特許第6957892号(P6957892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957892
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】半導体装置およびその特性評価方法
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20211021BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20211021BHJP
   H03F 3/34 20060101ALI20211021BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   H03F3/45
   H02M1/08 A
   H03F3/34 210
   H03K17/08 C
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-27392(P2017-27392)
(22)【出願日】2017年2月17日
(65)【公開番号】特開2018-26784(P2018-26784A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2020年1月14日
(31)【優先権主張番号】特願2016-151962(P2016-151962)
(32)【優先日】2016年8月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112003
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100145344
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177312
【弁理士】
【氏名又は名称】辰己 雄一
(72)【発明者】
【氏名】鳶坂 浩志
【審査官】 及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−070552(JP,A)
【文献】 特開2006−165100(JP,A)
【文献】 特開2006−252416(JP,A)
【文献】 特開2013−156926(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0194370(US,A1)
【文献】 特開2011−138192(JP,A)
【文献】 特開昭63−260160(JP,A)
【文献】 特開2015−167190(JP,A)
【文献】 特開2008−283808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/45
H02M 1/08
H03F 3/34
H03K 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御回路から与えられた制御信号に従って負荷を駆動する主回路と、
前記負荷の出力を検出して前記制御回路に対するフィードバック信号を生成するオペアンプと、
このオペアンプに組み込まれて前記フィードバック信号のオフセット電圧を調整するトリミング回路と、
前記主回路の入力段に設けられて、前記主回路の入力段のクランプ電圧を規定するダイオード群を備え、前記トリミング回路に対するトリミング結果に応じて前記ダイオード群を不可逆的に選択してクランプ電圧を変更するプリセット回路と
を具備し、
前記主回路の入力段に所定電圧を印加したときの前記主回路の入力段のクランプ電圧によりトリミング結果を判定することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
制御回路から与えられた制御信号に従って負荷を駆動する主回路と、
前記負荷の出力を検出して前記制御回路に対するフィードバック信号を生成するオペアンプと、
このオペアンプに組み込まれて前記フィードバック信号のオフセット電圧を調整するトリミング回路と、
前記主回路の入力段に設けられて前記トリミング回路に対するトリミング結果に応じて不可逆的に設定されるプリセット回路と
を具備し、
前記プリセット回路は、
前記主回路の入力段に設けられて前記制御信号に対するクランプ電圧を規定するツェナーダイオードと、
互いに異なる段数のダイオードをそれぞれ逆並列に接続した複数組のダイオード群と、
前記トリミング回路のトリミング結果に応じて前記複数組のダイオード群の中の1つを前記ツェナーダイオードに択一的に直列接続して前記クランプ電圧を変更する複数のポリフューズとからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記主回路は、パワー半導体素子を出力段に備え、前記制御信号に従って前記パワー半導体素子をスイッチング駆動して前記負荷に流れる電流を制御する電流出力回路である請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記主回路および前記オペアンプは、同時集積回路化された1チップの素子からなる請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記オペアンプから出力されるフィードバック信号に応じて前記制御信号のデューティを可変して前記負荷の出力を一定化する役割を担う請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数のポリフューズは、前記複数組のダイオード群にそれぞれ直列接続して設けられ、前記トリミング回路のトリミング結果に応じて選択的に切断されるものである請求項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記プリセット回路により変更設定された前記クランプ電圧は、前記トリミング回路による前記オペアンプのトリミング結果の判定に用いられるものである請求項に記載の半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の半導体装置において、
