特許第6957478号(P6957478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957478
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/291 20210101AFI20211021BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20211021BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20211021BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20211021BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20211021BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20211021BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20211021BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20211021BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20211021BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20211021BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20211021BHJP
【FI】
   H01M50/291
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/647
   H01M10/6557
   H01M10/6563
   H01M50/209
   H01M50/262 M
   H01M50/264
   H01M50/289 101
   H01M50/593
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-536932(P2018-536932)
(86)(22)【出願日】2017年5月9日
(86)【国際出願番号】JP2017017452
(87)【国際公開番号】WO2018042763
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2020年4月7日
(31)【優先権主張番号】特願2016-167394(P2016-167394)
(32)【優先日】2016年8月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】岡田 渉
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛頌
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雄佑
(72)【発明者】
【氏名】長根 健之
(72)【発明者】
【氏名】小島 将
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−251124(JP,A)
【文献】 特開2014−238928(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/104013(WO,A1)
【文献】 特開2016−119259(JP,A)
【文献】 特開2016−031901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/291
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/647
H01M 10/6557
H01M 10/6563
H01M 50/209
H01M 50/262
H01M 50/264
H01M 50/289
H01M 50/593
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面の幅よりも厚さの薄い外形を角形とする複数の電池セルと、
前記電池セルの間に配設してなる絶縁材の成形体であるセパレータと、
前記セパレータで絶縁された前記電池セルを、前記主面同士が対向する姿勢で複数個積層してなる電池積層体の両端に配置してなる一対のエンドプレートと、
一対の前記エンドプレートを締結するバインドバーとを備え、
前記セパレータは、両側に積層される前記電池セルの底面に配置される絶縁リブ部を両面に突出して設けており、
前記電池セルの両面に積層してなる前記セパレータの前記絶縁リブ部が、前記電池セルの底面で積層されており、
積層される一方の前記絶縁リブ部が挿入溝を有し、他方の絶縁リブ部が前記挿入溝に挿入される挿入リブを有し、前記挿入リブが前記挿入溝に挿入されて、前記絶縁リブ部が積層されて前記電池セルの底面に沿面距離をU曲状とする前記絶縁リブ部を配置してなり、
