特許第6957901号(P6957901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6957901
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】周波数比測定装置および物理量センサー
(51)【国際特許分類】
   G01R 23/10 20060101AFI20211021BHJP
   G01P 15/097 20060101ALI20211021BHJP
   G01P 15/08 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   G01R23/10 H
   G01P15/097 Z
   G01P15/08 101B
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-40103(P2017-40103)
(22)【出願日】2017年3月3日
(65)【公開番号】特開2018-146320(P2018-146320A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】轟原 正義
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−196756(JP,A)
【文献】 特開2012−112761(JP,A)
【文献】 特開2011−080836(JP,A)
【文献】 特開2011−047796(JP,A)
【文献】 特開2015−076805(JP,A)
【文献】 特表2017−520880(JP,A)
【文献】 特開2015−100081(JP,A)
【文献】 特表2011−530246(JP,A)
【文献】 特開2008−205923(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/101058(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/141464(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/181619(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 23/10
G01P 15/097
G01P 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定信号と、基準信号とに基づいて、前記被測定信号と前記基準信号との周波数比を測定する周波数比測定装置であって、
前記基準信号と、前記被測定信号とが入力され、入力された前記基準信号と前記被測定信号との一方を用いて他方を周波数デルタシグマ変調し、測定値を示す周波数デルタシグマ変調信号を生成する周波数デルタシグマ変調部と、
前記周波数デルタシグマ変調信号をダウンサンプリングして出力するデシメーションフィルターと、を備え、
前記デシメーションフィルターは、測定タイミングに基づいてサンプリングタイミングまでの時間を求める時間算出部と、
前記サンプリングタイミングまでの時間に基づいて、前記サンプリングタイミングにおけるインパルス応答を求めるインパルス応答算出部と、
前記測定値と前記インパルス応答の値との積を求める乗算部と、
前記積を積算して積算値を求める積算部と、を備え、
前記インパルス応答は、有限であり、ノイズシェープ効果により、高周波側にシフトしたノイズ成分を除去または低減する波形であることを特徴とする周波数比測定装置。
【請求項2】
前記測定タイミングの間隔は、一定である請求項1に記載の周波数比測定装置。
【請求項3】
前記測定タイミングは、タイムスタンプとして入力される請求項1または2に記載の周波数比測定装置。
【請求項4】
前記積算部は、前記タイムスタンプが前記サンプリングタイミングと一致した時または前記タイムスタンプが前記サンプリングタイミングを超えた後で、前記積算値を出力し、前記積算値をリセットする請求項3に記載の周波数比測定装置。
【請求項5】
前記積算部は、前記測定タイミングが前記サンプリングタイミングを超える1つ前の前記測定タイミングまで前記積算を行う請求項1ないし4のいずれか1項に記載の周波数比測定装置。
【請求項6】
前記測定値は、前記被測定信号であるパルス信号のカウント値であり、
前記カウント値を得るために用いるゲート時間は、前記基準信号で規定される請求項1ないしのいずれか1項に記載の周波数比測定装置。
【請求項7】
前記測定値は、前記基準信号であるパルス信号のカウント値であり、
前記カウント値を得るために用いるゲート時間は、前記被測定信号で規定される請求項1ないしのいずれか1項に記載の周波数比測定装置。
【請求項8】
前記時間算出部は、前記基準信号または前記被測定信号をカウントしたカウント値をタイムスタンプとして用いる請求項またはに記載の周波数比測定装置。
【請求項9】
物理量を検出する検出部と、
前記検出部から出力された被測定信号が入力される請求項1ないしのいずれか1項に記載の周波数比測定装置と、を備えることを特徴とする物理量センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デシメーションフィルター、測定装置および物理量センサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基準信号(基準クロック)の周波数と被測定信号の周波数との比に対応する信号であるデルタシグマ変調信号を生成する周波数カウンターが知られている。
