特許第6957693号(P6957693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957693
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20211021BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20211021BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   H04N5/225 100
   G03B17/02
   H05K5/03 C
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-126234(P2020-126234)
(22)【出願日】2020年7月27日
(62)【分割の表示】特願2016-144394(P2016-144394)の分割
【原出願日】2016年7月22日
(65)【公開番号】特開2020-188492(P2020-188492A)
(43)【公開日】2020年11月19日
【審査請求日】2020年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】関口 夏未
【審査官】 益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−055065(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0049174(US,A1)
【文献】 特開2011−049839(JP,A)
【文献】 特開2013−156420(JP,A)
【文献】 特開2012−083494(JP,A)
【文献】 特開2003−215680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−257
G03B 17/02
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体に対して、互いに同軸配置される一対の回動軸を介して開閉方向に回動可能に支持される蓋体と、捩りバネと圧縮バネの機能を有し、前記機器本体と前記蓋体とにそれぞれ係合する前記捩りバネの付勢力により前記蓋体を開き方向に回動させ、前記圧縮バネの付勢力により前記一対の回動軸を軸方向のそれぞれ逆の方向に付勢して前記機器本体に対して軸方向に当接させる付勢部材と、を備える電子機器であって、
前記一対の回動軸の各々は、前記付勢部材により前記一対の回動軸の軸方向に付勢されることで前記機器本体に対して当接していることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記機器本体には、ユーザが把持するグリップ部が正面側に突出して設けられ、
前記蓋体は、前記グリップ部の内部に形成された電池収納部の開口を開閉可能に覆うことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記一対の回動軸の軸方向の中点と前記蓋体の重心とは、前記軸方向に離れて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記機器本体は、前記蓋体が開いた際に前記蓋体が当接する第1の当接部、及び第2の当接部を有し、前記第1の当接部は、前記蓋体の重心に近い側に配置されて、その高さが前記第2の当接部より低いことを特徴とする請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記一対の回動軸のうち、前記蓋体の重心に近い側の回動軸の方が前記機器本体に軸方向に当接する面積が大きいことを特徴とする請求項3又は4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記一対の回動軸のうち、前記蓋体の重心に近い側の回動軸は、前記蓋体と一体に形成され、前記蓋体の重心から遠い側の回動軸は、前記蓋体と別体に設けられて前記蓋体に対して軸方向に移動可能であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記一対の回動軸のうち、前記蓋体の重心に近い側の回動軸は、前記蓋体と別体に設けられて前記蓋体に対して軸方向に移動可能であり、前記蓋体の重心から遠い側の回動軸は、前記蓋体と一体に形成されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記捩りバネは、前記機器本体に係合する突出部を有し、
前記突出部は、前記軸方向に移動可能な前記回動軸を軸方向に移動させたとき、前記蓋体に設けられたカム部の始端から終端に沿って移動可能に設けられ、
