテリ端子T2に接続される。
【0024】
スイッチS2は、対応する無停電電源装置Uの使用時はオンされ、対応する無停電電源装置Uおよび対応するバッテリBのメンテナンス時にオフされる。バッテリ端子T2に現れるバッテリBの端子間電圧VBの瞬時値は、制御回路14によって検出される。
【0025】
双方向チョッパ7は、制御回路14によって制御され、商用交流電源51から交流電力が供給されている通常時は、コンバータ4によって生成された直流電力をバッテリBに蓄え、商用交流電源51からの交流電力の供給が停止された停電時は、バッテリBの直流電力を直流ライン6を介してインバータ8に供給する。
【0026】
双方向チョッパ7は、直流電力をバッテリBに蓄える場合は、直流ライン6の直流電圧VDを降圧してバッテリBに与える。また、双方向チョッパ7は、バッテリBの直流電力をインバータ8に供給する場合は、バッテリBの端子間電圧VBを昇圧して直流ライン6に出力する。直流ライン6は、インバータ8の入力ノードに接続されている。
【0027】
インバータ8は、制御回路14によって制御され、コンバータ4または双方向チョッパ7から直流ライン6を介して供給される直流電力を商用周波数の交流電力に変換して出力する。すなわち、インバータ8は、通常時はコンバータ4から直流ライン6を介して供給される直流電力を交流電力に変換し、停電時はバッテリBから双方向チョッパ7を介して供給される直流電力を交流電力に変換する。インバータ8の出力電圧は、所望の値に制御可能になっている。
【0028】
インバータ8の出力ノードはリアクトル9の一方端子に接続され、リアクトル9の他方端子(ノードN2)はスイッチS3を介して出力端子T3に接続される。コンデンサ10は、ノードN2に接続される。ノードN2に現れる交流出力電圧VOの瞬時値は、制御回路14によって検出される。電流検出器12は、ノードN2からスイッチS3を介して出力端子T3(すなわち負荷52)に流れる電流IOの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号IOfを制御回路14に与える。
【0029】
リアクトル9およびコンデンサ10は、交流出力フィルタ11を構成する。交流出力フィルタ11は、低域通過フィルタであり、インバータ8で生成された商用周波数の交流電力を出力端子T3に通過させ、インバータ8で発生するスイッチング周波数の信号が出力端子T3に通過することを防止する。スイッチS3は、制御回路14によって制御され、対応する無停電電源装置Uの使用時にオンされ、対応する無停電電源装置Uのメンテナンス時にオフされる。
【0030】
操作部13は、対応する無停電電源装置Uの使用者によって操作される複数のボタン、種々の情報を表示する画像表示部などを含む。システムの使用者は、操作部13を操作することにより、無停電電源装置Uを手動で運転したり、自動的に運転させることができる。また、システムの使用者は、操作部13を操作することにより、負荷52の運転に必要な適正運転台数が現在の運転台数よりも大きい場合に、無停電電源装置U1〜U3が待機状態になる優先順位などを設定することができる。
【0031】
制御回路14は、操作部13からの信号、交流入力電圧VI、直流電圧VD、バッテリ電圧VB、交流出力電流IO、および交流出力電圧VOなどに基づいて、対応する無停電電源装置U全体を制御する。すなわち、制御回路14は、交流入力電圧VIの検出値に基づいて停電が発生したか否かを検出し、交流入力電圧VIの位相に同期してコンバータ4およびインバータ8を制御する。
【0032】
また制御回路14は、商用交流電源51から交流電力が供給されている通常時は、直流電圧VDが所望の目標電圧VDTになるようにコンバータ4を制御し、商用交流電源51からの交流電力の供給が停止された停電時は、コンバータ4の運転を停止させる。
【0033】
さらに制御回路14は、通常時は、バッテリ電圧VBが所望の目標バッテリ電圧VBTになるように双方向チョッパ7を制御し、停電時は、直流電圧VDが所望の目標電圧VDTになるように双方向チョッパ7を制御する。
【0034】
また制御回路14は、他の各無停電電源装置Uの制御回路14と通信ケーブル15によって互いに接続され、通信ケーブル15を介して他の各無停電電源装置Uと情報の授受を行なう。制御回路14は、複数の無停電電源装置U1〜U3の分担電流が等しくなるように、コンバータ4およびインバータ8を制御する。
【0035】
また、制御回路14は、複数の電流検出器12の出力信号IOfに基づいて、複数の無停電電源装置U1〜U3の出力電流IOの和の電流すなわち負荷電流ILを求め、その負荷電流ILを供給するために必要な無停電電源装置Uの適正運転台数を求める。さらに制御回路14は、求めた適正運転台数と現在の運転台数とを比較し、その比較結果と待機の優先順位とに基づいて、対応する無停電電源装置Uを待機状態にさせるか運転状態にさせるかを判別する。
【0036】
