(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957493
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】自動化システムにおけるねじ蓋容器にアクセスするためのパッケージング及び装置
(51)【国際特許分類】
B65D 71/00 20060101AFI20211021BHJP
B65D 41/04 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
B65D71/00
B65D41/04
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-546538(P2018-546538)
(86)(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公表番号】特表2019-507072(P2019-507072A)
(43)【公表日】2019年3月14日
(86)【国際出願番号】US2017020208
(87)【国際公開番号】WO2017151774
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2020年2月25日
(31)【優先権主張番号】62/302,455
(32)【優先日】2016年3月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】リビングストン,デュワイト
【審査官】
小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−520579(JP,A)
【文献】
米国特許第05501322(US,A)
【文献】
特開平09−236598(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0000783(US,A1)
【文献】
特開平07−329949(JP,A)
【文献】
特開2004−017989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 71/00
B65D 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ蓋容器にアクセスするとともに該ねじ蓋容器を回収するシステムであって、
複数の孔を有するトレイであって、本体を有する容器を収納するようにされており、該容器が該トレイの該孔に押し込まれて該本体が該トレイの該孔の下で垂下されるように構成されており、該容器に結合する容器のキャップは、該トレイとモノリシックでなく該容器に取り付けられるように構成され、又は該容器に結合する容器のキャップは、該トレイとモノリシックとされて該容器に取り付けられるように構成されている、トレイと、
一方の端部における開口から延在するキャビティを有する回転ツールであって、前記キャビティは、内面によって画定され、前記内面は、第1の係合構造を有する、回転ツールと、を備え、
前記回転ツールの前記内面における前記第1の係合構造は、前記回転ツールが前記トレイの下方から前記容器の前記本体を覆うように挿入されると、相補的な第2の係合構造によって画定される前記容器の表面の前記本体の少なくとも一部に係合するようにされている、システム。
【請求項2】
前記第1の係合構造及び前記第2の係合構造は、凸部である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記回転ツールの前記開口を有する前記端部の反対側の第2の端部は、ハンドルとして使用されるようにされた表面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記トレイ及び前記容器のキャップは、モノリシックである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記回転ツールの前記内面における前記凸部及び前記容器の本体の前記表面における前記凸部は、長手方向に配向されたスプライン部である、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記トレイの各孔は、前記容器の前記本体を前記トレイの表面の上方の前記キャップに案内するようにされている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記キャップの外周面は、前記トレイに配置されている場合に回転に抵抗する突起を有し、前記トレイは、各孔を包囲する、キャップと相互作用するサイズのチューブ状延長部を有し、各チューブ状延長部の内面は突起を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは容器ホルダーを更に備え、該容器ホルダーは孔を有し、該孔は該孔の周縁部において内面によって画定され、該内面は、前記容器の前記本体を下方から前記孔にねじ込むことができるようにねじを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
ねじ蓋容器にアクセスするとともに該ねじ蓋容器を回収するシステムであって、
複数の孔を有するトレイであって、前記孔は、容器の断面領域を収容するサイズであり、該トレイは、本体を備えキャップが取り付けられる容器を収納するようにされており、該トレイ内に配置される各容器の各キャップが該トレイにおけるそれぞれの孔の上方に位置し、各本体が該トレイの下で垂下されるようになっており、該キャップは、該トレイとモノリシックでなく該容器に取り付けられるように構成され、又は該キャップは、該トレイとモノリシックとされ該容器に取り付けられるように構成されている、トレイと、
第1の端部と第2の端部との間の長さを有するソケット部材であって、該ソケット部材における第1のキャビティは、長手方向において前記第1の端部から前記第2の端部に向かって延在する第1の断面を有し、該ソケット部材における第2のキャビティは、長手方向において前記第2の端部から前記第1の端部に向かって延在する第2の断面を有し、前記第2のキャビティの周縁部は内面によって画定され、係合構造が前記第2の端部の近位において前記内面に配置され、前記係合構造は、前記トレイから垂下される容器における対応する係合構造に捉えられるように適合されており、前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとは、互いに当接して該ソケット部材を通る単一の通路を画定するか、又は互いに分離されている、ソケット部材と、
