特許第6958043号(P6958043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6958043画像形成装置、画像形成方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6958043
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20211021BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20211021BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   G03G15/01 Y
   G03G15/01 114B
   G03G15/01 J
   G03G15/00 303
   G03G21/00 384
   G03G15/00 463
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-133660(P2017-133660)
(22)【出願日】2017年7月7日
(65)【公開番号】特開2019-15873(P2019-15873A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩川 康夫
(72)【発明者】
【氏名】川上 嘉輝
(72)【発明者】
【氏名】大久保 貴弘
【審査官】 飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−095341(JP,A)
【文献】 特開2014−021466(JP,A)
【文献】 特開2010−032935(JP,A)
【文献】 特開2003−201069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
用紙を前記画像形成部に搬送する画像形成経路と、
前記画像形成部よりも用紙搬送方向下流の前記画像形成経路から分岐し、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流において用紙の画像形成面が同一面となるように前記画像形成経路に合流して用紙を循環させる循環経路と、
前記画像形成部により画像が形成された用紙を、前記循環経路により循環させ、前記画像形成部により前記画像形成面に画像を形成する重ね書き処理を実行する制御部と、
前記循環経路から分岐し、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流において用紙の画像形成面が前記同一面の裏面となるように前記画像形成経路に合流して用紙を循環させる反転経路と、
を備え
前記画像形成経路と前記循環経路との合流点は、前記画像形成経路と前記反転経路との合流点よりも用紙搬送方向上流であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを含む通常カラーの画像と、前記通常カラー以外の色である特色の画像とを用紙に形成可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、用紙の一面に対して2回以上の前記重ね書き処理を実行する場合、最初の画像形成時又は最後の画像形成時に特色の画像を形成し、その他の画像形成時に通常カラーの画像を形成することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、用紙の同一面に対して複数回画像形成を行う重ね書きモードが選択された場合に、前記重ね書き処理を実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙を前記画像形成部に搬送する画像形成経路と、前記画像形成部よりも用紙搬送方向下流の前記画像形成経路から分岐し、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流において用紙の画像形成面が同一面となるように前記画像形成経路に合流して用紙を循環させる循環経路と、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流において用紙の画像形成面が前記同一面の裏面となるように前記画像形成経路に合流して用紙を循環させる反転経路と、制御部と、を備え、前記画像形成経路と前記循環経路との合流点は、前記画像形成経路と前記反転経路との合流点よりも用紙搬送方向上流である画像形成装置における画像形成方法であって、
前記制御部は、前記画像形成部により画像が形成された用紙を、前記循環経路により循環させ、前記画像形成部により前記画像形成面に画像を形成する重ね書き処理を実行する工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙を前記画像形成部に搬送する画像形成経路と、前記画像形成部よりも用紙搬送方向下流の前記画像形成経路から分岐し、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流において用紙の画像形成面が同一面となるように前記画像形成経路に合流して用紙を循環させる循環経路と、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流において用紙の画像形成面が前記同一面の裏面となるように前記画像形成経路に合流して用紙を循環させる反転経路と、を備え、前記画像形成経路と前記循環経路との合流点は、前記画像形成経路と前記反転経路との合流点よりも用紙搬送方向上流である画像形成装置のコンピューターを、