制御回路14は、対応する無停電電源装置Uを待機状態にさせる場合は、対応するスイッチS1をオフさせて商用交流電源51から対応する交流入力フィルタ3への電流の流入を阻止するとともに、対応するコンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8の運転を停止させる。また制御回路14は、対応する無停電電源装置Uを運転状態にさせる場合は、対応するスイッチS1をオン状態に維持させるとともに、対応するコンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8の運転を継続させる。
【0037】
図2は、制御回路14の構成を示すブロック図である。
図2において、制御回路14は、通信端子T4,T5、電圧検出器21,22、制御電源23、演算部24、指令部25、および記憶部26を含む。
【0038】
通信端子T4は、演算部24および指令部25に接続されるとともに、通信ケーブル15を介して他の無停電電源装置Uの演算部24および指令部25に接続される。通信端子T5は、演算部24および指令部25に接続されるとともに、通信ケーブル15を介してさらに他の無停電電源装置Uの演算部24および指令部25に接続される。
【0039】
電圧検出器21は、ノードN1(
図1)の交流電圧VIを検出し、その検出値を示す信号を指令部25に与える。電圧検出器22は、ノードN2(
図1)の交流電圧VOを検出し、その検出値を示す信号を演算部24に与える。制御電源23は、交流電圧VOに基づいて、制御回路14全体を駆動させるための直流電源電圧VDCを生成する。
【0040】
演算部24は、電圧検出器22および電流検出器12(
図1)の検出結果を通信端子T4,T5を介して他の2つの無停電電源装置Uの演算部24に送信するとともに、他の2つの無停電電源装置Uの電圧検出器22および電流検出器12の検出結果を通信端子T4,T5を介して受信する。
【0041】
また演算部24は、無停電電源装置U1〜U3の電圧検出器22および電流検出器12の検出結果に基づいて、複数の無停電電源装置U1〜U3の分担電流が等しくなるように、指令部25を介してコンバータ4およびインバータ8を制御する。
【0042】
また演算部24は、複数の無停電電源装置U1〜U3の出力電流IOの和の電流、すなわち無停電電源装置U1〜U3から負荷52に供給される負荷電流ILを求め、その負荷電流ILを供給するために必要な無停電電源装置Uの適正運転台数を求め、求めた適正運転台数を指令部25に与える。
【0043】
記憶部26には、無停電電源装置U1〜U3が待機状態になる優先順位が格納されている。優先順位は、たとえば、無停電電源装置Uの番号順に設定される。この場合、無停電電源装置U1〜U3の優先順位は、それぞれ第1位、第2位、第3位である。
【0044】
指令部25は、電圧検出器21からの信号に基づいて、商用交流電源51から交流電力が供給されているか否かを判別する。指令部25は、通常時は、コンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を制御して交流電力を生成させ、停電時は、コンバータ4の運転を停止させるとともに双方向チョッパ7およびインバータ8を制御して交流電力を生成させる。また、指令部25は、スイッチS1〜S3を制御する。
【0045】
また、指令部25は、演算部24によって求められた適正運転台数と現在の運転台数とを比較し、その比較結果と待機の優先順位とに基づいて、対応する無停電電源装置Uを待機状態にさせるか運転状態にさせるかを判別する。
【0046】
たとえば、適正運転台数が2台であり、現在の運転台数が3台である場合、指令部25は、運転台数を減少させるべきであると判別する。また、指令部25は、対応する無停電電源装置Uの優先順位に基づいて、対応する無停電電源装置Uを待機状態にさせるか運転状態にさせるかを判別する。そして指令部25は、待機状態にさせる場合は対応するスイッチS1をオフさせるとともに対応するコンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を停止させ、運転状態にさせる場合は対応するスイッチS1をオン状態に維持するとともに対応するコンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8の運転を継続させる。
【0047】
たとえば、無停電電源装置U1の指令部25は、対応する無停電電源装置U1(自装置)の優先順位が第1位であるので、対応する無停電電源装置U1を待機状態にさせるべきであると判別し、対応するスイッチS1をオフさせるとともに対応するコンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を停止させる。また、指令部25は、対応するスイッチS1をオフさせるとともに対応するコンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を停止させた場合は、その旨を他の無停電電源装置(他装置)U2,U3の指令部25に伝える。
