(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、同一用紙で前記揺動部が複数回揺動動作する場合、前記揺動部の揺動方向が常に同一方向となるように、前記揺動の狙い位置及び前記画像書き込み位置をシフトする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
紙種ごと、環境ごと、画像を形成する用紙面ごと、給紙トレイごと又はその組み合わせごとに、前記揺動の狙い位置及び前記画像書き込み位置のシフト量を格納したテーブルを記憶する記憶部を備える請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0023】
[画像形成装置100の構成]
まず、本実施形態における画像形成装置100の構成について説明する。
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置100を模式的に示す構成図である。この画像形成装置100は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置100であり、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成する、いわゆる、タンデム型カラー画像形成装置である。
【0024】
画像形成装置100は、原稿読取装置SC、画像形成部10、定着装置50、画像読取部60、制御部11を主体に構成され、これらが一つの筐体内に収められている。
【0025】
原稿読取装置SCは、走査露光装置の光学系により原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、これにより、画像信号を得る。この画像信号は、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理が施された後、画像データとして制御部11に入力される。なお、制御部11に入力される画像データとしては、原稿読取装置SCで読み取ったものに限らず、例えば、通信部13により画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピューターや他の画像形成装置から受信したものであってもよい。
【0026】
画像形成部10は、4組の画像形成ユニット(画像書込部)10Y,10M,10C,10K、中間転写ベルト6、二次転写ローラー9等を備えて構成されている。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成ユニット10Y、マゼンダ(M)の画像を形成する画像形成ユニット10M、シアン(C)の画像を形成する画像形成ユニット10C、ブラック(K)の画像を形成する画像形成ユニット10Kで構成されている。
【0027】
画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Y及びその周辺に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y及びドラムクリーナー5Yで構成されている。同様に、画像形成ユニット10M,10C,10Kは、感光体ドラム1M,1C,1K及びその周辺に配置された帯電部2M,2C,2K、光書込部3M,3C,3K、現像装置4M,4C,4K及びドラムクリーナー5M,5C,5Kで構成されている。
【0028】
感光体ドラム(感光体)1Y〜1Kは、帯電部2Y〜2Kによりその表面が一様に帯電させられており、光書込部3Y〜3Kによる走査露光により、感光体ドラム1Y〜1Kには潜像が形成される。さらに、現像装置4Y〜4Kは、トナーで現像することによって感光体ドラム1Y〜1K上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラム1Y〜1K上には、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのいずれかに対応する所定色のトナー画像が形成される。感光体ドラム1Y〜1K上に形成されたトナー画像は、1次転写ローラー7Y,7M,7C,7Kにより、回転する中間転写ベルト6上の所定位置へと逐次転写される。
【0029】
中間転写ベルト6上に転写された各色よりなるトナー画像は、後述する用紙搬送部20により所定のタイミングで搬送される用紙Pに対して、二次転写ローラー9によって転写される。この二次転写ローラー9は中間転写ベルト6と圧接して配置されることによりニップ部(以下「転写ニップ部」という)を形成する圧接部材である。
【0030】
用紙搬送部20は、用紙Pの搬送経路に従って用紙Pを搬送する。用紙Pは給紙トレイ21に収容されており、当該給紙トレイ21に収容された用紙Pは、給紙部22により取り込まれ、搬送経路へと送り出される。あるいは、用紙Pは、画像形成装置100と接続された給紙装置(図示せず)が有する給紙トレイに収容されており、給紙装置が保有する用紙Pは、当該給紙装置から画像形成装置100へと供給されることで、搬送経路へと送り出される。
【0031】
この搬送経路において、転写ニップ部よりも上流側には、用紙Pを搬送する複数の搬送手段が設けられている。個々の搬送手段は、圧接された一対のローラーによって構成されており、電動モーターを主体とする駆動機構を通じて少なくとも一方のローラーが回転駆動することにより用紙Pを搬送する。また、個々の搬送手段を構成する一対のローラーは、ローラー間の状態を圧接状態と離間状態とで切り換えることができるように構成されている。
【0032】
