(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記自車両が前記第1走行パスから離脱すると判定された場合、離脱しないと判定した場合よりも、前記周囲車両を先行車と判定し難くすることを特徴とする請求項1に記載の先行車判定方法。
前記自車両が前記第1走行パスから離脱しないと判定された場合、離脱すると判定した場合よりも、前記周囲車両を先行車と判定し易くすることを特徴とする請求項1又は2に記載の先行車判定方法。
前記第1走行パスと前記周囲車両との間の距離が長くなるほど前記周囲車両を先行車と判定し難くすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の先行車判定方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(構成)
図2を参照する。運転支援装置10は、自車両1が走行する、自車両が走行している車線の道路形状に沿って自車両を走行させる走行支援と共に、自車両1の周囲の走行環境に基づいて自車両1を自動的に操舵させる、停止させる走行支援を行う。
さらに運転支援装置10は、走行支援として、自車両1の走行速度を設定された車速に自動的に制御するとともにセンサを用いて検出した先行車との車間距離を所定の間隔に制御する定速走行・車間距離制御(AAC:Adaptive Cruise Control)を行う。
【0010】
運転支援装置10は、自車両1の周囲車両の中から自車両1の前方を走行する先行車を選択する先行車判定装置11と、自車両と先行車との車間距離の制御を行う目標値算出部12を備える。
先行車判定装置11は、周囲車両検出センサ20と、道路形状取得装置30と、車両運動情報センサ40と、コントローラ50を備える。
【0011】
周囲車両検出センサ20は、自車両1の周囲を走行している周囲車両の位置を検出する。周囲車両検出センサ20は、例えば、自車両1に搭載されたカメラ21や、レーダ(レーザレーダであってもよい)22を備えてよい。周囲車両検出センサ20は、カメラ21やレーダ22の他に、通信機などを用いて周囲車両の位置情報を取得してもよい。
周囲車両検出センサ20は、検出した周囲車両の位置情報をコントローラ50に出力する。
【0012】
道路形状取得装置30は、例えば、地図情報に基づいて少なくとも自車両1の周囲の道路の道路形状を取得する。道路形状取得装置30は、地図データベース31及びGPS(Global Positioning System)受信器32を備えてよい。道路形状取得装置30は、GPS受信器32で受信した測位衛星信号に基づいて自車両1の現在位置を測定する。道路形状取得装置30は、自車両1の現在位置と地図データベース31の地図情報に基づいて自車両1の周囲の道路の道路形状を取得する。
道路形状取得装置30は、カメラ21やレーダ22などにより検出した周囲車両の位置情報に基づき周囲車両の走行軌跡を算出し、走行軌跡から道路形状を推定して取得してもよい。
道路形状取得装置30は、取得した道路形状の情報をコントローラ50に出力する。
【0013】
車両運動情報センサ40は、自車両1の運動を検出し、自車両1の運動に関する状態を表す車両運動情報を取得する。車両運動情報センサ40は、例えば、車速センサ41と、操舵角センサ42と、ヨーレートセンサ43を備えてよい。
車速センサ41は、自車両1の車速を検出する。
操舵角センサ42は、自車両1のステアリングホイールの操舵角を検出する。例えば操舵角センサ42は、ステアリングシャフトの回転量に基づいて操舵角を算出してよい。
ヨーレートセンサ43は、自車両1のヨーレートを検出する。
車両運動情報センサ40は、取得したこれらの車両運動情報をコントローラ50に出力する。
【0014】
コントローラ50は、周囲車両検出センサ20により検出された周囲車両の位置情報に基づいて、周囲車両の中から自車両1の前方を走行する先行車を選択する。コントローラ50は、選択した先行車の位置情報を目標値算出部12へ出力する。