この周波数カウンターは、周波数デルタシグマ変調部(以下、「FDSM(Frequency Delta Sigma Modulator)」と言う)を有し、そのFDSMにより、基準信号と被測定信号との一方を用いて他方を周波数デルタシグマ変調し、デルタシグマ変調信号を生成し、出力する。
また、FDSMの出力側には、ローパスフィルターが設けられている。このような構成により、FDSMの特徴の1つであるノイズシェープ機能が発揮されること(ノイズシェープ効果)により、ノイズを高周波側にシフトすることができ、ローパスフィルターにより、ノイズ成分を低減することができ、精度を向上させることができる。
【0003】
また、特許文献1には、カウンター部と、カウンター部の出力側に設けられ、複数段の移動平均フィルターを有するローパスフィルター部とを備える周波数測定装置が開示されている。ローパスフィルター部では、少なくとも1つの移動平均フィルターの出力がダウンサンプリングされている。これにより、ダウンサンプリングを行わない場合に比べて、ローパスフィルター部の構成を簡素化することができ、また、回路動作の周波数を減少させることができ、消費電力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−80836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の装置では、最終的に必要となるサンプリング周波数よりも高い周波数で駆動する部分が回路の大半を占めているので、ローパスフィルター部の構成をさらに簡素化すること、および消費電力をさらに低減することは困難である。
【0006】
本発明の目的は、回路規模を小さくすることができ、消費電力を低減することができるデシメーションフィルター、測定装置および物理量センサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
本発明のデシメーションフィルターは、入力される測定値を示す信号をダウンサンプリングして出力するデシメーションフィルターであって、
測定タイミングに基づいてサンプリングタイミングまでの時間を求める時間算出部と、
前記サンプリングタイミングまでの時間に基づいて、前記サンプリングタイミングにおけるインパルス応答を求めるインパルス応答算出部と、
前記測定値と前記インパルス応答の値との積を求める乗算部と、
前記積を積算して積算値を求める積算部と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、測定値を示す信号に含まれるノイズ成分を除去または低減することができ、測定精度を向上させることができる。
また、最終的に必要となるサンプリング周波数で畳み込み積分を実行すればよいので、演算量を減少させることができ、これにより、回路規模を小さくすることができ、消費電力を低減することができる。
【0008】
本発明のデシメーションフィルターでは、前記測定タイミングの間隔は、一定であることが好ましい。
これにより、さらに測定精度を向上させることができる。
【0009】
本発明のデシメーションフィルターでは、前記測定タイミングは、タイムスタンプとして入力されることが好ましい。
これにより、適確に絶対時間の情報を得ることができる。
【0010】
本発明のデシメーションフィルターでは、前記積算部は、前記タイムスタンプが前記サンプリングタイミングと一致した時または前記タイムスタンプが前記サンプリングタイミングを超えた後で、前記積算値を出力し、前記積算値をリセットすることが好ましい。
これにより、測定タイミングがサンプリングタイミングを超える1つ前の測定タイミングまで積算を行うことが可能になる。
【0011】
本発明のデシメーションフィルターでは、前記積算部は、前記測定タイミングが前記サンプリングタイミングを超える1つ前の前記測定タイミングまで前記積算を行うことが好ましい。
これにより、漏れや重複なく前記積算を行うことが可能となり、測定精度を向上させることができる。
【0012】
本発明のデシメーションフィルターでは、前記インパルス応答は、有限であり、関数で表現されることが好ましい。
これにより、容易かつ適確に所望のインパルス応答を表現することができ、そのインパルス応答の値を求めることができる。
【0013】
本発明のデシメーションフィルターでは、前記関数は、時間の1次関数または時間の2次関数であることが好ましい。
これにより、容易かつ適確に所望のインパルス応答を表現することができ、そのインパルス応答の値を求めることができる。
【0014】
本発明のデシメーションフィルターでは、前記測定値は、被測定信号であるパルス信号のカウント値であり、
前記カウント値を得るために用いるゲート時間は、基準信号で規定されることが好ましい。
これにより、直接カウント方式を採用することが可能である。
【0015】
本発明のデシメーションフィルターでは、前記測定値は、基準信号であるパルス信号のカウント値であり、
前記カウント値を得るために用いるゲート時間は、被測定信号で規定されることが好ましい。
これにより、レシプロカルカウント方式を採用することが可能である。
【0016】