前記画像形成部により画像が形成された用紙を、前記循環経路により循環させ、前記画像形成部により前記画像形成面に画像を形成する重ね書き処理を実行する制御部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなどの通常カラーに加えて、クリアやホワイトなどの特色を扱うことのできる画像形成装置が知られている。
例えば、特許文献1には、5つの感光体ドラムが中間転写ベルトに対向するように配置され、4つの感光体ドラムで、それぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの通常カラーのトナー画像が形成され、その他の1つの感光体ドラムで、透明トナーや白色トナー等の特色トナーによるトナー画像が形成される画像形成部を備えた画像形成装置が開示されている。この画像形成部においては、特色トナーによるトナー画像と、通常カラーによるトナー画像とが中間転写ベルト上に転写(一次転写)され、中間転写ベルト上に担持されたトナー画像は、中間転写ベルトと二次転写部材との対向位置で、用紙上に転写(二次転写)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−90883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特色の使用方法として、例えば、通常カラーで画像を用紙に形成した後、用紙全体にコーティングとしてクリアを重ねたり、あるいは、用紙全体に下地としてホワイトのベタ画像を形成した後、通常カラーで画像形成したいといった要望がある。
このように、用紙の同一面に重ねて画像形成する場合、上記特許文献1の装置では、一度目の画像形成を行った用紙を、再度、装置内にセットする必要があり、手間がかかるものであった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、用紙の同一面に重ねて画像形成する場合の手間を削減することのできる画像形成装置、画像形成方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置において、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
用紙を前記画像形成部に搬送する画像形成経路と、
前記画像形成部よりも用紙搬送方向下流の前記画像形成経路から分岐し、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流において用紙の画像形成面が同一面となるように前記画像形成経路に合流して用紙を循環させる循環経路と、
前記画像形成部により画像が形成された用紙を、前記循環経路により循環させ、前記画像形成部により前記画像形成面に画像を形成する重ね書き処理を実行する制御部と、
前記循環経路から分岐し、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流において用紙の画像形成面が前記同一面の裏面となるように前記画像形成経路に合流して用紙を循環させる反転経路と、
を備え
前記画像形成経路と前記循環経路との合流点は、前記画像形成経路と前記反転経路との合流点よりも用紙搬送方向上流であることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像形成部は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを含む通常カラーの画像と、前記通常カラー以外の色である特色の画像とを用紙に形成可能であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、用紙の一面に対して2回以上の前記重ね書き処理を実行する場合、最初の画像形成時又は最後の画像形成時に特色の画像を形成し、その他の画像形成時に通常カラーの画像を形成することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記制御部は、用紙の同一面に対して複数回画像形成を行う重ね書きモードが選択された場合に、前記重ね書き処理を実行することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、