本実施形態において、用紙Pの搬送経路の上流側から下流側にかけて、中間搬送ローラー23〜25、ループローラー26及びレジストローラー27が搬送手段として設けられている。なお、搬送手段は、一対のローラーで構成する以外にも、ベルト同士の組み合わせや、ベルト及びローラーの組み合わせといったように、一対の回転部材からなる構成を広く採用することができる。
【0033】
このような搬送経路において、給紙トレイ21又は給紙装置の給紙トレイから給紙された用紙Pは、上流側から下流側に設けられた複数の中間搬送ローラー23〜25及びループローラー26により順次搬送されて、搬送経路を進行する。用紙Pの先端がレジストローラー27へと近づくと、中間搬送ローラー23〜25及びループローラー26によって搬送される用紙Pは、回転停止状態のレジストローラー27に突き当てられ、そして、ループローラー26が所定時間だけ回転を継続することで、用紙Pにループが形成される。このループ形成の作用により、用紙Pの先端の曲がりが矯正される(スキュー補正)。
【0034】
つぎに、中間転写ベルト6が担持するトナー画像と同期するように所定のタイミングでレジストローラー27が回転を開始すると、中間搬送ローラー23〜25及びループローラー26は、圧接状態から離間状態へと切り換えられる。すなわち、ループローラー26が離間状態へと遷移してからは、用紙Pは、レジストローラー27のみによって搬送される。このレジストローラー27は、揺動部(揺動ローラー)として、用紙Pの搬送を行いながら後述する揺動処理を行い、転写ベルトとしての中間転写ベルト6と転写部としての二次転写ローラー9の転写ニップ部へと用紙Pを搬送する。
【0035】
図2は、レジストローラー27による用紙Pの揺動処理を示す説明図である。レジストローラー27は、用紙幅方向CD(用紙搬送方向(副走査方向)FDと直行する方向)に揺動可能に構成されている。このレジストローラー27には、電動モーターを主体とする駆動機構34が連結されており、当該駆動機構34によって駆動されることにより、所定のホームポジションを起点として用紙幅方向CDに移動することができる。
【0036】
レジストローラー27は、用紙Pが自身を通過する通過期間に合わせて用紙幅方向CDに沿って移動することにより、搬送される用紙Pを用紙幅方向CDに沿って移動させることができる(揺動処理)。これにより、レジストローラー27は、転写されるトナー画像の位置と整合するように、用紙幅方向CDにおける用紙Pの搬送位置を調整する。ここで、用紙幅方向CDにおいて用紙Pの側端部が通過すべき位置を揺動の狙い位置Tpと呼ぶ。この揺動の狙い位置Tpは、用紙幅方向CDにおいて、用紙Pの側端部がその位置を通過すれば、用紙Pとトナー画像との位置関係が最適となる(例えば、用紙Pの幅方向の中央とトナー画像の幅方向の中央とが一致する)と見込まれる位置であり、レジストローラー27は、用紙Pの側端部が揺動の狙い位置Tpとなるように用紙Pの用紙幅方向CDの搬送位置を調整する。
【0037】
搬送経路には、レジストセンサーSE1、位置検知センサーSE2が設けられており、これらのセンサーにおける検出結果に基づいて、制御部11によりレジストローラー27の動作が制御される。
【0038】
レジストセンサーSE1は、搬送経路においてレジストローラー27とループローラー26との間に配置されており、センサーの検出位置(レジストローラー27の所定距離だけ手前の位置)への用紙Pの先端の到達を検出する。このレジストセンサーSE1の検出結果は、レジストローラー27の回転開始タイミングの検知等に用いられる。
【0039】
位置検知センサーSE2は、用紙Pの側端部の用紙幅方向CDの位置を検知する検知部である。位置検知センサーSE2としては、例えば、複数の受光素子を用紙幅方向CDに沿って直線状に配列したリニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)などを用いることができる。この位置検知センサーSE2の検出結果は、揺動処理におけるレジストローラー27の移動量の決定や、転写ニップ部への用紙Pの先端の到達タイミング(すなわち、二次転写ローラー9へ用紙Pの先端が突入したタイミング)を把握するために用いられる。
【0040】
再び
図1に示すように、定着装置50は、トナー画像が転写された用紙P、すなわち、転写ニップ部から送り出された用紙Pに定着処理を施す装置であり、例えば、一対の定着部材(例えば一対のローラー)と、当該定着部材の一方又は双方を加熱するヒーターとで構成されている。この定着装置50は、用紙Pの搬送過程において、一対の定着部材による加圧と定着部材の有する熱との作用を通じて、用紙Pへのトナー画像の定着を行う。
【0041】
定着装置50により定着処理が施された用紙Pは、画像読取部(ICCU)60により読み取られた後、排紙ローラー28により、筐体の外部側面に取り付けられた排紙トレイ29に排出される。また、用紙Pの裏面にも画像形成を行う場合、用紙表面に対する画像形成を終えた用紙Pは、画像読取部60により読み取られた後、切換ゲート30により、下方にある反転ローラー31へと搬送される。反転ローラー31は、搬送された用紙Pの後端を挟持した後、逆送することによって用紙Pを反転させて、再給紙搬送経路に送り出す。この再給紙搬送経路へと送り出された用紙Pは、複数の再給紙用の搬送手段によって搬送され、レジストローラー27を介して転写ニップ部へと用紙Pを回帰させる。なお、排紙ローラー28、切換ゲート30、反転ローラー31及び再給紙用の搬送手段も前述した用紙搬送部20を構成する。
【0042】
