特許第6957470号(P6957470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957470
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】スムージングローラーアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/26 20060101AFI20211021BHJP
   B21D 1/08 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   B21D51/26 E
   B21D1/08
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-531296(P2018-531296)
(86)(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公表番号】特表2018-527195(P2018-527195A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】US2016049650
(87)【国際公開番号】WO2017044362
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年9月2日
(31)【優先権主張番号】62/215,452
(32)【優先日】2015年9月8日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514117427
【氏名又は名称】ベルヴァック・プロダクション・マシーナリー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BELVAC PRODUCTION MACHINERY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エス・ギアハート
(72)【発明者】
【氏名】エリカ・エス・ラヴ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・ミーダー
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−230230(JP,A)
【文献】 実公昭43−023717(JP,Y1)
【文献】 特開2003−285132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/26
B21D 1/08 ー 1/10
B21D 22/16
B21D 41/04
B21D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
狭窄ネック部分を有するネック付き物品を成形するためのターレットヘッドアセンブリであって、前記狭窄ネック部分は、略円筒形本体から延びる湾曲部分と、この湾曲部分から延びるテーパー部分と、を含み、前記ターレットヘッドアセンブリは、
少なくとも一つのスムージングローラーであって、この少なくとも一つのスムージングローラーのそれぞれは、それぞれの少なくとも一つのローラー支持部材上に回転可能に搭載され、前記少なくとも一つのスムージングローラーのそれぞれは、前記ネック付き物品の前記湾曲部分上のウィットネスマークと係合し、それを滑らかにするように構成された略凹状部分を有し、前記スムージングローラーはさらに羽根状部分を含み、前記羽根状部分は、漸進的に前記ネック付き部分の所望の形状から概ね後退しており、前記スムージングローラーは、略円筒形の上側部分をさらに含み、前記羽根状部分は、前記略凹状部分と前記上側部分とを橋渡ししており、前記略凹状部分は、前記物品の前記湾曲部分の所望の形状に対して相補的な形状を有しており、前記羽根状部分は、前記上側部分が前記物品の前記テーパー部分からスペースを空けるよう構成されるように、後退する直径を有する、少なくとも一つのスムージングローラーと、
上側リング部材および下側リング部材であって、前記上側および下側リング部材は、その中心に配置されたそれぞれの開口を含み、前記少なくとも一つのローラー支持部材は前記上側リング部材と前記下側リング部材との間で延在する、上側リング部材および下側リング部材と、
ターレットヘッド軸線を画定するターレットヘッドアセンブリ支持部材であって、このターレットヘッドアセンブリ支持部材は、前記上側リング部材の前記開口を通って延在する、ターレットヘッドアセンブリ支持部材と
を具備する、ターレットヘッドアセンブリ。
【請求項2】
前記少なくとも一つのスムージングローラーは、前記少なくとも一つのローラー支持部材によって画定されるローラー軸線の周りを自由に回転する、請求項1に記載のターレットヘッド。
