(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信管理部によって通信可能に接続された前記作業員端末に入力された前記作業員からのメッセージを示すメッセージデータを受信して、前記報知部に報知させるメッセージ管理部をさらに備える、
請求項1に記載の自走型装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。本実施形態では、複数階床を有する建物に配備される自走型通知装置1(自走型装置)について説明する。本実施形態では、自走型通知装置1が自走型のロボットである例を説明するが、自走型通知装置1はこの例に限定されない。また、自走型通知装置1は、自走機能と、上記建物に設置された昇降装置に関する情報を、該昇降装置の利用者に報知する報知機能とを備えていればよく、その他の機能は特に限定されない。例えば、自走型通知装置1は、人、物などの搬送機能を備えていてもよいし、掃除機能を備えていていてもよい。なお、本実施形態では、上記昇降装置がエレベータである例を説明するが、昇降装置はこの例に限定されない。
【0021】
自走型通知装置1は、上記建物のすべての階床に配備されてもよいし、一部の階床のみに配備されてもよい。後者の場合、例えば、自走型通知装置1は、エレベータが良く利用される階床、具体的には、駐車場が有る階床と、ロビーが有る階床とに配備されてもよい。自走型通知装置1は、1つの階床に1台配備されてもよいし、複数台配備されてもよい。自走型通知装置1は、エレベータの乗場ドア付近に配備されることが好ましいが、この例に限定されない。
【0022】
(自走型通知装置1の要部構成)
図1は、自走型通知装置1の要部構成の一例を示すブロック図である。自走型通知装置1は、制御部10、記憶部11、人感センサ12(検知部)、移動機構13(移動部)、スピーカ14(報知部)、マイク15、タッチパネル16(受付部、報知部)、カメラ17および通信部18を備えている。
【0023】
制御部10は、自走型通知装置1を統括的に制御する。記憶部11は、自走型通知装置1が使用するプログラムおよびデータを永続的に保持するハードウェアであり、ストレージと表現することもできる。記憶部11は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、ハードディスク装置、フラッシュメモリ、その他の不揮発性記憶装置として実現される。
【0024】
なお、記憶部11は、メモリカードのように着脱可能な記憶装置として実現されてもよい。また、自走型通知装置1に内蔵されたストレージの代わりに、外部の記憶装置に保存されているプログラムおよびデータを使用する構成が採用されてもよい。
【0025】
人感センサ12は、所定範囲内における人の存在を検知するセンサである。人感センサ12としては、既存の人感センサを使用することができ、例えば、人感センサ12は既存の赤外線センサであってもよい。人感センサ12は、人の存在を検知したことを示す検知信号を制御部10へ出力する。人感センサ12は、一例として、所定範囲内に人が存在する限り検知信号を制御部10へ出力し続ける。換言すれば、人感センサ12は、検知した人が所定範囲外へ移動した場合、検知信号の出力を停止する。
【0026】
移動機構13は、自走型通知装置1が移動するための駆動機構である。移動機構13は、車輪、キャタピラ、および歩行用の脚など、自走型通知装置1を移動させることができる駆動機構であればよい。
【0027】
スピーカ14は、自走型通知装置1が記憶している、または外部装置から取得した音声データに基づき、音声を出力する。マイク15は、自走型通知装置1の周辺で発生した音声を取得し、音声データに変換する。例えば、マイク15は、自走型通知装置1の利用者が発した声を取得し、音声データに変換する。マイク15は、該音声データを制御部10へ出力する。なお、自走型通知装置1の利用者とは、すなわちエレベータを利用しようとしている人である。以降、単に「利用者」と記載した場合、それはすなわち、エレベータを利用しようとしている人を指す。
【0028】
タッチパネル16は、自走型通知装置1が記憶している、または外部装置から取得した画像データに基づき、画像を表示する。ここで、画像とは、静止画像および動画像を含む。また、タッチパネル16は、利用者による、指示体を用いた入力操作を受け付ける。指示体は該利用者の体の一部、例えば指であってもよいし、入力操作のための物体、例えばタッチペンであってもよい。タッチパネル16は、上記入力操作に基づく入力信号を制御部10へ出力する。
【0029】
カメラ17は、自走型通知装置1の周辺を撮像し、画像データを生成する。カメラ17は例えば、利用者を含む範囲を撮像し、画像データ(撮像画像)を生成する。すなわち、カメラ17は、利用者に相当する部分を含む画像データを生成する。該画像データは、静止画像および動画像のいずれであってもよい。カメラ17は、取得した画像データを制御部10へ出力する。なお、以降、利用者に相当する部分を含む画像データを、「利用者を撮像した画像データ」と称する。
【0030】
通信部18は、自走型通知装置1と外部装置との情報の送受信を行う。外部装置は、例えば、エレベータに関連する作業を行う作業員が携帯している作業員端末2であるが、この例に限定されない。作業員端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末などであってもよいが、この例に限定されない。なお、本実施形態では、上記作業がエレベータのメンテナンス(保守点検)である、すなわち、メンテナンスによりエレベータの利用が制限される例を説明するが、エレベータに関連する作業はこの例に限定されない。例えば、該作業は故障したエレベータの修理であってもよい。また、該メンテナンスを行う作業員は1人であってもよいし、複数人であってもよい。後者の場合、すべての作業員が作業員端末2を携帯していてもよいし、一部の作業員のみが作業員端末を携帯していてもよい。
【0031】
なお、通信部18により送受信される情報は、利用者が発話した音声の音声信号と、作業員が発話した音声の音声信号とを含む。すなわち、自走型通知装置1は、通信部18により、利用者と作業員との通話を実現する。該通話は、音声信号の送受信のみの通話であってもよいし、音声信号および動画像の信号の送受信による通話(いわゆるテレビ電話)であってもよい。
【0032】
このように、自走型通知装置1は、人の検知、自走、音声の入出力、利用者の操作の受付、画像の表示、撮像および通信(通話を含む)という各種機能を実現するためのハードウェア構成を備えている。なお、自走型通知装置1が備えるハードウェア構成は、これら機能を実現することができるものであれば、上述の例に限定されない。例えば、
図1に示す自走型通知装置1は、操作の受付および画像の表示の機能を実現するためのハードウェア構成として、タッチパネル16を備えている。これに対して、自走型通知装置1は、操作の受付を実現する操作部と、画像の表示を実現するための、操作部と別体の表示部とを備えていてもよい。
【0033】
また、図示していないが、自走型通知装置1は、制御部10を実現するためのハードウェア構成として、さらに、プロセッサおよびメモリを備えていてもよい。プロセッサは、自走型通知装置1に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、メモリまたは記憶部11に格納されているプログラムに含まれる一連の命令を実行する。プロセッサは、一例として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)その他のデバイスとして実現される。メモリは、プログラムおよびデータを一時的に保存する。プログラムは、例えば、記憶部11からロードされる。データは、自走型通知装置1に入力されたデータと、プロセッサによって生成されたデータとを含む。メモリは、一例として、RAM(Random Access Memory)その他の揮発性メモリとして実現される。
【0034】
一例として、プロセッサは、記憶部11にアクセスし、記憶部11に格納されているプログラムをメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御部10に含まれている各部が構成される。
【0035】
該各部として、制御部10は、移動機構制御部101、報知制御部102(メッセージ管理部)、入力受付部103、通信制御部104、通話制御部105(通信管理部)およびデータ管理部106(利用者記録データ登録部)を含む。
【0036】
