特許第6957479号(P6957479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6957479遠心分離機のための取り外し可能装置及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957479
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】遠心分離機のための取り外し可能装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B04B 9/08 20060101AFI20211021BHJP
   B04B 11/02 20060101ALI20211021BHJP
   B04B 5/02 20060101ALI20211021BHJP
   B04B 13/00 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   B04B9/08
   B04B11/02
   B04B5/02 Z
   B04B13/00
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-538044(P2018-538044)
(86)(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公表番号】特表2018-529520(P2018-529520A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】US2016052853
(87)【国際公開番号】WO2017062176
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年9月11日
(31)【優先権主張番号】14/879,163
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518119928
【氏名又は名称】インベテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】フィッツパトリック イアン
(72)【発明者】
【氏名】ロブ マーク
(72)【発明者】
【氏名】キュージック アダム
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ ティム
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−206006(JP,A)
【文献】 特表2013−506556(JP,A)
【文献】 特表平06−505674(JP,A)
【文献】 特表2005−503244(JP,A)
【文献】 特表2002−540907(JP,A)
【文献】 特開昭57−147462(JP,A)
【文献】 特表平11−504857(JP,A)
【文献】 特開昭54−064893(JP,A)
【文献】 米国特許第04221322(US,A)
【文献】 米国特許第04056224(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00 − 15/12
A61M 1/00 − 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
入口と出口とを含む少なくとも1つの容器と、
歯車の回転が前記容器を回転させるように前記容器の少なくとも一部分に固定的に取り付けられ、駆動システムによって回転されるように構成された歯車と、
前記歯車に回転可能に取り付けられ、前記駆動システムによって回転されるように構成されたハンドルアセンブリであって、開口部を含み、前記歯車の少なくとも一部分がこの開口部を通して前記駆動システムの少なくとも一部分に係合する前記ハンドルアセンブリと、
前記ハンドルアセンブリを通って前記容器まで延びる複数のチューブであって、この複数のチューブのうちの1つが前記容器の前記入口に接続され、この複数のチューブのうちの1つが前記容器の前記出口に接続された前記複数のチューブと、
を含み、
