特許第6957745号(P6957745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957745
(24)【登録日】2021年10月8日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】フェノール発泡体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20211021BHJP
   B29C 39/10 20060101ALI20211021BHJP
   B29C 39/24 20060101ALI20211021BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20211021BHJP
   B29C 44/36 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   C08J9/04 103
   C08J9/04CEZ
   B29C39/10
   B29C39/24
   B29C44/00 A
   B29C44/36
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-515194(P2020-515194)
(86)(22)【出願日】2018年9月14日
(65)【公表番号】特表2020-533470(P2020-533470A)
(43)【公表日】2020年11月19日
(86)【国際出願番号】KR2018010839
(87)【国際公開番号】WO2019054795
(87)【国際公開日】20190321
【審査請求日】2020年3月13日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0118615
(32)【優先日】2017年9月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510244710
【氏名又は名称】エルジー・ハウシス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】グン・ピョ・パク
(72)【発明者】
【氏名】キルホ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ミョン・ヒ・キム
(72)【発明者】
【氏名】スンウク・ジ
(72)【発明者】
【氏名】イン・スン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ソンジェ・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ヘミン・ハ
(72)【発明者】
【氏名】ドフン・キム
【審査官】 石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0005747(KR,A)
【文献】 特表2015−512021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
B29C 39/00−39/24、39/38−39/44、
43/00−43/34、43/44−43/48、
43/52−43/58、44/00−44/60、67/20
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導度が0.021W/mK未満であり、熱放出量が10.0MJ/m(5分)以下であり、
圧縮強度が140〜190kPaであり、
酸素指数(LOI)が35%以上、密度が38〜50kg/mであり、独立気泡率が80%以上であり、
フェノール樹脂50〜70重量%、界面活性剤1〜10重量%、ポリオール化合物0.1〜10重量%、無機難燃剤1〜20重量%及び有機難燃剤0.1〜10重量%を含む、フェノール発泡体であって、
前記フェノール発泡体内の前記無機難燃剤と前記有機難燃剤との重量比は、4〜7:1である、フェノール発泡体。
【請求項2】
前記無機難燃剤として金属水酸化物を、前記有機難燃剤としてリン系難燃剤を含む、請求項に記載のフェノール発泡体。
【請求項3】
(1)主剤タンク、硬化剤タンク、液状複合難燃剤タンク及び発泡剤タンクを準備するステップと、
(2)前記主剤タンク、前記硬化剤タンク、前記液状複合難燃剤タンク及び前記発泡剤タンクから、主剤、硬化剤、液状複合難燃剤及び発泡剤を配管を介して高速撹拌機に供給するステップと、
(3)前記高速撹拌機で撹拌されたフェノール発泡体組成物をモールドに投入して発泡成形するステップとを含む、
熱伝導度が0.021W/mK未満であり、熱放出量が10.0MJ/m(5分)以下であり、
圧縮強度が140〜190kPaであり、
酸素指数(LOI)が35%以上、密度が38〜50kg/mであり、独立気泡率が80%以上であり、
フェノール樹脂50〜70重量%、界面活性剤1〜10重量%、ポリオール化合物0.1〜10重量%、無機難燃剤1〜20重量%及び有機難燃剤0.1〜10重量%を含む、フェノール発泡体の製造方法であって、