前記バインドバーが金属板で、金属製の前記バインドバーが、前記絶縁リブ部の下面に配置してなる水平プレート部を有し、
前記水平プレート部と前記絶縁リブ部との間に絶縁シートが配置され、前記絶縁シートが金属製の前記水平プレート部と前記絶縁リブ部との間を絶縁してなることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項に記載される電源装置であって、
前記バインドバーが、前記水平プレート部に連結されて前記電池セルの側面に配置される側面プレートを有し、
前記側面プレートの少なくとも底部の表面と前記水平プレート部の表面とに連続する絶縁シートを配置してなることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
主面の幅よりも厚さの薄い外形を角形とする複数の電池セルと、
前記電池セルの間に配設してなる絶縁材の成形体であるセパレータと、
前記セパレータで絶縁された前記電池セルを、前記主面同士が対向する姿勢で複数個積層してなる電池積層体の両端に配置してなる一対のエンドプレートと、
一対の前記エンドプレートを締結するバインドバーとを備え、
前記セパレータは、両側に積層される前記電池セルの底面に配置される絶縁リブ部を両面に突出して設けており、
前記電池セルの両面に積層してなる前記セパレータの前記絶縁リブ部が、前記電池セルの底面で積層されており、
積層される一方の前記絶縁リブ部が挿入溝を有し、他方の絶縁リブ部が前記挿入溝に挿入される挿入リブを有し、前記挿入リブが前記挿入溝に挿入されて、前記絶縁リブ部が積層されて前記電池セルの底面に沿面距離をU曲状とする前記絶縁リブ部を配置してなり、
前記セパレータが、前記電池セルの側面に接触して前記電池セルを定位置に配置する位置決めリブを表面に突出して設けており、
前記位置決めリブが、上面を電池セルの外周から中心部に向かって下り勾配に傾斜する形状としてなることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
主面の幅よりも厚さの薄い外形を角形とする複数の電池セルと、
前記電池セルの間に配設してなる絶縁材の成形体であるセパレータと、
前記セパレータで絶縁された前記電池セルを、前記主面同士が対向する姿勢で複数個積層してなる電池積層体の両端に配置してなる一対のエンドプレートと、
一対の前記エンドプレートを締結するバインドバーとを備え、
前記セパレータは、両側に積層される前記電池セルの底面に配置される絶縁リブ部を両面に突出して設けており、
前記電池セルの両面に積層してなる前記セパレータの前記絶縁リブ部が、前記電池セルの底面で積層されており、
積層される一方の前記絶縁リブ部が挿入溝を有し、他方の絶縁リブ部が前記挿入溝に挿入される挿入リブを有し、前記挿入リブが前記挿入溝に挿入されて、前記絶縁リブ部が積層されて前記電池セルの底面に沿面距離をU曲状とする前記絶縁リブ部を配置してなり、
前記バインドバーが金属板で、前記絶縁リブ部の下面に配置してなる水平プレート部を有し、
前記絶縁リブ部が、前記バインドバーの前記水平プレート部と前記電池セルの底面との間に配置されて、前記セパレータの下部の両端部に配置され、
さらに、前記セパレータは、底縁の両端部に設けてなる両側の絶縁リブ部の間に、前記電池セルの底面に接触して前記電池セルを定位置に配置する位置決めリブを表面に突出して設けており、
前記絶縁リブ部と前記位置決めリブとの間に排水隙間を設けてなることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項に記載される電源装置であって、
前記セパレータが、底部の両端部に配設してなる前記絶縁リブ部の間に、複数の前記位置決めリブを設けており、前記位置決めリブの間に排水隙間を設けてなることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項1ないしのいずれかに記載される電源装置であって、
前記セパレータが、前記電池セルの外周面に接して前記電池セルを定位置に配置する位置決めリブを有し、
前記位置決めリブの電池セル外周面との接触面に、前記電池セルの外周面に押圧されて変形する変形リブを設けてなることを特徴とする電源装置。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれかに記載される電源装置であって、
前記セパレータが前記電池セルとの間に風路を設けてなることを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれかに記載される電源装置であって、
前記電池セルが金属製の外装缶を有し、前記外装缶の表面金属を露出してなる前記電池