本発明のデシメーションフィルターでは、前記時間算出部は、前記基準信号または前記被測定信号をカウントしたカウント値をタイムスタンプとして用いることが好ましい。
これにより、別途、タイムスタンプを生成する回路を用意する必要がなく、回路構成を簡素化することができる。
【0017】
本発明の測定装置は、本発明のデシメーションフィルターを備え、
前記デシメーションフィルターを用いて測定を行うことを特徴とする。
この発明によれば、測定値を示す信号に含まれるノイズ成分を除去または低減することができ、測定精度を向上させることができる。
また、最終的に必要となるサンプリング周波数で畳み込み積分を実行すればよいので、演算量を減少させることができ、これにより、回路規模を小さくすることができ、消費電力を低減することができる。
【0018】
本発明の測定装置は、本発明のデシメーションフィルターを備え、
前記デシメーションフィルターを用いて前記被測定信号と前記基準信号との周波数比を測定することを特徴とする。
この発明によれば、測定値を示す信号に含まれるノイズ成分を除去または低減することができ、測定精度を向上させることができる。
また、最終的に必要となるサンプリング周波数で畳み込み積分を実行すればよいので、演算量を減少させることができ、これにより、回路規模を小さくすることができ、消費電力を低減することができる。
【0019】
本発明の物理量センサーは、物理量を検出する検出部と、
前記検出部から出力された被測定信号が入力される本発明の測定装置と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、測定値を示す信号に含まれるノイズ成分を除去または低減することができ、測定精度を向上させることができる。
また、最終的に必要となるサンプリング周波数で畳み込み積分を実行すればよいので、演算量を減少させることができ、これにより、回路規模を小さくすることができ、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の測定装置の1例である周波数比測定装置の実施形態を示すブロック図である。
図2図1に示す周波数比測定装置のデシメーションフィルターを示すブロック図である。
図3図1に示す周波数比測定装置の周波数デルタシグマ変調部の構成例を示すブロック図である。
図4図1に示す周波数比測定装置の周波数デルタシグマ変調部の構成例を示すブロック図である。
図5】インパルス応答を示すグラフである。
図6図1に示す周波数比測定装置のデシメーションフィルターの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図7図1に示す周波数比測定装置のデシメーションフィルターの動作の流れを示すフローチャートである。
図8】本発明の物理量センサーの1例である加速度センサーの実施形態における検出部の内部構造を示す図である。
図9図8中のA−A線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のデシメーションフィルター、測定装置および物理量センサーを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0022】
<第1実施形態>
図1は、本発明の測定装置の1例である周波数比測定装置の実施形態を示すブロック図である。図2は、図1に示す周波数比測定装置のデシメーションフィルターを示すブロック図である。図3は、図1に示す周波数比測定装置の周波数デルタシグマ変調部の構成例を示すブロック図である。図4は、図1に示す周波数比測定装置の周波数デルタシグマ変調部の構成例を示すブロック図である。図5は、インパルス応答を示すグラフである。図6は、図1に示す周波数比測定装置のデシメーションフィルターの動作を説明するためのタイミングチャートである。図7は、図1に示す周波数比測定装置のデシメーションフィルターの動作の流れを示すフローチャートである。
なお、以下の説明では、信号のレベルが「ロー(Low)」の場合を「0」、信号のレベルが「ハイ(High)」の場合を「1」とも言う。
【0023】
本発明の測定装置の1例である図1に示す周波数比測定装置1は、デシメーションフィルター4を備え、デシメーションフィルター4を用いて測定を行う、すなわち、被測定信号と前記基準信号との周波数比を測定する。
この周波数比測定装置1によれば、測定値を示す信号に含まれるノイズ成分を除去または低減することができ、測定精度を向上させることができる。また、デシメーションフィルター4により、最終的に必要となるサンプリング周波数で畳み込み積分を実行すればよいので、演算量を減少させることができ、これにより、回路規模を小さくすることができ、消費電力を低減することができる。以下、具体的に説明する。
【0024】
図1に示す周波数比測定装置1(測定装置)は、周波数が既知である基準信号(基準クロック)の周波数と被測定信号の周波数との比(周波数比)に対応する値(または前記値を生成するために用いられる値)であるカウント値(カウント値を示す信号)を生成する装置(回路)である。すなわち、周波数比測定装置1の測定値(出力)が前記カウント値である。
また、周波数比測定装置1では、直接カウント方式とレシプロカルカウント方式とのいずれも採用することが可能である。
【0025】
すなわち、直接カウント方式を採用する場合は、測定値は、被測定信号であるパルス信号のカウント値であり、カウント値を得るために用いるゲート時間は、基準信号で規定される。このようにして直接カウント方式を採用することが可能である。
