特許第6957600号(P6957600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957600
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】介助装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/14 20060101AFI20211021BHJP
   A61G 5/14 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   A61G7/14
   A61G5/14
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-505572(P2019-505572)
(86)(22)【出願日】2017年3月14日
(86)【国際出願番号】JP2017010272
(87)【国際公開番号】WO2018167856
(87)【国際公開日】20180920
【審査請求日】2019年6月27日
【審判番号】不服2021-3276(P2021-3276/J1)
【審判請求日】2021年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】五十棲 丈二
(72)【発明者】
【氏名】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】中根 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】中根 邦靖
【合議体】
【審判長】 島田 信一
【審判官】 八木 誠
【審判官】 藤井 昇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−144628(JP,A)
【文献】 特開2003−180754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G7/14
A61G5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介助者の移乗を介助する介助装置であって、
基台と、
前記基台に前後方向に揺動可能に設けられるアームと、
前記被介助者の身体の一部を支持し、前記アームに前後方向に揺動可能に設けられる支持部と、
前記基台に設けられ、第一端と第二端との間を移動する移動部を備える直動のアクチュエータと、
前記移動部が前記第一端から所定の中間位置まで移動するときに前記移動部の動きを前記アームに対する前記支持部の前方への揺動に伝達しつつ、前記基台に対する前記アームの一定の姿勢を維持し、且つ、前記移動部が前記所定の中間位置から前記第二端まで移動するときに前記移動部の動きを前記基台に対する前記アームの前方への揺動に伝達しつつ、前記支持部が前記アームに対する一定の姿勢を維持するように前記アームに対する前記支持部の後方への揺動を規制するリンク機構と、
を備える、介助装置。
【請求項2】
前記介助装置は、さらに、前記アームに固定され、前記移動部が前記アームに対して自由移動することを規制する規制部材を備え、
前記規制部材は、
前記移動部が前記第一端から前記所定の中間位置まで移動するときに、前記移動部を非規制状態とすることにより、前記移動部の動きを前記アームに対する前記支持部の前方への揺動に伝達し、
前記移動部が前記所定の中間位置から前記第二端まで移動するときに、前記移動部を規制状態とすることにより、前記移動部の動きを前記基台に対する前記アームの前方への揺動に伝達する、請求項1に記載の介助装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記基台に揺動可能に設けられる本体部と、前記本体部に直動可能に設けられた前記移動部と、を備え、
前記リンク機構は、
前記アームに第一揺動軸線を中心に揺動可能に設けられ、且つ、前記移動部に第二揺動軸線を中心に揺動可能に設けられる第一リンク部材と、
前記第一リンク部材と前記支持部とを連結する第二リンク部材と、
を備える、請求項1又は2に記載の介助装置。
【請求項4】
前記第二リンク部材は、前記第一リンク部材と前記支持部とを連動させる連動状態と、前記第一リンク部材と前記支持部とを非連動とする非連動状態とを許容し、
前記支持部は、前記第二リンク部材が前記非連動状態を許容されることにより、前記アームに対して前方に自由揺動可能である、請求項3に記載の介助装置。
【請求項5】
被介助者の移乗を介助する介助装置であって、
基台と、
前記基台に前後方向に揺動可能に設けられるアームと、
前記被介助者の身体の一部を支持し、前記アームに前後方向に揺動可能に設けられる支持部と、
前記基台に設けられ、第一端と第二端との間を移動する移動部を備える直動のアクチュエータと、
前記移動部が前記第一端から所定の中間位置まで移動するときに前記移動部の動きを前記アームに対する前記支持部の前方への揺動に伝達し、且つ、前記移動部が前記所定の中間位置から前記第二端まで移動するときに前記移動部の動きを前記基台に対する前記アームの前方への揺動に伝達するリンク機構と、を備え、