更に対をなすサージ保護用ダイオードを極性を逆向きにして直列接続して構成され、前記プリセット回路に並列接続されて前記主回路をサージ電圧から保護する保護回路を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
前記対をなすサージ保護用ダイオードは、前記プリセット回路における最大順方向降下電圧よりも大きい耐圧を有する一対のツェナーダイオードである請求項に記載の半導体装置。
【請求項10】
請求項1〜5,8,9のいずれかに記載の半導体装置における前記オペアンプの所定の温度範囲に亘る出力特性を評価するに際し、
前記プリセット回路の出力から電気的に判定される前記オペアンプのトリミング結果に応じて、複数の温度点において前記オペアンプから出力される前記フィードバック信号のオフセット電圧に対する上限値および下限値をそれぞれ設定することを特徴とする半導体装置の特性評価方法。
【請求項11】
前記オフセット電圧に対する上限値および下限値は、前記オペアンプの出力特性の温度依存性に応じて設定されるものである請求項10に記載の半導体装置の特性評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば負荷をスイッチング駆動する主回路と共に負荷の動作状態を検出するオペアンプを搭載した半導体装置およびその特性評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載された電力機器等の負荷RLを駆動する半導体装置1として、例えば図5に示すようにMOS-FET等のパワー半導体素子2を出力段に備え、マイクロコンピュータ等の制御回路(上位機器)CONTから与えられる制御信号に従ってパワー半導体素子2をスイッチング駆動する電流出力回路3を備えて集積回路化されたデバイスが知られている。パワー半導体素子2および電流出力回路3は、半導体装置1の主回路Mを構成するもので、負荷RLに一定の駆動電流を供給する役割を担う。また近年では、更に上述した主回路と共に、負荷RLの出力(負荷電流)を検出して制御回路CONTに対するフィードバック信号を生成するオペアンプOPを同時集積して1チップ化した、いわゆるIPS(Intelligent Power Switch)と称される半導体装置1も開発されている。
【0003】
ちなみにオペアンプOPは、負荷RLに直列接続されたシャント抵抗SRの両端間に生じる電圧を正端子(非反転入力端子)IN+と負端子(反転入力端子)IN−との間に入力して負荷RLに流れる電流を検出する。そしてオペアンプOPは、正端子IN+と負端子IN−との間に加わる電圧を差動増幅して出力することで、その出力端子AMPに制御回路CONTに対するフィードバック信号を生成する。前述した制御回路CONTは、オペアンプOPの出力端子AMPに得られるフィードバック信号(出力電圧VAMP)に従って、例えば電流出力回路3に与える制御信号のデューティを変化させることで負荷RLの駆動電流を一定化制御する役割を担う。
【0004】
ここでこの種の半導体装置1に組み込まれるオペアンプOPは、概略的には、例えば図6に示すように正端子IN+と負端子IN−との間に加わる電圧差を増幅する一対のMOS-FET(M2,M3)からなる入力差動回路(MOS差動対)11を備える。またオペアンプOPは、対をなすMOS-FET(M9,M10,M11,M12)を主体とする入力折り返し型のカスコード増幅回路12を備える。このカスコード増幅回路12は、上述した入力差動回路(MOS差動対)11に並列接続され、オペアンプOPの増幅利得(ゲイン)を高める役割を担う。更にオペアンプOPは、出力抵抗を高めてカスコード増幅回路12に得られた電圧を出力端子AMPから出力する為の、MOS-FET(M16,M17,M18)からなる出力回路13を備えて構成される。このように構成されたオペアンプOPについては、例えば特許文献1等に詳しく紹介される通りである。
【0005】
またこの種のオペアンプOPには、特許文献1に詳しく紹介されるようにオフセット電圧を調整する為の、例えばMOS-FET(M13,M14)からなるトリミング回路14が組み込まれる(図6を参照)。このトリミング回路14は、基本的には対をなして設けられたMOS-FET(M13,M14)にそれぞれ流れる電流を調整(トリミング)することで、入力差動回路(MOS差動対)11を構成する一対のMOS-FET(M2,M3)間での電流アンバランスを補正する役割を担う。このトリミング回路14におけるMOS-FET(M13,M14)のトリミング調整により、入力差動回路(MOS差動対)11におけるオフセット電圧、ひいては出力端子AMPに生じるオフセット電圧(出力電圧VAMP)が調整(最小化)される。
【0006】