【0026】
また、レシプロカルカウント方式を採用する場合は、測定値は、基準信号であるパルス信号のカウント値であり、カウント値を得るために用いるゲート時間は、被測定信号で規定される。このようにしてレシプロカルカウント方式を採用することが可能である。以下では、代表的に、直接カウント方式を例に挙げて説明する。なお、レシプロカルカウント方式では、直接カウント方式において、基準信号と被測定信号とを逆にすればよい。
【0027】
図1に示すように、周波数比測定装置1は、周波数デルタシグマ変調部2(以下、「FDSM(Frequency Delta Sigma Modulator)」と言う)と、アップカウンター3(カウンター)と、デシメーションフィルター4とを備えている。FDSM2は、基準信号と被測定信号との周波数比を計測する周波数比計測部の1例であり、周波数比計測部は、他の構成であってもよい。
また、周波数比測定装置1では、FDSM2およびアップカウンター3の出力側(後段)に、デシメーションフィルター4が接続されている。
また、被測定信号は、FDSM2に入力され、周波数が既知である基準信号(基準クロック)は、FDSM2およびアップカウンター3に入力される。
【0028】
また、FDSM2は、基準信号に基づいて(基準信号を用いて)、被測定信号を周波数デルタシグマ変調し、周波数デルタシグマ変調信号を生成する機能を有している(直接カウント方式)。なお、被測定信号に基づいて(被測定信号を用いて)、基準信号を周波数デルタシグマ変調してもよい(レシプロカルカウント方式)。
FDSM2としては、例えば、出力信号をビットストリーム形式で出力するFDSM(以下、「ビットストリーム構成のFDSM(ビットストリーム型FDSM)」とも言う)、出力信号をデータストリーム形式で出力するFDSM(以下、「データストリーム構成のFDSM(データストリーム型FDSM)」とも言う)等を用いることができる。
ビットストリーム構成のFDSMを用いる場合は、他の信号処理回路を簡素化することができる。また、データストリーム構成のFDSMを用いる場合は、周波数変動が大きい場合にも対応することができる。
【0029】
次に、データストリーム構成のFDSM2と、ビットストリーム構成のFDSM2とを説明するが、まずは、データストリーム構成のFDSM2について説明する。
図3に示すように、データストリーム構成のFDSM2は、被測定信号の立ち上がりエッジをカウントしてカウント値を示すカウントデータDcを出力するアップカウンター21と、基準信号の立ち上がりエッジに同期してカウントデータDcをラッチして第1データD1を出力する第1ラッチ22と、基準信号の立ち上がりエッジに同期して第1データD1をラッチして第2データD2を出力する第2ラッチ23と、第1データD1から第2データD2を減算して出力データOUTを生成する減算器24とを備える。なお、第1ラッチ22および第2ラッチ23は、例えばDフリップフロップ回路等で構成される。
【0030】
この例のFDSM2は、1次の周波数デルタシグマ変調器とも呼ばれ、被測定信号のカウント値を基準信号により2回ラッチしており、基準信号の立ち上がりエッジをトリガーとして被測定信号のカウント値を順次保持する。この例では、立ち上がりエッジでラッチ動作を行う場合を想定しているが、立ち下りエッジもしくは立ち上がり立ち下りエッジの両方でラッチ動作を行ってもよい。また減算器24は保持されている2つのカウント値の差分を演算することで基準信号が1周期推移する間に観測される被測定信号のカウント値の増分を時間経過と共に不感期間無く出力する。被測定信号の周波数をfx、基準信号の周波数をfcとしたとき、周波数の比はfx/fcとなる。FDSM2は、周波数の比を示す周波数デルタシグマ変調信号(図1に示す測定値Siを示す信号)をデジタル信号列として出力するものである。
このデジタル信号列は、データ列・データストリームと呼ばれる。また、後述する1ビットで表されるデジタル信号列は、ビット列・ビットストリームと呼ばれる。
【0031】
次に、ビットストリーム構成のFDSM2について説明する。
図4に示すように、ビットストリーム構成のFDSM2は、基準信号の立ち上がりエッジに同期して被測定信号をラッチして第1データd1を出力する第1ラッチ22と、基準信号の立ち上がりエッジに同期して第1データd1をラッチして第2データd2を出力する第2ラッチ23と、第1データd1と第2データd2の排他的論理和を演算して出力データOUTを生成する排他的論理和回路25とを備える。なお、第1ラッチ22および第2ラッチ23は、例えばDフリップフロップ回路等で構成される。
【0032】
このFDSM2が前記データストリーム構成のFDSM2と相違するのは、前記データストリーム構成のFDSM2では、第1ラッチ22によってカウントデータDcを保持し、基準信号が1周期推移する間に観測される被測定信号の立ち上がりエッジをカウントして得たカウントデータDcの増分を出力データOUTとして出力するのに対し、このFDSM2では、第1ラッチ22によって被測定信号のHighもしくはLowの状態を保持し、基準信号が1周期推移する間の反転回数の偶奇を出力データOUTとして出力する点である(反転回数が偶数であれば0、奇数であれば1を出力する)。
【0033】