前記アクチュエータは、前記基台に揺動可能に設けられる本体部と、前記本体部に直動可能に設けられた前記移動部と、を備え、
前記リンク機構は、前記アームに第一揺動軸線を中心に揺動可能に設けられ、且つ、前記移動部に第二揺動軸線を中心に揺動可能に設けられる第一リンク部材と、前記第一リンク部材と前記支持部とを連結する第二リンク部材と、を備え、
前記第二リンク部材は、前記第一リンク部材と前記支持部とを連動させる連動状態と、前記第一リンク部材と前記支持部とを非連動とする非連動状態とを許容する可撓部材であり、前記支持部が自由揺動する際に前記第一リンク部材と前記支持部との間で撓み変形し、
前記支持部は、前記第二リンク部材が前記非連動状態を許容されることにより、前記アームに対して前方に自由揺動可能である、介助装置。
【請求項6】
前記介助装置は、さらに、前記基台に対する前記アームの揺動角度を規制するストッパを備える、請求項1−5の何れか一項に記載の介助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、介助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被介助者の移乗を介助する介助装置が、種々知られている。介助装置の一種は、被介助者の上半身などを支持して、例えば座位姿勢の被介助者の臀部を座面から上昇させる動作を介助する。
【0003】
特許文献1には、一個の直動アクチュエータにより、被介助者の上半身を支持する支持部を前方に揺動することができる介助装置が記載されている。特許文献2には、台車部と、台車部に第一軸線を中心に揺動可能に設けられたフレームと、フレームに第二軸線を中心に揺動可能に設けられた支持部とを備える介助装置が記載されている。この介助装置において、第一直動アクチュエータが、台車部に対してフレームを揺動させ、第二直動アクチュエータが、フレームに対して支持部を揺動させる。
【0004】
特許文献3には、台車部と、台車部に対して揺動可能に設けられたフレームと、フレームにスライド可能に設けられた支持部とを備える介助装置が記載されている。この介助装置において、第一直動アクチュエータが、台車部に対してフレームを揺動させ、第二直動アクチュエータが、フレームに対して支持部をスライドさせる。
【0005】
特許文献4には、台車部と、台車部に揺動可能に設けられた下腿フレームと、下腿フレームに揺動可能に設けられた上体フレームと、上体フレームにスライド可能に設けられた支持部とを備える介助装置が記載されている。この介助装置において、第一直動アクチュエータが、台車部に対して下腿フレームを揺動させ、第二直動アクチュエータが、下腿フレームに対して支持部を揺動且つスライドさせる。ここで、第二直動アクチュエータの駆動により、支持部は、下腿フレームに対して、揺動するのと同時にスライドする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−165313号公報
【特許文献2】特開2017−23298号公報
【特許文献3】特開2017−23299号公報
【特許文献4】特開2017−23300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の介助装置のように、被介助者の移乗の動作を介助する際に、被介助者の身体の一部を支持する支持部が、一種類の揺動のみを行う構成では、被介助者は違和感を覚える。そこで、支持部は、複数の軸動作を行うことが求められる。
【0008】
特許文献2,3に記載の介助装置においては、支持部が二種類の軸動作を行うために、それぞれ独立したアクチュエータが必要となる。介助装置は、複数のアクチュエータを備えることで、高コストとなる。
【0009】
特許文献4に記載の介助装置においては、第二直動アクチュエータが、下腿フレームに対して支持部を揺動且つスライドさせる。つまり、支持部は、一個の第二直動アクチュエータにより、二種類の軸動作を行うことができる。しかし、第二直動アクチュエータの駆動により、支持部は、下腿フレームに対して、揺動しながらスライドする。つまり、揺動とスライドとが、同時に動作するのみである。
【0010】
ところで、座位姿勢の被介助者の臀部を上昇させる際に、支持部による第一段階動作と第二段階動作とを異なる動作とすることが、被介助者は安定感且つ安心感を得る。しかし、特許文献4においては、支持部の動作は、揺動とスライドを同時に行うのみであるため、十分ではない。結局のところ、第一段階動作と第二段階動作とを異なる動作とするためには、二個のアクチュエータが必要となってしまう。
【0011】
