特許第6957436号(P6957436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957436
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】細菌株を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/741 20150101AFI20211021BHJP
   A61K 39/02 20060101ALI20211021BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211021BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20211021BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20211021BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20211021BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20211021BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20211021BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20211021BHJP
【FI】
   A61K35/741ZNA
   A61K39/02
   A61P43/00 111
   A61P17/00
   A61P37/08
   A61K35/74 G
   A23L33/135
   C12N1/20 E
   !C12N15/31
【請求項の数】11
【全頁数】59
(21)【出願番号】特願2018-200086(P2018-200086)
(22)【出願日】2018年10月24日
(62)【分割の表示】特願2017-501379(P2017-501379)の分割
【原出願日】2016年6月15日
(65)【公開番号】特開2019-31541(P2019-31541A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】1510468.0
(32)【優先日】2015年6月15日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1606807.4
(32)【優先日】2016年4月19日
(33)【優先権主張国】GB
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 42383
(73)【特許権者】
【識別番号】514079985
【氏名又は名称】フォーディー ファーマ リサーチ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】4D PHARMA RESEARCH LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンソン アレックス
【審査官】 横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−534957(JP,A)
【文献】 特表2016−517848(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/201037(WO,A1)
【文献】 Int J Syst Evol Microbiol., 2006, Vol.56, p.2437-2441
【文献】 J Environ Dermatol Cutan Allergol., 2009, Vol.3 No.3, p.129−137
【文献】 日本臨床免疫学会会誌, 2012, Vol.35 No.5, p.388-392
【文献】 MB Derma, 2011, Vol.175, p.15-19
【文献】 アレルギー, 2015.04.25, Vol.64 No.3/4, p.400
【文献】 J Dermatological Science, 2014, Vol.76, p.3-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アトピー性皮膚炎を治療又は予防する方法に使用するための、ロゼブリア・ホミニス種の細菌株を含む組成物であって、IL−17レベル又はTh17細胞が上昇しているアトピー性皮膚炎患者に使用するための、前記組成物
【請求項2】
L−17の産生を低減させる又はTh17細胞の分化を低減させる方法に使用するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
細菌株が、配列番号1、2又は3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一である16s rRNA配列を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
細菌株が、配列番号3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一である16s rRNA配列を有するか、又は細菌株が、配列番号3によって表される16s rRNA配列を有する、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
経口投与用である、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
1又は2以上の薬学的に許容される賦形剤又は担体を含む、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
細菌株が凍結乾燥されている、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
食品である、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
ワクチン組成物である、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
ロゼブリア・ホミニス種の細菌株を含む、アトピー性皮膚炎の治療又は予防剤であって、IL−17レベル又はTh17細胞が上昇しているアトピー性皮膚炎患者に使用するための、前記治療又は予防剤
【請求項11】
細菌株が、受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス株である、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物、又は請求項10に記載の治療若しくは予防剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物の消化管から単離された細菌株を含む組成物及び疾患の治療におけるそのような組成物の使用の分野にある。
【背景技術】
【0002】
ヒトの腸管は、子宮内では無菌的であると考えられるが、出生直後に母体及び環境のかなり多様な微生物に曝露される。その後、微生物の定着及び継承という活動的な期間が存在するが、これは出産の様式、環境、食物、及び宿主の遺伝子型などの要因によって影響を受け、その全てが特に人生の初期における腸内微生物叢の組成に影響を及ぼす。その後、微生物叢は安定化して、成人様となる(Spor et al. (2011) Nat Rev Microbiol. 9(4):279-90)。ヒト腸内微生物叢は、本質的に2つの主要な細菌門、すなわちバクテロイデ
ス門(Bacteroidetes)とフィルミクテス門(Firmicutes)に属する500〜1000超
の異なるファイロタイプを含有する(Eckburg et al. (2005) Science. 10;308(5728):1635-8)。ヒトの腸に細菌が定着することにより生じる共生関係の成功により、広く多様な代謝、構造、保護、及び他の有益な機能がもたらされた。細菌が定着した腸の代謝活性の増強により、そうでなければ消化されない食事成分が確実に分解されて、宿主にとって重要な栄養源を提供する副産物が放出される。同様に、腸内微生物叢の免疫学的重要性は、十分に認識されており、免疫系が損なわれているが片利共生細菌の導入後に機能的に再構成される無菌動物において例証されている(Macpherson et al. (2001) Microbes Infect. 3(12):1021-35、Macpherson et al. (2002) Cell Mol Life Sci. 59(12):2088-96、Mazmanian et al. (2005) Cell 15;122(1):107-18)。
【0003】
消化管の障害、例えば炎症性腸疾患(IBD,inflammatory bowel disease)では、微生物叢の組成の劇的な変化が報告されている。例えば、クロストリジウム(Clostridium
)クラスターXIVa細菌のレベルは、IBD患者において低減されているが、大腸菌(E.coli)の数は増加しており、腸内での共生生物と病原性生物のバランスがシフトしている
ことを示唆している(Frank et al. (2007) PNAS 104(34):13780-5、Scanlan et al. (2006) J Clin Microbiol. 44(11):3980-8、Kang et al. (2010) Inflamm Bowel Dis. 16(12):2034-42、Machiels et al. (2013) Gut. 63(8):1275-83)。興味深いことに、この微生物共生バランス失調は、エフェクターT細胞集団の不均衡にも関連している。
【0004】
特定の細菌株が動物の腸に及ぼす潜在的なプラスの効果が認められて、多様な株を、多様な疾患の治療に使用することが提唱されている(例えば、国際公開第2013/050792号パンフレット、国際公開第03/046580号パンフレット、国際公開第2013/008039号パンフレット、国際公開第2014/167338号パンフレットを参照されたい)。同様に、主にラクトバチルス(Lactobacillus)及びビフィドバクテ
リウム(Bifidobacterium)株を含む特定の株を、腸管に直接関連していない多様な炎症
性疾患及び自己免疫疾患の治療に使用することが提唱されている(総説に関してはGoldin
and Gorbach (2008) Clin Infect Dis. 46 Suppl 2:S96-100及びAzad et al. (2013) BMJ. 347:f6471を参照されたい)。しかし、種々の疾患と種々の細菌株との関係、並びに特定の細菌株が腸、全身レベル、及びいずれかの特定の型の疾患に及ぼす明確な効果は、あまり特徴付けられていない。
【0005】
炎症性疾患及び自己免疫疾患を治療する新規方法が当技術分野で必要である。同様に、腸内細菌を使用する新規治療を開発することができるように、腸内細菌の潜在的な効果を特徴付けることも必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2013/050792号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/046580号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2013/008039号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2014/167338号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Spor et al. (2011) Nat Rev Microbiol. 9(4):279-90
【非特許文献2】Eckburg et al. (2005) Science. 10;308(5728):1635-8
【非特許文献3】Macpherson et al. (2001) Microbes Infect. 3(12):1021-35
【非特許文献4】Macpherson et al. (2002) Cell Mol Life Sci. 59(12):2088-96
【非特許文献5】Mazmanian et al. (2005) Cell 15;122(1):107-18
【非特許文献6】Frank et al. (2007) PNAS 104(34):13780-5
【非特許文献7】Scanlan et al. (2006) J Clin Microbiol. 44(11):3980-8
【非特許文献8】Kang et al. (2010) Inflamm Bowel Dis. 16(12):2034-42
【非特許文献9】Machiels et al. (2013) Gut. 63(8):1275-83
【非特許文献10】Goldin and Gorbach (2008) Clin Infect Dis. 46 Suppl 2:S96-100
【非特許文献11】Azad et al. (2013) BMJ. 347:f6471
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、炎症性疾患及び自己免疫疾患を治療及び予防するための新規治療を開発した。特に、本発明者らは、IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患及び状態を治療及び予防するための新規治療を開発した。特に、本発明者らは、ロゼブリア(Roseburia)属の細菌株がTh17炎症応答の低減に有効でありうることを明らかにした。
実施例に記述するように、ロゼブリア・ホミニス(Roseburia hominis)を含む組成物を
経口投与すると、喘息、関節リウマチ、及び多発性硬化症のマウスモデルにおいてTh17炎症応答を含む炎症応答の重症度を低減させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、第1の実施形態において、本発明は、IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患又は状態を治療又は予防する方法に使用するためのロゼブリア属の細菌株を含む組成物を提供する。本発明者らは、この属からの細菌株による治療によって、IL−17を含むTh17経路の一部であるサイトカインのレベルを低減させることができ、Th17炎症応答を軽減でき、IL−17及びTh17経路によって媒介される炎症性疾患及び自己免疫疾患のマウスモデルにおいて臨床上の利益を提供できることを特定した。
【0010】
特定の実施形態において、本発明は、多発性硬化症;関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、又は若年性特発性関節炎などの関節炎;視神経脊髄炎(デビック病);強直性脊椎炎;脊椎関節炎;乾癬;全身性紅斑性狼瘡;クローン病又は潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;セリアック病;アレルギー性喘息又は好中球性喘息などの喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD,chronic obstructive pulmonary disease);乳がん、結腸がん、肺
がん、又は卵巣がんなどのがん;ブドウ膜炎;強膜炎;血管炎;ベーチェット病;アテローム性動脈硬化症;アトピー性皮膚炎;肺気腫;歯周炎;アレルギー性鼻炎;及び同種異系移植片拒絶からなる群から選択される疾患又は状態を治療又は予防する方法に使用するためのロゼブリア属の細菌株を含む組成物を提供する。ロゼブリア属の細菌株に関して示されたTh17炎症応答に及ぼす効果は、IL−17及びTh17経路によって媒介され
る疾患及び状態、例えば上記の疾患及び状態に対して治療上の利益を提供しうる。
【0011】
好ましい実施形態において、本発明は、好中球性喘息又はアレルギー性喘息などの喘息を治療又は予防する方法に使用するためのロゼブリア属の細菌株を含む組成物を提供する。本発明者らは、ロゼブリア株による治療が好中球及び好酸球の肺への動員を低減させることができ、喘息を治療又は予防するために役立ちうることを特定した。さらに、本発明者らは、喘息のマウスモデルにおいてロゼブリア株を試験してその有効性を証明した。特定の実施形態において、組成物は、好中球性喘息又は好酸球性喘息を治療又は予防する方法に使用するためのものである。本発明の組成物に関して示された好中球及び好酸球に対する効果は、本発明の組成物が好中球性喘息及び好酸球性喘息を治療又は予防するために特に有効でありうることを意味する。実際に、特定の実施形態において、組成物は、喘息の治療若しくは予防において好中球性炎症応答を低減させる方法に使用するためのものであるか、又は組成物は、喘息の治療若しくは予防において好酸球性炎症応答を低減する方法に使用するためのものである。好ましい実施形態において、本発明は、喘息、特に好酸球性又はアレルギー性喘息の治療に使用するためのロゼブリア・ホミニス(Roseburia hominis)種の細菌株を含む組成物を提供する。ロゼブリア・ホミニスは、喘息モデルにお
いて好酸球に対して特に顕著な効果を有することが示されており、ロゼブリア・ホミニスによる治療は、好酸球性又はアレルギー性喘息を治療するために特に有効でありうる。
【0012】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、関節リウマチを治療又は予防する方法に使用するためのロゼブリア属の細菌株を含む組成物を提供する。本発明者らは、ロゼブリア株による治療が、関節リウマチのマウスモデルにおいて臨床上の利益を提供することができ、関節の腫脹を低減させることができることを特定している。好ましい実施形態において、本発明は、関節リウマチの治療に使用するためのロゼブリア・ホミニス種の細菌株を含む組成物を提供する。ロゼブリア・ホミニスを使用する組成物は、関節リウマチを治療するために特に有効でありうる。
【0013】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、多発性硬化症を治療又は予防する方法に使用するためのロゼブリア属の細菌株を含む組成物を提供する。本発明者らは、ロゼブリア株による治療が、多発性硬化症のマウスモデルにおいて疾患の発生率及び疾患の重症度を低減させることができることを特定した。好ましい実施形態において、本発明は、多発性硬化症の治療に使用するためのロゼブリア・ホミニス種の細菌株を含む組成物を提供する。ロゼブリア・ホミニスを使用する組成物は、多発性硬化症を治療するために特に有用でありうる。
【0014】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患又は状態の治療又は予防において、IL−17の産生を低減させる又はTh17細胞の分化を低減させる方法に使用するためのものである。特に、本発明の組成物は、喘息、関節リウマチ、又は多発性硬化症の治療又は予防において、IL−17の産生を低減させる又はTh17細胞の分化を低減させるために使用されうる。好ましくは、本発明は、喘息、関節リウマチ、若しくは多発性硬化症の治療若しくは予防において、IL−17の産生を低減させる又はTh17細胞の分化を低減させるために使用するためのロゼブリア・ホミニス種の細菌株を含む組成物を提供する。
【0015】
