(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る膜電極複合体(Membrane Electrode Assembly: MEA)の断面図である。MEA1は、第1電極2および第2電極3と、これらの間に配置された第1電解質膜4により構成される。第1電極2は、第1電解質膜4に接する第1触媒層5と、この上に積層された第1ガス拡散層6とを含み、第2電極3は、電解質膜4に接する第2触媒層7と、この上に積層された第2ガス拡散層8とを含む。実施形態のMEA1は、燃料電池用に好適に用いられる。
【0010】
MEA1に含まれる触媒層5または触媒層7の少なくとも一方、それと電解質膜4との界面は、以下に詳述する本実施形態の触媒層、触媒層―電解質膜界面を形成する。特に、第1触媒層5および第2触媒層7の両方が本実施形態の触媒層、触媒層―電解質膜界面を形成することが好ましい。
【0011】
また、第1触媒層5、第2触媒層7、又は、第1触媒層5及び第2触媒層7は、第2電解質膜9を含むことが好ましい。
【0012】
以下に、本実施形態の触媒層、触媒層と電解質膜との界面を詳細に説明する。
【0013】
本実施形態にかかる触媒層は、複数の触媒ユニット10で構成された多孔質触媒層である。触媒ユニット10は、担体を含まない担体レスの触媒である。電気化学セルに使用される触媒層は高いセル特性を得るため、カーボンなど材料を担体としてその表面に触媒を担持させた、担持触媒によって一般的に構成される。担体材料は主要な電極触媒反応に殆ど寄与しないが、触媒材料の反応面積の向上など触媒材料を制御できるほか、電気化学セルによって空孔構造、電気伝導性、イオン伝導性などを改善できると報告されている。担体レスとは、触媒層を構成する触媒には担体を使用しないことである。この触媒層は多孔体構造、または空隙層を含む積層構造を持つ触媒ユニット10から構成されることが好ましい。
【0014】
貴金属触媒を使用した場合は少ない使用量においても、電気化学セルの高い特性と高い耐久性を保つことが可能である。
図2(a)と
図2(b)に多孔体構造を持つ触媒ユニットと空隙層を含む積層構造を持つ触媒ユニットをそれぞれ示す。
図2(a)は多孔体構造の触媒ユニットであり、
図2(b)は空隙層を含む積層構造を持つ触媒ユニットをそれぞれ示した。触媒材料が担体に担持された場合は、触媒は一般的にナノサイズの粒子状であるが、多孔体構造を持つ触媒ユニットの場合は触媒自体がスポンジ状である。空隙層を含む積層構造を持つ触媒ユニットの場合は、触媒はナノシート状(ナノシート触媒)になる。スポンジ状またはナノシート状の触媒を用いることによって電気化学セルの特性を向上させることが可能である。電極触媒反応は触媒の表面において生じるため、触媒の形状は触媒表面の原子配列、電子状態に影響を及ぼす。空隙層を含む積層構造を持つ触媒ユニットの場合は、隣接のナノシート同士は部分的に一体化することが望ましい。メカニズムはまだ完全に解明されていないが、電極反応のためのプロトン伝導または水素原子伝導をよりスムーズに達成できると考えられるためである。
【0015】
また、
図2(c)に示したように積層構造内部のナノシートを多孔質化することによってより高い特性が得られる。ガス拡散と水管理を向上できるためである。積層構造内部のナノシートの間に繊維状カーボンを含む多孔質ナノカーボン層(
図2(d))またはナノセラミックス材料層を配置した方が、耐久性、ロバスト性をより向上できる。主要な電極反応を寄与する触媒は多孔質ナノカーボン層に含有される繊維状カーボンに殆ど担持されていないため多孔質ナノカーボン層を含む積層構造ユニットは担体レスと考えている。ここで、水分の排出など物質の移動がよりスムーズになるため、触媒層の空孔率は、50〜90Vol.%であることが好ましい。また、触媒層の空孔率がこの範囲内であれば、貴金属の利用効率を低下させることなく、物質を十分に移動させることができる。
【0016】
触媒ユニット10は、第1電解質膜4が侵入していることが好ましい。触媒ユニット10が第1電解質膜4が侵入していることで、第1触媒層5−第1電解質膜4界面(第2触媒層5−第1電解質膜4界面)が凹凸形状になり、これは膜電極複合体、電気化学セルの湿度ロバスト性の大幅向上を可能とした。詳細なメカニズムについてまだ十分に解明されていないが、担体レスの多孔質触媒層内部の含水量、及び水の分布状態が触媒ユニット10周辺の第1電解質膜4によって調整され、第1触媒層5(第2触媒層7)の水管理能力が改善され、電極反応に不可欠な気体拡散が促進されたためと考えられる。燃料電池カソードの場合は、第1触媒層5(第2触媒層7)表面の酸素還元反応によって水が生成され、生成水の量が電流密度に比例するため、高電流密度発電の際に水生成量が特に多い。本実施形態に係る食い込みによる凹凸界面によってフラディングのような水詰まり現象が抑制され、反応サイトへの空気供給がスムーズになり、供給空気の湿度が高くても燃料電池特性の低下が少ない。触媒ユニット10が侵入している第1電解質膜4は、第2電解質膜9と併用することで、プロトン伝導性も向上する。