本明細書は、二段階の動作を一個のアクチュエータにより可能とする介助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書は、被介助者の移乗を介助する介助装置であって、基台と、前記基台に前後方向に揺動可能に設けられるアームと、前記被介助者の身体の一部を支持し、前記アームに前後方向に揺動可能に設けられる支持部と、前記基台に設けられ、第一端と第二端との間を移動する移動部を備える直動のアクチュエータと、前記移動部が前記第一端から所定の中間位置まで移動するときに前記移動部の動きを前記アームに対する前記支持部の前方への揺動に伝達しつつ、前記基台に対する前記アームの一定の姿勢を維持し、且つ、前記移動部が前記所定の中間位置から前記第二端まで移動するときに前記移動部の動きを前記基台に対する前記アームの前方への揺動に伝達しつつ、前記支持部が前記アームに対する一定の姿勢を維持するように前記アームに対する前記支持部の後方への揺動を規制するリンク機構と、を備える介助装置を開示する。
また、本明細書は、被介助者の移乗を介助する介助装置であって、基台と、前記基台に前後方向に揺動可能に設けられるアームと、前記被介助者の身体の一部を支持し、前記アームに前後方向に揺動可能に設けられる支持部と、前記基台に設けられ、第一端と第二端との間を移動する移動部を備える直動のアクチュエータと、前記移動部が前記第一端から所定の中間位置まで移動するときに前記移動部の動きを前記アームに対する前記支持部の前方への揺動に伝達し、且つ、前記移動部が前記所定の中間位置から前記第二端まで移動するときに前記移動部の動きを前記基台に対する前記アームの前方への揺動に伝達するリンク機構と、を備え、前記アクチュエータは、前記基台に揺動可能に設けられる本体部と、前記本体部に直動可能に設けられた前記移動部と、を備え、前記リンク機構は、前記アームに第一揺動軸線を中心に揺動可能に設けられ、且つ、前記移動部に第二揺動軸線を中心に揺動可能に設けられる第一リンク部材と、前記第一リンク部材と前記支持部とを連結する第二リンク部材と、を備え、前記第二リンク部材は、前記第一リンク部材と前記支持部とを連動させる連動状態と、前記第一リンク部材と前記支持部とを非連動とする非連動状態とを許容する可撓部材であり、前記支持部が自由揺動する際に前記第一リンク部材と前記支持部との間で撓み変形し、前記支持部は、前記第二リンク部材が前記非連動状態を許容されることにより、前記アームに対して前方に自由揺動可能である、介助装置を開示する。
【発明の効果】
【0013】
移動部が第一端から所定の中間位置まで移動するときに、移動部の動きがアームに対する支持部の前方への揺動に伝達される。つまり、アームに対して支持部が前方へ揺動するときには、支持部は、アームに非連動で移動部に連動する状態となる。また、移動部が所定の中間位置から第二端まで移動するときに、移動部の動きが基台に対するアームの前方への揺動に伝達される。つまり、基台に対してアームが前方へ揺動するときには、支持部は、アーム及び移動部に連動する状態となる。前者の状態と後者の状態では、被介助者を前傾する際の揺動中心が異なる。これにより、被介助者は、安定感且つ安心感を得ながら、被介助者の身体を持ち上げられることができる。
【0014】
そして、上記のように、一個のアクチュエータが、アームに対して支持部を揺動させる第一段階動作と、基台に対してアームを揺動させる第二段階動作とを行うことができる。つまり、支持部の上記二段階の動作は、一個のアクチュエータにより行うことができる。これにより、介助装置は、低コストとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】介助装置を斜め後方から見た斜視図である。
図2】アクチュエータの移動部が第一端に位置する状態を示す図であって、介助装置を前後方向に切断した断面図である。
図3】支持部がアームに対して自由揺動する状態を示す図であって、介助装置を前後方向に切断した断面図である。
図4】アクチュエータの移動部が所定の中間位置に位置する状態を示す図であって、介助装置を前後方向に切断した断面図である。
図5】アクチュエータの移動部が第二端に位置する状態を示す図であって、介助装置を前後方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.介助装置1の概要
介助装置1は、被介助者Mの移乗を介助する。例えば、介助装置1は、ベッドと車椅子との間の移乗、及び、車椅子と便座との間での移乗など、異なる二箇所間での移乗の介助に用いられる。また、介助装置1は、移乗する二箇所が遠くに位置する場合にも適用され、被介助者Mを支持した状態で目標場所に移動することができる。
【0017】
介助装置1は、被介助者Mの身体の一部、例えば上半身を支持して、被介助者Mを座位姿勢から移乗時姿勢への動作、又は、移乗時姿勢から座位姿勢への動作の介助を行う。ここで、移乗時姿勢は、臀部が座面から浮いた状態の姿勢であり、立位姿勢及び中腰姿勢を含む。つまり、移乗時姿勢は、上半身が起立した状態及び前かがみの状態などを含む。
【0018】
2.介助装置1の構成