用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙を前記画像形成部に搬送する画像形成経路と、前記画像形成部よりも用紙搬送方向下流の前記画像形成経路から分岐し、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流において用紙の画像形成面が同一面となるように前記画像形成経路に合流して用紙を循環させる循環経路と、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流において用紙の画像形成面が前記同一面の裏面となるように前記画像形成経路に合流して用紙を循環させる反転経路と、制御部と、を備え、前記画像形成経路と前記循環経路との合流点は、前記画像形成経路と前記反転経路との合流点よりも用紙搬送方向上流である画像形成装置における画像形成方法であって、
前記制御部は、前記画像形成部により画像が形成された用紙を、前記循環経路により循環させ、前記画像形成部により前記画像形成面に画像を形成する重ね書き処理を実行する工程を含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、
用紙に画像を形成する画像形成部と、用紙を前記画像形成部に搬送する画像形成経路と、前記画像形成部よりも用紙搬送方向下流の前記画像形成経路から分岐し、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流において用紙の画像形成面が同一面となるように前記画像形成経路に合流して用紙を循環させる循環経路と、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流において用紙の画像形成面が前記同一面の裏面となるように前記画像形成経路に合流して用紙を循環させる反転経路と、を備え、前記画像形成経路と前記循環経路との合流点は、前記画像形成経路と前記反転経路との合流点よりも用紙搬送方向上流である画像形成装置のコンピューターを、
前記画像形成部により画像が形成された用紙を、前記循環経路により循環させ、前記画像形成部により前記画像形成面に画像を形成する重ね書き処理を実行する制御部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、用紙に重ねて画像形成する場合の手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態にかかる画像形成装置を模式的に示す構成図である。
図2図1の画像形成装置の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
図3】本実施の形態において実行される画像形成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0015】
[画像形成装置100の構成]
まず、本実施の形態における画像形成装置100の構成について説明する。
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置100を模式的に示す構成図である。この画像形成装置100は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置100であり、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成する、いわゆる、タンデム型カラー画像形成装置である。
【0016】
画像形成装置100は、原稿読取装置SC、画像形成部10、用紙搬送部20、制御部11を主体に構成され、これらが一つの筐体内に収められている。
【0017】
原稿読取装置SCは、走査露光装置の光学系により原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、これにより、画像信号を得る。この画像信号は、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理が施された後、画像データとして制御部11に入力される。なお、制御部11に入力される画像データとしては、原稿読取装置SCで読み取ったものに限らず、例えば、通信部13により画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピューターや他の画像形成装置から受信したものであってもよい。
【0018】
画像形成部10は、4組の通常カラーの画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K、1組の特色の画像形成ユニット10W、中間転写ベルト6、二次転写ローラー8、定着装置9等を備えて構成されている。
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成ユニット10Y、マゼンタ(M)の画像を形成する画像形成ユニット10M、シアン(C)の画像を形成する画像形成ユニット10C、ブラック(K)の画像を形成する画像形成ユニット10Kで構成されている。
また、画像形成ユニット10Wは、ホワイト(W)の画像を形成する画像形成ユニット10Wで構成されている。
【0019】
画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム1Y及びその周辺に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y及びドラムクリーナー5Yで構成されている。同様に、画像形成ユニット10M,10C,10K,10Wは、感光体ドラム1M,1C,1K,1W及びその周辺に配置された帯電部2M,2C,2K,2W、光書込部3M,3C,3K,3W、現像装置4M,4C,4K,4W及びドラムクリーナー5M,5C,5K,5Wで構成されている。