【請求項3】
前記上側リング部材と前記下側リング部材との間に延在する少なくとも二つのリング間隔保持部材をさらに備える、請求項1に記載のターレットヘッドアセンブリ部材。
【請求項4】
前記少なくとも一つのローラー支持部材は、前記上側および下側リング部材に取り付けられている、請求項1に記載のターレットヘッドアセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも一つのローラー支持部材によって画定される軸線は、前記ターレットヘッド軸線に対して、ある角度で配置される、請求項1に記載のターレットヘッドアセンブリ。
【請求項6】
前記スムージングローラーはさらに、
前記テーパー部分上のウィットネスマークと係合し、それを滑らかにするように構成された第2のスムージング部分と、
少なくとも一つの羽根状部分と、
前記第1のスムージング部分と前記第2のスムージング部分との間の移行部分と
を含む、請求項1に記載のターレットヘッドアセンブリ。
【請求項7】
ネック付き物品を成形するための方法であって、前記方法は、
ターレットヘッドアセンブリによって、その上にウィットネスマークを有するネック付き物品を係合させるステップであって、前記ネック付き物品は、円筒形本体と、テーパーネック部分と、前記円筒形本体と前記テーパー部分とを橋渡しする湾曲部分と、を有し、前記ターレットヘッドアセンブリは、上側リング部材と、下側リング部材と、前記上側リング部材と前記下側リング部材との間に延在する少なくとも一つのローラー支持部材と、を含み、前記少なくとも一つのローラー支持部材のそれぞれは、その上に回転可能に搭載された少なくとも一つのスムージングローラーを有し、前記少なくとも一つのスムージングローラーは、前記ネック付き物品の前記湾曲部分の所望の形状に対して相補的な形状を有する凹状のスムージング部分を有し、前記少なくとも一つのスムージングローラーは、略円筒形の上側部分と、前記スムージング部分と前記上側部分とを橋渡しする羽根状部分と、をさらに含み、前記羽根状部分は、前記羽根状部分が前記物品から漸進的に後退するように、それによって前記上側部分が前記物品の前記テーパー部分からスペースを空けるよう構成されるように、後退する直径を有する、ステップと、
前記少なくとも一つのスムージングローラーが、前記少なくとも一つのローラー支持部材それぞれの周りを自由に回転するように、ターレットヘッド軸線の周りで前記ターレットヘッドアセンブリを回転させるステップと、
前記少なくとも一つのスムージングローラーのスムージング部分を前記ネック付き物品の前記湾曲部分と係合させ、これによって前記ネック付き物品の前記湾曲部分上のウィットネスマークを滑らかにするステップと
を備える方法。
【請求項8】
その上に前記ウィットネスマークを有する前記ネック付き物品をターレットスターホイールのポケット内に受け入れるステップをさらに備え、前記ターレットスターホイールは、前記ターレットヘッドアセンブリが前記ネック付き物品と係合する間、ターレットスターホイール軸線の周りを連続的に回転する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記ターレットヘッドアセンブリは、
前記上側リング部材と前記下側リング部材との間に延在する少なくとも二つのリング間隔保持部材と、
前記ターレットヘッド軸線を画定するターレットヘッドアセンブリ支持部材と
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記ネック付き物品は静止しており、前記方法は、カムフォロワ機構を使用して前記ネック付き物品と係合するように前記ターレットヘッド軸線に沿って前記ターレットヘッドアセンブリを軸方向に前進させるステップをさらに備える、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記ターレットヘッドアセンブリは軸方向に静止しており、カムフォロワ機構を使用して前記ターレットヘッドアセンブリと係合するように前記ターレットヘッド軸線に沿って前記ネック付き物品を軸方向に前進させるステップをさらに備える、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記ターレットヘッドアセンブリが連続的に回転する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる、2015年9月8日に出願された米国仮特許出願第62/215,452号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、容器表面を滑らかにするための装置および方法に関する。具体的には、本発明は、容器に隣接して連続的に回転することによって、例えば容器のネック部分を滑らかにするように構成されたスムージングローラーに関する。