前記フェノール発泡体内の前記無機難燃剤と前記有機難燃剤との重量比は、4〜7:1であるフェノール発泡体の製造方法。
【請求項4】
前記液状複合難燃剤は、界面活性剤及びポリオール化合物を含む溶液100重量部に対して、無機難燃剤及び有機難燃剤からなる複合難燃剤100〜400重量部を含む、請求項に記載のフェノール発泡体の製造方法。
【請求項5】
前記液状複合難燃剤は、界面活性剤及びポリオール化合物を含む溶液100重量部に対して、無機難燃剤及び有機難燃剤からなる複合難燃剤200〜300重量部を含む、請求項に記載のフェノール発泡体の製造方法。
【請求項6】
前記界面活性剤は、25℃での粘度が200〜1000cpsである、請求項に記載のフェノール発泡体の製造方法。
【請求項7】
前記ポリオール化合物は、水酸基価が250〜350mg KOH/gであり、25℃での粘度が1500〜3000cpsである、請求項に記載のフェノール発泡体の製造方法。
【請求項8】
前記溶液内に前記界面活性剤は50〜70重量%、前記ポリオール化合物は30〜50重量%が含まれる、請求項に記載のフェノール発泡体の製造方法。
【請求項9】
前記液状複合難燃剤は、粘度が20℃で10,000〜40,000cpsである、請求項に記載のフェノール発泡体の製造方法。
【請求項10】
前記液状複合難燃剤は、比重が1.42〜2.0である、請求項に記載のフェノール発泡体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノール発泡体及びその製造方法に関し、具体的には、フェノール発泡体内に難燃剤が均一に分布して断熱性及び難燃性の品質安定性が改善されることで、互いにトレードオフの関係にある断熱性及び難燃性を同時に具現することができるフェノール発泡体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱材は、建築物においてエネルギーの損失を防ぐために必須に使用される材料である。地球温暖化によりグリーン成長の重要性が世界的に継続して強調されているため、エネルギー損失の最小化のために断熱性が重要となっている。
【0003】
また、建築物の断熱材の施工方法も内断熱から外断熱の施工に変わっていく傾向にあり、断熱材の厚さも継続して増加している。
【0004】
一方、従来の断熱材として、熱硬化性発泡体断熱材、EPS(expanded polystyrene foam)断熱材、XPS(extruded polystyrene foam)断熱材、真空断熱材などがある。
【0005】
その中で前記熱硬化性発泡体断熱材は、現存する素材の中で真空断熱材を除いて最も優れた断熱性を有することで広く使用されており、このような熱硬化性発泡体の一例示として、大韓民国公開特許公報第10−2013−0063903号では、断熱性能が向上した環境に優しいフェノールフォームについて開示している。
【0006】
ところが、前記のようなフェノール発泡体は有機素材であるため、難燃性に問題があり、特に、最近、断熱材の難燃性に関する関連法規が強化され、断熱材の厚さも継続して増加しているため、優れた難燃性を有する断熱材の必要性が増大している。
【0007】
このような方案の一例として、発泡体の製造時に難燃剤を添加してフェノール発泡体の難燃性を向上させようと努力しているが、断熱性と難燃性は互いにトレードオフ(trade−off)の関係にあるので、難燃性を高めると断熱性が低下するという欠点があった。
【0008】
また、従来のフェノール発泡体の製造工程中に、難燃剤は主剤タンク10に投入されて混合しているが(図2参照)、難燃剤を主剤タンク10に投入する場合、主剤の粘度が急激に上昇して主剤内に難燃剤が均一に分散せず、難燃剤により、主剤と難燃剤との混合物が高粘度になるところ、高速撹拌機50に移送する配管が詰まる問題が発生し、投入された難燃剤が主剤内に均一に分散していない状態で発泡体として製造される場合、最終フェノール発泡体の難燃性及び断熱性の品質安定性が低下するという問題がある。
【0009】
したがって、互いにトレードオフの関係にある断熱性と難燃性の両方を高めながらも、フェノール発泡体の製造工程中の難燃剤の分散性、フェノール発泡体の断熱性及び難燃性の品質安定性などを改善することができる方案が急がれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10−2013−0063903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のような従来技術の問題点を解決するためのもので、本発明の目的は、フェノール発泡体内に難燃剤が均一に分布して断熱性及び難燃性の品質安定性が改善されることで、互いにトレードオフの関係にある断熱性及び難燃性を同時に具現することができるフェノール発泡体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明は、熱伝導度が0.021W/mK未満であり、熱放出量が10.0MJ/m(5分)以下であるフェノール発泡体を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