画像読取部60は、例えば、リニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)、光学系、光源等を備えて構成され、トナー画像が転写された用紙Pを読み取って、得られた読取画像を制御部11に出力する。なお、本実施形態では、画像読取部60は用紙P上のトナー画像の色を測定できるものとするが、少なくとも用紙Pの領域とトナー画像の領域が認識できるものであれば特に限定されない。また、本実施形態では、画像読取部60が定着装置50の下流であって切換ゲート30により搬送経路が切り替えられる手前側に配置されているものとするが、二次転写ローラー9(転写ニップ部)の下流であって用紙Pの両面(片面ずつでも良い)を読み取り可能な位置であればその配置位置は特に限定されない。もちろん、オプション機器として画像形成装置100の下流に配置してもよい。
【0043】
図3は、本実施形態にかかる画像形成装置100の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
制御部11は、
図3に示すように、記憶部12、通信部13、操作部14、原稿読取装置SC、画像形成部10、用紙搬送部20、定着装置50、画像読取部60、レジストセンサーSE1、位置検知センサーSE2、環境センサーSE3に接続されている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。制御部11のCPUは、記憶部12に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置100各部の動作を集中制御する。
【0044】
記憶部12は、不揮発性の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等により構成され、制御部11で実行される各種プログラムの他、各部で必要なパラメータやデータ等を記憶している。
例えば、記憶部12には、揺動制御テーブル121(
図4参照)、書込制御テーブル122(
図5参照)が記憶されている。
【0045】
通信部13は、NIC(Network Interface Card)、MODEM(Modulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを備え、外部機器との接続を行う。
【0046】
操作部14は、ユーザーによって設定される種々の情報を制御部11に出力する。操作部14としては、例えば、ディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネルを用いることができる。かかる操作部14を通じて、ユーザーは、印刷条件、すなわち、用紙Pの種類(例えば、坪量、サイズ、紙質等)、使用する給紙トレイ、画像の濃度、倍率、両面印刷の有無などを設定することができる。また、ユーザーは、操作部14を通じて、ジョブの実行指令や調整モードでの動作指示を入力することができる。また、制御部11は、操作部14を制御することにより、当該操作部14を介してユーザーに種々のメッセージを表示することができる。
【0047】
環境センサーSE3は、例えば、温度センサーや湿度センサー等を備えて構成され、画像形成装置100の筐体内の温度や湿度を検知し、検知結果を制御部11に出力する。
【0048】
次に、本実施形態における画像形成装置100の動作について説明する。
本実施形態において、画像形成装置100の制御部11は、レジストローラー27の揺動の狙い位置Tp及び画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kによる画像書き込み位置(書き込みセンター)Wcをシフトする処理を行う。
【0049】
[揺動の狙い位置及び画像書き込み位置のシフト量を決定する処理]
まず、画像形成装置100では、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量を決定する処理が行われる。本実施形態において、画像形成装置100は、調整モードを有しており、調整モードにおいて、事前に(ジョブ実行前に)、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量を決定することができる。
具体的には、画像形成装置100の制御部11は、ユーザー又はサービスマンにより操作部14を介して調整モードでの動作が指示されると、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量を決定するための調整モードを開始する。ここで、シフト量を決定するには、搬送される用紙の側端部の位置のバラつきを考慮する必要がある。そこで、調整モードにおいては、制御部11は、給紙トレイ21や給紙装置の給紙トレイから所定枚数(例えば20枚)の用紙を通紙させ、各用紙の側端部の位置を位置検知センサーSE2で検知させ、その検知結果の平均値+σ(例えば3σ)を超える位置にシフトさせるよう、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量を決定する。
このように、調整モードにおいて、用紙の側端部の位置のバラつきよりも大きく揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcをシフトさせるようシフト量を決定することで、レジストローラー27の揺動方向が常に片側(同一方向)となるように調整することができる。
【0050】
なお、用紙の側端部の位置を測定する箇所(すなわち、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcをシフトする箇所)は、1点であってもよいし、複数点であってもよい。また、用紙の側端部の位置を測定する箇所は、レジストローラー27を揺動するタイミングと同じ箇所で測定するようにしてもよい。また、用紙の側端部の位置を常に測定して、用紙プロファイルを取得するようにしてもよい。
