特許第6957429号(P6957429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6957429クリーナーヘッド、除去装置及び除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957429
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】クリーナーヘッド、除去装置及び除去方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20211021BHJP
   B08B 5/04 20060101ALI20211021BHJP
   H01M 50/411 20210101ALI20211021BHJP
   H01M 50/44 20210101ALI20211021BHJP
【FI】
   H01M4/04 Z
   B08B5/04 Z
   H01M50/411
   H01M50/44
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-174210(P2018-174210)
(22)【出願日】2018年9月18日
(65)【公開番号】特開2020-47439(P2020-47439A)
(43)【公開日】2020年3月26日
【審査請求日】2019年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】内田 健哉
(72)【発明者】
【氏名】菊地 佑磨
【審査官】 川村 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/155075(WO,A1)
【文献】 特開平09−314072(JP,A)
【文献】 特開2012−099732(JP,A)
【文献】 特開2012−143687(JP,A)
【文献】 特開2009−144216(JP,A)
【文献】 特開2015−217320(JP,A)
【文献】 特開2014−107061(JP,A)
【文献】 特開2014−167938(JP,A)
【文献】 特開2002−008640(JP,A)
【文献】 特開平10−309541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00− 4/84
H01M 50/40−50/497
B08B 5/00− 5/04
B08B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極の表面に形成される有機繊維を含むセパレータに外周面が接触する状態で回転駆動可能であり、前記外周面が前記セパレータに接触する状態での回転駆動によって、前記セパレータの一部において前記有機繊維を除去可能な第1の回転体と、
前記第1の回転体の回転軸に沿う方向について前記第1の回転体に対して並んで設けられ、前記第1の回転体の前記回転駆動によって、前記セパレータに接触しない状態で、前記第1の回転体と一緒に回転する第2の回転体と、
前記回転軸の軸回りについて前記電極及び前記セパレータから離れた位置で前記第2の回転体の外周面に接触し、前記第2の回転体が回転している状態において前記第2の回転体の前記外周面に接触することにより、前記第2の回転体の前記外周面に付着した前記有機繊維の一部又は全部を除去可能な第1の接触面と、
を具備するクリーナーヘッド。
【請求項2】
前記第2の回転体は、前記回転軸に沿う方向について前記第1の回転体に対して隣接する、請求項1のクリーナーヘッド。
【請求項3】
前記第1の回転体は、前記外周面に複数のブラシ毛を備える、請求項1又は2のクリーナーヘッド。
【請求項4】
前記第2の回転体は、前記外周面に複数のブラシ毛を備え、
前記第1の接触面は、前記回転軸の軸回りについて前記電極及び前記セパレータから離れた位置で前記第2の回転体の前記ブラシ毛に接触する、
請求項1乃至3のいずれか1項のクリーナーヘッド。
【請求項5】
前記第1の接触面が形成されるプレートをさらに具備し、
前記プレートは、前記回転軸の軸回りについて前記電極及び前記セパレータから離れた位置で前記第1の回転体の前記外周面に接触する第2の接触面であって、前記第1の接触面とは異なる部位に設けられる第2の接触面を備え、
前記第2の接触面は、前記第1の回転体が回転している状態において前記第1の回転体の前記外周面に接触することにより、前記第1の回転体の前記外周面に付着した前記有機繊維の一部又は全部を除去可能な、
請求項1乃至4のいずれか1項のクリーナーヘッド。
【請求項6】
前記プレートは、前記第1の回転体の前記回転軸から離れる側に凹む溝を備え、
前記第1の回転体及び前記第2の回転体は、前記溝に挿入され、
前記第1の接触面は、前記溝に形成されるとともに、前記溝において前記第2の回転体の前記外周面に接触し、
前記第2の接触面は、前記溝に形成されるとともに、前記溝において前記第1の回転体の前記外周面に接触する、
請求項5のクリーナーヘッド。
【請求項7】
前記第1の回転体及び前記第2の回転体の内部の収納空間に収納し、前記収納空間は外部に開口する開口を有する外装カバーをさらに具備し、
前記第1の接触面は、前記外装カバーの内部の前記収納空間に配置され、
前記第1の回転体の前記外周面は、前記収納空間の前記開口において、前記有機繊維の前記セパレータに接触する、
請求項1乃至6のいずれか1項のクリーナーヘッド。
【請求項8】
前記第1の回転体の前記外周面と前記第2の回転体の前記外周面との間に、前記第1の回転体の外径が前記第2の回転体の外径より大きいことにより形成される段差面をさらに具備する、請求項1乃至7のいずれか1項のクリーナーヘッド。
【請求項9】
前記電極は、電池の電極である、請求項1乃至8のいずれか1項のクリーナーヘッド。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項のクリーナーヘッドと、
前記クリーナーヘッドにおいて吸引力を作用させることにより、前記第1の回転体によって前記セパレータから除去された前記有機繊維を回収可能な集塵機と、
を具備する除去装置。
【請求項11】
電極の表面に形成される有機繊維を含むセパレータの一部から有機繊維を除去する除去方法あって、
第1の回転体の外周面が前記セパレータに接触する状態で前記第1の回転体を回転駆動させることにより、前記セパレータの一部において前記有機繊維を除去することと、
前記第1の回転体の回転軸に沿う方向について前記第1の回転体に対して並んで設けられる第2の回転体を、前記第1の回転体の回転駆動によって、前記セパレータに接触しない状態で前記第1の回転体と一緒に回転させることと、
前記第2の回転体が回転している状態において、前記回転軸の軸回りについて前記電極及び前記セパレータから離れた位置で、前記第2の回転体の外周面に接触面を接触させることにより、前記第2の回転体の前記外周面に付着した前記有機繊維の一部又は全部を除去することと、
を具備する、除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、クリーナーヘッド、除去装置及び除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池等に用いられる電極群には、正極と負極との間を絶縁するセパレータが正極又は負極と一体に形成されるものがある。この電極群の製造では、セパレータと一体に形成される電極(正極又は負極)の表面に、例えば、電界紡糸法(エレクトロスピニング法)によって、有機繊維を含むシートを形成する。そして、有機繊維を含むシートが、正極と負極との間のセパレータとなる。また、前述のように電界紡糸法によって電極の一方と一体にセパレータを形成する場合、電極の全面に電界紡糸法によって有機繊維を含むシートを形成した後、集電体において活物質が無担持の部分、すなわち、集電タブを形成する部分から、有機繊維を除去する必要がある。この場合、例えば、クリーナーヘッドを備える除去装置が用いられる。クリーナーヘッドに搭載される回転ブラシのブラシ毛がシートに接触する状態で、回転ブラシ(回転体)を回転駆動することにより、シートの一部において、有機繊維が除去される。