記フェノール発泡体の製造方法として、(1)主剤タンク、硬化剤タンク、液状複合難燃剤タンク及び発泡剤タンクを準備するステップと;(2)前記主剤タンク、硬化剤タンク、液状複合難燃剤タンク及び発泡剤タンクから、主剤、硬化剤、液状複合難燃剤及び発泡剤を配管を介して高速撹拌機に供給するステップと;(3)前記高速撹拌機で撹拌されたフェノール発泡体組成物をモールドに投入して発泡成形するステップと;を含む、熱伝導度が0.021W/mK未満であり、熱放出量が10.0MJ/m(5分)以下であるフェノール発泡体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のフェノール発泡体は、前記フェノール発泡体内に難燃剤が均一に分布して断熱性及び難燃性の品質安定性が改善されることで、互いにトレードオフの関係にある断熱性と難燃性を同時に具現することができる効果がある。
【0015】
また、本発明の前記フェノール発泡体の製造方法は、複合難燃剤を主剤と先に混合せず、複合難燃剤を液状化した液状複合難燃剤を高速撹拌機で主剤と混合されるようにすることによって、主剤の粘度が急激に上昇することを防止し、これにより、従来の高粘度の主剤と難燃剤との混合物を高速撹拌機に移送時に配管が詰まってしまう問題を防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のフェノール発泡体の製造設備を概略的に示す図である。
図2】従来のフェノール発泡体の製造設備を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、熱伝導度が0.021W/mK未満であり、熱放出量が10.0MJ/m(5分)以下であるフェノール発泡体に関する。
【0018】
前記フェノール発泡体は、フェノール樹脂、界面活性剤、ポリオール化合物、無機難燃剤及び有機難燃剤を含むものであってもよい。
【0019】
前記フェノール発泡体は、フェノール樹脂50〜70重量%、界面活性剤1〜10重量%、ポリオール化合物0.1〜10重量%、無機難燃剤1〜20重量%及び有機難燃剤0.1〜10重量%を含むものであってもよい。
【0020】
前記フェノール樹脂は、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土金属水酸化物を触媒として合成されたレゾール型フェノール樹脂(以下、「レゾール樹脂」)、酸触媒によって合成されたノボラック型フェノール樹脂、アンモニアによって合成されたアンモニアレゾール樹脂、またはナフテン酸鉛などによって合成されたベンジルエーテル型フェノール樹脂などが挙げられる。選択的に、必要に応じてフェノール樹脂の重合時に尿素などの添加剤を添加することもできる。尿素を添加する場合には、予めアルカリ触媒でメチロール化した尿素をフェノール樹脂に混合することがより好ましい。尿素を混合する場合、フェノール樹脂100重量部に対して1〜10重量部、または2〜7重量部混合することができる。
【0021】
前記フェノール樹脂は、前記フェノール発泡体内に50〜70重量%、または55〜65重量%含まれるものであってもよい。前記フェノール樹脂が前記範囲で含まれることによって、フェノール発泡体は優れた物性を具現することができる。
【0022】
前記界面活性剤は、両性、陽イオン系、陰イオン系、または非イオン系界面活性剤であってもよい。
【0023】
前記両性界面活性剤として、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどが使用可能である。
【0024】
前記陽イオン系界面活性剤として、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型界面活性剤などが挙げられる。
【0025】
前記陰イオン系界面活性剤として、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩界面活性剤、リン酸エステルなどが挙げられる。
【0026】
前記非イオン系界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル界面活性剤、アセチレングリコール界面活性剤などが挙げられる。
【0027】
上述した界面活性剤のうち非イオン系界面活性剤が、消泡性能に優れるため、好ましい。特に好ましい非イオン系界面活性剤として、アセチレンエトキシル化ジオール(acetylenic ethoxylated diol)構造を有するSURFYNOL(登録商標)系列、ポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシド構造を有するTERGITOL(登録商標)系列、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Polyoxyethylene sorbitan fatty acid ester)構造を有するTween(登録商標)系列の製品などが使用されてもよい。
【0028】