【0051】
ここで、用紙の側端部の位置のバラつきは、用紙搬送に係る条件(用紙搬送に影響を及ぼす所定の条件)により変動する。したがって、用紙の側端部の位置のバラつきの変動に合わせて、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量を、用紙搬送に係る条件ごとに変動させる必要がある。用紙搬送に係る条件とは、例えば、用紙の紙種(坪量、サイズ、紙質等)、環境(例えば、温度や湿度)、画像を形成する用紙面(表面/裏面)、及び/又は給紙トレイ等の条件である。例えば、紙種が薄紙であれば、普通紙や厚紙よりも用紙が曲がりやすいため、シフト量をより大きくする必要がある。
本実施形態では、上記の用紙搬送に係る条件ごとに、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量を格納したテーブルを記憶部12に記憶するようにしている。
図4及び
図5に、紙種ごとに揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量をそれぞれ格納したテーブル(揺動制御テーブル121、書込制御テーブル122)の一例を示す。
本実施形態では、レジストローラー27は、予め定められた複数のタイミング(揺動タイミングと呼ぶ)で揺動するよう制御されるようになっており、揺動制御テーブル121及び書込制御テーブル122には、各揺動タイミング(タイミング1〜n)で用いられる揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量がそれぞれ記憶されている。ここで、用紙Pの最適画像位置に精度良くトナー画像を書き込むためには、揺動制御テーブル121及び書込制御テーブル122において、紙種ごと、環境ごと、画像を形成する用紙面ごと、給紙トレイごと、またはこれらの組み合わせごとに、各揺動タイミング(タイミング1〜n)で用いられる揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量が格納されていることが好ましい。
なお、
図5に示す書込制御テーブル122では、揺動の狙い位置Tpから自動的に決まる画像書き込み位置Wc(用紙の用紙幅方向における中心位置)からのオフセット量を格納する構成を例示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図4に示す揺動制御テーブル121の形式と同様、画像書き込み位置Wcのシフト量を格納する構成であってもよい。
上記のように、記憶部12に揺動制御テーブル121及び書込制御テーブル122を記憶しておくことで、各条件に応じて適切にシフト量を決定することができる。
【0052】
[揺動の狙い位置及び画像書き込み位置をシフトする処理]
次に、画像形成装置100では、上記の処理で決定されたシフト量に基づいて、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcをシフトする処理を行う。
具体的には、画像形成装置100の制御部11は、レジストローラー27の揺動方向が常に片側(同一方向)となるように決定されたシフト量に基づいて、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcをシフトする。これにより、レジストローラー27の揺動方向が常に片側(同一方向)となるように調整することができる。
【0053】
従来技術では、
図6(A)に示すように、用紙Pの側端部の位置のバラつきBrにより、揺動の狙い位置Tpに対して用紙Pの側端部の位置がオーバーラップしてしまうことがあった。この場合、レジストローラー27の揺動方向が、手前側(図中下側)と奥側(図中上側)で行ったり来たりすることとなるので、制御が複雑化するという課題があった。
一方、本実施形態では、
図6(B)に示すように、揺動の狙い位置Tpを用紙端部位置のバラつきBrよりも大きくシフトする(画像書き込み位置Wcは、揺動の狙い位置Tpに合わせてシフトする)ことで、レジストローラー27を同一方向のみに揺動させることができる。これにより、レジストローラー27の揺動制御を簡易なものとすることができる。
【0054】
ところで、通常、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wc間の距離は、用紙幅の1/2である。この場合、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量は、同一となる。
しかしながら、レジストローラー27から二次転写ローラー9までは距離があるため、レジストローラー27で用紙を揺動の狙い位置Tpに合わせた場合であっても、二次転写ローラー9による転写位置において用紙の側端部の位置がずれることがあり、結果として画像がずれるケースがある。このような場合に、転写位置におけるずれを見込んで画像書き込み位置Wcのシフト量を補正するようにしてもよい。
すなわち、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
なお、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量が異なる場合は、
図4及び
図5に示すように、揺動制御テーブル121及び書込制御テーブル122をそれぞれ個別に備えるようにしてもよい。
【0055】
[同一用紙で揺動の狙い位置及び画像書き込み位置を複数回シフトする処理]