【0003】
前述のように回転ブラシ(回転体)によって有機繊維を除去する場合、集電タブを形成する部分からのみ有機繊維が適切に除去され、集電体において活物質が担持される部分からは有機繊維が除去されないことが求められる。すなわち、電極に形成されるシートにおいて、所望の部位からのみ適切に有機繊維が除去されることが、求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−41817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、基材の表面に形成されるシートにおいて所望の部位からのみ有機繊維が除去されるクリーナーヘッド、そのクリーナーヘッドを備える除去装置、及び、そのクリーナーヘッドを用いた除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、第1の回転体、第2の回転体、及び、接触面を備えるクリーナーヘッドが提供される。第1の回転体は、電極の表面に形成される有機繊維を含むセパレータに外周面が接触する状態で、回転駆動可能である。外周面がセパレータに接触する状態での第1の回転体の回転駆動によって、セパレータの一部において、有機繊維を除去可能である。第2の回転体は、第1の回転体の回転軸に沿う方向について、第1の回転体に対して並んで設けられる。第2の回転体は、第1の回転体の回転駆動によって、セパレータに接触しない状態で、第1の回転体と一緒に回転する。接触面は、回転軸の軸回りについて電極及びセパレータから離れた位置で第2の回転体の外周面に接触する。第2の回転体が回転している状態において接触面が第2の回転体の外周面に接触することにより、第2の回転体の外周面に付着した有機繊維の一部又は全部を、除去可能である。
【0007】
また、実施形態によれば、前述のクリーナーヘッド、及び、集塵機を備える除去装置が提供される。集塵機は、クリーナーヘッドにおいて吸引力を作用させることにより、第1の回転体によってセパレータから除去された有機繊維を回収可能である。
また、実施形態によれば、電極の表面に形成される有機繊維を含むセパレータの一部から、有機繊維を除去する除去方法が提供される。除去方法では、第1の回転体の外周面がセパレータに接触する状態で第1の回転体を回転駆動させることにより、セパレータの一部において、有機繊維を除去する。除去方法では、第1の回転体の回転軸に沿う方向について第1の回転体に対して並んで設けられる第2の回転体を、第1の回転体の回転駆動によって、セパレータに接触しない状態で第1の回転体と一緒に回転させる。そして、除去方法では、第2の回転体が回転している状態において、回転軸の軸回りについて電極及びセパレータから離れた位置で、第2の回転体の外周面に接触面を接触させる。これにより、第2の回転体の外周面に付着した有機繊維の一部又は全部を、除去する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る除去装置の構成を示す概略図である。
図2図2は、図1のA1−A1断面を概略的に示す断面図である。
図3図3は、図1のA2−A2断面を概略的に示す断面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る除去装置を用いて形成されたセパレータ一体型電極を備える電極群の一例を示す概略図である。
図5図5は、図4の電極群での正極及び負極の積層状態を概略的に示す断面図である。
図6図6は、図4の電極群の形成において、有機繊維のシートを形成した後で、かつ、除去装置での処理が行われる前の、負極の状態を概略的に示す断面図である。
図7図7は、図4の電極群の形成において、除去装置による処理が完了した直後の負極の状態を概略的に示す断面図である。
図8図8は、第1の実施形態のある変形例に係る除去装置のクリーナーヘッドの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図1乃至図8を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る除去装置(クリーナーユニット)1を示す。また、図2は、図1のA1−A1線断面を示し、図3は、図1のA2−A2断面を示す。図1乃至図3に示すように、除去装置(剥ぎ取り機)1は、クリーナーヘッド2と、集塵機3と、クリーナーヘッド2と集塵機3との間を連結するダクト5と、を備える。クリーナーヘッド2は、中心軸としてヘッド軸Xを有する。クリーナーヘッド2は、外装カバー6と、回転ユニット(ブラシユニット)7と、回転ユニット7を支持する支持部材9と、を備える。回転ユニット7は、回転軸Rを中心として回転可能に、支持部材9に取付けられる。回転ユニット7は、シャフト10を介して、支持部材9に取付けられ、シャフト10と一緒に回転軸Rの軸回りに回転する。
【0011】
また、クリーナーヘッド2では、外装カバー6の内部に、収納空間11が形成される。収納空間11は、外装カバー6及び支持部材9によって、規定される。回転ユニット7は、収納空間11に配置される。外装カバー6には、収納空間11がクリーナーヘッド2の外部に対して開口する開口12が、形成される。ここで、クリーナーヘッド2において、回転軸Rに沿う回転軸方向(矢印R1及び矢印R2で示す方向)、回転軸方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)第1の交差方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、及び、回転軸方向及び第1の交差方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)第2の交差方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)を規定する。図1は、収納空間11を第2の方向の一方側から視た状態で示す。そして、図2及び図3は、回転軸方向に垂直又は略垂直な断面を示す。ヘッド軸Xは、第1の交差方向に沿って延設され、第1の交差方向はヘッド軸Xに沿うヘッド軸方向と一致又は略一致する。また、収納空間11は、開口12において、第1の交差方向(ヘッド軸方向)の一方側(矢印X1側)へ向かって開口する。
【0012】
回転ユニット7は、回転ベース13と、回転体(第1の回転体)15と、回転体(第2の回転体)16A,16Bと、を備える。回転ベース13は、シャフト10の外周面に取付けられる。そして、回転体(回転ブラシ)15及び回転体16A,16Bは、回転ベース13の外周面17に配置される。回転体15が回転駆動されることにより、回転体16A,16Bは、回転ベース13、回転体15及びシャフト10と一緒に、回転軸Rの軸回りに回転する。回転体16A,16Bは、回転軸Rに沿う回転軸方向について、回転体15に対して並んで設けられる。回転体16Aは、回転体15に対して回転軸方向の一方側(矢印Y1側)に配置され、回転体16Bは、回転軸方向について回転体15に対して回転体16Aが位置する側とは反対側(矢印Y2側)に配置される。したがって、回転体15は、回転軸方向について回転体16A,16Bの間に配置される。ここで、図2は、回転体(第1の回転体)15を通る断面を示し、図3は、回転体(第2の回転体)16Aを通る断面を示す。また、回転軸方向に垂直又は略垂直で、かつ、回転体(第2の回転体)16Bを通る断面も、図3の断面と同様になる。