前記歯車は、前記装置が材料を前記少なくとも1つの容器内で懸濁させるためにボウルに挿入された時に、前記ハンドルアセンブリの速度の2倍で回転される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ハンドルアセンブリの上側部分内に位置付けられた第1の軸受と、前記ハンドルアセンブリの下側部分内に位置付けられた第2の軸受とを更に含み、前記複数のチューブは、前記軸受の各々を通って延びる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、前記ボウルに挿入され、かつそこから取り出されるように構成され、また、1回の使用後に廃棄されるように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のチューブは、4つのチューブを含み、これら4つのチューブは、前記材料を含有する流体が前記少なくとも1つの容器に出入りすることを可能にするように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの容器は、第1の容器及び第2の容器を含み、これらの容器は、2つの対向するプレートによって形成される、ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
各容器は、第1の端部及び対向する第2の端部を有し、各容器の前記第1の端部は、前記入口であり、各容器の前記第2の端部は、前記出口であり、前記第1の端部の直径は、前記第2の端部の直径よりも小さ、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数のチューブは、4つのチューブを含み、各チューブが、可撓性の材料で形成され、かつ流体を収容する少なくとも1つのリザーバに、前記流体が流れることを可能にするように接続される、ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記4つのチューブのうちの第1のチューブは、前記第1の容器の前記第1の端部に接続され、前記4つのチューブの第2のチューブは、前記第2の容器の前記第1の端部に接続され、前記4つのチューブの第3のチューブは、前記第1の容器の前記第2の端部に接続され、前記4つのチューブの第4のチューブは、前記第2の容器の前記第2の端部に接続される、ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記流体は、各容器内にその第1の端部を通って流入し、かつ各容器からその第2の端部を通って流出する、ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
向流遠心分離を実行する方法であって、
2つの離間した容器と、ハンドルアセンブリと、流体を収容する少なくとも1つのリザーバから前記ハンドルアセンブリを通って前記容器のうちの少なくとも1つまで各々が延びる4つのチューブと、を含む装置をボウル内に挿入する段階と、
流体を前記リザーバから前記4つのチューブのうちの2つの中にポンピングする段階と、
材料を前記容器内で前記流体中に懸濁させるように、少なくとも2つの対向する前記容器を前記ハンドルアセンブリの回転速度の2倍で回転させると共に、前記ボウル及び前記ハンドルアセンブリが同じ回転速度で回転させる段階と、
前記装置を前記ボウルから取り出す段階と、
前記装置を廃棄する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
各容器は、第1の端部及び対向する第2の端部を有し、前記第1の端部の直径は、前記第2の端部の直径よりも小さい、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
流体は、各容器内にその第1の端部において流入し、また、流体は、各容器からその第2の端部において流出する、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記装置は、射出成形、ブロー成形、機械加工、及び3次元印刷のうちの少なくとも1つによって形成される、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記容器の少なくとも一部分に固定的に取り付けられた歯車は、駆動システムによって回転され、前記ハンドルアセンブリは、前記駆動システムによって回転される、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
向流遠心分離機であって、
ボウルと、
駆動システムと、
前記ボウル内での使用のために構成された装置と、を有し、
前記装置は、
入口及び出口を各々が含む少なくとも2つの容器と、
歯車の回転が前記容器を回転させるように各容器の少なくとも一部分に固定的に取り付けられ、前記駆動システムによって回転されるように構成された歯車と、
前記歯車に回転可能に取り付けられ、前記駆動システムによって回転されるように構成されたハンドルアセンブリであって、このハンドルアセンブリの突出部が、前記装置が前記ボウル内に適正に挿入された時に前記ボウルの少なくとも一部分に係合する前記ハンドルアセンブリと、
