(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加振装置は、前記固定端縁の振幅がゼロでかつ前記自由端縁の振幅が最大となるように、前記突設部材に振動を加える位置および前記突設部材に加える振動の周波数が設定されている
請求項6〜8のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、各実施形態において共通の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態の画像形成装置1の全体構成を示す概略図であり、電子写真方式の画像形成装置1を前面(正面)から見た構成図である。
図1に示す画像形成装置1は、筐体10の上面部分に画像読取部11および操作部13を備えている。筐体10の内部には、画像読取部11側に、制御部15、画像形成部20、および転写部30が設けられ、さらにこれらの下部に定着部40および用紙供給部50が順に設けられている。また画像形成部20に近接する位置には、以降の実施形態に特徴的な加振装置100が設けられている。これらの各部材の構成は、次のようである。
【0011】
<画像読取部11>
画像読取部11は、その上面で構成される原稿台11aに載置された原稿の画像を読み取って、画像データを生成する。なお、本実施形態において画像データは、画像読取部11で生成されるデータに限定されず、画像形成装置に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置などの外部装置から受信したものであってもよい。
【0012】
<操作部13>
操作部13は、画像形成装置1の本体上部に設置され、この操作部13から画像形成を行うに際しての記録紙Pの種類、紙幅、および枚数等を設定できる。
【0013】
<制御部15>
制御部15は、画像形成装置1の各部を制御する。制御部15は、ここでの図示を省略したCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を備え、画像形成装置用の各種処理プログラムに従って各種動作を行う。
【0014】
<画像形成部20>
画像形成部20は、トナー像を形成するためのものであり、画像形成装置1は、例えばイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成するための4つの画像形成部20を有する。各画像形成部20は、それぞれが感光体21と、感光体21の周囲に配置された現像装置23と、感光体21のクリーニング部25とを備え、さらにここでの図示を省略した帯電部および露光部を備えている。
【0015】
このうち感光体21は、像担持体の一例であって、駆動モーターによって回転する感光体ドラムである。この感光体21は、帯電部(図示省略)によって一様に帯電されたドラム状の側周表面に、露光部(図示省略)による露光走査によって静電潜像が形成され、この静電潜像に対してトナーを吸着させることによりトナー像が形成される。なお、露光部による露光走査は、例えば画像読取部11で読み取られた画像データ、または外部装置から受信した画像データに基づいて行われる。
【0016】
また現像装置23は、帯電部および露光部よりも感光体21の回転方向下流側で、かつクリーニング部25の上流側の現像ニップにおいて、感光体21に対して帯電させたトナーを供給し、感光体21の側周表面にトナー像を形成する。このような現像装置23の構成は、次に詳細に説明する。クリーニング部25は、帯電部および露光部よりも感光体21の回転方向上流側に配置され、感光体21の側周表面に静電吸着されたトナーをかき落として収集する。
【0017】
図2は、第1実施形態の画像形成装置1の特徴部を示す要部構成図であり、感光体21と、現像装置23と、後に詳細を説明する加振装置100の構成を説明する図である。この図に示すように、現像装置23は、ハウジング23a、ハウジング23a内に設けられたトナー供給部材23bを備えている。
【0018】
ハウジング23aは、トナー2aをキャリア2bに保持させた現像剤2を収容する筐体であって、感光体21とトナー供給部材23bとに近接して配置された構成部材の一例である。このようなハウジング23aは、感光体21の側周表面に対向して配置された側壁開口23aaを有し、感光体21に沿って配置される。
【0019】
またこのハウジング23aは、感光体21に沿って配置された側壁開口23aaの端縁のうち、感光体21の回転方向の下流側に位置する縁部から、感光体21側に向かって突出させた突設部材として上蓋24を備えている。この上蓋24は、感光体21に沿った1辺を固定端縁Aとし、固定端縁Aのみにおいてハウジング23aの本体に固定されている。また上蓋24は、固定端縁Aから突出した先端が感光体21に沿って配置された自由端縁Bとなっており、固定端縁Aに対して自由端縁Bが最も大きく振動する板バネ状に形成されている。