【0017】
多孔質触媒層である第1触媒層5及び第2触媒層7を構成する複数の触媒ユニット10は、対向する。対向する触媒ユニット10の側面には、第2電解質膜9が設けられていることが好ましい。第2電解質膜9によって、プロトン伝導性を向上させることができる。
【0018】
図3に一実施形態に係る膜電極複合体の部分拡大模式図を示す。
図3には、第1ガス拡散層6(第2ガス拡散層8)上に第1触媒層5(第2触媒層7)が設けられており、第1電解質膜4と第1ガス拡散層6の間には、第1触媒層5が配置されている。
図3では、第1触媒層5を構成する2つの対向する触媒ユニット10を示している。2つの触媒ユニット10は、どちらも第1電解質膜4に食い込んでいる。
【0019】
触媒ユニット10が第1電解質膜4に食い込んでいる部分では、第1電解質膜4を介してプロトンが伝導しやすい。つまり、触媒ユニット10が電解質膜に十分充分に侵入しているとき、触媒ユニット10が電解質に侵入している部分近傍に存在するプロトンのパスは十分である。しかし、触媒ユニット10が完全に侵入する(埋め込まれる)ほど第1電解質膜4が侵入していると、触媒ユニット10への空気拡散が低下してしまう。そのため、触媒ユニット10の侵入深さの割合([侵入深さ]/[第1触媒層5(第2触媒層7)の厚さ])は、0.10から0.80程度が好ましい。つまり、第1触媒層5では、少なくとも一部の触媒ユニット10の先端側は第1電解質膜4が侵入している。そして、第1ガス拡散層6側の触媒ユニット10は、第1電解質膜4が侵入していない。同様に、第2触媒層7では、少なくとも一部の触媒ユニット10の先端側は、第1電解質膜4が侵入している。
【0020】
また、発電条件(大電流)などの理由により、反応に必要なプロトンの量が増える。さらに、触媒層の高さ、つまり、触媒ユニット10の平均高さが増すことにより、触媒ユニット10上で、第1電解質4と触媒ユニット10の食い込みから遠い部分へプロトンがスムーズに移動できなくなる。実施形態では、第2電解質膜9を触媒ユニット10の側面に設けることで、さらに、プロトンの伝導性を向上させた。
【0021】
触媒ユニット10のガス拡散層側の側面に第2電解質膜9が配置されており、対向する触媒ユニット10の第2電解質膜9の間には、空隙が存在する。つまり、第2電解質膜9も対向する。燃料電池運転の際などは、空隙は、空気や水などが移動する経路となる。そして、触媒ユニット10のガス拡散層とは反対側の側面には、侵入によって第1電解質膜4が配置されている。
【0022】
プロトンの伝導性の観点から、第1電解質膜4と第2電解質膜9が接続していることが好ましい。第1電解質膜4と第2電解質膜9がつながっていることで、第2電解質膜9を通るプロトンがスムーズに第1電解質膜4へ移動することができる。また、本発明の触媒ユニットは、触媒の積層構造内の空隙層部分や、多孔質触媒層内部に第2電解質膜9を形成させることができる。これによって、MEA1を用いた電気化学セルのプロトン伝導および水管理を改善し、発電特性をより向上させることができる。
【0023】
第2電解質膜9の平均厚さは、10nmより厚いことが好ましい。第2電解質膜9の厚さが10nm以下であると、プロトンの経路として十分ではない。また、第2電解質膜9の厚さを非常に厚くしてもプロトンの伝導性は、比例して向上せず、また、第2電解質膜9の厚さを非常に厚くすることは、製造上困難で、さらに、経済的ではない。そこで、第2電解質膜9の厚さは、200nm以下であることが好ましい。第2電解質膜9の厚さが200nm以下であれば、高密度に分散した触媒ユニット10間に、空気や水などの物質が流れる十分な経路が確保され、また、プロトンの伝導性も優れる。第2電解質膜9の厚さは、12nm以上200nm以下が好ましく、12nm以上100nm以下がより好ましい。
【0024】
プロトンの伝導性向上の効果は、触媒ユニット10の平均高さ(触媒層の平均厚さ)が50nm以上といった低い触媒ユニット10でも得られ、また、触媒ユニット10の平均高さ(触媒層の平均厚さ)が2500nmといった高い触媒ユニット10において顕著である。触媒ユニット10の高さが500nm以上2500nm以下であるとプロトン伝導性の向上が顕著になって好ましい。同観点から、触媒ユニット10の高さは、700nm以上2100nm以下がより好ましい。