前記ハンドルアセンブリを通って前記容器まで延びる複数のチューブであって、この複数のチューブのうちの1つが各容器の前記入口に接続され、この複数のチューブのうちの1つが各容器の前記出口に接続された前記複数のチューブと、
を有し、
材料を含有する流体がリザーバから前記チューブを通って前記容器内に流入する時に前記少なくとも1つの容器内で前記材料を懸濁させるために、前記歯車は、前記装置が前記ボウル内に挿入される時に前記ハンドルアセンブリの速度の2倍で回転される、
ことを特徴とする向流遠心分離機。
【請求項16】
前記ボウル及び前記ハンドルアセンブリは、同じ回転速度で回転する、ことを特徴とする請求項15に記載の遠心分離機。
【請求項17】
前記突出部は、バネ付勢される、ことを特徴とする請求項15に記載の遠心分離機。
【請求項18】
前記装置は、前記ハンドルアセンブリの上側部分内に位置付けられた第1の軸受と、前記ハンドルアセンブリの下側部分内に位置付けられた第2の軸受とを含む、ことを特徴とする請求項15に記載の遠心分離機。
【請求項19】
前記装置上又は前記装置内に位置決めされた無線自動識別(RFID)チップを更に含む、ことを特徴とする請求項15に記載の遠心分離機。
【請求項20】
前記ハンドルアセンブリの突出部は、前記装置が前記ボウル内に適正に挿入された時に前記ボウルの少なくとも一部分に係合する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、一実施形態では、一般的に、装置がボウル内に挿入可能かつそこから取り外し可能である遠心分離機とその設置又は使用の方法に関する。
【0002】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、引用によってその全体が本明細書に組み込まれている2015年10月9日出願の「遠心分離機のための取り外し可能装置及びその使用方法」という名称の米国非仮特許出願第14/879,163号に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
動物及びヒトの細胞を処理する機能は、実験研究、細胞増殖、及び細胞治療学市場の主要件である。治療使用ための生きた動物及びヒト由来の細胞の使用が増加している。そのような使用は、最終生成物として生細胞を扱うのに独特に整合する技術に対する需要を作り出している。公知の生物薬剤製造方法の例は、特許文献1及び特許文献2に開示されており、これらは、各々が全体的に引用によって本明細書に組み込まれている。
【0004】
向流遠心分離(counter flow centrifugation)は、粒子(例えば、生細胞)のような材料が遠心力と、流動床として内向きに流れる懸濁流体との間に懸濁(suspend)される環境を作成する技術である。流動床は、細胞を捕捉し、かつそれらが内部に支持された媒体の交換を可能にするのに使用することができる。遠心分離機の作業及び作動条件の変更は、流動床から細胞集団を選択的に駆動し、浄化し、及び/又は床内に細胞を保持するのに使用することができる。向流遠心分離は、細胞懸濁液からの微粒子汚染の除去を可能にし、死細胞の選択的除去を通した細胞生存を通して保持細胞集団の細胞生存の増大を可能にする。システムが無菌であることが生細胞処理に重要である。
【0005】
ロバストで閉鎖及び/又は無菌の流体システムを達成するために、当業者は、向流遠心分離システムにおいて「縄跳び」配管設計を使用することを知っているであろう(例えば、Schimmelpfennig他による特許文献3を参照されたい)。そのような設計は、静止要素及び回転要素間でシールを摺動させる必要性を排除する。現在利用可能なシステムは、「縄跳び」を設置するのに複雑で時間を消費してエラーが発生しやすい工程を必要とし、機能性を制限する単一容器サイズに限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,588,692号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0207225号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0261596号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明は、現在利用可能な技術の上記で識別した欠点を克服し、上記及び他の目的を達成する。例えば、一実施形態では、本発明の出願は、向流遠心分離を組み込む完全な無菌使い捨てセットが追加の無菌接続を必要とせずに供給されることを可能にする向流遠心分離機システムに関し、回転する向流遠心分離機要素の設置は、単一の大きく簡素化された段階として達成することができる。そのような設計は、ユーザによる技術の採用と、複雑な設置手順又は無菌接続の必要性なしでより大きい処理システムの一部としての技術の統合とを容易にする。