前記界面活性剤は、前記フェノール発泡体内に1〜10重量%または3〜7重量%含まれるものであってもよい。前記界面活性剤は前記範囲で含まれることによって、発泡セルの形成時に表面張力を調節して発泡セルの大きさが過度に大きくなることを抑制し、発泡セルの形成を安定化させることで、優れた物性を具現することができる。
【0029】
前記ポリオール化合物は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリマー分散ポリオールから選択された1種以上を用いることができる。
【0030】
前記ポリエステルポリオールは、多機能性カルボン酸と多機能性ヒドロキシ化合物の重縮合によって得た末端にヒドロキシル基を有する化合物である。前記多機能性カルボン酸としては、アジピン酸、フタル酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸などが使用されてもよい。前記多機能性ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコールなどのようなグリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのような多価アルコールが使用されてもよい。
【0031】
前記ポリエーテルポリオールは、エチレン酸化物、プロピレン酸化物などのようなアルキレン酸化物をエチレングリコール、プロピレングリコールなどのようなグリコールに添加して得たポリエーテルポリオール;グリセリン、トリメチロールプロパンなどのようなトリオール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロースなどのような多機能性ポリオール;アンモニア、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、アミノエチルピペラジン、アニリンなどのようなアミン化合物を含む。
【0032】
前記ポリマー分散ポリオールは、ポリエーテルポリオールとエチレン系不飽和モノマーを混合し、選択的に連鎖移動剤、分散安定剤などを添加し、ラジカル開始剤の存在下でエチレン系不飽和モノマーをラジカル重合することによって得られる。エチレン系不飽和モノマーの例は、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのようなシアノ基を含有するモノマー;メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのような(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのようなカルボキシル基を含有するモノマー;マレイン酸無水物、イタコン酸無水物などのような酸無水物を含有するモノマー;ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエンなどのような炭化水素化合物;スチレン、α−メチルスチレン、フェニルスチレン、クロロスチレンなどのような芳香族炭化水素化合物;などを含むことができる。このようなエチレン系不飽和モノマーに関して、1つの形態のモノマーが単独で使用されてもよく、2つ以上の形態のモノマーが混合されて使用されてもよい。
【0033】
前記ポリオール化合物が前記フェノール発泡体内に0.1〜10重量%または0.1〜5重量%含まれるものであってもよい。前記ポリオール化合物は前記範囲で含まれることによって、フェノール発泡体内に難燃剤が均一に分布することができる。
【0034】
前記無機難燃剤は、金属水酸化物系難燃剤、ホウ素系難燃剤、酸化アンチモン系難燃剤、及びその他の無機物から選択された1種以上であってもよい。
【0035】
前記金属水酸化物系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、及び水酸化カルシウムから選択された1種以上であってもよい。
【0036】
前記ホウ素系難燃剤としては、ホウ酸カルシウム及びホウ酸亜鉛から選択された1種以上であってもよい。
【0037】
前記酸化アンチモン系難燃剤としては、三酸化アンチモン及び五酸化アンチモンから選択された1種以上であってもよい。
【0038】
前記その他の無機物としては、タルク、マイカ、珪灰石(wollastonite)、二酸化チタン、硫酸バリウム、膨張黒鉛、及び炭酸カルシウムから選択された1種以上であってもよい。
【0039】
前記無機難燃剤は、具体的な一例として、燃焼時に発煙量が少なく、高温で水(HO)を放出する金属水酸化物であってもよい。
【0040】
前記無機難燃剤は、前記フェノール発泡体内に1〜20重量%または5〜15重量%含まれるものであってもよい。前記無機難燃剤が前記範囲で含まれることによって、本発明のフェノール発泡体は、互いにトレードオフの関係にある断熱性と難燃性を同時に具現することができる。
【0041】
前記有機難燃剤は、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、及びメラミン系難燃剤から選択された1種以上であってもよい。
【0042】
