特許第6958064号(P6958064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6958064
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/06 20060101AFI20211021BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20211021BHJP
   C08K 3/06 20060101ALI20211021BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   C08L9/06
   C08K3/04
   C08K3/06
   B60C1/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-144388(P2017-144388)
(22)【出願日】2017年7月26日
(65)【公開番号】特開2019-26671(P2019-26671A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 史也
【審査官】 土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−089731(JP,A)
【文献】 特開2008−143953(JP,A)
【文献】 特開2016−204503(JP,A)
【文献】 特開2013−100449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 9/06
C08K 3/04
C08K 3/06
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チレンブタジエンゴムと、重量平均分子量が3万以下のスチレンブタジエンポリマーと、カーボンブラックと、硫黄とを含有するトレッド用ゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤであって、
前記スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量が70万以上であり、
前記スチレンブタジエンゴムを構成するスチレン構成単位のうち、スチレンの2量体および3量体の含有率が5〜20%であり、前記スチレンの4量体以上の含有率が10%以下であり、
前記スチレンブタジエンゴムにおけるブタジエン部の1,2−結合単位量が30〜55%であるタイヤ
【請求項2】
スチレンブタジエンゴムのスチレン含量が30〜55質量%である請求項記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は所定のトレッド用ゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのトレッドには、走行初期から走行終了まで優れたグリップ性能を保つことが望まれている。走行中のグリップ性能はタイヤが暖まっていることからグリップ力を発揮しやすいが、タイヤが暖まっていない走行初期はグリップ力を発揮しにくいという問題がある。
【0003】
従来から、トレッド用ゴム組成物において、特定の軟化点の樹脂を配合し、グリップ性能を向上させる方法が検討されている(例えば、特許文献1参照)。初期グリップ性能を向上させる目的で、低軟化点樹脂や液状ポリマー等の配合量を増量する方法や、低温軟化剤を配合する方法が検討されているが、改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−137463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、初期グリップ性能に優れたタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、重量平均分子量が70万以上であり、スチレンが高ランダムであり、ビニル含量が30〜55%であるスチレンブタジエンゴムと、重量平均分子量が3万以下のスチレンブタジエンポリマーと、カーボンブラックと、硫黄とを含有するトレッド用ゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤに関する。
【0007】
前記スチレンブタジエンゴムを構成するスチレンの2量体および3量体の含有率は5〜20%であり、同スチレンの4量体以上の含有率は10%以下であることが好ましい。
【0008】
前記スチレンブタジエンゴムのスチレン含量は30〜55質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の所定のトレッド用ゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤは、初期グリップ性能に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態であるタイヤは、重量平均分子量が70万以上であり、スチレンが高ランダムであり、ビニル含量が30〜55%であるスチレンブタジエンゴム(SBR)と、重量平均分子量が3万以下のスチレンブタジエンポリマーと、カーボンブラックと、硫黄とを含有するトレッド用ゴム組成物により構成されたトレッドを有することを特徴とする。
【0011】
本発明者は、発進時から発進直後のグリップ性能を向上させるためには、70℃付近の複素弾性率を小さくし、かつ温度依存性が少ないトレッド用ゴム組成物を用いることが重要であることを見出した。本発明に係るトレッド用ゴム組成物は、分子量Mwが70万以上であり、スチレンが高ランダムのSBRと、分子量Mwが3万以下のスチレンブタジエンポリマーとを併用することにより、スチレンが高ランダムのSBRと結晶性が小さく低分子量のスチレンブタジエンポリマーとがよく混ざり、その結果、70℃付近の複素弾性率を小さくかつ温度依存性を少なくすることができると考えられる。