【0008】
以上の要約、並びに本発明の以下の詳細説明は、添付図面と共に読むとより良く理解されるであろう。本発明を例示するために、様々な例示的実施形態を図面に示している。しかし、本発明は、図示の配置及び手段の通りには限定されないことを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の開示の実施形態による装置の上部斜視図である。
図2図1の装置の断面図である。
図3図1の装置の部分分解組立図である。
図4図1の装置の側部立面図である。
図5】ボウルに少なくとも部分的に挿入された装置の上部斜視図である。
図6】遠心分離機のカバーが開放位置に示されたボウル内に少なくとも部分的に位置決めされた装置の別の上部斜視図である。
図7】遠心分離機のカバーが閉鎖位置に示されたボウル内に位置決めされた装置の別の上部斜視図である。
図8】装置の駆動システムの少なくとも各部分の別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ある一定の用語は、単に便宜上以下の説明に使用され、限定的ではない。言葉「下側」及び「上側」は、参照する図面における方向を指定する。本明細書に特に定めない限り、用語「a」、「an」、及び「the」は、1つの要素に限定されず、代わりに「少なくとも1つ」を意味すると読むべきである。用語は、上述の言葉、その派生語、及び類似の趣旨の言葉を含む。
【0011】
一実施形態では、本発明は、遠心分離機のボウルと共に使用されるように構成された使い捨て可能又は取り外し可能ハウジング又は装置の組合せを含む。装置は、ハンドルアセンブリに取り付けられた単一プラスチック回転子の一部を形成する1つの、2つの対向する、又は3以上の容器を含むことができる。回転子は、ハンドルアセンブリを通じて2、4、又は5以上の固定チューブに無菌接続することができる。チューブは、容器への流体入口及び出口を与えることができる。回転子は、ハンドルアセンブリに装着されてハンドルアセンブリの回転速度の2倍で歯車によって駆動することができる。ハンドルアセンブリは、歯車のための及び従って回転子がその上でピボット回転するための軸受を収容することができる。ハンドルアセンブリは、回転中にチューブ回転装着部を保持し、かつ配管が不要に捻れることを防止することを主として担うことができる。
【0012】
使い捨てハウジングに収容された回転子軸受及び「縄跳び」チューブは、単一ロックイン作用を使用して付随する遠心分離機ボウルアセンブリ内への使い捨て品の迅速かつ容易な装填を容易にする。装置は、選択された使い捨てサイズ変形に応じた様々な処理容積を考慮する。一実施形態では、装置はまた、別々の流体回路上に2つの別々の容器を設けることによって2つの同時処理を考慮する。
【0013】
より詳細には、一実施形態では、装置は、2つの対向する容器を収容する剛性プラスチック成形回転子とすることができる。容器のサイズは、ユーザの処理要件に応じて変更することができる。4つのポリマーチューブを成形回転子の入口に無菌接続することができる。チューブは、処理流体を容器の各々に及びから搬送するように構成することができる。チューブは、装置の全長を「縄跳び」様式で延びることができ、装置の構成要素の全て、特に主回転子軸受を通過することができる。主回転子軸受は、成形回転子の下半分に接続するアセンブリのためのポリマー駆動歯車に取り付けることができる。歯車は、付随する遠心分離機ボウルアセンブリ内の別の歯車と相互作用又は係合することができる。
【0014】
ハンドルアセンブリは、歯車の下半分を収容又は支持することができる。ハンドルアセンブリは、軸受アセンブリに締結することができる。ハンドルアセンブリは、チューブ及びチューブを取り囲むあらゆるシージングを支持及び保護することができる。ハンドルアセンブリは、付随する遠心分離機ボウルと相互作用して装置を位置決めして固定する位置付け及び固定特徴部を含むことができる。シージングは、様々なポリマー構成要素で形成することができ、かつ歯車アセンブリの下側に接続することができる。チューブは、シース内の通路を通って延びることができる。シースは、ハンドルアセンブリ内の特徴部と相互作用する軸受を組み込むことができる。シースは、チューブ及びシースを付随する遠心分離機ボウルアセンブリ上の静止位置に固定する係止特徴部で終端することができる。