ハンドル部及び係合部を有するソケット回転ツールであって、前記係合部は、前記ソケット部材における前記第1のキャビティに内嵌するように適合された断面形状を有する、ソケット回転ツールと、
を備える、システム。
【請求項10】
前記ソケット部材の形状は円筒形であり、前記ソケット部材は、該ソケット部材の長さに沿って2つの凹部を有し、各凹部は、回転防止構造を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、ソケットホルダーを更に備え、該ソケットホルダーは、中央部から横断方向において伸張している上側フランジ及び下側フランジを備え、各フランジは、前記ソケット部材の前記凹部を固定するように適合されたリセスを有する縁部を含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記トレイ及び前記容器のキャップは、モノリシックである、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記ソケット部材の前記内面における前記係合構造及び前記容器の本体の表面における前記係合構造は、長手方向に配向されたスプライン部である、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記トレイの各孔は、前記トレイの表面の上方の前記キャップに前記容器の前記本体を案内するように適合されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記キャップの外周面は、前記トレイに配置されている際に回転に抵抗する突起を有し、前記トレイは、各孔を包囲する、キャップと相互作用するサイズのチューブ状延長部を有し、各チューブ状延長部の内面は突起を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
ねじ蓋容器の本体をトレイから取り外す方法であって、
表面に複数の孔を有するとともに1つ以上の容器を収容する前記トレイの下で前記容器の本体が垂下され、前記容器のキャップが前記孔の上方に載置されるように、前記容器の本体が前記複数の孔の一つにおいて垂下されている前記トレイの下方に回転ツールを移送することと、
前記ツールの一方の端部における開口を上方に向けて、前記トレイの下で垂下されている前記容器に向き合うように、前記回転ツールを位置決めすることと、
前記回転ツールの内面における係合構造が前記容器の表面における対応する係合構造と位置合わせされ、前記ツールと前記容器との間に相互係止接続部を形成するように、前記トレイの下で垂下されている前記容器を覆うように前記回転ツールを摺動させることと、
前記回転ツールを反時計回り方向に回転させて、前記容器の前記本体を前記対応するキャップから分離することとを含み、前記回転ツールは、前記回転ツールと前記本体との間の前記相互係止接続部により前記本体とともに回転し、それにより前記本体が前記キャップ及び前記トレイから取り外される、ことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記回転ツールを前記トレイの下に位置決めする前に、前記1つ以上の容器を前記トレイの上方から前記トレイの中に配置するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
容器ホルダーの孔に前記容器の前記本体を固定するように適合された該容器ホルダーに、前記容器の前記本体を収容している前記回転ツールを移送するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記回転ツールを時計回り方向に回転させて、ねじを有する内面によって画定される前記容器ホルダーの前記孔に前記容器の前記本体を接続するために、前記回転ツールを使用して、前記容器ホルダーの下方から前記容器の前記本体を前記容器ホルダーにねじ込むことを更に含み、前記本体の前記ねじは、前記容器ホルダーの孔の前記ねじと相互接続する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年3月2日に出願された米国仮特許出願第62/302,455号の出願日の利益を主張し、その開示内容は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0002】
容器がトレイに配置されているときにキャップを容器から取り外すことができることは、このような容器の内容物(例えば、試薬、試料等)の試験及び分析の重要な部分である。しばしば、キャップ付きの容器は、器具内の或る場所において保管され、その後、内容物へのアクセスを必要とする更なるプロセス(例えば、容器からの内容物の吸引又は容器内への物質の供給)のために別の場所に移送され、その後、保管のために元の器具に戻される。容器に供給される又は容器から吸引される物質(例えば、試薬、試料等)は、通例は液体であり、このような物質を供給又は吸引するために、ピペット(手動又は自動のいずれか)が使用される。これらの工程の間、容器の内部にアクセスして物質を容器に供給する又は内容物を容器から吸引するために、容器のキャップを取り外さなければならない。しかしながら、キャップの取外しを実行するのに利用可能なシステム及び方法は、通例、キャップを上方より容器から取り外すことを必要とする。キャップが取り外されたら、容器をトレイから別々に取り出して、別の場所に輸送することができる。ピペッティング又は別の適切な手順が完了し、容器を保管庫に戻す用意ができたら、このプロセスを逆順に繰り返さなければならない。
【0003】