【0013】
本実施形態では、回転体16A,16Bのそれぞれは、回転軸方向について回転体15に対して隣接する。ただし、ある実施例では、回転体16A,16Bのそれぞれは、回転軸方向について回転体15から僅かに離れて配置されてもよい。この場合、回転体16A,16Bのそれぞれと回転体15との間に、微小の隙間が形成される。ただし、回転体16A,16Bが回転軸方向について回転体15から離れる場合も、回転体16A,16Bのそれぞれの回転体15からの離間距離は、微小であり、例えば、回転軸方向についての回転体15の寸法より小さい。
【0014】
回転体15の外径は、回転体16A,16Bのそれぞれの外径に比べて、大きい。このため、回転体15の外周面21と回転体16Aの外周面22Aとの間には、回転体15によって、段差面23Aが形成される。そして、回転体15の外周面21と回転体16Bの外周面22Bとの間には、回転体15によって、段差面23Bが形成される。回転体15では、段差面23Aは、回転軸方向について回転体16Aが位置する側を向く。そして、回転体15では、段差面23Bは、回転軸方向について回転体16Bが位置する側を向き、段差面23Aが向く側とは反対側を向く。
【0015】
また、回転体16A,16Bのそれぞれの外径は、回転ベース13の外径に比べて、大きい。このため、回転体16Aの外周面22Aと回転ベース13の外周面17との間には、回転体16Aによって、段差面25Aが形成される。そして、回転体16Bの外周面22Bと回転ベース13の外周面17との間には、回転体16Bによって、段差面25Bが形成される。回転体16Aでは、段差面25Aは、回転軸方向について回転体15が位置する側とは反対側を向く。そして、回転体16Bでは、段差面25Bは、回転軸方向について回転体15が位置する側とは反対側を向き、段差面25Aが向く側とは反対側を向く。
【0016】
回転体15の外周面21は、柔軟性を有する素材から形成され、後述するシート53等の有機繊維を含むシートにおいて、有機繊維を除去可能な素材から形成される。回転体(第1の回転体)15の外周面を形成する素材としては、ブラシ、スポンジ、ゴムロール、不織布、布、及び、紙ロール等が挙げられる。
図1乃至図3の一例では、回転体15は、回転ブラシであり、回転体15の外周面21には、複数(多数)のブラシ毛(第1のブラシ毛)27が設けられる。ブラシ毛27のそれぞれは、化学繊維又は動物繊維から形成される。ブラシ毛27を形成する化学繊維としては、ナイロン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエステル、アクリル樹脂、アラミド及びテフロン(登録商標)等のフッ素系樹脂が挙げられる。ブラシ毛27を形成する動物繊維としては、馬毛、豚毛、羊毛及び鹿毛が挙げられる。ブラシ毛27のそれぞれは、線径が0.1mm以上かつ0.5mm以下であるとともに、毛丈が30mm以下である。ただし、ブラシ毛27のそれぞれの線径及び毛丈が前述の範囲内であっても、回転体(回転ブラシ)15のブラシ毛27のそれぞれは、線径が0.2mmより大きい、又は、線径に対する毛丈の比率が50より小さいことが、好ましい。
【0017】
また、図1乃至図3の一例では、回転体16Aの外周面22Aに、複数(多数)のブラシ毛(第2のブラシ毛)28Aが設けられ、回転体16Bの外周面22Bに、複数(多数)のブラシ毛(第2のブラシ毛)28Bが設けられる。なお、回転ユニット7の製造における手間及びコストを削減する観点から、ブラシ毛28A,28Bのそれぞれは、ブラシ毛27と同一の材料から形成されることが、好ましい。そして、回転ユニット7の製造における手間及びコストを削減する観点から、ブラシ毛28A,28Bのそれぞれの線径は、ブラシ毛27のそれぞれの線径と同一又は略同一であることが、好ましい。また、ある実施例では、回転体16A,16Bのそれぞれの外径を、回転体15の外径と、同一又は略同一に形成してもよい。
【0018】
また、回転体16Aのブラシ毛28A及び回転体16Bのブラシ毛28Bは、必ずしも設ける必要はない。ある実施例では、回転体16Aの外周面22A及び回転体16Bの外周面22Bのそれぞれは、スポンジ、ゴムロール、不織布、布、及び、紙ロール等のいずれかから形成されてもよい。
【0019】
クリーナーヘッド2の内部の収納空間11には、プレート30が配置される。プレート30は、例えば、金属等から形成される。プレート30は、回転軸Rの軸回りについて、開口12から離れた位置(角度位置)に設けられ、図1乃至図3の一例では、回転軸Rの軸回りについて開口12から180°又は略180°離れた位置に設けられる。したがって、本実施形態では、プレート30は、第1の交差方向について、回転ユニット7(回転体15及び回転体16A,16B)に対して開口12が位置する側とは反対側に、配置される。プレート30は、回転ユニット7の外周面と対向するプレート対向面31を備える。プレート対向面31は、回転軸Rの軸回りについて開口12から離れた位置で、回転ユニット7の外周面と対向し、図1乃至図3の一例では、第1の交差方向について開口12が位置する側とは反対側から、回転ユニット7の外周面に対向する。
【0020】
プレート30のプレート対向面31には、溝32が形成される。溝32は、回転軸Rから離れる側、すなわち、回転体15及び回転体16A,16Bから離れる側に凹む。プレート30では、溝32は、回転軸Rに近づく側、すなわち、回転体15及び回転体16A,16Bが位置する側に向かって開口する。そして、プレート対向面31には、溝32の開口縁33が、形成される。溝32には、回転体(第1の回転体)15及び回転体(第2の回転体)16A,16Bが挿入される。ただし、回転体15及び回転体16A,16B以外の部位では、回転ユニット7は、溝32に挿入されない。したがって、回転ベース13は、溝32に挿入されない。そして、回転体15及び回転体16A,16B以外の部位では、回転ユニット(ブラシユニット)7の外周面は、プレート対向面31との間に隙間を有する。したがって、回転ベース13の外周面17は、プレート対向面31との間に隙間を有する。
【0021】
回転体15及び回転体16A,16Bでは、回転ベース13から外周側への突出部分が、溝32に挿入される。そして、溝32の形状は、回転体15及び回転体16A,16Bにおいて回転ベース13から外周側への突出部分に、対応する。したがって、溝32は、回転体15及び回転体16A,16Bに対応する形状に、形成される。溝32には、回転体15の外周面21に接触する接触面35が、形成される。接触面35は、溝32において、回転体(第1の回転体)15の外周面21(ブラシ毛27)に接触する。したがって、回転体15の外周面21は、回転軸Rの軸回りについて開口12から離れた位置で、接触面35と接触する。図1乃至図3の一例では、回転軸Rの軸回りについて開口12から180°又は略180°離れた位置で、外周面21(ブラシ毛27)が接触面35に接触する。
【0022】
また、溝32には、回転体16Aの外周面22Aに接触する接触面(第1の接触面)36A、及び、回転体16Bの外周面22Bに接触する接触面(第1の接触面)36Bが、形成される。接触面36Aは、溝32において、回転体16Aの外周面22A(ブラシ毛28A)と接触する。そして、接触面36Bは、溝32において、回転体16Bの外周面22B(ブラシ毛28B)と接触する。したがって、回転体16Aの外周面22Aは、回転軸Rの軸回りについて開口12から離れた位置で、接触面36Aと接触し、回転体16Bの外周面22Bは、回転軸Rの軸回りについて開口12から離れた位置で、接触面36Bと接触する。図1乃至図3の一例では、回転軸Rの軸回りについて開口12から180°又は略180°離れた位置で、接触面36A,36Bのそれぞれは、回転体16Aの外周面22A及び回転体16Bの外周面22Bの対応する一方と接触する。接触面(第1の接触面)36Aは、接触面(第2の接触面)35に対して回転軸方向の一方側に配置され、接触面(第1の接触面)36Bは、回転軸方向について接触面(第2の接触面)35に対して接触面36Aが位置する側とは反対側に配置される。したがって、接触面(第2の接触面)35は、接触面(第1の接触面)36A,36Bとは異なる部位に設けられる。