【0015】
作動時に、装置は、遠心分離機ボウルアセンブリ内に装填することができる。その後に、装置は、ハンドルアセンブリ上の1又は2以上の特徴部によって及び/又は係止構成要素を固定することによってなどで遠心分離機ボウル内の位置に固定することができる。チューブは、遠心分離機装置上のチューブセットに予め接続することができる。チューブセットは、流量を制御し、様々な流体を接続し、及び/又は容器まで/からの1又は2以上の流路を制御することができる。遠心分離機ボウル及びハンドルアセンブリは、設定された回転速度で互いに回転することができる。遠心分離機ボウル内の歯車装置は、装置の少なくとも一部と相互作用することができ、その結果、少なくとも回転子及び容器がハンドルアセンブリの速度の2倍で回転する。チューブの「縄跳び」構成では、この速度差により、チューブの係止端部(例えば、上端)は、成形回転子が捩れなしに遠心分離機ボウル(及びハンドルアセンブリ)の速度の2倍で回転する間に静止したままとすることができる。回転速度及び流体流量を変えることにより、様々な細胞処理手順を実行することができる。
【0016】
本発明の開示の装置は、ハウジングアセンブリが、付随する遠心分離機ボウルアセンブリへの装置の迅速かつ容易な装填を容易にすることに少なくとも起因して、既存の技術に優る改良である。更に、成形された回転子は、選択された容器サイズ及び/又は形状に応じて様々な加工条件を考慮している。更に、2つの別々の容器を有する成形された回転子は、2つの工程を単一装置において別々の容器回路上で同時に行うことができる。従って、装置は、従来技術と比較してより迅速かつより容易な使用、並びにより大きい機能性及び柔軟性が可能である。装置を使用して細胞/粒子洗浄又は媒体交換、細胞/粒子容積低減、細胞/粒子分離(浄化)、細胞/粒子除去(例えば、赤血球(RBC)摘出)、及び/又は対向流遠心分離機(CFC)チャンバを通る細胞/粒子懸濁物の再循環のような様々な細胞処理手順を実行することができる。
【0017】
他の実施形態では、上述のハンドルアセンブリは、完全密封型円筒形又は他の形状のハウジングで置換することができる。これに代えて、ハンドルアセンブリを小型化し、単に歯車及び下側シース軸受を封入又は支持することができる。付随する遠心分離機装置は、あらゆる残りの構成要素を封入又は支持することができる。ハンドルアセンブリはまた、1又は2以上のクリップ、圧入部などのような代替軸受保持特徴部を含むこともできる
【0018】
一実施形態では、組合せは、ボウル及び駆動システムを有する向流遠心分離機を含むことができる。装置は、向流遠心分離機における使用に向けて構成される。装置は、少なくとも2つの容器を含むことができる。各容器は、入口及び出口を含むことができる。歯車は、歯車の回転が容器を回転させるように各容器の少なくとも一部に固定的に取り付けることができる。歯車は、向流遠心分離機の駆動システムによって回転するように構成することができる。ハンドルアセンブリは、歯車に回転可能に取り付けることができる。ハンドルアセンブリは、向流遠心分離機の駆動システムによって回転するように構成することができる。複数のチューブが、ハンドルアセンブリを通ってかつ容器まで延びることができる。複数のチューブの1つを各容器の入口に接続することができ、複数のチューブの1つを各容器の出口に接続することができる。一実施形態では、歯車は、材料を含有する流体がリザーバからチューブを通って容器に流れる時に材料を少なくとも1つの容器において懸濁させるために向流遠心分離機のボウルに挿入された時にハンドルアセンブリの速度の2倍で回転させることができる。
【0019】
一実施形態では、各容器は、第1の端部及び対向する第2の端部を有する。各容器の第1の端部は、入口とすることができる。各容器の第2の端部は、出口とすることができる。第1の端部の直径は、ほぼ円錐形形状を形成するために第2の端部の直径よりも小さいとすることができる。第1の端部は、プレートの外側周縁の近くに位置決めすることができる。複数のチューブの第1のチューブは、第1の容器の第1の端部に接続することができる。チューブの第2のチューブは、第2の容器の第1の端部に接続することができる。チューブの第3のチューブは、第1の容器の第2の端部に接続することができる。チューブの第4のチューブは、第2の容器の第2の端部に接続することができる。
【0020】