例えば、キャップを備える複数の容器は、ラック又はトレイ内のウェルに配置される。手動で又は自動化された手法を用いて所望の容器を開封するとともにその容器を輸送するには、所望の容器は、まず所定位置に保持されなければならない。その後で、容器のキャップを係合させなければならない。キャップは、ねじを介して取り付けられる場合、回して取り外さなければならない。取り外されたら、キャップは、一時的な保管のために別の場所に置かれなければならない。これらの工程が完了した後、開封された容器自体は、取り上げられて別の場所に移送される。ピペッティング等の所望の手順が完了したら、容器がラック又はトレイに戻される場合には、上記プロセスを繰り返さなければならない。容器がラック又はトレイに戻されない場合にも、任意の更なる容器を開封及び移送するために上記プロセスを繰り返さなければならない。これらの工程が不可欠であることで、キャップを外すプロセスが、高価で煩雑になり、プロセスの複雑性のためにエラーの可能性が増大する。容器に対するキャップの取外し及び再取付けは、米国特許第7,985,375号、米国特許第7,340,324号及び米国特許第7,316,805号に記載されており、これらの米国特許は、引用することにより本明細書の一部をなす。自動化システムを使用して容器を上方よりトレイから取り外すことは、米国特許第8,142,740号に記載されており、この米国特許は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0004】
いくつかの場合において、容器(例えば、チューブ)を垂下させて保管するラックが開発されている。引用することにより本明細書の一部をなす米国特許第8,703,492号及び米国特許第8,357,538号に記載されているこのようなシステムの1つの例において、ラックは、上方からのラックへの係合を可能にするリセスを有する。特に、フレーム、すなわちラックは、互いに緊密にまとめられた場合にフレーム間に空間を形成する拡大端部におけるリセスを有する。これにより、リセスがフレームの上面からアクセス可能であるので、各フレームを上方から把持することが可能であり、また、フレームの下で垂下されているチューブが、下方からのフレームへのアクセスを阻止する。
【0005】
したがって、既存のシステム及び方法では、容器の本体を別の場所に移送することが望まれる場合に容器の本体をそれぞれのキャップから分離することが単純化されていない。したがって、容器からキャップを分離する代わりの方法及び装置が模索され続けている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、トレイに大量に保管されている容器のキャップを着脱する技術に関する。プロセスにおいて、キャップは、容器から物質を取り出す又は容器に内容物を供給するために、容器から取り外さなければならない。このような取出し又は供給の後に、キャップは再び取り付けられる。このような容器は、多くの異なる目的で使用される。1つの実施形態において、容器は、試料(例えば、生物試料又は環境試料)をアッセイするために使用される。このアッセイに関して、試料のアッセイを準備及び進行するために使用される試料及び試薬は、容器に供給され、そして容器から取り出される。このようなキャップ付き容器を利用する様々なアッセイが存在する。1つの例示的なアッセイは、試料の分子テストである。特に、本発明は、必要な構造コンポーネントの数と、容器のキャップを外すとともに容器を移送するのに必要な労力とを低減することに取り組むものである。本明細書の概要から、キャップ付き容器は、内容物を保持していてもよいし、空としてもよいことが理解される。本明細書に記載されるように、キャップが取り外されると、容器の内部にアクセス可能となり、例えば試料、試薬等の物質を必要に応じて容器に供給する又は容器から取り出すことができる。
【0007】
第1の態様において、ねじ蓋容器にアクセスするとともにねじ蓋容器を回収するシステムが提供される。本システムの1つの実施形態は、トレイ及び回転ツールを備える。トレイは、複数の孔を有し、各孔は、キャップ及び本体を備える容器を収納するように適合されている。トレイは、それぞれのトレイの孔に押し込まれる容器を収納し、所定位置に置かれると、各容器のキャップは、トレイにおけるそれぞれの孔の上に載り、各容器の本体は、孔から垂下される。回転ツールは、一方の端部における開口から延在するキャビティを有し、ここで、キャビティは、内面によって画定される。キャビティの内面は、凸部を有する。回転ツールの内面における凸部は、凸部によって画定される容器の表面の本体の少なくとも一部に係合するように適合されている。回転ツールがトレイの下方から容器の本体を覆うように挿入されると、係合が生じる。このように係合されると、回転ツールの回転によって容器の本体が回転するようになる。
【0008】
別の実施形態において、回転ツールの開口を有する端部とは反対側の第2の端部は、ハンドルとして使用されるように適合された表面を有する。更なる一実施形態において、回転ツールの内面における凸部及び容器の本体の表面における凸部は、長手方向に向いたスプライン部である。
【0009】
更に別の実施形態において、トレイ及び容器のキャップは、モノリシックである。これらの実施形態において、容器は、トレイと一体のキャップによって収納される。他の実施形態において、各孔の周囲のトレイの形状は、容器が下方からトレイに押し込まれる際、トレイの表面の上方でキャップの中に容器の本体を案内するように適合されている。
【0010】
他の実施形態において、キャップの外周面は、トレイに配置されている場合に回転に抵抗する突起を有する。これに対応して、トレイの孔に通して配置されるそれぞれのキャップと相互作用するサイズのチューブ状延長部が、トレイから延出している。チューブ状延長部は、突起付きの表面を有する内面を有する。
【0011】
上記の実施形態のいずれかにおいて、本システムは、容器ホルダーも備えることができる。容器ホルダーは、孔を有し、この孔は、孔の周縁部において内面によって画定される。孔の内面は、容器の本体を下方から孔にねじ込むことができるようにねじを有する。
【0012】
本システムの別の実施形態は、トレイと、ソケット部材と、ソケット回転ツールとを備える。トレイは、複数の孔を有する。各孔は、容器のキャップではなく容器の本体が孔を通ることができるサイズである。トレイは、キャップ及び本体を備える容器を収納するように適合されている。各容器の本体がトレイに完全に押し込まれると、キャップは、トレイの孔の上に載り、それぞれの容器の本体は、トレイの下で垂下される。
【0013】
ソケット部材は、第1の端部と第2の端部との間の長さを有する。第1の端部には、長手方向において第2の端部に向かって内方に延在する多角形キャビティがある。第2の端部には、長手方向において第1の端部に向かって内方に延在する円形キャビティがある。第2の端部の近位における円形キャビティの周縁部を画定する内面には、凸部がある。凸部は、トレイから垂下される容器における対応する凸部に係合するように適合されている。第1の端部から内方に延在するキャビティと、第2の端部から内方に延在するキャビティとを組み合わせた長さは、ソケット部材の全長よりも短く、ソケット部材の長さに沿った任意の地点においてキャビティが1つしか存在しないようになっている。