【0048】
無停電電源装置U2,U3の各々の指令部25は、対応する無停電電源装置(この場合はU2,U3)の優先順位がそれぞれ第2位および第3位であるので、対応する無停電電源装置Uを運転状態にさせるべきであると判別し、対応するスイッチS1をオン状態に維持させるとともに対応するコンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8の運転を継続させる。
【0049】
逆に、適正運転台数が3台であり、現在の運転台数が2台である場合、指令部25は、運転台数を増加させるべきであると判別する。また、指令部25は、対応する無停電電源装置Uが待機状態である場合、対応する無停電電源装置Uを運転状態にさせる。
【0050】
たとえば、無停電電源装置U1の指令部25は、対応する無停電電源装置U1が待機状態であるので、対応する無停電電源装置U1を運転状態にさせるべきであると判別し、対応するスイッチS1をオンさせるとともに対応するコンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を運転させる。また、指令部25は、対応するスイッチS1をオンさせるとともに対応するコンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を運転させた場合は、その旨を他の無停電電源装置U2,U3の指令部25に伝える。
【0051】
操作部13は、たとえば操作ボタンを含む。システムの使用者は、操作部13を操作することにより、無停電電源装置Uを手動で運転したり、自動的に運転させることができる。また、システムの使用者は、操作部13を操作することにより、無停電電源装置Uの番号、無停電電源装置U1〜U3が待機状態になる優先順位などを記憶部26に書込むことができる。
【0052】
1台の無停電電源装置Uの操作部13を用いて優先順位を記憶部26に書込むと、その優先順位は指令部25によって全ての無停電電源装置U1〜U3の記憶部26に書き込まれる。なお、無停電電源装置Uの番号は、その無停電電源装置Uが設置された位置、順番などにより自動的に設定されるようになっていてもよい。
【0053】
制御電源23は、対応する無停電電源装置Uが待機状態にされてスイッチS1がオフされている場合でも、他の無停電電源装置Uから対応するスイッチS3およびノードN2(
図1)を介して供給される交流電力に基づいて、制御回路14用の直流電源電圧VDCを生成する。したがって、制御回路14は、対応する無停電電源装置Uが待機状態にされている場合でも、制御電源23からの直流電源電圧VDCによって駆動され続ける。
【0054】
図3は、
図2に示した制御回路14の動作を示すフローチャートである。制御回路14が無停電電源装置U1に含まれている場合について説明する。制御回路14から見て当該制御回路14が属する無停電電源装置U1は自装置であり、他の無停電電源装置U2,U3の各々は他装置である。
【0055】
図3のステップST1において、無停電電源装置U1の指令部25は、対応するスイッチS1をオンさせ、対応するコンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を運転させる。ステップST2において、電流検出器12は自装置U1の出力電流IOを検出する。自装置U1の出力電流IOの検出値は、他の無停電電源装置(他装置)U2,U3の演算部24に与えられる。逆に他の無停電電源装置U2,U3の出力電流IOの検出値が無停電電源装置U1の演算部24に与えられる。
【0056】
ステップST3において演算部24は、無停電電源装置U1〜U3の出力電流IOの検出値を加算して、無停電電源装置U1〜U3から負荷52に供給されている負荷電流ILを検出する。ステップST4において演算部24は、ステップST3で求めた負荷電流ILに基づいて、負荷52を運転するために必要な無停電電源装置Uの適正運転台数を求める。たとえば、無停電電源装置Uの定格電流がIrであり、負荷電流ILがIrの1.5倍である場合は無停電電源装置Uの適正運転台数は2台である。
【0057】
ステップST5において指令部25は、ステップST4で求められた適正運転台数と現在の運転台数とを比較し、その比較結果に基づいて、冗長性(並列冗長運転)を確保しつつ無停電電源装置Uの運転台数を増加させるか、減少させるか、維持するかを判別する。ステップST5において運転台数を増加させると判別した場合、ステップST6において待機中の他の無停電電源装置Uが起動される。
【0058】
たとえば、無停電電源装置U1,U2が運転状態にされ、無停電電源装置U3が待機状態にされている場合において、ステップST5において運転台数を増加させると判別したときには、待機状態の無停電電源装置U3が起動される。待機状態の無停電電源装置U3を起動させるときに、商用交流電源51からの交流電力の供給が停止されている場合であっても、無停電電源装置U1,U2から無停電電源装置U3のスイッチS3を介して制御電源23に交流電圧VOが供給され、制御電源23によって制御回路14が駆動されるので、無停電電源装置U3は起動される。