前記ハロゲン系難燃剤としては、デカブロモジフェニルオキシド及びオクタブロモジフェニルオキシドから選択された1種以上を使用することができる。
【0043】
前記リン系難燃剤としては、赤リン、トリメチルホスフェート(Trimethyl phosphate、TMP)、トリエチルホスフェート(Triethyl phosphate、TEP)、トリフェニルホスフェート(Triphenyl phosphate、TPP)、トリキシレニルホスフェート(Trixylenyl phosphate、TXP)、トリブチルホスフェート(Tributyl phosphate、TBP)、トリクレジルホスフェート(Tricresyl phosphate、TCP)、クレジルジフェニルホスフェート(Cresyl diphenyl phosphate、CDP)などのリン酸エステル、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート(Tris−(2−chloroethyl)phosphate、TCEP)、トリス(1−クロロ−2−プロピル)ホスフェート(Tris−(1−chloro−2−propyl)phosphate、TCPP)、トリス(1,3−ジクロロ−2−プロピル)ホスフェート(Tris−(1,3−dichloro−2−propyl)phosphate、TDCPP)などのハロゲン系含有有機リン酸系、ポリクロロホスホネート、ポリリン酸アンモニウム(APP)などのポリリン酸系、ポリ無機リン酸系などがあり、これらから選択された1種以上を使用することができる。
【0044】
前記メラミン系難燃剤としては、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ホウ酸メラミン、及び硫酸メラミンから選択された1種以上であってもよい。
【0045】
前記有機難燃剤は、具体的な一例として、燃焼時にチャー(char)を形成するリン系難燃剤であってもよい。
【0046】
前記有機難燃剤は、前記フェノール発泡体内に0.1〜10重量%または0.1〜5重量%含まれるものであってもよい。前記有機難燃剤が前記範囲で含まれることによって、本発明のフェノール発泡体は、互いにトレードオフの関係にある断熱性と難燃性を同時に具現することができる。
【0047】
好ましくは、本発明のフェノール発泡体内の前記無機難燃剤と有機難燃剤の重量比は、4〜7:1であってもよい。前記無機難燃剤を前記範囲未満で使用する場合、有機難燃剤が比較的高価であるところ、原価上昇が問題となり、前記範囲を超えて使用する場合、互いにトレードオフの関係にある断熱性と難燃性を同時に具現できないので、前記範囲の重量比で使用することが好ましい。
【0048】
前記フェノール発泡体内には硬化剤がさらに含まれてもよい。前記硬化剤は、リン酸及び硫酸などの無機酸や、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸及びフェノールスルホン酸などの有機酸から選択された1種以上であってもよく、その含量は制限されない。
【0049】
前記フェノール発泡体内には発泡剤がさらに含まれてもよい。前記発泡剤は、安価であり、炭化水素(hydrocarbon)系発泡剤であって、ペンタン、イソペンタン及びシクロペンタンから選択された1種であってもよいが、その含量は制限されない。
【0050】
本発明のフェノール発泡体の熱伝導度は、0.021W/mk未満、または0.020W/mk以下であってもよく、熱放出量は、10.0MJ/m(5分)以下、または9.8MJ/m(5分)以下であってもよい。
【0051】
また、本発明のフェノール発泡体の圧縮強度は、140〜190kPa、または150〜180kPaであってもよい。
【0052】
また、本発明のフェノール発泡体の酸素指数(LOI)は、35%以上または38%以上であってもよく、密度は、38〜50kg/m、または42〜45kg/mであってもよく、独立気泡率は、80%以上または87%以上であってもよい。
【0053】
また、本発明は、前記のフェノール発泡体の製造方法に関する。
【0054】
本発明のフェノール発泡体の製造方法は、
(1)主剤タンク、硬化剤タンク、液状複合難燃剤タンク及び発泡剤タンクを準備するステップと;
(2)前記主剤タンク、硬化剤タンク、液状複合難燃剤タンク及び発泡剤タンクから、主剤、硬化剤、液状複合難燃剤及び発泡剤を配管を介して高速撹拌機に供給するステップと;
(3)前記高速撹拌機で撹拌されたフェノール発泡体組成物をモールドに投入して発泡成形するステップと;を含む。
【0055】
図1は、本発明の熱伝導度が0.021W/mK未満であり、熱放出量が10.0MJ/m(5分)以下であるフェノール発泡体の製造設備を概略的に示した図である。
【0056】
本発明の前記フェノール発泡体の製造方法において、前記主剤タンク10に含まれた主剤は、フェノール樹脂と界面活性剤を含むことができる。
【0057】
前記フェノール樹脂及び界面活性剤に関する説明は、前記で記載したので、反復記載は省略する。
【0058】