前記突出部が前記カム部の前記終端に移動したとき、前記突出部の前記機器本体に対する係合が解除されることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記機器本体には、レンズユニットが装着され、前記機器本体の内部には、前記レンズユニットの撮影光学系を通過した被写体光束を結像させて光電変換する撮像素子が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記一対の回動軸の中心軸は、前記レンズユニットの光軸と平行に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の撮像装置を含む電子機器に関し、特に電子機器の電池蓋等の蓋体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の電子機器では、例えば、図14に示すように、不図示の電池収納部の開口を開閉可能に覆う電池蓋10を備えるものがある(特許文献1)。この電池蓋10は、不図示のカメラ本体に対して回動軸10a、11を介して開閉方向に回動可能に支持されて、閉じ状態で不図示のロック機構によりロックされ、ロック状態では、付勢バネ12等により開き方向に付勢されている。
【0003】
従って、ロックを解除することで、電池蓋10が付勢バネ12の付勢力により開き方向に回動し、カメラ本体の外装カバーに当接して所定の開き角度で停止する。また、電池蓋10は、電池収納部にバッテリーグリップ等の比較的大型の外部電源装置を装着した際に、外部電源装置との干渉を避けるため、カメラ本体から取り外せるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−055065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、電池蓋10の重心G1と回動軸11の中心軸K1方向の中点A1と間に軸方向に距離L1を有するため、付勢バネ12の付勢力で電池蓋10が開いて外装カバーに当接した際に、電池蓋10の姿勢が安定せず、バウンドが収束しにくくなる。また、電池蓋10が開いて外装カバーに当接した際に、衝突音が生じ、特に外装カバーが金属製の場合には、衝突音が大きくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、蓋体が付勢部材の付勢力により開いて機器本体に当接した際のバウンドや衝突音を抑制することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、機器本体に対して、互いに同軸配置される一対の回動軸を介して開閉方向に回動可能に支持される蓋体と、捩りバネと圧縮バネの機能を有し、前記機器本体と前記蓋体とにそれぞれ係合する前記捩りバネの付勢力により前記蓋体を開き方向に回動させ、前記圧縮バネの付勢力により前記一対の回動軸を軸方向のそれぞれ逆の方向に付勢して前記機器本体に対して軸方向に当接させる付勢部材と、を備える電子機器であって、前記一対の回動軸の各々は、前記付勢部材により前記一対の回動軸の軸方向に付勢されることで前記機器本体に対して当接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓋体が付勢部材の付勢力により開いて機器本体に当接した際のバウンドや衝突音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は本発明の電子機器の第1の実施形態であるデジタル一眼レフカメラを正面側から見た図、(b)は(a)に示すデジタル一眼レフカメラを底面側から見た図である。
図2】電池蓋が開いた状態のデジタル一眼レフカメラを底面側から見た斜視図である。
図3】電池蓋を裏面側から見た図である。
図4】電池蓋の分解斜視図である。
図5図1(b)のU−U線断面図である。
図6】電池蓋をカメラ本体から取り外す際の電池蓋の状態を示す図である。
図7】電池蓋をカメラ本体から取り外す際の付勢バネの動作を説明する図である。
図8】底面カバーに対する押さえ部材の取り付け構造をカメラ本体の内部側から見た分解斜視図である。
図9図2のQ−Q線断面図である。
図10】(a)は電池蓋を取り外した状態をカメラ本体の底面側から見た斜視図、(b)は電池蓋を閉じた状態での図2のQ−Q線断面図である。
図11図1(b)のR−R線断面図である。
図12】本発明の電子機器の第2の実施形態であるデジタル一眼レフカメラにおいて、電池蓋が開き方向に回動して停止した際の状態をカメラ本体の底面側から見た斜視図である。
図13】本発明の電子機器の第3の実施形態であるデジタル一眼レフカメラにおいて、電池蓋を裏面側から見た図である。
図14】従来の電池蓋を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1(a)は本発明の電子機器の第1の実施形態であるデジタル一眼レフカメラ(以下、カメラ)を正面側(被写体側)から見た図、図1(b)は図1(a)に示すカメラを底面側から見た図である。