特定の実施形態において、組成物は、IL−17レベル又はTh17細胞が上昇している患者に使用するためのものである。ロゼブリア株に関して示されるTh17炎症応答に及ぼす効果は、そのような患者にとって特に有益でありうる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、組成物中の細菌株は、ロゼブリア・ホミニスの細菌株である。近縁の株、例えばロゼブリア・ホミニスの細菌株の16s rRNA配列と
少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一である16s rRNA配列を有する細菌株もまた使用してもよい。好ましくは、細菌株は、配列番号1、2、又は3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一である16s rRNA配列を有する。好ましくは、上記配列同一性は配列番号3に対する同一性である。好ましくは、本発明に使用するための細菌株は、配列番号3によって表される16s rRNA配列を有する。
【0017】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、経口投与用である。本発明の株の経口投与は、IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患及び状態を治療するために有効でありうる。同様に、経口投与は、患者及び医師にとっても都合がよく、腸管への送達及び/又は腸管での部分的又は完全な定着(colonisation)を可能にする。
【0018】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、1又は2以上の薬学的に許容される賦形剤又は担体を含む。
【0019】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、凍結乾燥されている細菌株を含む。凍結乾燥は、細菌の送達を可能にする安定な組成物を調製するために有効で都合のよい技術である。
【0020】
特定の実施形態において、本発明は、上記の組成物を含む食品を提供する。
【0021】
特定の実施形態において、本発明は、上記の組成物を含むワクチン組成物を提供する。
【0022】
さらに、本発明は、IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患又は状態を治療又は予防する方法であって、ロゼブリア属の細菌株を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0023】
上記の本発明の開発にあたって、本発明者らは、治療にとって特に有用である細菌株を同定し特徴付けた。本発明のロゼブリア・ホミニス株は、本明細書において記述される疾患、例えば関節炎、喘息、及び多発性硬化症を治療するために有効であることが示されている。したがって、別の態様において、本発明は、受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス株又はその派生物(derivative)の細胞を提供する。本発明はまた、そのような細胞又はそのような細胞の生物学的に純粋な培養物を含む組成物も提供する。本発明はまた、特に本明細書において記述される疾患の治療に使用するための受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス株又はその派生物の細胞も提供する。すなわち本発明は以下に関する。
(1) IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患又は状態を治療又は予防する方法に使用するための、ロゼブリア属の細菌株を含む組成物。
(2) アレルギー性喘息又は好中球性喘息などの喘息;関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、又は若年性特発性関節炎などの関節炎;多発性硬化症;視神経脊髄炎(デビック病);強直性脊椎炎;脊椎関節炎;乾癬;全身性紅斑性狼瘡;クローン病又は潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;セリアック病;慢性閉塞性肺疾患(COPD);乳がん、結腸がん、肺がん、又は卵巣がんなどのがん;ブドウ膜炎;強膜炎;血管炎;ベーチェット病;アテローム性動脈硬化症;アトピー性皮膚炎;肺気腫;歯周炎;アレルギー性鼻炎;及び同種異系移植片拒絶からなる群から選択される疾患又は状態を治療又は予防する方法に使用するための、上記(1)に記載の組成物。
(3) 好中球性喘息又はアレルギー性喘息などの喘息を治療又は予防する方法に使用するための、上記(2)に記載の組成物。
(4) 喘息の治療において好中球増加又は好酸球増加を低減させる方法に使用するための、上記(3)に記載の組成物。
(5) 関節リウマチを治療又は予防する方法に使用するための、上記(2)に記載の組成物。
(6) 関節リウマチにおける関節の腫脹を低減させる方法に使用するための、上記(5)に記載の組成物。
(7) 多発性硬化症を治療又は予防する方法に使用するための、上記(2)に記載の組成物。
(8) 疾患の発生率又は疾患の重症度を低減させる方法に使用するための、上記(7)に記載の組成物。
(9) IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患又は状態の治療又は予防において、IL−17の産生を低減させる又はTh17細胞の分化を低減させる方法に使用するための、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の組成物。
(10) IL−17レベル又はTh17細胞が上昇している患者に使用するための、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の組成物。
(11) 細菌株が、ロゼブリア・ホミニスの細菌株である、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の組成物。
(12) 細菌株が、ロゼブリア・ホミニスの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一である16s rRNA配列を有する、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の組成物。
(13) 細菌株が、配列番号1、2又は3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一である16s rRNA配列を有する、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の組成物。
(14) 細菌株が、配列番号3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一である16s rRNA配列を有するか、又は細菌株が、配列番号3によって表される16s rRNA配列を有する、上記(13)に記載の組成物。
(15) 関節リウマチを治療又は予防する方法に使用するための、ロゼブリア・ホミニス種の細菌株を含む、上記(1)に記載の組成物。
(16) 好中球性喘息又はアレルギー性喘息などの喘息を治療又は予防する方法に使用するための、ロゼブリア・ホミニス種の細菌株を含む、上記(1)に記載の組成物。
(17) 多発性硬化症を治療又は予防する方法に使用するための、ロゼブリア・ホミニス種の細菌株を含む、上記(1)に記載の組成物。
(18) 経口投与用である、上記(1)〜(17)のいずれかに記載の組成物。
(19) 1又は2以上の薬学的に許容される賦形剤又は担体を含む、上記(1)〜(18)のいずれかに記載の組成物。
(20) 細菌株が凍結乾燥されている、上記(1)〜(19)のいずれかに記載の組成物。
(21) 上記(1)〜(10)、及び(15)〜(17)のいずれかに記載の使用のための、上記(1)〜(20)のいずれかに記載の組成物を含む食品。
(22) 上記(1)〜(10)、及び(15)〜(17)のいずれかに記載の使用のための、上記(1)〜(20)のいずれかに記載の組成物を含むワクチン組成物。
(23) IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患又は状態を治療又は予防する方法であって、それを必要とする患者にロゼブリア属の細菌株を含む組成物を投与することを含む、前記方法。
(24) 受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス株又はその派生物の細胞。
(25) 上記(34)に記載の細胞を含む組成物。
(26) 薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、上記(25)に記載の組成物。
(27) 受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス株又はその派生物の生物学的に純粋な培養物。
(28) 治療に使用するための、受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス株又はその派生物の細胞。
(29) 上記(1)〜(10)のいずれかに規定の方法に使用するための、上記(28)に記載の細胞。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】チリダニによる喘息のマウスモデル−BAL液中の総細胞数を示す。
図2】チリダニによる喘息のマウスモデル−BALF中の総好酸球数を示す。
図3】チリダニによる喘息のマウスモデル−BALF中の好酸球の割合を示す。
図4】チリダニによる喘息のマウスモデル−BALF中の総マクロファージ数を示す。
図5】チリダニによる喘息のマウスモデル−BALF中のマクロファージの割合を示す。
図6】チリダニによる喘息のマウスモデル−BALF中の総好中球数を示す。
図7】チリダニによる喘息のマウスモデル−BALF中の好中球の割合を示す。
図8】チリダニによる喘息のマウスモデル−BALF中の総リンパ球数を示す。
図9】チリダニによる喘息のマウスモデル−BALF中のリンパ球の割合を示す。
図10】重度の好中球性喘息のマウスモデル−BAL液中の総細胞数を示す。
図11】重度の好中球性喘息のマウスモデル−BALF中の総好酸球数を示す。
図12】重度の好中球性喘息のマウスモデル−BALF中の好酸球の割合を示す。
図13】重度の好中球性喘息のマウスモデル−BALF中の総マクロファージ数を示す。
図14】重度の好中球性喘息のマウスモデル−BALF中のマクロファージの割合を示す。
図15】重度の好中球性喘息のマウスモデル−BALF中の総好中球数を示す。
図16】重度の好中球性喘息のマウスモデル−BALF中の好中球の割合を示す。
図17】重度の好中球性喘息のマウスモデル−BALF中の総リンパ球数を示す。
図18】重度の好中球性喘息のマウスモデル−BALF中のリンパ球の割合を示す。
図19】関節リウマチのマウスモデル−−14日〜0日目の体重を示す。データは初回(−14日)の体重の平均値±SEMパーセントとして表す。
図20】関節リウマチのマウスモデル−0日〜42日目の体重を示す。データは初回(0日)の体重の平均値±SEMパーセントとして表す。
図21】関節リウマチのマウスモデル−臨床スコアを示す。データは平均値±SEMとして表す。媒体処置群の21日と比較して、**** pは0.0001未満である。
図22】関節リウマチのマウスモデル−II型コラーゲンに対する脾細胞の増殖応答を示す。H−TdR取り込みに基づく、培地のバックグラウンドを差し引いた[CII刺激−培地バックグラウンド]1分間のカウント数。データは全て、平均値±SEMとして表す。媒体処置群と比較して、*** pは0.001未満である。
図23】関節リウマチのマウスモデル−組織培養上清中のIFNγのレベルを示す。線は、群の中央値を表す。
図24】関節リウマチのマウスモデル−組織培養上清中のIL−17Aのレベルを示す。線は、群の中央値を表す。
図25】関節リウマチのマウスモデル−組織培養上清中のIL−10のレベルを示す。線は、群の中央値を表す。
図26】関節リウマチのマウスモデル−組織培養上清中のIL−6のレベルを示す。線は、群の中央値を表す。
図27】チリダニによる喘息のマウスモデル−血清中の総IgEを示す。
図28】チリダニによる喘息のマウスモデル−血清中のHDM特異的IgG1を示す。
図29】チリダニによる喘息のマウスモデル−BALF中の総IgEを示す。
図30】チリダニによる喘息のマウスモデル−BALF中のHDM特異的IgG1を示す。
図31】チリダニによる喘息のマウスモデル−組織学的分析−平均気管支周囲浸潤スコアを示す。
図32】チリダニによる喘息のマウスモデル−組織学的分析−平均血管周囲浸潤スコアを示す。
図33】チリダニによる喘息のマウスモデル−組織学的分析−平均炎症スコア(気管支周囲浸潤スコアと血管周囲浸潤スコアの両方の平均値)を示す。
図34】チリダニによる喘息のマウスモデル−組織学的分析−粘液スコアを示す。
図35】チリダニによる喘息のマウスモデル−肺組織中のIL−9レベルを示す。
図36】チリダニによる喘息のマウスモデル−肺組織中のIL−1aレベルを示す。
図37】チリダニによる喘息のマウスモデル−肺組織中のIFNγレベルを示す。
図38】チリダニによる喘息のマウスモデル−肺組織中のIL−17Aレベルを示す。
図39】チリダニによる喘息のマウスモデル−肺組織中のIL−4レベルを示す。
図40】チリダニによる喘息のマウスモデル−肺組織中のIL−5レベルを示す。
図41】チリダニによる喘息のマウスモデル−肺組織中のIL−1bレベルを示す。
図42】チリダニによる喘息のマウスモデル−肺組織中のRANTESレベルを示す。
図43】チリダニによる喘息のマウスモデル−肺組織中のMIP−1aレベルを示す。
図44】チリダニによる喘息のマウスモデル−肺組織中のKCレベルを示す。
図45】チリダニによる喘息のマウスモデル−肺組織中のMIP−2レベルを示す。
図46】重度の好中球性喘息のマウスモデル−血清中のHDM特異的IgG1を示す。
図47】重度の好中球性喘息のマウスモデル−血清中のHDM特異的IgG2aを示す。
図48】重度の好中球性喘息のマウスモデル−BALF中のHDM特異的IgG1を示す。
図49】重度の好中球性喘息のマウスモデル−BALF中のHDM特異的IgG2aを示す。
図50】重度の好中球性喘息のマウスモデル−組織学的分析−平均気管支周囲浸潤スコアを示す。
図51】重度の好中球性喘息のマウスモデル−組織学的分析−平均血管周囲浸潤スコアを示す。
図52】重度の好中球性喘息のマウスモデル−組織学的分析−平均炎症スコア(気管支周囲浸潤スコアと血管周囲浸潤スコアの両方の平均値)を示す。
図53】重度の好中球性喘息のマウスモデル−肺組織中のTNFαレベルを示す。
図54】重度の好中球性喘息のマウスモデル−肺組織中のIL−1aレベルを示す。
図55】重度の好中球性喘息のマウスモデル−肺組織中のIFNγレベルを示す。
図56】重度の好中球性喘息のマウスモデル−肺組織中のIL−17Fレベルを示す。
図57】重度の好中球性喘息のマウスモデル−肺組織中のIL−1bレベルを示す。
図58】重度の好中球性喘息のマウスモデル−肺組織中のRANTESレベルを示す。
図59】重度の好中球性喘息のマウスモデル−肺組織中のMIP−2レベルを示す。
図60】重度の好中球性喘息のマウスモデル−肺組織中のKCレベルを示す。
図61】重度の好中球性喘息のマウスモデル−肺組織中のIL−17Aレベルを示す。
図62】重度の好中球性喘息のマウスモデル−肺組織中のMIP−1aレベルを示す。
図63】重度の好中球性喘息のマウスモデル−肺組織中のIL−33レベルを示す。
図64】関節リウマチのマウスモデル−組織病理学スコアのための目視用テンプレートを示す。コラーゲン誘発関節炎試験におけるマウス足根関節からの複合スコアを示す代表的な画像を示す。
図65】関節リウマチのマウスモデル−組織病理学:炎症スコアを示す。データは平均値±SEMとして表す。
図66】関節リウマチのマウスモデル−組織病理学:軟骨スコアを示す。データは平均値±SEMとして表す。
図67】関節リウマチのマウスモデル−組織病理学:骨スコアを示す。データは平均値±SEMとして表す。
図68】関節リウマチのマウスモデル−組織病理学:総スコアを示す。データは平均値±SEMとして表す。
図69】関節リウマチのマウスモデル−組織病理学:代表的な写真を示す。動物ID(#n.n)及び四肢(Rは右、Lは左)を括弧の中に示す。左の画像(媒体):炎症及び線維症が関節周囲軟組織に及ぶ広範囲の関節及び骨の破壊。
図70】多発性硬化症のマウスモデル−臨床スコアを示す。
図71】多発性硬化症のマウスモデル−疾患の発生率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
細菌株
本発明の組成物は、ロゼブリア属の細菌株を含む。実施例は、この属の細菌がIL−17又はTh17経路によって媒介される疾患及び状態を治療又は予防するために有用であることを実証している。好ましい細菌株は、ロゼブリア・ホミニス種の細菌株である。
【0026】
本発明において使用するためのロゼブリア種の例には、ロゼブリア・ホミニス、ロゼブリア・セシコーラ(Roseburia cecicola)、ロゼブリア・フェシス(Roseburia faecis)、ロゼブリア・インテスチナリス(Roseburia intestinalis)、及びロゼブリア・イヌリニボランス(Roseburia inulinivorans)が挙げられる。ロゼブリア細菌は、絶対嫌気性
で哺乳動物の腸管に常在するわずかに湾曲した桿状細胞である。これらの細菌は、フィルミクテス門の系統発生クラスターXIVaに属する。細菌は、酪酸産生性で、凹面に沿って
片側に集団で存在する多数の鞭毛を通して活発に運動する(Stanton and Savage (1983) Appl Environ Microbiol. 45(5):1677-84)。ロゼブリア・ホミニス及びロゼブリア・イ
ンテスチナリスは、最近記述された例である。
【0027】
ロゼブリア・ホミニスの例は、ブダペスト条約に基づいて、2004年10月21日に、NCIMB Ltd, Ferguson Building, Craibstone Estate, Bucksburn, Aberdeen, UK, AB21
9YAのNational Collections of Industrial, Food and Marine Bacteria(NCIMB)に、Rowett Research Institute社により受託番号NCIMB 14029ロゼブリア・ホミニスA2−183(DSM=16839)として寄託された株である。他の例示的なロゼブリア・ホミニス株は、Duncan et al. (2006) Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 56: 2437-2441に記載されている。ロゼブリア・ホミニス株の16S rRNA遺伝子配列
のGenBank/EMBL/DDBJ受託番号はAY804148及びAJ270482(本明細書において、配列番号1及び配列番号2として開示される)である。
【0028】
ロゼブリア・インテスチナリスの例は、受託番号NCIMB 13810ロゼブリア・インテスチナリスL1−82(DSM=14610)として寄託された株である。別の例は、Duncan et al. (2006) Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 56: 2437-2441に記載
されるロゼブリア・インテスチナリス株である。参考文献Duncan et al. (2006) Int. J.