【0020】
以上のような上蓋24は、ハウジング23a内に配置されたトナー供給部材23bに沿う状態で、固定端縁Aと自由端縁Bとの間で屈曲した形状を有していてもよい。なお、自由端縁Bを有する板バネ状の上蓋24と、ハウジング23aの本体との隙間は、上蓋24の振動が妨げられることのないように、例えば発砲ウレタンのような弾性変形する材料を挟持させることによってシールされていることとする。
【0021】
以上のような上蓋24は、固定端縁Aと自由端縁Bとの間に、以降に説明する加振装置100の加振部材102によって振動が加えられる力点Cが設定される。すなわちこの上蓋24は、力点Cに対して加振部材102によって振動を加えることにより、固定端縁Aを支点として自由端縁Bが作用点として大きく振動する構成となっている。
【0022】
トナー供給部材23bは、いわゆる現像ローラーであって、ハウジング23aの側壁開口23aaに近接した位置において、上蓋24を含むハウジング23aの内部に収容されている。このトナー供給部材23bは、ハウジング23a内において感光体21と平行に設けられたものであり、感光体21の側周表面に近接して配置され、感光体21に対して順方向または逆方向に回転可能に設けられている。このトナー供給部材23bは、トナー2aを保持した現像剤2を表面に吸着させ、吸着させた現像剤2を回転によってハウジング23aの側壁開口に運搬する構成となっている。
【0023】
以上のような現像装置23は、トナー供給部材23bによって感光体21に現像剤2を供給し、露光によって形成された感光体21の静電線像に、負に帯電したトナー2aを吸着させてトナー像を形成する。
【0024】
<転写部30>
図1に戻り、転写部30は、画像形成部20と並列して配置されている。この転写部30は、回転する無端ベルトとして構成された中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31に内接された複数のローラー33a〜33dおよび一次転写部35とを備えている。また転写部30は、二次転写ローラー37、除電ローラー39、およびクリーニング部25’を備えている。
【0025】
このうち中間転写ベルト31は、複数のローラー33a〜33dに掛け渡され、画像形成部20の各感光体21と逆方向に回転し、感光体21の全てに順次接触する状態で配置されている。
【0026】
一次転写部35は、中間転写ベルト31の内周側で、各画像形成部20の感光体21と対向するそれぞれの位置に、各感光体21との間に、移動する中間転写ベルト31を挟持する状態で配置されている。これらの一次転写部35は、トナーと反対の極性の電圧が印加され、これにより感光体21上に付着した各色のトナーを中間転写ベルト31上に順次に転写させてカラー画像を形成する。
【0027】
また二次転写ローラー37は、中間転写ベルト31の外周側において、1つのローラー33cとの間に中間転写ベルト31を挟持する状態で配置されている。二次転写ローラー37とローラー33cとが接触するニップ部は、中間転写ベルト31の外周面上に形成されたトナー画像を、以降に説明する用紙供給部50から搬送された記録紙Pに転写する転写位置となる。
【0028】
さらに除電ローラー39は、中間転写ベルト31の回転方向おける二次転写ローラー37の下流側で、かつ一次転写部35の上流側において、中間転写ベルト31を挟持する状態で設けられ、中間転写ベルト31の電荷を除去する。
【0029】
またクリーニング部25’は、除電ローラー39と一次転写部35との間における中間転写ベルト31の外周側において、1つのローラー33aに対して対向する位置に設けられ、中間転写ベルト31に形成されたカラー画像を構成するトナーをかき落とす。
【0030】
<定着部40>
定着部40は、次に説明する用紙供給部50から搬送された記録紙Pの搬送方向に対して、転写部30における二次転写ローラー37の下流側に配置されている。この定着部40は、二次転写ローラー37から供給された記録紙Pを加熱した状態でニップして搬送し、記録紙Pに転写されたトナー像を記録紙Pに定着させる。また、トナー像を定着させた記録紙Pを筐体10の外部に排出する。
【0031】
<用紙供給部50>
用紙供給部50は、転写部30における二次転写ローラー37に近接して配置されている。この用紙供給部50は、記録紙Pを収納するカセット51と、カセット51に収納された記録紙Pを送り出す送り出しローラー53、送り出しローラー53で送り出された記録紙Pを搬送する搬送ローラー55とを備えている。そして搬送ローラー55により、二次転写ローラー37とローラー33cとの間における中間転写ベルト31の外周側に、中間転写ベルト31と共に記録紙Pを挟持させる。
【0032】
<加振装置100>
図1および