移動機構制御部101は、人感センサ12から取得した検知信号に基づき、移動機構13を制御して自走型通知装置1を移動させる。具体的には、移動機構制御部101は、人感センサ12から取得した検知信号に基づき、利用者の位置を特定する。そして、移動機構制御部101は、移動機構13を制御して、特定した位置の近傍に自走型通知装置1を移動させる。すなわち、移動機構制御部101は、検知した利用者の近傍に自走型通知装置1を移動させる。
【0037】
報知制御部102は、利用者にエレベータに関する情報を報知する。報知制御部102は、一例として、自走型通知装置1が利用者の近傍に移動した後、該情報を示す音声データに基づき、該情報を示す音声をスピーカ14から出力させる。これにより、利用者がエレベータに関する情報を認識することができる。なお、該音声データは、例えば、記憶部11に記憶されている音声データ112である。また、報知制御部102は、上記情報を示す画像データをタッチパネル16に表示させる。報知制御部102による報知の詳細については後述する。
【0038】
入力受付部103は、タッチパネル16に対する入力操作の入力信号を取得し、該信号に基づく処理の実行、または、該信号に基づく指示の制御部10の各部への出力を行う。一例として、入力受付部103は、自走型通知装置1と作業員端末2とを通話可能に接続するための接続指示を、通話制御部105へ出力する。
【0039】
通信制御部104は、通信部18を用いた、自走型通知装置1と外部装置(例えば、作業員端末2)との通信を制御する。通信制御部104は、通信部18が受信した、外部装置から送信された情報を取得し、該情報そのもの、または、該情報に基づく指示を制御部10の各部へ出力する。また、通信制御部104は、通信部18を介して、外部装置に各種情報を送信する。
【0040】
通話制御部105は、自走型通知装置1と作業員端末2との間の通話を制御する。通話制御部105は、入力受付部103からの接続指示を受けて、自走型通知装置1を、建物内に存在するいずれかの作業員端末2と通話可能に接続させる。そして、通話制御部105は、通信部18を介して、マイク15が取得した音声に基づく音声信号、例えば、利用者の発話音声に基づく音声信号を、作業員端末2へ送信する。また、通話制御部105は、通信部18が受信した音声信号、例えば、作業員の発話音声に基づく音声信号を取得する。通話制御部105は、該音声信号をスピーカ14から出力する。これにより、利用者と作業員との通話が実現される。
【0041】
データ管理部106は、自走型通知装置1が使用する各種データを管理する。データ管理部106は、一例として、カメラ17が生成した、利用者を撮像した画像データと、自走型通知装置1と作業員端末2とが通話可能に接続した時刻とを関連付けた利用者記録データを管理する。なお、該時刻はすなわち、利用者と作業員との通話が開始された通話開始時刻と表現することもできる。データ管理部106は、該利用者記録データを記憶部11に記憶されている利用者記録データベース111に格納(登録)する。
【0042】
(作業員端末2の要部構成)
図2は、作業員端末2の要部構成の一例を示すブロック図である。作業員端末2は、制御部20、記憶部21、スピーカ22、マイク23、タッチパネル24、カメラ25および通信部26を備えている。
【0043】
制御部20は、作業員端末2を統括的に制御する。記憶部21は、作業員端末2が使用するプログラムおよびデータを永続的に保持するハードウェアであり、ストレージと表現することもできる。記憶部21は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、ハードディスク装置、フラッシュメモリ、その他の不揮発性記憶装置として実現される。
【0044】
スピーカ22は、作業員端末2が記憶している、または外部装置から取得した音声データに基づき、音声を出力する。マイク23は、作業員端末2の周辺で発生した音声を取得し、音声データに変換する。例えば、マイク23は、作業員が発した声を取得し、音声データに変換する。マイク23は、該音声データを制御部20へ出力する。
【0045】
タッチパネル24は、作業員端末2が記憶している、または外部装置から取得した画像データに基づき、画像を表示する。ここで、画像とは、静止画像および動画像を含む。また、タッチパネル24は、作業員による、指示体を用いた入力操作を受け付ける。指示体は該作業員の体の一部、例えば指であってもよいし、入力操作のための物体、例えばタッチペンであってもよい。タッチパネル24は、上記入力操作に基づく入力信号を制御部20へ出力する。
【0046】
カメラ25は、作業員端末2の周辺を撮像し、画像データを生成する。カメラ25は例えば、作業員を含む範囲を撮像し、画像データを生成する。すなわち、カメラ25は、作業員に相当する部分を含む画像データを生成する。該画像データは、静止画像および動画像のいずれであってもよい。カメラ25は、取得した画像データを制御部20へ出力する。なお、該画像データが動画像である場合、該画像データは、例えば、利用者とのテレビ電話に使用されてもよい。
【0047】
通信部26は、作業員端末2と外部装置との情報の送受信を行う。外部装置は、例えば、自走型通知装置1であるが、この例に限定されない。なお、通信部26により送受信される情報は、作業員が発話した音声の音声信号と、利用者が発話した音声の音声信号とを含む。すなわち、作業員端末2は、通信部18により、利用者と作業員との通話を実現する。
【0048】
このように、作業員端末2は、音声の入出力、利用者の操作の受付、画像の表示、撮像および通信(通話を含む)という各種機能を実現するためのハードウェア構成を備えている。なお、作業員端末2が備えるハードウェア構成は、これら機能を実現することができるものであれば、上述の例に限定されない。例えば、
図2に示す作業員端末2は、操作の受付および画像の表示の機能を実現するためのハードウェア構成として、タッチパネル24を備えている。これに対して、作業員端末2は、操作の受付を実現する操作部と、画像の表示を実現するための、操作部と別体の表示部とを備えていてもよい。
【0049】
また、図示していないが、作業員端末2は、制御部20を実現するためのハードウェア構成として、さらに、プロセッサおよびメモリを備えていてもよい。プロセッサは、作業員端末2に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、メモリまたは記憶部21に格納されているプログラムに含まれる一連の命令を実行する。プロセッサは、一例として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)その他のデバイスとして実現される。メモリは、プログラムおよびデータを一時的に保存する。プログラムは、例えば、記憶部21からロードされる。データは、作業員端末2に入力されたデータと、プロセッサによって生成されたデータとを含む。メモリは、一例として、RAM(Random Access Memory)その他の揮発性メモリとして実現される。
【0050】
一例として、プロセッサは、記憶部21にアクセスし、記憶部21に格納されているプログラムをメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御部20に含まれている各部が構成される。
【0051】
該各部として、制御部20は、入力受付部201、通信制御部202および通話制御部203を含む。
【0052】
入力受付部201は、タッチパネル24に対する入力操作の入力信号を取得し、該信号に基づく処理の実行、または、該信号に基づく指示の制御部20の各部への出力を行う。一例として、入力受付部201は、上記入力操作に基づき、利用者へのエレベータに関する情報の報知のためのデータを生成する。該データは、例えば、テキストデータとして生成されてもよい。入力受付部201は、該データをメッセージデータ212として記憶部21に記憶する。
【0053】
通信制御部202は、通信部26を用いた、作業員端末2と外部装置(例えば、自走型通知装置1)との通信を制御する。通信制御部202は、通信部26が受信した、外部装置から送信された情報を取得し、該情報そのもの、または、該情報に基づく指示を制御部20の各部へ出力する。また、通信制御部202は、通信部26を介して、外部装置に各種情報を送信する。通信制御部202は、例えば、入力受付部201からの指示に基づいて記憶部21からメッセージデータ212を読み出し、自走型通知装置1へ送信する。これにより、例えば自走型通知装置1がメッセージデータ212に基づき、利用者へのエレベータに関する情報の報知のための画像データおよび音声データを生成する。