【0025】
また、プロトン伝導性を向上させる観点から、触媒ユニット10の側面のうち第1電解質膜4と接している面と第2電解質膜9と接している面の和は、触媒ユニット10の側面の50%以上であることが好ましい。同観点から、触媒ユニット10の側面のうち第1電解質膜4と接している面と第2電解質膜9と接している面の和は、触媒ユニット10の側面の80%以上であることがより好ましいく、90%以上であることがさらにより好ましい。これらの比率は、第2電解質膜9の厚さを求める際に用いる画像から求まる。
【0026】
第2電解質膜9の厚さを求める方法について説明する。
図4に分析位置を示す。
図4の面は、触媒層の上面である。
図4に示す9つのスポット(A1〜A9)の領域を分析する。9つのスポットの位置を特定する。次に9スポットのサンプルの中心からサンプルを切断し、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope: TEM)観察用サンプルを作製した。電解質膜と触媒との界面を観察しやすくため、四酸化Ruによる染色を行い、前処理を行なう。Ruは電解質膜に選択的に配位し、TEM観察において電解質膜を区別しやすくなる。
【0027】
まず、15万倍で
図3のような領域を観察して、2つの触媒ユニット10の間に挟まれた領域において、第2電解質膜9の位置を特定する。そして、第1電解質膜4の最もガス拡散層6,8側に位置している点(基準点)を定め、対向している2つの触媒ユニット10で第2の電解質膜9と接している触媒ユニット10の側面において最も基準点からの距離が遠くなる触媒ユニット10の側面の点(最遠点)を定める。次に、対向している2つの触媒ユニット10で第2の電解質膜9と接している触媒ユニット10の側面において最も基準点からの距離が近くなる触媒ユニット10の側面の点(最近点)を定める。基準点と最遠点をつないだ線分が第1電解質膜4を一部でも横切る場合は、次に遠い点を最遠点とし、同様に基準点と最遠点をつないだ線分が第1電解質膜4を横切らないか確認する。線分が第1電解質膜を横切れば、同様に次の最遠点を定め、第1電解質膜を横切らないような最遠点が求まるまで続ける。最近点についても同様に基準点と最近点をつないだ線分が第1電解質膜4を通らない条件を満たすまで、最近点を調べる。
【0028】
次に、例えば、240万倍に拡大して最遠点近傍と最近点近傍のTEM観察を行う。そして、最終的に定まった最遠点における接線を引いて、最遠点から接線に対して垂直方向の第2電解質膜9の厚さを求める。厚さを求める際には、エネルギー分散型分光分析法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy: EDS)による元素分析を行う。EDS分析において、加速電圧は200kVとする。EDSで最遠点から接線に対して垂直方向に分析を行う。触媒ユニット10に含まれる主たる金属であるPt、Ru、Os、Ir、Pd及びAuなどの貴金属の強度とRuの強度から第2電解質膜9の厚さを求める。まず、触媒ユニット10に含まれる主たる金属であるPt、Ru、Os、Ir、Pd及びAuなどの貴金属の強度が半分になる位置を触媒ユニット10と第2電解質膜9との界面(厚さの起点)とする。そして、触媒ユニット10中のRuの最低強度をあらかじめ求め、Ruの最大強度の半値になった点(Ruの最大強度の点から触媒ユニット10方向とは反対側)を第2電解質膜9の表面(厚さの終点)とし、起点と終点の距離を最遠点における第2電解質膜9の厚さとする。なお、第2電解質膜9や第1電解質膜4がタングステンを含む無機材料で構成される場合がある。この場合、触媒ユニット10に含まれる主たる金属であるPt、Ru、Os、Ir、Pd及びAuなどの貴金属の強度とWの強度から第2電解質膜9の厚さを求めることができる。
【0029】
同様に最近点における接線を引いて最遠点から接線に対して垂直方向の第2電解質膜9の厚さを求める。最遠点における第2電解質膜9の厚さと最近点における第2電解質膜9の厚さの平均値が1つのスポットにおける第2電解質膜9の厚さとする。そして、9つすべてのスポットで第2電解質膜9の厚さを求め、最大値と最小値を除いた9つの値の平均値を第2電解質膜9の厚さの平均値とする。
【0030】
<担体レス触媒層の厚み>
「触媒層厚み」の測定方法について説明する。
まず、MEA1から9スポットのサンプルを切り出した。