【0012】
本実施形態のカメラは、図1に示すように、カメラ本体101の正面側に交換式のレンズユニット102が着脱可能に装着されている。レンズユニット102の撮影光学系を通過した被写体光束は、カメラ本体101に設けられた不図示の撮像素子に結像して光電変換される。カメラ本体101の正面側から見てレンズユニット102の左側には、ユーザが把持するグリップ部103が設けられている。
【0013】
グリップ部103の内部には、カメラ本体101の底面に開口する電池収納部103a(図2参照)が形成され、電池収納部103aの開口は、電池蓋110により開閉可能に覆われている。カメラ本体101は、本発明の機器本体の一例に相当し、電池蓋110は、本発明の蓋体の一例に相当する。
【0014】
電池蓋110は、図1(b)に示す閉じ状態では、付勢バネ114(図2参照)により開き方向に付勢された状態で後述するロック機構によりロックされて閉じ状態が維持されている。このとき、電池蓋110の表面は、底面カバー104とともにカメラ本体101の底面側の外装を形成している。そして、係止解除レバー111aを操作して電池蓋110のロックを解除することで、電池蓋110が付勢バネ114の付勢力により開方向に回動し、底面カバー104に当接して所定の開き角度で停止する。
【0015】
図2は、電池蓋110が開いた状態のカメラを底面側から見た斜視図である。図2に示すように、グリップ部103は、カメラ本体101の正面側に突出して形成され、グリップ部103の内部には、電池105が挿脱可能に挿入される電池収納部103aが設けられている。電池収納部103aに挿入された電池105は、係止片106により係止されて飛出しが規制され、係止片106をカメラ本体101の正面側に回動させることにより、電池105の係止が解除されて、電池収納部103aに対する電池105の挿脱が可能となる。
【0016】
次に、図3乃至図8を参照して、電池蓋110について詳しく説明する。図3は、電池蓋110を裏面側から見た図、図4は、図3に示す電池蓋110の分解斜視図である。
【0017】
図3及び図4において、蓋カバー110aは、電池蓋110の外形を形成する。係止爪111には、バネ軸111bが形成されている。係止爪111は、バネ軸111bに係止バネ112を図4の矢印B方向に挿入した状態で蓋カバー110aに取り付けられる。係止バネ112は、圧縮バネで構成され、蓋カバー110aのバネ収納溝110cに圧縮状態で収納されて係止爪111を付勢する。なお、係止バネ112は、圧縮バネを用いているが、係止爪111を付勢するものであれば、その他の付勢手段を用いてもよい。
【0018】
軸部材113は、蓋カバー110aと別体に設けられ、蓋カバー110aに対して軸方向に移動可能な第1の回動軸113aを有し、第1の回動軸113aは、蓋カバー110aと一体で形成される第2の回動軸110bと同軸配置される。第1の回動軸113aと第2の回動軸110bにより一対の回動軸を構成している。
【0019】
電池蓋110は、カメラ本体101の正面側に突出するグリップ部103の形状に対応する形状を有するため、図3に示すように、電池蓋110の重心G2と一対の回動軸113a,110bの中心軸K2方向の中点A2と間に軸方向に距離L2を有することになる。中心軸K2は、レンズユニット102の光軸と平行に配置されている。
【0020】
軸部材113には、バネ軸113bが形成されている。軸部材113は、バネ軸113bに付勢バネ114を図4の矢印C方向に挿入した状態で、蓋カバー110aに取り付けられる。具体的には、軸部材113の嵌合部113cが蓋カバー110aの嵌合穴110dに嵌合されると共に、バネ軸113bに挿入された付勢バネ114の固定端114aが、蓋カバー110aの収納溝110eに収納される。付勢バネ114は、固定端114aと反対側の端部に突出部114bを有し、突出部114bが底面カバー104の後述する突出部104c(図10参照)に係合して電池蓋110を開き方向に付勢する。付勢バネ114は、本発明の付勢部材の一例に相当する。
【0021】
内側カバー115は、3本のビス116a〜116cによって蓋カバー110aに締結される。内側カバー115には、穴部115aが形成されており、穴部115aには、軸部材113の移動レバー113dが挿通配置される。
【0022】
図5は、図1(b)のU−U線断面図である。図5に示すように、電池蓋110が閉じた状態では、係止解除レバー111aに設けられた係止爪111が底面カバー104の係止部104hに係止されることで、電池蓋110の閉じ状態が維持されている。係止爪111と係止部104hによってロック機構を構成している。電池蓋110の係止を解除する際は、係止解除レバー111aを図5の矢印E方向に操作することで、係止爪111と係止部104hとの係止が解除され、電池蓋110が付勢バネ114の付勢力により開き方向に回動する。