介助装置1の構成について、図1図5を参照して説明する。図1及び図2に示すように、介助装置1は、基台10を備える。基台10は、介助装置1における最下部に位置する部材である。基台10は、フレーム11、足載置台12、及び、複数の車輪13,14などを備える。フレーム11は、床面Fの近くにほぼ水平な後方部位11aと、後方部位11aの前端から上前方に延在する前方部位11bとを備える。足載置台12は、フレーム11の後方部位11aの上面に固定されて、ほぼ水平に設けられる。足載置台12の上面には、被介助者Mが足を乗せる位置を案内するためのマーク12aが記されている。
【0019】
フレーム11の下側には、左右に二個ずつの車輪13,14が設けられている。各車輪13,14は、移動方向を転換する転舵機能を有する。前輪13は、フレーム11の前方部位11bに設けられ、後輪14は、フレーム11の後方部位11aに設けられる。また、前輪13は、移動を規制するロック機能を備える。介助装置1は、四個の車輪13,14の転舵機能により、前後方向の直進及び旋回だけでなく、横移動及び超信地旋回が可能となる。
【0020】
介助装置1は、図1及び図2に示すように、さらに、基台10に設けられ、基台10に対して前後方向に揺動可能なアーム20を備える。アーム20は、前方に突出するように、湾曲した形状又は屈曲した形状に形成されている。アーム20の下端は、基台10のフレーム11の前方部位11bに、第一基軸線Aを中心に揺動可能に支持されている。アーム20の上端は、基台10の上方領域において、基台10に対して前後方向に揺動する。
【0021】
介助装置1は、図2及び図5に示すように、さらに、基台10に対するアーム20の揺動角度を規制するためのストッパ構造30を備える。ストッパ構造30は、基台10のフレーム11の前方部位11bに固定される第一ストッパ31及び第二ストッパ32と、アーム20に固定される接触部材33とを備える。接触部材33は、アーム20と一体的に、基台10のフレーム11の前方部位11bに対して第一基軸線Aを中心に揺動する。接触部材33は、アーム20の下端に固定されており、アーム20の前方への揺動に伴って後方へ揺動し、アーム20の後方への揺動に伴って前方へ揺動する。
【0022】
図2に示すように、第一ストッパ31は、接触部材33が前方へ揺動できる限界位置を規定する。つまり、第一ストッパ31は、アーム20の後方への揺動限界位置を規定する。一方、図5に示すように、第二ストッパ32は、接触部材33が後方へ揺動できる限界位置を規定する。つまり、第二ストッパ32は、アーム20の前方への揺動限界位置を規定する。第一ストッパ31と接触部材33とが接触する状態では、アーム20の上端は、アーム20の下端より後方に位置する。一方、第二ストッパ32と接触部材33とが接触する状態では、アーム20の上端は、アーム20の下端に対してほぼ真上位置に位置する。つまり、アーム20の上端は、前方に揺動しながら上昇する動作と、後方に揺動しながら下降する動作とを行う。
【0023】
介助装置1は、図1及び図2に示すように、さらに、基台10に固定された下腿当て部40を備える。下腿当て部40は、一対の支持部材41,41と、クッション材42とを備える。一対の支持部材41,41の下端は、基台10のフレーム11の前方部位11bに固定されている。支持部材41,41の上端は、アーム20の後方に位置する。クッション材42は、支持部材41,41の上端に固定されている。つまり、クッション材42は、足載置台12の上方に位置し、マーク12aよりも少し前方に設けられる。クッション材42は、被介助者Mの下腿付近が接触する部位である。
【0024】
介助装置1は、図1及び図2に示すように、さらに、被介助者Mの身体の一部、特に上半身の一部を支持する支持部50を備える。支持部50は、アーム20の上端付近に設けられ、アーム20に対して前後方向に揺動可能に支持される。支持部50は、アーム20の上端付近に位置するアーム軸線Eを中心に揺動可能となる。つまり、支持部50は、アーム20に連動して基台10に対して第一基軸線Aを中心に揺動すると共に、アーム20に独立してアーム20に対してアーム軸線Eを中心に揺動することが可能となる。
【0025】
支持部50は、支持本体51、胴体支持部52、及び、一対の脇支持部53,53を備える。支持本体51は、アーム20に設けられ、アーム20に対してアーム軸線Eを中心に揺動可能に支持される。支持本体51は、ハンドル51a及び係止部51bを備える。ハンドル51aは、概ね四角形の枠形状に形成されている。ハンドル51aは、被介助者Mが把持する部分として利用させると共に、介助装置1を移動させるために介助者が把持する部分としても利用される。係止部51bは、ハンドル51aの四角形の枠内の中央付近に位置し、アーム軸線Eよりも前方に位置する。
【0026】
胴体支持部52は、支持本体51に支持され、被介助者Mの胴体を支持する。胴体支持部52は、アーム軸線Eの近傍に位置し、且つ、アーム軸線Eに対して後方に位置する。図1及び図2において、胴体支持部52の高さ方向の中央付近に、アーム軸線Eが位置する。胴体支持部52の支持面は、被介助者Mの胴体の前面形状に近い面状に形成されている。胴体支持部52の支持面は、柔軟な変形が可能な材料により構成されている。胴体支持部52の支持面は、被介助者Mの上半身のうち胴体の前面に面接触して胴体を支持する。より詳細には、胴体支持部52の支持面は、被介助者Mにおける胸部から腹部に亘る範囲を下方から支持する。