【0012】
本実施形態におけるトレッド用ゴム組成物の、70℃、初期歪10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下での複素弾性率E*70は、初期グリップ性能および走行中のグリップ性能の観点から、好ましくは110MPa以下、より好ましくは100MPa以下、さらに好ましくは90MPa以下である。なお、操縦安定性や低燃費性の観点から、好ましくは30MPa以上、より好ましくは40MPa以上、さらに好ましくは50MPa以上である。
【0013】
本実施形態におけるトレッド用ゴム組成物の複素弾性率の温度依存性は、例えば、下記式(1)により評価することができる。なお、式(1)中、E*nは、n℃における複素弾性率を表す。式(1)の値は1に近いほど温度依存性が少ないことを示す。
(E*50+E*100)/(2×E*70) ・・・(1)
【0014】
式(1)の値は、1に近いほど好ましく、1以上10以下であることが好ましく、1以上7以下であることがより好ましく、1以上5以下であることがさらに好ましく、1以上3以下であることが最も好ましい。
【0015】
<スチレンブタジエンゴム>
前記SBRは、重量平均分子量が70万以上であり、スチレンが高ランダムのスチレンブタジエンゴムである。ここで、本明細書におけるSBRの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量である。
【0016】
本実施形態において「スチレンが高ランダムのスチレンブタジエンゴム」とは、スチレンブタジエンゴムを構成するスチレンが連続で結合した箇所、すなわちスチレンの2量体以上の構成単位の含有率が少なく、スチレンの単量体による構成単位の含有率が多いスチレンブタジエンゴムを意味する。より詳しくは、スチレンブタジエンゴムを構成するスチレンの2量体および3量体の含有率が少なく、および/または、同スチレンの4量体以上の含有率が少ないスチレンブタジエンゴムである。「スチレンが高ランダム」の具体例としては、例えば、スチレンブタジエンゴムを構成するスチレンの2量体および3量体の含有率が5〜20%、および/または、同スチレンの4量体以上の含有率が10%以下であることが挙げられる。
【0017】
SBRの重量平均分子量は70万以上であり、90万以上が好ましく、110万以上がより好ましい。重量平均分子量が70万未満の場合は、耐摩耗性能が低下する傾向がある。また、重量平均分子量の上限は特に限定されないが、初期グリップ性能、耐摩耗性能の観点から、150万以下が好ましい。
【0018】
SBRがスチレンが高ランダムのスチレンブタジエンゴムであることにより、後述のスチレンブタジエンポリマーとよく混ざることから、E*70を小さくし、かつ温度依存性を少なくすることができると考えられる。SBRを構成するスチレンの2量体および3量体の含有率は、初期グリップ性能の観点から、5〜20%が好ましく、10〜20%がより好ましく、13〜17%がより好ましい。また、同スチレンの4量体以上の含有率は、初期グリップ性能の観点から、10%以下が好ましく、7%以下がより好ましい。また、同スチレンの4量体以上の含有率の下限は特に限定されないが、少ないほど好ましい。なお、本明細書におけるSBRを構成するスチレンの2量体以上の含有率は、ガスクロマトグラフィー分析法によって算出される。
【0019】
SBRのスチレン含量は、走行中のグリップ性能の観点から30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。また、当該スチレン含量は、初期グリップ性能の観点から55質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのスチレン含量とはSBRにおけるスチレン部の含量のことを示し、H1−NMR測定により算出される。
【0020】
SBRのビニル含量は、走行中のグリップ性能の観点から30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。また、当該ビニル含量は、初期グリップ性能の観点から55%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、45%以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのビニル含量とはSBRにおけるブタジエン部の1,2−結合単位量のことを示し、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される。
【0021】
SBRのガラス転移点(Tg)は、走行中のグリップ性能の観点から、−35℃以上が好ましく、−20℃以上がより好ましい。またSBRのTgは、初期グリップ性能の観点から、15℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。なお、本明細書におけるSBRのTgはJIS K 6229に準拠し、アセトンを用いて伸展オイルを除去した後、純SBR分をJIS K 7121に準拠して示差走査熱量測定(DSC)により求められる。
【0022】
SBRとしては特に限定はなく、溶液重合SBR(S−SBR)、乳化重合SBR(E−SBR)、これらの変性SBR(変性S−SBR、変性E−SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)、水素添加されたSBR(水添SBR)等が挙げられる。なかでもS−SBRが好ましい。
【0023】