【背景技術】
【0003】
業界では、さまざまなソフトドリンクおよび/またはビール用の飲料容器が、大量にかつ比較的経済的に実質的に同一の形状で製造されている。競合他社から自身の製品を差別化するのを促進するために独特の形状を有する経済的な容器を用いて製品を販売する要望が飲料製造業者の間で、ますます高まっている。
【0004】
従来の飲料容器は、典型的には、アルミニウムまたはアルミニウム合金シート、表面処理された鋼、それらの組み合わせなどから製造された、予備成形された、概ね円筒形の金属物品/容器から形成される。プリフォーム物品は、典型的には、所望の形状を実現するために、複数回の拡大または縮小の繰り返しを受ける。プリフォーム物品の開放端への複数回の直径方向の縮小は、例えば、ボトル形状の容器形態などにおいて、容器の狭いネック部分を形成するために実施することができる。容器を形成するために使用される金属に関連する制限のために、直径方向の縮小は漸進的にまたは漸進的「段階」でしか実施することができない。縮小の各段階では、通常、物品のネックに波打つ「ウィットネスマーク」が生じる。このウィットネスマークは最終製品において概して認識可能であり、これによってネック部分が審美的に満足できる滑らかな表面を有することを妨げるので、望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書に開示された実施形態の目的は、ウィットネスマークが実質的に、ほとんど認識できないかあるいはエンドユーザーにとって概ね認識できない滑らかなテーパーを有する審美的に好ましい成形物品を製造することである。実施形態は、形成された物品からウィットネスマークを滑らかにするための新規なシステムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される態様によれば、物品を形成するためのターレットヘッドアセンブリは少なくとも一つのスムージングローラーを含み、この少なくとも一つのスムージングローラーのそれぞれは、それぞれの少なくとも一つのローラー支持部材上に回転可能に搭載される。ターレットヘッドアセンブリはさらに上側リング部材および下側リング部材を含み、この上側および下側リング部材は、その中心に配置されたそれぞれの開口を含み、少なくとも一つのローラー支持部材は上側リング部材と下側リング部材との間で延在する。ターレットヘッドアセンブリはさらに、ターレットヘッド軸線を画定するターレットヘッドアセンブリ支持部材を含み、このターレットヘッドアセンブリ部材は上側および下側リング部材のそれぞれの開口を通って延在する。
【0007】
本明細書に開示されるさらなる態様によれば、ネック付き物品を形成するための方法は、ターレットヘッドアセンブリによって、その上にウィットネスマークを有するネック付き物品を係合させるステップであって、ターレットヘッドアセンブリは、上側リング部材と、下側リング部材と、上側リング部材と下側リング部材との間に延在する少なくとも一つのローラー支持部材とを含み、少なくとも一つのローラー支持部材のそれぞれは、その上に回転可能に搭載された少なくとも一つのスムージングローラーを有し、少なくとも一つのスムージングローラーは、ネック付き物品のネック付き部分の所望の形状に対して相補的な形状を有するスムージング部分を有するステップを含む。当該方法はさらに、少なくとも一つのスムージングローラーが、それぞれの少なくとも一つのローラー支持部材の周りを自由に回転するように、ターレットヘッド軸線の周りでターレットヘッドアセンブリを回転させるステップを含む。当該方法はさらに、少なくとも一つのスムージングローラーのスムージング部分をネック付き物品のネック付き部分の少なくとも一部と係合させ、これによってネック付き物品上のウィットネスマークを滑らかにするステップを含む。
【0008】
本発明の上記およびその他の可能性は、本発明それ自体と共に、以下の図面、詳細な説明および特許請求の範囲を検討した後に、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態による物品を形成するための機械ラインを示す図である。
図2A】一実施形態によるプリフォーム物品を示す図である。
図2B図2Aのプリフォーム物品から形成されたネック付き物品を示す図であり、ネック形成作業中の直径縮小の繰り返しから生じる可視ウィットネスマークを含んでいる。
図2C】本開示の態様に従った、ウィットネスマークが滑らかにされた後の図2Bのネック付き物品を示す図である。
図3】本開示の態様に従った、スムージングローラーを含むターレットヘッドアセンブリを示す図である。
図4図3のターレットヘッドアセンブリの断面図である。
図5】本開示のさらなる態様に従った、スムージングローラー構造の断面図である。