【0054】
通話制御部203は、自走型通知装置1と作業員端末2との間の通話を制御する。通話制御部203は、作業員端末2と自走型通知装置1とが通話可能に接続すると、通信部26を介して、マイク23が取得した音声に基づく音声信号、例えば、作業員の発話音声に基づく音声信号を、自走型通知装置1へ送信する。また、通話制御部203は、通信部26が受信した音声信号、例えば、自走型通知装置1の利用者の発話音声に基づく音声信号を取得する。通話制御部203は、該音声信号をスピーカ22から出力する。これにより、利用者と作業員との通話が実現される。
【0055】
(メッセージデータに基づく画像表示)
図3は、メッセージデータに基づく画像表示に係る、自走型通知装置1と作業員端末2とが実行する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。なお、以降、建物にはエレベータが1台設置されており、各階床に自走型通知装置1が配備されている例を説明する。
【0056】
入力受付部201は、タッチパネル24に対するメッセージの入力を受け付ける(ステップS1、以下「ステップ」の記載を省略)。具体的には、入力受付部201は、タッチパネル24に対するメッセージの入力操作の入力信号を取得する。そして、入力受付部201は、該信号に基づきメッセージデータ212を生成し(S2)、記憶部21に記憶するとともに、通信制御部202に、生成したメッセージデータ212を送信するよう指示する。
【0057】
通信制御部202は、入力受付部201からの指示に従い、すべての自走型通知装置1へ、記憶部21から読み出したメッセージデータ212を送信する(S3)。
【0058】
通信制御部104は、メッセージデータ212を受信し(S11)、報知制御部102へ出力する。報知制御部102は、該メッセージデータ(テキストデータ)に基づき、利用者にエレベータに関する情報を報知するための画像データおよび音声データを生成する。音声データの生成は、例えば、既存の音声変換技術を用いて行ってもよい。なお、ここでの「音声変換」とは、テキストデータを音声データに変換することを指す。
【0059】
報知制御部102は、生成した音声データを音声データ112として記憶部11に記憶する。また、報知制御部102は、生成した画像データに基づく画像をタッチパネル16に表示させることにより、メッセージを表示させる(S12)。
【0060】
図4は、報知の一具体例を示す図である。
図4に示すように、報知制御部102は、一例として、画像161および画像162をタッチパネル16に表示させる。画像161は、「午後3時までメンテナンスを行っています」とのテキストを含む画像である。画像162は、「エレベータの利用が必要な方はここをタッチしてください。作業員との通話を開始します。」とのテキストを含む画像である。
【0061】
画像161および画像162をタッチパネル16に表示させることにより、自走型通知装置1は、利用者に、午後3時までエレベータのメンテナンスが行われており、エレベータが利用できないことを報知することができる。さらに、自走型通知装置1は、利用者に、エレベータを利用したい場合は、作業員と通話し、その旨を伝えることができることを報知することができる。
【0062】
なお、
図3に示す処理は、メンテナンス中も実行することができる。すなわち、作業員は、メンテナンス中に作業員端末2を用いて新たなメッセージデータを作成し、自走型通知装置1へ送信することにより、タッチパネル16に表示される画像の内容、換言すれば利用者に報知する内容を変更することができる。これにより、例えば、メンテナンスの作業の遅れなどで、現在報知している時刻までにメンテナンスが終わらないことが予想される場合、利用者に報知するメンテナンスの終了予定時刻を変更することができる。
【0063】
(音声報知処理の流れ)
図5は、自走型通知装置1が実行する音声報知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6は、自走型通知装置1の配備の一具体例を示す図である。
【0064】
本実施形態に係る自走型通知装置1は、一例として、エレベータ周辺(エレベータの乗場)の所定位置を予め記憶しており、人を検知していない場合は、該位置にて待機している。
【0065】
例えば、自走型通知装置1は、メンテナンス中は、
図6に示すように、エレベータの乗場ドアDの近傍、具体的には、乗場呼びボタンB(呼びボタン)の前の位置にて待機する。すなわち、自走型通知装置1の記憶部11には、該位置を示す位置情報(不図示)と、メンテナンスの開始時刻および終了時刻とが記憶されており、移動機構制御部101は、メンテナンスの開始時刻となると、該位置情報が示す位置に自走型通知装置1を移動させる。以降、該位置を「ホームポジション」と称する。なお、上記開始時刻は、例えば、メッセージデータとともに作業員端末2から受信すればよい。
【0066】
これにより、利用者が乗場呼びボタンBを押しづらい状況となるため、メンテナンス中であることに利用者が気付かず乗場呼びボタンBを押してしまうという状況を回避することができる。また、エレベータの利用者は乗場呼びボタンBを押すために自走型通知装置1に向かって来るため自走型通知装置1はエレベータの利用者を容易に判別することができる。
【0067】
利用者が乗場呼びボタンBを押しづらい状況を作るために、自走型通知装置1の高さは、900mm以上であることが好ましい。900mmとは、床面から乗場呼びボタンBが設置された位置までの高さの、エレベータ協会の標準値である。なお、自走型通知装置1の高さは、1200mm以上であることがより好ましい。
【0068】
なお、自走型通知装置1は、メンテナンスが行われていない場合、上記ホームポジションと異なる位置にて待機、あるいは何らかの機能を実行するために動作してもよい。待機する場合、該位置は、利用者によるエレベータの利用の邪魔にならない位置が好ましい。つまり、自走型通知装置1は、メンテナンスが始まる前は、ホームポジションと異なる位置にいる。そして、移動機構制御部101は、上記開始時刻にホームポジションに位置するように、該位置(現在位置)からホームポジションに自走型通知装置1を移動させる。例えば、移動機構制御部101は、開始時刻の所定時間前の時刻に、ホームポジションへの移動を開始させてもよい。なお、自走型通知装置1が乗場呼びボタンBを検知して、その近傍に移動する構成であってもよい。この構成の場合、予めホームポジションの位置情報を記憶しておく必要はない。該検知は、例えば画像認識により行なえばよい。
【0069】
図5に示すフローチャートは、自走型通知装置1がホームポジションにて待機している状態からの処理を示す。
【0070】
移動機構制御部101は、人感センサ12からの検知信号の取得、すなわち、人感センサ12による人の検知を待機している(S21)。移動機構制御部101は、検知信号を取得すると(S21でYES)、移動機構13を制御して、自走型通知装置1を検知した人(エレベータの利用者)の近傍へ移動させる(S22)。また、移動機構制御部101は、移動が完了すると、検知信号の取得をデータ管理部106および報知制御部102へ通知する。
【0071】
データ管理部106は、該通知に基づいてカメラ17を起動し、利用者の撮像を開始させる(S23)。なお、本実施形態では、カメラ17は画像データとして、動画像のデータ(映像データ)を生成するものとする。
【0072】
報知制御部102は、上記通知に基づいて、記憶部11から音声データ112を読み出し、該音声データ112に基づく音声をスピーカ14から出力させる。該音声の内容は、一例として、画像161および画像162のテキストの内容である。すなわち、報知制御部102は、メンテナンス中である旨と、作業員への連絡方法とを音声出力させる(S24)。
【0073】
図7は、利用者に対する音声報知の一具体例を示す図である。
図7に示すように、自走型通知装置1は、利用者U1の近傍に移動する。そして、自走型通知装置1は、「午後3時までメンテナンスを行っています。エレベータの利用が必要な方はここをタッチしてください。作業員との通話を開始します。」との音声を出力する。
【0074】
これにより、利用者U1は、エレベータが利用できないことを認識することができる。さらに、利用者U1は、エレベータを利用したい場合は、作業員と通話し、その旨を伝えることができることを認識することができる。
【0075】
再び