SBRのゴム成分中の含有量は、走行中のグリップ性能、耐摩耗性能の観点から、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。
【0024】
<スチレンブタジエンポリマー>
前記スチレンブタジエンポリマーは重量平均分子量が3万以下である。スチレンブタジエンポリマーの重量平均分子量は、1万5千以下が好ましい。スチレンブタジエンポリマーの重量平均分子量が3万を超える場合は、走行中のグリップ性能が低下する傾向がある。また、重量平均分子量の下限は特に限定されないが、耐摩耗性能の観点から、4千5百以上が好ましい。なお、スチレンブタジエンポリマーの重量平均分子量は、SBRの場合と同様にして測定される。
【0025】
スチレンブタジエンポリマーと前記SBRを併用することにより、SBRとスチレンブタジエンポリマーとがよく混ざり、E*70を小さくし、かつ温度依存性を少なくすることができると考えられる。
【0026】
スチレンブタジエンポリマーは水素添加された水添スチレンブタジエンポリマーとすることが、耐摩耗性能の観点から好ましい。スチレンブタジエンポリマーの水添率は、40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。
【0027】
スチレンブタジエンポリマーのスチレン含量は、走行中のグリップ性能の観点から30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。また、当該スチレン含量は、初期グリップ性能の観点から60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。なお、本明細書において、SBRのスチレン含量とはスチレンブタジエンポリマーにおけるスチレン部の含量のことを示し、H1−NMR測定により算出される。
【0028】
スチレンブタジエンポリマーのビニル含量は、走行中のグリップ性能の観点から30%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。また、当該ビニル含量は、初期グリップ性能の観点から60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。なお、本明細書において、スチレンブタジエンポリマーのビニル含量とはスチレンブタジエンポリマーにおけるブタジエン部の1,2−結合単位量のことを示し、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される。
【0029】
スチレンブタジエンポリマーとしては特に限定はなく、従来、タイヤ用ゴム組成物の軟化剤等として用いられている低分子量のスチレンブタジエンポリマーを用いることができる。また、スチレンブタジエンポリマーとしては、溶液重合スチレンブタジエンポリマー、乳化重合スチレンブタジエンポリマー、これらの変性スチレンブタジエンポリマー等が挙げられる。なかでも溶液重合スチレンブタジエンポリマーが好ましい。
【0030】
スチレンブタジエンポリマーのゴム成分100質量部に対する含有量は、走行中のグリップ性能の観点から、20質量部以上が好ましく、25質量部以上がより好ましく、35質量部以上がさらに好ましい。また、スチレンブタジエンポリマーのゴム成分100質量部に対する含有量は、走行中のグリップ性能の観点から、100質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましい。
【0031】
<カーボンブラック>
前記トレッド用ゴム組成物は、ゴム組成物の補強性、耐紫外線劣化性および耐摩耗性の観点からカーボンブラックを含有する。カーボンブラックとしては、タイヤ製造において一般的に用いられるSAF、ISAF、HAF、FF、FEF、GPF等が挙げられ、これらのカーボンブラックを単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0032】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、グリップ性能に優れるという理由から、100m2/g以上が好ましく、105m2/g以上がより好ましく、110m2/g以上がさらに好ましい。また、カーボンブラックのN2SAは、ゴム組成物中での分散性に優れ、良好な耐摩耗性が得られるという理由から、600m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、250m2/g以下がさらに好ましい。なお、本明細書におけるカーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定される値である。
【0033】
カーボンブラックのオイル吸油量(OAN)は、十分な耐摩耗性が得られるという理由から、50mL/100g以上が好ましく、100mL/100g以上がより好ましい。また、カーボンブラックのOANは、十分なグリップ性能が得られるという理由から、250mL/100g以下が好ましく、200mL/100g以下がより好ましく、135mL/100g以下がさらに好ましい。なお、本明細書におけるカーボンブラックのOANは、JIS K 6217−4:2008に準拠して測定される値である。
【0034】
カーボンブラックのゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な耐摩耗性、グリップ性能が得られるという理由から、50質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましく、80質量部以上がより好ましく、90質量部以上がさらに好ましい。また、カーボンブラックの含有量は、グリップ性能に優れるという理由から、200質量部以下が好ましく、180質量部以下がより好ましく、130質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。