前記主剤タンク10内に含まれる界面活性剤の含量は、フェノール樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部、または1〜5重量部含まれてもよい。前記範囲未満であると、材料間の相溶性が低下し、発泡セルの気泡が大きく、独立気泡率が低く、前記範囲を超えると、フェノール発泡体の硬度が低くなり物性が低下するので、前記範囲内で含まれ得る。
【0059】
選択的に、前記主剤は、核剤または中和剤をさらに含むことができる。
【0060】
前記核剤は、表面張力を制御し、難燃剤の添加による熱伝導度の上昇を抑制するためのもので、シラン系化合物またはシロキサン系化合物を使用することができる。前記核剤は、主剤100重量部に対して1〜5重量部含まれてもよい。前記範囲未満であると、核剤の使用による効果が僅かであり、前記範囲を超えると、発泡体の圧縮強度などの耐久性が低下するので、前記範囲内で含まれ得る。
【0061】
前記中和剤は、フェノール発泡体のpHを調整するためのものであって、金属水和物、金属酸化物及び金属炭酸塩から選択された1種以上であってもよい。前記中和剤は、主剤100重量部に対して1〜10重量部含まれてもよい。前記範囲未満であると、中和効果が僅かであり、前記範囲を超えると、発泡体の物性が低下するので、前記範囲内で含まれ得る。
【0062】
前記硬化剤タンク20に含まれた硬化剤は、上述したフェノール発泡体内に含まれる硬化剤と同一であるので、反復する記載は省略する。
【0063】
前記液状複合難燃剤タンク30に含まれた液状複合難燃剤は、界面活性剤及びポリオール化合物を含む溶液100重量部に対して、無機難燃剤及び有機難燃剤からなる複合難燃剤100〜400重量部または200〜300重量部を含むことができる。複合難燃剤が100重量部未満で含まれる場合、難燃効果が僅かであり、400重量部を超えて含まれる場合、溶液の粘度が上昇して、後で主剤と混合時に難燃剤の分散性が低下してしまい、フェノール発泡体の品質安定性が良くなく、液状複合難燃剤を移送する配管が詰まることがあるので、前記範囲内で含まれることが好ましい。
【0064】
前記溶液内に、前記界面活性剤は50〜70重量%または60〜65重量%、ポリオール化合物は30〜50重量%または35〜40重量%を含むことができる。前記溶液内に界面活性剤とポリオール化合物を前記範囲内で含んでこそ、複合難燃剤と混合時に粘度の上昇を最小化しながら、長期保管時に固相の複合難燃剤が沈降しないため、好ましい。
【0065】
前記界面活性剤の粘度は、25℃で200〜1000cpsまたは500〜800cpsであってもよいもので、前記範囲内の粘度を有することが、ポリオール化合物と混合された液状溶液が複合難燃剤と混合された後、長期保管時に固相の複合難燃剤が沈降しないため、好ましい。前記粘度は、ブルックフィールド粘度計(Brookfield社、DV3T Rheometer,#63スピンドル)で測定したものであってもよい。
【0066】
前記ポリオール化合物の水酸基価は、約250〜350mg KOH/gであってもよい。また、前記ポリオール化合物の粘度は、25℃で1500〜3000cpsまたは1800〜2500cpsであってもよい。前記範囲の水酸基価と粘度を有することが、フェノール発泡体内に難燃剤が均一に分布することができるので、好ましい。前記粘度は、ブルックフィールド粘度計(Brookfield社、DV3T Rheometer,#63スピンドル)で測定したものであってもよい。
【0067】
本発明の液状複合難燃剤の粘度は、20℃で10,000〜40,000cpsまたは15,000〜30,000cpsであってもよい。粘度が前記範囲未満であると、複合難燃剤の含量が少ないため、難燃効果が僅かであり、前記粘度を超えると、粘度が高いため、後で主剤と混合時に難燃剤の分散性が低下してしまい、フェノール発泡体の品質安定性が良くなく、液状複合難燃剤を移送する配管が詰まることがあるので、前記範囲内であることが好ましい。前記粘度は、ブルックフィールド粘度計(Brookfield社、DV3T Rheometer,#63スピンドル)で測定したものであってもよい。
【0068】
また、本発明の液状複合難燃剤の比重は1.42〜2.0であってもよい。比重が前記範囲未満であると、難燃性効果が低下し、前記範囲を超えると、難燃剤が沈降して移送配管が詰まることがあるので、前記範囲内であることが好ましい。
【0069】
前記発泡剤タンク40に含まれた発泡剤は、上述したフェノール発泡体内に含まれる発泡剤と同一であるので、反復する記載は省略する。
【0070】
本発明の前記フェノール発泡体の製造方法において前記高速撹拌機50に供給するステップは、前記主剤タンク10、硬化剤タンク20、液状複合難燃剤タンク30及び発泡剤タンク40から、主剤、硬化剤、液状複合難燃剤及び発泡剤を配管を介して高速撹拌機50に供給するステップであって、高速撹拌機50に供給される主剤と硬化剤の供給量は、前記主剤100重量部に対して5〜30重量部、または10〜25重量部で供給されてもよい。
【0071】
前記範囲未満の場合、硬化反応時間が長くなるか、または硬化反応が十分に起こらず、前記範囲を超える場合、未反応硬化剤が不純物として残り発泡体の物性が低下するので、前記範囲内で使用することが好ましい。