尚、トリミング回路14を構成するMOS-FET(M13,M14)のそれぞれは、一般的には並列に設けられて選択的にオン・オフされる複数のMOS-FETからなる。これらの並列に設けられたMOS-FETの選択的なオン・オフにより、トリミング回路14を構成するMOS-FET(M13,M14)にそれぞれ流れる電流が調整される。ちなみにトリミング回路14におけるトリミングは、例えばMOS-FET(M13)に流れる電流を増やすことでオフセット電圧を高くする+トリミングが実施され、逆にMOS-FET(M14)に流れる電流を増やすことでオフセット電圧を低くする−トリミングが実施される。このトリミング回路14の具体的な構成例およびトリミング回路14によるオフセット電圧(出力電圧VAMP)の調整については、前述した特許文献1に詳しく説明される通りである。
【0007】
ここでトリミング回路14によるオフセット電圧の調整について簡単に説明すると、正端子IN+と負端子IN−との間に加わる電圧がゼロ(零)であるときのオペアンプOPの出力電圧VAMP(オフセット電圧)は、理想的にはゼロ(零)である。しかし一般的には出力電圧VAMPは、オペアンプOPの製造上のバラつき等に起因する素子固有の値を有し、しかも出力電圧VAMPは素子の温度Tjに応じて変化する。ちなみに出力電圧VAMPの温度特性aが、例えば図7(a)に示すように上限値Hiと下限値Loとにより規定される出力特性の仕様の範囲内に収まる場合には、トリミング回路14によるオペアンプOPのトリミングは実施されない。
【0008】
しかし、例えば図7(b)に示すように出力電圧VAMPの温度特性bが下限値Loを下回る場合には、出力電圧VAMP(オフセット電圧)が出力特性の仕様の範囲に収まるように+トリミングが実施される。この+トリミングは、図6におけるMOS-FET(M13)をトリミングし、これによってMOS-FET(M13)に流れる電流を増加させることにより行われる。この+トリミングは、概念的には図6に示すようにMOS-FET(M13)に新たな電流源(M13a)を並列に接続することによって実施される。
【0009】
具体的にはMOS-FET(M13)をトリミングすると、これに伴って該MOS-FET(M3)に流れる電流が増加し、カスコード増幅回路12におけるMOS-FET(M11)のドレインであるノードAの電圧が下がる。するとノードAの電圧低下に伴って出力回路13におけるMOS-FET(M16)のドレインであるノードCの電圧が上昇する。この結果、オペアンプOPの出力電圧VAMPが高くなり、例えば図7(b)に温度特性btとして示すように出力電圧VAMP(オフセット電圧)が仕様の範囲内に収まるように高く調整される。
【0010】
またこのような+トリミング調整を施した場合、常温時に比較して高温時においてMOS-FET(M11)に流れる電流が増加するのでノードAの電圧が低くなり、またこれに伴ってノードCの電圧が更に高くなる。この結果、+トリミング調整後の出力電圧VAMPの温度特性btは、いわゆる正の温度依存性を持つようになる。換言すれば+トリミングを施す前には負の温度依存性を示したオペアンプOPの温度特性bが、+トリミングの実施により正の温度依存性を有する温度特性btとなる。
【0011】
一方、例えば図7(c)に示すように出力電圧VAMPの温度特性bが上限値Hiを上回る場合には、出力電圧VAMP(オフセット電圧)が仕様の範囲に収まるように、−トリミングが実施される。この−トリミングは、図6に示すMOS-FET(M14)をトリミングし、MOS-FET(M14)に流れる電流を増加させることにより行われる。この−トリミングは、概念的には図6に示すようにMOS-FET(M14)に新たな電流源(M14a)を並列に接続することによって実施される。
【0012】
具体的にはMOS-FET(M14)をトリミングすることでMOS-FET(M2)に流れる電流が増加する。するとMOS-FET(M8,M10)のドレイン・ソース間電圧の上昇を伴ってカスコード増幅回路12におけるMOS-FET(M12)のドレインであるノードBの電圧が下がる。またこれに相反してカスコード増幅回路12におけるMOS-FET(M11)のドレインであるノードAの電圧が上がる。この結果、出力回路13におけるMOS-FET(M16)のドレインであるノードCの電圧が下がり、オペアンプOPの出力電圧VAMPは、図7(c)に温度特性ctとして示すように低く設定される。
【0013】
ちなみにこのような−トリミング調整を施した場合、常温時に比較して高温時におけるノードBの電圧が更に低くなる。しかしこの際、―トリミングに伴うMOS-FET(M7,M9)のドレイン・ソース間の電圧上昇とMOS-FET(M13)のドレイン・ソース間の電圧上昇とによってノードAの電圧の低下が相殺される。この結果、−トリミング調整後の出力電圧VAMPの温度特性ctは、−トリミング調整前の温度特性cよりも温度変化の少ない略フラットな特性となる。尚、このようなオペアンプOPのトリミング調整は、専ら、所定の大きさのウェハ上に上述した構成の複数の半導体装置1を生成した段階で実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2014−204291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで上述したオペアンプOPに対するトリミング調整を施した複数の半導体装置1をウェハから個々に切り出して、いわゆる1チップのオペアンプ搭載IPSを製作した場合には、個々の半導体装置(オペアンプ搭載IPS)1毎に、該半導体装置1に組み込まれたオペアンプOPのオフセット電圧が所定の仕様を満たしているか否かの最終検査が行われる。しかしこの最終的な出荷検査に際しては、一般的には前述したオペアンプOPをトリミングしたか、更には+トリミングを施したか、或いは−トリミングを施したかのトリミング状態が不明である。