【0023】
接触面35での溝32の深さは、接触面36A,36Bのそれぞれでの溝32の深さに比べて、大きい。このため、溝32では、接触面35と接触面36Aとの間に、段差面37Aが形成される。そして、接触面35と接触面36Bとの間に、段差面37Bが形成される。段差面37Aは、接触面35から接触面36Aまで連続して延設され、段差面37Bは、接触面35から接触面36Bまで連続して延設される。段差面37Aは、回転体15の段差面23Aに対して、回転体16Aが位置する側から対向する。そして、段差面37Bは、回転体15の段差面23Bに対して、回転体16Bが位置する側から対向する。したがって、溝32では、回転体15は、回転軸方向について段差面37A,37Bの間に配置される。ただし、段差面37Aは、回転体15と接触せず、回転体15の段差面23Aとの間に隙間を有する。そして、段差面37Bは、回転体15と接触せず、回転体15の段差面23Bとの間に隙間を有する。
【0024】
溝32では、接触面36Aから溝32の開口縁33まで、溝側面38Aが連続して延設される。そして、溝32では、接触面36Bから溝32の開口縁33まで、溝側面38Bが連続して延設される。溝側面38Aは、回転体16Aの段差面25Aに対して、回転体15が位置する側とは反対側から対向する。そして、溝側面38Bは、回転体16Bの段差面25Bに対して、回転体15が位置する側とは反対側から対向する。したがって、溝32では、回転体16Aは、回転軸方向について溝側面38Aと回転体15との間に配置される。そして、溝32では、回転体16Bは、回転軸方向について溝側面38Bと回転体15との間に配置される。ただし、溝側面38Aは、回転体16Aと接触せず、回転体16Aの段差面25Aとの間に隙間を有する。そして、溝側面38Bは、回転体16Bと接触せず、回転体16Bの段差面25Bとの間に隙間を有する。
【0025】
プレート30には、中継部材40が連結される。中継部材40は、第1の交差方向(ヘッド軸方向)について回転ユニット7が位置する側とは反対側から、プレート30に連結される。中継部材40の内部には、中継空間41が形成される。収納空間11は、流路42A,42B,42Cを介して、中継空間41と連通する。流路42A〜42Cのそれぞれは、第1の交差方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)に沿って、延設される。また、流路42Aは、プレート30の内部を通って、形成される。流路42Bは、流路42Aに対して第2の交差方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)の一方側に位置する。そして、流路42Cは、第2の交差方向について、流路42Aに対して流路42Bが位置する側とは反対側に位置する。流路42A〜42Cのそれぞれでは、第2の交差方向についての寸法(幅)は、いずれの箇所においても、2mm以上である。そして、流路42A〜42Cのそれぞれでは、回転軸方向(矢印R1及び矢印R2で示す方向)についての寸法(幅)は、いずれの箇所においても、2mm以上である。
【0026】
除去装置1では、ダクト5の一端が、クリーナーヘッド2の中継部材40に接続される。ダクト5の内部は、中継空間41と連通する。そして、ダクト5の他端は、集塵機3に接続される。集塵機3は、吸引ポンプ等を含む吸引源45と、回収タンク46と、フィルタ47と、を備える。吸引源45が作動されることにより、クリーナーヘッド2において吸引力が作用する。本実施形態では、吸引源45が作動されることにより、クリーナーヘッド2を含む除去装置1において、開口12から収納空間11への吸引力が作用し、収納空間11から吸引源45への吸引力が作用する。したがって、収納空間11、流路42A〜42Cのいずれか、中継空間41及びダクト5の内部を順に通って、開口12から吸引源45へ向かう気体の流れが、発生する。これより、除去装置(剥ぎ取り機)1を用いた吸引が行われる。吸引による吸引物は、回収タンク46に回収される。また、フィルタ47は、ダクト5と吸引源45との間に配置される。フィルタ47によって、吸引物が吸引源45へ流入することが防止され、気体(空気)のみが吸引源45へ流入する。
【0027】
また、開口12から集塵機3までの吸引経路では、流路42A〜42Cのそれぞれにおいて、吸引経路の幅及び断面積が最も狭くなる。したがって、開口12から集塵機3までの吸引経路では、いずれの部位においても、吸引経路の幅が、2mm以上になる。
【0028】
また、除去装置1が用いられるシステムでは、搬送ローラ51が設けられる。搬送ローラ51は、搬送装置の一部を、形成し、除去装置1の処理対象50は、搬送装置によって、搬送される。
【0029】
次に、除去装置1の処理対象50について、説明する。処理対象50では、基材52の表面に有機繊維を含むシート53が形成される。シート53は、例えば、紡糸ヘッド(図示しない)を用いた電界紡糸法(エレクトロスピニング法)によって、基材52の表面に形成される。電解紡糸法では、紡糸ヘッドの内部に、有機材料が溶媒に溶解した溶液が充填される。そして、紡糸ヘッドと基材52との間に電圧(高電圧)を印加することにより、紡糸ヘッドのノズルから基材52の表面に、有機材料の溶液が噴出される。これにより、基材52の表面に、有機繊維を含むシート(層)53が形成される。なお、シート53は、電気的絶縁性を有する絶縁層である。
【0030】
ここで、紡糸ヘッドに充填される有機材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリイミド、ポリケトン、ポリスルホン、セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミド、ポリアミドイミド及びポリフッ化ビニリデン(PVdf)のいずれか1以上が選択される。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)等が挙げられる。紡糸ヘッドの内部では、有機材料は、5質量%〜60質量%程度の濃度で、溶媒に溶解される。有機材料を溶解する溶媒としては、ジメチルアセドアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N‘ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP),水及びアルコール類等の任意の溶媒が用いられる。また、溶解性の低い有機材料に対しては、電界紡糸法を行っている最中に、レーザー等によってシート状の有機材料を溶融してもよい。さらに、有機材料の溶液では、高沸点の有機溶剤と低融点の溶剤とが混合されてもよい。
【0031】
また、紡糸ヘッドと基材52との間の電圧は、溶媒及び溶質の種類、溶媒の沸点及び蒸気圧曲線、溶液濃度、温度、紡糸ヘッドのノズルの形状、及び、基材52と紡糸ヘッドのノズルとの間の距離等に対応して、適宜決定され、例えば1kV〜100kVの間で適宜決定される。また、有機材料の溶液の供給速度は、溶液濃度、溶液粘度、温度、圧力、印加電圧、及び、紡糸ヘッドのノズルの形状等に対応して、適宜決定される。
【0032】
