【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
L.サリバリウスCW30(LMGP−28887)、L.プランタラムY1An734(LMGP−28886)、L.プランタラムSH1313(LMGP−28884)、L.プランタラムKS11(LMGP−28885)、及びL.ブレビスSH111(LMGP−28888)のラクトバチルス株の混合物を含む、クロストリジウム・ディフィシル感染症、再発C.ディフィシル大腸炎、及び過敏性腸症候群(IBS)の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
前記繊維成分は、オート麦繊維、小麦繊維、ライ麦繊維、チア繊維、トウモロコシ繊維、大麦繊維、ジャガイモ繊維、果実繊維、野菜繊維、穀物繊維及び藻類由来の繊維からなる群から選択される、請求項8に記載の使用のための組成物。
L.サリバリウスCW30(LMGP−28887)、L.プランタラムY1An734(LMGP−28886)、L.プランタラムSH1313(LMGP−28884)、L.プランタラムKS11(LMGP−28885)及びL.ブレビスSH111(LMGP−28888)の群から選択される単離株。
【発明の概要】
【0012】
本発明の上記及び他の目的は、1種のL.サリバリウス(L.salivarius)株、3種のL.プランタラム(L.plantarum)株及び1種のL.ブレビス(L.brevis)株からなる群から選択される少なくとも1種のラクトバチルス(Lactobacillus)株を含む組成物によって完全に又は少なくとも部分的に達成され、ここで、L.サリバリウス株は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)であり得、L.プランタラム株は、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)からなる群から選択され得、L.ブレビス株は、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)であり得る。好ましくは、組成物は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)の全てを含む。
【0013】
本明細書は、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)及びL.プランタラムKS11(LMG P−28885)を含むプロバイオティック組成物にも関する。本明細書は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む組成物にも関する。組成物中の細菌は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)の混合物からなり得るが、組成物は追加の細菌株も含み得る。
【0014】
本明細書は、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)株の細菌の等しい量の混合物を含むプロバイオティック組成物にも関する。本明細書の文脈においては、細菌の量に関連する用語「等しい」などによって、異なる細菌株の細菌細胞の数が、菌株が他の菌株の10倍以上存在することが内容に、好ましくは他の菌株の9倍、8倍、7倍、6倍、5倍、4倍、3倍又は2倍未満の量で存在するように、互いに相対的な量で存在することが意図されていることが理解されるべきである。好ましくは、細菌が等しい量で存在する場合、各細菌株は、他の細胞株それぞれに対する比率が約1:1になるような量で存在する。
【0015】
本明細書は、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物にも関し、当該組成物は、少なくとも1種のラクトバチルス株を含み、ここで、ラクトバチルス株は、1種のL.サリバリウス株、3種のL.プランタラム株及び1種のL.ブレビス株からなる群から選択され、L.サリバリウス株はL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)であり、L.プランタラム株はL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)及びL.プランタラムKS11(LMG P−28885)であり、L.ブレビス株はL.ブレビスSH111(LMG P−28888)である。
【0016】
治療は、治癒的処置、即ち、治療対象体の健康を回復させる治療であり得る。治癒的処置の間、組成物は浣腸剤として投与され得る。浣腸剤として投与される場合、組成物は、短期間の間、例えば、1日から5週間までの経過の間、限られた回数で、典型的には1回から5回投与され得る。経口で投与される場合、組成物は、毎日、例えば、1から6週間投与され得る。
【0017】
特定の状況又は特定の罹患体については、治療はより支持的な特性を有し得、その場合、組成物はより長い、時には生涯にわたる期間にわたり複数回投与される。組成物は1日から2週間までの間隔で投与され得る。
【0018】
本組成物は、例えば、胃腸管の健康的な細菌フローラの支持及び/又は保存及び/又は回復のために、長期にわたる抗生物質の服用の間、予防的治療としても用いられ得る。
【0019】
本組成物は少なくとも1種のL.サリバリウス株を含み得、ここで、L.サリバリウス株は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)であり得る。これの利点は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)が潜在的な抗微生物効果を有することである。本明細書は、それ故に、組成物の細菌成分がL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)を含むか、又はそれらからなる組成物にも関連する。
【0020】
更に、本組成物は、少なくともL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、並びに株L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)少なくとも1種を含み得る。本明細書は、それ故に、組成物の細菌成分がL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、並びに株L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)少なくとも1種を含むか、又はそれらからなる組成物にも関連する。
【0021】
L.プランタラム株であるL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)の利点は、これらの株が抗炎症特性を有することである。加えて、これらの株は、腸の炎症を予防し及び/又は治療し得、且つ胃腸のバリアの機能を向上させ得る。更に、これらのL.プランタラム株は、胃腸の合併症に関連する広範囲の病原性細菌に対する阻害活性において、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)と相乗効果で働く。これは、免疫系の恒常性の回復を促進する胃腸の微生物叢の腸内毒素症の治療的矯正をもたらす。L.ブレビスSH111(LMG P−28888)の利点は、相乗的な抗菌力を有することである。この株は、異なるグラム陽性病原性細菌、例えば、スタフィロコッカス・アウレウス及びグラム陰性、例えば大腸菌に対して広範な抗菌活性を有することが実証されている。
【0022】
或いは、組成物は、少なくともL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)及びL.プランタラムKS11(LMG P−28885)を含み得る。故に、本明細書は、組成物の細菌成分が、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)及びL.プランタラムKS11(LMG P−28885)を含むか、又はそれらからなる組成物にも関連する。この組成物は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)さらにを含み得る。
【0023】
胃腸の疾病は、下痢症、抗生物質関連下痢症(AAD)、胃腸炎、急性胃腸炎及び/又は感染性下痢症であり得る。
【0024】
更に、胃腸の疾病は、クロストリジウム・ディフィシル、サルモネラ及び/又は大腸菌による細菌感染症であり得る。胃腸の疾病は、カンピロバクター・ジェジュニ、サルモネラ・チフィリウム、エルシニア・エンテロコリチカ、腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管出血性大腸菌(EHEC)、シゲラ属、スタフィロコッカス・アウレウス、リステリア・モノサイトゲネス、ビブリオコレラ、腸炎ビブリオ及びセレウス菌などの細菌に起因する下痢性疾患によっても引き起こされ得る。胃腸の疾病 は、下痢症に関連するロタウイルスのようなウイルス感染症に起因し得る。胃腸の疾病は、感染後下痢症でもあり得る。