【0016】
これ故、オペアンプOPの出力電圧VAMPは、例えば図7(d)に示すように温度特性a,bt,ctのいずれかを有するが、その実体は不明である。従ってオペアンプOPの出力特性を検査するには、所定の温度範囲の全てにおいてオペアンプOPの出力電圧VAMP(オフセット電圧)が上限値Hiと下限値Loとにより規定される範囲内に収まるか否かを計測することが必要となる。
【0017】
故に、オペアンプOPの最終的な特性検査に際しては、半導体装置(オペアンプ搭載IPS)1に対して所定の温度範囲の全体に亘る測定温度環境を設定する為の、例えば−50℃〜175℃に亘る設定温度幅の広い恒温槽が必要となる。更には図7(b)に示したように出力電圧VAMPの温度特性が不明なので、高精度な電圧測定器を用いて所定の温度範囲に亘ってオペアンプOPの出力電圧VAMPを計測することが必要となる。従ってオペアンプOPの最終的な出力特性の検査に多大な手間と時間が掛かることが否めない。
【0018】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、制御回路から与えられた制御信号に従って負荷を駆動する主回路と、負荷の出力を検出して制御回路に対するフィードバック信号を生成するオペアンプとを備えて構成される半導体装置において、オペアンプのオフセット電圧を調整するトリミング回路によるトリミングの状態を外部から容易に判定することを可能とし、その判定結果に応じてオペアンプの出力特性を効率的に検査することを可能とする半導体装置およびその特性評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した目的を達成するべく本発明に係る半導体装置は、
制御回路から与えられた制御信号に従って負荷を駆動する主回路と、
前記負荷の出力を検出して前記制御回路に対するフィードバック信号を生成するオペアンプと、
このオペアンプに組み込まれて前記フィードバック信号のオフセット電圧を調整するトリミング回路と、
前記主回路の入力段に設けられて、前記主回路の入力段のクランプ電圧を規定するダイオード群を備え、前記トリミング回路に対するトリミング結果に応じて前記ダイオード群を不可逆的に選択してクランプ電圧を変更するプリセット回路と
を具備し、
前記主回路の入力段に所定電圧を印加したときの前記主回路の入力段のクランプ電圧によりトリミング結果を判定することを特徴としている。
もしくは、
前記プリセット回路は、
前記主回路の入力段に設けられて前記制御信号に対するクランプ電圧を規定するツェナーダイオードと、
互いに異なる段数のダイオードをそれぞれ逆並列に接続した複数組のダイオード群と、
前記トリミング回路のトリミング結果に応じて前記複数組のダイオード群の中の1つを前記ツェナーダイオードに択一的に直列接続して前記クランプ電圧を変更する複数のポリフューズとからなることを特徴としている。

【0020】
好ましくは前記主回路は、例えばパワー半導体素子を出力段に備え、前記制御信号に従って前記パワー半導体素子をスイッチング駆動して前記負荷に流れる電流を制御する電流出力回路からなる。また前記主回路および前記オペアンプは、同時集積回路化された1チップの素子として実現される。
【0021】
ちなみに前記制御回路は、前記オペアンプから出力されるフィードバック信号に応じて前記制御信号のデューティを可変して前記負荷の出力を一定化する上位機器としての役割を担う。
【0023】
具体的には前記複数のポリフューズは、前記複数組のダイオード群にそれぞれ直列接続して設けられ、前記トリミング回路のトリミング結果に応じて切断されて前記複数組のダイオード群の中の1つと前記ツェナーダイオードとの直列回路を択一的に形成して前記制御信号に対するクランプ電圧を変更する役割を担う。ここで前記プリセット回路により変更設定された前記クランプ電圧は、前記オペアンプのトリミング結果の判定に用いられ、半導体装置の特性を評価する際の検査規格の決定に用いられる。ちなみに前記ポリフューズの切断は、例えば外部から与えられて前記トリミング回路のトリミングに用いる信号を利用し、トリミングなし、オフセット電圧を高くする+トリミング、オフセット電圧を低くする−トリミングのいずれかに応じてポリフューズを選択的に溶断するようにすれば良い。
【0024】
また本発明に係る半導体装置は、上述した構成に加えて更に、対をなすサージ保護用ダイオードを極性を逆向きにして直列接続して構成された保護回路を前記プリセット回路に並列接続して構成される。この保護回路は、サージ等の印加によって複数のポリフューズの全てが不本意に溶断された場合であっても、その後に加わるサージ等から半導体装置の主回路等を保護する役割を担う。ちなみに前記対をなすサージ保護用ダイオードは、前記プリセット回路における最大順方向降下電圧よりも大きい耐圧を有する一対のツェナーダイオードからなる。
【0025】
また本発明に係る半導体装置の特性評価方法は、上述した構成の半導体装置における前記オペアンプの所定の温度範囲に亘る出力特性を評価するに際し、
前記プリセット回路の出力から電気的に判定される前記トリミング回路のトリミング結果に応じて、複数の代表的な温度点において前記オペアンプから出力される前記フィードバック信号のオフセット電圧に対する上限値および下限値をそれぞれ設定することを特徴としている。