図5に戻り、音声報知処理の説明を行う。入力受付部103は、連絡を希望する入力に基づく入力信号を待機している(S25)。本実施形態では、該入力のための操作は、画像162が表示されている領域へのタッチ操作(通話要求操作)であるとする。該操作の入力信号を受け付けた場合(S25でYES)、入力受付部103は、自走型通知装置1と作業員端末2とを通話可能に接続するための接続指示を、通話制御部105へ出力する。これにより、通話処理(S26)が開始される。
【0076】
図8は、
図5に示す通話処理の流れの一例を示すフローチャートである。通話制御部105は、接続指示を受け付けると、現在時刻を特定する(S31)。続いて、通話制御部105は、作業員端末2へ通話リクエストを送信する(S32)。一例として、通話制御部105は、自走型通知装置1が配備されている建物の作業を行う各作業員端末2に対し、順番に通話リクエストを送信する。具体的には、通話制御部105は、接続指示を受け付けると、作業員端末2のいずれかを選択する。そして、選択した作業員端末2に対し通話リクエストを送信する。
【0077】
通話制御部105は、作業員端末2からの応答可能信号を待機する状態となる(S33)。具体的には、S32の処理が実行されたことにより、作業員端末2は、通話リクエストの受信を作業員に報知する。例えば、制御部20は、スピーカ22から着信音を出力させることにより、通話リクエストの受信を作業員に報知する。そして、作業員が作業員端末2に対し所定の操作(通話開始操作)を行うことにより、応答可能信号が自走型通知装置1へ送信される。具体的には、入力受付部201は、タッチパネル24に対して入力された通話開始操作の入力信号を受け付けると、通話制御部203へ応答を指示する。通話制御部203は、該指示に基づき、応答可能信号を自走型通知装置1へ送信する。
【0078】
通話リクエストの送信から所定時間(例えば30秒)が経過しても応答可能信号を受信しない場合、通話制御部105は、別の作業員端末2を選択する。そして、選択した作業員端末2に対し通話リクエストを送信する。以降、通話制御部105は、応答可能信号を受信するまでのこの処理を繰り返す。
【0079】
作業員端末2の選択において、作業員端末2に優先度が設定されていてもよい。例えば、メンテナンス作業の責任者が所有する作業員端末2に、最も高い優先度が設定されていてもよい。また、通話リクエストを送信する順番が、予め決まっていてもよい。
【0080】
すべての作業員端末2に対し通話リクエストを送信し、いずれの作業員端末2からも応答可能信号を受信しない場合(S33でNO)、通話制御部105は、特定した時刻から所定時間(例えば、3分)が経過したか否かを判定する(S38)。所定時間が経過している場合(S38でYES)、通話制御部105は、通話ができない旨を報知制御部102へ通知する。報知制御部102は、該通知に基づき、通話不可を利用者に報知する(S39)。報知制御部102は、例えば、「申し訳ございませんが、現在作業員との通話はできません。」との内容の音声をスピーカ14から出力させる。該音声の音声データは、例えば、音声データ112として記憶部11に記憶されている。S39の処理が実行されると、通話処理は終了し、自走型通知装置1が実行する処理は、
図5に示す音声報知処理に戻る。
【0081】
特定した時刻から所定時間が経過していない場合(S38でNO)、通話制御部105は、特定した時刻から所定時間が経過するまで、応答可能信号を待機する。
【0082】
一方、S33において応答可能信号を受信した場合(S33でYES)、通話制御部105は、応答可能信号を送信した作業員端末2と通話可能に接続する(S34)。これにより、通話制御部105は、作業員端末2との間での音声信号の送受信が可能となる(すなわち、通話が開始される)。通話制御部105は、音声信号の送受信が可能となった時刻である通話開始時刻を、データ管理部106へ出力する。なお、通話制御部105は、最初に受信した応答可能信号を送信した作業員端末2と通話可能に接続する。
【0083】
データ管理部106は、映像データからキャプチャした静止画像のデータと、取得した通話開始時刻とを対応付け、利用者記録データベース111に格納する(S35)。
【0084】
入力受付部103は、通話開始後、通話を終了させるための通話終了操作を待機している(S36)。具体的には、入力受付部103は、通話を終了するための通話終了操作に基づく入力信号の受け付けを待機している。該入力信号を受け付けると(S36でYES)、入力受付部103は、通話制御部105へ通話終了指示を出力する。なお、通話終了操作は、例えば、通話中における画像162が表示されている領域へのタッチ操作であってもよい。なお、通話中においては、該領域には画像162と異なる画像が表示されていてもよい。該画像は、例えば、該画像の表示されている領域へのタッチ操作により、通話が終了する旨のテキストを含む画像であってもよい。
【0085】
通話制御部105は、通話終了指示を取得すると、作業員端末2との接続を切断する(S37)。そして、通話処理は終了し、自走型通知装置1が実行する処理は、
図5に示す音声報知処理に戻る。
【0086】
なお、通話終了は、作業員端末2への操作をトリガとして行われてもよい。すなわち、入力受付部201は、通話開始後、通話を終了させるための通話終了操作を待機している。具体的には、入力受付部201は、通話終了操作に基づく入力信号の受け付けを待機している。該入力信号を受け付けると、入力受付部201は、通話制御部203へ通話終了指示を出力する。通話制御部203は、通話終了指示を取得すると、自走型通知装置1との接続を切断する。また、通話リクエスト中に利用者を検知しなくなれば通話リクエストをキャンセルしてもよい。
【0087】
再び
図5を参照して、音声報知処理について説明する。利用者と作業員との通話が終了すると、通話制御部105は、その旨を移動機構制御部101へ通知する。移動機構制御部101は、該通知を受けると、移動機構13を制御して、自走型通知装置1をホームポジションへ移動させる(S27)。以上で、音声報知処理は終了する。
【0088】
なお、移動機構制御部101は、通話終了後、利用者が検知できなくなった時点で自走型通知装置1をホームポジションへ移動させてもよい。
【0089】
また、S25において、連絡を希望する入力を受け付けない場合(S25でNO)、移動機構制御部101は、検知信号の出力停止を待機する。すなわち、移動機構制御部101は、人感センサ12が人を検知できなくなるまで待機する(S28)。検知信号の出力が停止された場合、すなわち、人感センサ12が人を検知できなくなった場合(S28でYES)、移動機構制御部101は、S27の処理を実行する。
【0090】
(利用者記録データの出力)
図9は、自走型通知装置1と作業員端末2とが実行する利用者記録データ出力処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0091】
入力受付部201は、タッチパネル24に対する利用者記録データリクエスト操作(利用者記録データ要求操作)の入力を受け付ける(S41)。具体的には、入力受付部201は、タッチパネル24に対する該操作の入力信号を取得する。入力受付部201は、該入力信号を取得すると、通信制御部202に、利用者記録データリクエストの送信を指示する。
【0092】
通信制御部202は、入力受付部201からの指示に従い、利用者記録データリクエストをすべての自走型通知装置1へ送信する(S42)。なお、利用者記録データリクエストは、期間の情報を含む。すなわち、利用者記録データリクエストは、該期間内の利用者記録データのリクエストである。つまり、利用者記録データリクエスト操作は、期間を設定する操作を含む。
【0093】
通信制御部104は、利用者記録データリクエストを受信する(S51)。通信制御部104は、受信した利用者記録データリクエストをデータ管理部106へ出力する。データ管理部106は、取得した利用者記録データリクエストに基づき、設定された期間内の利用者記録データを記憶部11(利用者記録データベース111)から読み出し、通信制御部104へ出力する。
【0094】
通信制御部104は、取得した利用者記録データを、利用者記録データリクエストを送信した作業員端末2へ送信する(S52)。
【0095】
通信制御部202は、利用者記録データを受信する(S43)と、利用者記録データ211として記憶部21へ記憶する。
【0096】