目標値算出部12は、自車両1の走行速度を制御することにより、コントローラ50が選択した先行車と自車両1との間の車間距離を予め設定された間隔に保つ。より具体的には、駆動コントローラ13によるエンジンや走行モータの出力の制御目標値や、ブレーキコントローラ14によるブレーキ動作の制御目標値などを演算により求め、駆動コントローラ13やブレーキコントローラ14に出力する制御信号を生成する。
【0015】
次に、コントローラ50による機能構成例について説明する。コントローラ50は、走行パス生成部51と、予測軌道生成部52と、離脱判定部53と、先行車尤度算出部54と、先行車判定部55を備える。
コントローラ50は、プロセッサと、記憶装置の周辺部品を含んでよい。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。
【0016】
記憶装置は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置のいずれかを備えてよい。記憶装置は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。
記憶装置には、プロセッサ上で実行されて、走行パス生成部51、予測軌道生成部52、離脱判定部53、先行車尤度算出部54、及び先行車判定部55の機能をコントローラ50で実現するためのコンピュータプログラムが記憶される。
【0017】
なお、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路でコントローラ50を実現してもよい。例えば、コントローラ50はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
【0018】
走行パス生成部51は、自車両1の自動操舵や自動停止等を行う走行支援において自車両1を道路形状取得装置30が取得した道路形状に基づいて走行させるための第1走行パスを生成する。運転支援装置10は、走行パス生成部51が生成した第1走行パスに基づいて自車両1の走行支援を実行する。
例えば、走行パス生成部51は、自動操舵を行う走行支援において道路形状に沿って自車両1を走行させるために、道路形状に沿う第1走行パスを生成してよい。例えば、第1走行パスは、走行レーンの中央付近に設定されてよい。また例えば、走行パス生成部51は、自動発進を行う走行支援において道路形状に沿って自車両1が走行を開始するために、道路形状に沿う第1走行パスを生成してよい。また例えば、第1走行パスは、自車両1の自動停止を行う走行支援において、自車両1が停止位置まで道路形状に沿って走行するために、道路形状に沿う第1走行パスを生成してよい。
走行パス生成部51は、生成した第1走行パスの情報を先行車尤度算出部54へ出力する。
【0019】
予測軌道生成部52は、自車両1の走行挙動に基づいて自車両1が走行軌道を予測して自車両1の予測軌道として生成する。予測軌道は、特許請求の範囲に記載された第2走行パスの一例である。
例えば、予測軌道生成部52は、車両運動情報センサ40が取得した車両運動情報に基づいて自車両1の予測軌道を生成してよい。
例えば、予測軌道生成部52は、車速Vとヨーレートρに基づいて軌道の曲率半径|V/ρ|を算出し、ヨーレートρの符号に基づいて旋回方向を決定して、円弧状の予測軌道を算出してよい。
【0020】
また、例えば自車両1の周囲の走行環境に基づいて第1走行パスから離れる自動操舵が行われる場合(例えば障害物等を回避する等)には、周囲の走行環境に応じて自動的に生成した走行経路に基づいて自車両1の予測軌道を生成してもよい。
予測軌道生成部52は、生成した走行軌道を先行車尤度算出部54へ出力する。
【0021】
離脱判定部53は、第1走行パスに基づいて自車両1の走行支援を実行している場合において、自車両1の走行挙動に基づいて自車両1が第1走行パスから離脱するか否かを判定する。
図3を参照する。一点鎖線60は自車両1の第1走行パスを示し、破線61は自車両1の予測軌道を示す。例えば、離脱判定部53は、第1走行パス60と予測軌道61との乖離が大きい場合には、自車両1が第1走行パス60から離脱すると判定してよい。
例えば離脱判定部53は、自車両1から距離Lだけ前方の所定の位置における第1走行パス60と予測軌道61との乖離が所定値D以上である場合に、自車両1が第1走行パス60から離脱すると判定してよい。距離Lは例えば30mであってよく、所定値Dは3.5mであってよい。