図2に示した加振装置100は、現像装置23のハウジング23aに設けた上蓋24に対して振動を加えるためのものである。この加振装置100は、振動発生器101、加振部材102、および制御部103を備えている。これらの構成要素は次のようである。
【0033】
[振動発生器101]
振動発生器101は、例えばアクチュエーターであって、この振動発生器101から突出して設けられた加振部材102を、その突出方向に振動させる。このような振動発生器101は、周期的な振動を発振するものであってもよいし、1回の打撃による振動を加えるものであってもよい。
【0034】
このような振動発生器101は、一例として周波数40kHz、振幅5μmの振動を発生させるものであることとする。また振動発生器101は、振動の周波数および振幅が可変のものであってもよく、例えば周波数が10kHz〜300kHzの間で制御可能であり、振幅が1μm〜10μmの間で制御可能なものである。
【0035】
[加振部材102]
加振部材102は、振動発生器101から突出して設けられた長尺の板状部材であって、振動発生器101で発生させた振動を上蓋24に伝える。
【0036】
図3は、第1実施形態の画像形成装置の特徴部を示す要部斜視図である。
図3および先の
図2に示すように、加振装置100の加振部材102は、上蓋24の配置方向、すなわち感光体21の配置方向に沿って配置されている。また加振部材102は、上蓋24に対して略垂直をなして配置され、その先端102aが上蓋24の両端部にわたって上蓋24に対して接触させた状態または近接させた状態で設けられている。これにより、振動発生器101によって加振部材102を突出方向に振動させた場合に、加振部材102の先端102aが、上蓋24を略垂直方向から押し圧して振動させる構成となっている。
【0037】
また加振部材102の先端102aは、上蓋24を効率的に振動させる観点から、上蓋24に対する接触面積が小さい方が好ましく、例えば板状の厚みが1mm程度であることとする。
【0038】
ここで、加振部材102の先端102aが上蓋24に接触して振動を加える位置、すなわち力点Cは、上蓋24の固定端縁Aと自由端縁Bの間において、感光体21の配置方向に沿った上蓋24の両端間にわたって設定される。これにより、加振部材102は、感光体21の配置方向に沿った上蓋24の両端間にわたって、上蓋24を押し圧して振動させる構成となっている。
【0039】
このような力点Cは、上蓋24における固定端縁Aと自由端縁Bとの間において、より固定端縁Aに近い位置であることが好ましい。これにより、力点Cに加わる振動の大きさ(振幅)と比較して、より大きな振幅で自由端縁Bを振動させることが可能となる。
【0040】
また、力点Cは、上蓋24における固定端縁Aと自由端縁Bとの間の距離の整数分の1に相当する位置であることが好ましい。これにより、振動発生器101の発振周波数を適宜に設定することにより、力点Cから加えた振動によって上蓋24を共振させることができ、さらに大きな振幅で自由端縁Bを振動させる構成とすることが可能となる。
【0041】
さらに力点Cは、自由端縁Bの振幅を共振によって最大限に大きくしつつも、固定端縁Aの振幅がゼロとなるような位置とすることが好ましい。このような力点Cは、固定端縁Aと自由端縁Bとの間の距離を1とした場合に、一例として固定端縁A側から1/3の距離、または1/7の距離、または3/7の距離に設定される。これにより、自由端縁Bの振幅を共振によって最大限に大きくしつつも、固定端縁Aの振幅をゼロとし、固定端縁Aからハウジング23aの本体さらにはハウジング23aが固定された装置本体に振動が加わることを防止できる。
【0042】
なお、以上のような加振部材102は、連続した長尺の板状部材であることに限定されず、上蓋24の必要部分のみに振動を加えるように、複数箇所に分散して設けられていてもよい。
【0043】
また以上説明した加振部材102による上蓋24の加振は、これによって振動する上蓋24が、感光体21およびトナー供給部材23bに干渉することのない範囲でその振幅が設定されることとする。
【0044】
[制御部103]
制御部103は、振動発生器101に接続され、振動発生器101の駆動を制御することにより、加振部材102から上蓋24への加振と、これによる上蓋24の振動を制御するものである。一例として、この制御部103は、非画像形成中において、すなわち感光体21の側周表面に、静電潜像が形成されておらず、またトナーが静電吸着していない状態において、上蓋24を振動させるように、振動発生器101の駆動を制御する。
【0045】
この場合、制御部103は、画像形成装置1が非画像形成中であることを示す信号が制御部15において発生した場合に、これをトリガーとして振動発生器101を発振させる。
【0046】