【0035】
<硫黄>
前記トレッド用ゴム組成物は、加硫剤として硫黄を含有する。硫黄としては特に限定されず、従来ゴム工業において慣用されるものから任意に選択して用いることができ、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄等が挙げられる。
【0036】
硫黄のゴム成分100質量部に対する含有量は、良好な加硫反応の観点から、0.5質量部以上が好ましく、0.6質量部以上がより好ましい。また、硫黄の含有量は、グリップ性能、耐摩耗性の観点から、3質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましい。
【0037】
<その他の配合剤>
前記ゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される他の成分、例えば、SBR以外のゴム成分、カーボンブラック以外の補強用充填剤、シランカップリング剤、スチレンブタジエンポリマー以外の軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、各種老化防止剤、ワックス、加硫促進剤等を適宜配合することができる。
【0038】
(SBR以外のゴム成分)
SBR以外のゴム成分としては、天然ゴム(NR)およびポリイソプレンゴム(IR)を含むイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のSBR以外のジエン系ゴムやブチル系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。低燃費性や耐摩耗性、耐久性、ウェットグリップ性能のバランスの観点からNR、BRを含有することが好ましい。一方、レース用タイヤ、特にドライ路面用レース用タイヤに用いる場合は、ドライグリップ性能に優れるという理由から、SBRのみからなるゴム成分とすることが好ましい。
【0039】
(カーボンブラック以外の補強用充填剤)
カーボンブラック以外の補強用充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルク等が挙げられる。ウェットグリップ性能の観点から、シリカを含有することが好ましい。カーボンブラックの含有による補強性を維持するという点からはカーボンブラック以外の補強用充填剤は含有しないことが好ましい。
【0040】
(シリカ)
前記シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
【0041】
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、破断時伸び、耐久性観点から、80m2/g以上であることが好ましく、100m2/g以上であることがより好ましく、110m2/g以上であることがさらに好ましい。また、シリカのN2SAは、低燃費性、加工性(シート圧延性)の観点から、250m2/g以下であることが好ましく、235m2/g以下であることがより好ましく、220m2/g以下であることがさらに好ましい。なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
【0042】
シリカを含有する場合、グリップ性能の効果が十分に得られるという理由から、シリカとカーボンブラックとの合計量を、ゴム成分100質量部に対して、50質量部以上にすることが好ましく、60質量部以上にすることがより好ましく、80質量部以上にすることがさらに好ましく、90質量部以上にすることが特に好ましい。また、加工性の観点から、200質量部以下にすることが好ましく、180質量部以下にすることがより好ましく、130質量部以下にすることがさらに好ましい。カーボンブラックとシリカとの合計量に対するシリカの割合は、1質量%以上99質量%以下であることが好ましい。
【0043】
(シランカップリング剤)
シリカは、シランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、モメンティブ社製のNXT−Z100、NXT−Z45、NXT等のメルカプト系(メルカプト基を有するシランカップリング剤)、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン等のニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロ系等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
シランカップリング剤を含有する場合のシリカ100質量部に対する含有量は、十分なフィラー分散性の改善効果や、粘度低減等の効果が得られるという理由から、4.0質量部以上であることが好ましく、6.0質量部以上であることがより好ましい。また、十分なカップリング効果、シリカ分散効果が得られず、補強性が低下するという理由から、シランカップリング剤の含有量は、12質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
【0045】
(スチレンブタジエンポリマー以外の軟化剤)
スチレンブタジエンポリマー以外の軟化剤としては、従来からタイヤ用ゴム組成物に用いられているものであれば特に限定されないが、例えばオイル、粘着樹脂、スチレンブタジエンポリマー以外の液状ポリマーが挙げられる。
【0046】
≪オイル≫
オイルとしては、ナフテンオイル、アロマオイル、プロセスオイル、パラフィンオイル等の鉱物油等が挙げられる。
【0047】
オイルを含有する場合の含有量は、オイルを含有することの効果が十分に得られるという理由から、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましい。また、耐摩耗性の観点から、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましい。