図4に9スポットの位置が示される。次に9スポットのサンプルの中心からサンプルを切断し、TEM観察用サンプルを作製した。電解質膜と触媒との界面を観察しやすくため、四酸化Ruによる染色を行い、前処理を行った。第2電解質膜9の厚さを求める際に用いたサンプルを、触媒層の厚さの分析に利用することができる。
【0031】
次いで、各MEA1の各9スポットにつき3箇所/スポットTEMにより観察した。2000〜80万倍のTEM像を得て、コントラストと構成から、触媒材料(触媒ユニット10)、第1電解質膜4、第2電解質膜9と細孔とを区別した。
【0032】
最後に、各視野の触媒層厚さを計測した。ここで、「触媒層厚さ」とは、上記各サンプルの全視野の計測値の平均値をこのMEAの触媒層厚さと定義した。こうして得た触媒層厚さを元に、触媒層の空孔率を(1−白金量相当厚み/触媒層厚み)として求めた。
【0033】
<触媒ユニット10の食い込み割合>
触媒ユニット10の平均食い込み割合については、何点か測定して平均を取ることで得られる。本実施形態では、一個触媒ユニット10はTEM観察では二つ側面が存在するため、触媒ユニット10の食い込み深さは二側面の平均値をとした。複数の触媒ユニット10が連続し(触媒ユニット集団)、TEM観察では触媒ユニット集団内部の触媒ユニットの食い込みを特定できない場合がある。この場合は触媒ユニット集団外側の触媒ユニット10の食い込み深さを触媒ユニット集団の食い込み深さとして採用した。
【0034】
まず、
図4に示す9つのスポットにおいて、各視野の各触媒ユニットの食い込み深さを計測し、食い込み割合(=食い込み深さ/触媒層の厚み)を算出した。各視野について、食い込み割合が10〜80%における触媒ユニットの割合を求め、食い込みの分布とした。各スポットの3視野の平均値を算出し、当スポットの触媒層食い込み平均割合、食い込み分布として算出した。各サンプルの全スポットの計測値の平均値をこのMEA1の触媒層食い込み平均割合、食い込み分布とする。
【0035】
各MEAの9スポットの中の触媒層食い込み平均割合の最高値(HH)と最低値(LL)との比率とは、当MEA1における「触媒層の食い込みの均等度(=HH/LL)」として算出される値である。この比率が低いほうが電極全体の触媒層食い込みが均一であることを示す指標となり、5倍以内であることが好ましく、更に3倍以内であることがより望ましい。接合プロセスによる界面制御のパラメータとしても使える。
【0036】
本実施形態に係る担体レスの触媒層に採用される所定の触媒材料は、例えば、Pt、Rh、Os、Ir、PdおよびAuなどの貴金属元素からなる群から選択される少なくとも1種を含む。このような触媒材料は、触媒活性、導電性および安定性に優れている。前述の金属は、酸化物として用いることもでき、2種以上の金属を含む複合酸化物または混合酸化物であってもよい。酸化物の触媒は、水電解装置に好適に用いられる。
【0037】
最適な貴金属元素は、MEA1が使用される反応に応じて適宜選択することができる。例えば、燃料電池のカソードとして酸素還元反応が必要である場合、Pt
uM
1-uで示される組成を有する触媒が望ましい。ここで、uは、0<u≦1であり、元素Mは、Co、Ni、Fe、Mn、Ta、W、Hf、Si、Mo、Ti、Zr、Nb、V、Cr、AlおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種である。この触媒は、0原子%より多く90原子%以下のPt、および10原子%以上100原子%未満の元素Mを含んでいる。
【0038】
MEA1が燃料電池に使用される場合、両側の電極は、それぞれアノードおよびカソードである。アノードには水素が供給され、カソードには空気が供給される。
【0039】
ガス拡散層(第1ガス拡散層6及び第2ガス拡散層8)は、多孔質と導電性が一般的に要求される。ガス拡散層には、カーボンペーパーが好適に用いられるが、これに限定させるものではない。水詰まり、いわゆるフラッディング現象が起こるのを防ぐため、撥水剤を含むことが多い。撥水剤は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系高分子材料である。
【0040】
第1電解質膜4は、イオン伝導性が要求されることが多い。プロトン伝導性を有する電解質としては、アイオノマーが好ましい。電解質としては、例えばスルホン酸基を有するフッ素樹脂(例えば、ナフィオン(商標、デュポン社製)、フレミオン(商標、旭硝子社製)、アクイビオン(商標、ソルベイ社製)、およびアシプレックス(商標、旭化成社製)など)や、タングステン酸やリンタングステン酸などの無機物を使用することができる。電解質が高分子材料の場合、Ruイオンは電解質に選択的に配意してEDS観察が好適に行われる。電解質が無機物の場合、EDS観察においてRuの強度の代わりにタングステン等の強度を測定する。