【0022】
また、離脱判定部53は、第1走行パス60に追従して自車両1を走行させる自動操舵に対するオーバーライドの有無を検出し、オーバーライドが検出された場合に自車両1が第1走行パス60から離脱すると判定してよい。
例えば、離脱判定部53は、操舵角センサ42により検出されたステアリングホイールの操舵角に基づいてオーバーライドを検出してよい。
【0023】
オーバーライドには、運転者によるステアリングホイールの操舵だけでなく、例えば、自動操舵の実行の可否を指示するためのステアリングホイール以外のユーザインタフェースの使用を含む。例えばオーバーライドは、自動操舵の実行の可否を指示するボタン、レバー等の物理的インタフェースの操作であってもよい。また例えばオーバーライドは、自動操舵の実行の可否を問う「左折しますか?」などの音声ガイダンスに応答する物理的インタフェースの操作や、「はい」などの音声指示であってもよい。
【0024】
図2を参照する。離脱判定部53は、自車両1の離脱の判定結果を先行車尤度算出部54へ出力する。
先行車尤度算出部54は、周囲車両検出センサ20が検出した周囲車両の位置情報に基づいて、周囲車両の先行車らしさを示す先行車尤度λ
tを算出する。
先行車判定部55は、周囲車両についてそれぞれ算出された先行車尤度λ
tに基づいて、周囲車両の中から先行車を選択する。例えば先行車判定部55は、所定値以上の先行車尤度λ
tを有する周囲車両のうち、自車両1に最も近い周囲車両を先行車として選択してよい。また例えば、先行車判定部55は、最も大きな先行車尤度λ
tを有する周囲車両を先行車として選択してよい。先行車判定部55は、選択した先行車の位置情報を目標値算出部12へ出力する。
【0025】
ここで、先行車尤度算出部54と先行車判定部55は、自車両1が第1走行パス60から離脱すると離脱判定部53が判定したか否かに応じて、第1走行パス60の周辺を走行している周囲車両が先行車であるか否かを判定する。
例えば、先行車尤度算出部54は、自車両1が第1走行パス60から離脱すると判定された場合、自車両1が第1走行パス60から離脱しないと判定された場合に比べて、第1走行パス60の周辺を走行している周囲車両の先行車尤度λ
tを低減させる。
【0026】
この結果、自車両が第1走行パス60から離脱すると判定された場合、離脱しないと判定した場合よりも、第1走行パス60の周辺を走行している周囲車両が先行車と判定しにくくなる。反対に、自車両が第1走行パス60から離脱しないと判定された場合、離脱すると判定した場合よりも、第1走行パス60の周辺を走行している周囲車両が先行車と判定し易くなる。
【0027】
以下、先行車尤度算出部54による先行車尤度λ
tの算出方法の一例を説明する。先行車尤度算出部54は、第1走行パス60に基づく周囲車両の先行車らしさを示す走行パス尤度α1を算出する。
図4を参照する。先行車尤度算出部54は、周囲車両5を検出した位置6と第1走行パス60との間の距離が短いほど高く、長くなるほど低くなるように走行パス尤度α1を算出する。例えば走行パス尤度α1は、周囲車両5の検出位置6と第1走行パス60との間の距離が第1閾値d1以下の場合に1となり、第2閾値d2以上の場合に0となり、第1閾値d1から第2閾値d2までに1から0へ低減する。
【0028】
次の先行車尤度算出部54は、予測軌道61に基づく周囲車両の先行車らしさを示す予測軌道尤度α2を算出する。先行車尤度算出部54は、走行パス尤度α1の場合と同様に、周囲車両5を検出した位置6と予測軌道61との間の距離が短いほど高く、長くなるほど低くなるように予測軌道尤度α2を算出する。
【0029】
次に、先行車尤度算出部54は、走行パス尤度α1と予測軌道尤度α2の重み付けに基づいて先行車尤度λ
tを算出するために、走行パス尤度α1に付ける重みβ1と予測軌道尤度α2に付ける重みβ2を定める。
自車両1が第1走行パス60から離脱しないと離脱判定部53が判定した場合、先行車尤度算出部54は、重みβ1が重みβ2よりも大きくなるように重みβ1及びβ2を設定する。例えば、β1を1に設定し、β2を0.5に設定してよい。この結果、第1走行パス60に近く走行パス尤度α1が大きな周囲車両の先行車尤度λ