Syst. Evol. Microbiol. 56: 2437-2441はまた、例示的なロゼブリア・フェシス及びロ
ゼブリア・イヌリニボランス株も記載している。
【0029】
受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス細菌を、実施例において試験し、また、本明細書において以降、株433と称する。試験した433株の16S rRNA配列を配列番号3に提供する。株433は、2015年3月12日に、GT Biologics Ltd.(Life Sciences Innovation Building, Aberdeen, AB25 2ZS, Scotland)によって国際寄託当局NCIMB, Ltd.(Ferguson Building, Aberdeen, AB21 9YA, Scotland)に「ロゼブリア・ホミニス433」として寄託され、受託番号NCIMB 42383を与えられた。GT Biologics Ltd社は、後に社名を4D Pharma Research Limited社
に変更した。
【0030】
株433のゲノム配列を配列番号4に提供する。この配列は、PacBio RS IIプラットフォームを使用して生成された。
【0031】
本実施例で試験した株に近縁の細菌株もまた、IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患及び状態を治療又は予防するために有効であると予想される。特定の実施形態において、本発明に使用するための細菌株は、ロゼブリア・インテスチナリスの細菌株の16s rRNA配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一である16s rRNA配列を有する。好ましくは、本発明に使用するための細菌株は、配列番号1、2、又は3と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%同一である16s rRNA配列を有する。好ましくは、上記配列同一性は配列番号3に対する同一性である。好ましくは、本発明に使用するための細菌株は、配列番号3によって表される16s rRNA配列を有する。
【0032】
受託番号42383として寄託された細菌のバイオタイプである細菌株もまた、IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患及び状態を治療又は予防するために有効であると予想される。バイオタイプは、同じ又は非常に類似の生理的及び生化学的特徴を有する近縁の株である。
【0033】
受託番号NCIMB 42383として寄託された細菌のバイオタイプであり、本発明における使用に好適な株を、受託番号NCIMB 42383として寄託された細菌の他のヌクレオチド配列をシークエンシングすることによって同定してもよい。例えば、実質的に全ゲノムをシークエンシングしてもよく、本発明に使用するためのバイオタイプの株は、その全ゲノムの少なくとも80%にわたって(例えば、少なくとも85%、90%、95%又は99%又はその全ゲノムにわたって)少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%の配列同一性を有しうる。バイオタイプの株の同定に使用するための他の好適な配列としては、hsp60、又は反復配列、例えばBOX、ERIC、(GTG)、若しくはREP、又はMasco et al. (2003) Systematic and Applied Microbiology, 26:557-563が挙げられうる。バイオタイプの株は、受託番号
NCIMB 42383として寄託された細菌の対応する配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又は99.9%の配列同一性を有する配列を有しうる。
【0034】
特定の実施形態において、本発明において使用するための細菌株は、配列番号4と配列同一性を有するゲノムを有する。好ましい実施形態において、本発明において使用するための細菌株は、配列番号4の少なくとも60%(例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%)にわたって配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも92%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性)を有するゲノムを有する。例えば、本発明に使用するための細菌株は、配列番号4の70%にわたって配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性、又は配列番号4の80%にわたって配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性、又は配列番号4の90%にわたって配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性、又は配列番号4の100%にわたって配列番号4に対して少なくとも90%の配列同一性、又は配列番号4の70%にわたって配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性、又は配列番号4の80%にわたって配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性、又は配列番号4の90%にわたって配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性、又は配列番号4の100%にわたって配列番号4に対して少なくとも95%の配列同一性、又は配列番号4の70%にわたって配列番号4に対して少なくとも98%の配列同一性、又は配列番号4の80%にわ
たって配列番号4に対して少なくとも98%の配列同一性、又は配列番号4の90%にわたって配列番号4に対して少なくとも98%の配列同一性、又は配列番号4の100%にわたって配列番号4に対して少なくとも98%の配列同一性を有するゲノムを有しうる。
【0035】
あるいは、受託番号NCIMB 42383として寄託された細菌のバイオタイプであり、本発明における使用に好適な株を、受託番号NCIMB 42383の寄託物、並びに制限酵素断片分析及び/又はPCR分析を使用することによって、例えば蛍光増幅断片長多型(FAFLP,fluorescent amplified fragment length polymorphism)及び反復DNAエレメント(rep)−PCRフィンガープリンティング又はタンパク質プロファイリング、又は部分的16S若しくは23s rDNAシークエンシングを使用することによって同定してもよい。好ましい実施形態において、そのような技術を、他のロゼブリア・ホミニス株を同定するために使用してもよい。
【0036】
特定の実施形態において、受託番号NCIMB 42383として寄託された細菌のバイオタイプであり、本発明における使用に好適な株は、増幅リボソームDNA制限分析(ARDRA,amplified ribosomal DNA restriction analysis)によって分析した場合に、例えばSau3AI制限酵素(例示的な方法及び指針に関しては、例えばSrutkova et al. (2011) J. Microbiol. Methods, 87(1):10-6を参照されたい)を使用した場合に、受託番号NCIMB 42383として寄託された細菌と同じパターンを提供する株である。あるいは、バイオタイプの株は、受託番号NCIMB 42383として寄託された細菌と同じ炭水化物発酵パターンを有する株として同定される。
【0037】
本発明の組成物及び方法において有用である他のロゼブリア株、例えば受託番号NCIMB 42383として寄託された細菌のバイオタイプは、実施例に記述されるアッセイを含むいかなる適切な方法又は方策を使用して同定してもよい。例えば、本発明に使用するための株は、嫌気性のYCFA中で培養すること、及び/又は細菌をII型コラーゲン関節炎マウスモデルに投与すること、次いでサイトカインレベルを評価することによって同定してもよい。特に、受託番号NCIMB 42383として寄託された細菌と類似の増殖パターン、代謝型、及び/又は表面抗原を有する細菌株は、本発明において有用でありうる。有用な株は、受託番号NCIMB 42383株に対して同等の免疫調節活性を有するであろう。特に、バイオタイプの株は、実施例に示される効果と、喘息、関節炎、及び多発性硬化症の疾患モデルに対して同等の効果、並びにサイトカインレベルに対して同等の効果を誘発し、このことは、実施例に記述される培養及び投与プロトコールを使用することによって同定されうる。
【0038】
本発明の特に好ましい株は、受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス株である。これは、実施例で試験した例示的な433株であり、疾患を治療するために有効であることが示されている。したがって、本発明は、受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス株又はその派生物の細胞、例えば単離細胞を提供する。本発明はまた、受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス株又はその派生物の細胞を含む組成物も提供する。本発明はまた、受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス株の生物学的に純粋な培養物も提供する。本発明はまた、特に本明細書に記述される疾患の治療に使用するための受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス株又はその派生物の細胞も提供する。
【0039】
受託番号NCIMB 42383株として寄託された株の派生物は、オリジナル株の娘株(後代)又はオリジナル株から培養された(サブクローニングされた)株であってもよい。本発明の株の派生物は、例えば生物活性を損ねることなく、遺伝子レベルで改変されていてもよい。特に、本発明の派生株は、治療上活性である。派生株は、元のNCIMB
42383株と同等の免疫調節活性を有するであろう。特に、派生株は、実施例に示される効果と、喘息、関節炎、及び多発性硬化症の疾患モデルに対して同等の効果、並びにサイトカインレベルに対して同等の効果を誘発し、このことは、実施例に記述される培養及び投与プロトコールを使用することによって同定されうる。NCIMB 42383株の派生物は、一般的にはNCIMB 42383株のバイオタイプであろう。
【0040】
受託番号NCIMB 42383として寄託されたロゼブリア・ホミニス株の細胞という言及は、受託番号NCIMB 42383として寄託された株と同じ安全性及び治療有効性の特徴を有するいかなる細胞も包含し、そのような細胞は、本発明に包含される。
【0041】
好ましい実施形態において、本発明の組成物における細菌株は、生存しており、腸管に部分的又は完全に定着することができる。
【0042】
治療での用途
実施例において実証されるように、本発明の細菌組成物は、Th17炎症応答を低減させるために有効である。特に、本発明の組成物による治療によって、IL−17及びTh17経路によって媒介される状態の動物モデルにおいて、IL−17Aレベル及び他のTh17経路のサイトカインの低減、並びに臨床上の改善がもたらされる。したがって、本発明の組成物は、炎症性疾患及び自己免疫疾患、特にIL−17によって媒介される疾患又は状態を治療又は予防するために有用でありうる。特に、本発明の組成物は、IL−17炎症応答の上昇を低減又は予防するために有用でありうる。
【0043】
Th17細胞は、ヘルパーT細胞のサブセットであり、例えば、IL−17A、IL−17F、IL−21、及びIL−22を産生する。Th17細胞の分化及びIL−17の発現は、IL−23によって駆動されうる。これらのサイトカイン及び他のサイトカインは、Th17経路の重要な部分を形成し、Th17経路は、いくつかの炎症性疾患及び自己免疫疾患に寄与してそれらの基礎となる、十分に確立された炎症シグナリング経路である(例えばYe et al. (2015) PLoS One. 10(1):e0117704、Fabro et al. (2015) Immunobiology. 220(1):124-35 、Yin et al. (2014) Immunogenetics. 66(3):215-8、Cheluvappa et al. (2014) Clin Exp Immunol. 175(2):316-22、Schieck et al. (2014) J Allergy
Clin Immunol. 133(3):888-91、Balato et al. (2014) J Eur Acad Dermatol Venereol.
28(8):1016-24に記述される)。Th17経路が活性化されている疾患は、Th17経路媒介疾患である。Th17経路媒介疾患は、Th17経路を抑えることによって改善又は軽減することができ、これはTh17細胞の分化の低減、又はその活性の低減、又はTh17経路サイトカインのレベルの低減を通して行われうる。Th17経路によって媒介される疾患は、Th17細胞によって産生されるサイトカイン、例えばIL−17A、IL−17F、IL−21、IL−22、IL−26、IL−9のレベルの増加によって特徴付けられうる(Monteleone et al. (2011) BMC Medicine. 2011, 9:122に論評)。Th17経路によって媒介される疾患は、Th−17関連遺伝子、例えばStat3又はIL−23Rの発現の増加によって特徴付けられうる。Th17経路によって媒介される疾患は、Th17細胞のレベルの増加に関連しうる。
【0044】
IL−17は、いくつかの炎症性及び自己免疫性の疾患並びに状態の病原性に寄与する炎症促進性サイトカインである。本明細書に使用されるIL−17は、IL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17E、及びIL−17Fを含むIL−17ファミリーのいかなるメンバーも指しうる。IL−17媒介の疾患及び状態は、疾患又は状態に罹患した組織におけるIL−17の高い発現及び/又はIL−17陽性細胞の蓄積若しくは存在によって特徴付けられる。同様に、IL−17媒介疾患及び状態は、高いIL−17レベル又はIL−17レベルの増加によって悪化し、低いIL−17レベル又はIL−17レベルの低減によって軽減される疾患及び状態である。IL−17炎症
応答は局所又は全身性でありうる。
【0045】
IL−17又はTh17経路によって媒介されうる疾患及び状態の例には、多発性硬化症;関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、又は若年性関節炎などの関節炎;視神経脊髄炎(デビック病);強直性脊椎炎;脊椎関節炎;乾癬;全身性紅斑性狼瘡;クローン病又は潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;セリアック病;アレルギー性喘息又は好中球性喘息などの喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD);乳がん、結腸がん、肺がん、又は卵巣がんなどのがん;ブドウ膜炎;強膜炎;血管炎;ベーチェット病;アテローム性動脈硬化症;アトピー性皮膚炎;肺気腫;歯周炎;アレルギー性鼻炎;及び同種異系移植片拒絶が挙げられる。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、これらの状態又は疾患の1又は2以上を治療又は予防するために使用される。さらに好ましい実施形態において、これらの状態又は疾患は、IL−17又はTh17経路によって媒介される。
【0046】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患又は状態の治療又は予防において、IL−17の産生を低減させる又はTh17細胞の分化を低減させる方法に使用するためのものである。特定の実施形態において、本発明の組成物は、治療又は予防がTh17炎症応答の上昇を低減又は予防することによってもたらされる、炎症性疾患又は自己免疫疾患の治療又は予防に使用するためのものである。特定の実施形態において、本発明の組成物は、IL−17レベル若しくはTh17細胞が上昇している又はTh17炎症応答を示している、炎症性疾患又は自己免疫疾患を有する患者の治療に使用するためのものである。特定の実施形態において、患者は、慢性炎症性又は自己免疫性の疾患若しくは状態を有すると診断されていてもよく、又は本発明の組成物は、慢性炎症性又は自己免疫性の疾患若しくは状態へと発展する炎症性又は自己免疫性の疾患若しくは状態の予防に使用するためであってもよい。特定の実施形態において、疾患又は状態は、TNF−α阻害剤による治療に応答性でなくてもよい。本発明のこれらの使用は、先の段落に記載した特異的疾患又は状態のいかなるものにも適用されうる。
【0047】
IL−17及びTh17経路はしばしば、慢性炎症性疾患及び自己免疫疾患に関連しており、そのため、本発明の組成物は、上記の慢性疾患又は状態を治療又は予防するために特に有用でありうる。特定の実施形態において、組成物は、慢性疾患を有する患者に使用するためのものである。特定の実施形態において、組成物は、慢性疾患の発症の予防に使用するためのものである。
【0048】
本発明の組成物は、IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患及び状態を治療するために、並びにTh17炎症応答に対処するために有用でありうることから、本発明の組成物は、慢性疾患を治療若しくは予防するために、他の治療(TNF−α阻害剤による治療など)に応答しなかった患者の疾患を治療若しくは予防するために、及び/又はIL−17及びTh17細胞に関連する組織損傷及び症状を治療又は予防するために特に有用でありうる。例えば、IL−17は、軟骨及び骨組織におけるマトリクスの破壊を活性化することが知られており、IL−17は、軟骨細胞及び骨芽細胞におけるマトリクス産生に対して阻害効果を有することから、本発明の組成物は、骨びらん又は軟骨損傷を治療又は予防するために有用でありうる。
【0049】
特定の実施形態において、本発明の組成物による治療は、IL−17レベル、特にIL−17Aレベルの低減をもたらすか又は上昇を予防する。特定の実施形態において、本発明の組成物による治療は、IFN−γ又はIL−6レベルの低減をもたらすか、又は上昇を予防する。これらのサイトカインのレベル上昇のそのような低減又は予防は、炎症性及び自己免疫性の疾患並びに状態、特にIL−17又はTh17経路によって媒介される疾患及び状態を治療又は予防するために有用でありうる。
【0050】
喘息
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、喘息の治療又は予防に使用するためのものである。実施例は、本発明の組成物が、チリダニ抽出物による感作及びチャレンジ後の気道への好中球及び/又は好酸球の動員の低減をもたらすことを実証しており、そのため本発明の組成物が喘息の治療又は予防において有用でありうる。喘息は、気道の炎症及び制限によって特徴付けられる慢性疾患である。喘息における炎症は、IL−17及び/又はTh17細胞によって媒介されうることから、本発明の組成物は、喘息の予防又は治療にとって特に有効でありうる。喘息の炎症は、好酸球及び/又は好中球によって媒介されうる。
【0051】
特定の実施形態において、喘息は好酸球性又はアレルギー性喘息である。好酸球性及びアレルギー性喘息は、末梢血及び気道分泌液中の好酸球数の増加によって特徴付けられ、基底膜部の肥厚に病理学的に関連し、コルチコステロイド応答性に薬理学的に関連する(Fahy (2009) Proc Am Thorac Soc 6.256-259)。好酸球の動員又は活性化を低減又は阻害する組成物は、好酸球性及びアレルギー性喘息を治療又は予防するために有用でありうる。