図1図8は、本発明の開示の一実施形態による全体的に10と指定された使い捨て装置を示している。装置10は、向流遠心分離機20における使用に向けて構成することができ、射出成形、ブロー成形、機械加工、3D印刷のような様々な製造技術のいずれかを使用して製造することができる。装置10は、1つ、対向する2つ、3つ、又は4つの容器12を含むことができる。一実施形態では、容器12は、2つの対向プレート12a、12bによって形成される。プレート12a、12bは、固定的に取り付けることができる。結合又は取り付けられた時に、対向プレート12a、12bは、流体が貫流することを可能にするチャネル又は通路13を構成することができる。
【0021】
一実施形態では、各容器12は、円錐形形状を有することができ、円錐の先端又は小さい端部は、各プレート12a、12bの幾何学的な中心から外向きに位置決めされ、各円錐のより幅広い端部は、各プレート12a、12bの幾何学的な中心の近くに位置決めされる。一実施形態又は構成において、流体は、先端で各円錐に流れ込み、各円錐のより幅広の端部の開口部で各円錐から流れ出るように設計される。別の実施形態又は構成において、例えば、小さい流体スラグ中の細胞集団を捕捉するために、流れの逆転(すなわち、より幅広の端部に入って先端から出る)を行うことができる。容器12は、本明細書に示して説明するサイズ、形状、及び/又は構成に限定されず、様々なサイズ、形状、及び/又は構成のいずれかを含むことができる。更に、各容器12は、1、2、又は3以上の入口及び/又は出口を有することができる。
【0022】
装置10は、ハンドルアセンブリ14を含むことができる。ハンドルアセンブリ14は、装置10を向流遠心分離機20に挿入し、装置10を向流遠心分離機20から取り出す時にユーザによって把持されるように設計することができる。突出部又はクリップ32をハンドルアセンブリ14上に位置決めし、向流遠心分離機20の少なくともボウル18との係合、及び向流遠心分離機20からのハンドルアセンブリ14の除去を容易にすることができる。クリップ32は、例えば、向流遠心分離機20内の出っ張り(図示せず)に少なくとも一時的に係合することができる。クリップ32は、バネ付勢式とすることができる。ハンドルアセンブリ14は、以下に説明するように軸受支持機構とすることができる。
【0023】
複数のチューブ16(例えば、4つ)は、ハンドルアセンブリ14を通過して延びることができる。より詳細には、各チューブ16は、チューブセットからハンドルアセンブリ14を通って容器12の少なくとも1つまで延びることができる。チューブセットは、流量、流路、及び/又は供給される流体のタイプを決定するコントローラを含むことができ又はコントローラによって作動することができる。各チューブ16は、流体がチューブセット及び/又は(図8に概略的に示されており、当業者により良く理解されている)1又は2以上のリザーバ50と容器12の少なくとも1つとの間に流れることを可能にするように構成することができる。一実施形態では、リザーバ50は、生細胞又は他の材料を含む流体を収容することができる。流体は、チューブ16の少なくとも1つにポンピングするか、又は他の方法で流れ込ませることができる。4つのチューブ16及び2つの容器12を含む実施形態では、流体は、チューブ16のうちの2つにポンピングすることができる。各チューブ16は、チャネル13の1つに対応するか又はこの1つに接続することができ、各チューブ16は、可撓性材料で形成することができる。チューブ16は、チューブ16を保護するためにシース17に位置決めすることができる。
【0024】
一実施形態では、第1のチューブ16は、容器12の第1のものの円錐の先端に接続され、第2のチューブ16は、容器12の第2のものの円錐の先端に接続される。更に、第3のチューブ16は、容器12の第1のものの円錐のより幅広の端部での開口部に接続され、第4のチューブ16は、容器12の第2のもののより幅広の端部での開口部に接続される。従って、流体は、第1及び第2のチューブ16を通して容器12に流れ込み、流体は、第3及び第4のチューブ16を通して容器12を出る。
【0025】
第1の軸受26は、ハンドルアセンブリ14の上側部分内に位置付けることができ、第2の軸受28は、ハンドルアセンブリ14の下側部分内に位置付けることができ、第3の軸受30は、(以下で詳細に説明する)歯車24の近くに及び/又は歯車24に位置付けることができる。各チューブ16は、第1、第2、及び第3の軸受26、28の各々を通過して延びることができる。
【0026】