【0072】
また、前記高速撹拌機50に供給される液状複合難燃剤の供給量は、主剤100重量部に対して10〜40重量部、または20〜30重量部で供給されてもよい。前記範囲未満の場合、難燃性が低下し、前記範囲を超える場合、断熱性が低下するので、前記範囲内で供給され得る。
【0073】
また、前記高速撹拌機50に供給される発泡剤の供給量は、主剤100重量部に対して5〜30重量部、または10〜25重量部で供給されてもよい。前記範囲未満の場合、発泡セルの形成が不良となり、断熱性が低下し、前記範囲を超える場合、発泡セルが過剰に生成されて発泡体の圧縮強度などの耐久性が低下するので、前記範囲内で供給され得る。
【0074】
前記発泡成形するステップは、高速撹拌機50で撹拌されたフェノール発泡体組成物をモールド60に投入して発泡成形するステップであって、高速撹拌機50にてフェノール発泡体組成物を、常温で5〜20秒間3,000〜7,000rpmで撹拌した後、55〜70℃、または60〜65℃のモールド60に投入して発泡成形するものであってもよい。
【0075】
本発明のフェノール発泡体は、前記フェノール発泡体内に難燃剤が均一に分布して断熱性及び難燃性の品質安定性が改善されることで、互いにトレードオフの関係にある断熱性と難燃性を同時に具現することができる効果がある。
【0076】
また、本発明のフェノール発泡体の製造方法は、複合難燃剤を主剤と先に混合せず、複合難燃剤を液状化した液状複合難燃剤を高速撹拌機で主剤と混合されるようにすることによって、主剤の粘度が急激に上昇することを防止し、これにより、従来の高粘度の主剤と難燃剤との混合物を高速撹拌機に移送時に配管が詰まってしまう問題を防止する効果がある。
【0077】
このような本発明のフェノール発泡体は、断熱性及び難燃性に優れるので、防火戸の芯材、耐火構造の芯材などに適用され得る。
【0078】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、以下の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【実施例】
【0079】
<実施例1〜4>
(1)主剤タンク、硬化剤タンク、液状複合難燃剤タンク及び発泡剤タンクを準備するステップ
主剤タンク、硬化剤タンク、液状複合難燃剤タンク及び発泡剤タンクを準備した。
【0080】
(2)主剤タンク、硬化剤タンク、液状複合難燃剤タンク及び発泡剤タンクから、主剤、硬化剤、液状複合難燃剤及び発泡剤を配管を介して高速撹拌機に供給するステップ
前記主剤タンク、硬化剤タンク、液状複合難燃剤タンク及び発泡剤タンクから、レゾール樹脂100重量部、尿素5重量部及び非イオン系界面活性剤3重量部を含む主剤、硬化剤(パラトルエンスルホン酸)、液状複合難燃剤及び発泡剤(ペンタン)を、配管を介して高速撹拌機に供給した。
【0081】
ここで、前記液状複合難燃剤は、非イオン系界面活性剤5重量部、ポリエステルポリオール3重量部の混合物からなる液状溶液8重量部が貯蔵された4個の液状溶液タンクのそれぞれに、複合難燃剤1を18重量部、複合難燃剤2を21重量部、複合難燃剤3を18重量部または複合難燃剤4を21重量部投入した後、複合難燃剤を液状溶液内に均質に混合させるために、500rpmの低速で20分間撹拌した後、3,000rpmの高速で10分間撹拌を行って製造された液状複合難燃剤1〜4であった。このとき、前記複合難燃剤1〜4は、下記の表1のように混合され、前記液状複合難燃剤1〜4の粘度及び比重は、下記の表2の通りであった。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
粘度:ブルックフィールド粘度計(Brookfield社、DV3T Rheometer,#63スピンドル)
【0085】
(3)前記高速撹拌機で撹拌されたフェノール発泡体組成物をモールドに投入して発泡成形するステップ
前記主剤タンク、硬化剤タンク、発泡剤タンク及び液状複合難燃剤タンクから、主剤、硬化剤、発泡剤及び液状複合難燃剤を配管を介して高速撹拌機に投入し、常温で10秒間5,000rpmで撹拌した。
【0086】
その後、60℃のモールドに投入して実施例1〜4のフェノール発泡体をそれぞれ製造した。
【0087】
一方、前記高速撹拌機に投入される主剤、硬化剤、発泡剤及び液状複合難燃剤の投入量(流量)は、下記の表3の通りであり、実施例1〜4のフェノール発泡体内に含まれる各成分の含量は、下記の表4の通りである。
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
[参照例]
<参照例1〜4>
(1)主剤と複合難燃剤の混合
レゾール樹脂100重量部を含む4個の主剤タンクのそれぞれに、尿素5重量部及び非イオン系界面活性剤3重量部と複合難燃剤1を18重量部、複合難燃剤2を21重量部、複合難燃剤3を18重量部または複合難燃剤4を21重量部投入した後、100rpmで4時間撹拌し、その後、10rpmで24時間低速撹拌した。
【0091】