【0052】
さらなる実施形態において、本発明の組成物は、好中球性喘息(又は非好酸球性喘息)の治療又は予防に使用するためのものである。多数の好中球は、コルチコステロイド治療に対して非感受性でありうる重度の喘息に関連する。好中球の動員又は活性化を低減又は阻害する組成物は、好中球性喘息の治療又は予防にとって有用でありうる。
【0053】
好酸球性及び好中球性喘息は、相互に排他的な状態ではなく、好酸球及び好中球の応答のいずれかの対処に役立つ治療は、喘息全般の治療にとって有用でありうる。
【0054】
IL−17レベルの増加及びTh17経路の活性化は、重度の喘息に関連していることから、本発明の組成物は、重度の喘息の発症を予防するために、又は重度の喘息を治療するために有用でありうる。
【0055】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、喘息の治療又は予防において好酸球性炎症応答を低減させる方法に使用するため、又は喘息の治療又は予防において好中球性炎症応答を低減させる方法に使用するためのものである。先に述べたように、喘息における高レベルの好酸球は、基底膜部の肥厚に病理学的に関連することから、喘息の治療又は予防における好酸球性炎症応答の低減は、疾患のこの特徴に特異的に対処することができる可能性がある。同様に、好中球の上昇は、好酸球の上昇を伴って又は伴わなくとも、重度の喘息及び慢性的な気道の狭窄に関連する。したがって、好中球性炎症応答の減少は、重度の喘息に対処するために特に有用でありうる。
【0056】
特定の実施形態において、組成物は、アレルギー性喘息における気管支周囲浸潤を低減させるか、又はアレルギー性喘息の治療において気管支周囲浸潤の低減に使用するためのものである。特定の実施形態において、組成物は、好中球性喘息における気管支周囲及び/若しくは血管周囲浸潤を低減させるか、又はアレルギー性好中球性喘息の治療において、気管支周囲及び/又は血管周囲浸潤の低減に使用するためのものである。
【0057】
特定の実施形態において、本発明の組成物による治療は、IFNγレベルの低減をもたらす、又はレベルの上昇を予防する。
【0058】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、喘息を治療する方法に使用するためであり、それによって好酸球及び/又は好中球性炎症応答の低減が起こる。特定の実施形態に
おいて、治療される患者は、採血又は喀痰分析を通して特定されるように、好中球又は好酸球のレベル上昇を有すると特定されている、又は過去に特定されたことがある。
【0059】
本発明の組成物は、新生児又は妊娠女性に投与した場合に、新生児における喘息の発症を予防するために有用でありうる。組成物は、小児における喘息の発症を予防するために有用でありうる。本発明の組成物は、成人発症喘息を治療又は予防するために有用でありうる。本発明の組成物は、喘息をマネージ又は軽減するために有用でありうる。本発明の組成物は、アレルゲン、例えばチリダニによって悪化する喘息に関連する症状を低減させるために特に有用でありうる。
【0060】
喘息の治療又は予防は、患者にとって問題である、症状の重症度の軽減、又は悪化の頻度の低減若しくは誘因の範囲の低減を指しうる。
【0061】
関節炎
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、関節リウマチ(RA,rheumatoid arthritis)の治療又は予防に使用するためのものである。実施例により、本発明の組成物が、マウスモデルにおけるRAの臨床兆候の低減をもたらすこと、軟骨及び骨損傷を低減させること、並びにIL−17炎症応答を低減させることが実証されており、そのため本発明の組成物は、RAの治療又は予防において有用でありうる。RAは、関節に主に罹患する全身性の炎症障害である。RAは、関節の腫脹、滑膜過形成、並びに軟骨及び骨の破壊が起こる炎症応答に関連している。例えば、IL−17は軟骨細胞及び骨芽細胞においてマトリクス産生を阻害して、マトリクスメタロプロテナーゼの産生及び機能を活性化することにより、並びにRA疾患の活動度がIL−17レベル及びTh17細胞数と相関することによりMiossec and Kolls (2012) Nat Rev Drug Discov. 11(10):763-76、Yang et al. (2014) Trends Pharmacol Sci. 35(10):493-500、IL−17及びTh17細胞は、RAにおいて重要な役割を有し、それにより本発明の組成物は、RAの予防又は治療にとって特に有効でありうる。
【0062】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、RAの治療又は予防におけるIL−17レベルの低下又はIL−17レベルの上昇の予防に使用するためのものである。特定の実施形態において、本発明の組成物による治療は、IL−17レベル、特にIL−17Aレベルの低減をもたらすか又は上昇を予防する。特定の実施形態において、本発明の組成物による治療は、IFN−γ又はIL−6レベルの低減をもたらすか又は上昇を予防する。
【0063】
特定の実施形態において、本発明の組成物による治療によって関節の腫脹の低減が起こる。特定の実施形態において、本発明の組成物は、関節が腫脹した患者又は関節が腫脹するリスクがあると特定された患者に使用するためのものである。特定の実施形態において、本発明の組成物は、RAにおける関節の腫脹を低減させる方法に使用するためのものである。
【0064】
特定の実施形態において、本発明の組成物による治療によって、軟骨損傷又は骨損傷の低減が起こる。特定の実施形態において、本発明の組成物は、RAの治療において軟骨又は骨損傷の低減又は予防に使用するためのものである。特定の実施形態において、組成物は、軟骨又は骨損傷のリスクがある重度のRAを有する患者の治療に使用するためのものである。
【0065】
増加したIL−17レベル及び多数のTh17細胞数は、RAにおける軟骨及び骨の破壊に関連している(Miossec and Kolls (2012) Nat Rev Drug Discov. 11(10):763-76、Yang et al. (2014) Trends Pharmacol Sci. 35(10):493-500)。IL−17は、軟骨及び骨組織におけるマトリクスの破壊を活性化させることが知られており、IL−17は軟骨
細胞及び骨芽細胞におけるマトリクス産生に対して阻害効果を有する。したがって、特定の実施形態において、本発明の組成物は、RAの治療において骨びらん又は軟骨損傷の予防に使用するためのものである。特定の実施形態において、組成物は、骨びらん若しくは軟骨損傷を示す患者、又は骨びらん若しくは軟骨損傷のリスクがあると特定された患者の治療に使用するためのものである。
【0066】
TNF−αもまたRAに関連するが、TNF−αは疾患の後期の病原性には関係していない。これに対し、IL−17は、慢性疾患の全ての進行期を通して役割を有する(Koenders et al. (2006) J. Immunol. 176:6262-6269)。したがって、特定の実施形態において、本発明の組成物は、関節の破壊及び軟骨の喪失を含む疾患などの慢性RA又は後期RAの治療に使用するためのものである。特定の実施形態において、本発明の組成物は、抗TNF−α治療を以前に受けたことがある患者を治療するためのものである。特定の実施形態において、治療を受ける患者は、抗TNF−α治療に応答しない、又はもはや応答しない。
【0067】
本発明の組成物は、患者の免疫系を調節するために有用でありうることから、特定の実施形態において、本発明の組成物は、RAのリスクがあると特定されている患者又は初期RAを有すると診断されている患者におけるRAの予防に使用するためのものである。本発明の組成物は、RAの発症を予防するために有用でありうる。
【0068】
本発明の組成物は、RAをマネージ又は軽減するために有用でありうる。本発明の組成物は、関節の腫脹又は骨の破壊に関連する症状を低減させるために特に有用でありうる。RAの治療又は予防は、例えば患者にとって問題である、症状の重症度の軽減、又は悪化の頻度の低減若しくは誘因の範囲の低減を指しうる。
【0069】
多発性硬化症
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、多発性硬化症の治療又は予防に使用するためのものである。実施例により、本発明の組成物が、多発性硬化症のマウスモデル(EAEモデル)における疾患の発生率及び疾患の重症度の低減をもたらすことが実証されており、そのため、本発明の組成物は、多発性硬化症の治療又は予防において有用でありうる。多発性硬化症は、特に脳及び脊柱のニューロンの髄鞘に対する損傷に関連する炎症障害である。多発性硬化症は、次第に無能力となり、エピソードが進行する慢性疾患である。例えばIL−17レベルは多発性硬化症の病変と相関しうる、IL−17は血液脳関門の内皮細胞の堅固な接合を破壊しうる、及びTh17細胞が中枢神経系に遊走してニューロンの喪失を引き起こしうることから(Amedei et al. (2012) Int J Mol Sci. 13(10):13438-60、Shabgah et al. (2014) Postepy. Dermatol. Alergol. 31(4):256-61)、I
L−17及びTh17細胞は、多発性硬化症において重要な役割を有しうる。したがって、本発明の組成物は、多発性硬化症を予防又は治療するために特に有用でありうる。
【0070】
特定の実施形態において、本発明の組成物による治療によって、疾患の発生率又は疾患の重症度の低減が起こる。特定の実施形態において、本発明の組成物は、疾患の発生率又は疾患の重症度の低減に使用するためのものである。特定の実施形態において、本発明の組成物による治療は、運動機能の低下を予防するか、又は運動機能の改善が起こる。特定の実施形態において、本発明の組成物は、運動機能の低下の予防に使用するためのものであるか、又は運動機能の改善に使用するためのものである。特定の実施形態において、本発明の組成物による治療は、麻痺の発生を予防する。特定の実施形態において、本発明の組成物は、多発性硬化症の治療における麻痺の予防に使用するためのものである。
【0071】
本発明の組成物は、患者の免疫系を調節するために有用でありうることから、特定の実施形態において、本発明の組成物は、多発性硬化症のリスクがあると特定されている患者
、又は初期多発性硬化症である若しくは「再発−寛解性の」多発性硬化症であると診断されている患者における多発性硬化症の予防に使用するためのものである。本発明の組成物は、硬化症の発生を予防するために有用でありうる。実際に、実施例により、本発明の組成物の投与が、多くのマウスにおける疾患の発症を予防したことが示されている。
【0072】
本発明の組成物は、多発性硬化症をマネージ又は軽減するために有用でありうる。本発明の組成物は、多発性硬化症に関連する症状を低減するために特に有用でありうる。多発性硬化症の治療又は予防は、例えば患者にとって問題である、症状の重症度の軽減、又は悪化の頻度の低減若しくは誘因の範囲の低減を指しうる。
【0073】
投与様式
好ましくは、本発明の組成物は、本発明の細菌株の腸管への送達及び/又は腸管での部分的若しくは完全な定着を可能にするために、消化管に投与される。一般的に、本発明の組成物は経口投与されるが、それらは直腸、鼻腔内、又は口腔内若しくは舌下経路によって投与されてもよい。
【0074】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、フォーム(foam)、スプレー、又はゲルとして投与されてもよい。
【0075】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、直腸内坐剤などの坐剤として、例えばカカオ脂(ココアバター)、合成ハードファット(例えば、suppocire、ウイテプゾール)、グリセロゼラチン、ポリエチレングリコール、又はソープグリセリン組成物の形態で投与されてもよい。
【0076】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、チューブ、例えば経鼻胃チューブ、経口胃チューブ、胃チューブ、空腸痩チューブ(Jチューブ)、経皮内視鏡胃痩(PEG,percutaneous endoscopic gastrostomy)を介して、又はポート、例えば胃、十二指腸への
アクセスを提供する胸壁ポート、及び他の好適なアクセスポートを介して消化管に投与される。
【0077】
本発明の組成物は、1回投与されてもよく、又は治療レジメンの一部として連続的に投与されてもよい。特定の実施形態において、本発明の組成物は、毎日投与される。
【0078】
本発明の特定の実施形態において、本発明による治療は、患者の腸内微生物叢の評価を伴う。本発明の株の送達及び/若しくは部分的若しくは完全な定着が達成されず、有効性が観察されなければ治療を繰り返してもよく、又は送達及び/若しくは部分的若しくは完全な定着が成功して有効性が観察されれば治療を中止してもよい。
【0079】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、炎症性疾患又は自己免疫疾患がその子宮内の子供及び/又は出産後の子供に発症するのを予防するために妊娠中の動物、例えばヒトなどの哺乳動物に投与されてもよい。
【0080】
本発明の組成物は、IL−17若しくはTh17経路によって媒介される疾患若しくは状態を有すると診断されている患者、又はIL−17若しくはTh17経路によって媒介される疾患若しくは状態のリスクがあると特定されている患者に投与されてもよい。組成物はまた、健康な患者におけるIL−17又はTh17経路によって媒介される疾患又は状態の発症を予防するための予防的手段として投与されてもよい。
【0081】
本発明の組成物は、異常な腸内微生物叢を有すると特定されている患者に投与されてもよい。例えば、患者は、ロゼブリア、特にロゼブリア・ホミニスの定着が低減していても
よく、又は定着していなくてもよい。
【0082】
本発明の化合物は、食品、例えば栄養サプリメントとして投与されてもよい。
【0083】
一般的に本発明の組成物は、ヒトの治療のためのものであるが、本発明の組成物を、家禽、ブタ、ネコ、イヌ、ウマ、又はウサギなどの単胃哺乳動物を含む動物を治療するために使用してもよい。本発明の組成物は、動物の成長及び能力を増強するために有用でありうる。動物に投与する場合、強制経口投与を使用してもよい。
【0084】
組成物
一般的に、本発明の組成物は、細菌を含む。本発明の好ましい実施形態において、組成物は凍結乾燥形態で製剤化される。例えば、本発明の組成物は、本発明の細菌株を含む顆粒剤又はゼラチンカプセル、例えば硬ゼラチンカプセルを含みうる。
【0085】
好ましくは、本発明の組成物は、凍結乾燥細菌を含む。細菌の凍結乾燥は十分に確立された手順であり、関連する指針を、例えば参考文献Miyamoto-Shinohara et al. (2008) J. Gen. Appl. Microbiol., 54, 9-24、Cryopreservation and Freeze-Drying Protocols,
ed. by Day and McLellan, Humana Press、Leslie et al. (1995) Appl. Environ. Microbiol. 61, 3592-3597で入手することができる。
【0086】
あるいは、本発明の組成物は、生きた活性な細菌培養物を含んでもよい。
【0087】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、腸管に細菌株を送達することができるようにカプセル化されている。カプセル化は、pHの変化によって誘発されてもよい化学的又は物理的刺激、例えば圧力、酵素活性、又は物理的崩壊によって破裂させることによって、目標とする位置に送達するまで組成物を分解から保護する。任意の適切なカプセル化法が用いられうる。例示的なカプセル化技術としては、多孔質マトリクス内の捕捉、固体担体表面への接着若しくは吸着、フロキュレーション又は架橋剤による自己凝集、及び微孔性の膜若しくはマイクロカプセルへの機械的封じ込めが挙げられる。本発明の組成物を調製するために有用でありうるカプセル化の指針は、例えば参考文献Mitropoulou et al. (2013) J Nutr Metab. (2013) 716861及びKailasapathy et al. (2002) Curr Issues Intest Microbiol. 3(2):39-48で入手することができる。
【0088】
組成物は、経口投与されてもよく、錠剤、カプセル剤、又は散剤の形態であってもよい。ロゼブリアは嫌気性菌であることから、カプセル化産物が好ましい。インビボでの送達並びに/又は部分的若しくは完全な定着及び生存を改善するために、他の成分(例えばビタミンC)を、酸素スキャベンジャー及びプレバイオティック基質として含ませてもよい。あるいは、本発明のプロバイオティック組成物は、食品若しくは栄養製品、例えばミルク若しくは乳清ベースの発酵乳製品、又は医薬品として経口投与されてもよい。
【0089】
組成物はプロバイオティックとして製剤化されてもよい。
【0090】
本発明の組成物は、本発明の細菌株の治療有効量を含む。細菌株の治療有効量は、患者に対して有益な効果を発揮するために十分である。細菌株の治療有効量は、患者の腸管への送達及び/又は部分的若しくは完全な定着が起こるために十分でありうる。
【0091】
例えば成人に関する細菌の好適な1日量は、約1×10〜約1×1011コロニー形成単位(CFU,colony forming unit)、例えば約1×10〜約1×1010CFU
であってもよく、別の例では約1×10〜約1×1010CFUであってもよい。
【0092】
特定の実施形態において、組成物は、組成物の重量1gあたり約1×10〜約1×1011CFUの量の細菌株を含有し、例えば約1×10〜約1×1010CFU/gの量の細菌株を含む。用量は、例えば、1g、3g、5g、及び10gであってもよい。
【0093】
典型的には、プロバイオティック、例えば本発明の組成物を、少なくとも1つの好適なプレバイオティック化合物と組み合わせてもよい。プレバイオティック化合物は通常、オリゴ糖若しくは多糖などの消化できない炭水化物、又は上部消化管で分解若しくは吸収されない糖アルコールである。公知のプレバイオティクスとしては、市販の製品、例えばイヌリン及びトランスガラクトオリゴ糖が挙げられる。
【0094】
特定の実施形態において、本発明のプロバイオティック組成物は、プレバイオティック化合物を、組成物の全重量に対して約1〜約30重量%(例えば、5〜20重量%)の量で含む。炭水化物は、フラクトオリゴ糖(又はFOS、fructo-oligosaccharides)、短
鎖フラクトオリゴ糖、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ペクチン、キシロオリゴ糖(又はXOS、xylo-oligosaccharides)、キトサンオリゴ糖(又はCOS、chitosan-oligosaccharides)、ベータグルカン、アレイブル(arable)ゴム改変レジスタントスターチ、ポリデキストロース、D−タガトース、アカシアファイバー、キャロブ、オート麦、及びシトラスファイバーからなる群から選択されうる。1つの態様において、プレバイオティクスは、短鎖フラクトオリゴ糖(本明細書において単純にするために、以降FOSs−c.c(short-chain fructo-oligosaccharide)として示す)であり、前記FOSs−c.cは、消化されない炭水化物であり、一般的にはビートシュガーの変換によって得られ、3つのグルコース分子が結合しているサッカロース分子を含む。