上記したレジストローラー27の揺動方向が常に同一方向となるように揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcをシフトする制御は、用紙単位で揺動動作するパターンに限らず、同一用紙でレジストローラー27が複数回揺動動作するパターンであっても、実施することができる。これは、特に、用紙が曲がっている場合又は各ローラーのアライメントのズレ等により搬送途中で用紙が曲がる場合に、同一用紙において、手前側/奥側の両方向に揺動する可能性がある点を考慮してのものである。
【0056】
具体的には、画像形成装置100の制御部11は、用紙の側端部の搬送方向先端から後端までの位置(側辺/軌跡/傾き)と交差しない位置に、揺動の狙い位置Tpをシフトする。また、画像書き込み位置Wcは、揺動の狙い位置Tpに合わせてシフトする
【0057】
従来技術では、
図7(A)に示すように、用紙Pが曲がっていると、用紙側端部の軌跡と揺動の狙い位置Tpとが交差する場合がある。この場合、例えば、用紙Pの先端側は手前側に、後端側は奥側に揺動する等、同一用紙において手前側/奥側の両方向に揺動するケースが存在する。
一方、本実施形態では、
図7(B)に示すように、用紙Pの軌跡に対して交差しない位置に、揺動の狙い位置Tpをシフトする(画像書き込み位置Wcは、揺動の狙い位置Tpに合わせてシフトする)。すなわち、従来技術と比べ、レジストローラー27をより大きく揺動させる。
これにより、用紙に副走査曲がりやバラつきがあっても、レジストローラー27を常に同一方向に揺動させることができる。
【0058】
[揺動動作のタイミング]
本実施形態の揺動動作(レジストローラー27の揺動方向が常に同一方向となるようにシフトさせた揺動の狙い位置Tpまで用紙の側端部の位置を移動させるレジストローラー27の揺動動作)を実施するタイミングは、例えば、用紙の先端が二次転写ローラー9に突入した後(すなわち、二次転写ローラー9が用紙を搬送している最中)のタイミングで実施するようにしてもよい。この場合、用紙の先端が二次転写ローラー9に突入する前は、従来の揺動動作(シフトさせる前の揺動の狙い位置Tpまで用紙の側端部の位置を移動させるレジストローラー27の揺動動作)を実施する。勿論、用紙の先端が二次転写ローラー9に突入する前であるか後であるかにかかわらず、常に本実施形態の揺動動作を実施するようにしてもよい。
【0059】
[揺動動作の具体例]
本実施形態の揺動動作は、上記したように、レジストローラー27の揺動方向が常に同一方向となるようにシフトさせた揺動の狙い位置Tpまで用紙の側端部の位置を移動させるレジストローラー27の揺動動作である。
本実施形態の揺動動作を実施する一例は、位置検知センサーSE2により用紙の側端部の位置から揺動の狙い位置Tpまでの距離を検知し、検知した距離に基づいてレジストローラー27を揺動させる動作(第1の揺動動作)である。
本実施形態の揺動動作を実施する他の例は、レジストローラー27が用紙の幅方向に揺動開始した後、位置検知センサーSE2により用紙の側端部の位置がシフトされた揺動の狙い位置Tpまで到達したか否かを検知するようにし、揺動の狙い位置Tpまで到達したことを検知した場合にレジストローラー27の揺動を停止させる動作(第2の揺動動作)である。
本実施形態では、いずれの揺動動作を実施するようにしてもよい。また、例えば、用紙の先端が二次転写ローラー9に突入する前は、第1の揺動動作を実施するようにし、用紙の先端が二次転写ローラー9に突入した後は、第2の揺動動作を実施するようにしてもよい。
【0060】
以上説明したように、画像形成装置100によれば、画像を書き込む画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kと、搬送されてくる用紙を揺動可能なレジストローラー27と、レジストローラー27の揺動方向が常に同一方向となるように、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kによる画像書き込み位置をシフトする制御部11と、を備える。具体的には、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kにより画像が書き込まれる感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kと、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kにより感光体ドラム1Y,1M,1C,1Kに書き込まれた画像を用紙に転写する二次転写ローラー9と、を備え、揺動部は、搬送されてくる用紙を二次転写ローラー9に向けて搬送する一対のローラーであって、用紙の搬送方向に直交する方向に揺動可能なレジストローラー27であり、制御部11は、レジストローラー27の揺動方向が常に同一方向となるように、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kによる画像書き込み位置をシフトする。
したがって、ローラー組み付けのガタやギアのバックラッシュ等に起因する指令値に対する実揺動量のずれや、用紙の位置(搬送)バラつき等により、レジストローラー27の揺動方向が手前側/奥側の両方向に揺動するようなケースであっても、レジストローラー27の揺動方向のバラつきを抑制することができるので、レジストローラー27の揺動制御を安定して実施することが可能となり、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれを抑制することができる。
【0061】