セルの間に前記セパレータを配置してなることを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池セルをセパレータを介して積層してなる電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池セルを備える電源装置が車両の駆動用電源等の用途で利用されている。このような電源装置は、複数の電池セルと、複数のセパレータと、一対のバインドバーと、一対のエンドプレートとを備えている。それぞれのセパレータは、隣接する電池セルの間に配設されて、隣の電池セルを絶縁状態に配置している。複数の電池セルと複数のセパレータが交互に積層されて電池積層体を形成している。電池セルの積層方向における電池積層体の両端面は、エンドプレートを配置している。両端面に配置しているエンドプレートで連結されて、電池セルを積層状態に固定している。電池セルは、金属製の外装缶に、正負の電極板と電解液を封入しているので、外装缶が電位を有する。このため、隣接する電池セルの結露水による漏電を防止するために、外装缶の表面を絶縁する必要がある。例えば、電池セルの底面は、結露した水滴が流れ込む部分であるため、外装缶の底面同士の絶縁を図る必要がある。また、電池セル同士を積層した電池積層体を締結状態に維持するために、金属板のバインドバーで連結されるが、金属製のバインドバーと電池セルとの間も絶縁する必要がある。
【0003】
このような絶縁構造として、例えば、外装缶の表面にPET等の樹脂製の絶縁シートを被覆する構成が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。具体的には、熱収縮により外装缶の表面に密着状態で被覆させることができるシュリンクチューブがこのような絶縁シートとして採用されている。しかしながら、このような絶縁シートによって外装缶を被膜する構成では、予め絶縁シートを各電池セルに対して被膜しなければならない。そのため、このような構成に、作業性の低下や製造コストの高騰などの問題があった。さらに、外装缶の表面を絶縁シートで絶縁する電池セルにおいても、絶縁シートが破損することがあるので、絶縁シートのみの絶縁では十分な安全性を確保できないこともある。
【0004】
電池セルの底面の絶縁性を改善するために、プラスチック製のセパレータに、電池セルの底面を被覆する絶縁リブ部を一体的に成形して設ける構造が開発されている。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−033668号公報
【特許文献2】特開2008−166191号公報
【特許文献3】特開2010−287550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3の電源装置は、図9の分解斜視図に示すように、セパレータ92の底縁に沿って、電池セル91の底面をカバーする絶縁リブ部93を両側に突出して設けている。このセパレータ92を電池セル91の間に配置して積層する電池積層体は、絶縁リブ部93でもって底面の絶縁性を改善できる。しかしながら、この電池積層体は、電池セル91の底面において、両側に配置しているセパレータの絶縁リブ部93の繋ぎ目ができ、この繋ぎ目に結露水が浸入するので、電池セル底面の沿面距離が短くなって、漏電を効果的に阻止できない欠点がある。電源装置は、セパレータに設けた絶縁リブ部の下に、金属製のバインドバー、外装ケース、冷却プレート等が配置されるので、繋ぎ目の隙間に結露水が浸入すると沿面距離が短くなって漏電を効果的に阻止できない弊害がある。とくに、電池セルの表面に冷却空気を強制的に送風して冷却する電源装置は、冷却空気に含まれる水分が低温の電池セルの外装缶の表面に結露して漏電しやすくなる弊害が発生する。また、表面を絶縁シートで被覆しない電池セルは、表面の結露水が漏電の原因となり、さらに、表面の絶縁シートが局部的に破損して、表面に付着する結露水が漏電の原因となる弊害が発生する。
【0007】
本発明は、さらに以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、極めて簡単な構造としながら、電池セル底面の沿面距離を長くして結露水などに起因する漏電を効果的に防止できる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明の電源装置は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。電源装置は、主面1Xの幅よりも厚さの薄い外形を角形とする複数の電池セル1と、電池セル1の間に配設してなる絶縁材の成形体であるセパレータ2と、セパレータ2で絶縁された電池セル1を、主面1X同士が対向する姿勢で複数個積層してなる電池積層体9の両端に配置してなる一対のエンドプレート4と、一対の前記エンドプレート4を締結するバインドバー5とを備え、セパレータ2は、両側に積層される電池セル1の底面1Tに配置される絶縁リブ部21を両面に突出して設けており、電池セル1の両面に積層してなるセパレータ2の絶縁リブ部21が、電池セル1の底面1Tで積層されている。積層される一方の絶縁リブ部21が挿入溝22を有し、他方の絶縁リブ部21が挿入溝22に挿入される挿入リブ23を有し、挿入リブ23が挿入溝22に挿入されて、絶縁リブ部21が積層されて電池セル1の底面1Tに沿面距離をU曲状とする絶縁リブ部21を配置している。
【0009】