【0020】
感光体ドラム1Y〜1Wは、帯電部2Y〜2Wによりその表面が一様に帯電させられており、光書込部3Y〜3Wによる走査露光により、感光体ドラム1Y〜1Wには潜像が形成される。さらに、現像装置4Y〜4Wは、トナーで現像することによって感光体ドラム1Y〜1W上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラム1Y〜1W上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びホワイトのいずれかに対応する所定色のトナー画像が形成される。感光体ドラム1Y〜1W上に形成されたトナー画像は、一次転写ローラー7Y,7M,7C,7K,7Wにより、回転する中間転写ベルト6上の所定位置へと逐次転写される。
【0021】
中間転写ベルト6上に転写された各色よりなるトナー画像は、後述する用紙搬送部20により所定のタイミングで搬送される用紙Pに対して、二次転写ローラー8によって転写される。この二次転写ローラー8は中間転写ベルト6と圧接して配置されることによりニップ部(以下「転写ニップ部」という)を形成する圧接部材である。
【0022】
定着装置9は、トナー画像が転写された用紙P、すなわち、転写ニップ部から送り出された用紙Pに定着処理を施す装置であり、例えば、一対の定着部材(例えば一対のローラー)と、当該定着部材の一方又は双方を加熱するヒーターとで構成されている。この定着装置9は、用紙Pの搬送過程において、一対の定着部材による加圧と定着部材の有する熱との作用を通じて、用紙Pへのトナー画像の定着を行う。
【0023】
用紙搬送部20は、用紙Pの搬送経路に従って用紙Pを搬送する。
用紙搬送部20は、用紙Pを画像形成部10に搬送する画像形成経路R1、切替ゲートG、画像形成後の用紙Pを外部に排出する排紙経路R2、画像形成後の用紙Pを循環させる循環経路R3、及び用紙Pの両面に画像形成するためのADU反転経路R4を備えている。
【0024】
各搬送経路においては、用紙Pを搬送する複数の搬送手段が設けられている。個々の搬送手段は、圧接された一対のローラーによって構成されており、電動モーターを主体とする駆動機構を通じて少なくとも一方のローラーが回転駆動することにより用紙Pを搬送する。
また、個々の搬送手段を構成する一対のローラーは、ローラー間の状態を圧接状態と離間状態とで切り替えることができように構成されている。
なお、搬送手段は、一対のローラーで構成する以外にも、ベルト同士の組み合わせや、ベルト及びローラーの組み合わせといったように、一対の回転部材からなる構成を広く採用することができる。
【0025】
画像形成経路R1は、給紙トレイから切替ゲートGに至るまで、用紙Pを搬送する経路である。
用紙Pは、画像形成装置100の下部に位置する給紙トレイ21に収容されており、当該給紙トレイ21に収容された用紙Pは、給紙部22により取り込まれ、画像形成経路R1へと送り出される。
あるいは、用紙Pは、画像形成装置100と接続された給紙装置(図示せず)が有する給紙トレイに収容されており、給紙装置が保有する用紙Pは、当該給紙装置から画像形成装置100へと供給され、画像形成経路R1へと送り出される。
また、用紙Pは、画像形成装置100に設けられた手差しトレイに載置され、画像形成経路R1へと送り出されることとしても良い。
【0026】
画像形成経路R1上には、画像形成部10が設けられている。また、画像形成経路R1には、用紙搬送方向の上流側から下流側にかけて、中間搬送ローラー23、ループローラー24及びレジストローラ25が搬送手段として設けられている。
【0027】
用紙Pは、中間搬送ローラー23及びループローラー24により順次搬送されて、画像形成経路R1を進行する。用紙Pの先端がレジストローラ25へと近づくと、ループローラー24等によって搬送される用紙Pは、回転停止状態のレジストローラ25に突き当てられ、そして、ループローラー24が所定時間だけ回転を継続することで、用紙Pにループが形成される。このループ形成の作用により、用紙Pの先端の曲がりが矯正される(スキュー補正)。
つぎに、中間転写ベルト6が担持するトナー画像と同期するように所定のタイミングでレジストローラ25が回転を開始すると、中間搬送ローラー23及びループローラー24は、圧接状態から離間状態へと切り替えられ、用紙Pは、レジストローラ25のみによって画像形成部10の転写ニップ部へと搬送され、その後、二次転写ローラー8によって定着装置9へと搬送される。定着装置9において定着処理が施された用紙Pは、切替ゲートGまで搬送される。
【0028】
切替ゲートGは、用紙搬送方向において定着装置9の下流側に設けられ、画像形成経路R1から搬送されてきた用紙Pを搬送するための経路を切り替える。具体的に、切替ゲートGは、定着装置9を通過した用紙Pを循環経路R3又はADU反転経路R4に搬送する場合、用紙Pを下方に案内する。また、切替ゲートGは、用紙Pを排紙経路R2に搬送する場合、用紙Pを直進させる。