これにより、作業員は、自身が設定した期間内における、メンテナンス中のエレベータ利用の発生を示すデータを取得し、利用することができる。例えば、作業員は、今回のメンテナンスにかかった時間を上記期間として設定することで、該メンテナンス中のエレベータ利用の発生を示すデータを取得することができる。これにより、メンテナンスごとのエレベータ利用の発生回数を蓄積することができる。
【0097】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態では、複数階床を有する建物に配備される自走型通知装置1Aについて説明する。なお、自走型通知装置1Aについて、自走型通知装置1と同様の構成や機能などについては、ここでは説明を繰り返さない。
【0098】
(自走型通知装置1Aの要部構成)
図10は、自走型通知装置1Aの要部構成の一例を示すブロック図である。自走型通知装置1Aが、自走型通知装置1と異なる点は、制御部10に代えて制御部10Aを備えている点である。制御部10Aが制御部10と異なる点は、利用者属性判定部107を新たに含む点である。
【0099】
利用者属性判定部107は、人感センサ12により検知された利用者の属性を判定する。一例として、利用者属性判定部107は、カメラ17が利用者を撮像した画像データに基づき、利用者の属性を判定する。具体的には、利用者属性判定部107は、画像データにおいて、利用者が、(i)車椅子利用者であるか否か、(ii)荷物用台車またはベビーカーの使用者であるか否か、および(iii)高齢者であるか否か、を判定する。すなわち、利用者属性判定部107は、利用者が、階段での階床間の移動が困難な利用者(以下、「階段移動困難者」と記載する)であるか否かを判定する。
【0100】
利用者属性判定部107は、一例として、上記(i)〜(iii)を、画像認識を用いて判定する。画像認識は、既存の技術を用いることができる。上記(i)および(ii)について、利用者属性判定部107は、画像認識にて、車椅子、荷物用台車、ベビーカーが認識されるか否かを判定する。(iii)について、利用者属性判定部107は、利用者の顔に相当する部分に基づき年齢を推定し、該年齢が所定の閾値(例えば、60歳)以上である場合、高齢者と判定する。
【0101】
本実施形態に係る入力受付部103は、通話要求操作に基づく入力信号を受け付けると、利用者属性判定部107に対し、利用者属性の判定を指示する。利用者属性判定部107は、該指示に従い、階段移動困難者であるか否かの判定を行う。
【0102】
階段移動困難者であると判定した場合、利用者属性判定部107は、接続指示を通話制御部105へ出力する。つまり、利用者属性判定部107は、階段移動困難者であると判定した場合、自走型通知装置1Aと作業員端末2とを通話可能に接続させ、利用者と作業員との通話を開始させる。
【0103】
一方、階段移動困難者でないと判定した場合、利用者属性判定部107は、報知制御部102に対し、音声の出力を指示する。報知制御部102は、該指示に従い、階段利用を促す音声をスピーカ14から出力させる(階段利用を促す情報を提示する)。つまり、報知制御部102は、利用者が健常者や若者である場合、階段利用を促す音声をスピーカ14から出力させる。
【0104】
利用者が若者であるか否かの判定は、例えば、以下のように行えばよい。すなわち、利用者属性判定部107は、利用者の顔に相当する部分に基づき年齢を推定し、該年齢が所定の範囲内である場合、若者と判定する。該範囲は、例えば、13歳〜59歳であってもよい。このように範囲を設定すれば、高齢者のみならず、自力で階段を上ることが難しい子供に対して、階段利用を促す音声が出力されない。なお、利用者属性判定部107は、該範囲外の年齢と推定された利用者を、階段移動困難者と判定してもよい。
【0105】
なお、利用者属性判定部107は、車椅子、荷物用台車、ベビーカーの他、杖、ヘルプマーク、マタニティマーク、介助犬、シルバーカーなどを画像認識した場合に、階段利用困難者と判定してもよい。
【0106】
(音声報知処理の流れ)
図11は、自走型通知装置1Aが実行する音声報知処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図11に示すフローチャートにおいて、
図5に示すフローチャートと同じ処理を実行するステップについては、同じステップ番号を付している。また、このようなステップについては、ここでは説明を繰り返さない。
【0107】
通話要求操作の入力信号を受け付けた場合(S25でYES)、入力受付部103は、利用者の属性を判定するよう、利用者属性判定部107へ指示する。該指示に従い、利用者属性判定部107は、検知した人が階段移動困難者であるか否かを判定する(S61)。
【0108】
階段移動困難者であると判定した場合(S61でYES)、利用者属性判定部107は、接続指示を通話制御部105へ出力する。これにより、通話処理(S26)が開始される。なお、通話処理については
図8を用いて既に説明しているため、ここでは説明を繰り返さない。
【0109】
階段移動困難者でないと判定した場合(S61でNO)、利用者属性判定部107は、報知制御部102に対し、音声の出力を指示する。報知制御部102は、該指示に従い、階段利用を促す音声をスピーカ14から出力させる(S62)。
【0110】
図12は、利用者に対する音声報知の一具体例を示す図である。具体的には、
図12は、階段移動困難者でないと判定された利用者に対する音声報知の一具体例を示す図である。
【0111】
図12に示すように、自走型通知装置1Aは、階段移動困難者でないと判定された利用者U2に対し、「恐れ入りますが、階段の利用をお願い致します。」との音声を出力する。該音声の音声データは、例えば、音声データ112として記憶部11に記憶されている。
【0112】
以上のように、自走型通知装置1Aは、通話要求操作を入力した利用者が階段移動困難者であるか否かを判定し、階段利用困難者であると判定した場合、作業員端末2と通話可能に接続する。一方、階段利用困難者でないと判定した場合、階段の利用を促す音声を出力する。
【0113】
これにより、利用者によるエレベータの利用による、メンテナンスの中断を減らすことができる。結果として、メンテナンスの遅れ、エレベータ利用の再開の遅れを最低限とすることができる。
【0114】
なお、自走型通知装置1Aは、利用者が階段移動困難者であるか否かの判定に基づき、
図11のS24にて出力する音声の内容を変える構成であってもよい。具体的には、データ管理部106は、利用者の撮像を開始すると、映像データを利用者属性判定部107へ出力する。利用者属性判定部107は、該映像データに基づき、利用者が階段移動困難者であるか否かを判定し、判定結果を報知制御部102へ出力する。
【0115】
報知制御部102は、該判定結果に応じた音声データの音声をスピーカ14から出力させる。具体的には、報知制御部102は、判定結果が階段移動困難者であることを示している場合、メンテナンス中である旨と、作業員への連絡方法とを報知するための音声データを用いて、音声をスピーカ14から出力させる(
図7参照)。一方、報知制御部102は、判定結果が階段移動困難者でないことを示している場合、メンテナンス中である旨を報知し、階段利用を促すための音声データを用いて、音声をスピーカ14から出力させる。これにより、利用者が階段利用困難者でない場合に、意味のない通話要求操作を行わないようにすることができる。
【0116】
また、報知制御部102は、判定結果が階段移動困難者でないことを示している場合、画像162の領域に対するタッチ操作、すなわち通話要求操作を無効にするよう、入力受付部103に指示してもよい。入力受付部103は、該指示に従い、通話要求操作の入力信号を受け付けた場合、該信号に基づく処理を行わない。また、この例において、報知制御部102は、判定結果が階段移動困難者でないことを示している場合、画像162に代えて、階段移動を促すテキストを含む画像を、タッチパネル16に表示させてもよい。
【0117】
〔実施形態3〕
本発明のさらなる別の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態では、複数階床を有する建物に配備される自走型通知装置1Bと、管理サーバ3(管理装置)とを含むシステムについて説明する。なお、自走型通知装置1Bについて、自走型通知装置1と同様の構成や機能などについては、ここでは説明を繰り返さない。
【0118】
(自走型通知装置1Bの要部構成)
図13は、自走型通知装置1Bの要部構成の一例を示すブロック図である。自走型通知装置1Bが、自走型通知装置1と異なる点は、制御部10および記憶部11に代えて制御部10Bおよび記憶部11Bを備えている点である。
【0119】