また、例えば、制御部11が、同一用紙でレジストローラー27が複数回揺動動作する場合、レジストローラー27の揺動方向が常に同一方向となるように、揺動の狙い位置及び画像書き込み位置をシフトすることで、同一用紙でレジストローラー27を複数回揺動動作させるケースであっても、レジストローラー27の揺動制御を安定して実施することが可能となり、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれを抑制することができる。
【0062】
具体的には、制御部11が、用紙の側端部の搬送方向先端から後端までの位置と交差しない位置に、揺動の狙い位置をシフトすることで、同一用紙でレジストローラー27を複数回揺動動作させるケースであっても、レジストローラー27の揺動制御を安定して実施することが可能となり、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれを抑制することができる。
【0063】
また、例えば、制御部11が、用紙が二次転写ローラー9に突入した後、レジストローラー27を揺動させてシフトされた揺動の狙い位置まで用紙の側端部の位置を移動させることで、用紙後端側の側端部の位置を補正することが可能となり、用紙後端側における画像位置のずれを高精度に抑制することができる。
【0064】
また、例えば、制御部11が、レジストローラー27が用紙の幅方向に揺動開始した後、位置検知センサーSE2により用紙の側端部の位置がシフトされた揺動の狙い位置まで到達したことが検知された場合に、レジストローラー27の揺動を停止させることで、転写位置においてより確実に揺動の狙い位置まで用紙の側端部の位置を移動させることが可能となり、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれをより確実に抑制することができる。
【0065】
また、例えば、所定枚数の用紙を通紙させ、位置検知センサーSE2により検知された用紙の側端部の位置に基づいて、揺動の狙い位置及び画像書き込み位置のシフト量を決定する調整モードを備えることで、ジョブの実行前に予め揺動の狙い位置及び画像書き込み位置のシフト量を最適なものに設定しておくことが可能となり、用紙の1枚目から適切にレジストローラー27の揺動制御を実施することができる。
【0066】
また、例えば、紙種ごと、環境ごと、画像を形成する用紙面ごと、給紙トレイごと又はその組み合わせごとに、揺動の狙い位置及び画像書き込み位置のシフト量を格納したテーブルを記憶する記憶部12を備えることで、揺動の狙い位置及び画像書き込み位置のシフト量をより適切なものとすることが可能となり、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれをより確実に抑制することができる。
【0067】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の好適な一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
【0068】
例えば、上記実施形態では、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcをシフトするようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、レジストローラー27の揺動方向が常に同一方向となるという条件を満たす限りにおいて、画像書き込み位置Wcのみをシフトするようにしてもよい。
上記のように、画像書き込み位置Wcのみをシフトするケースであっても、レジストローラー27の揺動方向のバラつきを抑制することができるので、レジストローラー27の揺動制御を安定して実施することが可能となり、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれを抑制することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、事前に調整モードにて揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量を決定するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、通紙した用紙(前紙)の側端部の位置を位置検知センサーSE2で検知し、その検知結果に基づいて、次に搬送される用紙(次紙)以降の揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcをシフトするようにしてもよい。これにより、次紙以降にシフト量をフィードフォワードすることができるので、リアルタイムでレジストローラー27の揺動量の調整を行うことが可能となり、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれをより確実に抑制することができる。
【0070】
また、ユーザー又はサービスマンが、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcを任意に書き換え可能に構成するようにしてもよい。
例えば、
図4及び
図5に示すように、紙種ごとに揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフト量を対応付けたテーブルを備える場合、同じ紙種条件(例えばコート紙120g/m
2)であったとしても、銘柄が異なると、用紙の側端部の位置やバラつきが変動するケースが存在する。
したがって、設定部としての操作部14において、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcを設定可能に構成し、ユーザー又はサービスマンが、操作部14を介して揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcを任意に設定可能とすることで、臨機応変にレジストローラー27の揺動量の調整を行うことが可能となり、副走査曲がりによる用紙に対する画像位置のずれをより確実に抑制することができる。