ところで、被測定信号の1周期はHighとLowの反転遷移2回で構成されることから、基準信号に対する被測定信号の変動が、出力データOUTに及ぼす変化の度合いは、前記データストリーム構成のFDSM2においてカウント値を保持する場合に比べ2倍となる。従って、ビットストリーム構成のFDSM2におけるアイドルトーンの振る舞いは、前記データストリーム構成のFDSM2において、2倍の周波数の被測定信号がFDSM2に入力された場合の振る舞いと一致する。ビットストリーム構成のFDSM2の動作については、上記の性質を考慮し、必要に応じて被測定信号の周波数fxを周波数2fxに置き換えて考えればよい。
【0034】
次に、デシメーションフィルター4について説明する。
図2に示すデシメーションフィルター4は、入力される測定値を示す信号をダウンサンプリングして出力する回路(装置)である。
図2に示すように、デシメーションフィルター4は、測定タイミング(タイムスタンプti)に基づいてサンプリングタイミングまでの時間(ri)を求める時間算出部41と、サンプリングタイミングまでの時間(ri)に基づいて、サンプリングタイミングにおけるインパルス応答(インパルス応答の値)を求めるインパルス応答算出部42と、測定値(Si)とインパルス応答の値F(ri)との積を求める乗算部43と、測定値(Si)とインパルス応答の値F(ri)との積を積算して積算値を求める積算部44とを備えている。デシメーションフィルター4では、時間算出部41の出力側にインパルス応答算出部42が接続され、インパルス応答算出部42の出力側に乗算部43が接続され、乗算部43の出力側に積算部44が接続されている。なお、乗算部43と積算部44とが統合されていてもよい。
【0035】
このような構成のデシメーションフィルター4により、FDSM2から出力される信号に含まれるノイズ成分を除去または低減することができる。詳細に説明すると、まず、FDSM2の特徴の1つであるノイズシェープ機能が発揮されること(ノイズシェープ効果)により、ノイズを高周波側にシフトすることができる。そして、デシメーションフィルター4により、ノイズ成分を除去または低減することができ、測定精度を向上させることができる。
また、フィルターとしてデシメーションフィルター4を設けることにより、最終的に必要となるサンプリング周波数で畳み込み積分を実行すればよいので、演算量を減少させることができ、これにより、回路規模を小さくすることができ、消費電力を低減することができる。
【0036】
時間算出部41は、測定タイミングに基づいてサンプリングタイミングまでの時間を算出する(求める)機能を有している。本実施形態では、時間算出部41は、サンプリングタイミングにおけるタイムスタンプから現在の測定タイミングのタイムスタンプtiを減算し、現在の測定タイミングからサンプリングタイミングまでの時間riを算出する。なお、図6には、時間riの1例として、r11、r12、r21、r22、r23、r31、r32を示す。
【0037】
また、測定タイミングとは、測定を行うタイミングであり、本実施形態では、図4に示すように、測定タイミングを示すパルス信号の立ち上がりである。この測定タイミングは、タイムスタンプti(絶対時間)として入力される。なお、図6には、測定タイミングにおけるタイムスタンプtiの1例として、t1、t2、t3を示す。
また、サンプリングタイミングとは、サンプリングを行うタイミングであり、本実施形態では、図6に示されている。なお、図6には、サンプリングタイミングの1例として、P1、P2、P3を示す。
【0038】
また、時間算出部41は、基準信号または被測定信号をカウントしたカウント値をタイムスタンプtiとして用いる。本実施形態では、時間算出部41は、基準信号をカウントしたカウント値をタイムスタンプtiとして用いる。これにより、別途、タイムスタンプを生成する回路を用意する必要がなく、回路構成を簡素化することができる。
【0039】
インパルス応答算出部42は、現在の測定タイミングからサンプリングタイミングまでの時間riに基づいて、サンプリングタイミングにおけるインパルス応答を算出する(求める)機能を有している。また、インパルス応答算出部42としては、例えば、FIR(Finite Impulse Response)フィルター等で構成することが可能である。
【0040】
また、インパルス応答は、有限であり、関数で表現される。この関数は、特に限定されないが、時間の1次関数または時間の2次関数であることが好ましい。図5に示すように、本実施形態では、インパルス応答は、有限であり、時間の2次関数で表現されている。このインパルス応答の開始点は、「0」、終了点は、「d3」である。また、d1、d2は、それぞれ、インパルス応答を表現する2次関数の変曲点である。このようにして、容易かつ適確に所望のインパルス応答を表現することができ、そのインパルス応答の値を求めることができる。
また、インパルス応答の波形は、本実施形態では、ローパスフィルターの出力の波形と同様であるので、前記のように、デシメーションフィルター4により、FDSM2から出力される信号に含まれるノイズ成分を除去または低減することができる。
【0041】
具体的には、インパルス応答は、下記(1)式、(2)式、(3)式で表現され、その(1)式、(2)式、(3)式を用いて、インパルス応答の値を求める。0≦ri<d1の場合は、(1)式を用い、d1≦ri≦d2の場合は、(2)式を用い、d2<ri≦d3の場合は、(3)式を用いる。なお、インパルス応答の開始点は、「0」、終了点は、「d3」である。また、d1、d2は、それぞれ、インパルス応答を表現する2次関数の変曲点である。