以上の電源装置は、極めて簡単な構造としながら、電池セル底面の沿面距離を長くして結露水などに起因する漏電を効果的に防止できる特徴がある。それは、以上の電源装置が、電池セルの底面に、両側に積層しているセパレータに設けている絶縁リブ部を積層して、多層に積層している絶縁リブ部でもって、電池セルの底面の沿面距離を長くしているからである。とくに、以上の電源装置は、積層される一方の絶縁リブ部に挿入溝を設け、他方の絶縁リブ部には挿入溝に挿入される挿入リブを設けて、挿入リブを挿入溝に挿入することで絶縁リブ部を多層に積層するので、結露水に起因する漏電をより効果的に阻止して、極めて高い安全性を実現できる。それは、挿入溝に挿入リブを挿入することで、沿面距離をU曲状としてさらに長くできるからである。また、挿入溝に挿入リブを挿入することで、挿入溝と挿入リブとの隙間を狭くでき、さらに、狭い隙間を維持できることから、挿入溝と挿入リブの間に浸入する結露水の水膜を薄くして漏電抵抗をさらに大きくできる特徴も実現する。
【0010】
従来の電源装置は、電池セルの外装缶を絶縁するために、外装缶の表面を熱収縮チューブで被覆して底面を絶縁していたが、本発明の積層構造の絶縁リブ部による絶縁構造は、熱収縮チューブよりも厚くでき、さらに積層構造によって沿面距離を飛躍的に長くでき、さらにまたセパレータに設けた絶縁リブ部によって強靭な絶縁構造を実現できる。したがって、外装缶の表面に結露水が付着し、これが底面に流れ落ちて発生する結露水による絶縁特性の低下を、熱収縮チューブに比較して飛躍的に改善できる。とくに、絶縁リブ部を多層に積層する独特の構造で沿面距離を著しく長くできるので、仮に結露水が流れ落ちて積層している絶縁リブ部の隙間に浸入しても、長い沿面距離によって絶縁抵抗の低下を少なくできる特徴がある。本発明の電源装置は、以上の優れた絶縁特性によって、外装缶の表面を熱収縮チューブで絶縁しない電池セルを使用して優れた絶縁特性を実現でき、結露水による絶縁抵抗の低下を効果的に抑制できる。このため、熱収縮チューブを使用しない電池セルを使用する電源装置を、結露水の発生しやすい悪い外的条件下においても安全に使用できる特徴を実現する。また、熱収縮チューブを使用しない電池セルは、材料コストと製造コストの両方を削減して安価に多量生産できるので、この電池セルを使用して製造される電源装置は、全体のコストを低減しながら優れた絶縁特性を実現できる特徴がある。両側に絶縁リブ部を設けるセパレータは、プラスチックを一体成形して安価に多量生産できるからである。
【0011】
多数の電池セルを積層して電池積層体とする電源装置は、車両に搭載されて走行モータに電力を供給する電源として多用される。この用途の電源装置は、使用される温度範囲が極めて広く、外的条件の極めて悪い環境においても使用され、さらに、漏電による使用制限が生命に関わる厳しい環境においても使用されることから、漏電による使用制限を少なくして、厳しい環境においても安全に使用できることが特に大切である。さらに、この用途の電源装置は、電池の温度を一定に保持するために、電池の表面に冷却用の空隙を設けることから、電池表面が空気に接触して、空気中の水分の結露を皆無にはできない。表面に付着する結露水は導電性があって漏電の原因となる。とくに、外装缶の表面に付着する結露水は底面に流れて底部で漏電の原因となる。
【0012】
以上の電源装置は、電池セルの底面に絶縁リブ部を積層して、この部分で発生する漏電を効果的に防止する。とくに、挿入溝に挿入リブを挿入することで、沿面距離をU曲状として長くして漏電を防止するので、仮に結露水が電池の底面に流れ落ちて、電池の下方に配置している金属製のバインドバーやケースに接触する状態においても、結露水が長い沿面距離を介して金属製のバインドバーなどに接触するので、絶縁抵抗を大きくできる。このため、仮に結露水による漏電が発生したとしても、漏電による弊害を極めて少なくできる特徴がある。
【0013】
本発明の電源装置は、バインドバー5が金属板で、金属製のバインドバー5が、絶縁リブ部21の下面に配置してなる水平プレート部5Aを有し、水平プレート部5Aと絶縁リブ部21との間に絶縁シート7を配置し、絶縁シート7で金属製の水平プレート部5Aと絶縁リブ部21との間を絶縁することができる。
【0014】
以上の電源装置は、電池セルの底面をより有効に絶縁して、結露水による絶縁抵抗の低下をさらに少なくできる特徴がある。それは、積層された絶縁リブ部で絶縁特性を改善し、さらに、絶縁リブ部と金属製バインドバーの水平プレート部との間を絶縁シートで絶縁するからである。
【0015】
本発明の電源装置は、バインドバー5が、水平プレート部5Aに連結されて電池セル1の側面1Sに配置される側面プレート部5Xを有し、側面プレート部5Xの少なくとも底部の表面と水平プレート部5Aの表面とに連続する絶縁シート7を配置することができる。
【0016】
以上の電源装置は、絶縁シートでもって、電池セル側面と金属製バインドバーとの間をより有効に絶縁できる特徴がある。
【0017】
本発明の電源装置は、セパレータ2が、電池セル1の側面1Sに接触して電池セル1を定位置に配置する位置決めリブ24を表面に突出して設け、この位置決めリブ24が、上面を電池セル1の外周から中心部に向かって下り勾配に傾斜する形状とすることができる。
【0018】
以上の電源装置は、位置決めリブの上面に結露水が溜まることがなく、結露水をスムーズに流下して排水できる特徴がある。
【0019】