以上のような制御を実施するための制御部103は、ここでの図示を省略したCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を備えたものであり、CPUがROMに記憶されているプログラムを読出すことによって上記制御を実行する。この制御部103は、
図1に示した制御部15の一部として構成されている。
【0047】
<第1実施形態の効果>
以上説明した構成の画像形成装置1は、感光体21の近傍に設けられた現像装置23のハウジング23aにおける感光体21の回転方向の下流側に、固定端縁Aから自由端縁Bに向かって縁設された上蓋24を設け、この上蓋24の固定端縁Aと自由端縁Bとの間の力点Cに加振装置100によって振動を加える構成である。これにより、力点Cに加えた振動の振幅に比べてより大きな振幅で自由端縁Bを振動させることができ、ハウジング23aの一部を構成する上蓋24の先端であって、感光体21に最も近接して配置されている自由端縁B側に付着した飛散トナーを、効果的にふるい落として除去することができる。また、上蓋24の両端間にわたって加振部材102を設けたことにより、上蓋24の自由端縁Bが両端間にわたって均一に振動するため、上蓋24の両端間の全域にわたって、自由端縁B側に付着した飛散トナーを効果的にふるい落として除去することができる。
【0048】
したがって、加振による画像形成装置1へのダメージを小さく抑えつつ、より効果的に感光体21の周辺に設けられた構成部材であるハウジング23aの上蓋24に飛散トナーが堆積することを防止できる。この結果、装置の寿命を確保しつつ、飛散トナーによる散トナーによる装置内の汚染および、トナーこぼれによる飛散トナーの付着による形成画像の不具合を防止することが可能になる。
【0049】
≪第1実施形態の変形例1≫
第1実施形態の変形例1として、ここでの図示を省略した振幅検知手段を設けたものが例示される。振幅検知手段は、上蓋24の振動の振幅を検知するためのものであって、制御部103に接続されている。このような振幅検知手段は、例えば上蓋24の上部に配置される。このような振幅検知手段を有する場合、振動発生器101は、発振する振動の周波数が可変のものが用いられることとする。
【0050】
一例としてこの振幅検知手段は、固定端縁Aと自由端縁Bとの間の距離の整数分の1の位置において、上蓋24の振幅を検出する。例えば、第1実施形態で一例として説明したように、力点Cが、固定端縁Aと自由端縁Bとの間の距離を1とした場合に、固定端縁A側から1/3の距離に設定されている場合、振幅検知手段は固定端縁A側から2/3の距離において上蓋24の振幅を検出する。また第1実施形態で一例として説明したように、力点Cが、固定端縁Aと自由端縁Bとの間の距離を1とした場合に、固定端縁A側から1/7または3/7の距離に設定されている場合、振幅検知手段は、固定端縁A側から2/7、4/7、または6/7の距離において上蓋24の振幅を検出する。
【0051】
そして、制御部103は、振幅検知手段によって検知された上蓋24の振幅が0となるように、振動発生器101から発振される振動の周波数を制御する。これにより、加振装置100によって上蓋24の力点Cに加えた振動を共振させることができ、最も効果的に大きな振幅で自由端縁Bを振動させることが可能になる。しかも、固定端縁Aの振幅も0となるため、ハウジング23aの変態への振動の伝達が防止され、装置にダメージが加わることを防止できる。
【0052】
≪第1実施形態の変形例2≫
第1実施形態の変形例2として、変形例1の構成に対し、さらに振動発生器101を移動式のものとして、力点Cの移動が可能なものが例示される。このような振動発生器101は、移動手段を有し、この移動手段が制御部103に接続されている。
【0053】
この場合、制御部103は、振幅検知手段によって検知された上蓋24の振幅が0となる位置に、振動発生器101を移動させる。このような振動発生器101の移動は、振動発生器101において発振する振動の周波数毎に実施される。これにより、加振装置100によって上蓋24の力点Cに加えた振動を共振させることができ、最も効果的に大きな振幅で自由端縁Bを振動させることが可能になる。
【0054】
≪第2実施形態≫
図4は、第2実施形態の画像形成装置の特徴部を示す要部構成図であり、感光体21と、現像装置23と、後に詳細を説明する加振装置200の構成を説明する図である。また
図5は、第2実施形態の画像形成装置の特徴部を示す要部上面図であり、
図4を加振装置200側から見た図に相当する。これらの図に示す第2実施形態の画像形成装置が第1実施形態の画像形成装置と異なるところは、加振装置200としてトナー吸引装置を用いたところにある。他の構成は第1実施形態と同様である。このためここでは、トナー吸引装置を用いた加振装置200の構成を説明し、他の第1実施形態と同様の構成の説明は省略する。
【0055】
<加振装置200>
図4および