【0014】
ソケット回転ツールは、ハンドル部及び係合部を有する。係合部は、ソケット部材における多角形キャビティに内嵌するように適合された多角形断面形状を有する。
【0015】
他の実施形態において、ソケット部材の形状は、円筒形であり、ソケット部材は、ソケット部材の長さに沿って2つの凹部を有する。各凹部は、ソケット部材の外面から窪んでおり、表面に回転防止構造を有する。一変形形態において、本システムは、ソケットホルダーも備える。ソケットホルダーは、いずれも横断方向において中央部から延出している上側フランジ及び下側フランジを備える。各フランジは、ソケット部材の凹部を内部に固定するように適合されたリセスを備えた縁部を有する。
【0016】
別の実施形態において、各孔の近位におけるトレイの表面の形状は、容器の本体をトレイの表面の上方でキャップの中にガイドするように適合されている。キャップは、トレイとモノリシックに一体化することができる。他の実施形態において、キャップの外周面は、トレイに配置されている場合に回転に抵抗する突起を有する。挿入された位置において、キャップにおける突起は、トレイの表面から延出するとともにトレイの各孔においてキャップを包囲するサイズのチューブ状延長部の内面における対応する突起と接触する。
【0017】
更に別の実施形態において、ソケット部材の内面における凸部及び容器の本体の表面における凸部は、長手方向に配向されたスプライン部である。
【0018】
別の態様において、本発明は、ねじ蓋容器の本体をトレイから取り外す方法に関する。1つの実施形態において、本方法は、回転ツールをトレイの下方の場所に移送するステップを含む。トレイは、表面に複数の孔を有し、1つ以上の容器を収容する。容器は、容器のそれぞれの本体がトレイの孔から垂下されるように収容される。この位置において、各容器のキャップは、孔の上に載る。
【0019】
移送するステップに続いて、ツールの一方の端部における開口が容器のうちの1つに向かって上方に面するように、回転ツールを位置決めする。これに続いて、回転ツールの内面における凸部が容器の表面における対応する凸部と位置合わせされるように、回転ツールをトレイの下で垂下されている容器を覆うように滑らせる。これにより、ツールと容器との間に相互係止接続部が形成される。
【0020】
容器の取外しは、回転ツールを反時計回り方向に回転させることによって完了する。これにより、ツールと本体との間の相互係止接続部によって回転ツールが容器の本体とともに回転することで、容器の本体が対応するキャップから分離される。
【0021】
別の実施形態において、回転ツールをトレイの下方に配置する前に、1つ以上の容器をトレイの上方からトレイの中に配置する追加のステップが行われる。更に別の実施形態において、容器の本体を収容している回転ツールを移送することは、容器の本体を容器ホルダーにおける孔に固定するように適合された容器ホルダーに移送することを含む。容器の本体は、回転ツールを時計回り方向に回転させることによって、回転ツールを使用して、下方から容器ホルダーの中に配置することもできる。これにより、本体のねじと、容器ホルダーの孔のねじとが相互接続されるので、容器の本体がねじを有する内面によって画定される容器ホルダーにおける孔に接続される。
【0022】
更に別の実施形態において、ねじ蓋容器にアクセスするとともにねじ蓋容器を回収するシステムは、複数の孔を有するトレイを備える。トレイは、キャップ及び本体を備える容器を収納するように適合されており、トレイに押し込まれる各容器の各キャップがトレイにおけるそれぞれの孔の上に載り、各本体がトレイの下で垂下されるようになっている。本システムは、一方の端部における開口から延在するキャビティを有する回転ツールも備える。キャビティは、係合構造を有する内面によって画定される。回転ツールの内面における係合構造は、回転ツールがトレイの下方から容器の本体を覆うように挿入されると、相補的な係合構造によって画定される容器の表面の本体の少なくとも一部に係合するように適合されている。一変形形態において、第1の係合構造又は第2の係合構造は、凸部である。
【0023】
別の実施形態において、ねじ蓋容器にアクセスするとともにねじ蓋容器を回収するシステムは、複数の孔を有するトレイを備え、ここで、孔は、容器の断面領域に対応するサイズである。トレイは、キャップ及び本体を備える容器を収納するように適合されており、トレイの中に配置される各容器の各キャップがトレイにおけるそれぞれの孔の上に載り、各本体がトレイの下で垂下されるようになっている。本システムは、第1の端部と第2の端部との間の長さを有するソケット部材も備え、ソケット部材における第1のキャビティは、長手方向において第1の端部から第2の端部に向かって延在する第1の断面を有し、ソケット部材における第2のキャビティは、長手方向において第2の端部から第1の端部に向かって延在する第2の断面を有し、内面は、第2のキャビティの周縁部を画定し、係合構造が第2の端部の近位において内面に配置され、この係合構造は、トレイから垂下される容器における対応する係合構造に捉えられるように適合されている。第1のキャビティと第2のキャビティとは、互いに当接してソケット部材を通る単一の通路を画定するか、又は互いに分離される。本システムは、ハンドル部及び係合部を有するソケット回転ツールも備え、係合部は、ソケット部材における第1のキャビティに内嵌するように適合された断面形状を有する。
【0024】