【0027】
一対の脇支持部53,53は、支持本体51に支持され、被介助者Mの脇を支持する。詳細には、一対の脇支持部53,53は、胴体支持部52の左右に設けられている。脇支持部53は、棒状部材により、L字状に形成されている。詳細には、脇支持部53は、上方に延びる部分であって、被介助者Mの肩の前面を支持する肩受け部53aを備える。さらに、脇支持部53は、肩受け部53aの下端から後方に延びる部分であって、被介助者Mの脇に挿入される脇挿入部53bを備える。脇挿入部53bは、ほぼ全長に亘って、直線状に形成されている。また、脇挿入部53bは、肩受け部53aよりも長く形成されている。一対の脇支持部53は、肩受け部53a付近を中心に、支持本体51に揺動可能に支持されている。脇支持部53が揺動することで、一対の脇支持部53の脇挿入部53bの後端が、相互に接近又は離間する。また、脇支持部53の表面は、柔軟な変形が可能な材料により覆われている。
【0028】
介助装置1は、図1図5に示すように、さらに、基台10に設けられた直動のアクチュエータ60を備える。アクチュエータ60は、直動タイプであれば、種々の構成を適用できる。アクチュエータ60は、本体部61と、本体部61に対して直動可能で、第一端と第二端との間を移動する移動部62とを備える。ここで、第一端及び第二端は、本体部61を基準とした場合に、移動部62の直動方向の両端のそれぞれを意味する。例えば、第一端及び第二端は、移動部62の先端位置により定義される。
【0029】
アクチュエータ60は、モータを駆動源とし、伝達機構を介して移動部62を直動させる構成とすることができる。伝達機構は、例えば、歯車機構、ねじ機構、ラックピニオン機構などである。他に、アクチュエータ60は、油圧及び空気圧などを駆動源とし、シリンダ構造とすることもできる。
【0030】
アクチュエータ60の本体部61は、基台10のフレーム11に、第二基軸線Bを中心に揺動可能に支持されている。つまり、本体部61は、基台10に対して前後方向に揺動可能となる。ここで、フレーム11における第二基軸線Bは、アーム20の揺動中心である第一基軸線Aより後方に位置する。従って、アクチュエータ60は、一対の支持部材41,41の間を通過する位置に位置する。
【0031】
アクチュエータ60の移動部62は、本体部61に対して直動し、例えば軸状部材により形成されている。移動部62の先端が、第一端と第二端との間で移動する。つまり、軸状部材としての移動部62の先端は、縮み端としての第一端と、伸び端としての第二端との間で移動する。
【0032】
介助装置1は、図2図5に示すように、さらに、アクチュエータ60の移動部62の動きをアーム20及び支持部50に伝達するリンク機構70を備える。リンク機構70は、移動部62が第一端から所定の中間位置まで移動するときに、移動部62の動きをアーム20に対する支持部50の前方への揺動に伝達する。さらに、リンク機構70は、移動部62が所定の中間位置から第二端まで移動するときに、移動部62の動きを基台10に対するアーム20の前方への揺動に伝達する。つまり、リンク機構70は、一個のアクチュエータ60により支持部50の二段階動作を実現するための機構である。
【0033】
詳細には、リンク機構70は、第一リンク部材71及び第二リンク部材72を備える。第一リンク部材71は、金属又は硬質樹脂により形成された長尺状の部材である。第一リンク部材71は、アーム20に設けられ、アーム20に対して第一揺動軸線Cを中心に揺動可能に支持される。アーム20において、第一揺動軸線Cは、アーム20の中間位置に位置する。また、第一リンク部材71において、第一揺動軸線Cは、第一リンク部材71の長手方向の中央付近に位置する。つまり、第一リンク部材71は、アーム20の中間位置において、アーム20に対して揺動する。
【0034】
さらに、第一リンク部材71は、移動部62の先端に設けられ、移動部62に対して第二揺動軸線Dを中心に揺動可能に支持される。第一リンク部材71において、第二揺動軸線Dは、第一揺動軸線Cより前方に位置する。特に、第二揺動軸線Dは、第一リンク部材71の長手方向の前端付近に位置する。第一リンク部材71は、移動部62の移動に応じて、アーム20に対して揺動する。
【0035】
さらに、第一リンク部材71は、移動部62と連結される第二揺動軸線Dより上方に、ローラ71aを備える。ローラ71aは、後述する規制部材80に接触したときに、規制部材80に対して転動し得る部材である。
【0036】
第二リンク部材72は、第一リンク部材71と支持部50とを連結する。より詳細には、第二リンク部材72は、第一リンク部材71の後端付近と支持部50の支持本体51の係止部51bとを連結する。第二リンク部材72は、金属又は硬質樹脂などの非撓部材により形成することもできるが、本実施形態においては可撓部材により形成している。可撓部材は、例えば、ゴム、エラストマー、軟質樹脂、フィルム状の硬質樹脂などにより形成されている。