【0025】
特に、胃腸の疾病は、クロストリジウム・ディフィシルNAP1/027による感染症であり得る。本発明の1つの利点は、病原性細菌を標的し、免疫寛容及び腸の恒常性を再構築することによって疾患を迅速に解決することである。2つ目の利点は、明確に定義された有益な健康効果を有する精製されたラクトバチルス株の使用により、重大な安全性及び衛生上の課題を伴う便やその他の組成物の使用を避けられることである。
【0026】
胃腸の疾病は、過敏性腸症候群(IBS)又は炎症性腸疾患(IBD)であり得る。用語、炎症性腸疾患(IBD)は、疾病の中でとりわけ、クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む。
【0027】
胃腸の疾病は、回腸嚢炎又は感染後大腸炎であり得る。
【0028】
本組成物は、経口的に、例えば飲料又は食料品において投与され得る。組成物は、飲料として投与され得、そのような場合、ラクトバチルス株は、液体に懸濁される。液体は、例えば、水、乳、塩砂糖溶液又は粥であり得る。或いは、組成物は、ポリッジ又はプディングとして投与され得る。組成物は、丸薬に含まれ得、それは罹患体によって飲み込まれ得る。これらの投与経路の利点は、それらが高度な医療機器を必要としないことである。飲料、ポリッジ、プディング又は丸薬として組成物を投与することの他の利点は、罹患体が飲料、ポリッジ、プディング又は丸薬をいつ飲むかを制御することができる点である。
【0029】
本組成物は、浣腸剤として投与され得る。この投与経路の利点は、病院で一般的に使用される設備を使用して行うことができることである。この投与経路の利点は、胃腸管における最も効果的な位置に組成物を投与することができる点である。他の利点は、それはヘルスケアの専門家によって実行されることであり、罹患体は少数の治療で満足でき、治療提供者によって定期的に評価されるであろう。
【0030】
本組成物は、胃腸管上部への注入剤として投与され得る。組成物は、鼻腔内チューブなどの医療デバイスによって投与され得る。この投与経路の利点は、病院で一般的に使用される設備を使用して行うことができることである。この投与経路の他の利点は、胃腸管における最も効果的な位置に組成物を投与することができる点である。他の利点は、細菌組成物が胃及びその酸性環境を回避し、腸に直接注入されることである。
【0031】
本組成物は、鼻腔内チューブのような医療デバイスによって投与され得る。組成物は大腸内視鏡を介して投与され得る。
【0032】
ラクトバチルスの総量は、治療あたり10
9から10
13CFU、例えば、治療あたり10
9、10
10、10
11、10
12又は10
13CFUであり得る。鼻腔内注入の場合、治療は、1日後、数日後又は1週間後に少なくとも2回繰り返され得る。
【0033】
本組成物は凍結乾燥され得る。これの利点は、長期貯蔵のために細菌を保存することができ、細菌を処理するのに高度な貯蔵設備が必要ないことである。
【0034】
凍結乾燥された組成物は、袋、瓶、カプセル、又は丸薬などの何れかの他の種類の容器に含まれ得る。凍結乾燥された組成物は、混合物における幾つかの構成成分の1つであり得る。更に、凍結乾燥された組成物は、丸薬の幾つかの構成成分の1つでもあり得る。適切な保存可能期間を有する安定な組成物を提供するために、凍結乾燥された組成物又は本明細書に開示した何れも他の記載された組成物に、他の慣用の添加剤を当然添加してもよい。当業者は、そのような慣用の添加剤及び組成物中で使用される量を知っているであろう。
【0035】
本組成物は繊維成分を更に含んでもよい。
【0036】
繊維成分は、オート麦繊維、小麦繊維、ライ麦繊維、チア繊維、トウモロコシ繊維、大麦繊維、ジャガイモ繊維、果実繊維、野菜繊維、穀物繊維及び藻類からの繊維からなる群から選択され得る。
【0037】
適切な繊維の他の例は、様々な種類の可溶性及び不溶性繊維を含む。例えば、種子(例えば、アマの種子及びオオバコの種子)又はナッツ(例えば、クルミ、ココナッツ、アーモンド)に由来する繊維が用いられ得る。イヌリンなどの食物繊維を用いてもよい。繊維を含む組成物に他の慣用の添加剤を添加してもよい。
【0038】
細菌は、粥、流動食、ポリッジ又はプディングに懸濁されてもよい。
【0039】
粥は、オート麦粥であり得る。用いられ得る他の粥は、小麦粥、オオムギ粥、ライ麦粥又はトウモロコシ粥を含む。
【0040】
本発明に従う組成物の投与の前に、生の又は凍結乾燥された細菌組成物は適切な液体に懸濁され得る。液体は、薬学的に許容され得る液体成分又は何れかの種類の適切な培地、例えば、上述の何れかの媒体であり得る。好ましくは、蒸留水又は緩衝水性媒体が用いられ、それは薬学的に許容され得る塩及び緩衝剤を含む。適切な塩溶液は、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、GBSS(ゲイ平衡塩類溶液)、EBSS(アール平衡塩類溶液)、HBSS(ハンクス平衡塩類溶液)、及びSBF(合成/疑似体液)。液体成分はまた、用途に応じてより疎水性の性質であり得る。
【0041】
経口投与の場合、本組成物を構成する混合物をよりよい風味とするために、様々な香料を添加してもよい。
【0042】
本組成物は、適切な培地における室温24時間又は4℃最大1週間の再活性化の後、使用することができる状態になり得る。しかしながら、期間及び温度は、例えば、使用される培地に従って変化し得ることが留意されるべきである。
【0043】
本組成物は細菌誘発感染及び/又は炎症疾病に対する薬剤などの1種以上の治療剤を更に含んでもよい。
【0044】
本組成物は、上記の細菌株の少なくとも1種が存在している限り、上記5種の株又はそれ以上を含んでいてもよい。
【0045】
上記組成物は、浣腸剤に含まれ得る。そのような浣腸剤の利点は、投与経路が、病院で一般的に使用される設備を使用して行うことができることである。この投与経路の他の利点は、胃腸管における最も効果的な位置、即ち、結腸に組成物を投与することができる点である。
【0046】
投与される組成物の量は、浣腸剤を受ける人の年齢及び大きさに依存して変化するであろう。しかしながら、一般的な指針は、幼児:250ml以下、学齢児童:200〜500ml、成人:200〜1,000mlである。
【0048】
本明細書は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.ブレビス(LMG P−28888)からなる群から選択される単離株も提供する。細菌株は、生物学的に純粋である。
【0049】
本明細書は、クロストリジウム・ディフィシル NAP1/027による感染症の治療及び/又は予防における使用のためのL.サリバリウスの単離株も提供し、ここで、当該株はL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)である。
【0050】
本明細書は、胃腸の疾病の治療及び/又は予防のための方法にも関連し、当該方法は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.ブレビス(LMG P−28888)からなる群から選択される1種以上の細菌株を含む組成物、これらの細菌の1種以上を含む浣腸剤、又はL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.ブレビス(LMG P−28888)からなる群から選択される1種以上の単離細菌株の薬学的効果量を、それらを必要とする治療対象体に投与する工程を含む。上記胃腸のは、本明細書の他の箇所に開示した胃腸の疾病である。
【0051】
胃腸の疾病の治療及び/又は予防のための医薬の調製における、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.ブレビス(LMG P−28888)からなる群から選択される1種以上の細菌株を含む組成物、これらの細菌の1種以上を含む浣腸剤、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.ブレビス(LMG P−28888)からなる群から選択される1種以上の単離細菌株の使用。上記胃腸は、本明細書の他の箇所に開示した胃腸の疾病である。
【0052】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な開示、添付した特許請求の範囲、並びに図面から明らかであろう。本発明は、特徴の可能な全ての組み合わせに関連することに留意されたい。
【0053】