また、有機繊維を含むシート53の形成、すなわち、基材52の表面への有機繊維の紡糸は、電界紡糸法以外の手法によって行われてもよい。例えば、電界紡糸法の代わりに、インクジェット法、ジェットディスペンサー法及びスプレー塗布法のいずれかによって、基材52の表面に有機繊維を含むシート53が形成されてもよい。
【0033】
電界紡糸法等の紡糸によって基材52に有機繊維を含むシート53が形成された処理対象50は、搬送ローラ51を含む搬送装置によって、除去装置(剥ぎ取り機)1に搬送される。そして、除去装置1による処理が行われる。
【0034】
除去装置1による処理を行う際には、基材52の表面に形成される有機繊維を含むシート53に、回転体15の外周面21(ブラシ毛27)を接触させる。この際、収納空間11の開口12において、回転体(第1の回転体)15がシート53に接触する。そして、回転体15の外周面21がシート53に接触する状態で、回転体(第1の回転体)15及び回転体(第2の回転体)16A,16Bを含む回転ユニット7を回転軸Rの軸回りに回転させ、回転体15が回転駆動される。回転体15の回転駆動によって、シート53において有機繊維が除去される(剥ぎ取られる)。本実施形態では、回転体15によって、シート53の一部で、有機繊維が除去される。したがって、除去装置1での処理が完了した処理対象50においても、基材52の表面には、回転体15による除去が行われていない部位に、有機繊維を含むシート53が形成される。
【0035】
クリーナーヘッド2では、シート53から除去された有機繊維は、回転体15の外周面21(ブラシ毛27)に付着することがある。本実施形態では、回転軸Rの軸回りについて開口12から離れた位置、すなわち、回転軸Rの軸回りについて基材52及びシート53から離れた位置で、接触面(第2の接触面)35が回転体15の外周面21(ブラシ毛27)に接触する。このため、回転体15が回転している状態において接触面35が外周面21に接触することにより、回転体15の外周面21(ブラシ毛27)に付着した有機繊維の一部又は全部が、除去される。
【0036】
また、シート53から除去された有機繊維及び回転体15から除去された有機繊維は、回転体(第1の回転体)15の段差面23Aと溝32の段差面37Aとの間の隙間に溜まることがある。そして、シート53から除去された(剥ぎ取られた)有機繊維が直接的に回転体16Aの外周面22Aに付着したり、段差面23A,37Aの間の隙間に溜まった有機繊維が回転体16Aの外周面22Aに付着したりすることがある。同様に、シート53から除去された有機繊維及び回転体15から除去された有機繊維は、回転体15の段差面23Bと溝32の段差面37Bとの間の隙間に溜まることがある。そして、シート53から除去された有機繊維が直接的に回転体16Bの外周面22Bに付着したり、段差面23B,37Bの間の隙間に溜まった有機繊維が回転体16Bの外周面22Bに付着したりすることがある。
【0037】
本実施形態では、回転軸Rの軸回りについて開口12から離れた位置、すなわち、回転軸Rの軸回りについて基材52及びシート53から離れた位置で、接触面(第1の接触面)36Aが回転体16Aの外周面22Aに接触する。このため、回転体16Aが回転体15と一緒に回転している状態において接触面36Aが回転体16Aの外周面22Aに接触することにより、回転体16Aの外周面22Aに付着した有機繊維の一部又は全部が、除去される。同様に、本実施形態では、回転軸Rの軸回りについて開口12から離れた位置、すなわち、回転軸Rの軸回りについて基材52及びシート53から離れた位置で、接触面(第1の接触面)36Bが回転体16Bの外周面22Bに接触する。このため、回転体16Bが回転体15と一緒に回転している状態において接触面36Bが回転体16Bの外周面22Bに接触することにより、回転体16Bの外周面22Bに付着した有機繊維の一部又は全部が、除去される。
【0038】
本実施形態では、前述のように、回転体15の外径は、回転体16A,16Bのそれぞれの外径に比べて、大きい。そして、回転体15の外周面21と回転体16Aの外周面22Aとの間には、段差面23Aが形成され、回転体15の外周面21と回転体16Bの外周面22Bとの間には、段差面23Bが形成される。前述のような構成であるため、回転体16Aは、処理対象50のシート53に接触しない状態で、回転体(回転ブラシ)15と一緒に回転する。同様に、回転体16Bは、処理対象50のシート53に接触しない状態で、回転体と一緒に回転する。したがって、回転体16A,16Bのそれぞれのシート53への接触が、有効に防止される。
【0039】
また、回転体16Aの外周面22A及び回転体16Bの外周面22Bのそれぞれでは、付着した有機繊維が、前述のように除去される。このため、回転体16Aの外周面22A及び回転体16Bの外周面22Bのそれぞれでは、有機繊維が大量に付着することが防止され、付着した有機繊維のシート53への干渉が防止される。これにより、回転体16Aの外周面22Aに付着した有機繊維によってシート53が除去されることが、有効に防止される。同様に、回転体16Bの外周面22Bに付着した有機繊維によってシート53が除去されることが、有効に防止される。
【0040】
前述のように、本実施形態では、回転体16A,16Bのそれぞれに付着した有機繊維によってシート53が除去されることが、防止される。これにより、処理対象50のシート53では、回転体15の外周面21(ブラシ毛27)が接触する部位、すなわち、所望の部位からのみ、有機繊維が適切に除去される。
【0041】
また、本実施形態では、回転体15の段差面23Aと溝32の段差面37Aとの間に、隙間が設けられる。そして、回転体15の段差面23Bと溝32の段差面37Bとの間に、隙間が設けられる。すなわち、金属等から形成されるプレート30は、回転軸方向について回転体15から離間する。このため、プレート30が回転軸方向から回転体15のブラシ毛27に接触することが、防止される。回転体15が回転している状態において回転軸方向からプレート30が回転体15に接触しないことにより、回転体15の長寿命化が実現される。
【0042】
また、回転体15が回転駆動されている状態では、集塵機3が駆動される。これにより、回転体15によって除去された有機繊維が、クリーナーヘッド2の開口12から収納空間11の内部へ吸引される。そして、収納空間11に吸引された有機繊維は、集塵機3の回収タンク46に吸引回収される。また、回転体15の外周面21(ブラシ毛27)から除去された有機繊維、及び、回転体16Aの外周面22A及び回転体16Bの外周面22Bのそれぞれから除去された有機繊維も、集塵機3の回収タンク46に吸引回収される。この際、有機繊維は、流路42A〜42Cのいずれか、中継空間41及びダクト5の内部を順に通って、収納空間11から集塵機3へ向かう。また、集塵機3では、フィルタ47によって、有機繊維が吸引源45へ流入することが防止される。
【0043】
前述のように、開口12から集塵機3までの吸引経路では、吸引経路の幅は、最も狭い流路42A〜42Cのそれぞれにおいても、2mm以上になる。開口12から集塵機3までのいずれの部位においても吸引経路の幅が2mm以上になることにより、回収タンク46へ向かう吸引経路に有機繊維が留まることが、有効に防止される。
【0044】
(除去装置の使用例)
次に、除去装置(剥ぎ取り機)1の使用例について説明する。前述した実施形態の除去装置1は、例えば、非水電解質二次電池やアルカリ二次電池等の電池の電極群の形成に用いられ、正極又は負極がセパレータと一体のセパレータ一体型電極を形成する際に用いられる。
【0045】
図4は、除去装置1を用いて形成されたセパレータ一体型電極を備える電極群100の一例を示す。電極群100は、例えば、密閉型の非水電解質二次電池等の電池に設けられる。電池では、電極群100は、外装部材の内部に収納される。また、外装部材の内部では、電極群100に、電解液(図示しない)が含浸される。