別の実施形態は、ねじ蓋容器の本体をトレイから取り外す方法を含む。本方法は、回転ツールをトレイの下方の場所に移送するステップを含む。トレイは、表面に複数の孔を有し、1つ以上の容器を収容する。容器は、容器のそれぞれの本体がトレイにおける孔から垂下されるように収容される。この位置において、各容器のキャップは、孔の上に載る。移送するステップに続いて、ツールの一方の端部における開口が容器のうちの1つに向かって上方に面するように、回転ツールを位置決めする。これに続いて、回転ツールの内面における係合構造が容器の表面における対応する係合構造と位置合わせされるように、回転ツールをトレイの下で垂下されている容器を覆うように滑らせる。これにより、ツールと容器との間に相互係止接続部が形成される。容器の取外しは、回転ツールを反時計回り方向に回転させることによって完了する。これにより、ツールと本体との間の相互係止接続部によって回転ツールが容器の本体とともに回転することで、容器の本体が対応するキャップから分離する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】複数のチューブを保持するトレイと回転ツールとを備える第1の実施形態を示す図であり、チューブは、トレイの外部にも現れて示されている。
【
図2】
図1に示されている第1の実施形態のチューブを配置するための容器ホルダーを示す図である。
【
図3】複数のチューブを保持するトレイと、チューブのうちの1つを覆うように挿入される回転ツールを伴うソケット部材とを備える第2の実施形態を示す図である。ソケット部材は、仮想線で示されている。
【
図4】ソケットホルダーに配置された
図3に示されている個々のソケット部材のうちの3つを示す図である。図示のソケット部材のうちの2つは、キャップを外されたチューブが内部に配置されており、3つ目のソケット部材は、空である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、トレイと、本体が取り外されてもキャップがトレイに残るように容器の本体を容器のそれぞれのキャップから取り外すために一緒に使用することができる回転ツール等の装置に関する。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「上方」は、トレイの、容器のキャップの上面に露出する側を意味する。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「試料」は、生物試料、環境試料、医療用試料、又は標的細胞、粒子、ビーズ及び/又は分析物の検出若しくは測定が試みられる被験者起源からの或る量の物質を意味する。「試料」という用語は、生物試料、例えば、或る量の血液、微生物培養物等;環境試料、例えば、土壌試料又は水試料;医療用試料又は検体、例えば、或る量の血液又は組織等を含む。試料は、ヒト血液試料であることが好ましい。「試料」及び「検体」という用語は、交換可能に使用される。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「容器」は、試料又は検体及びこのような試料又は検体をテスト又は保存するための試薬を収容するための任意の好適なベッセルを意味する。このような試料、検体及び試薬は、液体の形態としても乾燥形態としてもよい。容器又はベッセルは、チューブ、キュベット、テストウェル等と称することもできる。本発明は、いかなるタイプの容器又はいかなるタイプの内容物にも限定されない。実際、本明細書に記載の装置の或る特定の実施形態において、この装置とともに使用される容器は、空とすることができる。
【0030】
1つの態様において、本発明は、トレイによって垂下される容器の本体をそれぞれのキャップから取り外して、異なる場所におけるピペッティング又は別の用途のために容器を移送するように適合されるシステムに関する。第1の態様の1つの実施形態が、
図1に示されている。システムは、少なくとも、回転ツール20と、複数のチューブ10を保管するためのトレイ30とを備える。
【0031】
図1に示されているチューブ10は、本体12及びキャップ16を備える。各チューブのキャップは、ねじ14を介して本体に取り付けられる。すなわち、キャップの内面(図示せず)及び本体の対応する外面のそれぞれは、ねじを有する。各チューブの本体の表面は、長手方向に向いたスプライン部13を更に有する。一変形形態において、表面は、スプライン部の代わりに、同じ構造を有する容器と相互係止されると回転防止構造を提供する別の構造を有することができる。チューブの1つの例は、Axygen社の試薬チューブである。
【0032】
回転ツール20の形状は、円筒形であり、回転ツール20は、回収されるチューブのサイズに対応するサイズである。例えば、回転ツールの長さは、特定の器具との予想される併用又はチューブ/容器のサイズに適合することができる。回転ツールは、一方の端部に開口を有し、長さの一部が実質的に一定の厚さのリング形断面を有するようになっている。回転ツールの厚さは、回転ツールがトレイにおけるチューブのアレイ内のチューブの間に嵌ることを可能にするように適宜制限される。さらに、ツール20の開口から延在するキャビティの外側境界部を画定する内面21には、トレイ30において垂下されるキャップ付きチューブ10と係合するように設計されている長手方向に向いたスプライン部22がある。これらは、
図1においてツール20の開口の近くに示されているが、回収が試みられるチューブの構造に応じて望ましいようにツールのキャビティの更に奥に配置してもよい。一変形形態において、スプライン部は、凸部としてもよいし、同じ構造を有するチューブと相互係止する当該技術分野で既知の他の構造としてもよい。他の変形形態において、スプライン部は、チューブ10の底面及びツール20のキャビティ内の底面に配置することができる。これらの表面が接触すると、その係合により、回転ツールが駆動されることで各要素がともに運動することが確実になる。
【0033】
スプライン部22は、各チューブ10の本体12の表面の相手側スプライン部13と対になっている。ツール20がチューブ10を覆うように配置されて、スプライン部が長手方向に位置合わせされると、それぞれのスプライン付き表面の形状により、チューブの本体がツールに対して回転運動するのを抑制する相互係止構造が形成される。こうして、それぞれの構成要素が相互係止されるか又は別様に係合されると、ツールの回転によって、チューブの本体の対応する回転がもたらされる。
【0034】