一般的に、特許請求の範囲において用いられた全ての用語は、本明細書で別段指定されていない限り、本分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの(a)/1つの(an)/前記(the)[要素、装置、構成要素、手段、工程等]」への全ての言及は、別段明記されていない限り、前記要素、装置、構成要素、手段、工程等の少なくとも1つの場合をいうものとして開放的に解釈されるべきである。本明細書に開示された何れの方法の工程も、特に明記されていない限り、開示された正確な順序で行われる必要はない。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「含む」及びその用語の変形は、他の添加物、成分、整数又は工程を排除することを企図していない。
【0055】
株の定義
全ての株は、BCCM/LMG(Belgian Coordinated Collections of Micro−organisms/Laboratorium voor Microbiologie、Universiteit Gent(UGent))、ゲント、ベルギーから2015年5月19日に寄託された。寄託者は、Shahram Aghaibeik−Lavasaniに代表される、ルンド大学、生物学部門、Soelvegatan35、ビルディングC、223 62、ルンド、スウェーデンであった。
【0057】
L.プランタラムSH1313 LMG P−28884
L.プランタラムKS11 LMG P−28885
L.プランタラムY1An734 LMG P−28886
L.サリバリウスCW30 LMGP−28887
L.ブレビスSH111 LMG P−28888
当該株は、生物学的に純粋である。
【0058】
株及び用語の定義
CFU=コロニー形成単位
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の詳細な説明
本文脈及び本発明において、以下の定義が適用される。用語「腸の感染症及び炎症」は、ウイルス、細菌又は寄生虫の感染に起因する胃腸炎、即ち、増加した胃腸管の炎症を意味する。それは、他の胃腸の疾病、例えば、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、回腸嚢炎又は感染後大腸炎も意味する。用語、抗生物質関連下痢症(AAD)は、抗生物質を摂取している又は最近摂取した人において発症する下痢症を意味することが企図される。AADの最も深刻な原因の1つは、細菌、即ち、クロストリジウム・ディフィシル(CD)グラム陽性嫌気性細菌の感染である。更に、院内下痢性感染症は、CDによって主に誘発されるが、サルモネラ、シゲラ、カンピロバクター及びエルシニアのような他の腸内細菌性病原体によっても誘発される。
【0061】
本発明は、ラクトバチルス・サリバリウス CW30(LMG P−28887)、ラクトバチルス・ブレビス SH111(LMG P−28888)、ラクトバチルス・プランタラム SH1313(LMG P−28884)、ラクトバチルス・プランタラム KS11(LMG P−28885)及びラクトバチルス・プランタラム Y1An734(LMG P−28886)の1種以上を含むか、又はそれらからなる群から選択されるラクトバチルス細菌の有効量を含む共生組成物を提供する。細菌株は、様々な植物源から単離された新規の乳酸菌株から選択される。様々な野菜植物からの試料を、未加工又は発酵後にロゴサ寒天上に置き、嫌気的条件下で35〜42℃で24〜72時間インキュベートした。単一のクローンをランダムに選択した。グラム陽性桿菌を含む全てのクローンについて、酸性pH(pH≦3)及び胆汁酸塩への耐性のようなプロバイオティック特性を調べた。単離された細菌を、糖発酵プロファイリング(
図13の表5参照)及び16S rRNAシークエンシングによって同定した。乳酸菌株を、腸に付着し、且つ胃腸病原菌の増殖を阻害するが、お互いの増殖は阻害しない能力についてさらに選択した。典型的には、組成物がこれらの細菌株の2つ以上を含む場合、異なる細菌株の細菌細胞数はほぼ等しい(即ち、例えばCFUの数を測定することによって、又は細菌の数を顕微鏡で計算することによって決定されるように、細菌細胞の数がほぼ同じである)。これらの細菌株の1つ以上を含む組成物は、プロバイオティクス組成物と称することができる。
【0062】
本発明は、本発明に従う少なくとも1種の株、即ち、ラクトバチルス・サリバリウス CW30(LMG P−28887)、ラクトバチルス・ブレビス SH111(LMG P−28888)、ラクトバチルス・プランタラム SH1313(LMG P−28884)、ラクトバチルス・プランタラム KS11(LMG P−28885)及びラクトバチルス・プランタラム Y1An734(LMG P−28886)からなる群から選択される少なくとも1種の株を含む医薬組成物を提供する。本発明は、CDによって引き起こされる疾病のような胃腸の疾病の予防及び/又は治療における使用のための1種以上の前記細菌株を含む培養物、組成物又は製品にも関する。
【0063】
近年の研究において、18種を超える、様々な及び新規のラクトバチルス株が、21種の病原性CDに対する抗菌活性に関しスクリーニングされ、特徴づけられている。興味深いことに、それらの特性は、株特異的であり、1つの属の全ての株について一般的ではないことが見いだされた。ラクトバチルス・サリバリウス CW30(LMG P−28887)、ラクトバチルス・ブレビス SH111(LMG P−28888)、ラクトバチルス・プランタラム SH1313(LMG P−28884)、ラクトバチルス・プランタラム KS11(LMG P−28885)及びラクトバチルス・プランタラム Y1An734(LMG P−28886)の全ての株に由来する細菌を含む本発明の治療的組成物は、全てのCD株の増殖を阻害するが、互いの増殖は阻害しない能力を示す。それは、本発明の組成物の株間で示される相乗効果を示す。
【0064】
本明細書に提供される実験データに示される通り、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)及びL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)は、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)よりも高い定着能力を有し(Caco−2細胞への結合によって実証されたように)、しかしながら後者も依然として優れた定着能力を示した。一方で、L.プランタラムSH1313、KS11、及びY1An734は、最も高い抗炎症作用を有することが実証された(Tregsを誘発する潜在能力によって測定されたように)。従って、L.プランタラムSH1313、KS11及びY1An734を含む組成物は、限定されるものではないが、疾病の中でとりわけ、クローン病及び潰瘍性大腸炎を含むIBD、回腸嚢炎又は感染後大腸炎のような慢性炎症性疾患の治療及び/又は予防において特に有用であり得る。L.ブレビスSH111(LMG P−28888)及びL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)は、単離された5種のラクトバチルス株の中で最も強い抗細菌作用を示す。従って、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)及びL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)を含む組成物は、クロストリジウム・ディフィシル、サルモネラ、大腸菌、カンピロバクター、シゲラ、エルシニア、ブドウ球菌、リステリア、ビブリオ、及び/又はセレウス菌に起因する感染症のような微生物による胃腸の感染症の治療及び/又は予防における使用において特に有用であり得る。胃腸の感染症は、ロタウイルス等のウイルス感染に起因し得る。
【0065】
CDの病原性株及び/又は他の腸の病原体に対する選択されたラクトバチルス株の阻害特性、及び抗生物質関連下痢(AAD)の罹患体への治療効果によって、本発明は、限定されるものではないが、AAD、胃腸炎、急性胃腸炎、又は感染性下痢症から選択される胃腸の疾病の病状を予防し、治療し又は改善するための医薬組成物の調製における、共生ラクトバチルス混合物の医学的な使用に関する。胃腸の疾病は、限定されるものではないがクロストリジウム・ディフィシル、サルモネラ、大腸菌、カンピロバクター、シゲラ、エルシニア、ブドウ球菌、リステリア、ビブリオ、又はセレウス菌に起因する細菌感染症であり得る。胃腸の疾病は、ロタウイルス関連下痢症、又は感染後下痢症のようなウイルス感染症によるものであり得る。
【0066】
本明細書の組成物は、サルモネラ又は大腸菌に起因する胃腸炎の治療において効果的に使用され得る。サルモネラ属は、世界中で最も一般的な食中毒の形態の1つの原因である。実験は、本発明の共生組成物がサルモネラ(S.エンテリティディス及びS.チフィリウム)及び大腸菌の病原性株の増殖を強く阻害することを明らかに示した。