【0023】
次に、図6乃至図8を参照して、カメラ本体101に対する電池蓋110の着脱について説明する。図6は、電池蓋110をカメラ本体101から取り外す際の電池蓋110の状態を示す図である。なお、電池蓋110の取り外しは、バッテリーグリップ等の比較的大型の外部電源装置(不図示)などを電池収納部103aに装着した際に、電池蓋110と外部電源装置とが干渉するのを避けるために行う。
【0024】
付勢バネ114は、圧縮バネと捩りバネの機能を有し、軸部材113を常に図6の矢印C方向に付勢している。また、軸部材113は、移動レバー113dを付勢バネ114の付勢力に抗して図6の矢印D方向に操作すると、図3の位置から図6の二点鎖線で示す位置に移動する。すなわち、第1の回動軸113aが蓋カバー110aに対して突出していない状態となる。これにより、電池蓋110をカメラ本体101から取り外すことが可能となる。
【0025】
次に、図7は、電池蓋110をカメラ本体101から取り外す際の付勢バネ114の動作を説明する図である。図7(a)は移動レバー113dを操作していないときの電池蓋110の状態を図3の矢印I方向から見た図、図7(b)は図7(a)のV部拡大図、図7(c)は移動レバー113dを図6の矢印D方向に操作したときの図7(a)のV部拡大図である。
【0026】
図7(b)に示すように、移動レバー113dを操作していないときの付勢バネ114の突出部114bは、蓋カバー110aに設けられたカム部110fの始端である第1の位置110gに当接している。この状態で移動レバー113dを図6の矢印D方向に操作すると、付勢バネ114の突出部114bは、図7(c)に示すように、蓋カバー110aのカム部110fに沿って移動し、カム部110fの終端である第2の位置110hに当接する。これにより、第1の回動軸113aが蓋カバー110aに対して突出していない状態でカメラ本体101に対する付勢バネ114の突出部114bの係合が解除され、電池蓋110をカメラ本体101から取り外すことが可能となる。
【0027】
電池蓋110をカメラ本体101に取り付ける際には、第1の回動軸113aよりも第2の回動軸110bが先に取り付けられる。このため、第2の回動軸110bは、カメラ本体101に電池蓋110を着脱しやすいように、図6に示すように、軸先端部が先端に向けて次第に縮径するテーパ状に形成されている。
【0028】
次に、図8及び図9を参照して、電池蓋110の一対の回動軸113a,110bの保持構造について説明する。図8は、底面カバー104に対する押さえ部材107の取り付け構造をカメラ本体101の内部側から見た分解斜視図である。
【0029】
図8に示すように、押さえ部材107は、カメラ本体101の内部側から2本のビス108a,108bによって底面カバー104に締結される。その際、押さえ部材107のカメラ本体101の正面側の第1の押さえ部107aは、底面カバー104の第1の嵌合穴104aに嵌合される。また、押さえ部材107のカメラ本体101の背面側の第2の押さえ部107bは、底面カバー104の第2の嵌合穴104bに嵌合される。
【0030】
図9は、図2のQ−Q線断面図である。図9に示すように、第1の回動軸113a(破線で示す。)は、第1の押さえ部107aと底面カバー104の第1の嵌合穴104aにより保持されている。また、図9では、図示は省略するが、第2の回動軸110bも第1の回動軸113aと同様に、第2の押さえ部107bと底面カバー104の第2の嵌合穴104bにより保持されている。これにより、カメラ本体101の底面カバー104に対して、電池蓋110が一対の回動軸113a,110bを介して開閉方向に回動可能に支持されている。
【0031】
次に、図10及び図11を参照して、電池蓋110の開き方向の動作について説明する。図10(a)は電池蓋110を取り外した状態をカメラ本体101の底面側から見た斜視図、図10(b)は電池蓋110を閉じた状態での図2のQ−Q線断面図である。
【0032】
図10に示すように、底面カバー104には、突出部104cが設けられている。突出部104cは、電池蓋110がカメラ本体101に取り付けられた際に、付勢バネ114の突出部114bと当接する。これにより、付勢バネ114の付勢力が電池蓋110の開き方向に作用する。そして、電池蓋110は、付勢バネ114の付勢力により、底面カバー104に設けられた第1の当接部104d及び第2の当接部104eに当接するまで開き方向に回動して所定の開き角度で停止する。
【0033】
図11は、図1(b)のR−R線断面図である。図11に示すように、付勢バネ114は、第1の回動軸113aを底面カバー104の第1の側面104fの方向(F方向)に付勢し、第2の回動軸110bをF方向と逆方向である底面カバー104の第2の側面104gの方向(H方向)に付勢する。これにより、第1の回動軸113aが第1の側面104fに対して軸方向に押し付けられるとともに、第2の回動軸110bが第2の側面104gに対して軸方向に押し付けられる。これにより、電池蓋110が開き方向に回動する際、第1の回動軸113aと第1の側面104fとの間、及び第2の回動軸110bと第2の側面104gとの間にそれぞれ摩擦力が生じる。