図6】本開示のその上さらなる態様に従った、スムージングローラー構造の断面図である。
図7】本開示のその上またさらなる態様に従った、スムージングローラー構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明はさまざまな変更および代替形態が可能であるが、特定の実施形態が図面に例として示されており、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本発明は開示された特定の形態に限定されることを意図するものではないことを理解されたい。むしろ、本発明は、特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨および範囲内に入る全ての変更、等価物および代替物をカバーする。
【0011】
本発明は多くの異なる形態で実施可能であるが、本開示は本発明の原理の例示とみなされるべきでありかつ本発明の広範な態様を図示の実施形態に限定することを意図しないという理解の下に、本発明の好ましい実施形態が図面に示されかつ詳細に説明される。以下の詳細な説明の目的に関して、(特に断らない限り)単数形は複数形を含み、逆もまた同様である。「および」ならびに「または」との語句は共に接合的でありかつ離接的でなければならない。「全て」との語句は「いずれかおよび全て」を意味する。「いずれか」という語句は「いずれかおよび全て」を意味する。「含む」という語句は「制限なしに含む」を意味する。さらに、単数の語句「一つ」、「ある」および「その」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0012】
既存の容器拡大および縮小プロセスおよび装置は多くの重大な制限を受ける。特に、例えば、容器を直径方向に拡大または縮小するために使用されるプロセスおよびツールは、バンプ、波、ウィットネスマーク(witness mark)などを含み得る不均一な表面をもたらす可能性がある。このような不均一な表面は、例えば滑らかな表面のように審美的に満足できるものではないため望ましくない。
【0013】
本開示の態様によれば、物品(例えば容器)の直径方向の拡大および縮小プロセスを改善するための装置および方法が記載される。本明細書に記載された実施形態は直径方向縮小プロセスに関して説明されているが、スムージングローラーおよびそれを使用する方法はまた、物品の拡大プロセスまたは不均一な(例えば滑らかではない)容器表面を生じる、何らかのその他のプロセスに関連して適用可能であると考えられる。
【0014】
本明細書に記載される物品は、缶、適切な食品または飲料容器、ビン、ボトルまたはその他の適切な物品であってもよい。物品は、閉鎖端部と反対側の開放端部と、開放端部および閉鎖端部を橋渡しする側壁とを有する。代替的に、物品は、両端部において開放されていてもよい。拡大または縮小プロセスの後、物品に、上面材、蓋またはその他の閉鎖材を付加することができる。
【0015】
単に例示のために、以下の説明では、容器に関して使用するために縮小装置および方法について説明する。本明細書で説明される方法および装置は、適切な物品と共に使用できることが認識されるであろう。
【0016】
ここで図1を参照すると、物品を成形するための例示的な機械ライン102が示されている。機械ライン102は複数のモジュール103を含む。各モジュール103は、物品を下流に送る前に、受け取った物品10に対して少なくとも一つの作業ステップを実行するように構成される。モジュール103は、概して、物品に加工作業を実施するように構成された一つ以上の成形ターレットを含む。成形ターレットは、概して、複数のポケットを有する少なくとも一つの成形スターホイール(例えば成形ターレット21)と、それぞれのポケット内の物品に加工作業を実施するように構成された工具とを含む。
【0017】
モジュール103は、概して、その上に複数のポケットを有する少なくとも一つの移送スターホイール(例えば移送スターホイール20)をさらに含む。ポケットは、上流のスターホイールから物品を受け取り、この物品を下流のスターホイールに輸送するように構成される。任意選択で再循環システムを使用することができる。例示的な再循環システムは、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれるPCT/US2015/018119に記載されている。
【0018】
ここで図2Aを参照すると、プリフォーム物品200aが示されている。プリフォーム物品200aは、開放端部202を有する略円筒形本体201aを含む。プリフォーム物品200aが下流に移送されると、開放端部202に対して加工作業が実施される。
【0019】