tの方が大きくなり易く、先行車として判定され易くなる。
【0030】
自車両1が第1走行パス60から離脱すると離脱判定部53が判定した場合、先行車尤度算出部54は、予測軌道61に応じて重みβ1が重みβ2よりも小さくなるように重みβ1及びβ2を算出する。この結果、予測軌道61に近く予測軌道尤度α2が大きな周囲車両の先行車尤度λ
tの方が大きくなり易く、第1走行パス60に近い周囲車両が先行車として判定されにくくなる。
先行車尤度算出部54は、走行パス尤度α1と重みβ1との積α1×β1と、予測軌道尤度α2と重みβ2との積α2×β2に基づいて先行車尤度λ
tを算出する。
【0031】
例えば先行車尤度算出部54は、次式のように、前回算出した先行車尤度λ
t−1と積α1×β1との平均と、先行車尤度λ
t−1と積α2×β2との平均のうち、いずれか大きい方を選択して先行車尤度λ
tを更新する。
λ
t=max((α1×β1)+λ
t−1)/2,(α2×β2)+λ
t−1)/2)
【0032】
以下、自車両1が第1走行パス60から離脱すると離脱判定部53が判定した場合の重みβ1及びβ2の算出について説明する。
図5A及び
図5Bを参照する。例えば、先行車尤度算出部54は、予測軌道61と道路形状に基づいて自車両1が車線変更を行うか否かを判定してよい。自車両1が車線変更を行うと判定された場合、先行車尤度算出部54は、自車両1と周囲車両5との間の距離に基づいて重みβ1及びβ2を算出する。
【0033】
例えば、先行車尤度算出部54は、予測軌道61が車線区分線を跨ぐ地点までの距離Lを決定し、自車両1と周囲車両5との間の距離が距離Lより小さい場合には、重みβ1及びβ2を1とする。自車両1と周囲車両5との間の距離が距離L以上の場合には、重みβ2を1とし、重みβ1を、第1走行パス60から離脱しない場合の値1よりも小さくし、重みβ2よりも小さくする。その理由は以下の通りである。
【0034】
予測軌道61が車線を跨ぐ地点より手前の範囲では、第1走行パス60も予測軌道61も第1走行パス60が設定された走行車線内にある。このため、周囲車両5の位置5aがこの範囲にある場合、この車線を走行する周囲車両5は第1走行パス60及び予測軌道61のどちらにも近く、走行パス尤度α1が高い車両も予測軌道尤度α2が高い車両も、先行車として選択できる。
予測軌道61が車線を跨ぐ地点より遠い範囲では、予測軌道61は第1走行パス60が設定された走行車線の外にある。このため、周囲車両5の位置5bがこの範囲にある場合には予測軌道61に近く予測軌道尤度α2が高い周囲車両5を先行車として選択する。これにより周囲車両5を誤って先行車として選択しないことで周囲車両5との車間距離が過度に短くなるのを防止できる。
【0035】
図6A及び
図6Bを参照する。自車両1が車線変更を行うと判定された場合、先行車尤度算出部54は、周囲車両5と第1走行パス60との間の距離に基づいて重みβ1及びβ2を算出してもよい。例えば、周囲車両5と第1走行パス60との間の距離がDより小さい場合には重みβ1及びβ2を1とする。周囲車両5と第1走行パス60との間の距離がD以上の場合には、重みβ2を1とし、重みβ1を、第1走行パス60から離脱しない場合の値1よりも小さくし、重みβ2よりも小さくする。
【0036】
図7A及び
図7Bを参照する。例えば、先行車尤度算出部54は、地図情報と、自車両1の操舵角に基づいて、自車両1が交差点で曲がるか否かを判定してよい。自車両1が交差点で曲がると判定された場合、先行車尤度算出部54は、重みβ2を1とし、重みβ1を、第1走行パス60から離脱しない場合の値1よりも小さくし、重みβ2よりも小さくする。
これにより、例えば
図7Aに示すように、走行支援を実行するための道路構造に基づいた第1走行パスが交差点で自車両前方方向に生成されている状態で、交差点での渋滞を回避するために交差点を曲がるようなオーバーライドが実施された場合に、第1走行パス60の周囲に存在する周囲車両5が先行車として選択されにくくなる。これにより周囲車両5を誤って先行車として選択することによる自車両1の減速又は停止を防止できる。