【0026】
好ましくは前記オフセット電圧に対する上限値および下限値は、前記オペアンプの出力特性の温度依存性に応じて、予め定められた温度範囲での出力特性仕様を満たす検査規格として設定される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、主回路とオペアンプとを備えた複数の半導体装置を形成したウェハにおいて各半導体装置のオペアンプをそれぞれトリミングして該オペアンプのオフセット電圧を調整した後、ウェハから切り出して1チップ化した状態の半導体装置において、各半導体装置におけるオペアンプのトリミング結果を前記プリセット回路の出力としてそれぞれ簡易に判定することができる。従って所定の温度範囲における前記オペアンプの電気的特性が予め設定された仕様を満たしているか否かの評価試験を行う上での評価規格を、トリミング結果に伴うオペアンプの温度特性の変化を考慮して、例えば予め定めた代表的な複数の温度点での評価規格として適切に設定することができる。この結果、個々の半導体装置におけるオペアンプの特性評価試験を簡易に実行することが可能となる。
【0028】
特に本発明においては、前記プリセット回路は、例えば互いに異なる段数のダイオードをそれぞれ逆並列に接続した複数組のダイオード群の中の1つを、ポリフューズを介して主回路の入力段に設けられたツェナーダイオードに択一的に直列接続するように構成される。このような構成のプリセット回路によれば、主回路の機能を損なうことなく、オペアンプのトリミング結果に応じて前記ツェナーダイオードにより規定されるクランプ電圧を不可逆的に容易に変更することができる。
【0029】
また更に対をなすサージ保護用ダイオードを極性を逆向きにして直列接続して構成されて前記プリセット回路に並列接続された保護回路を備えることで、サージ等によって前記プリセット回路におけるポリフューズの全てが溶断した場合であっても、その後のサージ等から半導体装置における前記主回路等を確実に保護することが可能となる。
【0030】
故に本発明によれば前記プリセット回路から電気的に検出されるクランプ電圧から前記オペアンプに施されたトリミングの状態(トリミング結果)、具体的にはトリミングなし、+トリミング、−トリミングを個々の半導体装置において外部から容易に識別することができる。従って上述した如く識別されたトリミング結果に応じて、前記オペアンプの出力特性のトリミングの有無に伴う温度依存性の変化を判定することが可能となる。故に前記オペアンプの動作特性が、予め定められた温度範囲において所定の仕様を満たすか否かを評価するに必要な検査規格を、トリミング結果に基づいて判定された温度依存性に応じて適切に設定することができる。従って、1チップ化された半導体装置におけるオペアンプに対する特性評価試験の効率化と容易化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置(オペアンプ搭載IPS)の要部概略構成図。
図2図1に示す半導体装置におけるオペアンプの出力電圧特性の例を示す図。
図3】本発明の別の実施形態に係る半導体装置(オペアンプ搭載IPS)の要部概略構成図。
図4図3に示す半導体装置における保護回路の作用を説明するための図。
図5】主回路およびオペアンプを備えた従来の半導体装置(オペアンプ搭載IPS)の概略的な構成例を示す図。
図6図5に示す半導体装置に一体に組み込まれたオペアンプOPの概略構成を示す図。
図7】オペアンプOPの出力電圧(オフセット電圧)と、トリミング調整に伴う出力電圧(オフセット電圧)の変化を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る半導体装置とその特性評価方法について説明する。
【0033】
図1(a)は本発明の一実施形態に係る半導体装置(オペアンプ搭載IPS)1の要部概略構成図であり、図5に示した従来装置と同一部分には同一符号を付して示してある。この半導体装置1が特徴とするところは、電流出力回路3の入力段、具体的には半導体装置1の制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間に設けられたツェナーダイオード4を利用して、トリミング回路14のトリミング結果を外部から電気的に確認可能なプリセット回路5を設けた点にある。ツェナーダイオード4は、基本的には制御回路CONTから与えられる制御信号を所定の耐圧電圧Vzでクランプして電流出力回路3を保護する役割を担う。
【0034】
具体的にはプリセット回路5は、例えば互いに異なる段数のダイオードDをそれぞれ逆並列に接続した複数組、例えば3組のダイオード群6a,6b,6cと、トリミング回路14のトリミング結果に応じてダイオード群6a,6b,6cの中の1つをツェナーダイオード4に択一的に直列接続するポリフューズ7a,7b,7cとからなる。
【0035】
ちなみに第1のダイオード群6aは、2個のダイオードD1,D2を逆並列に接続して構成される。また第2のダイオード群6bは、それぞれ2段ずつ直列に接続したダイオードD3,D4の列とダイオードD5,D6の列とを逆並列に接続して構成される。更に第3のダイオード群6cは、それぞれ3段ずつ直列に接続したダイオードD7,D8,D9の列とダイオードD10,D11,D12の列とを逆並列に接続して構成される。
【0036】