図2Bは、略円筒形本体201bから延びる狭窄ネック部分204を含むネック付き物品200bを示している。図示された実施形態によれば、ネック部分204は、湾曲部分204aおよびテーパー部分204bを有する。ネッキング処理の間、プリフォーム物品200a(図2A参照)の開放端部202は、段階的に直径方向に縮小されてネック部分204を形成する。ネッキング処理は、ネック付き物品200bの誤成形または破損を防止するのを助けるために段階的に実施される。ネッキング処理の各段階中の工具とネック部分204との係合は、各直径方向縮小に関して、少なくとも一つの可視ウィットネスマーク206を生じる。したがって、湾曲部分204aおよびテーパー部分204bのそれぞれは複数のウィットネスマーク206を含むことがある。
【0020】
ここで図2Cを参照すると、滑らかなネック付き物品200cが示されている。滑らかなネック付き物品200cは、図2Bのネック付き物品200bのウィットネスマーク206を滑らかにすることによって製造される。スムージングは、ウィットネスマーク206が滑らかなネック付き物品200cに実質的にほとんど認識できないかあるいは概ね認識できないように、ネック付き部分208の湾曲部分208aおよび/またはテーパー部分208bのウィットネスマーク206を低減しまたは排除する。
【0021】
図3は、本開示の態様によるターレットヘッドアセンブリ300の一例を示している。ターレットヘッドアセンブリ300は、独立して回転するスムージングローラー302と、ローラー支持部材304(図4参照)と、上側リング部材306aと、下側リング部材306bと、リング間隔保持部材308と、ターレットヘッドアセンブリ支持部材310とを含む。スムージングローラー302のそれぞれは、それぞれのローラー支持部材304に回転可能に取り付けられている。スムージングローラー302は、ローラー支持部材304によって画定されたローラー軸線の周りを自由に回転する。ターレットヘッドアセンブリ300は、適切な数のスムージングローラー302を含むことができる。一実施形態では、ターレットヘッドアセンブリ300は三つのスムージングローラー302を含む。別の実施形態では、ターレットヘッドアセンブリ300は五つのスムージングローラー302を含む。
【0022】
図4は、図3のターレットヘッドアセンブリの断面図を示している。上側リング部材306aおよび下側リング部材306bは、それを通ってターレットヘッドアセンブリ支持部材310が延在する、その中心に配置されたそれぞれの孔307を含む。図4に示すように、ローラー支持部材304は、上側リング部材306aと下側リング部材306bとの間に延びている。ローラー支持部材304は、適切な方法を使用してリング部材306a,306b上に取り付けることができる。例えば、ローラー支持部材304の各端部は、上側および下側リング部材306a,306bのリセスに収容されるように構成されてもよい。これに加えて、またはこれに代えて、ファスナー305を使用して、ローラー支持部材304を上側リング部材306aおよび下側リング部材306bに固定することができる。ファスナー305は、上側および下側リング部材306a,306bの孔を通って延在し、ローラー支持部材304のそれぞれの端部に係合することができる。これに加えて、または代替的に、ローラー支持部材304の端部ならびに上側リング部材および下側リング部材306a,306bのそれぞれのリセスは、ローラー支持部材304が上側および下側リング部材306a,306bに螺合するようにネジが切られてもよい。
【0023】
リング間隔保持部材308は、上側リング部材306aと下側リング部材306bとの間に延びる。リング間隔保持部材308は、上側リング部材306aを下側リング部材306bから所定の距離だけ離して配置しかつ維持するように構成される。リング間隔保持部材308は、例えば、ローラー支持部材304に関して上述したようなさまざまな方法を使用して、上側および下側リング部材306a,306bに取り付けられてもよい。
【0024】
ターレットヘッドアセンブリ支持部材310は、ターレットヘッドアセンブリ300を成形ターレット(例えば図1の成形ターレット21)上で支持するように構成される。ターレットヘッドアセンブリ300は、ターレットヘッドアセンブリ支持部材310によって画定されるターレットヘッド軸線を中心として回転するように構成される。いくつかの実施形態では、ターレットヘッドアセンブリ300は、約200RPMを超える速度で回転する。いくつかの実施形態では、ターレットヘッドアセンブリ300は、ターレットヘッドアセンブリ300がターレットヘッドアセンブリ支持部材310の回転から独立してターレットヘッド軸線の周りを回転するように、ターレットヘッドアセンブリ支持部材310に回転可能に取り付けられる。いくつかの実施形態では、ターレットヘッドアセンブリ300は、ターレットヘッドアセンブリ支持部材310の回転に伴ってターレットヘッドアセンブリ300がターレットヘッド軸線の周りを回転するように、ターレットヘッドアセンブリ支持部材310に回転不可能に取り付けられる。