【0037】
つまり、第一リンク部材71及び支持部50のそれぞれとの接続位置同士が離れる方向に移動する場合に、第二リンク部材72は、第一リンク部材71と支持部50とを連動させる連動状態とする。従って、第一リンク部材71がアーム20に対して第一揺動軸線Cを中心に揺動すると、支持部50がアーム20に対してアーム軸線Eを中心に揺動する。
【0038】
一方、第一リンク部材71及び支持部50のそれぞれとの接続位置同士が近づく方向に移動する場合に、第二リンク部材72は、第一リンク部材71と支持部50とを非連動とする非連動状態を許容する。従って、支持部50は、アーム20に対してアーム軸線Eを中心に自由揺動可能となる。自由揺動とは、アクチュエータ60による駆動とは無関係に、手動で動作可能な揺動を意味する。なお、第二リンク部材72が可撓部材である場合には、非連動状態において、第二リンク部材72は、第一リンク部材71と支持部50の係止部51bとの間で撓み変形する。
【0039】
ここで、第二リンク部材72は、例えば、可撓部材により有端のベルトにより構成されている。第二リンク部材72であるベルトの両端が第一リンク部材71に固定され、第二リンク部材72であるベルトの中間位置が支持部50の係止部51bに掛けられている。また、第二リンク部材72であるベルトの両端のそれぞれが、第一リンク部材71と支持部50の係止部51bとに固定されるようにしてもよい。さらに、第二リンク部材72が無端のベルトにより構成されている場合には、第二リンク部材72は、第一リンク部材71及び支持部50の係止部51bに巻き掛けられるようにしてもよい。
【0040】
また、第二リンク部材72が、非撓部材である場合には、図示しないが、非連動状態を許容するための長穴などを備えるようにすればよい。この場合、第二リンク部材72は、例えば、第一リンク部材71の後端側に揺動可能に支持され、第二リンク部材72の長穴が、支持部50の係止部51bに係合する。又は、第二リンク部材72は、例えば、支持部50の係止部51bに揺動可能に支持され、第二リンク部材72の長穴が、第一リンク部材71の後端側に係合する。
【0041】
介助装置1は、さらに、アーム20に固定され、移動部62がアーム20に対して自由移動することを規制する規制部材80を備える。自由移動とは、移動部62がアーム20に連動しない移動を意味する。つまり、規制部材80が作用する状態において、規制部材80は、移動部62がアーム20に連動して移動させる部材として機能する。規制部材80は、アーム20の中間位置に設けられている。規制部材80は、例えば、板状に形成されており、移動部62の先端付近に対応する位置に設けられている。
【0042】
規制部材80は、移動部62が所定の中間位置と第二端との間を移動する場合に、ローラ71aと接触する。つまり、規制部材80は、移動部62が第一端から所定の中間位置まで移動するときには、ローラ71aと接触することなく、移動部62がアーム20に対して自由移動することを規制しない非規制状態とする。一方、規制部材80は、移動部62が所定の中間位置から第二端まで移動するときには、ローラ71aに接触した状態が維持され、移動部62がアーム20に対して自由移動することを規制する規制状態とする。
【0043】
介助装置1は、さらに、制御ユニット90を備える。制御ユニット90は、基台10、下腿当て部40及びアーム20など、動作の少ない部材であって、被介助者Mに干渉しない場所に固定されている。本実施形態においては、制御ユニット90は、アーム20の下端付近であって、アーム20の前方面に固定されている。
【0044】
制御ユニット90は、ソフトウェアで動作するコンピュータ装置、及び、バッテリ電源などを備える。制御ユニット90は、介助者が入力装置(図示せず)の操作を行うことで、入力装置に入力された指示に応じてアクチュエータ60を制御する。入力される指示の種類は、被介助者Mの臀部を上昇させる上昇モード、及び、被介助者Mの臀部を下降させる下降モードである。
【0045】
3.介助装置1による動作
次に、介助装置1による動作について、図1図5を参照して説明する。以下には、介助装置1の動作として、座位姿勢である被介助者Mの臀部を上昇させて、被介助者Mを移乗時姿勢にする場合を例にあげる。なお、被介助者Mに対する移乗時姿勢から座位姿勢への介助動作は、座位姿勢から移乗時姿勢への介助動作の逆動作となる。
【0046】
図2に示すように、介助者は、入力装置(図示せず)を操作して、アクチュエータ60の移動部62を縮み端である第一端に位置させる。移動部62が第一端に位置する状態とは、接触部材33が第一ストッパ31に接触する状態である。つまり、アーム20は、基台10に対して後方へ揺動することを規制されている状態となる。なお、被介助者Mの体格に応じて、介助者は、移動部62を第一端ではなく、第一端より少し上昇させた位置に位置させるようにしてもよい。このとき、胴体支持部52の支持面の法線は、水平後方よりも少し上方を向いている。さらに、脇挿入部53bは、ほぼ水平か、僅かに後ろ下がりとなる。