ポリフューズ7a,7b,7cは、これらの第1〜第3のダイオード群6a,6b,6cを介してツェナーダイオード4にそれぞれ直列に接続され、図1(b)に示すようにトリミング回路14のトリミング結果に応じて選択的に切断される。ちなみにこれらのポリフューズ7a,7b,7cの切断は、例えばポリフューズ7a,7b,7cにそれぞれ接続された端子から選択的に所定の電流を強制的に流すことで、ポリフューズ7a,7b,7cを溶断することで不可逆的に行われる。
【0037】
尚、前述したトリミング回路14を構成するMOS-FET(M13,M14;図6を参照)をトリミングするトリミング制御信号を利用して、或いはトリミング制御信号によってトリミングされたMOS-FET(M13,M14)のトリミングの状態に従ってポリフューズ7a,7b,7cを選択的に切断するようにしても良い。そしてポリフューズ7a,7b,7cの選択的な切断により、ツェナーダイオード4に第1〜第3のダイオード群6a,6b,6cの1つが択一的に接続されて制御信号に対するクランプ電圧、即ち、制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間の耐圧が変更される。
【0038】
具体的にはオペアンプOPに対するトリミングを行わなかった場合、つまりトリミングなしの場合にはポリフューズ7b,7cが切断される。この結果、残されたポリフューズ7aを介してツェナーダイオード4と第1のダイオード群6aとの直列回路が制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間に介装される。そしてツェナーダイオード4と第1のダイオード群6aとにより制御信号に対するクランプ電圧が設定される。この場合における制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間の耐圧は、ツェナーダイオード4の耐圧Vzにダイオード1段分の耐圧Vfを加えた[Vz+Vf]となる。
【0039】
またオペアンプOPに対して+トリミングを施した場合には、ポリフューズ7a,7cが切断される。この結果、残されたポリフューズ7bを介してツェナーダイオード4と第2のダイオード群6bとの直列回路が制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間に介装される。そしてツェナーダイオード4と第2のダイオード群6bとにより制御信号に対するクランプ電圧が設定される。この場合における制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間の耐圧は、ツェナーダイオード4の耐圧Vzにダイオード2段分の耐圧Vfを加えた[Vz+2Vf]となる。
【0040】
これに対してオペアンプOPに対して−トリミングを施した場合には、ポリフューズ7a,7bが切断される。この結果、残されたポリフューズ7cを介してツェナーダイオード4と第3のダイオード群6cとの直列回路が制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間に介装される。そしてツェナーダイオード4と第3のダイオード群6cとにより制御信号に対するクランプ電圧が設定される。この場合における制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間の耐圧は、ツェナーダイオード4の耐圧Vzにダイオード3段分の耐圧Vfを加えた[Vz+3Vf]となる。
【0041】
ちなみにこのようにして変更設定される制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間の耐圧については、制御信号入力端子INに所定の電圧を印加したときのクランプ電圧を計測することにより電気的に容易に判定することができる。しかもそのクランプ電圧は、トリミング回路14のトリミング結果に応じて設定されたものであり、半導体装置1の機能を妨げることなしに計測可能である。
【0042】
従ってウェハから切り出して1チップ化された個々の半導体装置(オペアンプ搭載IPS)1の状態において、ウェハの状態においてオペアンプOPに施したトリミングの状態(トリミング結果)を容易に、且つ確実に判定することが可能となる。故に1チップ化された個々の半導体装置1毎に、そこに搭載されたオペアンプOPの特性評価試験を、上述した如く判定されるトリミング結果に従って簡易に実施することが可能となる。
【0043】
即ち、本発明の係る半導体装置1によれば、ウェハの状態において半導体装置1のオペアンプOPに施したトリミングの状態を検出することができるので、検出したトリミング結果からオペアンプOPの出力特性がどのような温度特性を持っているかを判定することができる。
【0044】
ちなみに半導体装置1のオペアンプOPは、トリミングなしの場合、+トリミングを施した場合、そして−トリミングを施した場合に応じて、先に図7を参照して説明したように半導体装置1の素子特性に応じた固有の温度特性a,bt,ctを持つ。従ってトリミング結果に応じて定まる温度特性a,bt,ctをシフトすることで、その最大電圧と最小電圧とが所定の電圧範囲に収め得る条件を求めることが可能となる。そしてこの条件に基づいて複数の温度において出力電圧VAMPの変化を許容し得る上限値Hiと下限値Loとをそれぞれ規定することが可能となる。
【0045】