【0042】
R(ri)=a1・ri+b1・ri+c1(0≦ri<d1) ・・・(1)
R(ri)=a2・ri+b2・ri+c2(d1≦ri≦d2) ・・・(2)
R(ri)=a3・ri+b3・ri+c3(d2<ri≦d3) ・・・(3)
なお、a1、a2、a3、b1、b2、b3、c1、c2、c3は、それぞれ、係数である。
また、インパルス応答の値を求めるための演算式(関数)、すなわち、(1)式、(2)式、(3)式は、予め、求め、インパルス応答算出部42が有する図示しない記憶部に記憶しておく。
【0043】
ここで、1例を挙げると、デシメーションフィルター4のカットオフ周波数が200Hzになるようインパルス応答の波形を2次関数を用いて設計したところ、インパルス応答の期間は、2.7m秒であった。従って、デシメーションフィルター4の出力、すなわち、隣り合う2つのサンプリングタイミングの間隔T(図6参照)が1m秒の場合、インパルス応答は、2点または3点しか計測に利用されない。これにより、演算量を減少させることができ、これによって、回路規模を小さくすることができ、消費電力を低減することができる。
【0044】
乗算部43は、FDSM2の出力値、すなわち測定値Siと、インパルス応答の値との積を算出する(求める)機能を有している。
積算部44は、測定値とインパルス応答の値との積を積算する機能、すなわち、測定値とインパルス応答の値との積の積算値を算出する(求める)機能を有している。また、積算部44は、積算値等の各種の情報を記憶する記憶部(図示せず)を有している。
【0045】
次に、周波数比測定装置1の動作について説明する。
図1に示すように、FDSM2からは、基準信号と被測定信号の周波数比に対応する測定値を示す信号(以下、「測定値Si」と言う)が出力される。測定値Siは、デシメーションフィルター4の乗算部43に入力される。
【0046】
また、アップカウンター3は、基準信号の立ち上がりエッジをカウントし、そのカウント値を、測定タイミング、すなわち、タイムスタンプtiとして出力する。タイムスタンプtiは、デシメーションフィルター4の時間算出部41に入力される。なお、これに限らず、例えば、被測定信号の立ち上がりエッジをカウントし、そのカウント値をタイムスタンプtiとして出力してもよい。
【0047】
このように、測定タイミングは、時間算出部41に、タイムスタンプ(ti)として入力される。これにより、適確に絶対時間の情報を得ることができる。
【0048】
また、測定タイミング(タイムスタンプti)の間隔は、一定である。これにより、さらに測定精度を向上させることができる。
【0049】
次に、周波数比測定装置1のデシメーションフィルター4の動作について説明する。なお、ここでは、理解を容易にするため、タイムスタンプtiとして、タイムスタンプt1、t2、t3を例に挙げ、時間riとして、時間r11、r12、r21、r22、r31を例に挙げ、サンプリングタイミングとして、サンプリングタイミングP1、P2を例に挙げて説明する。
【0050】
図2図6に示すように、デシメーションフィルター4では、時間算出部41は、図6中の最初の測定タイミング(タイムスタンプt1)において、サンプリングタイミングP1におけるタイムスタンプから現在の測定タイミングのタイムスタンプt1を減算し、現在の測定タイミングからサンプリングタイミングP1までの時間r11を算出する。また、時間算出部41は、同様にして、現在の測定タイミングからサンプリングタイミングP2までの時間r12を算出する。時間r11、r12は、時間算出部41から出力され、インパルス応答算出部42に入力される。
【0051】
また、時間算出部41は、図6中の2番目の測定タイミング(タイムスタンプt2)において、サンプリングタイミングP1におけるタイムスタンプから現在の測定タイミングのタイムスタンプt2を減算し、現在の測定タイミングからサンプリングタイミングP1までの時間r21を算出する。また、時間算出部41は、同様にして、現在の測定タイミングからサンプリングタイミングP2までの時間r22を算出する。また、時間算出部41は、同様にして、現在の測定タイミングからサンプリングタイミングP3までの時間r23を算出する。時間r21、r22、r23は、時間算出部41から出力され、インパルス応答算出部42に入力される。
【0052】
次に、インパルス応答算出部42は、前記(1)式、(2)式、(3)式のうちから対応する式を用いてインパルス応答の値F(r11)、F(r12)、F(r21)、F(r22)、F(r22)を算出する。インパルス応答の値F(r11)、F(r12)、F(r21)、F(r22)、F(r23)は、インパルス応答算出部42から出力され、乗算部43に入力される。
【0053】
次に、乗算部43は、測定値Siとインパルス応答の値F(ri)との積、すなわち、Si・F(ri)を算出する。測定値Siとしては、インパルス応答の値F(r11)、F(r12)については、図6中の最初の測定タイミング(タイムスタンプt1)における測定値を用い、インパルス応答の値F(r21)、F(r22)、F(r23)については、図6中の2番目の測定タイミング(タイムスタンプt2)における測定値を用いる。各Si・F(ri)は、乗算部43から出力され、積算部44に入力される。
【0054】