なお、切替ゲートGは、通常、用紙Pを直進させる(排紙経路R2に送る)状態となっている。そして、用紙Pを下方に搬送する(排紙経路R2又は循環経路R3に送る)際には図示しない駆動部により駆動され、用紙Pを下方に搬送させた後、元の状態に戻る。
【0029】
排紙経路R2は、定着装置9により定着処理が施された用紙Pを、筐体の外部側面に取り付けられた排紙トレイ26に排出させる搬送経路である。
【0030】
循環経路R3は、定着装置9により定着処理が施された用紙Pを、画像形成面を変更することなく(即ち、表裏を入れ替えることなく)、再度、画像形成経路R1に回帰させるための搬送経路である。
循環経路R3は、画像形成経路R1の画像形成部10よりも用紙搬送方向下流(切替ゲートGの位置)から分岐し、画像形成経路R1の途中に設けられた合流点51に至るように配されている。
この循環経路R3には、用紙Pの搬送方向の上流側から下流側にかけて、反転ローラー27、中間搬送ローラー28が搬送手段として設けられている。なお、中間搬送ローラー28は、通過する最小の用紙Pの用紙搬送方向の長さよりも短い間隔となるように配置されている。
循環経路R3に供給された用紙Pは、中間搬送ローラー28により搬送されて合流点51に到達する。合流点51に到達した用紙Pは、再度、画像形成経路R1へと送り出されることとなる。
【0031】
ADU反転経路R4は、定着装置9により定着処理が施された用紙Pを、表裏を反転させて画像形成経路R1に回帰させるための搬送経路であり、循環経路R3の途中(反転ローラー27の用紙搬送方向の上流の位置)から分岐し、画像形成経路R1の途中に設けられた合流点52に至るように配されている。
例えば、用紙Pの裏面にも画像形成する場合などにおいて、循環経路R3に供給された用紙Pは、反転ローラー27が用紙Pの後端を挟持したタイミングで当該反転ローラー27が反転することで逆送し、その後端からADU反転経路R4に搬送され、画像形成経路R1の合流点52に到達する。合流点52に到達した用紙Pは、再度、画像形成経路R1へと送り出されることとなる。
【0032】
なお、上記した画像形成経路R1、循環経路R3、ADU反転経路R4を一体的に構成し、これを画像形成装置100の筐体から引き出し可能に構成しても良い。
この際、中間搬送ローラー28を構成する一対のローラーは、分割されて上方のローラーのみ引き出される構成でも良いし、上方及び下方のローラーが共に引き出される構成でも良い。特に、上方及び下方のローラーが共に引き出される構成であれば、ジャム処理が容易となり、ジャム処理によって不用意に用紙Pが切断されるのを回避することができる。
【0033】
図2は、本実施形態にかかる画像形成装置100の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
制御部11は、図2に示すように、記憶部12、通信部13、操作部14、原稿読取装置SC、画像形成部10、用紙搬送部20に接続されている。
【0034】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成されている。制御部11のCPUは、記憶部12に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置100各部の動作を集中制御する。
例えば、制御部11は、操作部14によりジョブ実行指令が入力されると、ジョブを実行し、原稿読取装置SCや通信部13により入力される画像データに基づいて用紙Pにトナー画像を形成させる制御を行う。
また、本実施の形態においては、制御部11は、画像形成部10により画像が形成された用紙Pを、循環経路R3により循環させ、画像形成部10により画像形成面に画像を形成する重ね書き処理を実行することが可能である。
【0035】
記憶部12は、不揮発性の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等により構成され、制御部11で実行される各種プログラムの他、各部で必要なパラメータやデータ等を記憶している。
【0036】
通信部13は、NIC(Network Interface Card)、MODEM(Modulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを備え、外部機器との接続を行う。
【0037】
操作部14は、ユーザーによって設定される種々の情報を制御部11に出力する。操作部14としては、例えば、ディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネルを用いることができる。かかる操作部14を通じて、ユーザーは、画像形成条件、すなわち、用紙Pの種類(例えば、坪量、サイズ、紙質等)、使用する給紙トレイ、画像の濃度、倍率、画像形成モードなどを設定することができる。また、ユーザーは、操作部14を通じて、ジョブの実行指令や各種モードでの動作指示を入力することができる。また、制御部11は、操作部14を制御することにより、当該操作部14を介してユーザーに種々のメッセージを表示することができる。
【0038】
[画像形成装置100の動作]