従って、例えば常温(例えば25℃)並びに高温(例えば125℃)からなる特定の温度でのオペアンプOPの出力電圧VAMP(オフセット電圧)を計測し、上述した如く設定された上限値Hiと下限値Loとにより規定される電圧範囲に含まれるかを評価することで、オペアンプOPの出力特性が所定の仕様を満たしているか否かを容易に検査することが可能となる。
【0046】
換言すれば、例えば25℃および125℃においてそれぞれ計測される出力電圧VAMPから、−50℃〜175℃の温度範囲でのトリミング結果に応じた出力電圧VAMPの変化の様子を推定することが可能となる。その上で25℃および125℃でそれぞれ計測される出力電圧VAMPが、上述した如く設定される当該温度での上限値Hiと下限値Loとにより規定される電圧範囲に含まれるか否かをそれぞれ判定するだけで、設定温度幅の広い恒温槽を用いることなしに簡易に、且つ効率的にはオペアンプOPの最終的な特性評価検査を実施することができる。
【0047】
特に素子特性の評価基準となる上限値Hiおよび下限値Loについては、判定した温度特性を考慮することで、素子特性のバラつきや半導体装置1の組み立てに伴う特性シフトに伴う出力電圧VAMPの変動を踏まえて、代表的な素子温度における上限値Hiおよび下限値Loとしてそれぞれ適切に設定することができる。従ってトリミング結果から出力電圧VAMPの温度特性が明らかなので、評価基準(上限値Hiおよび下限値Lo)に余裕を持たせてオペアンプOPの出力特性を評価することができる。従ってその特性評価試験を簡易に歩留まり良く実施することが可能となる等の効果が奏せられる。
【0048】
次に本発明に係る半導体装置の別の実施形態について図3を参照して説明する。図3は半導体装置(オペアンプ搭載IPS)10の要部概略構成図であり、基本的には図1に示した半導体装置1と同様に構成される。従って図1に示した半導体装置1と同一部分には同一符号を付して示してある。
【0049】
この半導体装置1が特徴とするところは前述した半導体装置1が備える構成に加えて、更にプリセット回路5に対して並列に保護回路15を設けた点にある。この保護回路15は、対をなすサージ保護用ダイオード8a,8bを、その極性を逆向きにして直列接続して構成される。ちなみにサージ保護用ダイオード8a,8bは、プリセット回路5における最大順方向降下電圧よりも大きい耐圧を有する一対のツェナーダイオードからなる。
【0050】
具体的には上述した構成の保護回路15は、電流出力回路3の入力段である半導体装置10の制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間に設けられる。この保護回路15は、例えば静電気放電(ESD;Electro-Static discharge)に伴うサージを受けてプリセット回路5におけるポリフューズ7a,7b,7cの全てが溶断した場合であっても、その後に加わるESDのサージから半導体装置10の内部回路、具体的には電流出力回路3等の主回路を保護する役割を担う。
【0051】
ここで半導体装置1,10において、例えばオペアンプOPに対するトリミングが不要な場合、ポリフューズ7a,7bがそれぞれ溶断される。換言すればプリセット回路5においては、ポリフューズ7cを介する電流路だけが形成される。従ってこの状態において半導体装置1の制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間で検出される電圧は、図4(a)に示すように正電圧印加時には[Vz+Vf]となり、負電圧印加時には[2Vf]となる。尚、ここでは説明の徒な複雑化を避けるために、ツェナーダイオード4の耐圧電圧Vzと、サージ保護用ダイオード(ツェナーダイオード)8a,8bの耐圧電圧Vz'とが等しい[Vz=Vz']として説明する。
【0052】
この状態において半導体装置1にESDによるサージが加わると、そのサージ電流がプリセット回路5におけるポリフューズ7cを介して流れるので、このサージ電流によってポリフューズ7cが溶断することがある。そしてポリフューズ7cが溶断した後、再度ESDによるサージが加わるとプリセット回路5自体がポリフューズ7a,7b,7cの溶断よって回路遮断されているので、半導体装置1の制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間にはESDによるサージがそのまま印加される。従って半導体装置1の内部回路である電流出力回路3等からなる主回路に対するサージ保護対策が損なわれることになる。
【0053】
これに対して半導体装置10において、前述したようにプリセット回路5に対して並列に、具体的にはその制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間に、サージ保護用ダイオード8a,8bを極性を逆向きにして直列接続した保護回路15が設けられている。従ってこの保護回路15により、仮にESDによるサージによってプリセット回路5におけるポリフューズ7a,7b,7cの全てが溶断された場合であっても、その後のESDによるサージから半導体装置1の電流出力回路3等からなる主回路を確実に保護することができる。
【0054】
ちなみに保護回路15を備えた半導体装置10においては、半導体装置1の制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間で検出される電圧は、図4(b)に示すように正電圧印加時にはサージ保護用ダイオード(ツェナーダイオード)8aによる電圧クランプにより[Vz']となり、負電圧印加時には[2Vf]となる。そして負電圧印加時における制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間の電圧から、そのトリミング結果を判定することが可能となる。