【0041】
第1電解質膜4の厚さは、MEAの特性を考慮して適宜決定することができる。強度、耐溶解性およびMEAの出力特性の観点から、電解質膜の厚さは、好ましくは5μm以上300μm以下、より好ましくは5μm以上200μm以下である。
【0042】
第2電解質膜9は、プロトン伝導性の電解質である。プロトン伝導性を有する電解質としては、アイオノマーが好ましい。電解質としては、例えばスルホン酸基を有するフッ素樹脂(例えば、ナフィオン(商標、デュポン社製)、フレミオン(商標、旭硝子社製)、アクイビオン(商標、ソルベイ社製)、およびアシプレックス(商標、旭化成社製)など)や、タングステン酸やリンタングステン酸などの無機物を使用することができる。電解質が高分子材料の場合、Ruイオンは電解質に選択的に配意してEDS観察が好適に行われる。電解質が無機物の場合、EDS観察においてRuの強度の代わりにタングステン等の強度を測定する。
【0043】
本実施形態にかかる担体レスのMEA1の製造方法を簡単に説明する。
【0044】
まず、触媒ユニットを有する触媒層を製造する場合は触媒材料と造孔剤材料を同時にスパッタリングまたは蒸着によって触媒層前駆体を基板上に形成する。次に、造孔剤を除去し、電極を得る。空隙層を含む積層構造を持つユニットを持つ触媒層を製造する場合は触媒材料を含む材料と造孔剤材料を交互にスパッタリングまたは蒸着によって触媒層前駆体を基板上に形成する。次いで、造孔剤を除去し、基板上に触媒層を得る。基板は触媒ユニット10の作製に用いられ、例えば、ガス拡散層を有する基板とすることができる。また、転写によって、作製した触媒層を別の層に写すこともできる。
【0045】
触媒層と第1電解質膜4の接合前に、第2電解質膜9を形成する。触媒層側に電解質膜材料を溶解させた溶液をスプレーなどで塗布し乾燥させる。溶媒、溶液の濃度、スプレー量や乾燥条件を調整して、第2電解質膜9の厚さを調整することができる。
【0046】
実施形態に係るMEA1は、第1および第2触媒層5,7の少なくとも一方として前述の触媒層を用いて、第1電解質膜4と結合させることで作製する。本実施形態のMEA1の第1および第2触媒層5,7と第1電解質膜4との間の凹凸界面の形成は触媒層と第1電解質膜4との接合プロセスが重要である。この接合プロセスによって第1電解質膜4への触媒ユニット10の食い込み量、触媒層全体各触媒ユニットの食い込み分布、均等度を制御できる。
【0047】
次に、加熱・加圧して第2電解質膜を付した触媒層と第1電解質膜4を接合させる。この場合は触媒層の形成基板がガス拡散層の場合は触媒層5と触媒層7を含む基板で電解質膜4を挟んで
図1に示すように積層し、接合することによりMEA1が得られる。触媒層の形成基板が転写用基板の場合は、まず、転写用基板から触媒層5をガス拡散層6に転写し、触媒層7をガス拡散層8に転写する。2つの触媒層で電解質膜4を挟んで
図1に示すように積層し、加熱・加圧して接合することによりMEA1が得られる。あるいは、触媒層5および7の少なくとも一方を、電解質膜4に転写した後、触媒層の上にガス拡散層を配置してもよい。これらを
図1に示すように積層し、加熱および加圧して接合してMEA1が得られる。
【0048】
上記のような各部材の接合は、一般的には、ホットプレス機を使用して行われる。プレス温度は、電極2、3および第1電解質膜4において結着剤として使用される高分子電解質のガラス転移温度より高い温度であり、一般的には、100℃以上400℃以下である。プレス圧は、電極2、3の硬さに依存するが、一般的には、5kg/cm
2以上200kg/cm
2以下である。触媒ユニットの食い込み量、分布と均等度を精密に制御するため、ホットプレス機のパラメータ調整が重要である。本発明は最適な食い込み量、分布と均等度を得るため、触媒層付き基板の物性と平たん度に合わせてホットプレス機の加熱温度、圧着方式、圧力または圧着幅を制御している。
【0049】
なお、触媒層と電解質膜との接合は以下のようなプロセスを採用しても良い。触媒層付き基板の上にイオン伝導膜を形成し、その上に対極の触媒層を付ける。基板はガス拡散層であればそのままMEA1として使用できる。基板は転写用基板である場合はガス拡散層を入れ替えてからMEA1として使用する。この場合は触媒ユニットの食い込みはイオン伝導膜形成用の溶媒の濃度、構成と形成温度、時間などによって制御できる。
【0050】