【0048】
≪粘着樹脂≫
粘着樹脂としては、芳香族石油樹脂等の従来タイヤ用ゴム組成物で慣用される樹脂が挙げられる。芳香族石油樹脂としては例えば、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ロジン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)等が挙げられる。フェノール系樹脂としては例えばコレシン(BASF社製)、タッキロール(田岡化学工業(株)製)等が挙げられる。クマロンインデン樹脂としては例えばエスクロン(新日鉄住金化学(株)製)、日石ネオポリマー(JX日鉱日石エネルギー(株)製)等が挙げられる。スチレン樹脂としては例えばSylvatraxx 4401(アリゾナケミカル社製)等が挙げられる。テルペン樹脂としては例えばTR7125(アリゾナケミカル社製)、TO125(ヤスハラケミカル(株)製)等が挙げられる。これらの粘着樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、走行中のグリップ性能に優れるという理由から、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、およびアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0049】
粘着樹脂を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、走行中のグリップ性能の観点から、35質量部以上が好ましく、45質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましい。また、加工性の観点から、120質量部以下が好ましく、105質量部以下がより好ましく、95質量部以下がさらに好ましい。
【0050】
≪スチレンブタジエンポリマー以外の液状ポリマー≫
スチレンブタジエンポリマー以外の液状ポリマーとしては、例えば、液状ブタジエンポリマー、液状イソプレンポリマー、液状スチレンイソプレンポリマー等が挙げられる。なかでも、特に耐久性能とグリップ性能とをバランスよく向上できるという理由からスチレンブタジエンポリマー以外の液状ポリマーは含有しないことが好ましい。
【0051】
(老化防止剤)
前記老化防止剤としては特に限定されず、ゴム分野で使用されているものが使用可能であり、例えば、キノリン系、キノン系、フェノール系、フェニレンジアミン系老化防止剤等が挙げられる。
【0052】
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、0.8質量部以上がより好ましい。また、老化防止剤の含有量は、充填剤等の分散性、破断時伸び、混練効率の観点から、3.0質量部以下が好ましく、2.7質量部以下がより好ましく、2.5質量部以下がより好ましい。
【0053】
(加硫促進剤)
前記加硫促進剤としては、グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンデート系の化合物等が挙げられる。なかでも、本発明の効果が好適に得られるという理由から、ベンゾチアゾリルスルフィド基を有する加硫促進剤が好ましい。
【0054】
ベンゾチアゾリルスルフィド基を有する加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BEHZ)、N,N−ジ(2−メチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BMHZ)、N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(ETZ)等のスルフェンアミド系加硫促進剤や、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミド(TBSI)、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(DM)等が挙げられる。
【0055】
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫速度を確保するという観点から、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上が好ましい。また、加硫促進剤の含有量は、ブルーミングを抑制するという観点から、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。
【0056】
<トレッド用ゴム組成物>
本実施形態に係るトレッド用ゴム組成物は、一般的な方法で製造できる。例えば、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロール等の一般的なゴム工業で使用される公知の混練機で、前記各成分のうち、架橋剤および加硫促進剤以外の成分を混練りした後、これに、架橋剤および加硫促進剤を加えてさらに混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
【0057】
<タイヤ>
本実施形態のタイヤは、前記トレッド用ゴム組成物を用いて、通常の方法により製造できる。すなわち、ゴム成分に対して前記の配合剤を必要に応じて配合した前記ゴム組成物を、トレッドの形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成型することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを製造することができる。