【0047】
続いて、介助者は、介助装置1のハンドル51aを把持して、座位姿勢の被介助者Mに介助装置1に接近させる。介助者は、被介助者Mの下半身を、基台10の上方、且つ、支持部50の下方の領域に進入させる。介助者は、被介助者Mの足を、足載置台12のマーク12a上に載置させる。被介助者Mの下腿の一部は、下腿当て部40のクッション材42に接触することで、被介助者Mの下腿全体が安定した状態となる。
【0048】
被介助者Mが下半身を支持部50の下方の領域に進入させる際に、被介助者Mの大腿部が支持部50の下面に接触することがある。ここで、図3に示すように、第二リンク部材72は、第一リンク部材71と支持部50とを非連動とする非連動状態を許容する。また、第二リンク部材72は、アーム20に対しても、アーム軸線Eを中心に揺動可能である。つまり、支持部50は、アーム20、移動部62及び第一リンク部材71に非連動な状態となり得る。
【0049】
そのため、移動部62が移動していないときに、支持部50は、アーム20に対してアーム軸線Eを中心に前方に自由揺動可能となる。この動作は、被介助者M自身の手や足によって可能である。そして、支持部50がアーム軸線Eを中心に前方に揺動することで、支持部50の下面が上昇する。従って、被介助者Mが、支持部50を自身で揺動させることができるため、容易に下半身を支持部50の下方の領域に進入させることができる。そして、被介助者Mが下半身を支持部50の下方の領域に進入させた状態において、被介助者Mの大腿部が強い力で挟まれることもない。
【0050】
ところで、第二リンク部材72は、可撓部材により形成されていれば、支持部50が自由揺動する際に、第一リンク部材71と支持部50との間で撓み変形する。従って、支持部50が自由揺動する際に、第二リンク部材72は、支持部50よりも上方に突出することもなく、第一リンク部材71よりも下方に突出することもない。そのため、介助装置1の安全性及び意匠性が非常に良好となる。
【0051】
続いて、介助者は、被介助者Mの胴体を胴体支持部52に面接触させる。さらに、介助者は、被介助者Mの脇に脇支持部53の脇挿入部53bを挿入させる。そして、介助者は、被介助者Mの肩の前面が肩受け部53aに接触する状態とし、且つ、被介助者Mの脇を脇挿入部53bの上に載置させる。このときの被介助者Mの姿勢が初期姿勢となる。初期姿勢では、図2に示すように、臀部が座面に接触しており、胴体が少し前傾となる。ここで、移動部62が第一端又は第一端付近に位置する状態において、脇挿入部53bは、ほぼ水平か、僅かに後ろ下がりとなる。そのため、被介助者Mは、脇挿入部53bを脇に挿入しやすい。
【0052】
続いて、介助者は、入力装置(図示せず)の上昇モードの操作を行って、移動部62を上昇させる。第一リンク部材71のローラ71aは、まだ規制部材80に接触していない。従って、規制部材80は、移動部62がアーム20に対して自由移動することを許容している。
【0053】
移動部62が上昇すると、図4に示すように、アーム20は基台10と相対的に一定の姿勢を維持しつつ、第一リンク部材71が、アーム20に対して図2の反時計回りに揺動する。同時に、アクチュエータ60の本体部61が、基台10に対して第二基軸線Bを中心に前方に揺動する。
【0054】
第一リンク部材71がアーム20に対して揺動することに伴って、第一リンク部材71の後端側は、下方へ移動する。当該動作により、第二リンク部材72が、支持部50との接続位置である係止部51bを下方へ移動させる。支持部50において、係止部51bは、アーム軸線Eより前方に位置する。従って、支持部50は、アーム20に対してアーム軸線Eを中心に前方に揺動する。この動作は、移動部62が所定の中間位置に到達するまで、すなわち、ローラ71aが規制部材80に接触するまで、継続される。つまり、移動部62が第一端から所定の中間位置まで、アーム20は基台10に相対的に一定の姿勢を維持した状態のまま、支持部50がアーム軸線Eを中心に前方へ揺動する。
【0055】
つまり、移動部62が所定の中間位置に到達するまで、支持部50は、アーム20に非連動であって、移動部62及び第一リンク部材71に連動する状態となる。そして、移動部62の動きは、アーム20に対する支持部50の前方への揺動に伝達される。
【0056】
従って、上記動作により、被介助者Mの上半身が、大きく前傾姿勢となる。このとき、臀部は、座面に接触した状態を維持する。ここで、アーム軸線Eは、被介助者Mの胴体の近傍に位置する。そのため、臀部が座面に接触した状態でありながら、上半身が伸びた状態となる。つまり、被介助者Mの姿勢が、被介助者Mの上半身を上昇させるために適した姿勢となる。さらに、移動部62が所定の中間位置に位置するとき、脇挿入部53bは、前下がりとなる。そのため、脇挿入部53bは、被介助者Mが後方へ移動することを規制する。従って、被介助者Mは、前傾姿勢で安定した状態となる。
【0057】