上述したように、一実施形態にかかるMEA1は、プロトン伝導性が向上し、MEA1を用いた発電特性が向上する。
【0051】
本実施形態における電気化学セルは、電解セルまたはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)型電気化学セルとすることもできる。例えば電解セルは、第1電極2としてアノードの代わりに酸素発生触媒電極を含む以外は、上述の燃料電池と同様の構成とすることができる。
【0052】
なお、セルの組立、例えばMEAと垂直方向の締め付け圧力などによって電解質膜への触媒ユニット食い込みを制御することも可能である。
【0053】
(第2実施形態)
第2実施形態は、電気化学セルに関する。第2実施形態の電気化学セルは、第1実施形態のMEAを用いている。本実施形態にかかる電気化学セルの構成を、
図5の電気化学セル100の模式図を用いて簡単に説明する。
図5に示す電気化学セル100は、MEA1のカソード101、アノード102及び電解質膜103と、MEA1の両側に、ガスケット104、105を介して、集電板106、107と締め付け板108、109が取り付けられている。実施形態のMEA1を用いることで実施形態の電気化学セル100は、プロトン伝導性と発電効率が優れる。
【0054】
(第3実施形態)
第3実施形態はスタックに関する。第3実施形態のスタックは、第1実施形態のMEA1又は第2実施形態の電気化学セル100を用いている。本実施形態にかかるスタックの構成を、
図6のスタック200の模式図を用いて簡単に説明する。スタック200は、MEA1又は電気化学セル100を複数個、直列に接続した構成である。電気化学セルの両端に締め付け板201、202が取り付けられている。実施形態のMEA1を用いることで実施形態のスタック200は、プロトン伝導性と発電効率が優れる。
【0055】
(第4実施形態)
第4実施形態は燃料電池に関する。第4実施形態の燃料電池は、第1実施形態のMEA1、第2実施形態の電気化学セル100、又は、第3実施形態のスタック200を用いている。本実施形態にかかる燃料電池の構成を、
図7の燃料電池300の模式図を用いて簡単に説明する。燃料電池300は、MEA1と、燃料供給ユニット301と、酸化剤供給ユニット302とを有する。燃料電池300のアノードには、図示しない水素燃料タンクが接続し、水素が供給される。燃料電池300で用いられる。MEA1の代わりに、電気化学セル100又はスタック200を用いてもよい。実施形態のMEA1を用いることで実施形態の電気化学セル100は、プロトン伝導性と発電効率が優れる。燃料電池300で発電した電力は、図示しない蓄電池に蓄えることもできる。
【0056】
(第5実施形態)
第5実施形態は車両に関する。第5実施形態の車両は、第5の実施形態の燃料電池を用いている。本実施形態にかかる車両の構成を、
図8の車両400の模式図を用いて簡単に説明する。車両400は、燃料電池300、車体401、モーター402、車輪403と、制御ユニット404を有する。燃料電池300、モーター402、車輪403と、制御ユニット404は、車体401に配置されている。燃料電池300のカソードとアノードは、負荷制御ユニット404を介して、負荷であるモーター402とつながっている。制御ユニット404は、燃料電池の300から出力した電力を変換したり、出力調整したりする。モーター402は燃料電池300から出力された電力を用いて、若しくは、燃料電池300が発電した電力を蓄えた二次電池から出力された電力を用いて、車輪403を回転させる。実施形態の燃料電池300を用いることで実施形態の車両400は、プロトン伝導性と発電効率が優れ、車両として優れた特性を有する。
【0057】
(第6実施形態)
第6実施形態は飛翔体(例えば、マルチコプター)に関する。第6実施形態の飛翔体は、第4実施形態の燃料電池300を用いている。本実施形態にかかる飛翔体の構成を、
図9の飛翔体(クアッドコプター)500の模式図を用いて簡単に説明する。飛翔体500は、燃料電池300、機体骨格501、モーター502、回転翼503と制御ユニット504を有する。燃料電池500、モーター502、回転翼503と制御ユニット504は、機体骨格701に配置している。燃料電池300のカソードとアノードは、負荷制御ユニット504を介して、負荷であるモーター502とつながっている。制御ユニット504は、燃料電池の300から出力した電力を変換したり、出力調整したりする。モーター502は燃料電池300から出力された電力を用いて、若しくは、燃料電池300が発電した電力を蓄えた二次電池から出力された電力を用いて、回転翼503を回転させる。実施形態の燃料電池300を用いることで実施形態の飛翔体500は、プロトン伝導性と発電効率が優れ、飛翔体として優れた特性を有する。