図5に示した加振装置200は、現像装置23のハウジング23aに設けた上蓋24に対して振動を加えるためのものである。特に本第2実施形態の加振装置200は、各画像形成部20における感光体21と現像装置23のハウジング23aとの隙間から漏れ出す飛散トナーを吸引して捕集するためのトナー吸引装置を用いて構成されたものである。このような加振装置200は、吸引ダクト201、振動発生器202、加振部材203、および制御部204を備えている。これらの構成要素は次のようである。
【0056】
[吸引ダクト201]
吸引ダクト201は、筒状の吸引経路であって、各画像形成部20に対応して設けられている。各吸引ダクト201は、ハウジング23aに対して感光体21の回転方向下流側に配置され、ハウジング23aに設けられた上蓋24およびハウジング23aの天面が筒状の吸引経路の一部であって、底面となるように構成されている。ただし、上蓋24は、固定端縁Aから突出した先端が感光体21に沿って配置された自由端縁Bとなっており、固定端縁Aに対して自由端縁Bが最も大きく振動する板バネ状に形成されていることは、第1実施形態と同様である。
【0057】
このような各吸引ダクト201は、一端側を吸引端201aとし、この吸引端201aが感光体21と現像装置23のハウジング23aとの隙間に近接して配置されている。一方、各吸引ダクト201の他端は、排気端201bとして画像形成部20から引き出され、共通の吸引ダクトとして統合され、統合された端部が各吸引ダクト201の共通する排気端201bとなっている。さらにこの吸引ダクト201は、以降に説明する振動発生器202で発生させた振動を加振部材203に伝達するための振動伝達部材としても機能する。
【0058】
また以上のような吸引ダクト201は、吸引ダクト201の本体とハウジング23aの天面との間の隙間からのエアー漏れを防止るために、吸引ダクト201の本体とハウジング23aの天面との間の隙間が封止されていることとする。この場合、吸引ダクト201の振動がハウジング23aに伝わることが無く、かつ上蓋24の動作に影響を与えることのないように、吸引ダクト201の本体とハウジング23aの天面との間の隙間を封止することが重要である。このような封止の一例として、吸引ダクト201の本体とハウジング23aの天面との間に、発砲ウレタン等の弾性変形する材料300を挟持させた構成が例示される。
【0059】
なお、吸引ダクト201は、以上のような構成に限定されることはなく、吸引ダクト201の振動がハウジング23aの伝わることが無く、かつ上蓋24の動作に影響を与えることのないように、吸引ダクト201とハウジング23aとの間が封止されていればよい。
【0060】
また以上のような吸引ダクト201には、排気端201bに、ここでの図示を省略したトナー捕獲用のフィルタを介して吸引ファン205が接続されている。この吸引ファン205は、各吸引ダクト201の吸引端201aから吸引した気体を、排気端201bから排気する。なお、後で説明するように、このような吸引ファン205は、駆動によって微弱な振動を発生する振動発生器として用いられてもよい。
【0061】
[振動発生器202]
振動発生器202は、例えばアクチュエーターであって、吸引ダクト201に設けられ、吸引ダクト201を振動させる。このような振動発生器202は、第1実施形態で説明した振動発生器と同様のものであって、周期的な振動を発振するものであってもよいし、1回の打撃による振動を加えるものであってもよい。
【0062】
[加振部材203]
加振部材203は、振動伝達部材である吸引ダクト201の内壁から、上蓋24に向かって突出して設けられた部材であって、振動発生器202の駆動によって発生した吸引ダクト201の振動を上蓋24に伝える。
【0063】
図6は、第2実施形態の画像形成装置の特徴部を示す要部断面図であり、
図5の上面図に示す力点Cに沿った断面に相当する図である。また
図7は、第2実施形態の画像形成装置の特徴部を示す要部斜視図であり、
図6の要部断面の斜視図に相当している。これらの
図6,
図7、および先の
図5に示すように、加振部材203は、吸引ダクト201の内壁から、上蓋24に向かって突出して設けられた枠状の部材であって、上蓋24の両端に対応して設けられている。
【0064】
加振部材203は、上蓋24の配置方向、すなわち感光体21の配置方向に沿って配置されている。また加振部材203は、上蓋24に対して略垂直をなして配置され、その先端203aが上蓋24の両端部において、上蓋24に対して接触させた状態または近接させた状態で設けられている。これにより、振動発生器202の駆動によって吸引ダクト201が振動した場合に、この吸引ダクト201から突出して設けられた加振部材203の先端203aが、上蓋24の両端を略垂直方向から押し圧して振動させる構成となっている。
【0065】