【0046】
外装部材としては、ラミネートフィルム製の袋状容器及び金属製容器のいずれかを用いることができる。外装部材の形状としては、例えば、扁平型、角型、円筒型、コイン型、ボタン型、シート型、及び、積層型等が挙げられる。ラミネートフィルムとしては、例えば、多層フィルムを用いることができ、多層フィルムは、複数の樹脂層と、樹脂層同士の間に配置される金属層とを含むことができる。この場合、金属層として、例えば、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔を用いることができ、樹脂層として、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、及び、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。また、金属製容器は、例えば、アルミニウム、亜鉛、チタン及び鉄から成る群から選択される少なくとも1種の金属、又は、これらの金属の合金により形成される。
【0047】
電極群100は、正極101及び負極102を備える。図5は、電極群100での正極101及び負極102の積層状態を示す。図4及び図5の電極群100では、正極101及び負極102に加えて、セパレータ103が設けられ、セパレータ103は、負極102と一体に形成される。そして、負極102がセパレータ103と一体のセパレータ一体型電極の形成に、除去装置1が用いられる。セパレータ103は、負極102の表面に固定された状態で密着し、セパレータ103によって、正極101と負極102との間が電気的に絶縁される。セパレータ103は、前述の電界紡糸法等によって、負極102の表面に形成される。このため、セパレータ103は、紡糸ヘッド(図示しない)の内部に充填される前述の有機材料から形成される。したがって、電界紡糸法等によってセパレータ103を負極102と一体に形成する場合、負極102が基材52となり、セパレータ103が負極102の表面に形成される有機繊維を含むシート53となる。なお、以下の説明では、セパレータ103が負極102に形成される場合について説明するが、電界紡糸法等によって正極101の表面にセパレータ103が形成される場合も、同様である。
【0048】
正極101は、正極集電体としての正極集電箔111と、正極集電箔111の表面に担持される正極活物質含有層112と、を備える。正極集電箔111は、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔等であり、厚さが10μm〜20μm程度である。正極集電箔111には、正極活物質、結着剤及び導電剤を含むスラリーが塗布される。正極集電箔111にスラリーが塗布されることにより、正極活物質含有層112が形成される。正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出できる酸化物、硫化物及びポリマー等が挙げられる。また、高い正極電位を得られる観点から、正極活物質は、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物及びリチウム燐酸鉄等が、用いられることが好ましい。
【0049】
負極102は、負極集電体としての負極集電箔121と、負極集電箔121の表面に担持される負極活物質含有層122と、を備える。負極集電箔121は、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔等であり、厚さが10μm〜20μm程度である。負極集電箔121には、負極活物質、結着剤及び導電剤を含むスラリーが塗布される。負極集電箔121にスラリーが塗布されることにより、負極活物質含有層122が形成される。負極活物質としては、リチウムを吸蔵放出できる金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物及び合金等が挙げられ、リチウムイオンの吸蔵放出電位が金属リチウム電位に対して0.4V以上となる物質であることが好ましい。前述のようなリチウムイオン吸蔵放出電位を有する負極活物質を用いることにより、アルミニウム又はアルミニウム合金とリチウムとの合金反応が抑えられるため、負極集電箔121及び負極102に関連する構成部材に、アルミニウム及びアルミニウム合金を使用可能になる。したがって、負極活物質としては、例えば、チタン酸化物及びチタン酸リチウム等のリチウムチタン複合酸化物、タングステン酸化物、アモルファススズ酸化物、スズ珪素酸化物、及び、酸化珪素等が挙げられ、リチウムチタン複合酸化物を負極活物質として用いることが、特に好ましい。
【0050】
正極集電体及び負極集電体に用いられるアルミニウム合金は、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される1種又は2種以上の元素を含むことが望ましい。アルミニウムおよびアルミニウム合金の純度は、98重量%以上にすることができ、99.99重量%以上が好ましい。また、純度100%の純アルミニウムを、正極集電体及び/又は負極集電体の材料として用いることが可能である。アルミニウム及びアルミニウム合金における、ニッケル、クロムなどの遷移金属の含有量は100重量ppm以下(0重量ppmを含む)にすることが好ましい。
【0051】
図4及び図5の電極群100では、正極101と負極102との間にセパレータ103が配置された状態で、捲回軸Bを中心に正極101、負極102及びセパレータ103が捲回される。このため、電極群100では、セパレータ103を間に介して、正極101及び負極102が交互に積層される。正極集電箔111は、一対の長辺縁113A,113Bを備え、正極集電箔111では、長辺縁113A,113Bの一方(113A)及びその近傍によって正極集電タブ115が形成される。正極集電タブ115は、捲回軸Bに沿う方向について長辺縁113Aから所定の距離に渡って形成され、正極集電タブ115には、正極活物質含有層112が担持されない。また、負極集電箔121は、一対の長辺縁123A,123Bを備え、負極集電箔121では、長辺縁123A,123Bの一方(123A)及びその近傍によって負極集電タブ125が形成される。負極集電タブ125は、捲回軸Bに沿う方向について長辺縁123Aから所定の距離に渡って形成され、負極集電タブ125には、負極活物質含有層122が担持されない。
【0052】
電極群100では、正極101及び負極102が捲回軸Bに沿う方向について互いに対してずれた状態で、配置される。このため、正極活物質含有層112が無担持の正極集電タブ115は、負極102及びセパレータ103に対して、捲回軸Bに沿う方向について一方側へ突出する。そして、負極活物質含有層122が無担持の負極集電タブ125は、正極101及びセパレータ103に対して、捲回軸Bに沿う方向について正極集電タブ115が突出する側とは反対側に突出する。
【0053】
正極集電タブ115では、正極集電箔111の表面同士が超音波溶接等によって接合され、正極集電タブ115が束ねられる。そして、正極集電タブ115は、1つ以上の正極リードを介して、電池の正極端子に電気的に接続される。同様に、負極集電タブ125では、負極集電箔121の表面同士が超音波溶接等によって接合され、負極集電タブ125が束ねられる。そして、負極集電タブ125は、1つ以上の負極リードを介して、電池の負極端子に電気的に接続される。なお、電池の外装部材が金属製容器である場合、正極集電タブ115、負極集電タブ125、正極リード、負極リード、正極端子及び負極端子は、外装部材に対して、電気的に絶縁される。また、正極端子及び負極端子等の電極端子は、外装部材の外部に対して露出する状態で、設けられる。