【0025】
図示の実施形態に示すように、ローラー支持部材304の軸線は、ターレットヘッドアセンブリ支持部材310およびターレットヘッド軸線に対して、ある角度で配置することができる。図3および図4に示されるもののようなローラー支持部材304の非平行な角度は、有利なことには、スムージングローラー302によって必要とされるクリアランスを減少させることによって、ターレットヘッドアセンブリ300の全体直径を減少させるために使用されてもよい。
【0026】
任意選択的に、ターレットヘッドアセンブリ300は、保護カバーならびに上側および下側リング部材306a,306bが内部にスムージングローラー302を有するキャビティを形成するように、概ね上側リング部材306aおよび下側リング部材306bの周囲に配置されると共にそれらの間に延在する取り外し可能な保護カバー(図示せず)をさらに含んでいてもよい。有利なことに、保護カバーは、概して、デブリまたはその他の障害物がターレットヘッドアセンブリ300に入るのを防止することによって、機械の安全性を高め、かつ/またはそのメンテナンスを減少させることができる。
【0027】
図4に示すように、ターレットヘッドアセンブリ支持部材310は、ネック付き物品200bのネック部分204内に延びるように構成される。有利なことに、ターレットヘッドアセンブリ300は、トリミング、フランジ加工、カーリング、ネジ切りなどの、ネック付き物品200bへの作業を同時に実施するために工具を含むことができる。いくつかの実施形態では、工具は、ターレットヘッドアセンブリ支持部材310に取り付けられる。いくつかの実施形態では、工具は、ターレットヘッドアセンブリ支持部材308と一体的に形成される。
【0028】
図示された実施形態では、リング間隔保持部材308は、上側および下側リング部材306a,306bのそれぞれのリセス内にに受け入れられる。リング間隔保持部材308の端部と上側および下側リング部材306a,306bとの係合により、上側および下側リング部材306a,306b間の間隔が決定される。リング支持部材308は、ファスナー312を使用して上側および下側リング部材306a,306bに固定される。ファスナー312は、上側および下側リング部材306a,306b内の通路を通って延び、リング間隔保持部材のネジ孔と係合する
【0029】
スムージングローラー302はローラー支持部材304に回転可能に取り付けられる。ボールベアリング、テーパーベアリング、ボールベアリング、ブシュなどの適切な回転可能なマウントを使用することができる。図示の例では、スムージングローラー302は、ローラー支持部材304のシャフト315に沿って配置されたベアリング314を用いて、ローラー支持部材304に回転可能に取り付けられる。
【0030】
ローラー支持部材304は、このローラー支持部材304の上側端部に拡大部分316を含む。拡大部分316は、上側ベアリング314と係合して、ベアリング314の上方移動を阻止するように構成される。拡大部分316は、上側リング部材306aのそれぞれのリセス内に受け入れられる。
【0031】
取り外し可能なカラー318が、拡大部分316に対向して、ローラー支持部材304のシャフト315の周りに配置される。カラー318は、ベアリング314の下方への移動を阻止するために、下側ベアリング314と係合するように構成される。カラー318は、下側リング部材306bのそれぞれのリセス内に収容される。拡大部分316を第2のカラー318と置き換えることが可能であると考えられる。
【0032】
ファスナー305は、ローラー支持部材304を下側リング部材306bに固定する。ファスナー305は、ローラー支持部材304内の通路を通って延びる。
【0033】
スムージングローラー302は、孔320と、成形部分322とを含む。孔320は、その中にベアリング314を受け入れるように構成されたスムージングローラー302の各端部に配置された開口324を含む。開口324は、ベアリング314と係合して、ベアリング314の内向きの移動を阻止する(すなわち上側ベアリング314が下方に移動するのを阻止すると共に下側ベアリング314が上方に移動するのを阻止する)ように構成される。
【0034】