また加振部材203の先端203aは、上蓋24を効率的に振動させる観点から、上蓋24に対する接触面積が小さい方が好ましいことは第1実施形態と同様であり、例えば枠状の厚みが1mm程度であることとする。
【0066】
このような加振部材203は、枠状の部材であることにより、吸引ダクト201内における、
図7に矢印で示した気流、および排気を妨げることなく吸引ダクト201の内部に設けられている。
【0067】
ここで、加振部材203の先端203aが上蓋24に接触して押し圧する位置、すなわち力点Cは、上蓋24の固定端縁Aと自由端縁Bの間において、感光体21の配置方向に沿った上蓋24の両端に設定される。これにより、加振部材203は、感光体21の配置方向に沿った上蓋24の両端において、上蓋24を押し圧して振動させる構成となっている。
【0068】
また上蓋24の突設方向に対する力点Cの位置は、第1実施形態と同様であり、自由端縁Bよりも固定端縁Aに近い位置で有ることが好ましい。また振動発生器202による振動の周波数が一定であれば、力点Cが、自由端縁Bの振幅を共振によって最大限に大きくしつつも、固定端縁Aの振幅がゼロとなるような位置とすることが好ましい。
【0069】
なお、以上のような加振部材203の配置位置は、上蓋24aの両端部に限定されることはない。例えば各吸引ダクト201の吸引端201aにおいて、吸引力の弱い部分に対応して配置してもよく、また上蓋24aの両端間にわたって設けられていてもよい。
【0070】
また以上説明した加振部材203による上蓋24の加振は、これによって振動にする上蓋24が、感光体21およびトナー供給部材23bに干渉することのない範囲でその振幅が設定されることとする。
【0071】
[制御部204]
制御部204は、振動発生器202に接続され、振動発生器202の駆動を制御することにより、加振部材203から上蓋24への加振と、これによる上蓋24の振動を制御するものであることは、第1実施形態の加振部材と同様である。一例として、この制御部204は、非画像形成中において、すなわち感光体21の側周表面に、静電潜像が形成されておらず、またトナーが静電吸着していない状態において、上蓋24を振動させるように、振動発生器202の駆動を制御する。
【0072】
なお、振動発生器として、吸引ファン205を用いる場合であれば、この制御部204は、吸引ファン205に接続され、吸引ファン205の駆動を制御することにより、加振部材203から上蓋24への加振と、これによる上蓋24の振動を制御するものである。
【0073】
以上のような制御を実施するための制御部204は、ここでの図示を省略したCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を備えたものであり、CPUがROMに記憶されているプログラムを読出すことによって上記制御を実行する。この制御部204は、
図1に示した制御部15の一部として構成されている。
【0074】
<第2実施形態の効果>
以上説明した第2実施形態の構成であっても、感光体21の回転方向の下流側に設けた上蓋24の固定端縁Aと自由端縁Bとの間の力点Cに、トナー吸引装置を用いて構成された加振装置200によって振動を加える構成である。これにより、第1実施形態と同様に、力点Cに加えた振動の振幅に比べて、より大きな振幅で自由端縁Bを振動させることができるため、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。また特に第2実施形態の加振装置200において、振動発生器202として吸引ファン205を用いた場合であれば、特別な加振装置を用いることなく、上述の効果を得ることができる。
【0075】
なお、以上説明した各実施形態においては、トナー供給部材23bに対する感光体21の表面の移動方向の下流側において、感光体21とトナー供給部材23bとに近接して配置された構成部材として、現像装置23のハウジング23aを例示した。しかしながら、このような構成部材は、現像装置23のハウジング23aに限定されることはなく、トナー供給部材23bに対する感光体21の表面の移動方向の下流側において、現像ニップ部からの飛散トナーが付着し易い構成部材に広く適用可能である。
【0076】
このような構成部材としては、現像装置23のハウジング23aの他、ここでの図示を省略した感光体21の転写前イレーサ(除電装置)、現像装置23を画像形成装置1の装置本体に対して固定するための架台等が例示される。また以上の各実施形態においては、像担持体として感光体を例示した。しかしながら、像担持体から直接記録紙に転写する構成の場合であれば、上述した構成部材として記録紙のガイド版が例示される。このような構成部材において、特に飛散トナーが付着し易い部分である像担持体の表面に向かって突設された突設部材を、上蓋24のように板バネ状に形成し、その先端部を自由端縁とし、固定端縁と自由端縁との間に、振動を加える力点を設ければよい。