本発明の電源装置は、バインドバー5を金属板として、絶縁リブ部21の下面に配置してなる水平プレート部5Aを有し、絶縁リブ部21を、バインドバー5の水平プレート部5Aと電池セル1の底面1Tとの間に配置して、セパレータ2の下部の両端部に配置し、さらに、セパレータ2が、底縁の両端部に設けてなる両側の絶縁リブ部21の間に、電池セル1の底面1Tに接触して電池セル1を定位置に配置する位置決めリブ24を表面に突出して設けて、絶縁リブ部21と位置決めリブ24との間に排水隙間29を設けることができる。
【0020】
以上の電源装置は、絶縁リブ部と位置決めリブとの間に設けた排水隙間でもって、電池セルの底部に流れ落ちる結露水を速やかに排出できる。このため、結露水が底部に溜まって絶縁特性を低下させることがなく結露水による絶縁特性の低下をより確実に阻止できる特徴がある。
【0021】
本発明の電源装置は、セパレータ2が、底部の両端部に配設してなる絶縁リブ部21の間に、複数の位置決めリブ24を設けており、位置決めリブ24の間に排水隙間29を設けることができる。
【0022】
以上の電源装置は、複数の位置決めリブでもって、電池セルを正確に定位置に配置しながら、複数の位置決めリブの間に設けた排水隙間でもって、電池セルの底部に流れ落ちる結露水を速やかに排出できる。このため、結露水が底部に溜まって絶縁特性を低下させることがなく結露水による絶縁特性の低下をより確実に阻止できる特徴がある。
【0023】
本発明の電源装置は、セパレータ2が、電池セル1の外周面1Rに接して電池セル1を定位置に配置する位置決めリブ24を有し、位置決めリブ24の電池セル外周面1Rとの接触面に、電池セル1の外周面1Rに押圧されて変形する変形リブ25を設けることができる。
【0024】
以上の電源装置は、各々の位置決めリブを、寸法誤差のある電池セルの外周面に接触させて、遊びなく正確に定位置に配置できる特徴がある。電池セルを正確に定位置に配置できる電源装置は、電池セルの電極端子に厚い金属板のバスバーを無理なく固定できる特徴がある。また、電池セルの電極端子に金属板のバスバーをレーザー溶接する構造にあっては、電極端子とバスバーとの相対的な位置ずれを少なくして、安定してレーザー溶接して接続できる特徴がある。
【0025】
本発明の電源装置は、セパレータ2が電池セル1との間に風路6を備えることができる。
【0026】
さらに、本発明の電源装置は、電池セル1が金属製の外装缶11を有し、外装缶11の表面金属を露出してなる電池セル1の間にセパレータ2を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施例にかかる電源装置の斜視図である。
図2図1に示す電源装置のII−II線断面図である。
図3図1に示す電源装置のIII−III線断面図である。
図4】セパレータの一部拡大斜視図である。
図5図4に示すセパレータの背面斜視図である。
図6】セパレータの絶縁リブ部の積層構造を示す拡大断面図である。
図7】セパレータの変形リブを示す要部拡大斜視図である。
図8】バインドバーの斜視図である。
図9】従来の電源装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施例にかかる電源装置を図1図3に示している。これらの図の電源装置100は、外形を角形とする複数の電池セル1と、複数の電池セル1の間に挟まれて、電池セル1を絶縁するセパレータ2と、セパレータ2で絶縁された電池セル1を、主面1X同士が対向する姿勢で複数個積層している電池積層体9と、この電池積層体9の両端に配置しているエンドプレート4と、両端のエンドプレート4を連結しているバインドバー5とを備えている。
【0029】
(電池セル1)
電池セル1は、幅広面である主面1Xの外形を四角形とするリチウムイオン二次電池で、主面1Xの幅よりも厚さを薄くしている。ただし、本発明の電源装置は、電池セル1をリチウムイオン二次電池には特定しない。電池セル1には現在使用され、これから開発される全ての二次電池、たとえばリチウムイオン二次電池以外の非水系電解液二次電池やニッケル水電池セルなども使用できるからである。
【0030】
電池セル1は、正負の電極板を積層している電極体(図示せず)を金属製の外装缶11に収納して電解液を充填して気密に密閉したものである。外装缶11は、底を閉塞する四角い筒状に加工したもので、上方の開口部を金属板の封口板で気密に閉塞している。外装缶11は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を深絞り加工して製作される。
封口板は、外装缶11と同じように、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。封口板は、外装缶11の開口部に挿入されて、封口板の外周と外装缶11の内周との境界にレーザービームを照射して、封口板を外装缶11にレーザー溶接して気密に固定している。
【0031】
電池セル1は、封口板の両端部に正負の電極端子13を突出させて固定している。正負の電極端子13は、金属板のバスバー(図示せず)に接続されて、電池セル1を直列に接続している。電池セル1を直列に接続する電源装置100は、出力電圧を高くして出力を大きくできる。ただし、電源装置は、電池セル1を並列と直列に接続することもできる。
【0032】
(セパレータ2)