記憶部11Bが記憶部11と異なる点は、利用者記録データベース111を記憶していない点である。また、制御部10Bが制御部10と異なる点は、データ管理部106を含まない点である。
【0120】
また、本実施形態に係る通話制御部105は、入力受付部103からの指示に従い、管理サーバ3へ、作業員端末2との通話を開始するための通話リクエストを送信する。
【0121】
また、本実施形態に係る制御部10は、図示しない撮像制御部を含む。撮像制御部は、移動機構制御部101からの通知に基づいてカメラ17を起動し、利用者の撮像を開始させる。そして、映像データを管理サーバ3へリアルタイムに送信する。
【0122】
(管理サーバ3の要部構成)
図14は、管理サーバ3の要部構成の一例を示すブロック図である。管理サーバ3は、自走型通知装置1Bを管理するサーバである。管理サーバ3は、制御部30、記憶部31および通信部32を備えている。
【0123】
制御部30は、管理サーバ3を統括的に制御する。記憶部31は、管理サーバ3が使用するプログラムおよびデータを永続的に保持するハードウェアであり、ストレージと表現することもできる。記憶部31は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、ハードディスク装置、フラッシュメモリ、その他の不揮発性記憶装置として実現される。
【0124】
なお、記憶部31は、メモリカードのように着脱可能な記憶装置として実現されてもよい。また、管理サーバ3に内蔵されたストレージの代わりに、外部の記憶装置に保存されているプログラムおよびデータを使用する構成が採用されてもよい。
【0125】
通信部32は、管理サーバ3と外部装置との情報の送受信を行う。外部装置は、例えば、自走型通知装置1Bおよび作業員端末2であるが、この例に限定されない。
【0126】
また、図示していないが、管理サーバ3は、制御部30を実現するためのハードウェア構成として、さらに、プロセッサおよびメモリを備えていてもよい。プロセッサは、管理サーバ3に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、メモリまたは記憶部31に格納されているプログラムに含まれる一連の命令を実行する。プロセッサは、一例として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)その他のデバイスとして実現される。メモリは、プログラムおよびデータを一時的に保存する。プログラムは、例えば、記憶部31からロードされる。データは、管理サーバ3に入力されたデータと、プロセッサによって生成されたデータとを含む。メモリは、一例として、RAM(Random Access Memory)その他の揮発性メモリとして実現される。
【0127】
一例として、プロセッサは、記憶部31にアクセスし、記憶部31に格納されているプログラムをメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御部30に含まれている各部が構成される。
【0128】
該各部として、制御部30は、通話管理部301、通信管理部302およびデータ管理部303を含む。
【0129】
通話管理部301は、自走型通知装置1Bと作業員端末2との間の通話を管理する。具体的には、通話管理部301は、自走型通知装置1Bから受信した通話リクエストを、通信部32を介して作業員端末2へ転送する。そして、通話管理部301は、作業員端末2から応答可能信号を受信すると、該応答可能信号を送信した作業員端末2と、通話リクエストを送信した自走型通知装置1Bとを通話可能に接続する。
【0130】
通信管理部302は、通信部32を用いた、管理サーバ3と外部装置(例えば、自走型通知装置1および作業員端末2)との通信を制御する。通信管理部302は、通信部32が受信した、外部装置から送信された情報を取得し、該情報そのもの、または、該情報に基づく指示を制御部30の各部へ出力する。また、通信管理部302は、通信部32を介して、外部装置に各種情報を送信する。
【0131】
具体的には、通信管理部302は、自走型通知装置1Bから受信した映像データをデータ管理部303へ出力する。また、通信管理部302は、作業員端末2から受信したメッセージデータを自走型通知装置1Bへ転送する。また、通信管理部302は、作業員端末2から受信した利用者データリクエストを、データ管理部303へ出力する。そして、通信管理部302は、データ管理部303から取得した利用者記録データを、作業員端末2へ送信する。
【0132】
データ管理部303は、管理サーバ3が使用する各種データを管理する。データ管理部303は、一例として、自走型通知装置1Bから受信した映像データからキャプチャした画像データと、通話開始時刻とを関連付けた利用者記録データを管理する。データ管理部303は、該利用者記録データを記憶部31に記憶されている利用者記録データベース111に格納する。
【0133】
また、データ管理部303は、通信管理部302から取得した利用者データリクエストが示す期間の利用者記録データを、利用者記録データベース111から読み出し、通信管理部302へ出力する。
【0134】
(音声報知処理の流れ)
図15は、自走型通知装置1Bが実行する音声報知処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図15に示すフローチャートにおいて、
図5に示すフローチャートと同じ処理を実行するステップについては、同じステップ番号を付している。また、このようなステップについては、ここでは説明を繰り返さない。
【0135】
S22の処理の実行による自走型通知装置1Bの移動が完了すると、移動機構制御部101は、検知信号の取得を撮像制御部および報知制御部102へ通知する。
【0136】
撮像制御部は、該通知に基づいてカメラ17を起動し、利用者の撮像を開始させる。そして、撮像の結果物としての映像データを通信制御部104へ出力する。通信制御部104は、該映像データをリアルタイムに管理サーバ3へ送信する(S71)。
【0137】
S25の処理の実行により、接続指示が入力受付部103から通話制御部105へ出力されると、通話制御部105は、管理サーバ3へ通話リクエストを送信する(S72)。そして、通話制御部105は、作業員端末2との接続、すなわち通話開始を待機する(S73)。管理サーバ3により作業員端末2と通話可能に接続されると(S73でYES)、利用者と作業員との通話が開始される(S74)。
【0138】
入力受付部103は、通話開始後、通話を終了させるための通話終了操作を待機している(S75)。具体的には、入力受付部103は、通話を終了するための通話終了操作に基づく入力信号の受け付けを待機している。該入力信号を受け付けると(S75でYES)、入力受付部103は、通話制御部105へ通話終了指示を出力する。なお、通話終了操作は、例えば、通話中における画像162が表示されている領域へのタッチ操作であってもよい。なお、通話中においては、該領域には画像162と異なる画像が表示されていてもよい。該画像は、例えば、該画像の表示されている領域へのタッチ操作により、通話が終了する旨のテキストを含む画像であってもよい。
【0139】
通話制御部105は、通話終了指示を取得すると、通話を終了させるための通話終了信号を管理サーバ3へ送信する(S76)。そして、通話制御部105は通話終了を待機する状態となる。管理サーバ3により作業員端末2との接続が切断され、通話が終了されると(S77)、通話制御部105は、その旨を移動機構制御部101へ通知する。移動機構制御部101は、該通知を受けると、移動機構13を制御して、自走型通知装置1をホームポジションへ移動させる(S27)。以上で、音声報知処理は終了する。
【0140】
なお、通話終了は、作業員端末2への操作をトリガとして行われてもよい。すなわち、入力受付部201は、通話開始後、通話を終了させるための通話終了操作を待機している。具体的には、入力受付部201は、通話終了操作に基づく入力信号の受け付けを待機している。該入力信号を受け付けると、入力受付部201は、通話制御部203へ通話終了指示を出力する。通話制御部203は、通話終了指示を取得すると、通話を終了させるための通話終了信号を管理サーバ3へ送信する。そして、通話制御部203は通話終了を待機する状態となる。管理サーバ3により自走型通知装置1Bとの接続が切断されると、通話が終了する。この場合、通話制御部105は、管理サーバ3により作業員端末2との接続が切断されたことにより、通話の終了を検知する。そして、通話制御部105は、その旨を移動機構制御部101へ通知し、移動機構制御部101はS27の処理を実行する。