【0054】
電極群100の製造においては、正極101及び負極102を捲回する前に、電界紡糸法等によって、例えば負極102の表面に、セパレータ103を形成する。なお、負極102では、電界紡糸法等によってセパレータ103を形成する前に、負極集電箔121に負極活物質を含むスラリーが塗布される。この際、長辺縁123A,123Bの一方(123A)及びその近傍、すなわち、負極集電タブ125を形成する部位には、負極活物質を含むスラリーは塗布されない。このため、負極集電箔121の表面において、負極集電タブ125を形成する部位以外の部位に、負極活物質含有層122が形成される。
【0055】
電界紡糸法等によって負極102と一体にセパレータ103を形成する際には、負極102の表面に、有機繊維を含むシート53を形成する。図6は、電界紡糸法等によって有機繊維を含むシート53(セパレータ103)を形成した後で、かつ、除去装置(剥ぎ取り機)1での処理が行われる前の、負極102の状態を示す。図6に示すように、電界紡糸法等によるシート53を形成では、負極102の表面の全体に渡って、有機繊維を含むシート53が形成される。このため、シート53を形成した直後では、負極集電箔121において負極活物質含有層122が担持された部位及びこれに隣接する(連続する)負極活物質含有層122が無担持の部位の両方が、シート53によって覆われる。したがって、除去装置1での処理が行われる前では、負極集電タブ125を形成する部位も、シート53によって覆われる。
【0056】
そして、前述のようにシート53が形成された後に、除去装置1によって、シート53の一部において有機繊維が剥ぎ取られる。図7は、除去装置1による処理が完了した直後の負極102の状態を示す。図7に示すように、除去装置1では、負極集電タブ125を形成する部位の一部において、有機繊維が剥ぎ取られる。この際、負極集電タブ125では、負極集電箔121の負極集電タブ125側の長辺縁123Aから所定の寸法L1に渡って、有機繊維が剥ぎ取られる。ここで、所定の寸法L1は、負極集電箔121の負極集電タブ125側の長辺縁123Aから負極活物質含有層122の負極集電タブ125側の端までの距離L2に比べて、小さい。このため、負極活物質含有層122が担持される部位では、シート53が剥ぎ取られない。したがって、除去装置1での処理が行われた後においても、負極活物質含有層122が担持される部位は、シート53(セパレータ103)で覆われる。また、負極活物質含有層122が無担持の負極集電タブ125でも、全体に渡って有機繊維が剥ぎ取られるわけではない。したがって、除去装置1での処理が完了後でも、負極集電タブ125において負極活物質含有層122の近傍の部位は、有機繊維を含むシート53によって覆われる。
【0057】
前述のように、除去装置1では、負極102の負極集電タブ125の一部において、シート53が剥ぎ取られる。また、本実施形態の除去装置1では、回転体16A,16Bのそれぞれに付着した有機繊維によってシート53が剥ぎ取られることが、防止される。このため、負極102では、負極活物質含有層122が担持される部位においてシート53が剥ぎ取られること等が、有効に防止される。すなわち、本実施形態の除去装置1を用いることにより、負極102がセパレータ103と一体のセパレータ一体型電極において、負極活物質含有層122が無担持の負極集電タブ125の一部からのみ、有機繊維が適切に剥ぎ取られる。
【0058】
(実施形態に関連する検証)
また、前述の実施形態の除去装置1の作用及び効果に関する検証を行った。検証では、第1の実施形態と同様のクリーナーヘッド2及び除去装置1を用いて、処理対象50において、シート53の一部から有機繊維を剥ぎ取った。処理対象50としては、前述した負極102と同様の基材52を用いるとともに、電界紡糸法によって有機繊維を含むシート53を形成した。そして、有機繊維を形成する有機材料としてポリイミドを用いるとともに、有機材料を溶解する溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)を用いた。また、電界紡糸法によるシート53の形成では、紡糸ヘッドと基材52との間の電圧を30kVとした。さらに、基材52を形成する負極集電箔121としては、厚さ15μmのアルミニウム合金箔を用いた。また、負極活物質にスピネル構造のチタン酸リチウムを使用した。
【0059】
検証では、連続して2000mに渡って、シート53から有機繊維を剥ぎ取った。本検証では、連続して2000mに渡って有機繊維の剥ぎ取りを行った直後においても、回転体16Aの外周面22A及び回転体16Bの外周面22Bに、有機繊維がほとんど付着していなかった。このため、本実施形態の除去装置1では、回転体16A,16Bに付着した有機繊維によるシート53の剥ぎ取りが有効に防止されることが、実証された。したがって、処理対象50のシート53において、回転体15の外周面21(ブラシ毛27)が接触する部位、すなわち、所望の部位からのみ、有機繊維が適切に剥ぎ取られることが、実証された。
【0060】
(変形例)
なお、図8に示す変形例では、回転体(第1の回転体)15の外周面21と回転体(第2の回転体)16Aの外周面22Aとの間に、段差面23Aが形成されず、回転体15の外周面21と回転体(第2の回転体)16Bの外周面22Bとの間に、段差面23Bが形成されない。ただし、本変形例でも、回転体16Aの外周面22Aと回転ベース13の外周面17との間に、回転体16Aによって、段差面25Aが形成される。そして、回転体16Bの外周面22Bと回転ベース13の外周面17との間に、回転体16Bによって、段差面25Bが形成される。本変形例では、回転体16Aの外周面22Aは、回転体15の外周面21から段差面25Aまで延設される。そして、回転体16Bの外周面22Bは、回転体15の外周面21から段差面25Bまで延設される。
【0061】
本変形例では、回転体16Aの外径は、回転軸Rに沿う回転軸方向について回転体15から離れるほど、減少する。したがって、回転体16Aの外周面22Aは、回転軸方向について回転体15から離れるほど回転軸Rからの距離が減少するテーパ面状に、形成される。同様に、回転体16Bの外径は、回転軸Rに沿う回転軸方向について回転体15から離れるほど、減少する。したがって、回転体16Bの外周面22Bは、回転軸方向について回転体15から離れるほど回転軸Rからの距離が減少するテーパ面状に、形成される。前述のような構成であるため、本変形例でも、回転体(第2の回転体)16Aは、処理対象50のシート53に接触しない状態で、回転体(第1の回転体)15と一緒に回転する。同様に、回転体(第2の回転体)16Bは、処理対象50のシート53に接触しない状態で、回転体15と一緒に回転する。したがって、本変形例でも、回転体16A,16Bのそれぞれのシート53への接触が、有効に防止される。
【0062】
また、本変形例でも、回転軸Rの軸回りについて、開口12(シート53)から離れた位置(角度位置)に、プレート30が設けられる。そして、プレート30のプレート対向面31に、溝32が形成される。本変形例でも、溝32は、開口縁33を有し、前述した接触面(第2の接触面)35、接触面(第1の接触面)36A,36B、及び、溝側面38A,38Bを備える。また、前述の実施形態等と同様に、溝側面38Aは、回転体16Aと接触せず、回転体16Aの段差面25Aとの間に隙間を有する。そして、溝側面38Bは、回転体16Bと接触せず、回転体16Bの段差面25Bとの間に隙間を有する。
【0063】
ただし、本変形例では、接触面35と接触面36Aとの間に、段差面37Aが形成されず、接触面35と接触面36Bとの間に、段差面37Bが形成されない。本変形例では、接触面36Aは、接触面35から溝側面38Aまで連続して延設される。そして、接触面36Bは、接触面35から溝側面38Bまで連続して延設される。