さらに継続して、介助者は、入力装置(図示せず)の上昇モードの操作を行って、移動部62を上昇させる。第一リンク部材71のローラ71aは規制部材80に接触している。従って、規制部材80は、移動部62がアーム20に対して自由移動することを規制している。
【0058】
移動部62が上昇すると、図5に示すように、ローラ71aが規制部材80を押し上げる。規制部材80はアーム20に固定されている。そのため、移動部62が上昇すると、ローラ71aと規制部材80との接触が維持されたまま、アーム20が第一基軸線Aを中心に前方に揺動しつつ、アクチュエータ60の本体部61が第二基軸線Bを中心に前方に揺動する。
【0059】
ここで、ローラ71aは、規制部材80に接触した状態である。従って、第一リンク部材71における第一揺動軸線C、及び、ローラ71aが、アーム20に対して移動しない状態となる。つまり、第一リンク部材71は、アーム20に対して一定の姿勢を維持することになる。そして、第二リンク部材72が第一リンク部材71と支持部50とを連動させる連動状態であるため、支持部50は、アーム20と一定の姿勢を維持する。
【0060】
そして、この動作は、接触部材33が第二ストッパ32に接触するまで、すなわち、移動部62が第二端に移動するまで継続される。つまり、移動部62が所定の中間位置から第二端に移動するまで、支持部50は、アーム20、移動部62及び第一リンク部材71に連動する状態となる。そして、移動部62の動きは、基台10に対するアーム20の前方への揺動に伝達される。ここで、接触部材33が第二ストッパ32に接触する状態では、アーム軸線Eが第一基軸線Aの直上に位置する。つまり、移動部62が所定の中間位置から第二端まで移動する間、アーム軸線Eは、第一基軸線Aの後方から、第一基軸線Aの直上まで移動することになる。
【0061】
従って、上記動作により、被介助者Mの上半身が、前方且つ上方へ移動しつつ、さらに前傾姿勢となる。その結果、被介助者Mの臀部は、座面から大きく上昇した位置に位置する。この場合、被介助者Mの脚部は、座位姿勢に比べて伸びた状態となる。
【0062】
ここで、移動部62が第一端から所定の中間位置まで移動する動作を第一段階動作と称し、移動部62が所定の中間位置から第二端まで移動する動作を第二段階動作と称する。第一段階動作において、支持部50の揺動中心は、アーム軸線Eであり、第二段階動作において、支持部50の揺動中心は、第一基軸線Aである。このように、第一段階動作と第二段階動作とでは、支持部50の揺動中心が異なる。
【0063】
第二段階動作での揺動中心である第一基軸線Aは、第一段階動作での揺動中心であるアーム軸線Eに比べて、被介助者Mの胴体から遠い位置に位置する。詳細には、第一基軸線Aは、床面Fに近い位置で、座位姿勢の被介助者Mの胴体よりも前方にかなり離れている。そのため、第一段階動作に比べて、第二段階動作は、被介助者Mの上半身の上昇量且つ前方への移動量が大きくなる。
【0064】
以上のように、第一段階動作と第二段階動作とにおいて、被介助者Mを前傾する際の揺動中心を異ならせることにより、被介助者Mは、安定感且つ安心感を得ながら、被介助者Mの上半身を持ち上げられることができる。
【0065】
4.変形態様
上記においては、リンク機構70は、第一リンク部材71及び第二リンク部材72を備えるものとした。この他に、リンク機構70は、三以上の部材により構成されるようにしてもよい。また、第一リンク部材71がアーム20に対して揺動する第一揺動軸線Cは、第一リンク部材71の中央に位置するものとした。第一揺動軸線Cは、第一リンク部材71の端部に位置するようにしてもよい。この場合、第一リンク部材71と移動部62との連結位置、及び、第一リンク部材71と第二リンク部材72との連結位置などを適宜変更することで、上記と同様の動作が可能となる。
【0066】
また、アクチュエータ60は、縮み端を第一端とし且つ伸び端を第二端としたが、リンク機構70を適宜変更することで、伸び端を第一端とし且つ縮み端を第二端とする構成も採用可能である。また、リンク機構70は、ロープと滑車などを用いることも可能である。さらに、アクチュエータ60の本体部61が基台10に対して揺動する第二基軸線Bは、アーム20が基台10に対して揺動する第一基軸線Aより後方に設けたが、前後方向の位置を逆としてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1:介助装置、 10:基台、 11a:後方部位、 11b:前方部位、 13,14:車輪、 20:アーム、 30:ストッパ構造、 31:第一ストッパ、 32:第二ストッパ、 33:接触部材、 40:下腿当て部、 41:支持部材、 42:クッション材、 50:支持部、 51:支持本体、 51a:ハンドル、 51b:係止部、 52:胴体支持部、 53:脇支持部、 60:アクチュエータ、 61:本体部、 62:移動部、 70:リンク機構、 71:第一リンク部材、 71a:ローラ、 72:第二リンク部材、 80:規制部材、 90:制御ユニット、 A:第一基軸線、 B:第二基軸線、 C:第一揺動軸線、 D:第二揺動軸線、 E:アーム軸線、 M:被介助者
図1
図2
図3
図4
図5