スムージングローラー302の成形部分322は、湾曲部分204aまたはテーパー部分204b(図2B参照)のような物品のネック部分204の少なくとも一部と係合するように構成されている。図3および図4の実施形態では、成形部分322は、湾曲部分204aおよびその上の滑らかなウィットネスマーク306のみと係合するように構成される。成形部分322は、スムージング部分322aと、羽根状(feathrered)部分322bとを有する。スムージング部分322aは、滑らかにされるネック部分204の所望の形状に対して相補的な形状を有する。例えば、例示された実施形態のスムージング部分322aは、スムージング部分322aと物品の湾曲部分204aとの係合が、ウィットネスマーク206の隆起した「山」からウィットネスマーク間の「谷」へ物質を移動させるように湾曲させられる。これにより、スムージングローラー302のスムージング部分322aに沿って、物品の概ね滑らかな表面が得られる。羽根状部分322bは、スムージングローラー302による付加的なウィットネスマークの形成を抑制するように構成される。羽根状部分322bは、変位させられた材料が被係合部分に隣接する物品の形状へと円滑に組み込まれるように、漸進的な特性で、物品の所望の形状から概ね後退している。
【0035】
ここで、本開示の態様によるターレットヘッドアセンブリ300を用いた滑らかなネック付き物品200cの成形について、例示的な作業サイクルを用いて説明する。ターレットヘッドアセンブリ300は機械ライン100内の機械の一つに組み込まれる。ウィットネスマーク206をその上に有するネック付き物品200bはターレットスターホイールのポケットによって受け入れられる。ターレットスターホイールがターレットスターホイール軸線の周りを連続的に回転する間に、ターレットヘッドアセンブリ300はネック付き物品200bと係合して、滑らかなネック付き物品200cを形成する。いくつかの実施形態では、ネック付き物品200bは静止しており、ターレットヘッドアセンブリ300が、例えばカムフォロア装置を使用してネック付き物品200bと係合するようにターレットヘッド軸線に沿って軸方向に前進させられる。いくつかの実施形態では、ターレットヘッドアセンブリ300は軸方向に固定され、ネック付き物品200bが、例えばカムフォロア装置を使用してターレットヘッドアセンブリ300と係合するようにターレットヘッド軸線に沿って軸方向に前進させられる。いくつかの実施形態では、ネック付き物品200bおよびターレットヘッドアセンブリ300の両方が、ネック付き物品200bをスムージングローラー302と係合させるために、ターレットヘッド軸線に沿って軸方向に前進させられる。
【0036】
係合中、ターレットヘッドアセンブリ300は、ターレットヘッド軸線を中心に回転する。ターレットヘッドアセンブリ300のこの回転運動により、スムージングローラー302は、そのそれぞれのローラー支持部材304の周りを自由に回転する。ターレットヘッドアセンブリ300の回転中、スムージングローラー302のスムージング部分322aは、ウィットネスマーク206の山から離れるように材料を移動させることによって、ネック付き物品を滑らかにするようにウィットネスマーク206と係合する。いくつかの実施形態では、ターレットヘッドアセンブリ300は、独立したモータによってターレットヘッド軸線の周りを回転させられる。いくつかの実施形態では、ターレットヘッドアセンブリ300は、形成ターレットの回転がその上に取り付けられたターレットヘッドアセンブリ300を回転させるように遊星歯車構造となっている。いくつかの実施形態では、ターレットヘッドアセンブリ300は、ターレットヘッドアセンブリ300および/またはネック付き物品200bの軸方向の移動中に連続的に回転する。有益なことに、このような連続的な回転は、ウィットネスマーク206のより一貫したスムージングにつながるであろう。スムージングローラー302とウィットネスマーク206とのより漸進的な係合によって、より一貫したスムージングが生じると考えられる。
【0037】
有益なことに、スムージングローラー302と滑らかなネック付き物品200cとの係合は、滑らかなネック付き物品200cへのターレットヘッドアセンブリ300から離れる力を発生させる。この力は、追加のノックアウトまたは類似の機構の必要性を伴わずに、滑らかなネック付き物品200cのアンローディングを助ける。
【0038】
ここで図5を参照すると、本開示のさらなる態様によるスムージングローラー形態500の断面が示されている。図示の実施形態では、ローラー支持部材504は、ターレットヘッド軸線503と略平行に配置されている。スムージングローラー502は、スムージング部分522aと、羽根状部分522bとを含む。スムージング部分522aは、図3のスムージング部分322aと略同様の形状を有しているが、図5のスムージングローラー502の形状は、ローラー支持部材504の配向によって異なる。さらに、スムージングローラー形態500の全体直径は、図3のスムージングローラー形態よりも大きい。なぜなら、ローラー支持部材504はターレットヘッド軸線503と略平行であるからである。
【0039】