【0095】
本発明の組成物は、薬学的に許容される賦形剤又は担体を含んでもよい。そのような好適な賦形剤の例は、参考文献Handbook of Pharmaceutical Excipients, 2nd Edition, (1994), Edited by A Wade and PJ Wellerに見出されうる。治療での使用のために許容可能な担体又は希釈剤は、薬学分野において周知であり、例えば、参考文献Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)に記載されて
いる。好適な担体の例としては、ラクトース、スターチ、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。好適な希釈剤の例には、エタノール、グリセロール、及び水が挙げられる。薬学的担体、賦形剤、又は希釈剤の選択は、意図される投与経路及び標準的な薬学の実践に関して選択することができる。医薬組成物は、担体、賦形剤、若しくは希釈剤として、又は担体、賦形剤、若しくは希釈剤に加えて、いかなる好適な結合剤、潤滑剤、懸濁剤、コーティング剤、可溶化剤を含んでもよい。好適な結合剤の例としては、スターチ、ゼラチン、天然の糖、例えばグルコース、無水乳糖、流動性乳糖、ベータ乳糖、コーンシロップなど、天然及び合成ゴム、例えばアカシア、トラガカントなど、又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース及びポリエチレングリコールが挙げられる。好適な潤滑剤の例としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。保存剤、安定剤、色素、及び香味料も医薬組成物中に提供されてもよい。保存剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。抗酸化剤及び懸濁剤も同様に使用してもよい。
【0096】
本発明の組成物は、食品として処方されてもよい。例えば、食品は、例えば栄養サプリメントのように、本発明の治療効果に加えて、栄養上の利益をもたらしうる。同様に、本発明の組成物の味を向上させるように、又は医薬組成物よりむしろ一般的な食品により類似することによって消費者に組成物をより魅力的にするように、食品を処方してもよい。特定の実施形態において、本発明の組成物は乳製品として処方される。用語「乳製品」は、多様な脂肪含有量を有するいかなる液体又は半固体のミルク又は乳清ベースの製品も意
味する。乳製品は、例えば牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、スキムミルク、全乳、粉乳から還元したミルク、及び加工していない乳清、又は加工製品、例えばヨーグルト、凝固乳、カード、サワーミルク、サワー全乳、バターミルク、及び他のサワーミルク製品でありうる。別の重要な群としては、乳飲料、例えば乳清飲料、発酵乳、コンデンスミルク、幼児用又はベビーミルク;フレーバーミルク、アイスクリーム、ミルク含有食品、例えばスイーツが挙げられる。
【0097】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、1つの細菌株又は種を含有し、他のいかなる細菌株又は種も含有しない。そのような組成物は、ごく微量の又は生物学的に無関係な量の他の細菌株又は種を含んでもよい。そのような組成物は、他の生物体の種を実質的に含まない培養物であってもよい。
【0098】
本発明による使用のための組成物は、販売承認を必要としてもよく、必要としなくてもよい。
【0099】
いくつかの例において、凍結乾燥細菌株は、投与前に再構成される。いくつかの場合において、再構成は、本明細書において記述される希釈剤の使用によって行われる。
【0100】
本発明の組成物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体を含みうる。
【0101】
特定の実施形態において、本発明は、本発明の細菌株と、薬学的に許容される賦形剤、担体、又は希釈剤とを含む医薬組成物であって、細菌株が、それを必要とする対象に投与した場合に障害を治療するために十分な量で存在し、障害が、喘息、アレルギー性喘息、好中球性喘息、変形性関節症、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎、視神経脊髄炎(デビック病)、強直性脊椎炎、脊椎関節炎、全身性紅斑性狼瘡、セリアック病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がん、乳がん、結腸がん、肺がん、卵巣がん、ブドウ膜炎、強膜炎、血管炎、ベーチェット病、アテローム性動脈硬化症、アトピー性皮膚炎、肺気腫、歯周炎、アレルギー性鼻炎、及び同種異系移植片拒絶からなる群から選択される、医薬組成物を提供する。
【0102】
特定の実施形態において、本発明は、本発明の細菌株と、薬学的に許容される賦形剤、担体、又は希釈剤とを含む医薬組成物であって、細菌株が、IL−17又はTh17経路によって媒介される疾患又は状態を治療又は予防するために十分な量で存在する、医薬組成物を提供する。好ましい実施形態において、前記疾患又は状態は、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、喘息、アレルギー性喘息、好中球性喘息、変形性関節症、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎、視神経脊髄炎(デビック病)、強直性脊椎炎、脊椎関節炎、全身性紅斑性狼瘡、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がん、乳がん、結腸がん、肺がん、卵巣がん、ブドウ膜炎、強膜炎、血管炎、ベーチェット病、アテローム性動脈硬化症、アトピー性皮膚炎、肺気腫、歯周炎、アレルギー性鼻炎、及び同種異系移植片拒絶からなる群から選択される。
【0103】
特定の実施形態において、本発明は、細菌株の量が、組成物の重量1グラムあたり約1×10〜約1×1011コロニー形成単位である、上記医薬組成物を提供する。
【0104】
特定の実施形態において、本発明は、1g、3g、5g又は10gの用量で投与される、上記医薬組成物を提供する。
【0105】
特定の実施形態において、本発明は、経口、直腸内、皮下、鼻腔内、口腔内、及び舌下からなる群から選択される方法によって投与される、上記医薬組成物を提供する。
【0106】
特定の実施形態において、本発明は、乳糖、スターチ、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、及びソルビトールからなる群から選択される担体を含む、上記医薬組成物を提供する。
【0107】
特定の実施形態において、本発明は、エタノール、グリセロール、及び水からなる群から選択される希釈剤を含む、上記医薬組成物を提供する。
【0108】
特定の実施形態において、本発明は、スターチ、ゼラチン、グルコース、無水乳糖、流動性乳糖、ベータ乳糖、コーンシロップ、アカシア、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムからなる群から選択される賦形剤を含む、上記医薬組成物を提供する。
【0109】
特定の実施形態において、本発明は、保存剤、抗酸化剤、及び安定剤の少なくとも1つをさらに含む、上記医薬組成物を提供する。
【0110】
特定の実施形態において、本発明は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルからなる群から選択される保存剤を含む、上記医薬組成物を提供する。
【0111】
特定の実施形態において、本発明は、前記細菌株が凍結乾燥されている、上記医薬組成物を提供する。
【0112】
特定の実施形態において、本発明は、組成物を密封容器中で約4℃又は約25℃で保存して、容器を相対湿度50%の雰囲気中に置いた場合に、コロニー形成単位として測定した細菌株の少なくとも80%が少なくとも約1か月、3か月、6か月、1年、1.5年、2年、2.5年、又は3年の期間残っている、上記医薬組成物を提供する。
【0113】
培養方法
本発明に使用するための細菌株は、例えば参考文献Handbook of Microbiological Media, Fourth Edition (2010) Ronald Atlas, CRC Press、Maintaining Cultures for Biotechnology and Industry (1996) Jennie C. Hunter-Cevera, Academic Press、Strobel (2009) Methods Mol Biol. 581:247-61に詳述されている標準的な微生物学の技術を使用し
て培養することができる。
【0114】
培養のために使用される固体又は液体培地は、YCFA寒天又はYCFA培地であってもよい。YCFA培地は、(100mlあたり、概算値)カシトン(1.0g)、酵母抽出物(0.25g)、NaHCO(0.4g)、システイン(0.1g)、KHPO(0.045g)、KHPO(0.045g)、NaCl(0.09g)、(NHSO(0.09g)、MgSO・7HO(0.009g)、CaCl(0.009g)、レサズリン(0.1mg)、ヘミン(1mg)、ビオチン(1μg)、コバラミン(1μg)、p−アミノ安息香酸(3μg)、フォリン酸(5μg)、及びピリドキサミン(15μg)を含みうる。
【0115】
ワクチン組成物に使用するための細菌株
本発明者らは、本発明の細菌株がIL−17又はTh17経路によって媒介される疾患又は状態を治療又は予防するために有用であることを特定した。これは、おそらく、本発明の細菌株が宿主免疫系に効果を及ぼした結果である。したがって、本発明の組成物は、また、ワクチン組成物として投与した場合に、IL−17又はTh17経路によって媒介
される疾患又は状態を予防するためにも有用でありうる。特定のそのような実施形態において、本発明の細菌株を、殺滅、不活化、又は弱毒化させてもよい。特定のそのような実施形態において、組成物は、ワクチンアジュバントを含んでもよい。特定の実施形態において、組成物は、注射による投与、例えば皮下注射による投与用である。
【0116】
全般
本発明の実践は、特に示されていなければ、当業者の能力範囲内である化学、生化学、分子生物学、免疫学、及び薬理学の通常の方法を使用する。そのような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、参考文献Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy. 20th edition, ISBN: 0683306472及びMolecular Biology Techniques: An Intensive Laboratory Course, (Ream et al., eds., 1998, Academic Press)、Methods In Enzymology (S. Colowick and N. Kaplan, eds., Academic Press, Inc.)、Handbook of Experimental Immunology, Vols. I IV (D.M. Weir and C.C. Blackwell, eds, 1986, Blackwell Scientific Publications)、Sambrook et al. (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition (Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Handbook of Surface and Colloidal Chemistry (Birdi, K.S. ed., CRC Press, 1997)、Ausubel et al. (eds) (2002) Short protocols in molecular biology, 5th edition (Current Protocols)、PCR (Introduction to Biotechniques Series), 2nd ed. (Newton & Graham eds., 1997, Springer Verlag)等を参照されたい。
【0117】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」並びに「からなる」を包含し
、例えばX「を含む」組成物は、Xのみからなってもよく、又は追加のもの、例えばX+Yを含んでもよい。
【0118】
数値xに関連する用語「約」は、任意であり、例えばx±10%を意味する。
【0119】
用語「実質的に」は、「完全に」を除外せず、例えばYを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくてもよい。必要に応じて、用語「実質的に」を、本発明の定義から省略してもよい。
【0120】
2つのヌクレオチド配列間のパーセント配列同一性に対する言及は、整列させた場合に、2つの配列の比較においてヌクレオチドのパーセントが同じであることを意味する。このアラインメント及びパーセント相同性又は配列同一性は、当技術分野で公知のソフトウェアプログラム、例えば参考文献Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel et al., eds., 1987) Supplement 30の7.7.18章に記載のプログラムを使用して決定することができる。好ましいアラインメントは、ギャップオープンペナルティ12及びギャップ伸長ペナルティ2、BLOSUM行列62と共にアフィンギャップ検索を使用するSmith-Watermanの相同性検索アルゴリズムによって決定される。Smith-Watermanの相同性検索アルゴリズムは、参考文献Smith & Waterman (1981) Adv. Appl. Math. 2: 482-489に開示される。
【0121】
具体的に示していなければ、多数のステップを含む工程又は方法は、方法の開始若しくは終了時に追加のステップを含んでもよく、又は追加の介在ステップを含んでもよい。同様に、必要に応じて、ステップを結合、省略、又は別の順序で行ってもよい。
【0122】
本発明の多様な実施形態を本明細書において記述する。それぞれの実施形態において明記された特徴を他の明記された特徴と結びつけて、さらなる実施形態を提供してもよいと認識される。特に、本明細書において好適である、典型である、又は好ましいと強調された実施形態を互いに組み合わせてもよい(相互に排他的である場合を除く)。
【実施例1】
【0123】
チリダニによる喘息のマウスモデルにおける細菌接種物の有効性
概要
マウスに、本発明による細菌株を含む組成物を投与して、次いでチリダニ(HDM,house dust mite)抽出物をチャレンジして、アレルギー性炎症応答を誘発した。HDMに
対する炎症応答は、好酸球及び好中球成分を含み、IL−17及びTh17経路によって媒介され、喘息のモデルである。本発明の組成物によって処置したマウスが示した炎症応答の程度及び特徴を対照群と比較した。本発明の組成物は、炎症応答を軽減させて、好酸球及び好中球の動員を低減させることが見出され、このことは、本発明の組成物が、IL−17及びTh17媒介疾患、例えば好酸球増加、好中球増加、及び喘息を処置するために有用でありうることを示している。
【0124】

433:ロゼブリア・ホミニス
【0125】
試験計画
群:
1.陰性対照群。媒体対照による処置(経口投与)
2.治療用細菌接種株433による処置(経口投与)
7.陽性対照群。デキサメタゾンによる処置(腹腔内投与)
8.無処置対照群
1群当たりのマウスの数=5
−14〜13日目:媒体対照を毎日経口投与(群1)
−14〜13日目:治療用細菌接種物を毎日経口投与(群2〜6)
0、2、4、7、9、11日目:容量30μlのPBS中のHDM(チリダニ抽出物−カタログ番号:XPB70D3A25、ロット番号:231897、Greer Laboratories社製、Lenoir, NC, USA)15μgを鼻腔内投与(群1〜8)
0、2、4、7、9、11日目:デキサメタゾンの投与(腹腔内投与、3mg/kg、Sigma-Aldrich社製、カタログ番号D1159)(群7)
14日目:分析のため全ての動物の屠殺。
マウスの総数=40
【0126】
エンドポイント及び分析
14日目に、動物を致死量のペントバルビタール(Streuli Pharma AG社製、Uznach、
カタログ番号:1170139A)の腹腔内注射により屠殺した直後に気管支肺胞洗浄(BAL,bronchoalveolar lavage)を行った。
【0127】
細胞をBAL(気管支肺胞洗浄)液から単離して、白血球百分率を決定した(細胞数200個/試料)。
【0128】
材料及び方法
マウス。雌性7週齢BALB/cマウスをCharles River Laboratoriesから購入して、1ケージあたり全5匹ずつ無作為にケージ(換気ケージ、Indulab AG社製、Gams, Switzerland、ケージタイプ:“The Sealsafe(商標)−IVCケージ。製品番号
1248L)に割付した。ケージには、試験番号、群番号、及び実験開始日のラベルを貼った。マウスを毎週モニターして、試験開始(試験日−14日)前7日間、施設に馴化させた。試験日−14日目で、動物は8週齢であった。飲料水及び食事を自由に与えた。ケージエンリッチメントが存在した。動物の毎日の世話は、地域当局の承認番号2283.1(Service de la consommation et des affaires veterinaires du Canton de Vaudに
よる発行及び承認)に従って実施した。飲料水及び食事を自由に与え、1日1回交換した
。ケージエンリッチメントが存在した。実験動物の飼育、遺伝子改変動物の作製、及び動物実験法に関するFVO(スイス連邦獣医局(Federal Veterinary Office))の法令4
55.163の下で、スイスの当局によって示された動物福祉規則を遵守した。
【0129】
細菌接種物の培養。無菌的ワークステーション内で、細菌の凍結バイアルを、手袋をはめた手で加温することによって融解して、内容物約0.7mlを、嫌気性YCFA8mlを含有するHungateチューブ(カタログ番号、1020471、Glasgeratebau Ochs社製
、Bovenden-Lenglern, Germany)に注入した。通常、株あたり2本のチューブを調製した。次いで、Hungateチューブを37℃で最大24〜26時間(株433に関して)インキ
ュベート(静置)した。
【0130】
媒体対照の培養。嫌気性YCFA8mlを含有するHungateチューブを37℃で16時
間インキュベート(静置)した。
【0131】
細菌接種物又は媒体対照の投与。培養した細菌接種物又は媒体対照400μlを強制経口投与によって毎日投与した。
【0132】
鼻腔内感作。マウスを、9.75mg/kgのキシラソール及び48.75mg/kgのケタソール(Dr. E. Graeub AG社製、Bern, Switzerland)の腹腔内注射によって麻酔
し、鼻腔当たり容量30μlのPBS中のHDM(カタログ番号:XPB70D3A25、ロット番号:231897、Greer Laboratories社製、Lenoir, NC, USA)15μgを
投与した。
【0133】
陽性対照化合物であるデキサメタゾンの調製及び投与。デキサメタゾン−21−リン酸二ナトリウム塩(Sigma-Aldrich社製、カタログ番号D1159、ロット番号SLBD.