【0058】
<好ましい実施形態>
本発明の好ましい実施形態としては、以下が挙げられる。
〔1〕重量平均分子量が70万以上、好ましくは90万以上、より好ましくは110万以上であり、スチレンが高ランダムであり、ビニル含量が30〜55%、好ましくは35〜50%、より好ましくは40〜45%であるスチレンブタジエンゴムと、重量平均分子量が3万以下、好ましくは1万5千以下のスチレンブタジエンポリマーと、カーボンブラックと、硫黄とを含有するトレッド用ゴム組成物により構成されたトレッドを有するタイヤ、
〔2〕スチレンブタジエンゴムを構成するスチレンの2〜3量体の含有率が5〜20%、好ましくは10〜20%、より好ましくは13〜17%であり、前記スチレンの4量体以上の含有率が10%以下、好ましくは7%以下である上記〔1〕記載のタイヤ、
〔3〕スチレンブタジエンゴムのスチレン含量が30〜55質量%、好ましくは35〜50質量%、より好ましくは40〜45質量%である上記〔1〕または〔2〕記載のタイヤ、
〔4〕70℃における複素弾性率E*70が30〜110MPa、好ましくは40〜100MPa、より好ましくは50〜90MPaであり、下記式(1):
1≦(E*50+E*100)/(2×E*70)≦10 ・・・(1)
(式中、E*nは、n℃における複素弾性率を表す)を満たすことを特徴とするトレッド用ゴム組成物。
【実施例】
【0059】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0060】
実施例および比較例で使用した各種薬品について説明する。
SBR1〜8:後述のSBR1〜8の製造方法により調製した。各物性を表1に示す。
カーボンブラック:カーボンブラック(N2SA:230m2/g)
ポリマー1:液状SBR(スチレン含量:50質量%、重量平均分子量:6000、水添率:70%)
ポリマー2:液状SBR(スチレン含量:50質量%、重量平均分子量:20000、水添率:70%)
ポリマー3:液状SBR(スチレン含量:50質量%、重量平均分子量:50000、水添率:70%)
ナフテンオイル:JXエネルギー(株)製のJ
樹脂1:BASF社製のコレシン(フェノール系樹脂)
樹脂2:JX日鉱日石エネルギー(株)製の日石ネオポリマー(クマロンインデン樹脂)
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学(株)製のノクラックRD(ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン))
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸「つばき」
酸化亜鉛:微粒子酸化亜鉛(平均一次粒子径:100nm)
硫黄:細井化学工業(株)製のHK200−5(1.5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーTOT−N(テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド)
【0061】
以下、SBR1〜8の製造方法において用いた各種薬品をまとめて示す。
シクロヘキサン:関東化学(株)製のシクロヘキサン
1.6mol/Lのn−ブチルリチウムヘキサン溶液:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
イソプロパノール:関東化学(株)製のイソプロパノール
スチレン:関東化学(株)製のスチレン
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製の1,3−ブタジエン
テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA):関東化学(株)製のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
【0062】
SBR1の製造方法
十分に窒素置換した3Lの耐圧ステンレス容器にTMEDA(20mmol)およびn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(n−ブチルリチウムの含有量として0.083mmol)を投入した。次に、ブタジエン(60g)およびスチレン(40g)のヘキサン溶液(1000g)を、添加時の温度差が20℃以下となるようゆっくり滴下した。50℃で3時間重合反応を行った後、1mol/Lイソプロパノール/ヘキサン溶液を1500mL滴下し、反応を終了させた。次に重合液を24時間室温で蒸発させ、さらに80℃で24時間減圧乾燥し、SBR1を得た。
【0063】
SBR2の製造方法
SBR1の製造方法と同じ材料、製造装置を用い、反応条件を変更した以外はSBR1の製造方法と同じ方法によりSBR2を得た。
【0064】
SBR3の製造方法
十分に窒素置換した3Lの耐圧ステンレス容器にヘキサン1000g、ブタジエン60g、スチレン40g、およびTMEDA(20mmol)を投入した。次に、重合開始剤の失活に作用する不純物をあらかじめ無毒化させるために、スカベンジャーとして少量のn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液を重合容器に投入した。さらにn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(n−ブチルリチウムの含有量として0.083mmol)を加えた後、50℃で3時間重合反応を行った。3時間後、1mol/Lイソプロパノール/ヘキサン溶液を1500mL滴下し、反応を終了させた。次に重合液を24時間室温で蒸発させ、さらに80℃で24時間減圧乾燥し、SBR3を得た。
【0065】
SBR4の製造方法