ここで図6を参照すると、別の実施形態によるスムージングローラー形態600の断面が示されている。図示の実施形態では、スムージングローラー602は、ネック付き物品200bのテーパー部分と係合するように構成される。スムージングローラー602は、スムージング部分622aと、羽根状部分622bとを有する。スムージング部分622aは、ネック部分204のテーパー部分204b上に配置されたウィットネスマーク206と係合し、それを滑らかにするように構成される。羽根状部分622bは、図3および図4に関して上述した羽根状部分322bと同様に構成される。
【0040】
ここで図7を参照すると、さらに別の実施形態によるスムージングローラー形態700の断面が示されている。図示の実施形態では、スムージングローラー702は、ネック付き物品204bの湾曲部分204aおよびテーパー部分204bの両方と係合するように構成される。スムージングローラー702は、第1のスムージング部分740と、第2のスムージング部分742と、羽根状部分744と、第1のスムージング部分740と第2のスムージング部分742との間の移行部分746とを含む。第1のスムージング部分740は、ネック付き物品200bの湾曲部分204a上のウィットネスマーク206と係合し、それを滑らかにするよう構成される。第2のスムージング部分742は、ネック付き物品200bのテーパー部分204b上のウィットネスマーク206と係合し、それを滑らかにするよう構成される。羽根状部分744は、図3および図4に関して上述した羽根状部分322aと同様に構成される。
【0041】
移行部分746は、湾曲およびテーパー部分204a,204b上のウィットネスマーク206の山から離れるような材料の移動を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、移行部分746はネック付き物品200bと係合しない。その代わりに、移行部分746は、変位させられる材料が集まる領域を提供するために、ネック付き物品200bの所望の形状から離れて配置される。有益なことに、ネック付き物品200bに係合させないことによって、移行部分746は、概して、湾曲部分204aとテーパー部分204bとの間のネック部分204上に付加的なウィットネスマーク206を生成しない。
【0042】
有益なことに、本明細書で開示されるターレットヘッドアセンブリは、既存の機械ライン100内の既存のモジュールに追加することができる。有益なことに、スムージングローラーの自由回転は、ターレットヘッドアセンブリの長寿命化に、そして工具または非回転部材と比較して、さらなる異常の発生を発生させる可能性の低減に寄与する。
【0043】
成形された物品のネック付き部分204のスムージングは円柱強度の増加に寄与し得ると考えられる。
【0044】
本発明を一つ以上の特定の実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、それに対して数多くの変更を施し得ることを認識するであろう。これらの実施形態およびそれらの明らかな変形形態のそれぞれは本発明の趣旨および範囲内に含まれるものと考えられる。本発明の態様による追加の実施形態では、本明細書に記載された実施形態のいずれかからの任意の数の特徴を組み合わせることが可能であると考えられる。
【符号の説明】
【0045】
10 物品
20 移送スターホイール
21 成形ターレット
100 機械ライン
102 機械ライン
103 モジュール
200a プリフォーム物品
200b 物品
200c 物品
201a 略円筒形本体
201b 略円筒形本体
202 開放端部
204 狭窄ネック部分
204a 湾曲部分
204b テーパー部分
206 ウィットネスマーク
208 ネック付き部分
208a 湾曲部分
208b テーパー部分
300 ターレットヘッドアセンブリ
302 スムージングローラー
304 ローラー支持部材
305 ファスナー
306 ウィットネスマーク
306a 上側リング部材
306b 下側リング部材
307 孔
308 リング間隔保持部材
310 ターレットヘッドアセンブリ支持部材
312 ファスナー
314 ベアリング
315 シャフト
316 拡大部分
318 第2のカラー
320 孔
322 成形部分
322a スムージング部分
322b 羽根状部分
324 開口
502 スムージングローラー
503 ターレットヘッド軸線
504 ローラー支持部材
522a スムージング部分
522b 羽根状部分
602 スムージングローラー
622a スムージング部分
622b 羽根状部分
702 スムージングローラー
740 第1のスムージング部分
742 第2のスムージング部分
744 羽根状部分
746 移行部分
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7