次に、積算部44は、Si・F(r11)と、Si・F(r21)とを積算し、積算値Σ1を求める。この積算値Σ1は、タイムスタンプ(ti)がサンプリングタイミングP1と一致した時またはタイムスタンプ(ti)がサンプリングタイミングP1を超えた後、所定のタイミングで、積算部44から出力される。そして、積算値Σ1は、タイムスタンプ(ti)がサンプリングタイミングP1と一致した時またはその後、リセットされる。なお、前記積算は、測定タイミングがサンプリングタイミングP1を超える1つ前の測定タイミングまで行う。
【0055】
また、積算部44は、同様に、Si・F(r12)と、Si・F(r22)と、Si・F(r31)とを積算し、積算値Σ2を求める。この積算値Σ2は、タイムスタンプ(ti)がサンプリングタイミングP2と一致した時またはタイムスタンプ(ti)がサンプリングタイミングP2を超えた後、所定のタイミングで、積算部44から出力される。そして、積算値Σ2は、タイムスタンプ(ti)がサンプリングタイミングP2と一致した時またはその後、リセットされる。なお、前記積算は、測定タイミングがサンプリングタイミングP2を超える1つ前の測定タイミングまで行う。
【0056】
このように、積算部44は、タイムスタンプ(ti)がサンプリングタイミングと一致した時またはタイムスタンプ(ti)がサンプリングタイミングを超えた後で、積算値を出力し、積算値をリセットする。例えば、サンプリングタイミングがP1の場合は、積算部44は、タイムスタンプ(ti)が示す現在の時間がサンプリングタイミングP1と一致した時またはサンプリングタイミングP1を超えた後(例えば、タイムスタンプt3)で、積算値Σ1を出力する。これにより、測定タイミングがサンプリングタイミングを超える1つ前の測定タイミングまで積算を行うことが可能になる。
【0057】
また、積算部44は、測定タイミング(タイムスタンプti)がサンプリングタイミング(例えば、P1)を超える1つ前の測定タイミング(例えば、タイムスタンプt2)まで積算を行う。これにより、漏れや重複なく前記積算を行うことが可能となり、測定精度を向上させることができる。
【0058】
次に、前記デシメーションフィルター4の動作を図7に示すフローチャートに基づいて別の角度から説明する。
図7に示すように、まず、積算部44は、積算値として、初期値を格納する(ステップS101)。
次いで、現在の測定タイミングの測定値Siおよびタイムスタンプtiを取得する(ステップS102)。
【0059】
次いで、時間算出部41は、現在の測定タイミングから対応するサンプリングタイミングまでの時間riを算出する(ステップS103)。
次いで、インパルス応答算出部42は、前記(1)式、(2)式、(3)式のうちから対応する式を用いてインパルス応答の値F(ri)を算出する(ステップS104)。
次いで、現在の測定タイミングのタイムスタンプtiがサンプリングタイミングを超えているか否かを判断し(ステップS105)、超えていないと判断した場合は、乗算部43は、測定値Siとインパルス応答の値F(ri)との積、すなわち、Si・F(ri)を算出し、積算部44は、Si・F(ri)を積算し、積算値を求める(ステップS107)。
【0060】
一方、ステップS105において、現在の測定タイミングのタイムスタンプtiがサンプリングタイミングを超えていると判断した場合は、積算部44は、積算値を出力し、積算値をリセットする(ステップS106)。次いで、乗算部43は、測定値Siとインパルス応答の値F(ri)との積、すなわち、Si・F(ri)を算出し、積算部44は、Si・F(ri)を積算し、積算値を求める(ステップS107)。
次いで、測定が終了したか否かを判断し(ステップS108)、測定が終了していないと判断した場合は、ステップS102に戻り、再度、ステップS102以降を実行する。一方、ステップS108において、測定が終了したと判断した場合は、動作を停止する。
【0061】
このような周波数比測定装置1は、前述した各部に対応する機能を実現するハードウェアで構成することが可能である。また、周波数比測定装置1は、前述した各部に対応する機能を実現するプログラムやモジュール等により、ソフトウェア的に構成することも可能である。また、周波数比測定装置1は、前述した各部に対応する機能を実現するハードウェアとソフトウェアとを組み合わせて構成することも可能である。
【0062】
以上説明したように、周波数比測定装置1によれば、デシメーションフィルター4により、FDSM2から出力される信号に含まれるノイズ成分を除去または低減することができ、測定精度を向上させることができる。この場合、複数段の移動平均フィルターで構成する場合と同等の測定精度を得ることができ、インパルス応答波形を設計すれば、所望のフィルター特性を実現することもできる。
【0063】
また、フィルターとしてデシメーションフィルター4を設けることにより、最終的に必要となるサンプリング周波数で畳み込み積分を実行すればよいので、演算量を減少させることができ、これにより、回路規模を小さくすることができ、消費電力を低減することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、周波数比計測部としてFDSM2が1つ設けられているが、これに限らず、例えば、FDSM2を複数設けてもよい。この場合は、例えば、各FDSM2は、並列に接続され、また、被測定信号について、各FDSM2に同相もしくは互いに位相の異なる被測定信号が入力される。または、基準信号について、各FDSM2に同相もしくは互いに位相の異なる基準信号が入力されるように構成してもよい。または、被測定信号について、各FDSM2に同相もしくは互いに位相の異なる被測定信号が入力され、基準信号について、各FDSM2に同相もしくは互いに位相の異なる基準信号が入力されるように構成してもよい。これにより、各FDSM2の出力信号に重畳されるアイドルトーンを時間的に分散させることができる。すなわち、アイドルトーン等の量子化雑音の影響を抑制することができ、測定精度を向上させることができる。