【0067】
本発明は、CD感染症に対する予防的使用にも関する。CD感染症の罹患体は、メトロニダゾール及びバンコマイシンのような抗生物質で一般的に治療される。本発明の組成物は、実験的に更に試験され、メトロニダゾール及びバンコマイシンに対する感受性を持たないことが見いだされ、それは、予防的治療として、例えば、長期間の抗生物質の摂取の間、胃腸管の健康的な細菌フローラを支持し及び/又は保護し及び/又は回復させるために使用できるその潜在能力を示している。それは、一般的でありCD感染症に関連する最も大きな課題を表す再発を阻害するためにも用いられ得る。
【0068】
本発明は、NAP1/027と呼ばれる高病原性のCDに起因する感染症の治療にも関する。CD感染症の発生率及び病原性の上昇は、CD NAP1/027の蔓延と同時に起こる。新規ラクトバチルスのスクリーニングにより、たった数種のラクトバチルス株が2種の異なる高病原性のCD NAP1/027株の増殖を阻害する潜在能力を有することが見いだされた。これらの治療株は、本発明によって提供される共生組成物に含まれる。
【0069】
本明細書は、限定されるものではないが、疾病の中でとりわけ、クローン病及び潰瘍性大腸炎を含むIBD、回腸嚢炎又は感染後大腸炎のような慢性炎症性疾患の予防的又は治療的処置のための本明細書で言及した共生組成物の使用にも関する。細菌性病原体の腸の上皮細胞との相互作用は、胃腸の疾病に寄与する炎症プロセスのカスケードを作動させる。変化した腸の微生物叢及び炎症が腸のバリア機能を妨害し、病原体が更に増殖し腸に定着することを可能にする。Foxp3
+制御性T細胞(Tregs)は、有害な炎症反応を抑制する、腸における免疫耐性の維持に不可欠である。我々の経験に基づき、ラクトバチルスの混合物を、Tregsを誘発する潜在能力について更にスクリーニングした。本発明の治療的組成物は、他の試験した混合物と比較して、これらの抗炎症細胞を誘発する最も優れた潜在能力を示す。それは、本発明の組成物の株間で示された相乗効果を再び示した。
【0070】
本明細書は、限定されるものではないが、過敏性腸症候群(IBS)のような腹部不快感又は痛みを伴う腸の疾病の予防的又は治療的処置における本発明で言及した共生組成物の使用にも関する。胃腸微生物叢の役割及びストレスの影響は、IBSの発達において重要であることが示唆されている。本発明で提供される治療的組成物は、IBSの治療において大きな成功を収めている。
【0071】
本組成物は、経口的に投与され得る。本発明の組成物の株は全て、胃の低いpH下及び小腸に含まれる高い胆汁酸化で生存できる、並びに結腸粘膜に付着し、大腸に一時的に定着する独特かつ優れた能力のために選択される。組成物は、飲料として投与され得、そのような場合、細菌株は、液体に懸濁される。液体は、水、乳、塩砂糖溶液又は粥であり得る。或いは、組成物は、ポリッジ又はプディングとして投与され得る。組成物は、丸薬に含まれ得、それは罹患体によって飲み込まれ得る。
【0072】
本組成物は、浣腸剤として投与され得る。この投与経路の利点は、胃腸管における最も効果的な位置に組成物を投与することができる点である。浣腸剤によって投与される便の微生物叢移植は、罹患体の治療において用いられてきた。浣腸剤を使うことは安全であると考えられており、その技術はCD感染症の治療において幾らかの有望な結果を実証したが、医師は、自発的提供者からの便の細菌である治療ための成分に起因する潜在的な感染の危険性及び長期的な安全を懸念している。しかしながら、本発明に提供される治療的組成物は、罹患体において試験し、大きな成功を収めた広範な研究によって選択されたラクトバチルス株からなる。当該方法の更なる利点は、それがヘルスケアの専門家によって実施できることであり、罹患体は少数の治療で満足でき、治療提供者によって定期的に評価されるであろう。
【0073】
本組成物は、胃腸管上部への注入剤として投与され得る。組成物は、鼻腔内チューブなどの医療デバイスによって投与され得る。この投与経路の利点は、胃腸の疾病において胃腸管における最も効果的な位置に組成物を投与することができる点である。
【0074】
細菌の混合物は、薬学的に許容され得る液体成分と一緒にだけではなく、粉末としても投与され得る。好ましくは、蒸留水又は緩衝水性媒体が用いられ、それは、薬学的に許容され得る塩及び緩衝剤を含む。細菌株は、治療あたり少なくとも10
9から10
13CFUの細菌の総濃度が投与されるように存在し得る。2種以上の細菌株が投与される場合、典型的には、当量の全ての異なる株が投与される。
【0075】
本組成物は、繊維成分を更に含み得る。食物繊維の健康上の利点は長い間認識されてきた。それらのうち幾つかは、1種又は限られた数の共生細菌の結腸における増殖及び/又は活性を選択的に刺激し、それ故に宿主の健康を改善することも知られている。
【0076】
1種以上の薬学的に許容され得る液体成分が必要であり得る。このような成分は、当業者によく知られている。
【0077】
本組成物は繊維成分を更に含み得る。繊維成分は、限定されるものではないが、オート麦繊維、小麦繊維、ライ麦繊維、チア繊維、トウモロコシ繊維、大麦繊維、ジャガイモ繊維、果実繊維、野菜繊維、穀物繊維及び藻類由来の繊維からなる群から選択され得る。細菌の混合物は、粥、流動食、ポリッジ又はプディングに懸濁されてもよい。
【0078】
本明細書に従う組成物を調製するために、組成物に含まれるべき細菌株は、別々に、又は1種以上の株の混合物で増殖され得る。別々に増殖させ、2種以上の細菌株が投与されることが企図されている場合、典型的には、得られる組成物が同じ量(等しい量)の細菌(CFU)を含むように異なる細菌株は混合される。本明細書に開示されるラクトバチルス株は、マン・ロゴサ・シャープ(MRS)ブイヨン/寒天及びロゴサ寒天培地のような、ラクトバチルスを増殖するのに普通に用いられる何れかの媒体で増殖され得る。細菌は、典型的には、約25から42℃、例えば、30から37℃、特に約37℃の温度で増殖される。細菌は、振盪しながら若しくは振盪せずに液体培地で、或いは固体培地で増殖される。典型的には、細菌は、24〜72時間の期間増殖される。増殖時間は、温度、播種された細菌の量、培地の栄養成分などの様々な要因に基づく、当業者に知られたものであろう。典型的には、細菌は、静止期まで増殖される。細菌をそれが必要な治療対象体に投与する前に、細菌は、典型的には、例えば、遠心又は細菌培地の濾過によってそれらの使用される増殖培地から単離される。細菌は、例えば、緩衝液又は塩溶液、例えば、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)バッファー又は0.9%NaClで1回以上洗浄され得る。その後、使用の前に、細菌は投与のために用いられる培地に再懸濁され得る。細菌は、その保存能力を延長するために凍結乾燥されてもよい。凍結乾燥細菌は、乾燥状態で投与されるか、或いは投与の前に液体又は液体を含む培地に溶解され得る。凍結乾燥細菌を室温24時間又は4℃で最大1週間、適切な培地上で再活性化させることも可能である。しかしながら、そのような再活性化の期間又は温度は、用いられた培地に従って変化し得ることが留意されるべきである。細菌培地を、それらの用いられた増殖培地から分離しないで直接用いることも可能である。それらの用いられた増殖培地から細菌を分離し、細菌自体の代わりに増殖培地を用いて投与することも可能である。
【0079】
本発明は、次の節でより詳細に記載されるであろう。しかしながら、例は、例示するだけのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0080】
実験
ラクトバチルスとクロストリジウム・ディフィシルとの間の相互作用の評価:ラクトバチルスとクロストリジウム・ディフィシルとの間の相互作用を評価するために、2種の高毒性のCD NAP1/027(CD BI/NAP1/027又はCD NAP1/027としても知られる)株を含む、21種の病原体C.ディフィシルに対する、18種のラクトバチルス株の拮抗活性を決定した。CD株は異なる遺伝子型に属し、抗生物質関連下痢症のランダムな症状を有する、スウェーデンの主にマルメのスコーネ大学病院の入院している罹患体の便から予め単離した。ラクトバチルスの拮抗活性をC.ディフィシルの増殖の阻害として寒天プレート上で検出した。結果を表1にまとめた。ラクトバチルス株を、マン・ロゴサ・シャープ(MRS)ブイヨンで37℃で48時間培養した。C.ディフィシル株は、ブレイン・ハート・インフュージョン(BHI)ブイヨンで37℃で24時間嫌気条件下で培養した。全ての細菌培養物を4℃で遠心し、ペレットを0.9%NaCl溶液に懸濁し、マクファーランド比濁法で0.5に等しい濃度に調製した。100μlのC.ディフィシル懸濁液をウィルキンス・シャルグレン血液寒天プレート上に播種し、広げた。10μlの各ラクトバチルス懸濁液を異なる線で画線し(約2cm)。プレートを37℃で48時間、嫌気性条件でインキュベートし、C.ディフィシル画線上のラクトバチルス増殖の阻害領域を調べた。