セパレータ2は、絶縁材を使用して全体を一体構造に成形して製作される。絶縁材は熱可塑性のプラスチックである。プラスチック製のセパレータ2は、優れた絶縁特性を実現しながら安価に多量生産できる。ただし、本発明はセパレータの絶縁材をプラスチックには特定しない。たとえば、成形できる他の全ての絶縁材、たとえばセラミックや紙なども使用できる。セパレータ2は、互いに積層される電池セル1の間に挟まれて、隣の電池セル1を絶縁して一定の間隔離して定位置に配置する。
【0033】
図2図5に示すセパレータ2は、全体を絶縁材の熱可塑性プラスチックで一体成形して製作される。これ等の図に示すセパレータ2は、積層される電池セル1の主面1X間に挟まれる本体プレート部20と、本体プレート部20の下縁に連結してなる絶縁リブ部21とを一体構造に成形している。
【0034】
本体プレート部20は、電池セル1の間に挟まれて、電池セル1表面との間に、冷却気体を送風するための風路6を設けるので、互いに平行に両面に複数の送風溝30を設けている。送風溝30は本体プレート部20の両側まで伸びて、電池セル1の主面1Xとの間に両端を開口する風路6を設けている。風路6は、冷却ファン(図示せず)から冷却用の空気を強制送風して、温度上昇した電池セル1を表面から冷却する。冷却ファンは、電池温度の上昇が検出されることによって運転されて、電池セル1を設定温度に保持する。車両に搭載される電源装置100は、室内又は車外の空気を冷却空気として風路6に強制送風して電池セル1を冷却する。
【0035】
絶縁リブ部21は、本体プレート部20の両面に突出して、電池セル1の底面1Tに配置される。図1の電源装置100は、図2図3の断面図に示すように、絶縁リブ部21の下方に金属製のバインドバー5の水平プレート部5Aを配置する。この電源装置100の絶縁リブ部21は、電池セル1の底面1Tを金属製の水平プレート部5Aから絶縁する。このことを実現するために、絶縁リブ部21は、電池セル底面1Tに配設される。バインドバー5の水平プレート部5Aは、電池積層体9の両側、すなわち、電池セル底面1Tの両端部に配置されるので、絶縁リブ部21は少なくとも本体プレート部20下縁の両端部に設けられる。図5に示すセパレータ2は、絶縁リブ部21を本体プレート部20下縁の両端部にのみ設けている。この絶縁リブ部21は、金属製の水平プレート部5Aから電池セル底面1Tを確実に絶縁するために、水平プレート部5Aよりも更に内側に伸びる横幅としている。この構造のセパレータ2は、両端に設けた絶縁リブ部21の間に排水隙間29を設けて、排水隙間29でもって電池セル底部の結露水を速やかに排出できる特徴がある。また、図4に示すセパレータ2は、絶縁リブ部21を本体プレート部20下縁の全体に沿って設けている。この絶縁リブ部21は、電池セル1の底面1Tのほぼ全体を被覆して、電池セル底面1Tをバインドバー5の水平プレート部5Aから絶縁している。ただ、セパレータは、本体プレート部の両面に突出して設ける絶縁リブ部を、本体プレート部下縁の両端部にのみ設けることも、本体プレート部下縁の全体に設けることもできる。
【0036】
本体プレート部20の両面に突出する絶縁リブ部21は、互いに電池セル1の底面1Tで積層されて、電池セル底面1Tと、下方に配置される金属、図の電源装置100にあっては金属製の水平プレート部5Aとの沿面距離を長くする。電池セル1の底面1Tにおいて、電池セル1の両面に積層しているセパレータ2の絶縁リブ部21が積層される。図2図6の断面図に示すセパレータ2は、一方の絶縁リブ部21には挿入溝22を、他方の絶縁リブ部21には挿入溝22に挿入される挿入リブ23を設けて、挿入リブ23を挿入溝22に挿入して、2枚の絶縁リブ部21を3層構造で積層している。この絶縁リブ部21は、電池セル1底面1TにU曲状の隙間を設けて、電池セル底面1Tにおける金属製の水平プレート部5Aとの沿面距離を長くする。
【0037】
図2図6の断面図に示す電源装置100は、本体プレート部20を電池セル1の主面1Xの右側に積層しているセパレータ2の絶縁リブ部21には挿入溝22を設け、電池セル1の主面1Xの左側に積層している本体プレート部20に連結している絶縁リブ部21には挿入リブ23を設けている。このセパレータ2は、図4図5に示すように、本体プレート部20の表面から左側に突出する絶縁リブ部21には挿入溝22を設けて、右側に突出する絶縁リブ部21には挿入リブ23を設けている。
【0038】
一方の絶縁リブ部21に挿入溝22を、他方の絶縁リブ部21に挿入リブ23を設けて、挿入リブ23を挿入溝22に挿入して絶縁リブ部21を積層する構造は、2枚の絶縁リブ部21を定位置に連結しながら、絶縁リブ部21の隙間にできる水路をU曲状として沿面距離を長くできる。とくに、この構造の絶縁リブ部21は、挿入溝22を深く、挿入リブ23を長くして、挿入リブ23を挿入溝22に挿入する距離を長くして、沿面距離をより長くできる。図6のセパレータ2は、挿入溝22の深さ(D)を絶縁リブ部21の最大幅(H)の約1/2と深くして沿面距離を長くしている。さらに、挿入溝22に挿入リブ23を挿入する構造は、挿入溝22の内面と挿入リブ23との隙間を著しく狭くしながら、実質的にはほとんど隙間なく密着する状態で挿入できるので、この隙間に流入する水膜を極限まで薄くできる。このため、仮にこの隙間に結露水が浸入する状態においても、結露水による絶縁抵抗を相当に大きくできる特徴がある。挿入溝22に挿入リブ23を挿入する絶縁リブ部21は、沿面距離を長くするために、好ましくは挿入溝22の深さ(D)を絶縁リブ部21の最大幅(H)の1/4以上、さらに好ましくは1/3以上とする。