前記複合難燃剤1〜4の投入後の粘度及び比重は、下記の表5の通りであった。参考に、複合難燃剤を投入する前の主剤(即ち、レゾール樹脂、尿素及び界面活性剤)の粘度は22,000cps、及び比重は1.20であった。
【0092】
【表5】
【0093】
粘度:ブルックフィールド粘度計(Brookfield社、DV3T Rheometer,#63スピンドル)
【0094】
(2)フェノール発泡体の製造
前記主剤タンク及び硬化剤(パラトルエンスルホン酸)タンク、そして、発泡剤(ペンタン)タンクから、主剤と複合難燃剤との混合物、硬化剤、発泡剤をそれぞれ、配管を介して高速撹拌機に投入し、常温で10秒間5,000rpmで撹拌した。
【0095】
その後、モールドに投入して、参照例1〜4のフェノール発泡体をそれぞれ製造した。
【0096】
一方、前記高速撹拌機に投入される主剤、硬化剤、複合難燃剤及び発泡剤の投入量(流量)は、下記の表6の通りであり、参照例1〜4のフェノール発泡体内に含まれる各成分の含量は、下記の表7の通りであった。
【0097】
【表6】
【0098】
【表7】
【0099】
<比較例1>
難燃剤を投入しなかった以外は、参照例1〜4と同様の方法で、比較例1のフェノール発泡体を製造した。
【0100】
比較例1のフェノール発泡体内に、フェノール樹脂は75.47重量%、尿素1.51重量%、界面活性剤1.89重量%、パラトルエンスルホン酸11.32重量%、及びペンタン9.81重量%が含まれた。
【0101】
[試験例]
前記実施例1〜4、参照例1〜4及び比較例1のフェノール発泡体の熱伝導度、圧縮強度、熱放出量、酸素指数、密度及び独立気泡率を測定した結果は、下記の表8の通りであった。
【0102】
−熱伝導度(W/mk)は、KS L ISO 8301の測定方法で熱伝導率測定機(EKO,HC−074)を用いて測定した。温度平均は20℃(上板10℃、下板30℃)の条件で測定した。
【0103】
−圧縮強度(kPa)は、KS M ISO 844の測定方法で万能材料試験機(LLOYD,LS1)を用いて測定した。
【0104】
−熱放出量(5分、MJ/m)は、KS F ISO 5660−1の測定方法でコーンカロリーメータ試験機器(FESTEC,Cone Calorimeter)を用いて測定した。50kW/mの輻射熱をサンプル100mm×100mmの表面に5分間加え、5分間熱放出量を測定した。
【0105】
−酸素指数(LOI)は、KS M ISO 4589−2の測定方法で公認試験機関(韓国建設生活環境試験研究院)に依頼して測定した。
【0106】
−密度は、KS M ISO 845の測定方法でサンプルの重量、横、縦、厚さの寸法を測定して計算した。
【0107】
−独立気泡率は、KS M ISO 4590の測定方法で独立気泡率測定機器(Quantachrome,ULTRAPYC 1200e)装備を使用して測定した。
【0108】
【表8】
【0109】
前記表8を通じて確認されるように、実施例1〜4と参照例1〜4の発泡体はいずれも、無機難燃剤と有機難燃剤を含むことにより、難燃剤を含まない比較例1に比べて、熱放出量及び酸素指数などの難燃性に優れると共に、熱伝導度は同等レベルに維持することができるところ、フェノール発泡体においてトレードオフの関係にある断熱性と難燃性を同時に具現することができる効果がある。
【0110】
また、本発明の実施例1〜4のフェノール発泡体は、参照例1〜4に比べて、発泡体内に含まれる難燃剤の含量はほぼ同一であっても、難燃剤の分散性に優れるので、熱伝導度などの断熱性が改善され、熱放出量及び酸素指数などの難燃性がより一層改善されることで、互いにトレードオフの関係にある断熱性と難燃性を同時に具現することができる効果がある。
【0111】
一方、フェノール発泡体を防火戸の芯材として断熱材に適用するためには、KS F ISO 5660−1基準の難燃性試験方法において熱放出量(5分、MJ/m)が10以内に入らなければならないが、本発明の実施例1〜4のフェノール発泡体はいずれも、熱放出量(5分、MJ/m)が10以内であって、防火戸の芯材として断熱材に適用可能な難燃性を備えたものであることを確認できる。このような難燃性を備えた芯材で断熱材を製造して防火戸を製造すれば、耐火試験を行う場合、遮炎1時間(1時間の間、加熱面の裏面から火炎の連続発生が10秒以内)の性能を確保することができ、本発明のフェノール発泡体が、従来の無機断熱材のみが使用されている防火戸の芯材、耐火構造の芯材などに適用可能であることを確認できる。
【0112】
また、本発明の熱伝導度が0.021W/mK未満であり、熱放出量が10.0MJ/m(5分)以下であるフェノール発泡体の製造方法は、液状複合難燃剤を主剤と混合せず、以降の高速撹拌機で混合されるようにすることによって、主剤の粘度が急激に上昇することを防止することができ、これにより、従来の高粘度の主剤と難燃剤との混合物を撹拌機に移送時に配管が詰まってしまう問題を防止する効果がある。
【符号の説明】
【0113】
10:主剤タンク
20:硬化剤タンク
30:液状複合難燃剤タンク
40:発泡剤タンク
50:高速撹拌機
60:モールド
図1
図2