【0081】
結果は、L.プランタラム株 SH1313(LMG P−28884)、KS11(LMG P−28885)及びY1An734(LMG P−28886)、並びにS.サリバリウス CW30(LMG P−28887)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)は、幾つかの試験したC.ディフィシル株の増殖を阻害することを明らかに示している。特に、これらの5種の株の混合物は、全ての試験されたC.ディフィシル株の増殖を阻害した。加えて、S.サリバリウス CW30(LMG P−28887)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)、並びにL.プランタラムKS11(LMG P−28885)は、CD NAP1/027株の増殖を阻害した。特に、これらの5種の株の混合物は、試験されたCD NAP1/027株の両方の増殖を阻害した。特に、他の試験したラクトバチルス株は、C.ディフィシルの増殖を同程度には阻害しなかった。
【0082】
ラクトバチルスと免疫細胞との相互作用:C.ディフィシルの腸の上皮細胞との直接的な相互作用は、下痢症及び偽膜性大腸炎のような腸の疾患に寄与する炎症性疾患のカスケードを作動させることが示されている。変化した腸の微生物叢組成及び炎症は、腸のバリア機能を妨害し、C.ディフィシルが更に増殖し腸に定着することを可能にする。Foxp3発現CD4
+T細胞(制御性T細胞;Tregs)は、有害な炎症反応を抑制する、腸における免疫寛容の維持に不可欠である。過去の経験に基づき、我々はマウスから腸のリンパ組織(パイエル板及び腸間膜リンパ節)を分離した。それらをプールし、免疫細胞の単一細胞懸濁物をインビトロで作製した。次いで、細胞を5種の異なるラクトバチルス;L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)の単一又は混合物とともに共インキュベートした。総量で1×10
6の免疫細胞を、96−ウェルプレートのウェルごとに播種した(RPMI 1640細胞培養培地中に)。1×10
7CFU/ml(100μl)の細菌(RPMI 1640に懸濁した)を細胞に添加し、共培養物を20時間インキュベートした(37℃、5%CO
2の加湿雰囲気下)。次の日に、細胞を洗浄し、フローサイトメトリーを用いてTregsの罹患率を分析した。Tregsは、受容体CD4、転写因子(forkhead box p3;Foxp3)、及び細胞内サイトカインIL−10を発現していることが検出された。細菌を単一形態か、又は2、3、4又は5種の株の混合物で用いた。混合物は、全てが最終濃度1×10
7CFU/mlの当量(同じ実験日に添加した)の各株を含んでいた。コントロール試料は、細胞培養培地のみ含んでいた。結果を
図1に示す。データは、CD4
+Foxp3
+T細胞の頻度を%で表している。
【0083】
選択されたL.プランタラム(SH1313、KS11、又はY1An734)の単一株のみが、抗炎症プロファイルを誘発し、新しく分離した腸のリンパ組織からの細胞の中でTregsを活性化する潜在能力を有した。L.サリバリウスCW30、L.ブレビスSH111は、L.プランタラムの慎重に選択した株との混合物のみで、Tregsを誘発した。結果は、L.プランタラムSH1313、L.プランタラムKS11、L.プランタラムY1An734、L.サリバリウスCW30及びL.ブレビスSH111は、Tregsを活性化させ増やすために相乗的に働くことも実証した。最も顕著で甚大な抗炎症活性は、5種全ての株の混合物を用いることによって達成された。
【0084】
同じアッセイを使って、我々は、様々なラクトバチルスのTregsを誘導する潜在能力を更に比較した。我々は、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、並びに様々な市販の食品から単離した4種のラクトバチルス株;L.パラカゼイCNCM I−1518(Actimel)、L.プランタラムDSM 9843(ProViva)、L.アシドフィルス DSM 13241(Arla A−fil)及びL.ラムノサス ATCC 53103(Valioヨーグルト)を用いた。1×10
7CFU/ml(100μl)の各株を、免疫細胞とともに37℃で20時間共インキュベートした。結果を
図2に示す。データは、CD4
+Foxp3
+T細胞の頻度を%で示す。
【0085】
結果から、L.プランタラム(SH1313、KS11及びY1An734)は、L.パラカゼイCNCM I−1518、L.プランタラムDSM 9843、L.アシドフィルス DSM 13241及びL.ラムノサス ATCC 53103を含む他の株よりも、Tregsを誘発する有意に強い潜在能力を有すること、即ち、これらのL.プランタラム株(L.プランタラム(SH1313、KS11、及びY1An734))は、顕著な抗炎症活性を有することが明らかとなった。
【0086】
統計評価は全てStatViewを用いて行い、データはノンパラメトリックなマンホイットニー検定を用いて評価した。
【0087】
5種の異なるラクトバチルス株の種間阻害:特定のラクトバチルス属の混合物は、それらの構成成分の株よりも有利な効果を有することを示す証拠が増えている。インビボにおける種々の相乗又は相加効果は、構成成分の株による起こり得る相互阻害によって影響を受けることが示唆されている。我々は、5種の異なるラクトバチルス;L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)が、インビトロで他の増殖を阻害するかどうかを調査した。この目的のために交叉培養アッセイを用いた。各株を1mlループを用いてMRS寒天上に画線した(3本の平行な画線)。画線が乾いた後、他の株をそれらの株と直角に画線し、株の組合せごとに3つの阻害領域を作った。試験株が2番目に画線した株の増殖を妨害した場合、それは阻害を意味する。結果を表2に示す。
【0088】
結果から、他の選択した細菌株の増殖を阻害する能力を、L.サリバリウスCW30及びL.ブレビスSH111は非常にわずかに有し、L.プランタラムSH1313、L.プランタラムKS11、L.プランタラムY1An734は有さないことが明らかになった。提案された複数株のラクトバチルスの調製物(L.サリバリウスCW30及びL.ブレビスSH111、L.プランタラムSH1313、L.プランタラムKS11及びL.プランタラムY1An734からなる)が広範囲の病原性C.ディフィシルの阻害を維持できる事実にも関わらず、細菌株混合物の治療効率に影響を与える構成成分の株間では阻害がない。
【0089】
ラクトバチルス株の抗生物質感受性:ラクトバチルスの抗生物質感受性は、種又は株依存的であることが示されている。従って、5種の異なるラクトバチルス、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)の抗生物質感受性を、ディスク拡散法を用いて調べた。ロゴサ寒天プレートをラクトバチルス株の新しく調製した培養物からの細菌とインキュベートした。ディスク拡散法をエリスロマイシン(15μg ディスク)、バンコマイシン(30μg ディスク)、及びメトロニダゾール(5μg ディスク)について行った。結果を表3に示す。「S」は感受性を表し、「R」は抵抗性を示す。
【0090】
抗生物質プロファイリングデータによって、L.サリバリウスCW30及びL.ブレビスSH111、L.プランタラムSH1313、L.プランタラムKS11及びL.プランタラムY1An734は全てマクロライド系抗生物質として知られる薬の1種であるエリスロマイシンに感受性であり、バンコマイシン又はメトロニダゾールに感受性の株はないことが明らかとなった。
【0091】
ラクトバチルス株のヒト腸細胞様Caco−2細胞への付着:ラクトバチルス株の腸粘膜への付着は、それらの腸管おける定着のための適切な特性の一つであり、そこでは、それらは他の細菌と競合する。ヒトの腸の細胞株Caco−2(結腸腺癌由来)は、完全に分化した場合、機能的な刷子縁微絨毛を有する成熟腸細胞の特徴が発達した、よく特徴づけられた細胞モデルである。Caco−2細胞株は、細菌の付着及び侵入を研究するために広く使用されている。
【0092】
近年の研究において、種々のラクトバチルス株のCaco−2細胞への付着が比較されている。Caco−2細胞を、100mmプラスチックペトリ皿で増殖させた。細胞を35mmディッシュに約5×10
5播種し、コンフルエンスした2週間後(十分に分化した細胞)に用いた。細菌細胞(5×10