次に、本実施の形態における画像形成装置100の動作について説明する。
図3は、画像形成装置100により実行される画像形成処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ユーザーからのジョブの実行指令に応じて、制御部11と記憶部12に記憶されているプログラムとの協働によって実行される。
【0039】
先ず、制御部11は、通信部13を介して、外部機器から送信されるジョブ情報を取得する(ステップS1)。
ジョブ情報には、画像形成処理に関する各種情報、例えば、モード情報や、形成する画像の画像データなどが含まれている。
モード情報としては、例えば、通常モード、両面モード、重ね書きモードのいずれかが設定されている。通常モードは、用紙Pの一面に対して一回画像形成を行うモードである。また、両面モードは、用紙Pの両面に対して画像形成を行うモードである。また、重ね書きモードは、用紙Pの一面に対して複数回画像形成を行うモードである。
画像データとしては、画像形成モードに応じた一乃至複数の画像データが含まれ、用紙Pの表裏どちらの面に形成するか、何回目に形成するか等の情報が付加されている。
【0040】
次いで、制御部11は、画像形成部10により、未処理の画像形成のうちの最優先の画像形成を実行する(ステップS2)。
例えば、通常モードにおいては、制御部11は、用紙Pの一面(表面)に通常カラーの画像を形成する。
また、例えば、重ね書きモードにおいては、制御部11は、一回目の画像形成が未処理の場合にはこれを実行し、一回目の画像形成が終了であって二回目の画像形成が未処理の場合には二回目の画像形成を実行する。具体的には、例えば、一回目の画像形成で用紙Pの一面(表面)にホワイトのベタ画像を形成し、二回目の画像形成で用紙Pの同一面(表面)に通常カラーの画像を形成する。
また、例えば、両面モードにおいては、制御部11は、表面の画像形成が未処理の場合にはこれを実行し、表面の画像形成が終了であって裏面の画像形成が未処理の場合には裏面の画像形成を実行する。具体的には、例えば、制御部11は、一回目の画像形成で用紙Pの表面に通常カラーの画像を形成し、二回目の画像形成で用紙Pの裏面に通常カラーの画像を形成する。
【0041】
次いで、制御部11は、重ね書きモード又は両面モードの設定がなされているか否か判断し(ステップS3)、設定がなされていない(通常モードである)場合(ステップS3:NO)、本処理を終了する。
【0042】
一方、重ね書きモード又は両面モードの設定がなされている場合(ステップS3:YES)、制御部11は、未処理の画像形成があるか否かを判断し(ステップS4)、これがない場合(ステップS4:NO)、本処理を終了する。
【0043】
一方、未処理の画像形成がある場合(ステップS4:YES)、制御部11は、切替ゲートGを切り替えて、用紙Pを循環経路R3へと搬送する(ステップS5)。
【0044】
次いで、制御部11は、重ね書きモードの設定がなされているか否か判断し(ステップS6)、重ね書きモードの設定がなされている場合(ステップS6:YES)、循環経路R3により用紙Pを画像形成経路R1に回帰させ(ステップS7)、その後、上記ステップS2に移行して、以降の処理を繰り返す。
【0045】
一方、重ね書きモードの設定がなされていない(両面モードである)場合(ステップS6:NO)、制御部11は、反転ローラー27を反転させることで、用紙PをADU反転経路R4へと搬送し、ADU反転経路R4により用紙Pを画像形成経路R1に回帰させた後(ステップS8)、上記ステップS2に移行して、以降の処理を繰り返す。
【0046】
以上のように、本実施の形態によれば、用紙Pに画像を形成する画像形成部10と、用紙Pを画像形成部10に搬送する画像形成経路R1と、画像形成部10よりも用紙搬送方向下流の画像形成経路R1から分岐し、画像形成部10よりも用紙搬送方向上流において用紙Pの画像形成面が同一面となるように画像形成経路R1に合流して用紙を循環させる循環経路R3と、画像形成部10により画像が形成された用紙Pを、循環経路R3により循環させ、画像形成部10により画像形成面に画像を形成する重ね書き処理を実行する制御部11と、を備える。
このため、用紙Pの同一面に重ねて画像形成する場合、一度目の画像形成を行った用紙Pを、再度、装置内にセットする必要がない。よって、用紙Pの同一面に重ねて画像形成する場合の手間を削減することができる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、画像形成部10は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの通常カラーの画像と、通常カラー以外の色である特色の画像とを用紙Pに形成可能である。
このため、特色を含めた複数の色の画像を、用紙Pの同一面に重ねて形成することが可能となる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、制御部11は、用紙Pの一面に対して重ね書き処理を実行する場合、最初の画像形成時にホワイトの画像を形成し、その他の画像形成時に通常カラーの画像を形成する。