図1において、トレイ30は、複数のチューブ10を垂下して保持する。トレイの形状は、実質的に矩形であり、トレイは、外縁部の周囲に上向きフランジ31を備える。上面32は、チューブが中に通して配置される孔(図示せず)を有する。通例、図示のように、これらの孔は、保管されるチューブの均一な間隔及び矩形の配置をもたらすようにアレイにして配置される。トレイの上面32から上方に延在するチューブ状延長部34が、各孔の場所を囲んでいる。チューブ状延長部34は、周縁部において、チューブが保管されている間の構造的完全性を確実にするように十分である一方で、トレイの上面が露出されるとともにチューブ状延長部が互いに接触しないように十分薄い、一定の厚さを有する。チューブ状延長部の内径は、チューブ10の本体12が中に通り、またチューブのキャップ16が内嵌するように十分大きい。チューブ状延長部34と、更にトレイとは、チューブをトレイの中に配置する際にチューブ状延長部34が伸縮することを可能にするように、成形プラスチック等の変形可能な材料で作製される。チューブ状延長部の内径は、チューブがトレイに保管されている間にキャップを支持するのに十分な構造が存在することを確実にするように、対応するトレイにおける孔の直径よりも大きい。1つの変形形態において、トレイは、トレイにおける孔の周囲に、チューブが使用後に保管のためにトレイに戻される際にチューブの本体12をトレイの孔の中にガイドする導入構造を有することができる。
【0035】
各チューブ10は、トレイ30において垂下され、キャップがチューブ状延長部34内でトレイの上面32に載り、キャップ16に固定されたチューブの本体12がトレイの底面(図示せず)の下で垂下及び露出されるようになっている。チューブ10は、各チューブ10の長手方向がトレイの上面32に垂直であるように、トレイによって支持されるとともにトレイから垂下される。上述したように、各チューブ10は、回転ツール20と係合するスプライン部13を有する。キャップがトレイの上面32に載るようにキャップ付きチューブがトレイ上で保管される場合、トレイの真下からチューブを遮るものがないので、トレイ30の下から各チューブ10のスプライン部にアクセス可能である。したがって、回転ツールは、チューブ本体の回収が望まれるのであれば、チューブの真下に配置することができる。
【0036】
また、一変形形態において、システムは、
図2に示されているような容器ホルダー40を備える。図示の容器ホルダーは、矩形であり、6つの孔44が貫通している上面42を有する。当然ながら、代替形態では、他の形状に画定され、6つよりも少数又は多数の孔を有する容器ホルダーを備えることができる。孔は、チューブ10の断面積に適合するサイズであり、各孔の周縁部を画定する内面におけるねじ48を有する。ねじ48によって、回収されるチューブの本体12のねじ14が容器ホルダー40に固定される。容器ホルダーは、アルミニウムプレートである。代替的に、当業者に知られている他の材料を使用してもよい。
【0037】
1つの実施形態において、トレイは、Axygen ST−150チューブとともに使用されるAxygenブランドのOリングキャップに適合するサイズの孔を有して射出成形される。さらに、トレイは、18mmの間隔を空けたチューブの3×6チューブセットに適合するサイズである。
【0038】
別の実施形態において、チューブのキャップは、外周面17に回転防止突起を有する(
図1は、上述した一実施形態において示される外周面の位置を示している)。トレイにおける各孔を包囲するチューブ状延長部の内面も、回転防止突起を有し、キャップから本体を取り外すために回転ツールが回転されるとき、そのキャップが回転に抵抗するようになっている。
【0039】
別の実施形態において、トレイは、チューブ状延長部の代わりに、多角形又は他の円形でない形状の外縁部を有する各孔を包囲する延長部を有することができる。このような実施形態における延長部の寸法は、取外しのためにチューブの本体が回転される際に延長部内のキャップからの力を支持するように十分なものである。他の実施形態において、トレイの外縁部のフランジは、鋭角又は斜角であるか、又は、長さに沿って線形ではない断面を有する。他の実施形態において、トレイ及びキャップは、モノリシックとすることができる。他の実施形態において、トレイは、トレイを運搬するためのハンドル部材も備えることができる。更なる実施形態において、トレイは、トレイの孔に保管されるチューブの内容物の識別のために使用可能な表面を有することができる。
【0040】
他の実施形態において、回転ツールは、使用される容器の形状に適合する円筒形でない形状及び/又は円筒形でないキャビティを有することができる。別の実施形態において、回転ツールの内面は、上記で参照したような他の凸部又はリセス等のスプライン部以外の係合構造を有することができる。同様に、スプライン部以外の凸部又は他の係合構造を、各チューブの本体の表面に有することができる。
【0041】
第1の態様の別の実施形態において、システムは、ソケット部材150と、ソケット回転ツール160と、トレイ130とを備える。
図3に示されているソケット部材は、実質的に円筒形の形状を有する。ソケット部材の直径は、各端部151及び中央部において同じであるが、端部を中央部から分離する2つの窪んだ円筒部152も有する。凹部内には、回転防止構造158があり、これは
図4において見ることができる。また、ソケット部材は、各長手方向端部から延在する開口を有する。一方の端部には、
図3に示されているように、長手方向において第1の長さにわたってソケット部材150内に延在するとともに第1のキャビティを画定する、六角形の断面形状を有する開口154がある。一変形形態において、第1の長さにわたる開口の断面は、任意の多角形の形状を有することができる。もう一方の端部からは、長手方向において第2の長さにわたってソケット部材内に延在するとともに第2のキャビティを画定する、円形の断面形状を有する開口156がある。キャビティの周縁の外側境界部を画定する円形断面の開口の内面には、
図4に示されているように長手方向のスプライン部157がある。以下で更に詳細に記載するように、第1のキャビティは、ソケット回転ツール160に対応し、第2のキャビティは、チューブ110に対応する。さらに、長手方向のスプライン部157は、スプライン部113に対応する(
図3及び
図4)。図示の実施形態において、六角形開口154と円形開口156とは、重なりもしないし、接触もしない。しかしながら、これらのキャビティは、ソケット部材を通る単一の通路を画定するように互いに当接し得ることが想定される。ソケット部材は、ステンレス鋼で作製される。一変形形態において、ソケット部材の材料は、当業者に知られている任意の材料とすることができる。
【0042】
ソケット回転ツール160は、ハンドル部162及び係合部164を有する。