8)を洗浄した単層細胞に添加し、37℃で1時間インキュベートした。我々は、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)並びに様々な市販の食品から単離した4種のラクトバチルス株;L.パラカゼイCNCM I−1518、L.プランタラムDSM 9843、L.アシドフィルス DSM 13241及びL.ラムノサス ATCC 53103を用いた。
【0093】
次いで、全ての単層をPBSで3回洗浄し、付着していない細菌を除去し、ギムザ染色用液で染色した。次いで、ディッシュを洗浄し、1時間乾燥し、油浸下で顕微鏡(倍率×100)で調査した。20個のランダムに選択した顕微鏡視野においてラクトバチルス株を計数し、平均した。
【0094】
図6に示すように、異なるラクトバチルス株のCaco−2細胞への付着には有意な変化があり、付着特性はラクトバチルスの共通した特徴ではないことを示した。L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)及びL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)は、最も強いCaco−2細胞への付着効率を示した。L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、及びL.パラカゼイCNCM I−1518の付着特性は少し弱いが、それらのCaco−2細胞への付着は、L.プランタラムDSM 9843、L.アシドフィルス DSM 13241、L.ラムノサス ATCC 53103の付着特性よりも依然として顕著なようである。
【0095】
サルモネラ及び大腸菌の株に対するラクトバチルス株の混合物の拮抗活性:我々は更に、5種のラクトバチルスの混合物;L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)の、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)、及び大腸菌(Escherichia coli)の増殖をインビトロで阻害する能力を評価した。ラクトバチルス株を、マン・ロゴサ・シャープ(MRS)培地で37℃で48時間培養した。サルモネラ及び大腸菌株を、ブレイン・ハート・インフュージョン(BHI)ブイヨンで37℃で24時間培養した。全ての細菌培養物を4℃で遠心し、ペレットを0.9%NaCl溶液で懸濁しマクファーランド比濁法で0.5の等濃度に調製した。サルモネラ又は大腸菌株の100μlの細胞懸濁液をウィルキンス・シャルグレン血液寒天プレートに播種し、広げた。各5種のラクトバチルス株の等しい量を含む混合物(同じ実験日に加えた)を、最終濃度1×10
7CFU/mlに調製した。10μlのラクトバチルス懸濁液を異なる線に画線した(約2cm)。プレートを37℃で48時間(5%CO
2で)インキュベートした。次いで成長阻害領域を測定した。
【0096】
表4に示すように、結果からL.サリバリウスCW30及びL.ブレビスSH111、L.プランタラムSH1313、L.プランタラムKS11及びL.プランタラムY1An734の混合物は、 サルモネラ・エンテリティディス、サルモネラ・チフィリウム、及び大腸菌の増殖を強く阻害することができることが明らかに示された。データは、更に、胃腸の病原性細菌に対するラクトバチルス混合物の抗細菌潜在能力を実証している。
【0097】
臨床事例
本発明は、スウェーデン、マルメ、スコーネ大学病院、感染性疾患部門(2013〜2014の間)で行われた、以下の臨床試験の例によって実証される。関連する例、材料及び手順は、本明細書に記載された本発明の範囲及び精神によって広く理解されるべきである。
【0098】
ケース1:クロストリジウム・ディフィシル感染症は、入院している罹患体における抗生物質療法に一般に伴う合併症である。進行中の肛門がん及びストーマ手術を伴う70歳の女性の罹患体は、創傷の問題のために幾つかの抗生物質の治療コースを受けている。彼女は、1年間再発したC.ディフィシル大腸炎を示し、メトロニダゾールで数回治療された後、段階的縮小計画でバンコマイシンで6週間治療した。再度、彼女は再発C.ディフィシル感染症(CDI)を発症した。
【0099】
方法:ラクトバチルス;L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)の混合物を作製した(各株等しい量)。1×10
12CFUを繊維質を多く含む滅菌した粥と併せた。次いで、組成物を浣腸溶液に混合し、直腸チューブによる結腸への注入を行った。治療は、3〜5日の間隔で5回行った。
【0100】
結果:3か月後に、罹患体は臨床的に及び細菌学的に治癒し、最後の治療後、最大1年間再発感染症の症状は示されなかった。
【0101】
ケース2:複合疾患の75歳の男性の罹患体。彼は、1年前、クリンダマイシン塩酸塩と呼ばれる抗生物質を含むダラシンによる長期治療の後、再発C.ディフィシル大腸炎を示した。彼は、メトロニダゾールの2回の治療コースの後、10日間のバンコマイシン治療を受けた。6か月の段階的縮小計画の後、彼は再発CDIを示した。彼は、病院での臨床研究で調製された健康的な提供者からの便を含む便微生物叢移植を受けた。更なる抗生物質による治療のコースの後、彼は再度、再発CDIを発症した。
【0102】
方法:5種のラクトバチルスの混合物を上記のように作成し、浣腸溶液を注入した。治療を7日の間隔で3回繰り返した。
【0103】
結果:罹患体は、数日後に臨床的に治癒し、最後の治療後、最大1年間再発感染症の症状は示されなかった。
【0104】
ケース3:55歳の女性の罹患体は、抗生物質による長期の治療の後、再発C.ディフィシル大腸炎を示した。彼女は、メトロニダゾールの2回の治療コースの後、10日間のバンコマイシン治療を受けた。6か月の段階的縮小計画の後、彼女は再発CDIを示した。
【0105】
方法:5種のラクトバチルスの混合物を上記のように作成し、浣腸溶液を注入した。治療を7日の間隔で3回繰り返した。
【0106】
結果:患者は、数日後に臨床的に治癒し、最後の治療後、最大1年間再発感染症の症状は示されなかった。
【0107】
ケース4:20歳の若い男性は、初期の胃腸炎の後、過敏性腸症候群(IBS)を発症した。彼は、健康的な提供者からの便を含む便微生物叢移植(病院での臨床研究で調製された)を2回受け、彼の症状の改善の兆候はなかった。
【0108】
方法:5種のラクトバチルスの混合物を上記のように作成し、浣腸溶液を注入した。治療を7日の間隔で3回繰り返した。
【0109】
結果:罹患体は、IBSの症状の優位な改善を示した。最後の治療後、最高1年間、臨床的悪化の症状は示されなかった。
【0110】
臨床試験の結果から、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)からなる細菌組成物が、重症の胃腸の疾病に苦しむ罹患体の治療に効果的であり、且つ比較的安全であることが実証された。
【0111】
具体的な実施形態
1.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0112】
2.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)及びL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0113】
3.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)及びL.プランタラムSH1313(LMG P−28884)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0114】
4.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)及びL.プランタラムKS11(LMG P−28885)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0115】
5.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0116】
6.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.プランタラムSH313(LMG P−28884)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0117】
7.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.プランタラムKS11(LMG P−28885)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0118】
8.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0119】