【0039】
なお、図6においては、絶縁リブ部21の積層構造をわかりやすくするために、挿入溝22の内面と挿入リブ23との隙間を誇張して表示している。ただ、実際には、前述のように、挿入溝22の内面と挿入リブ23との隙間は、実質的にはほとんど隙間なく密着する状態となっている。なお、本明細書において、積層される絶縁リブ部21(例えば、挿入溝22の内面と挿入リブ23)が隙間なく密着するとは、これ等の間を水が通過しない程度に接近している状態であって、空気が通過できる程度の隙間が空いていても良い。
【0040】
さらに、セパレータ2は、本体プレート部20の両面に突出して、電池セル1を定位置に配置する位置決めリブ24を一体成形して設けている。図3図5のセパレータ2は、本体プレート部20の四隅部と下縁とに位置決めリブ24を設けている。電池セル1は各々の位置決めリブ24の内側に嵌め込まれて定位置に配置される。電池セル1は、本体プレート部20の両側に設けている位置決めリブ24の間に配置されて、左右の位置ずれが阻止され、本体プレート部20の、上部と下部に設けている位置決めリブ24の間に配置されて、上下の位置ずれが阻止される。
【0041】
図3図5のセパレータ2は、本体プレート部20の下部の両側には、端部の位置決めリブ24Aを設け、さらに端部の位置決めリブ24Aの間には、複数の中間の位置決めリブ24Bを設けている。図5に示すセパレータ2は、本体プレート部20下縁の両端部にのみ絶縁リブ部21を設けており、両端に設けた絶縁リブ部21の間には、本体プレート部20の下縁から突出して複数の中間の位置決めリブ24Bを設けている。これらの中間の位置決めリブ24Bの間には、結露水の排水隙間29を設けている。
【0042】
端部の位置決めリブ24Aは、電池セル1の横方向の位置ずれを確実に阻止するために、水平方向に伸びる2列の水平リブ24aを上下に離して設け、上下の水平リブ24aを垂直リブ24bで連結して、垂直リブ24bの表面に突出する変形リブ25を設けている。本体プレート部20の下部の両側に設けた端部の位置決めリブ24Aは、図3図5に示すように、上側の水平リブ24aの上面を、中央部に向かって下り勾配に傾斜する形状としている。この位置決めリブ24は、電池セル表面から結露水が上面に流れ落ちても、スムーズに流して上面に溜めることなく排出できる特徴がある。図3図5のセパレータ2は、絶縁リブ部21と位置決めリブ24との間にも排水隙間29を設けて、この隙間からも結露水を速やかに排出できる構造としている。
【0043】
電池セル1は、製造工程において外形に寸法誤差ができる。主面1Xの高さと横幅に寸法誤差のある電池セル1を、上下左右の位置決めリブ24で挟んで定位置に配置するために、位置決めリブ24は、電池セル1の外周面1Rとの接触面に突出して、電池セル1の外周面1Rに押圧されて変形する細幅の変形リブ25を一体成形して設けている。
【0044】
変形リブ25を図2の断面図と図7の拡大斜視図に示している。これらの図の変形リブ25は、電池セル1の外周面1Rに押されて変形するように、幅の狭い山形の凸条としている。変形リブ25は、最小寸法の電池セル1の外周面1Rを押圧して定位置に配置するために、山形凸条の先端縁を、最小寸法の電池セル1に接触する位置に配置している。最小寸法よりも大きい電池セル1が位置決めリブ24の間に配置されると、変形リブ25が電池セル1の外周面1Rに押圧されて変形し、電池セル1を上下左右で挟んで位置ずれしないように定位置に保持する。
【0045】
図2の断面図に示すように、本体プレート部20の下縁に沿って設けられて電池セル1の底面1Tを保持する複数の中間の位置決めリブ24Bは、上面に設けた変形リブ25を本体プレート部20の下縁部まで延長している。この変形リブ25は、電池セル底面1Tに接触する。したがって、この変形リブ25は、電池セル1の底面1Tに押圧されて変形し、電池セル1が上下の位置ずれしないように定位置に保持する。
【0046】
(エンドプレート4)
エンドプレート4は、電池積層体9の両端に配設されて、電池セル1を積層方向に加圧して固定できる強度のプレート状で、バインドバー5に連結されて、電池セル1を加圧状態に固定する。図2に示す電源装置100は、金属製のエンドプレート4と電池積層体9との間にセパレータ2Xを配置している。エンドプレート4と電池積層体9との間に挟まれるセパレータ2Xは、本体プレート部20Xの片面、すなわち電池積層体9との対向面にのみ絶縁リブ部21と位置決めリブを設けている。
【0047】
(バインドバー5)
バインドバー5は、図1に示すように、両端をエンドプレート4に連結して、エンドプレート4を介して電池積層体9を締結する。バインドバー5は金属板をプレス加工して製作される。このバインドバー5には、鉄などの金属板、好ましくは、鋼板が使用できる。
図1図8のバインドバー5は、電池積層体9の側面に配置される側面プレート部5Xと、この側面プレート部5Xの両端部にあってエンドプレート4の外側端面に配置されてエンドプレート4に止具19を介して固定される固定部5Cとを備えている。側面プレート部5Xは、下縁を内側に折曲して電池積層体9の底面の両側、すなわち電池セル底面1Tの両端部を支持する水平プレート部5Aを設けている。金属製の水平プレート部5Aは、電池セル底面1Tとの間に配置される絶縁リブ部21を介して電池セル1から絶縁される。