1030V)をHOに溶解して、上記の試験プロトコールに記載した日に3mg/kgの用量を200μlの容量で動物に経口投与した。
【0134】
終了手順。14日目に、動物を致死量のペントバルビタール(Streuli Pharma AG社製
、Uznach、カタログ番号:1170139A)の腹腔内注射により屠殺した直後に食塩水500μlによって気管支肺胞洗浄(BAL)を行った。
【0135】
BALへの細胞浸潤の測定。BAL液から細胞を単離して、標準的な形態学及び細胞化学の基準に基づいて、白血球百分率を決定した。
【0136】
グラフ及び統計分析。グラフは全てGraphpad Prismバージョン6によって作製し、一元配置ANOVAを適用した。統計分析の結果を個々のデータ表と共に提供した。エラーバーは、平均値の標準誤差(SEM,Standard Error of the Mean)を表す。
【0137】
結果及び分析
実験結果を図1〜9に示す。
【0138】
細菌又は媒体で処置したマウスにおいて病的状態又は死亡は認められなかった。2つの対照、すなわち媒体処置(陰性対照)及びデキサメタゾン処置(陽性対照)は、予想通りの結果を示し、デキサメタゾン処置後に好酸球増加及び好中球増加の減少が認められた。
【0139】
株433は、アレルギー性炎症応答の程度を軽減するために有効であった。図2及び3に示すように、株433の投与によって、BAL中の好酸球の総数及び好酸球の割合は低減し、このことは好酸球増加の低減を示している。さらに、株433の投与によって、図6及び7に示すように、媒体のみの対照と比較してBAL中の好中球の総数及び好中球の
割合の統計学的に有意な低減が起こった。
【実施例2】
【0140】
重度の好中球性喘息のマウスモデルにおける細菌接種物の有効性
概要
マウスに、本発明による細菌株を含む組成物を投与して、次いでチリダニ(HDM)抽出物の皮下投与によって感作し、鼻腔内投与によりHDMをチャレンジして、重度の好中球性喘息の炎症応答のモデルとした。本発明の組成物で処置したマウスが示した炎症応答の程度及び特徴を対照群と比較した。本発明の組成物は、抗IL−17抗体の投与を含む陽性対照と同等に炎症応答を軽減させて、特に好中球の動員を低減させることが見出された。したがって、データは、本発明の組成物がIL−17及びTh17媒介状態、例えば好中球増加及び喘息を処置するために有用でありうることを示している。
【0141】

433:ロゼブリア・ホミニス
【0142】
試験計画
群:
1.陰性対照群、媒体対照による処置(経口投与)
2.治療用細菌接種株433による処置(経口投与)
7.陽性対照群。抗IL−17による処置(腹腔内投与)
8.無処置対照群
9.健康なマウス(ベースライン)
1群当たりのマウスの数(群1〜8)=5
−14〜17日目:媒体対照を毎日経口投与(群1)
−14〜17日目:治療用細菌接種物を毎日経口投与(群2〜6)
0日目:CFAと混合したHDMによる感作(皮下投与)(群1〜8)
7日目:CFAと混合したHDMによる感作(皮下投与)(群1〜8)
13、15、17日目:抗IL−17中和抗体の腹腔内投与(群7)
14、15、16、17日目:鼻腔当たり30μlのPBS中のHDMをチャレンジ(群1〜8)
18日目:分析のため全ての動物の屠殺。
【0143】
エンドポイント及び分析
14日目に、動物を致死量のペントバルビタール(Streuli Pharma AG社製、Uznach、
カタログ番号:1170139A)の腹腔内注射により屠殺した直後に気管支肺胞洗浄(BAL)を行った。細胞をBAL液から単離して、白血球百分率を決定した(細胞数200個/試料)。
【0144】
材料及び方法
マウス。雌性7週齢C57BL/6マウスをCharles River Laboratoriesから購入して、1ケージあたり全5匹ずつ無作為にケージ(換気ケージ、Indulab AG社製、Gams, Switzerland、ケージタイプ:“The Sealsafe(商標)−IVCケージ。製品番
号1248L)に割付した。ケージには、試験番号、群番号、及び実験開始日のラベルを貼った。マウスを毎週モニターして、試験開始(試験日−14日)前7日間、施設に馴化させた。試験日−14日目で、動物は8週齢であった。飲料水及び食事を自由に与えた。ケージエンリッチメントが存在した。動物の毎日の世話は、地域当局の承認番号2283.1(Service de la consommation et des affaires veterinaires du Canton de Vaud
による発行及び承認)に従って実施した。飲料水及び食事を自由に与え、1日1回交換した。ケージエンリッチメントが存在した。実験動物の飼育、遺伝子改変動物の作製、及び
動物実験法に関するFVO(スイス連邦獣医局)の法令455.163の下で、スイスの当局によって示された動物福祉規則を遵守した。
【0145】
細菌接種物の培養。無菌的ワークステーション内で、細菌の凍結バイアルを、手袋をはめた手で加温することによって融解して、内容物約0.7mlを、嫌気性YCFA8mlを含有するHungateチューブ(カタログ番号、1020471、Glasgeratebau Ochs社製
、Bovenden-Lenglern, Germany)に注入した。通常、株あたり2本のチューブを調製した。次いで、Hungateチューブを37℃で最大24〜26時間(株433に関して)インキ
ュベート(静置)した。
【0146】
媒体対照の培養。嫌気性YCFA8mlを含有するHungateチューブを37℃で16時
間インキュベート(静置)した。
【0147】
細菌接種物又は媒体対照の投与。培養した細菌接種物又は媒体対照400μlを強制経口投与によって毎日投与した。
【0148】
HDMの感作。PBS中のHDM(カタログ番号:XPB70D3A25、ロット番号:231897、Greer Laboratories社製、Lenoir, NC, USA)50μgを、フロイント
完全アジュバント(CFA(complete Freund’s adjuvant)、Chondrex Inc社製、Washington, USA)の等量と共に乳化させて、200μlの容量を反対側の脇腹に2週間の間に2回皮下投与した。2回目の免疫の1週間後に、マウスを、9.75mg/kgのキシラソール及び48.75mg/kgのケタソール(Dr. E. Graeub AG社製、Bern, Switzerland)の腹腔内注射によって麻酔して、容量30μlのPBS中のHDM15μgを4日
連続して鼻腔内にチャレンジした。最終チャレンジの1日後に分析を行った。
【0149】
陽性対照化合物である抗マウスIL−17抗体の調製及び投与。抗IL−17中和抗体をBio X Cell社から購入して、4℃で保存し(クローン17F3、カタログ番号BE0173、Bio X Cell社製)、上記の試験プロトコールに記載した日に12.5mg/kgの用量を動物に腹腔内投与した。
【0150】
終了手順。18日目に、動物を致死量のペントバルビタール(Streuli Pharma AG社製
、Uznach、カタログ番号:1170139A)の腹腔内注射により屠殺した直後に食塩水500μlによって気管支肺胞洗浄(BAL)を行った。
【0151】
BALへの細胞浸潤の測定。BAL液から細胞を単離して、標準的な形態学及び細胞化学の基準に基づいて、白血球百分率を決定した。
【0152】
グラフ及び統計分析。グラフは全てGraphpad Prismバージョン6によって作製し、一元配置ANOVAを適用した。統計分析の結果を個々のデータ表と共に提供した。エラーバーは、平均値の標準誤差(SEM)を表す。
【0153】
結果及び分析
実験結果を図10〜18に示す。
【0154】
細菌又は媒体で処置したマウスにおいて病的状態又は死亡は認められなかった。図11、12、15、及び16に示すように、株433によって処置した特定のマウスは、好酸球増加及び好中球増加の低減を示した。
【実施例3】
【0155】
II型コラーゲン誘発関節炎マウスモデルにおける関節炎を処置するための細菌接種物の有
効性
材料及び方法

433:ロゼブリア・ホミニス
【0156】
細菌培養
細菌培養物を、嫌気性のワークステーション(Don Whitley Scientific社製)の中で投与のために増殖させた。
【0157】
細菌株#433を、グリセロール保存株から増殖させた。グリセロール保存株を−80℃で保存した。1週間に3回、グリセロール保存株を室温で融解して、YCFAプレートで画線培養した。新しいグリセロールアリコートをそれぞれの場合に使用した。細菌を所定のプレートにおいて最大72時間増殖させた。
【0158】
動物に投与する溶液を1日2回、8時間間隔で午前(AM)と午後(PM)の処置のために調製した。画線培養したプレートから細菌コロニーを取り上げて、YCFA培地を含有するチューブに移した。細菌株#433を24時間増殖させた後、午前の投与を行った。午後の投与のために、細菌をYCFA培地に1%で継代培養した。午前及び午後の処置の調製後に、それぞれの株に関してOD値を記録した。
【0159】
II型コラーゲン誘発関節炎マウスモデル
成体雄性DBA/1マウスを実験群に無作為に割付して、2週間馴化させた。0日目に、動物に、4mg/mlヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)H37Raを補充したフロイント不完全アジュバント中にII型コラーゲン(CII,type II collagen)100マイクログラムを含有する乳剤100マイクロリットルを皮下注射によって投与した。21日目に、動物に、フロイント不完全アジュバント中にII型コラーゲン100μを含有する追加免疫用の乳剤を皮下注射によって投与した。
【0160】
以下の投与スケジュールに従って処置を行った。−14日から45日目の実験終了時まで、動物の体重を1週間に3回測定した。21日目から実験終了まで、動物を、後肢及び前肢の腫脹、橈骨手根(手首)関節の腫脹、及び脛骨足根骨(足首)関節の腫脹を含む関節炎の臨床兆候に関して週に3回スコア化した。
【0161】
45日目に、マウスを間引いて、最終血液試料をサイトカイン分析のために採取した。
【0162】
−14日目、0日目、及び45日目に、便試料を微生物学的分析のために収集して、直ちに急速凍結して、−80℃で保存した。
【0163】
コラーゲン誘発関節炎(CIA,collagen-induced arthritis)マウスモデルは、関節リウマチの十分に確立されたマウスモデルである(Brand et al. (2007) Nature Protocols. 2(5):1269-1275)。CIIによる免疫は、滑膜過形成、単核球浸潤、及び軟骨破壊を含む、関節リウマチのいくつかの重要な病理学的特徴を含む病原性を引き起こす。重要なことに、CIAの発症は、IL−17Aの分泌を通してTh17細胞によって媒介される(Jiao et al. (2014) Immunopathology and Infectious Diseases. 184(4):1085-93)。関節炎モデルの基礎となる免疫応答は、ヒト型結核菌を補充したフロイントアジュバントを使用することによって増強される。
【0164】
21日目に、各群の3匹のサテライト動物から脾臓を収集した。細胞をII型コラーゲンの存在下又は非存在下で72時間培養した。培養上清及び最終血清中の、TNF−α、IL−6、IFN−γ、IL−4、IL−10、及びIL−17を含むサイトカインを、Lu
minexによって定量した。細胞の増殖は、トリチウム化チミジン取り込み法を使用して定
量した。
【0165】
処置群及び用量
全ての群はn=15(主な試験群に関してn=12、サテライト群に関してn=3)であった。
【0166】
生物治療薬のために使用される媒体は、酵母抽出物−カシトン−脂肪酸(YCFA、Yeast extract-Casitone-Fatty Acid)培地であった。
【0167】
【表1】
【0168】
体重
−14日目から実験終了まで、動物の体重を週に3回測定した。データをグラフにした(平均値±SEM)。
【0169】
非特異的臨床所見
−14日目から実験終了まで、動物を、異常な姿勢(丸くなる)、異常な被毛の状態(立毛)、及び異常な活動レベル(活動の低減又は増加)を含む、非特異的臨床兆候に関して毎日チェックした。
【0170】
臨床所見
21日目から45日目の実験終了まで、動物を、後肢及び前肢の腫脹、橈骨手根(手首)関節の腫脹、及び脛骨足根骨(足首)関節の腫脹を含む関節炎の臨床兆候に関して週に3回スコア化した。各脚を以下の尺度を使用してスコア化した:(0)正常、(1)わずかに腫脹、(2)軽度の腫脹、(3)中等度の腫脹、及び(4)重度の腫脹。それぞれの脚スコアを加算することにより臨床スコアを計算した。1匹の動物に関して可能性がある最大臨床スコアは(16)であった。2回連続して(12)に等しいスコアを有する動物、及びいずれか1回の折に(12)より大きいスコアを有する動物を間引いた。データをグラフにした(平均値±SEM)。
【0171】
細胞増殖の分析
21日目に、1群あたり3匹のサテライト動物を間引いて脾臓を摘出した。脾細胞をII型コラーゲンの存在下又は非存在下で72時間培養した。72時間後、細胞をトリチウム化チミジンの存在下で一晩パルスした。チミジンの取り込みを測定することによって、細
胞の増殖を定量した。データをグラフにした(平均値±SEM)。上清を採取して、重要なサイトカインの存在に関して試験した。
【0172】
サイトカインの分析
脾細胞培養物からの最終上清を、LuminexによってTNF−α、IL−6、IFN−γ
、IL−4、IL−10、及びIL−17を定量するために試験した。データをグラフにした(平均値±SEM)。
【0173】
微生物学的分析
−14日目、0日目、及び45日目に、便試料を各動物から収集して、直後に急速凍結して、−80℃で保存した。盲腸(内容物を含む)を直ちに急速凍結して、−80℃で保存した。細菌を播くことによって、細菌同定試験を毎日実施した。
【0174】
組織病理学
実験の終了時に、後肢を組織固定液で保存した。試料を脱灰液に移した。組織試料を処理して切片にして、ヘマトキシリン・エオシンで染色した。試験計画に対して盲検の適任の組織病理学者が、炎症、関節軟骨損傷、及び下層の骨幹端骨損傷を含む、関節炎の兆候に関して切片をスコア化した。詳細なスコア化システムを使用した(以下を参照されたい)。データをグラフにした(平均値±SEM)。生データ及び分析したデータも同様に代表的な写真と共に提供した。
【0175】
【表2】
【0176】
結果及び分析
生存及び非特異的臨床所見
一部の動物は、関節炎の臨床兆候の重症度により、又は非特異的臨床所見の重症度により、試験の予定終了前に間引いた。
【0177】
処置前期間(−14〜0日目)に、動物2匹を間引いたか又はそれらが死亡しているのが発見された:群1(媒体処置、供給元から到着時に脚が骨折していた動物を屠殺した)の動物1匹及び群6(生物治療薬#433による処置)の動物1匹。
【0178】
動物10匹を、関節炎の臨床兆候の重症度により間引いた:群1(媒体処置)の動物5匹及び群6(生物治療薬#433による処置)の動物5匹。
【0179】
動物4匹を、異常な姿勢(丸くなる)、異常な被毛の状態(立毛)、異常な活動レベル(活動の低減)を含む、非特異的臨床兆候の重症度により間引いた:群1(媒体処置)の動物3匹及び群6(生物治療薬#433による処置)の動物1匹。
【0180】
体重
体重データを−14日目から0日目まで記録して、初回(−14日)の体重のパーセントとして表記して、二元配置ANOVAの後に、−14日目との多重比較、次いで媒体処置群との多重比較のためにダネット事後検定によって分析した。データを図19に示す。実験の予定終了日以前に間引いた動物からのデータを分析から除外した。
【0181】
−14日目と比較すると、1日2回の強制経口投与は、−9日目及び−7日目で媒体処置群において有意な体重減少を誘導した。
【0182】
体重データを0日目から28日目まで記録して、初回(0日目)の体重のパーセントとして表記して、二元配置ANOVAの後に、媒体群の0日目との多重比較、次いで媒体処置群との多重比較のためにダネット事後検定によって分析した。データを図20に示す。実験の予定終了日以前に間引いた動物及びサテライト動物からのデータを分析から除外した。28日目、35日目、及び42日目のデータを、一元配置ANOVAの後に媒体処置群との多重比較のためにダネット事後検定によってさらに分析した。