図3に示されているように、係合部は、六角形開口154を通って第1のキャビティに嵌入するサイズの六角形の断面を有する構造部材である。このタイプの係合部は、六角ドライブシャフトと称されることがある。一方の端部において、係合部は、テーパー状の先端部を含む。ハンドル部162の形状は、実質的に円筒形であるが、ハンドル部162は、把持のための外側端部に向けた平坦部を有する。ハンドル部の内側端部には、係合部164が延出する縁部においてベベル加工されている平坦面がある。当然ながら、ハンドル部の輪郭及び係合部との接触面は、当業者の知識に基づいて変更することができる。
【0043】
図1におけるのと同様に、
図3も、複数のチューブを垂下して保持するトレイ130を示している。トレイ、及びチューブを保持する構造は、上記実施形態において記載されたものと同じである。ソケット部材150の円形開口156は、上記実施形態におけるように、各チューブ110の本体112を覆うように滑らせるとともに別様に本体112の上に嵌められる形状である。
【0044】
また、一変形形態において、
図3に示されているシステムは、
図4に示されているようにソケットホルダー170を備えることができる。ソケットホルダーは、ソケット部材150を保持することができる保管器具である。これは、ピペッティングを含む様々な目的のためのものとすることができる。各チューブ本体をソケット部材内に保持することができるので、ソケット部材を保管することで、図示のようにキャップを外されたチューブの保管も可能になる。ソケットホルダー170は、いずれも中央部171から延出する上側フランジ172及び下側フランジ174を備える。各フランジは、長さに沿ってリセス又は別様には刻み目部(リセス)173を伴う外縁部を有する。リセス173は、ソケット部材の窪んだ円筒部152に適合する形状である。リセス173におけるネックは、回転防止構造158と組み合わせて、フランジ172、174に押し込まれるとソケット部材をソケットホルダーに対して固定させる。ソケットホルダーに保管される場合、ソケット部材の各端部151は、フランジ172、174の外側に全体的に当接する。ソケットホルダーにおける所定位置に置かれると、ソケット部材は、回転運動及び長手軸に沿った運動をしないように抑制される。ソケットホルダーは、ステンレス鋼シートで作製される。代替的には、ソケットホルダーは、当業者に知られている任意の材料で作製することができる。
【0045】
別の実施形態において、第1のキャビティ及び第2のキャビティのそれぞれは、任意の断面形状を有することができ、任意の組合せの断面形状をともに画定することができる。例えば、第1のキャビティは、八角形の断面を有することができ、第2のキャビティは、楕円形の断面を有することができる。上述した回転ツール及びチューブと同様に、ソケット部材は、内面に任意のタイプの係合構造を有することができることが想定される。同様に、ソケット回転ツールの係合部は、ソケット部材の第1のキャビティに対応する任意の形状とすることができる。
【0046】
上述の実施形態のうちのいずれか1つにおいて、トレイ及び容器ホルダー又はソケットホルダーは、器具内に収容することができる。いくつかの実施形態において、容器ホルダー又はソケットホルダーは器具内に収容されない一方で、トレイは器具内に収容することができ、またその逆も然りである。
【0047】
上述の実施形態のうちのいずれか1つにおいて、回転ツール又はソケット部材を自動化装置に接続して、回転ツール又はソケット部材の運動を機械的に制御することができる。例えば、回転ツールに取り付けられる三軸ロボットアームを制御して、回転ツールをチューブの下に移送し、回転ツールをチューブの本体を覆うように滑らせ、次にツールを回転させて、チューブのキャップから本体を取り外すことができる。
【0048】
他の実施形態において、ソケット部材及び/又はソケット回転ツールは、円筒形でない形状を有することができる。ソケット部材は、使用される容器の形状に適合するように、第2の長さにわたって円形でない開口から延在する円筒形でないキャビティを更に有することができる。
【0049】
このシステムの利点には、既知のシステムよりも、保管庫から試薬又は試料にアクセスするために必要な要素がより少数であることが含まれる。例えば、本明細書に記載の実施形態では、モーターは必要とされず、キャップを把持する機構が必要とされない。また、特に、既知のシステムと比較して、トレイと回転ツール又はソケット部材と容器とに必要な空間が最小限である。このシステムは単純でもある。容器の本体は、回転ツールを使用して1回の取外しステップでキャップを取り外して回収することができる。キャップの取外しに特に対処する追加の機構又は要素は必要とされない。
【0050】
特にソケット部材の実施形態に関して、1つの利点は、ソケットホルダーによって所定位置に保持されている場合、ソケット部材の円形開口が、ソケットホルダーの上部フランジの表面よりも高くに配置されることである。これにより、汚染のリスクが低減される。
【0051】
別の態様において、本発明は、キャップ付き容器を垂下して保持するトレイから容器の本体を取り外すことによって容器のキャップを外す方法に関する。このとき、容器の本体は、ピペッティング又は別の用途のために別の場所に配置される。全プロセスは、本明細書に記載されているツールを使用して実行される。
【0052】
1つの実施形態において、1つ以上のキャップ付きチューブを得る。キャップ16の上面がチューブ状延長部34の上面と面一になるとともに上述したように回転防止構造によって所定位置に係止されるまで、チューブを最初に本体12側でトレイ30の上面32の開いた孔に押し込む。この位置において、挿入されたチューブは、
図1に示されているようにトレイから垂下される。次に、回転ツール20を得て、使用者がキャップを外そうとしているチューブ(「所望のチューブ」)と長手方向に位置合わせする。次に、所望のチューブのスプライン部13がもはや見えなくなるまで、回転ツールを所望のチューブを覆うように滑らせる。
【0053】
回転ツール20が所望のチューブ(例えば、
図1の10)を覆う所定位置に置かれたら、使用者は、チューブ10の本体12がキャップ16から取り外されるまで、回転ツールを反時計回り方向に回転させる。チューブの本体12を垂直に保持するために必要なのは、回転ツール20自体だけである。次に、チューブの本体を保持している回転ツールは、所望に応じて別の場所に移送される。
【0054】