【0059】
ステップST5において運転台数を減少させると判別した場合、ステップST7において指令部25は、記憶部26に記憶された優先順位に基づいて、自装置を停止させるか、自装置の運転を継続するかを判別する。ステップST7において自装置を停止させると判別した場合、ステップST8において自装置のスイッチS1をオフさせ、コンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を停止させる。
【0060】
自装置を停止させる場合にスイッチS1をオフさせ、商用交流電源51と交流入力フィルタ3とを電気的に切り離すので、交流入力フィルタ3で損失が発生することを防止することができ、効率の向上を図ることができる。ステップST7において自装置の運転を継続すると判別した場合、ステップST1に戻る。
【0061】
以上のように、この実施の形態1では、待機状態の無停電電源装置UにおいてスイッチS1をオフさせて交流入力フィルタ3を商用交流電源51から電気的に切り離すので、商用交流電源51から交流入力フィルタ3への電流の流入を防止することができ、効率の向上を図ることができる。また、待機状態の無停電電源装置Uでは、運転状態の他の各無停電電源装置Uから出力端子T3に供給される交流電圧VOに基づいて制御回路14用の直流電源電圧VDCを生成するので、停電時でも待機状態の無停電電源装置Uを再起動することができる。
【0062】
なお、この実施の形態1では、本願発明が3台の無停電電源装置U1〜U3を備えた無停電電源システムに適用された場合について説明したが、これに限るものではなく、本願発明は4台以上の無停電電源装置Uを備えた無停電電源システムにも適用可能であることは言うまでもない。
【0063】
また、この実施の形態1では、待機状態の無停電電源装置UにおいてスイッチS1をオフさせ、スイッチS2,S3をオンさせたが、待機状態の無停電電源装置UにおいてスイッチS1,S2をオフさせ、スイッチS3をオンさせてもよい。この場合は、待機状態においてバッテリBから放電される直流電力を低減することができる。
【0064】
なお、待機状態の無停電電源装置UにおいてスイッチS3をオフさせると、運転状態の他の無停電電源装置Uから交流出力フィルタ11への電流の流入を防止することができ、効率の向上を図ることができる。しかし、この場合は、制御電源23(
図2)が直流電源電圧VDCを生成することができないので、待機状態の無停電電源装置Uを起動させることができない。
【0065】
[実施の形態2]
図4は、この発明の実施の形態2による無停電電源システムに含まれる無停電電源装置Uの制御回路14Aの構成を示すブロック図であって、
図2と対比される図である。
図4を参照して、この制御回路14Aが
図2の制御回路14と異なる点は、タイマ27が追加されている点である。
【0066】
タイマ27は、対応する無停電電源装置Uが待機状態にされた時間を計測し、計測した時間が所定時間に到達したことに応じて起動信号を出力する。指令部25は、対応するスイッチS1をオフさせ、コンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を停止させた後、起動信号に応答して対応するスイッチS1をオンさせ、コンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を起動させる。
【0067】
また、指令部25は、タイマ27からの起動信号に応答して、記憶部26に格納された優先順位を更新し、対応する無停電電源装置Uの優先順位を最下位にし、他の2つの無停電電源装置Uの優勢順位を1つずつ繰り上げる。
【0068】
たとえば、無停電電源装置U1の指令部25は、タイマ27からの起動信号に応答して、記憶部26に格納された優先順位を更新し、対応する無停電電源装置U1の優先順位を最下位にし、他の無停電電源装置U2,U3の優勢順位を1つずつ繰り上げる。すなわち、無停電電源装置U1〜U3が待機状態にされる優先順位は、それぞれ第3位、第1位、第2位に更新される。
【0069】
この状態で運転台数を1台減少させる場合は、無停電電源装置U2が待機状態にされ、所定時間経過後に無停電電源装置U2が運転状態にされ、無停電電源装置U1〜U3が待機状態にされる優先順位は、それぞれ第2位、第3位、第1位に更新される。
【0070】
この状態で運転台数を1台減少させる場合は、無停電電源装置U3が待機状態にされ、所定時間経過後に無停電電源装置U3が運転状態にされ、無停電電源装置U1〜U3が待機状態にされる優先順位は、それぞれ第1位、第2位、第3位に更新される。つまり、1台だけ待機状態にさせる場合は、無停電電源装置U1〜U3が1台ずつ順次待機状態にされ、待機状態にされる無停電電源装置Uが自動的にローテーションされる。