9.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)及びL.プランタラムKS11(LMG P−28885)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0120】
10.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0121】
11.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0122】
12.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0123】
13.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)及びL.プランタラムKS11(LMG P−28885)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0124】
14.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0125】
15.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0126】
16.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0127】
17.L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0128】
18.L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.プランタラムSH1313(LMG P−28884)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0129】
19.L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)及びL.プランタラムKS11(LMG P−28885)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0130】
20.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0131】
21.L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)及びL.プランタラムKS11(LMG P−28885)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0132】
22.L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0133】
23.L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)、L.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0134】
24.L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0135】
25.L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0136】
26.L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)及びL.プランタラムKS11(LMG P−28885)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0137】
27.L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0138】
28.L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0139】
29.L.プランタラムKS11(LMG P−28885)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0140】
30.L.プランタラムKS11(LMG P−28885)及びL.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0141】
31.L.ブレビスSH111(LMG P−28888)を含む、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
【0142】
32.胃腸の疾病が、下痢症、抗生物質関連下痢症(AAD)、胃腸炎、急性胃腸炎及び感染性下痢症である、前記実施形態の何れか1つに記載の使用のための組成物。
【0143】
33.胃腸の疾病が、クロストリジウム・ディフィシル、サルモネラ又は大腸菌による細菌感染症である、前記実施形態の何れか1つに記載の使用のための組成物。
【0144】
34.胃腸の疾病が、クロストリジウム・ディフィシル NAP1/027による感染症である、前記実施形態の何れか1つに記載の使用のための組成物。
【0145】
35.胃腸の疾病が、過敏性腸症候群(IBS)又は炎症性腸疾患(IBD)である、実施形態1〜32に何れか1つに記載の使用のための組成物。
【0146】
36.組成物は、経口的に投与される、前記実施形態の何れか1つに記載の使用のための組成物。
【0147】
37.組成物は、浣腸剤として投与される、前記実施形態の何れか1つに記載の使用のための組成物。
【0148】
38.組成物は、胃腸管上部への注入剤として投与される、前記実施形態の何れか1つに記載の使用のための組成物。
【0149】
39.ラクトバチルスの総量は、治療あたり10
9から10
13CFUであり、治療は、1週間に1度、少なくとも2回繰り返される、前記実施形態の何れか1つに記載の使用のための組成物。
【0150】
40.組成物は、凍結乾燥される、前記実施形態の何れか1つに記載の使用のための組成物。
【0151】
41.組成物は、繊維成分を更に含む実施形態40に記載の使用のための組成物。
【0152】
42.繊維成分は、オート麦繊維、小麦繊維、ライ麦繊維、チア繊維、トウモロコシ繊維、大麦繊維、ジャガイモ繊維、果実繊維、野菜繊維、穀物繊維及び藻類由来の繊維からなる群から選択される、実施形態41に記載の使用のための組成物。
【0153】
43.細菌は、粥、流動食、ポリッジ又はプディングに懸濁されている、実施形態40〜42の何れか1つに記載の使用のための組成物。
【0154】
44.粥は、オート麦粥である、実施形態43に記載の使用のための組成物。
【0155】
45.前記実施形態の何れか1つに記載の組成物を含む浣腸剤。
【0156】
46.L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)の単離株。
【0157】
47.L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)の単離株。
【0158】
48.L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)の単離株。
【0159】
49.L.プランタラムKS11(LMG P−28885)の単離株。
【0160】
50.L.ブレビスSH111(LMG P−28888)の単離株。
【0161】
51.クロストリジウム・ディフィシル NAP1/027による感染症の治療及び/又は予防における使用のためのL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)の単離株。
【0162】
52.クロストリジウム・ディフィシル NAP1/027による感染症の治療及び/又は予防における使用のための実施形態47〜50何れか1つに記載の単離株。
【0163】
53.実施形態1〜44の何れか1つに記載の組成物又は実施形態45に記載の浣腸剤又は実施形態46〜50の何れか1つに記載の単離株を投与することによる胃腸の疾病の治療及び/又は予防の方法
54.胃腸の疾病が、下痢症、抗生物質関連下痢症(AAD)、胃腸炎、急性胃腸炎及び感染性下痢症である、実施形態53に記載の治療及び/又は予防の方法。
【0164】
55.胃腸の疾病が、クロストリジウム・ディフィシル、サルモネラ又は大腸菌による細菌感染症である、実施形態53又は54に記載の治療及び/又は予防の方法。
【0165】
56.胃腸の疾病が、クロストリジウム・ディフィシル NAP1/027による感染症である、実施形態53〜55の何れか1つに記載の治療及び/又は予防の方法。
【0166】
57.胃腸の疾病が、過敏性腸症候群(IBS)又は炎症性腸疾患(IBD)である、実施形態53〜56の何れか1つに記載の治療及び/又は予防の方法。
【0167】
58.組成物は、経口的に投与される、実施形態53〜57の何れか1つに記載の治療及び/又は予防の方法。