【0071】
また、上記実施形態では、用紙の側端部の位置に基づいてシフト量を決定し、揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcをシフトするようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、センサー(図示省略)により中間転写ベルト6の側端部の位置を検知するようにし、検知した中間転写ベルト6の側端部の位置に基づいて中間転写ベルト6のずれ量を算出し、当該算出したずれ量以上に揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcをシフトするようにしてもよい。すなわち、中間転写ベルト6による転写時において用紙の側端部の位置が合っていたとしても、中間転写ベルト6がずれてしまっている場合には、用紙の画像書き込み位置Wcに正確に転写されないケースが考えられる。そこで、中間転写ベルト6の片寄りに起因する転写ずれを考慮して揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcのシフトを行うことで、用紙に対する画像位置のずれを抑制することができる。この場合も、レジストローラー27の揺動方向が同一方向となるように、中間転写ベルト6のずれ量以上に揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcをシフトするようにするとよい。
【0072】
また、画像書き込み位置Wcは、中間転写ベルト6のシフト量に合わせて変動させるようにしてもよい。例えば、ステアリング制御等により中間転写ベルト6を揺動させる場合、センサー(図示省略)により中間転写ベルト6の側端部の位置を検知するようにし、検知した中間転写ベルト6の側端部の位置に基づいて画像書き込み位置Wcをシフトさせるようにしてもよい。この場合も、レジストローラー27の揺動方向が同一方向となるように、中間転写ベルト6のずれ量以上に揺動の狙い位置Tp及び画像書き込み位置Wcをシフトするようにするとよい。
【0073】
また、上記実施形態では、感光体ドラムに形成された画像を中間転写ローラーに一次転写し、中間転写ローラーから二次転写ローラーにより用紙に画像を転写するカラーの画像形成装置を例にとり説明したが、本発明は、感光体ドラムから転写ローラーにより直接用紙に画像を転写するモノクロの画像形成装置においても適用可能である。
【0074】
また、上記実施形態では、揺動ローラーがレジストローラー27である場合を例にとり説明したが、これに限定されず、例えば、レジストローラー27とは別体であってもよい。
【0075】
また、上記実施形態においては、レジストローラー27が揺動する際、用紙幅方向CDに揺動する構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。すなわち、搬送される用紙Pを用紙幅方向CDに沿って移動させることが可能であれば、用紙幅方向CD以外の方向(例えば用紙幅方向CDから5°ずれた方向)に揺動する構成であってもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、レジストローラー27と二次転写ローラー9の間に位置検知センサーSE2を備える構成を例にとり説明したが、これに限定されず、例えば、位置検知センサーSE2をレジストローラー27よりも搬送方向上流に配置する構成であってもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、レジストローラー27の揺動方向が常に同一方向となるように、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kによる画像書き込み位置をシフトする構成を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。すなわち、揺動方向が常に同一方向となるように、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kによる画像書き込み位置をシフトする構成であればよく、例えば、本発明の揺動部として、レジストローラー27の代わりに、用紙を回転させることで用紙位置を移動する構成を採用するようにしてもよい
【0078】
また、上記実施形態では、電子写真方式の画像形成装置を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、ノズルから記録媒体に対してインクを吐出して所望のパターンで着弾させていくことで記録媒体に画像を記録するインクジェット方式の画像形成装置(例えば、インクジェット記録装置には、所定のエネルギー線により硬化するインクをノズルから吐出し、吐出された記録媒体上のインクに対して上記所定のエネルギー線を照射して硬化させることでインクを記録媒体上に定着させるもの)に本発明を適用することも可能である。
【0079】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として、不揮発性メモリー、ハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0080】
その他、画像形成装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。