【実施例】
【0058】
以下、実施例および比較例を説明する。
【0059】
表1には、実施例1〜14、比較例1〜7の触媒構造、触媒金属種類、第2電解質膜の種類、触媒ユニットの高さ、触媒ローディング密度、第2電解質膜の厚さを示している。なお、第2電解質膜を形成している場合は、第1電解質膜と第2電解質膜は、同じ種類の電解質膜を用いている。また、第2電解質膜を形成していない場合は、第1電解質膜としてナフィオンを用いている。
【0060】
【表1】
【0061】
<担体レス触媒層を有する電極及び膜電極複合体の作製>
(燃料電池標準アノードの電極作製)
基板として、厚みが1μm以上、50μm以下の炭素層を有するカーボンペーパーToray060(東レ社製)を用意した。この基板上に、Pt触媒のローディング密度0.05mg/cm
2になるように、スパッタリング法により多孔体構造を持つユニットから構成する触媒層を形成し、担体レスの多孔質触媒層を有する電極を得た。この電極を7.07cm×7.07cmの正方形にし、実施例、比較例の標準アノードとして使用した。
【0062】
(実施例1〜14、比較例1〜7)
基板として、表面に厚さ1〜50μmの炭素層を有するカーボンペーパーToray060(東レ社製)を用意した。この基板上に、スパッタリング法により多孔体構造または空隙層を含む積層構造を持つユニットから構成する白金触媒層を形成し、担体レスの多孔質触媒層を有する電極を得た。スパッタリングにあたっては、触媒ユニットの形態、触媒層の厚さが上記表1に示す値となるように、プロセスを調整した。そして、触媒ユニットに第2電解質膜のアイオノマーをスプレー塗布して、電極を得た。これら電極を7.07cm×7.07cmの正方形にし、燃料電池のカソードとして準備した。
【0063】
ナフィオン211(デュポン社製)を電解質膜として用い、上記燃料電池カソードと前記標準アノードと合わせて、熱圧着して接合することにより燃料電池用MEAを得た(電極面積は約50cm
2である)。(触媒層の温度幅:125℃〜160℃、圧力10〜50kg/cm
2で、1分〜5分間)。
【0064】
水電解の場合は水素発生極である水電解用カソードが燃料電池用アノードと逆の電極反応を発生するため上記燃料電池用の標準アノードと同様に作製することができる。一方、酸素発生極である水電解用アノードは電極電位が高く、燃料電池より高い耐久性が求められるため、チタン基板が一般的に用いられている。上記実施例の基板をチタンメッシュに変更した以外同様な製法で水電解用アノードを作製することができる。尚、白金よりIrを含む酸化物を触媒として用いたほうがより高い活性と耐久性が得られる。
【0065】
<電気化学セルの一例として燃料電池の単セルの作製>
得られた燃料電池用MEAを流路が設けられている二枚のセパレータの間にセッティングし、高分子電解質型燃料電池の単セル(電気化学セル)を作製した。
【0066】
作製した単セルを用いて、以下の項目について各MEAをそれぞれ評価した。
【0067】
(2)セル電圧の評価
得られた単セルに対して、一日コンディショニングを行った。その後、80℃に維持し、アノードに燃料として水素を供給するとともにカソードに酸素を供給した。カソードに空気では無く、酸素を供給することでフラデッィングによる影響を少なくし、プロトン伝導性の違いを顕著に評価することが可能である。発電条件を80℃とし、水素および酸素空気の供給とともに、0.5A/cm
2と1.0A/cm
2におけるセル電圧(mV)を測定した。同時に電流遮断法により、抵抗(mΩ)を測定し、抵抗率を求めた(mΩ・cm
2)。結果を表2にまとめた。なお、表における電圧は、基準となる比較例のセル電圧との差を評価している。第2電解質膜を形成していない比較例を基準に、第2電解質膜の厚さ(種類)が異なる実験例を比較して評価している。
【0068】
基準の比較例のセル電圧に対して、1mV以上9mV増加した場合をCと評価した。同様に、10mV以上20mV増加した場合をBと評価した。21mV以上増加した場合をAと評価した。
【0069】
0.5A/cm
2の条件においては、抵抗率が0mΩ・cm
2以上40mΩ・cm
2以下をAと評価した。同様に、抵抗率が41mΩ・cm
2以上58mΩ・cm
2以下をBと評価した。同様に、抵抗が59mΩ・cm
2以上をCと評価した。
【0070】
1.0A/cm
2の条件においては、抵抗率が0mΩ・cm
2以上50mΩ・cm