尚、本実施形態においては、第1走行パスは走行支援を実行するためのものであり、周囲車両5の方向に第1走行パス60が生成されている場合は周囲車両5が先行車として選択されにくくなる。この場合、右左折方向も道路構造に沿っているが、直進から右折に変更される前(車両挙動により第1走行パスから離脱すると判定される前)に、走行支援を実行するために生成された軌跡でないため、右左折方向の軌跡は第1走行パスとはならない。また、本実施形態では、右折の方向に第1走行パスが生成されている場合、右折の方向に渋滞が発生して、その渋滞を回避するために交差点を直進するようなオーバーライドが実施された場合、第1走行パスが生成されている右折方向の周囲車両5を先行車として選択されにくくすることができる。この場合、直進方向も道路構造に沿っているが、右折から直進に変更される前(車両挙動により第1走行パスから離脱すると判定される前)に、走行支援を実行するために生成された軌跡でないため、直進方向の軌跡は第1走行パスとはならない。
【0037】
図8A及び
図8Bを参照する。例えば、先行車尤度算出部54は、自車両1が駐車車両5を回避しようとしているか否かを判定してよい。先行車尤度算出部54は、周囲車両検出センサ20による周囲車両の検出結果と、車両運動情報とに基づいて自車両1が駐車車両5を回避しようとしているか否かを判定してよい。また、先行車尤度算出部54は、駐車車両5を回避する自動操舵が実行されるか否かに応じて、自車両1が駐車車両5を回避しようとしているか否かを判定してよい。
【0038】
自車両1が駐車車両5を回避しようとしていると判定された場合、先行車尤度算出部54は、例えば、駐車車両5を回避する円弧状の走行経路62を算出し、走行経路62を近似する円弧が第1走行パス60と交差する地点までの距離Lを決定する。
距離L/2となる地点の手前の範囲では、距離L/2となる地点から遠いほど、予測軌道61を走行する自車両1の進行方向が第1走行パス60から遠ざかる。このため、自車両1と周囲車両5との間の距離が距離L/2より短い場合、重みβ1を、第1走行パス60から離脱しない場合の値1よりも小さくし、自車両1とが周囲車両5が近いほど重みβ1を小さくする。重みβ2は1に設定される。
【0039】
一方で、距離L/2となる地点より先の範囲については、駐車車両5の回避後に自車両1が元の車線に戻る場合と、それとも駐車車両5の回避のために移った車線をそのまま走行し続ける場合が考えられる。このため、重みβ1は第1走行パス60から離脱しない場合の値1より小さい一定の値に設定される。
これにより、駐車車両5を誤って先行車として選択することによる自車両1の減速又は停止を防止できる。
【0040】
(動作)
次に、先行車判定装置11の動作を説明する。
図9を参照する。ステップS1において周囲車両検出センサ20は、自車両1の周囲を走行している周囲車両の位置を検出する。
ステップS2において道路形状取得装置30は、自車両1の周囲の道路の道路形状を取得する。
【0041】
ステップS3において走行パス生成部51は、第1走行パスを生成する。運転支援装置10は、第1走行パスに基づいて自車両1の走行支援を実行する。
ステップS4において車両運動情報センサ40は、自車両1の運動に関する状態を表す車両運動情報を取得する。
ステップS5において予測軌道生成部52は、自車両1が走行軌道を予測して自車両1の予測軌道として生成する。
【0042】
ステップS6において先行車尤度算出部54は、走行パス尤度α1を算出する。
ステップS7において先行車尤度算出部54は、予測軌道尤度α2を算出する。
ステップS8において離脱判定部53は、自車両1が第1走行パスから離脱するか否かを判定する。自車両1が第1走行パスから離脱する場合(ステップS8:Y)に処理はステップS10へ進む。自車両1が第1走行パスから離脱しない場合(ステップS8:N)に処理はステップS9へ進む。
【0043】
ステップS9において先行車尤度算出部54は、重みβ1が重みβ2よりも大きくなるように重みβ1及びβ2を設定する。その後に処理はステップS11へ進む。