一変形形態において、使用者は、保管又はピペッティングのために、チューブを保持しているツール20を容器ホルダー40に移送することができる。使用者は、回転ツール20を容器ホルダーにおける孔44の真下に位置決めして、チューブの本体の上面が容器ホルダーにおける孔の縁部に接触するまで、ツールを上方に移動する。次に、使用者がツールを時計回り方向に回転させ、チューブのねじ14が挿入孔の表面におけるねじ48と相互作用する。ツールは、
図2に示されているように、チューブの本体が容器ホルダー40に固定されるとともに本体の少なくとも一部が容器ホルダーの表面42の上方に露出されるまで回転される。固定されると、使用者は、所望に応じて各チューブの内容物にアクセスすることができる。例えば、容器ホルダーに固定されたチューブに対して、ピペッティングを行うことができる。
【0055】
別の実施形態において、ソケット部材150及びソケット回転ツール160を使用して、チューブ10の本体12を回収する。最初に、上述したように、チューブをトレイの表面132における孔に押し通し、トレイの表面132における孔から垂下する。次に、係合部164の六角ドライブシャフトをソケットの六角形開口154に挿入することによって、ソケット回転ツール160をソケット部材150に係合させる。次に、組み合わされたソケット部材及びツールを、キャップを外して回収しようとしているチューブの本体112を覆うように滑らせる。上記実施形態におけるように、チューブの表面におけるスプライン部113がソケット部材の円形開口内のスプライン部157と整合するまで、ソケット部材150を、本体112を覆うように滑らせる。次に、チューブの本体112がキャップ116から取り外されるまで、ソケット回転ツール160を反時計回りに回転させる。
【0056】
前述の実施形態におけるのと同様に、チューブは、所望に応じて移送することができる。一変形形態において、チューブを保持しているソケット部材150は、
図3に示されているように、ピペッティング又は一時的な保管のためにソケットホルダー170の中に配置することができる。ソケットホルダーのフランジの外縁部におけるリセス173は、ソケット部材を中に留める手段を提供する。これは、ソケット部材の凹部152をフランジの縁部におけるリセス173内に配置することによって達成される。特に、ソケット部材の凹部152における回転防止構造158は、フランジのリセス173内に留められると、リセス173との相互係止接続部を形成する。この接続により、ソケット部材が回転しないこと、及び、ソケット部材がソケット部材の長手軸に対して運動しないことが確保される。この接続を実現するためには、使用者は、ソケットを押し込むとともにソケットを下降させて、回転防止構造との係合を実現する。ソケットを所定位置に留めておくために、使用者は、ソケット回転ツールがソケット部材から係脱するまで、ソケット回転ツールを引き続き下降させる。
【0057】
上述の実施形態のうちのいずれか1つにおいて、回転ツール又はソケット部材のいずれかの動作を制御するために、自動化装置を使用することができる。特に、自動化装置は、回転ツール又はソケット部材を制御して、トレイからチューブの本体を取り外し、次にそのチューブの本体を別の場所に移送することができる。自動化装置は、同じ工程を逆順に実行して、チューブの本体をトレイにおけるキャップの中に戻すこともできる。
【0058】
上述の実施形態のうちのいずれか1つにおいて、トレイに配置されるチューブには、配置の前に試薬又は試料を充填することができる。また更なる実施形態において、任意の所与のトレイによって、異なる試薬又は試料を保持するチューブを保管することができる。一変形形態において、2つ以上のタイプの試薬又は試料がトレイに保管されている場合、各タイプの試薬又は試料を別個に分析することができるように、共通の試薬又は試料を保持するチューブを一緒に回収することができ、汚染のリスクが低減される。
【0059】
上述の実施形態のうちのいずれか1つにおいて、トレイから採取される試薬又は試料のタイプ及び量の識別を援助するために、チューブにカラーコードを使用することができる。
【0060】
他の実施形態において、複数のチューブ内の試薬又は試料が、混入又は漏出を経たことで汚染を引き起こす可能性がある場合、各チューブは、各個々のチューブを別々に分析することができるように、ピペッティングのための容器ホルダー以外の場所に移送することができる。代替的には、ソケット部材は、上述したようにチューブ本体を回収し、回収したチューブ本体を、ソケット部材を介してソケットホルダーに移送することができ、こうして、汚染のリスクが最小限に抑えられる。
【0061】
上述の実施形態のうちのいずれか1つにおいて、試薬又は試料が充填されたチューブは、低温保管庫に保存することができる。一般に、低温保管庫は、チューブ内に入れられた試薬又は試料の保管寿命を向上させる。
【0062】
上記方法は、本明細書で検討されたシステムの任意の実施形態を用いて実行することができる。
【0063】
記載される方法の利点は、容器の開封された本体をトレイから回収し、この容器の本体をピペッティング又は別の用途のための別の場所に移送するために、より少数のステップを必要とすることを含む。例えば、もはや必要とされない1つのステップは、容器の本体を取り外す前にキャップを取り外すことである。このステップを実行する必要がないというこの利点は、既知の方法が使用後に容器を保管庫に置くためにキャップを再取り付けするステップも必要としていたことによって強調される。本明細書の方法を用いれば、これらのステップの双方はもはや必要でない。
【0064】
他の利点は、本明細書に記載の方法を用いれば、以前は必要と理解されていたステップよりも少数のステップを必要とするので、エラーのリスクがより低いことを含む。同様の理由で、汚染のリスクも低減される。いくつかの実施形態において、低温保管庫の使用により、1つの容器に保管することができる試薬又は試料の量が増大し、したがって費用が低減する。
【0065】
本明細書における発明について、特定の実施形態を参照して説明したが、これらの実施形態は、本発明の原理及び応用を単に例示するものであることが理解されるべきである。したがって、例示的な実施形態に対して多数の変更を行うことができ、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の構成を考案することができることが理解されるべきである。