図3及び図8に示すように、歯車24は、歯車24の回転が容器12を回転させるように各容器12に取り付けることができる。より詳細には、歯車24は、ハンドルアセンブリ14の一部に位置決めすることができ、歯車24の延長部又はピニオン24aは、ハンドルアセンブリ14の開口部を通って上方に延び、底部プレート12bの底部分に係合することができる。歯車24の少なくとも一部は、ハンドルアセンブリ14の別の開口部(例えば、窓25)によって露出させることができる。その結果、歯車24は、向流遠心分離機20の又は内の40(図8を参照)と全体的に指定された回転子及び/又は駆動システムによって嵌合的に係合する及び/又はそれによって駆動することができる。ハンドルアセンブリ14は、向流遠心分離機20内の駆動システムの異なる部分のような向流遠心分離機20の別の部分によって駆動することができる。駆動システムの歯車比率は、ステップダウン歯車装置が正確に2:1の比率を維持するように2:1の速度比を決定することができる。一実施形態では、駆動システムは、両方の駆動システムが別々であって独立するように第1の駆動システム及び第2の駆動システムを含むことができる。
【0027】
無線自動識別(RFID)チップのような識別デバイス34は、ある一定の情報(製造番号、使用時間、及び/又は向流遠心分離機20内の装置10の回転数のような)を含みかつ記録するために装置の一部分に位置付けることができる。識別デバイス34は、読取/書込機能を有することができる。
【0028】
作動時に、装置10は、向流遠心分離機20のボウル18に挿入され、ボウル18から取り出されるように構成される。装置10が向流遠心分離機20のボウル18に挿入された時に、歯車24及び各容器12は、ハンドルアセンブリ14の速度の2倍で駆動システムによって回転させることができ、ハンドルアセンブリ14は、駆動システムの個別の部分(例えば、歯車)によって回転される。流体は、容器12に印加された遠心力と反対の(幾何学的な中心から離れることに対して幾何学的な中心に向けて内向きの)方向に容器12に供給又は注入することができる。流体の流れは、平衡状態が流体の流れと遠心力の力との間に確立されるまで増大させることができる。それによって材料(例えば、細胞)を媒体中に保持するか又は懸濁させることができ、媒体を必要に応じて変更又は交換することができる。遠心分離機20は、蓋22(図7を参照されたい)が閉鎖位置にある時に装置10の温度制御環境を生成することができる。温度(又は温度範囲)は、ユーザによって選択的に調節するか又は自動的に設定することができる。装置10は、単回使用後に廃棄されるように構成することができる。
【0029】
一実施形態では、回転子(従って、歯車24及び容器12)は、数千(例えば、ほぼ3,000)回転/分(rpm)まで回転させることができ、ハンドルアセンブリ14は、その速度の半分で回転させることができる。より詳細には、一実施形態では、第1の軸受26は、ほぼ1,500rpmで第1の方向(例えば、反時計回り)に回転することができ、第2の軸受28は、ほぼ1,500rpmで第2の方向(例えば、時計回り)に回転することができる。容器12及びハンドルアセンブリ14は、同じ回転軸の周りに回転することができる。
【0030】
本発明の開示の1つの方法は、向流遠心分離機20の蓋22を開き、装置10を向流遠心分離機20のボウル18に少なくとも部分的に挿入する段階を含む。次に、蓋22を閉じて装置10を取り囲むことができ、チューブ16の少なくとも一部は、蓋22の開口部を通って上方に延びる。その後に、2つの対向する容器12がハンドルアセンブリ10の回転速度の2倍で回転するように装置10の歯車24を駆動することができる。歯車34の回転前、回転後、又は回転と同時に流体をリザーバ50からチューブ16の1、2、又は3以上にポンピングすることができる。換言すると、2つの対向する容器12は、遠心力がドラフト力と釣り合うように回転させることができ、粒子又は細胞の床を懸濁状態に保持することができる。ハンドルアセンブリ14は、外部環境から各回転容器12までの閉鎖された流路を回転シールを必要とせずに維持するために歯車34の速度の半分で回転させることができる。生物薬剤手順(例えば、材料を容器12内の流体中に懸濁させる)が完了した状態で、蓋22を開けることができ、装置10を向流遠心分離機20から取り出すことができる。最後に、装置10を廃棄することができる。
【0031】
上述の実施形態に対してその広義の本発明の概念から逸脱することなく変更を行うことができることは当業者によって認められるであろう。従って、本発明は、開示する特定の実施形態に限定されず、むしろ変更は、添付の特許請求の範囲によって定められるような本発明の精神及び範囲に含まれるように意図していることは理解される。
【符号の説明】
【0032】
10 使い捨て装置
13 チャネル又は通路
14 ハンドルアセンブリ
17 シース
25 開口部、例えば窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8