SBR3の製造方法と同じ材料、製造装置を用い、n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液の添加量および反応条件を変更した以外はSBR3の製造方法と同じ方法によりSBR4を得た。
【0066】
SBR5の製造方法
SBR3の製造方法と同じ材料、製造装置を用い、n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液の添加量および反応条件を変更した以外はSBR3、4の製造方法と同じ方法によりSBR5を得た。
【0067】
SBR6の製造方法
SBR3の製造方法と同じ材料、製造装置を用い、反応条件を変更した以外はSBR3〜5の製造方法と同じ方法によりSBR6を得た。
【0068】
SBR7の製造方法
SBR3の製造方法と同じ材料、製造装置を用い、反応条件を変更した以外はSBR3〜6の製造方法と同じ方法によりSBR7を得た。
【0069】
SBR8の製造方法
SBR1の製造方法と同じ材料、製造装置を用い、スチレンの添加量および反応条件を変更した以外はSBR1、2の製造方法と同じ方法によりSBR8を得た。
【0070】
得られたSRB1〜8のスチレン含量、ビニル含量、ガラス転移点(Tg)、重量平均分子量(Mw)、スチレンの2量体および3量体の含有率、およびスチレンの4量体以上の含有率を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
実施例および比較例
表2および3に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度170℃になるまで5分間混練りし、混練物を得た。さらに、得られた混練物を前記バンバリーミキサーにより、排出温度150℃で4分間、再度混練りした(リミル)。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で12分間プレス加硫することで、試験用ゴム組成物を作製した。
【0073】
また、前記未加硫ゴム組成物を所定の形状の口金を備えた押し出し機でタイヤトレッドの形状に押し出し成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
【0074】
得られた試験用ゴム組成物および試験用タイヤについて下記の評価を行った。評価結果を表2および表3に示す。
【0075】
<300%伸張時応力(M300)>
各試験用ゴム組成物について、JIS K 6251:2010に基づき、ダンベル状1号形試験片を作製し、この試験片を用い、JIS K 6251:2010に記載の方法に従って、300%伸び時の引張応力M300(MPa)を測定した。結果は比較例2を100とする指数で示す。指数が大きいほど耐摩耗性能に優れることを示す。
【0076】
<粘弾性試験>
各試験用ゴム組成物について、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、50℃、初期歪10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下での複素弾性率E*50;70℃、初期歪10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下での複素弾性率E*70;100℃、初期歪10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下での複素弾性率E*100;およびtanδ(100℃tanδ)を測定した。得られた複素弾性率の値から下記式(1)の値を算出した。式(1)の値は1に近いほど温度依存性が少ないことを示す。また、100℃tanδは、比較例2を100とする指数で示す。指数が大きいほど走行中のグリップ性能に優れることを示す。なお、100℃tanδは90以上を目標値とする。
(E*50+E*100)/(2×E*70) ・・・(1)
【0077】
<初期グリップ性能>
各試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車の全輪に装着し、ドライアスファルト路面のテストコースにて10周の実車走行を行った。その際に2周目おける操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例2を100として指数表示をした。指数が大きいほど初期グリップ性能が高いことを示す。
【0078】
<耐摩耗性能>
各試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車の全輪に装着し、走行距離8000km後のタイヤトレッド部の溝深さを測定し、タイヤ溝深さが1mm減るときの走行距離を求めた。結果は比較例2のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離を100とする指数で示す。指数が大きいほど耐摩耗性能に優れることを示す。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
表2および3の結果より、所定のトレッド用ゴム組成物により構成されたトレッドを有する本発明のタイヤは、初期グリップ性能に優れることがわかる。その理由として、高ランダムSBRのスチレン量が35%以上と高いことによって、70℃付近のE*の温度依存性を小さく抑えつつ、100℃におけるtanδを高く維持することができ、その結果、ピークグリップを向上できているからと考えられる。また、表2および3の結果より、本発明のタイヤはトレッドの耐摩耗性が維持されている。その理由として、高ランダムSBRの分子量Mwが70万以上と高いことによって、70℃付近のE*の温度依存性を小さく抑えつつ、M300を高く維持することができ、その結果、アブレージョンの発生を抑制できているからと考えられる。