【0065】
<物理量センサーの実施形態>
図8は、本発明の物理量センサーの1例である加速度センサーの実施形態における検出部の内部構造を示す図である。図9は、図8中のA−A線での断面図である。
以下、物理量センサーの1例である加速度センサーの実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0066】
図8および図9に示すように、本実施形態の加速度センサー100(物理量センサー)は、物理量(振動に関する物理量)の1例である加速度を検出する検出部200と、検出部200から出力された被測定信号が入力される周波数比測定装置1(測定装置)とを備えている。検出部200と周波数比測定装置1とは電気的に接続されている。すなわち、検出部200の出力が、周波数比測定装置1の被測定信号として周波数比測定装置1に入力される。周波数比測定装置1は、検出部200に内蔵されていてもよく、また、外付けであってもよい。なお、周波数比測定装置1については、既に図1図2等に基づいて説明したので、その説明は省略する。
【0067】
検出部200は、平板状のベース部210と、ベース部210に継ぎ手部211を介して接続された略矩形平板状の可動部212と、ベース部210と可動部212とに掛け渡された物理量検出素子の1例である加速度検出素子213と、少なくとも上記各構成要素を内部に収納するパッケージ220とを備えている。
【0068】
この検出部200は、外部端子227、228、内部端子224、225、外部接続端子214e、214f、接続端子210b、210c等を経由して加速度検出素子213の励振電極に印加される駆動信号によって、加速度検出素子213の振動梁213a、213bが所定の周波数で発振(共振)する。そして、検出部200は、加わる加速度に応じて変化する加速度検出素子213の共振周波数を被測定信号(検出信号)として出力する。
この被測定信号は、周波数比測定装置1に入力され、周波数比測定装置1は、前記実施形態で説明したように動作する。
【0069】
また、検出部200の数は、本実施形態では1つであるが、これに限らず、例えば、2つ、または3つでもよい。検出部200を3つ設け、各検出部200の検出軸を互いに直交(交差)させることにより、互いに直交する3つの検出軸のそれぞれの軸方向の加速度を検出することが可能である。
【0070】
以上のような加速度センサー100によっても、その加速度センサー100が備える周波数比測定装置1は、前述した実施形態と同様の効果を発揮することができる。これにより、加速度センサー100は、加速度を精度良く検出することができる。
【0071】
以上、本発明のデシメーションフィルター、測定装置および物理量センサーを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0072】
また、前記実施形態では、測定装置として周波数比測定装置を例に挙げて説明したが、本発明では、測定装置は、これに限定されず、デシメーションフィルターを設けることが可能なあらゆる測定装置に適用可能である。具体例としては、例えば、ADコンバーター等が挙げられる。
【0073】
また、前記実施形態では、物理量センサーとして、加速度センサーを例に挙げて説明したが、本発明では、物理量センサーは、物理量の変化を周波数変化として検出することが可能なものであれば、これに限定されず、この他、例えば、質量センサー、超音波センサー、角加速度センサー、容量センサー等が挙げられる。
【0074】
また、本発明の物理量センサーは、例えば、傾斜計、地震計、ナビゲーション装置、姿勢制御装置、ゲームコントローラー、携帯電話、スマートフォン、デジタルスチルカメラ等の各種の電子機器や、自動車等の各種の移動体等に適用することが可能である。すなわち、本発明では、本発明の物理量センサーを備えた電子機器、本発明の物理量センサーを備えた移動体等を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…周波数比測定装置、2…FDSM(周波数デルタシグマ変調部)、3…アップカウンター、4…デシメーションフィルター、21…アップカウンター、22…第1ラッチ、23…第2ラッチ、24…減算器、25…排他的論理和回路、41…時間算出部、42…インパルス応答算出部、43…乗算部、44…積算部、100…加速度センサー、200…検出部、210…ベース部、210b…接続端子、210c…接続端子、211…継ぎ手部、212…可動部、213…加速度検出素子、213a…振動梁、213b…振動梁、214e…外部接続端子、214f…外部接続端子、220…パッケージ、224…内部端子、225…内部端子、227…外部端子、228…外部端子、S101〜S108…ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9