【0141】
S73において、作業員端末2と通話可能に接続されていない場合(S73でNO)、管理サーバ3から通話不可通知を受信する場合がある(S78でYES)。通話制御部105は、通話不可通知を受信すると、通話ができない旨を報知制御部102へ通知する。報知制御部102は、該通知に基づき、通話不可を利用者に報知する(S79)。
【0142】
(接続処理の流れ)
図16は、管理サーバ3が実行する接続処理の流れの一例を示すフローチャートである。接続処理は、自走型通知装置1Bと作業員端末2とを通話可能に接続する処理である。
【0143】
通話管理部301は、自走型通知装置1Bから通話リクエストを受信すると(S81)、現在時刻を特定する(S82)。続いて通話管理部301は、メンテナンスを行っている作業員が所持している作業員端末2へ通話リクエストを送信する(S83)。
【0144】
一例として、通話管理部301は、各作業員端末2に対し、順番に通話リクエストを送信する。具体的には、通話管理部301は、通話リクエストを受信すると、作業員端末2のいずれかを選択する。そして、選択した作業員端末2に対し通話リクエストを送信する。なお、通話リクエストを受信した作業員端末2が実行する処理については、実施形態1で説明しているため、ここでは説明を繰り返さない。
【0145】
通話管理部301は、作業員端末2からの応答可能信号を待機する状態となる(S84)。通話リクエストの送信から所定時間(例えば30秒)が経過しても応答可能信号を受信しない場合、通話管理部301は、別の作業員端末2を選択する。そして、選択した作業員端末2に対し通話リクエストを送信する。以降、通話管理部301は、応答可能信号を受信するまでのこの処理を繰り返す。
【0146】
作業員端末2の選択において、作業員端末2に優先度が設定されていてもよい。例えば、メンテナンス作業の責任者が所有する作業員端末2に、最も高い優先度が設定されていてもよい。また、通話リクエストを送信する順番が、予め決まっていてもよい。
【0147】
すべての作業員端末2に対し通話リクエストを送信し、いずれの作業員端末2からも応答可能信号を受信しない場合(S84でNO)、通話制御部105は、特定した時刻から所定時間(例えば、3分)が経過したか否かを判定する(S89)。所定時間が経過している場合(S89でYES)、通話管理部301は、通話不可通知を自走型通知装置1Bへ送信する(S90)。
【0148】
特定した時刻から所定時間が経過していない場合(S89でNO)、通話管理部301は、特定した時刻から所定時間が経過するまで、応答可能信号を待機する。
【0149】
一方、S84において応答可能信号を受信した場合(S84でYES)、通話管理部301は、通話リクエストを送信した自走型通知装置1Bと、応答可能信号を送信した作業員端末2とを通話可能に接続する(S85)。通話制御部105と通話制御部203とがこの接続を検知し、自走型通知装置1Bと作業員端末2との間での音声信号の送受信が可能となる(すなわち、通話が開始される)。通話管理部301は、音声信号の送受信が可能となった時刻である通話開始時刻を、データ管理部303へ出力する。なお、通話管理部301は、最初に受信した応答可能信号を送信した作業員端末2を、通話リクエストを送信した自走型通知装置1Bと通話可能に接続する。
【0150】
データ管理部303は、取得した映像データからキャプチャした静止画像のデータと、取得した通話開始時刻とを対応付け、利用者記録データベース111に格納する(S86)。
【0151】
通話の開始後、通話管理部301は、自走型通知装置1Bまたは作業員端末2からの通話終了信号の受信を待機している(S87)。通話終了信号を受信すると(S87でYES)、通話管理部301は、自走型通知装置1Bと作業員端末2との接続を切断する(S88)。これにより、通話が終了する。
【0152】
S84において応答可能信号を受信しない場合(S84でNO)、通話管理部301は、特定した時刻から所定時間が経過するまで応答可能信号の受信を待機する(S89)。所定時間が経過した場合(S89でYES)、通話管理部301は、通話不可通知を自走型通知装置1Bへ送信する(S90)。
【0153】
なお、本実施形態では、自走型通知装置1Bの制御部10Bは、移動機構制御部101、報知制御部102、入力受付部103、通信制御部104および通話制御部105を含むものとして説明した。ただし、制御部10Bは、これらのすべてまたは一部を含まない構成であってもよい。制御部10Bに含まれない機能ブロックについては、例えば、管理サーバ3の制御部30に含まれていてもよい。なお、報知制御部102が制御部10Bに含まれない構成の場合、音声データ112は、管理サーバ3の記憶部31に記憶されており、必要に応じて自走型通知装置1Bに送信される構成であってもよい。
【0154】
また、本実施形態は、実施形態2に適用されてもよい。すなわち、自走型通知装置1Bの制御部10Bは、利用者属性判定部107を含んでいてもよい。
【0155】
〔変形例〕
上述した実施形態1〜3では、複数の作業員端末2に対し、順番に通話リクエストが送信される例を説明した。これに対し、通話リクエストは、通信可能なすべての作業員端末2に対し、一斉に送信される構成であってもよい。以下、この変形例を実施形態1に適用した構成について説明する。なお、この変形例は、実施形態2および3にも適用可能である。
【0156】
なお、通信可能なすべての作業員端末2とは、例えば、同建物内に存在するすべての作業員端末2である。具体的には、自走型通知装置1は、例えば作業員の所定の操作に基づき、予め、メンテナンスを行う作業員の作業員端末2との通信を確立しておく。該操作は、自走型通知装置1への操作であってもよいし、作業員端末2への操作であってもよいし、他の装置への操作であってもよい。自走型通知装置1への操作以外の例の場合、該操作に基づく、通信確立のための情報が自走型通知装置1へ送信される。以上により、自走型通知装置1は、その日にメンテナンスを行う作業員の作業員端末2のみと通信可能となる。
【0157】
通話制御部105は、接続指示を受け付けると、通信可能なすべての作業員端末2へ通話リクエストを送信する。そして、いずれかの作業員端末2から応答可能信号を受信した場合、通話制御部105は、該作業員端末2と通話可能に接続する。
【0158】
通話制御部105は、特定した時刻から所定時間が経過しても応答可能信号を受信しない場合、通話ができない旨を報知制御部102へ通知する。
【0159】
上述した実施形態1〜3では、昇降装置がエレベータである例を説明したが、昇降装置はエスカレータであってもよい。この例の場合、エスカレータの始点と終点とに、1台ずつ自走型通知装置1、1A、1Bを配備してもよい。
【0160】
自走型通知装置1、1A、1Bは、メンテナンスなどの昇降装置の利用制限に関する音声以外の内容の音声を出力してもよい。例えば、自走型通知装置1、1A、1Bは、検知した利用者が歩きながらスマートフォンを使用しているなどの、危険な状態で接近している場合、危険である旨を音声出力してもよい。危険な状態で接近しているか否かは、例えば、画像認識により判定してもよい。この変形例は、昇降装置がエスカレータである場合に特に好適である。具体的には、この変形例によれば、エスカレータが稼働していないことを、エスカレータの方向を見ていない利用者に認識させることができる。
【0161】
上述した実施形態1〜3では、特定した時刻から所定時間が経過しても作業員端末2から応答可能信号を受信しない場合、利用者に作業員との通話ができない旨を通知していた。これに対し、自走型通知装置1および1A、並びに管理サーバ3は、特定した時刻から所定時間が経過しても作業員端末2から応答可能信号を受信しない場合、エレベータの保守センターに通話リクエストを送信してもよい。
【0162】
自走型通知装置1、1A、1Bは、音声出力を行った時刻を記憶し、メンテナンスの終了後に、該時刻を作業員端末2または管理サーバ3へ送信してもよい。作業員端末2および管理サーバ3は、受信した時刻の数に基づき、メンテナンス中にエレベータを利用しようとした人数を特定してもよい。作業員端末2および管理サーバ3は、該人数が所定の閾値を超える場合、次回のメンテナンスの前に報知を行うよう、自走型通知装置1、1A、1Bへ指示する。自走型通知装置1、1A、1Bは、該指示に基づき、例えばメンテナンスの前日から、メンテナンスの時刻を案内する。該案内は、タッチパネル16への画像表示により行われてもよいし、スピーカ14からの音声出力により行われてもよい。