【0183】
関節炎の臨床兆候の発生は、媒体処置群の0日目と比較して26日目及び28日目(pは0.0001未満)で有意に体重が減少したことに関連した。
【0184】
臨床所見
臨床スコアデータを二元配置ANOVAの後、媒体処置群における日毎の多重比較のために、次いでそれぞれの日の実験群と媒体処置群の間の多重比較のためにダネット事後検定によって分析した。データを図21に示す。実験終了前に間引いた動物から記録されたデータを分析から除外した。関節炎の臨床兆候の重症度により動物を間引いた場合、最後に記録されたスコアを、翌日に報告して、統計分析に使用した。
【0185】
臨床スコアの有意な増加は、媒体処置群において、21日目と比較して28日目〜45日目(pは0.0001未満)まで観察された。
【0186】
生物治療薬#433は、28日目から45日目まで媒体対照群と比較して臨床スコアの低減を誘導したが、その差は有意ではなかった。
【0187】
細胞増殖の分析
アッセイを検証するために、脾細胞を、陽性対照刺激として可溶性抗CD3及び抗CD28(抗CD3/CD28)の存在下で培養して、細胞の増殖能を確認した。
【0188】
抗CD3/CD28に対する強い増殖応答が、全ての実験群で観察され、細胞が健康で生存しており、活性化シグナルに応答可能であることを示した。
【0189】
II型コラーゲン(CII)の存在下での増殖応答を試験するために、脾細胞を、50μg/mlのCIIの存在下で培養した。CIIに対する脾細胞の増殖応答を、二元配置ANOVAの後、非刺激脾細胞とCII刺激脾細胞の間の多重比較のためにサイダック事後検定によって、及び一元配置ANOVAの後に、異なる実験群と媒体処置群とのCII刺激応答の比較のためにダネット事後検定によって分析した。データを図22に示す。
【0190】
CIIは、媒体処置群における非刺激脾細胞と比較するとH−チミジン取り込み(cpm)の非常に有意な増加を誘導した(pは0.0001未満)。
【0191】
生物治療薬#433で処置した群は、媒体処置群より有意に低いレベルのCII誘導脾細
胞増殖を証明した。
【0192】
組織培養上清中のサイトカインレベル
抗CD3/CD28刺激培養に由来する組織培養上清中のそれぞれのサイトカインのレベルを、luminex分析によって測定した。これらは、測定した全てのサイトカインに関し
て強い応答を示した(媒体群における平均レベルは以下の通りであった:IL−4=6,406pg/ml;IL−6=306pg/ml;IL−10=10,987pg/ml;IL−17A=11,447pg/ml;IFN−γ=15,581pg/ml;TNF−α=76pg/ml)。
【0193】
以下の章は、II型コラーゲン刺激培養物から得られたデータを要約する。該当する場合、非刺激脾細胞及びCII刺激脾細胞の上清中のサイトカインレベルの差の統計分析を、二元配置ANOVAの後に多重比較のためにサイダック事後検定を使用して行ったが、生物治療薬処置群と媒体処置群におけるCII刺激応答の比較のためには、一元配置ANOVAの後のダネット事後検定を使用した。いずれの場合にも群の間でサイトカインレベルに有意差はなかった。これはおそらく使用した母集団のサイズ(n=3)が小さいためである。
【0194】
データの実質的な拡散を有するサイトカインに関するデータの分布をより正確に提示するために、これらを散布図として表す。
【0195】
CIIによる刺激後の組織培養上清中のIL−4の群平均値は5pg/ml未満であった。これらは生物学的に有意ではないと考えられ、本明細書に含まなかった。コラーゲンによる刺激後の組織培養上清中のTNF−αの群平均値は、定量限界未満であった。
【0196】
IFN−γの上清中レベル(図23
IL−17と共に、IFN−γは、CIAモデルにおいて疾患を駆動する主要なサイトカインである。図23における散布図は、CII刺激後のIFN−γレベルを実証しており、群の中央値は、生物治療薬と比較して媒体処置群ではより高かった。
【0197】
IL−17Aの上清中レベル(図24
IL−17Aのレベルは、媒体処置群に関してCII刺激培養において50pg/mlであった。このサイトカインのレベルは、媒体処置群と比較して生物治療薬群ではより低いように思われた。
【0198】
IL−10の上清中レベル(図25
媒体処置群におけるIL−10のレベルはCII刺激及び培地対照培養に関してそれぞれ、13pg/ml及び2.1pg/mlであった。炎症及び炎症促進性サイトカインの誘導は抗炎症フィードバック機構を伴いうることから、媒体処置群ではより高レベルのIL−10(抗炎症性サイトカインである)が予想されうる。
【0199】
IL−6の上清中レベル(図26
炎症性サイトカイン、例えばIL−6及びTNF−αは、典型的には、抗CII培養において高レベルで産生されない。しかし、それらのレベルは、免疫調節の結果として変化しうる。CII刺激培養におけるIL−6のレベルは控えめであり、10pg/mlに達した。培地対照培養より高いものの、これらの差は、小さすぎて統計分析を行うための論理的根拠を提供できなかった。
【0200】
微生物学的分析
細菌の増殖は、分光光度計を使用して600nmでの光学密度を測定することによって
、確認した。細菌の同一性は、画線培養したプレートの写真を参照写真と比較することによって確認した。
【0201】
細菌調製法を改善した後、測定された高いOD値によって示されるように、一貫して高用量の細菌株を−2日目及び−3日目に投与した。
【0202】
便試料を収集して、−14日目、0日目及び終了時に急速凍結した。
【0203】
組織病理学
組織病理学の結果を図65〜69に示す。このモデルに関して予想されるように、関節炎の有無又は存在する変化の重症度に関して個体内及び個体間変動が観察された。
【0204】
病態の性質はこのモデルに関して予想された通りであり、関節周囲軟組織(筋肉、脂肪組織、皮膚コラーゲン)を巻き込むように広がる滑膜及び滑液包の広範な混合型の慢性活動型炎症が認められた。最も重度の罹患関節では、関節内壊死組織片を伴う関節軟骨の変性及び喪失、並びに線維症及び炎症による関節及び骨構造の炎症及び破壊が認められた。
【0205】
組織病理学的変化の発生率は:媒体−80%(16/20);生物治療薬#433−55%(12/22)であった。生物治療薬#433による処置は、媒体処置群と比較してマウス後肢の組織病理学スコアの発生率を低減させた(図65〜68を参照されたい)。組織病理学スコアは、ノンパラメトリックデータに関する一元配置ANOVA(Kruskal-Wallis検定)の後に、媒体処置群との多重比較に関するDunnの事後検定によって分析したが、生物治療薬#433によってもたらされた低減はこの分析において統計学的に有意ではなかった。生物治療薬#433は、媒体処置群と比較して組織病理学で観察された関節炎症スコアの低減を誘導した。生物治療薬#433は、媒体処置群と比較して組織病理学で観察された軟骨損傷スコアの低減を誘導した。生物治療薬#433は、媒体処置群と比較して組織病理学で観察された骨損傷スコアの低減を誘導した。生物治療薬#433は、媒体処置群と比較して総組織病理学スコアの低減を誘導した。
【0206】
要約
臨床スコアの増加は、DBA/1マウスにおけるこの関節炎モデルにおいて予想されたように、II型コラーゲンの最初の投与後28日目から観察された。生物治療薬#433は、このモデルの関節炎を処置するために有効であることが示された。生物治療薬#433は、組織病理学的分析において証明されたように、臨床スコアの重症度を低減させるため、及び関節における病理学的疾患を低減させるために有効であった。
【0207】
II型コラーゲンに対する増殖性の記憶応答が、全ての実験群の脾細胞培養物において認められた。生物治療薬#433による処置後では、コラーゲン特異的応答が有意に低減された(群5)。
【0208】
試験したT細胞サイトカインの多くが、媒体処置群においてII型コラーゲン刺激と培地対照との間で検出可能な増加を示した。これらの増加は、生物治療薬処置群では明白ではなかった。このことは、上記のII型コラーゲンに対する増殖性の記憶応答を広く支持している。
【0209】
このモデル及びヒトRAにおける病原性の応答であるTh1/Th17軸が抑制されている証拠が認められた。サイトカインレベルの低減と増殖の低減との相関は、免疫の調節を示唆している。この調節がTh2関連IL−4のレベルの増加に起因するのか、又は免疫調節性サイトカインであるIL−10の増加に起因するのかは証拠がない。
【実施例4】
【0210】
チリダニによる喘息のマウスモデルにおける細菌接種物の効果に関するさらなる分析
実施例1で試験したマウスにさらなる分析を行って、アレルギー性喘息の炎症応答に及ぼす本発明の組成物の効果をさらに特徴付けた。
【0211】
材料及び方法
14日目での血液抜き取り及び血清調製。動物の血液試料を心穿刺によって収集した。14000gで5分間遠心分離することによって、血液試料から血清を単離して、−20℃で保存した。
【0212】
14日目での臓器の摘出。後続の組織学的分析のために左の肺葉のコレクションをホルマリンに入れた。右肺葉(残りの全ての肺葉)のコレクション及び血清を採取して急速凍結して後続の分析を行った。残りのBAL液を後続の分析のために急速凍結した。
【0213】
血清及びBAL液中の抗体レベルの測定
BAL液及び血清中の総IgE及びチリダニ(HDM)特異的IgG1抗体産生を、ELISAアッセイによって測定した。
【0214】
肺の単離及び組織学的分析
左の肺葉をホルマリンで固定した後、パラフィンに包埋して、切片を作製し、ヘマトキシリン・エオシン及びPASで染色した。その後の組織学スコア化は以下のように盲検的に行った:試料あたり無作為な5つの視野を炎症(気管支周囲浸潤及び血管周囲浸潤)及び粘液産生に関してスコア化した。炎症性浸潤を以下のグレード化システムによってスコア化した:
0−正常
1−軽度の炎症性浸潤
2−中等度の炎症性浸潤
3−顕著な炎症性浸潤
4−重度の炎症性浸潤
5−非常に重度の炎症性浸潤
それぞれの視野において、気道のサイズを測定して、粘液細胞数/umを定量した。
【0215】
肺組織における炎症メディエータの測定
炎症メディエータの定量のために単離した右肺葉(残りの全ての肺葉)を急速凍結した後、CCL11、IFN−ガンマ、IL−1アルファ、IL−1ベータ、IL−4、IL−5、IL−9、IL−17A、CXCL1、CCL3、CXCL2、及びCCL5を、市販の多重アッセイ(Merck-Millipore社)によって測定した。分析は、製造業者の説明
書に従って実施した。
【0216】
結果及び分析
実験の結果を図27〜45に示す。
【0217】
実施例1に記述される知見を支持して、株433によって処置したマウスの肺組織における細胞浸潤の分析は、平均炎症スコアの顕著で統計学的に有意な低減を示した(図31及び33を参照されたい)。
【0218】
BAL液及び血清中の抗体レベルを分析した(図27〜30を参照されたい)。血清抗体レベルに及ぼす細菌処置の明確な効果は観察されなかった。このことは、各処置のデータの拡散及びエラーバーが大きく、陽性対照及び陰性対照が予想通りの反応を示さないように思われたことから、実験の失敗を反映する可能性がある。同様にベースラインの血清
抗体レベルが何らかの変化を隠すこともありえた。
【0219】
同様に、肺組織におけるサイトカインレベルに及ぼす細菌処置の明確な効果は観察されなかった(図35〜45を参照されたい)。この場合も、各処置のデータの広がり及びエラーバーが大きく、陽性対照及び陰性対照が予想通りの反応を示さないように思われたことから、実験の失敗を反映する可能性がある。同様に、関係する作用機序が影響を及ぼしたのがより早期のサイトカイン応答であり、そのため最後のHDM気道チャレンジの4日後でもはや検出不能であった可能性もある。現在の試験においてサイトカインデータを解釈する際には、検出されるレベルのばらつきにより、何らかの注意を払うべきである。このばらつきは一部には、異なる分析のために肺組織を分離し、そのため一つの肺葉が、まだら状の炎症分布により他のマウスの同じ肺葉を完全には表していなかった又は同等ではなかったという事実によって説明できる。
【実施例5】
【0220】
重度の好中球性喘息のマウスモデルにおける細菌接種物の効果のさらなる分析
実施例2で試験したマウスにさらなる分析を行って、重度の喘息に関連する好中球の応答に及ぼす本発明の組成物の効果をさらに特徴付けた。
【0221】
材料及び方法
18日目での臓器の摘出。後続の組織学的分析のために左の肺葉のコレクションをホルマリンに入れた。右肺葉(残りの全ての肺葉)のコレクション及び血清を採取して急速凍結して後続の分析を行った。残りのBAL液を後続の分析のために急速凍結した。
【0222】
肺組織における炎症メディエータの測定(後続の分析)。炎症メディエータの定量のために単離した右肺葉(残りの全ての肺葉)を急速凍結した後、IFN−ガンマ、IL−1アルファ、IL−1ベータ、CXCL1、CCL3、CXCL2、CCL5、IL−17A、TNF−アルファ、IL−17F、IL−23、及びIL−33を、市販の多重アッセイ(Merck-Millipore社製)によって測定した。分析は、製造業者の説明書に従って実
施した。
【0223】
血清及びBAL液中の抗体レベルの測定(後続の分析)。BAL及び血清中のチリダニ(HDM)特異的IgG1及びIgG2a抗体産生を、ELISAアッセイによって測定した。
【0224】
肺の単離及び組織学的分析(後続の分析)。左の肺葉をホルマリンで固定した後、パラフィンに包埋して、切片を作製し、ヘマトキシリン・エオシン及びPASで染色した。その後の組織学スコア化は以下のように盲検的に行った:試料あたり無作為な5つの視野を、炎症(気管支周囲浸潤及び血管周囲浸潤)及び粘液産生に関してスコア化した。炎症性浸潤を以下のグレード化システムによってスコア化した:
0−正常
1−軽度の炎症性浸潤
2−中等度の炎症性浸潤
3−顕著な炎症性浸潤
4−重度の炎症性浸潤
5−非常に重度の炎症性浸潤
【0225】
結果及び分析
実験結果を図46〜63に示す。
【0226】
抗体レベルのさらなる分析により、BAL液及び血清中のHDM特異的IgG1レベル
の低減においても細菌株433の有効性が反映されたことが判明した(図46及び48を参照されたい)。IgG2aレベルに及ぼす効果に関しては確固たる結論を引き出すことはできない。全体として、抗体分析のデータは、抗体のアイソタイプスイッチに及ぼす選択的効果とは対照的に、炎症応答の全体的な低減に関連する低減を示唆している。
【0227】
実施例4と同様にサイトカインレベルに関連して、各処置のデータの拡散及びエラーバーが大きく、陽性対照及び陰性対照が予想通りの反応を示さないように思われる。同様に、作用機序がより早期のサイトカイン応答に影響を及ぼすことに関係し、そのため最後のHDM気道チャレンジの4日後でもはや検出不能であった可能性もある。現在の試験においてサイトカインデータを解釈する際には、検出されるレベルのばらつきにより、何らかの注意を払うべきである。このばらつきは一部には、異なる分析のために肺組織を分離し、そのため一つの肺葉が、まだら状の炎症分布により他のマウスの同じ肺葉を完全には表していなかった又は同等ではなかった可能性があるという事実によって説明できる。このばらつきにもかかわらず、陽性対照の抗IL−17抗体が一般的に予想通りの反応を示した中で、株433に関してサイトカインレベルに及ぼす明確な抗炎症効果が示された。
【0228】
上記の注意を考慮すると、図55のデータは、細菌株433による処置が、IFNγレベルの低減をもたらしうることを示唆しており、このことは間質細胞又は自然免疫細胞によるケモカイン放出(及びしたがって細胞の動員)に及ぼす影響に関連する作用機序を示しうる。IFNγは、Th17経路に関係している。このデータセットと併せて考慮すると、株433は重度の好中球性喘息のこのマウスモデルにおいて炎症からマウスを保護するために有効であったという明確な結論を引き出すことができる。
【実施例6】
【0229】
多発性硬化症のマウスモデルにおける細菌接種物の有効性
概要