【0048】
金属板のバインドバー5と電池セル1との絶縁特性をさらに改善するために、絶縁リブ部21とバインドバー5との間には絶縁シート7が配置される。図8のバインドバー5は、内面に絶縁シート7を貼り付けてバインドバー5の内面を絶縁している。このバインドバー5は、水平プレート部5Aの内面から側面プレート部5Xの下部に伸びる幅の絶縁シート7を接着している。水平プレート部5Aの内面に接着される絶縁シート7は、水平プレート部5Aの内縁からさらに内側に突出する横幅として、水平プレート部5Aの全面をカバーして絶縁している。バインドバー5に絶縁シート7を接着する構造は、絶縁シート7を位置ずれしないように定位置に配置して、バインドバー5の内面をより確実に絶縁できる特徴がある。下部に絶縁シート7を接着しているバインドバー5は、電池セル1の表面から下部に流れ落ちる結露水に起因する絶縁抵抗の低下を効果的に防止できる。とくに外装缶11の表面を絶縁材の熱収縮チューブで被覆しない電池セル1において、金属製の外装缶11とバインドバー5との絶縁をより確実にできる特徴がある。
【0049】
さらに、金属製のバインドバー5は、側面プレート部5Xの外周縁部を除く内部に送風開口5Dを設けて、冷却気体を電池積層体9の風路6に送風できる形状としている。金属製のバインドバー5の側面プレート部5Xは、電池セル1の側面1Sから離して配置されて、電池セル1の外装缶11から絶縁され、また冷却空気の送風隙間28を設けている。このことを実現するために、図3のセパレータ2は、本体プレート部20の両側に設けている端部の位置決めリブ24Aの内側に電池セル1を配置して、この位置決めリブ24の外側にバインドバー5を配置する。バインドバー5を定位置に配置するために、セパレータ2は、本体プレート部20の四隅部に、本体プレート部20の側面1Sから突出する位置に垂直壁26を一体成形して設けている。
【0050】
図3図5のセパレータ2は、垂直壁26を端部の位置決めリブ24Aの垂直リブ24bと絶縁リブ部21とを連結する形状に成形している。本体プレート部20の下部に設けている垂直壁26は、上縁を端部の位置決めリブ24Aの上側の水平リブ24aに連結して、下縁を絶縁リブ部21の外側縁に連結している。本体プレート部20の上部に設けている垂直壁26は、下縁を端部の位置決めリブ24Aの下側の水平リブ24aに連結して、上縁を本体プレート部20の上縁に設けている水平壁27に連結している。この構造の垂直壁26は、水平方向に伸びるリブで水平方向の曲げ強度を向上して、垂直壁26の外側に位置ずれしないようにバインドバー5を配置できる。バインドバー5は、垂直壁26の外側に接触するように配置されて、セパレータ2の本体プレート部20の両側縁の外側に配置される。
【0051】
電池セル1は、その両側の外周面1Rをセパレータ2の両側縁よりも内側に配置されるので、バインドバー5の側面プレート部5Xから離して配置される。バインドバー5が、セパレータ2の両側縁の外側に配置されるので、このセパレータ2を電池セル1の間に積層している電源装置100は、バインドバー5の側面プレート部5Xと電池セル1の両側の外周面1Rとの間に隙間を設けて、電池セル1の両側の側面1Sを金属板のバインドバー5から絶縁して、送風隙間28を設けることができる。この電源装置100は、バインドバー5と電池セル1との間に隙間を設けてバインドバー5から電池セル1を絶縁し、さらに、側面プレート部5Xの下部は絶縁シート7でもって結露水による絶縁抵抗の低下を防止する。
【0052】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明した。ただ、上記の実施例は、本発明の技術思想を具体化するための好ましい例示であって、本発明は上記のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。特に実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の電源装置は、大電力が要求される車両のモータに電力を供給する電源装置や、自然エネルギーや深夜電力を蓄電する蓄電装置に最適に使用される。
【符号の説明】
【0054】
100…電源装置、1…電池セル、1X…主面、1R…外周面、1S…側面、1T…底面、2…セパレータ、2X…セパレータ、4…エンドプレート、5…バインドバー、5X…側面プレート部、5A…水平プレート部、5C…固定部、5D…送風開口、6…風路、7…絶縁シート、9…電池積層体、11…外装缶、13…電極端子、19…止具、20…本体プレート部、20X…本体プレート部、21…絶縁リブ部、22…挿入溝、23…挿入リブ、24…位置決めリブ、24A…端部の位置決めリブ、24B…中間の位置決めリブ、24a…水平リブ、24b…垂直リブ、25…変形リブ、26…垂直壁、27…水平壁、28…送風隙間、29…排水隙間、30…送風溝、91…電池セル、92…セパレータ、93…絶縁リブ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9