このため、通常カラーの画像の下地として、ホワイトの画像を形成することができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、制御部11は、用紙Pの同一面に対して複数回画像形成を行う重ね書きモードが選択された場合に、重ね書き処理を実行する。
このため、ユーザーの任意で重ね書きモードが選択された場合に、重ね書き処理を実行することができる。
【0050】
なお、上記実施の形態においては、重ね書きモードにおいて、一回目の画像形成にてホワイトのベタ画像を形成し、二回目の画像形成にて通常カラーの画像を形成する場合を例示して説明したが、一回目の画像形成にて通常カラーの画像を形成し、二回目の画像形成にてホワイトの画像を形成しても良い。
また、一回目も二回目も、通常カラーの画像を形成しても良い。例えば、一回目の画像形成にてモノクロ画像を形成し、二回目の画像形成にて赤などの画像を形成しても良い。
【0051】
また、上記実施の形態においては、特色として、ホワイト(W)のトナー画像を形成する構成を例示して説明したが、特色はホワイトに限定されず、これ以外にも、例えば、クリア(透明)等であっても良い。
特色がクリアの場合、例えば、一回目の画像形成にて通常カラーの画像を形成し、二回目の画像形成にてクリアによるベタ画像(コーティング)を形成する等の処理を行うことができる。
また、上記実施の形態においては、特色を形成する画像形成ユニットは1つであったが、2色以上の特色を形成する2組以上の画像形成ユニットを備えた構成であっても良い。
【0052】
また、上記実施の形態においては、通常カラーとして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー画像を形成する構成を例示して説明したが、通常カラーはこれに限定されず、これ以外の色も含み得る。
また、上記実施の形態においては、通常カラーを形成する画像形成ユニットは4つであったが、5色以上の通常カラーを形成する5組以上の画像形成ユニットを備えても良いし、3組以下の画像形成ユニットであっても良い。
【0053】
また、上記実施の形態においては、用紙Pの同一面に二回の画像形成を行う場合を例示して説明したが、用紙Pの同一面に三回以上の画像形成を行っても良い。即ち、用紙Pの一面に対して2回以上の重ね書き処理を行っても良い。
その場合、例えば、一回目の画像形成にてホワイトのベタ画像を形成し、二回目以降の画像形成にて通常カラーの画像を形成することができる。あるいは、最後の画像形成にてクリアによるベタ画像(コーティング)を形成し、その他の画像形成にて通常カラーの画像を形成することもできる。このとき、形成する画像の質感、使用する用紙Pの紙種、坪量等に応じて、通常カラーの画像の画像形成回数を設定しても良い。
また、用紙Pの両面に対して、一回乃至複数回の重ね書き処理を行っても良い。
【0054】
また、上記実施の形態においては、合流点51と合流点52が離れた位置に設けられた構成を例示して説明したが、合流点51と合流点52を同一位置にする構成としても良い。
このようにすることで、次の用紙Pの待機位置をより下流側にすることができ、生産性を向上させることができる。
【0055】
また、上記実施の形態に適用可能な用紙Pとしては、定型紙は勿論のこと、用紙搬送方向に長い長尺紙であっても良い。
なお、用紙Pが長尺紙である場合、用紙Pは、例えば、画像形成装置100と接続された給紙装置(図示せず)、又は画像形成装置100に設けられた手差しトレイにより、画像形成経路R1に送り出すことができる。
【0056】
また、上記実施の形態においては、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体として、不揮発性メモリー、ハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0057】
また、上記実施の形態においては、電子写真方式の画像形成装置を例示して説明したが、本発明は、例えばインクジェット方式等の他の画像形成方式に適用することも可能である。
【0058】
その他、画像形成装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
100 画像形成装置
SC 原稿読取装置
10 画像形成部
10Y,10M,10C,10K,10W 画像形成ユニット
1Y,1M,1C,1K,1W 感光体ドラム
2Y,2M,2C,2K,2W 帯電部
3Y,3M,3C,3K,3W 光書込部
4Y,4M,4C,4K,4W 現像装置
5Y,5M,5C,5K,5W ドラムクリーナー
6 中間転写ベルト
7Y,7M,7C,7K,7W 一次転写ローラー
8 二次転写ローラー
9 定着装置
20 用紙搬送部
21 給紙トレイ
22 給紙部
23 中間搬送ローラー
24 ループローラー
25 レジストローラ
26 排紙トレイ
27 反転ローラー
28 中間搬送ローラー
51、52 合流点
R1 画像形成経路
R2 排紙経路
R3 循環経路
R4 反転経路
G 切替ゲート
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 操作部
P 用紙
図1
図2
図3