マウスに、本発明による細菌株を含む組成物を投与して、次いでマウスをミエリン乏突起膠細胞糖タンパク質によって免疫して、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE,experimental autoimmune encephalomyelitis)を誘発した。EAEは、ヒト多発性硬化症の最も
一般的に使用される実験モデルである。本発明の組成物は、疾患の発生率及び疾患の重症度に対して顕著な効果を有することが見出された。
【0230】

433:受託番号NCIMB 42383として寄託された細菌
【0231】
試験計画
群:
1.陰性対照群。媒体対照による処置(経口投与)
5.治療用細菌接種株433による処置(経口投与)
9.陽性対照群。デキサメタゾンによる処置(腹腔内投与)
10.無処置対照群。
1群当たりのマウスの数=10
−14〜27日目:媒体対照の毎日経口投与(群1)
−14〜27日目:治療用細菌接種物の毎日経口投与(群5)
0〜28日目:デキサメタゾンの週に3回腹腔内投与(群9)
0日目:MOG35−55(ミエリン乏突起膠細胞糖タンパク質−2mg/ml)及びCFA(2mg/ml MTB)を1:1で混合して、1mg/ml溶液を得た。ペプチド−CFA混合物100μlを、各後肢に皮下注射した。百日咳毒素(300ng)を腹腔内投与した。
1日目:百日咳毒素の腹腔内投与(300ng)。
7日目以降:疾患の発生率及び体重を週に3回測定。
【0232】
エンドポイント及び分析
マウスを疾患の発生率及び疾患の重症度に関して週に3回分析した。スコア化は盲検で行った。疾患の重症度は、0〜5までの範囲の臨床スコアを使用して評価し、5はマウスの死亡を示した(以下の臨床スコアスコア化システムを参照されたい)。
【0233】
モニタリング
表記の日にマウスの体重を測定して、疾患活動度スコア及び疾患の発生率を観察した。
【0234】
疾患活動度スコア観察:
0−非免疫マウスと比較して運動機能に明白な変化はない。
0.5−尾の先端を引きずる。
1.0−尾を引きずる。
1.5−尾を引きずり、後肢が阻害される。
2.0−尾を引きずり、後肢の虚弱。
又は−歩行を観察すると頭部の傾きの明白な兆候がある。平衡が不良である。
2.5−尾を引きずり、後肢を引きずる。
又は−マウスが時に倒れるほど強い頭部の傾きが見られる。
3.0−尾を引きずり、後肢の完全な麻痺。
3.5−尾を引きずり、後肢の完全な麻痺。
これに加えて、マウスはケージの中を移動するが、横向きに寝かせると、立つことができない。
後肢は完全に体の片面に寄っている。
4.0−尾を引きずり、後肢の完全な麻痺及び前肢の部分麻痺。
マウスはケージの中の移動が最小限であるが、覚醒して餌を食べる
4.5−完全な後肢の麻痺及び前肢の部分麻痺。ケージの中を移動しない。
マウスを直ちに安楽死させてケージから出す。
5.0−マウスを重度の麻痺により安楽死させる。
動物が、1に等しい又は1より大きい疾患活動度スコアを有する場合、プラスの疾患発生率スコアを有すると考えられる。
【0235】
結果
試験結果を図70及び71に示す。
【0236】
陰性対照群における疾患の誘導は、媒体対照及び無処置対照によって示された高いスコアにより、成功であった。株433による処置の効果は顕著であり、株433で処置したマウスは、疾患の発生率及び疾患の重症度の顕著な低減を示した。実際に、疾患の発生率及び疾患の重症度の低減は、陽性対照群と同等であった。これらのデータは、株433が、多発性硬化症の治療又は予防にとって有用でありうることを示している。
【実施例7】
【0237】
安定性試験
本明細書に記述される少なくとも1つの細菌株を含有する本明細書において記述される組成物を、25℃又は4℃で密封容器の中で保存して、容器を30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%又は95%の相対湿度を有する雰囲気中に置く。1か月、2か月、3か月、6か月、1年、1.5年、2年、2.5年、又は3年後に、細菌株の少なくとも50%、60%、70%、80%又は90%が、標準的なプロトコールによって決定したコロニー形成単位で測定した場合に残っている。
【0238】
配列
配列番号1(ロゼブリア・ホミニス株A2−181の16SリボソームRNA遺伝子、部分配列−AY804148)
1 taaaggttga tcctggctca ggatgaacgc tggaggcgtg cttaacacat gcaagtcgaa
61 cgaagcactt taattgattt cttcggaatg aagtttttgt gactgagtgg cggacgggtg
121 agtaacgcgt gggtaacctc gctcatacag ggggataaca gttggaaacg actgctaata
181 ccgcataagc gcacaggatt gcatgatcca gtgtgaaaaa ctccggtggt atgagatgga
241 cccgcgtctg attagccagt tggcggggta acggcccacc aaagcgacga tcagtagccg
301 acctgagagg gtgaccggcc acattgggac tgagacacgg cccaaactcc tacgggaggc
361 agcagtgggt aatattgcac aatgggggaa accctgatgc agcgacgccg agtgagcgaa
421 gaagtatttc ggtatgtaaa gctctatcag caggaagaag aatgacggta cctgactaaa
481 aagcaccggc taaatacgtg ccagcagccg cggtaatacg tatggtgcaa gcgttatccg
541 gatttactgg gtgtaaaggg agcgcaggcg gtacggcaag tctgatgtga aatcccgggg
601 ctcaaccccg gtactgcatt ggaaactgtc ggactagggt gtctgagggg taagtggaat
661 tcctagtgta gcggtgaaat gcgtagatat taggaggaac accagtggcg aaggcggctt
721 actggacgat tactgacgct gaggctcgaa agcgtgggga gcaaacagga ttagataccc
781 tggtagtcca cgccgtaaac gatgaatact aggtgtcggg gagcattgct cttcggtgcc
841 gcagcaaacg caataagtat tccacctggg gagtacgttc gcaagaatga aactcaaagg
901 aattgacggg gacccgcaca agcggtggag catgtggttt aattcgaagc aacgcgaaga
961 accttaccaa gtcttgacat cccactgaca aagtatgtaa tgtactttct cttcggagca
1021 gtggtgacag gtggtgcatg gttgtcgtca gctcgtgtcg tgagatgttg ggttaagtcc
1081 cgcaacgagc gcaaccccta ttcttagtag ccagcggttt ggccgggcac tctagggaga
1141 ctgccaggga taacctggag gaaggtgggg atgacgtcaa atcatcatgc cccttatgac
1201 ttgggctaca cacgtgctac aatggcgtaa acaaagggaa gcaatcccgc gagggggagc
1261 aaatctcaaa aataacgtct cagttcggac tgtagtctgc aactcgacta cacgaagctg
1321 gaatcgctag taatcgcgaa tcagaatgtc gcggtgaata cgttcccggg tcttgtacac
1381 accgcccgtc acaccatggg agttggtaat gcccgaagtc agtgacccaa ccgcaaggag
1441 ggagctgccg aagcaggact gataactggg gtgaagtcgt aacaagt
配列番号2(ロゼブリア・ホミニスA2−183の16S rRNA遺伝子、基準株A2−183T−AJ270482)
1 gatcctggct caggatgaac gctggcggcg tgcttaacac atgcaagtcg aacgaagcac
61 tttaattgat ttcttcggaa tgaagttttt gtgactgagt ggcggacggg tgagtaacgc
121 gtgggtaacc tgcctcatac agggggataa cagttggaaa cgactgctaa taccgcataa
181 gcgcacagga ttgcatgatc cagtgtgaaa aactccggtg gtatgagatg gacccgcgtc
241 tgattagcca gttggcgggg taacggccca ccaaagcgac gatcagtagc cgacctgaga
301 gggtgaccgg ccacattggg actgagacac ggcccaaact cctacgggag gcagcagtgg
361 ggaatattgc acaatggggg aaaccctgat gcagcgacgc cgcgtgagcg aagaagtatt
421 tcggtatgta aagctctatc agcagggaag aagaatgcgg tacctgacta agaagcaccg
481 gctaaatacg tgccagcagc cgcggtaata cgtatggtgc aagcgttatc cggatttact
541 gggtgtaaag ggagcgcagg cggtacggca agtctgatgt gaaatcccgg ggctcaaccc
601 cggtactgca ttggaaactg tcggactaga gtgtcggagg ggtaagtgga attcctagtg
661 tagcggtgaa atgcgtagat attaggagga acaccagtgg cgaaggcggc ttactggacg
721 attactgacg ctgaggctcg aaagcgtggg gagcaaacag gattagatac cctggtagtc
781 cacgccgtaa acgatgaata ctaggtgtcg gggagcattg ctcttcggtg ccgcagcaaa
841 cgcaataagt attccacctg gggagtacgt tcgcaagaat gaaactcaaa ggaattgacg
901 gggacccgca caagcggtgg agcatgtggt ttaattcgaa gcaacgcgaa gaaccttacc
961 aagtcttgac atcccactga cagagtatgt aatgtacttt ctcttcggag cagtggtgac
1021 aggtggtgca tggttgtcgt cagctcgtgt cgtgagatgt tgggttaagt cccgcaacga
1081 gcgcaacccc tattcttagt agccagcggt tcggccgggc actctaggga gactgccagg
1141 gataacctgg aggaaggtgg ggatgacgtc aaatcatcat gccccttatg acttgggcta
1201 cacacgtgct acaatggcgt aaacaaaggg aagcaatccc gcgaggggga gcaaatctca
1261 aaaataacgt ctcagttcgg actgtagtct gcaactcgac tacacgaagc tggaatcgct
1321 agtaatcgcg aatcagaatg tcgcggtgaa tacgttcccg ggtcttgtac acaccgcccg
1381 tcacaccatg ggagttggta atgcccgaag tcagtgaccc aaccgcaagg agggagctgc
1441 cgaaggcagg actgataact ggggtgaagt cgtaacaagg gtacg
配列番号3(ロゼブリア・ホミニス株433のコンセンサス16S rRNA配列)
AAGAGTTTGGGHCAGGCTCAGGATGAACGCTGGCGGCGTGCTTAACACATGCAAGTCGAACGAAGCACTTTAATTGATTTCTTCGGAATGAAGTTTTTGTGACTGAGTGGCGGACGGGTGAGTAACGCGTGGGTAACCTGCCTCATACAGGGGGATAACAGTTGGAAACGACTGCTAATACCGCATAAGCGCACAGGATTGCATGATCCAGTGTGAAAAACTCCGGTGGTATGAGATGGACCCGCGTCTGATTAGCCAGTTGGCGGGGTAACGGCCCACCAAAGCGACGATCAGTAGCCGACCTGAGAGGGTGACCGGCCACATTGGGACTGAGACACGGCCCAAACTCCTACGGGAGGCAGCAGTGGGGAATATTGCACAATGGGGGAAACCCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAGCGAAGAAGTATTTCGGTATGTAAAGCTCTATCAGCAGGGAAGAAGAATGACGGTACCTGACTAAGAAGCACCGGCTAAATACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTATGGTGCAAGCGTTATCCGGATTTACTGGGTGTAAAGGGAGCGCAGGCGGTACGGCAAGTCTGATGTGAAATCCCGGGGCTCAACCCCGGTACTGCATTGGAAACTGTCGGACTAGAGTGTCGGAGGGGTAAGTGGAATTCCTAGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATTAGGAGGAACACCAGTGGCGAAGGCGGCTTACTGGACGATTACTGACGCTGAGGCTCGAAAGCGTGGGGAGCAAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGATGAATACTAGGTGTCGGGGAGCATTGCTCTTCGGTGCCGCAGCAAACGCAATAAGTATNCCACCTGGGGAGTACGTTCGCAAGAATGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGACCCGCACAAGCGGTGGAGCNTGTGGTTTAATTCGAAGCAACGCGAAGAACCTTACCAAGTCTTGACATCCCACTGACAGAGTATGTAATGTACTTTCTCTTCGGAGCAGTGGTGACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCCTATTCTTAGTAGCCAGCGGTTTGGCCGGGCACTCTAGGGAGACTGCCAGGGATAACCTGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAATCATCATGCCCCTTATGACTTGGGCTACACACGTGCTACAATGGCGTAAACAAAGGGAAGCAATCCCGCGAGGGGGAGCAAATCTCAAAAATAACGTCTCAGTTCGGACTGTAGTCTGCAACTCGACTACACGAAGCTGGAATCGCTAGTAATCGCGAATCAGAATGTCGCGGTGAATACGTTCCCGGGTCTTGTACACACCGCCCGTCACACCATGGGAGTTGGTAATGCCCGAAGTCAGTGACCCAACCGCAAGGAGGGAGCTGCCGAAGGCAGGACTGATAACTGGGGTGAAGTCTACRSAGGGTAGCCGTRMMC
配列番号4(株433のゲノム配列)−電子版の配列表を参照されたい。
【0239】
(参考文献)
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[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]