【0168】
59.組成物は、浣腸剤として投与される、実施形態53〜58の何れか1つに記載の治療及び/又は予防の方法。
【0169】
60.組成物は、胃腸管上部への注入剤として投与される、実施形態53〜59の何れか1つに記載の治療及び/又は予防の方法。
【0170】
61.ラクトバチルスの総量は、治療あたり10
9から10
13CFUであり、治療は、1週間に1度、少なくとも2回繰り返される、実施形態53〜60の何れか1つに記載の治療及び/又は予防の方法。
【0171】
62.実施形態1〜44の何れか1つに記載の組成物又は実施形態45に記載の浣腸剤又は実施形態46〜50の何れか1つに記載の単離株の、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用。
【0172】
63.胃腸の疾病が、下痢症、抗生物質関連下痢症(AAD)、胃腸炎、急性胃腸炎及び感染性下痢症である、実施形態62に記載の使用。
【0173】
64.胃腸の疾病が、クロストリジウム・ディフィシル、サルモネラ又は大腸菌による細菌感染症である、実施形態62又は63に記載の使用。
【0174】
65.胃腸の疾病が、クロストリジウム・ディフィシル NAP1/027による感染症である、実施形態62〜64の何れか1つに記載の使用。
【0175】
66.胃腸の疾病が、過敏性腸症候群(IBS)又は炎症性腸疾患(IBD)である、実施形態62〜64の何れか1つに記載の使用。
【0176】
67.組成物は、経口的に投与される、実施形態62〜66の何れか1つに記載の使用。
【0177】
68.組成物は、浣腸剤として投与される、実施形態62〜66の何れか1つに記載の使用。
【0178】
69.組成物は、胃腸管上部への注入剤として投与される、実施形態62〜68の何れか1つに記載の使用。
【0179】
70.ラクトバチルスの総量は、治療あたり10
9から10
13CFUであり、治療は、1週間に1度、少なくとも2回繰り返される、実施形態62〜69の何れか1つに記載の使用。
【0180】
71.クロストリジウム・ディフィシル NAP1/027による感染症の治療及び/又は予防におけるL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)の単離株の使用。
【0181】
72.クロストリジウム・ディフィシル NAP1/027による感染症の治療及び/又は予防のための実施形態47〜50の何れか1つに記載の単離株の使用。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
少なくとも1種のラクトバチルス株を含み、前記ラクトバチルス株は、1種のL.サリバリウス株、3種のL.プランタラム株及び1種のL.ブレビス株からなる群から選択され、L.サリバリウス株はL.サリバリウスCW30(LMGP−28887)であり、L.プランタラム株はL.プランタラムY1An734(LMGP−28886)、L.プランタラムSH1313(LMGP−28884)及びL.プランタラムKS11(LMGP−28885)であり、L.ブレビス株はL.ブレビスSH111(LMGP−28888)である、胃腸の疾病の治療及び/又は予防における使用のための組成物。
[2]
前記組成物は、少なくとも1種のL.サリバリウス株を含み、前記L.サリバリウス株は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)である、[1]に記載の使用のための組成物。
[3]
前記組成物は、少なくともL.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、並びに株L.プランタラムY1An734(LMGP−28886)、L.プランタラムSH1313(LMGP−28884)、L.プランタラムKS11(LMGP−28885)及びL.ブレビスSH111(LMGP−28888)の少なくとも1種を含む、[1]又は[2]に記載の使用のための組成物。
[4]
前記組成物は、少なくともL.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMGP−28884)及びL.プランタラムKS11(LMGP−28885)を含む、[1]に記載の使用のための組成物。
[5]
前記胃腸の疾病は、炎症を含む、[4]に記載の使用のための組成物。
[6]
前記組成物は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)及びL.ブレビスSH111(LMGP−28888)を更に含む、[4]又は[5]に記載の使用のための組成物。
[7]
前記胃腸の疾病が、下痢症、抗生物質関連下痢症(AAD)、腸炎、急性胃腸炎及び感染性下痢症である、上記の何れか1つに記載の使用のための組成物。
[8]
前記胃腸の疾病が、クロストリジウム・ディフィシル、サルモネラ又は大腸菌による細菌感染症である、上記の何れか1つに記載の使用のための組成物。
[9]
前記胃腸の疾病が、クロストリジウム・ディフィシル NAP1/027による感染症である、上記の何れか1つに記載の使用のための組成物。
[10]
前記前記組成物は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)及びL.ブレビスSH111(LMGP−28888)を含む、[8]又は[9]に記載の使用のための組成物。
[11]
前記胃腸の疾病が、過敏性腸症候群(IBS)又は炎症性腸疾患(IBD)である、[1]から[7]までの何れか1つに記載の使用のための組成物。
[12]
前記組成物は、経口的に投与される、上記の何れか1つに記載の使用のための組成物。
[13]
前記組成物は、浣腸剤として投与される、組成物上記の何れか1つに記載の使用のための組成物。
[14]
前記組成物は、胃腸管上部への注入剤として投与される、上記の何れか1つに記載の使用のための組成物。
[15]
ラクトバチルスの総量は、治療あたり109から1013CFUであり、治療は、1週間に1度、少なくとも2回繰り返される、上記の何れか1つに記載の使用のための組成物。
[16]
前記組成物は、凍結乾燥される、上記の何れか1つに記載の使用のための組成物。
[17]
前記組成物は、繊維成分を更に含む、[16]に記載の使用のための組成物。
[18]
前記繊維成分は、オート麦繊維、小麦繊維、ライ麦繊維、チア繊維、トウモロコシ繊維、大麦繊維、ジャガイモ繊維、果実繊維、野菜繊維、穀物繊維及び藻類由来の繊維からなる群から選択される、[17]に記載の使用のための組成物。
[19]
前記細菌は、粥、流動食、ポリッジ又はプディングに懸濁されている、[16]〜[18]の何れか1つに記載の使用のための組成物。
[20]
前記粥は、オート麦粥である、[19]に記載の使用のための組成物。
[21]
L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)及びL.プランタラムKS11(LMGP−28885)を含むプロバイオティック組成物。
[22]
前記組成物は、L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)及びL.ブレビスSH111(LMGP−28888)を更に含む、[21]に記載のプロバイオティック組成物。
[23]
株L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMG P−28884)、L.プランタラムKS11(LMGP−28885)、L.サリバリウスCW30(LMGP−28887)及びL.ブレビスSH111(LMGP−28888)の細菌の混合物を含むプロバイオティック組成物。
[24]
前記細菌が等しい量で含まれる[23]に記載のプロバイオティック組成物。
[25]
上記の何れか1つに記載の組成物を含む浣腸剤。
[26]
L.サリバリウスCW30(LMG P−28887)、L.プランタラムY1An734(LMG P−28886)、L.プランタラムSH1313(LMGP−28884)、L.プランタラムKS11(LMGP−28885)及びL.ブレビスSH111(LMGP−28888)の群から選択される単離株。
[27]
クロストリジウム・ディフィシル NAP1/027による感染症の治療及び/又は予防における使用のためのL.サリバリウスの単離株であって、前記株はL.サリバリウスCW30(LMGP−28887)である単離株。
[28]
胃腸の疾病の治療及び/又は予防のための方法であって、前記方法は、[1]から[24]までの何れか1つに記載の組成物、[25]に記載の浣腸剤又は[26]に記載の単離細菌株の1種以上の薬学的効果量を、それを必要とする治療対象体に投与する工程を含む、方法。
[29]
胃腸の疾病の治療及び/又は予防のための医薬の調製のための、[1]から[24]までの何れか1つに記載の組成物、[25]に記載の浣腸剤又は[26]に記載の単離細菌株の1種以上の使用。