【0064】
本変形例では、接触面36Aにおいて、回転軸Rに沿う回転軸方向について接触面35から離れるほど、溝32の深さが減少する。したがって、接触面36Aは、回転軸方向について回転体15から離れるほど溝32の開口からの距離が減少する傾斜面状に、形成される。同様に、接触面36Bにおいて、回転軸Rに沿う回転軸方向について接触面35から離れるほど、溝32の深さが減少する。したがって、接触面36Bは、回転軸方向について回転体15から離れるほど溝32の開口からの距離が減少する傾斜面状に、形成される。
【0065】
本変形例でも、回転軸Rの軸回りについて開口12(シート53)から離れた位置、接触面35が回転体15の外周面21(ブラシ毛27)に接触する。このため、回転体15が回転している状態において接触面35が外周面21に接触することにより、回転体15の外周面21に付着した有機繊維の一部又は全部が、除去される。
【0066】
また、本変形例でも、回転軸Rの軸回りについて開口12(シート53)から離れた位置で、接触面36Aが回転体16Aの外周面22Aに接触する。このため、回転体16Aが回転体15と一緒に回転している状態において接触面36Aが回転体16Aの外周面22Aに接触することにより、回転体16Aの外周面22Aに付着した有機繊維の一部又は全部が、除去される。同様に、回転軸Rの軸回りについて開口12(シート53)から離れた位置で、接触面36Bが回転体16Bの外周面22Bに接触する。このため、回転体16Bが回転体15と一緒に回転している状態において接触面36Bが回転体16Bの外周面22Bに接触することにより、回転体16Bの外周面22Bに付着した有機繊維の一部又は全部が、除去される。
【0067】
本変形例でも前述の実施形態等と同様に、回転体16Aの外周面22A及び回転体16Bの外周面22Bのそれぞれに付着した有機繊維が、除去される。このため、回転体16Aの外周面22A及び回転体16Bの外周面22Bのそれぞれでは、有機繊維が大量に付着することが防止され、付着した有機繊維のシート53への干渉が防止される。したがって、本変形例でも前述の実施形態等と同様に、回転体16A,16Bのそれぞれに付着した有機繊維によってシート53が除去されることが、防止される。これにより、処理対象50のシート53では、回転体15の外周面21(ブラシ毛27)が接触する部位、すなわち、所望の部位からのみ、有機繊維が適切に除去される。
【0068】
これらの少なくとも一つの実施形態又は実施例のクリーナーヘッドによれば、第1の回転体の回転軸に沿う方向について、第1の回転体に対して並んで第2の回転体が設けられ、第2の回転体は、シートに接触しない状態で、第1の回転体と一緒に回転する。接触面は、回転軸の軸回りについてシートから離れた位置で第2の回転体の外周面に接触する。このため、基材の表面に形成されるシートにおいて所望の部位からのみ有機繊維が除去されるクリーナーヘッドを提供することができる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、付記を記載する。
(付記項1)
基材の表面に形成される有機繊維を含むシートに外周面が接触する状態で回転駆動可能であり、前記外周面が前記シートに接触する状態での回転駆動によって、前記シートの一部において前記有機繊維を除去可能な第1の回転体と、
前記第1の回転体の回転軸に沿う方向について前記第1の回転体に対して並んで設けられ、前記第1の回転体の前記回転駆動によって、前記シートに接触しない状態で、前記第1の回転体と一緒に回転する第2の回転体と、
前記回転軸の軸回りについて前記基材及び前記シートから離れた位置で前記第2の回転体の外周面に接触し、前記第2の回転体が回転している状態において前記第2の回転体の前記外周面に接触することにより、前記第2の回転体の前記外周面に付着した前記有機繊維の一部又は全部を除去可能な第1の接触面と、
を具備するクリーナーヘッド。
(付記項2)
前記第2の回転体は、前記回転軸に沿う方向について前記第1の回転体に対して隣接する、付記項1のクリーナーヘッド。
(付記項3)
前記第1の回転体は、前記外周面に複数のブラシ毛を備える、付記項1又は2のクリーナーヘッド。
(付記項4)
前記第2の回転体は、前記外周面に複数のブラシ毛を備え、
前記第1の接触面は、前記回転軸の軸回りについて前記基材及び前記シートから離れた位置で前記第2の回転体の前記ブラシ毛に接触する、
付記項1乃至3のいずれか1項のクリーナーヘッド。
(付記項5)
前記第1の接触面が形成されるプレートをさらに具備し、
前記プレートは、前記回転軸の軸回りについて前記基材及び前記シートから離れた位置で前記第1の回転体の前記外周面に接触する第2の接触面であって、前記第1の接触面とは異なる部位に設けられる第2の接触面を備え、
前記第2の接触面は、前記第1の回転体が回転している状態において前記第1の回転体の前記外周面に接触することにより、前記第1の回転体の前記外周面に付着した前記有機繊維の一部又は全部を除去可能な、
付記項1乃至4のいずれか1項のクリーナーヘッド。
(付記項6)
前記プレートは、前記第1の回転体の前記回転軸から離れる側に凹む溝を備え、
前記第1の回転体及び前記第2の回転体は、前記溝に挿入され、
前記第1の接触面は、前記溝に形成されるとともに、前記溝において前記第2の回転体の前記外周面に接触し、
前記第2の接触面は、前記溝に形成されるとともに、前記溝において前記第1の回転体の前記外周面に接触する、
付記項5のクリーナーヘッド。
(付記項7)
前記第1の回転体及び前記第2の回転体の内部の収納空間に収納し、前記収納空間は外部に開口する開口を有する外装カバーをさらに具備し、
前記第1の接触面は、前記外装カバーの内部の前記収納空間に配置され、
前記第1の回転体の前記外周面は、前記収納空間の前記開口において、前記有機繊維の前記シートに接触する、
付記項1乃至6のいずれか1項のクリーナーヘッド。
(付記項8)
請求項1乃至7のいずれか1項のクリーナーヘッドと、
前記クリーナーヘッドにおいて吸引力を作用させることにより、前記第1の回転体によって前記シートから除去された前記有機繊維を回収可能な集塵機と、
を具備する除去装置。
(付記項9)
基材の表面に形成される有機繊維を含むシートの一部から有機繊維を除去する除去方法
あって、
第1の回転体の外周面が前記シートに接触する状態で前記第1の回転体を回転駆動させることにより、前記シートの一部において前記有機繊維を除去することと、
前記第1の回転体の回転軸に沿う方向について前記第1の回転体に対して並んで設けられる第2の回転体を、前記第1の回転体の回転駆動によって、前記シートに接触しない状態で前記第1の回転体と一緒に回転させることと、
前記第2の回転体が回転している状態において、前記回転軸の軸回りについて前記基材及び前記シートから離れた位置で、前記第2の回転体の外周面に接触面を接触させることにより、前記第2の回転体の前記外周面に付着した前記有機繊維の一部又は全部を除去することと、
を具備する、除去方法。
【符号の説明】
【0070】
1…除去装置、2…クリーナーヘッド、3…集塵機、6…外装カバー、7…回転ユニット(ブラシユニット)、11…収納空間、12…開口、15…回転体(第1の回転体)、16A,16B…回転体(第2の回転体)、21…外周面、22A,22B…外周面、27…ブラシ毛(第1のブラシ毛)、28A,28B…ブラシ毛(第2のブラシ毛)、30…プレート、32…溝、35…接触面(第2の接触面)、36A,36B…接触面(第1の接触面)、50…処理対象、52…基材、53…シート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8