【0055】
尚、このときブリセット回路5に加わる電圧は、保護回路15のサージ保護用ダイオード8a,8bによりクランプされる。従って正電圧印加時には、保護回路15によりクランプされた電圧が制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間に生じる。この電圧は、本来、プリセット回路5に生じる電圧[Vz+Vf]よりも低い電圧である。また負電圧印加時には保護回路15によりクランプされた電圧よりも低く、プリセット回路5における降下電圧[2Vf]となる。従って制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間に生じる電圧を計測することでトリミング結果を判定することが可能となる。
【0056】
ところでこの状態において半導体装置10にESDによるサージが加わると、そのサージ電流がプリセット回路5におけるポリフューズ7cを介して流れ、このサージ電流によってポリフューズ7cが溶断することがある。ちなみにポリフューズ7cが溶断した後にはプリセット回路5自体がポリフューズ7a,7b,7cの溶断よって回路遮断されているので、半導体装置1の制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間にはESDによるサージがそのまま印加される。従ってこの場合には、前述した半導体層1と同様に、単にブリセット回路5にはサージ保護用ダイオード(ツェナーダイオード)8a,8bによりクランプされた電圧が印加されるだけである。尚、サージ保護用ダイオード(ツェナーダイオード)8a,8bによりクランプされた電圧については、外部から電気的に計測することは困難である。
【0057】
またこの場合、ESDによるサージの印加によりポリフューズ7a,7b,7cの全てが溶断されるので、その後によりESDによるサージが加わった地合、プリセット回路5において上述したサージから半導体装置1の内部における主回路を保護することが困難となる。この点、半導体装置10においては、プリセット回路5に対して保護回路15が並列に設けられているので、この保護回路15によりESDによるサージから半導体装置10の内部回路である電流出力回路3等の主回路Mを確実に保護することができる。
【0058】
具体的には図4(b)に示すように、制御信号入力端子INと接地端子GNDとの間に加わる電圧を保護回路15によりクランプすることが可能となるので、電流出力回路3等の半導体装置11の内部回路を前述したESD等に起因するサージから確実に保護することが可能となる。即ち、プリセット回路5に対して成就した構成の保護回路15を並列に設けるだけで、サージに対する保護機能を保ちながら、オペアンプOPに対するトリミング結果を、外部から電気的に容易に確認することのできる簡易に構成の半導体装置10を実現することが可能となる。
【0059】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。ここではプリセット回路5におけるダイオード群6a,6b,6cとして、1段のダイオード並びに直列接続した2段および3段のダイオードを用いたが、ダイオードの構成段数について特に限定されない。例えばトリミングなしにおいてはツェナーダイオード4だけでクランプ電圧を規定し、+トリミングではツェナーダイオード4に2段のダイオードを直列に接続し、更に−トリミングにおいてはツェナーダイオード4に4段のダイオードを直列に接続してクランプ電圧を変更するようにしても良い。
【0060】
また、例えば特開2000−68458号公報に開示されるような複数の抵抗と、これらの抵抗を個別に回路接続する複数のポリフューズとからなる固有情報設定回路をプリセット回路として半導体装置1に組み込み、該固有情報設定回路の出力からトリミング結果を検出し得るように構成することも可能である。更にオペアンプOPの具体的な構成や、トリミング回路14の構成についても種々変形可能なことは言うまでもない。
【0061】
更にはトリミングなし、+トリミングおよび−トリミングの情報に加えて、トリミングの大きさを示す情報を出力可能なようにプリセット回路を構成することも可能である。この場合、例えばツェナーダイオードに択一的に接続されるダイオード群の数を増やし、プリセット電圧を更に多段階に変更可能なように構成すれば良い。またサージ保護用ダイオード(ツェナーダイオード)8a,8bの耐圧Vz'ついては、ツェナーダイオード4およびプリセット回路5において直列に接続されたダイオードD7,D8,D9の各順方向降下電圧よりも高く設定されたものであれば十分である。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0062】
M 主回路
OP オペアンプ
CONT 制御回路
RL 負荷
SR シャント抵抗
1,10 半導体装置(オペアンプ搭載IPS)
2 パワー半導体素子
3 電圧出力回路
4 ツェナーダイオード
5 プリセット回路
6a,6b,6c ダイオード群
7a,7b,7c ポリフューズ
8a,8b ツェナーダイオード
11 入力差動回路(MOS差動対)
12 カスコード増幅回路
13 出力回路
14 トリミング回路
15 保護回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7