ステップS10において先行車尤度算出部54は、重みβ1が重みβ2よりも小さくなるように予測軌道61に応じて重みβ1及びβ2を算出する。その後に処理はステップS11へ進む。
ステップS11において先行車尤度算出部54は、走行パス尤度α1と重みβ1との積α1×β1と、予測軌道尤度α2と重みβ2との積α2×β2に基づいて先行車尤度λ
tを更新する。
【0044】
ステップS12において先行車判定部55は、周囲車両についてそれぞれ算出された先行車尤度λtに基づいて、周囲車両のいずれかを選択し先行車として選択する。
ステップS13においてコントローラ50は、イグニッションスイッチ(IGN)がオフになったか否かを判定する。イグニッションスイッチがオフになった場合(ステップS13:Y)に処理は終了する。イグニッションスイッチがオフでない場合(ステップS13:N)に処理はステップS1へ戻る。
【0045】
(実施形態の効果)
(1)道路形状取得装置30は、自車両1の周囲の道路の道路形状を取得する。走行パス生成部51は、走行支援により自車両1を道路形状に基づいて走行させるための第1走行パス60を生成する。離脱判定部53は、第1走行パスに基づいて自車両1の走行支援を実行している場合において、自車両1の走行挙動に基づいて自車両1が第1走行パス60から離脱するか否かを判定する。先行車尤度算出部54と先行車判定部55は、自車両1が第1走行パス60から離脱するか否かに応じて、第1走行パス60の周辺を走行している周囲車両5が自車両1の先行車であるか否かを判定する。
これにより、自車両1が第1走行パス60から離脱したか否かに基づいて先行車判定方法を変えるので、車線変更や交差点右左折、駐車車両回避等を行った場合でも精度よく先行車を選択できる。このため、走行支援を実行するために道路形状に基づいて設定された軌道で走行する場合の先行車を選択する精度を向上できる。
【0046】
(2)先行車尤度算出部54と先行車判定部55は、自車両1が第1走行パス60から離脱すると判定された場合、離脱しないと判定した場合よりも、周囲車両5を先行車と判定し難くする。また、先行車尤度算出部54と先行車判定部55は、自車両が第1走行パスから離脱しないと判定された場合、離脱すると判定した場合よりも、周囲車両5を先行車と判定し易くする。
これにより、周囲車両5が自車両1の先行車であるか否かを正確に判定できるようになる。
【0047】
(3)先行車尤度算出部54と先行車判定部55は、第1走行パス60と周囲車両5との間の距離が長くなるほど周囲車両を先行車と判定し難くする。
これにより、自車両が走行する自車線上の車両のうち、第1走行パス60に近い車両は先行車として判定されやすく、第1走行パス60から遠い車両は先行車として判定されにくくなるので正しく先行車を選択することができる。
【0048】
(4)先行車尤度算出部54と先行車判定部55は、自車両1と周囲車両5との間の距離に応じて周囲車両5を先行車と判定し難くする。
これにより、例えば自車両1が車線変更する場合には、自車両が走行する自車線上の車両のうち、自車両に近い車両は先行車として判定されやすく、自車両から遠い車両は先行車として判定されにくくなるので正しく先行車を選択することができる。
【0049】
(5)予測軌道生成部52は、自車両1の走行挙動に基づいて自車両1の走行が予想される予測軌道61を算出する。離脱判定部53は、第1走行パス60と予測軌道61との間の乖離が大きいほど、自車両1が第1走行パス60から離脱すると判定する。この結果、先行車尤度算出部54と先行車判定部55は、第1走行パス60と予測軌道61との間の乖離が大きいほど、周囲車両を先行車と判定し難くする。
これにより、第1走行パス60からの自車両1の離脱を正しく判定することができ、先行車を正しく選択することができる。
【0050】
(6)運転支援装置10は、第1走行パス60を追従するように自車両1を自動操舵する。離脱判定部53は、操舵オーバーライドを検出した場合に、自車両1が第1走行パス60から離脱すると判定する。
これにより、例えば第1走行パス60を追従する自動操舵機能に対するドライバーの操舵介入によって離脱を判定するので、第1走行パス60と予測軌道61の乖離よりも早期に離脱を判定できる。このため正しい先行車を早期に選択できる。