【0071】
また、システムの使用者は、操作部13を操作することにより、無停電電源装置Uの自動ローテンションを設定するか解除することが可能となっている。自動ローテーションを解除すると、この無停電電源システムは実施の形態1の無停電電源システムと同じになる。
【0072】
図5は、
図4に示した制御回路14Aの動作を示すフローチャートであって、
図3と対比される図である。
図5のフローチャートは、
図3のフローチャートのステップST8をステップST10〜ST14で置換したものである。ステップST1〜ST7は、
図3で説明した通りである。
図5においても、制御回路14Aが無停電電源装置U1に含まれている場合について説明する。制御回路14Aから見て当該制御回路14Aが属する無停電電源装置U1は自装置であり、他の無停電電源装置U2,U3の各々は他装置である。
【0073】
ステップST7において自装置U1を停止すると判別した場合、ステップST10において指令部25は、操作部13によって自動ローテーションが設定されているか否かを判別する。自動ローテーションが設定されていない場合、ステップST11において指令部25は、自装置U1のスイッチS1をオフさせ、コンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を停止させる。
【0074】
自動ローテーションが設定されている場合、ステップST12において指令部25は、自装置U1のスイッチS1をオフさせ、コンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を停止させるとともに、タイマ27をスタートさせる。ステップST13においてタイマ27はスタートしてから所定時間経過後に起動信号を出力し、指令部25は起動信号に応答して自装置U1のスイッチS1をオンさせ、コンバータ4、双方向チョッパ7、およびインバータ8を起動させる。ステップST14において指令部25は、各無停電電源装置Uの記憶部26に格納された優先順位を更新し、ステップST2に戻る。
【0075】
この実施の形態2では、たとえば1台の無停電電源装置Uを待機状態にする場合、無停電電源装置U1〜U3を1台ずつ順次、待機状態にする。したがって、無停電電源装置U1〜U3の運転時間を均等化することができるので、各無停電電源装置Uの故障の発生を遅らせることができる。
【0076】
[実施の形態3]
図6は、この発明の実施の形態3による無停電電源システムに含まれる無停電電源装置Uの制御装置14Bの構成を示すブロック図であって、
図4と対比される図である。
図6を参照して、この制御装置14Bが
図4の制御装置14Aと異なる点は、故障検出器28が追加されている点である。
【0077】
故障検出器28は、対応する無停電電源装置Uの故障の有無を検出し、対応する無停電電源装置Uが故障した場合は故障検出信号を出力する。指令部25は、対応する故障検出器28から故障検出信号が出力された場合、スイッチS1,S3をオフさせて対応する無停電電源装置Uを並列運転から解列させるか、または対応する無停電電源装置Uを待機状態にする。
【0078】
また、指令部25は、対応する無停電電源装置Uを優先順位から除外し、他の各無停電電源装置Uが待機状態になる優先順位を1つ繰り上げる。たとえば、無停電電源装置U1〜U3の優先順位がそれぞれ第1位〜第3位である場合において無停電電源装置U1が故障したとき、無停電電源装置U1が優先順位から除外され、無停電電源装置U2,U3の優先順位がそれぞれ第1位および第2位にされる。
【0079】
図7は、
図6に示した制御回路14Bの動作を示すフローチャートであって、
図5と対比される図である。
図7のフローチャートは、
図5のフローチャートにステップST1A〜ST1Cを追加したものである。ステップST1Aは、ステップST1とST2の間で行なわれる。
図7においても、制御回路14Bが無停電電源装置U1に含まれている場合について説明する。制御回路14Bから見て当該制御回路14Bが属する無停電電源装置U1は自装置であり、他の無停電電源装置U2,U3の各々は他装置である。
【0080】
ステップST1Aにおいて故障検出器28は対応する無停電電源装置U1(すなわち自装置U1)が故障しているか否かを検出し、故障していない場合はステップST2に進む。自装置U1が故障している場合は、ステップST1Bにおいて指令部25はスイッチS1,S3をオフさせて自装置U1を並列運転から解列させるか、または自装置U1を待機状態にし、ステップST1Cにおいて指令部25は自装置U1を優先順位から除外して優先順位を更新する。
【0081】
この実施の形態3では、実施の形態1,2と同じ効果が得られる他、故障した無停電電源装置Uをローテーションから除外することができる。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。