2以下をAと評価した。同様に、抵抗率が51mΩ・cm
2以上80mΩ・cm
2以下をBと評価した。同様に、抵抗率が81mΩ・cm
2以上をCと評価した。
【0071】
【表2】
【0072】
比較例1は第2電解質膜を形成していないため、プロトン伝導性が十分ではないため、抵抗率が大きい。比較例2〜比較例3では第2電解質膜の厚さが十分ではないため、プロトン伝導性の改善が十分ではなく、比較例1と比較して抵抗率が大きい。よって、セル電圧の増加が20mV以下である。実施例1〜4では、第2電解質膜の厚さが適切であるため、抵抗率が小さく、比較例1と比較して、プロトン伝導性の改善が十分である。よって、セル電圧の増加が21mV以上と高特性である。実施例5では、第2電解質膜の厚さが十分なため、プロトン伝導性の改善が十分であり、比較例1と比較して抵抗率が小さい。一方、第2電解質膜の厚さがやや厚いことによって、酸素拡散が阻害される。これにより、セル電圧の増加は10mV以上20mV以下であった。比較例4はプロトン伝導性の改善は十分であるため、比較例1と比較して抵抗率が小さい。一方、第2電解質膜の厚さが実施例4よりもさらに厚いことによって、酸素拡散がさらに阻害される。よって、比較例4のセル電圧の増加は1mV以上9mV以下と小さい。
【0073】
比較例5は、比較例1と触媒金属、触媒ユニット高さ、Ptローディング量が異なる。比較例1と比較して、触媒ユニット高さが低く、プロトン伝導に有利であるため、第2電解質膜を形成していなくても、抵抗率が小さい。一方、実施例6〜8は比較例5と触媒金属、触媒ユニット高さ、Ptローディング量は同等であるが、第2電解質膜を適切な厚さ形成させた。そのため、プロトン伝導性がさらに向上したため、抵抗率がさらに小さくなり、セル電圧も10mV以上20mV以下向上した。実施例1〜5と比較すると、触媒ユニット高さが低いため、電解質層が形成していない場合でもある程度のプロトン伝導性がある。よって、第2電解質膜を適切な厚さ形成させたときの電圧向上がやや小さい。
【0074】
比較例6は、比較例1と触媒金属、触媒ユニット高さ、Ptローディング量が異なる。比較例1と比較して、触媒ユニット高さが低く、プロトン伝導に有利であるため、第2電解質膜を形成していなくても、抵抗率が小さい。実施例9〜実施例11は比較例6と触媒金属、触媒ユニット高さ、Ptローディング量は同等であるが、第2電解質膜を適切な厚さ形成させた。その結果、プロトン伝導性が改善されたため、抵抗率が小さい。よって、実施例9〜実施例11の0.5A/cm
2のセル電圧が、10mV以上20mV向上した。また、実施例9〜実施例11の1A/cm
2の電圧が21mV以上向上した。1A/cm
2では0.5A/cm
2の時より、2倍のプロトンが反応に必要なため、プロトン伝導性の改善によるセル電圧の改善効果が大きかった。
【0075】
実施例12は実施例1の電解質層の種類をナフィオンからアクイビオンに変更したものである。実施例7と同様に、抵抗率が小さく、比較例1と比較してプロトン伝導性の改善が十分である。よって、セル電圧の向上が21mV以上と高特性である。
【0076】
比較例7は比較例1と触媒金属が異なる。比較例7は比較例1と同様に第2電解質膜を形成していないため、プロトン伝導性が十分ではなく、比較例1と同様に抵抗率が大きい。一方、実施例13は比較例7と触媒金属が同等だが、第2電解質膜を適切な厚さ形成させた。その結果、プロトン伝導性の改善が十分であるため、比較例7と比較して抵抗率が小さい。よって、実施例13のセル電圧の増加が21m以上と高特性である。
【0077】
比較例8は、比較例1と触媒層構造、触媒金属が異なる。比較例8は比較例1と同様に、第2電解質層を形成していないため、プロトン伝導性が十分ではなく、比較例1と同様に抵抗率が大きい。一方、実施例14は比較例8と触媒層構造、触媒金属が同等だが、第2電解質膜を適切な厚さ形成させた。その結果、比較例8と比較して抵抗率が小さく、プロトン伝導性の改善が十分である。よって、実施例14のセル電圧の増加が21mV以上と高特性である。
明細書中一部の元素は、元素記号のみで示している。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。電気化学セルとして、水素燃料を持つ高分子電解質型燃料電池の単セルを挙げたが、これ以外の電気化学セル、例えばメタノール型燃料電池、高分子電解質型水電解など電解質膜または隔膜を通してイオン移動または水など物質移動がある電気化学セルでも、同様に本発明を適用できる。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。