【0034】
ここで、付勢バネ114の電池蓋110を開き方向に回動させる付勢力は、第1の回動軸113aと第1の側面104fとの間、及び第2の回動軸110bと第2の側面104gとの間にそれぞれ生じる摩擦力の合計より大きい値に設定されている。このため、電池蓋110は、閉じ状態でロックが解除されると、付勢バネ114の付勢力により開き方向に回動するが、前述した摩擦力により開き方向の回動速度が減速される。これにより、電池蓋110が底面カバー104の第1の当接部104dと第2の当接部104eに当接して停止する際のバウンドや衝突音を抑制することが可能となる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態では、電池蓋110が付勢バネ114の付勢力により開き方向に回動して底面カバー104の第1の当接部104dと第2の当接部104eに当接して停止する際のバウンドや衝突音を抑制することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、図12を参照して、本発明の電子機器の第2の実施形態であるカメラについて説明する。なお、本実施形態では、上記第1の実施形態と重複する部分については、図及び符号を流用しつつ、相違点についてのみ説明する。図12は、電池蓋110が開き方向に回動して停止した際の状態をカメラ本体101の底面側から見た斜視図である。
【0037】
本実施形態では、電池蓋110が当接する底面カバー104の第1の当接部104dと第2の当接部104eの高さを異ならせている。具体的には、例えば、底面カバー104の第1の当接部104dよりも第2の当接部104eを高くしている。
【0038】
このため、電池蓋110が開いた際、電池蓋110は、第2の当接部104eに当接した後、第1の当接部104dに当接する。このとき、図11に示すように、電池蓋110の一対の回動軸113a,110bと底面カバー104との軸方向の接触面積は、第2の回動軸110bよりも第1の回動軸113aの方が大きいため、第1の回動軸113aの方が軸端部での摩擦抵抗が大きくなる。また、図3に示すように、第1の回動軸113aは、第2の回動軸110bより重心G2に近い位置に配置されているため、電池蓋110が開いた際、第2の回動軸110bを支点として回転方向Mに電池蓋110が傾く。
【0039】
この結果として、第1の回動軸113aの軸端部に対して、圧縮バネと捩りバネの機能を有する付勢バネ114による軸方向の付勢力が強く作用し、摩擦力が更に大きくなる。そのため、電池蓋110が開いた際のバウンドや衝突音をより効果的に抑制することが可能となる。その他の構成、及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0040】
(第3の実施形態)
次に、図13を参照して、本発明の電子機器の第3の実施形態であるカメラについて説明する。なお、本実施形態では、上記第1の実施形態と重複又は相当する部分については、図及び符号を流用しつつ、主に相違点について説明する。
【0041】
本実施形態では、図13に示すように、上記第1の実施形態(図3参照)に対して、一対の回動軸110b,113aを構成する軸部材113の第1の回動軸113aと蓋カバー110aの第2の回動軸110bとの配置を逆にしている。この場合も、上記第1の実施形態と同様に、電池蓋110の重心G3と一対の回動軸110b,113aの中心軸K3方向の中点A3と間には、軸方向に距離L3を有している。また、第1の回動軸113aは、カメラ本体101に電池蓋110を着脱しやすいように、軸先端部が先端に向けて次第に縮径するテーパ状に形成されている。
【0042】
本実施形態では、電池蓋110の重心G3に近い側の第2の回動軸110bは、蓋カバー110aと一体で形成されて嵌合ガタがないため、第2の回動軸110bの先端に生じる摩擦力をより効率良く利用することができる。これにより、電池蓋110が開いた際のバウンドや衝突音を効果的に抑制することが可能となる。その他の構成、及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0043】
なお、本発明の構成は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0044】
101 カメラ本体
104 底面カバー
107 押さえ部材
110 電池蓋
110b 第2の回動軸
113 軸部材
113a 第1の回動軸
114 付勢バネ
図1
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