【0163】
この例において、自走型通知装置1、1A、1Bがメンテナンス中にエレベータを利用しようとした人数を特定し、該人数を作業員端末2または管理サーバ3へ送信してもよい。
【0164】
〔ソフトウェアによる実現例〕
自走型通知装置1、1A、1B、作業員端末2および管理サーバ3の制御ブロック(特に制御部10、10A、10B、20および30)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0165】
後者の場合、自走型通知装置1、1A、1B、作業員端末2および管理サーバ3は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0166】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0167】
〔付記事項〕
なお、本発明は以下のとおり表現することもできる。
【0168】
本発明の態様1に係る自走型装置は、複数階床を有する建物に配備される自走型装置であって、利用者による昇降装置の利用を制限する期間に、前記昇降装置の乗場における前記利用者の動きを検知する検知部と、検知された前記利用者の動きに応じて前記自走型装置を移動させる移動部と、前記利用者に前記昇降装置に関する情報を報知する報知部と、を備える。
【0169】
上記の構成によれば、昇降装置の利用者を検知した自走型装置が移動し、利用者に対して昇降装置に関する情報を報知するので、利用者は、昇降装置の利用制限に関する情報を効率的に得ることができる。例えば、利用者は、昇降装置が現在利用できないことを、昇降装置の近傍に移動する前に知ることができる。
【0170】
なお、上記情報として、利用制限が解除される時刻(例えば、メンテナンスの終了時刻)などを報知すれば、利用者は、作業員などに該時刻を尋ねずとも該時刻を知ることができる。結果として、作業員が作業に集中することができる。
【0171】
本発明の態様2に係る自走型装置は、上記態様1において、前記昇降装置に関連する作業を行う作業員が携帯している作業員端末と前記自走型装置との間の通信を管理する通信管理部と、前記利用者による通話要求操作を受付ける受付部と、をさらに備え、前記通信管理部は、前記期間に前記通話要求操作を受付けたことに応じて、前記作業員端末と通信可能に接続してもよい。
【0172】
上記の構成によれば、昇降装置の利用者は通話要求操作を入力することで、作業員と連絡を取ることができる。例えば、利用制限中に昇降装置を利用しなければならない(例えば、メンテナンス中に車椅子に乗る利用者がエレベータを利用しなければならない)場合に、エレベータの一時的な利用を交渉することができる。
【0173】
本発明の態様3に係る自走型装置は、上記態様2において、前記通話要求操作を行った前記利用者を撮像した撮像画像と、該通話要求操作に応じて前記作業員端末と通信可能に接続された時刻とを関連付けた利用者記録データを利用者記録データベースに登録してもよい。
【0174】
本発明の態様4に係る自走型装置は、上記態様3において、利用者記録データ登録部は、前記作業員端末が前記作業員による利用者記録データ要求操作を受付けたことに応じて、該作業員端末に所定の期間に前記利用者記録データベースに登録された前記利用者記録データを送信してもよい。
【0175】
上記態様3および4の構成によれば、利用制限中に作業員に連絡を取った利用者と、その時刻とを後で特定可能な情報を記憶し、また、作業員端末へ送信することができる。これにより、例えば、該利用者が該時刻にエレベータを利用するのであれば、次のメンテナンスの時間帯を調整したり、該利用者がメンテナンス中にエレベータを一時的に利用することを作業員に事前に伝えたり、といったメンテナンス前の対応が可能となる。また、利用者を撮像することでいたずらによる作業員の呼び出しを防止することも可能となる。
【0176】
本発明の態様5に係る自走型装置は、上記態様3または4において、前記撮像画像に基づいて、前記利用者の属性を判定する利用者属性判定部をさらに備え、前記通信管理部は、前記利用者が(i)車椅子利用者、(ii)荷物用台車またはベビーカーの使用者、および(iii)所定の年齢以上の高齢者、のいずれかであると判定された場合に、前記作業員端末と通信可能に接続してもよい。
【0177】
上記の構成によれば、昇降装置がエレベータである場合に、エレベータでないと階床間の移動が難しい利用者が、作業員と、エレベータの一時的な利用の交渉を行うことができる。結果として、このような利用者は、利用が制限されている場合でもエレベータを利用することができる。
【0178】
本発明の態様6に係る自走型装置は、上記態様3または4において、前記撮像画像に基づいて、前記利用者の属性を判定する利用者属性判定部をさらに備え、前記報知部は、前記利用者が(i)健常者、および(ii)所定の年齢未満の若者、のいずれかであると判定された場合には、該利用者に前記建物の階段の利用を促す情報を提示してもよい。
【0179】
上記の構成によれば、昇降装置を利用せず、階段で階床間を移動できる利用者の場合、作業員との連絡を取らせず、階段での移動を促すので、作業員に対する利用者からの連絡を最低限とすることができる。結果として、作業員は作業に集中することができる。
【0180】
本発明の態様7に係る自走型装置は、上記態様2から6のいずれかにおいて、前記通信管理部によって通信可能に接続された前記作業員端末に入力された前記作業員からのメッセージを示すメッセージデータを受信して、前記報知部に報知させるメッセージ管理部をさらに備えてもよい。
【0181】
上記の構成によれば、作業員は、作業員端末への入力でメッセージデータを生成し、自走型装置の報知部に報知させることができる。例えば、作業員は、利用制限中(例えばメンテナンス中)にメッセージデータを生成し、報知部に報知させることもできる。これにより、例えばメンテナンス作業に遅れが生じ、報知していたメンテナンスの終了予定時刻までにメンテナンスが終了しない可能性がある場合、作業員は、終了予定時刻を変更したメッセージデータを生成し、報知部に報知させることができる。これにより、利用者に、正確な情報を報知することができる。
【0182】
本発明の態様8に係る自走型装置は、上記態様1から7のいずれかにおいて、前記期間は、前記昇降装置の保守点検または修理が行われる期間を含んでもよい。
【0183】
本発明の態様9に係る自走型装置は、上記態様1から8のいずれかにおいて、前記昇降装置はエレベータであり、前記移動部は、現在位置から前記自走型装置を移動させ、前記期間の開始時点に前記エレベータの乗場の呼びボタンの近傍に前記自走型装置を配置させてもよい。
【0184】
上記の構成によれば、期間の開始時点に自走型装置が呼びボタンの近傍に配置されるので、利用者が呼びボタンを押しづらい状況を作ることができる。結果として、利用者がエレベータの利用制限に気付かず、呼びボタンを押してしまうという状況を回避することができる。また、エレベータの利用者は呼びボタンを押すために自走型装置に向かって来るので、エレベータの利用者を容易に認識することが可能となる。
【0185】
本発明の態様10に係るシステムは、複数階床を有する建物に配備される自走型装置と、前記自走型装置を管理する管理装置と、を含むシステムであって、前記自走型装置は、利用者による昇降装置の利用を制限する期間に、前記昇降装置の乗場における前記利用者の動きを検知し、検知された前記利用者の動きに応じて移動し、前記利用者に前記昇降装置に関する情報を報知し、前記管理装置は、前記情報を前記自走型装置に出力する。
【0186】
上記の構成によれば、本発明の態様1に係る自走型装置と同様の作用効果を奏する。
【0187】
本発明の態様11に係るシステムは、上記態様10において、前記管理装置は、前記昇降装置に関連する作業を行う作業員が携帯している作業員端末と前記自走型装置との間の通信を管理し、前記自走型装置が前記期間に前記利用者による通話要求操作を受付けたことに応じて、前記自走型装置と前記作業員端末とを通信可能に接続してもよい。
【0188】
上記の構成によれば、本発明の態様2に係る自走型装置と同様の作用効果を奏する。
【0189】
本発明の態様12に係るシステムは、上記態様11において、前記管理装置は、前記通話要求操作を行った前記利用者を撮像した撮像画像を前記自走型装置から取得し、前記撮像画像と、該通話要求操作に応じて前記作業員端末と通信可能に接続された時刻とを関連付けた利用者記録データを利用者記録データベースに登録してもよい。
【0190】
上記の構成によれば、本発明の態様3に係る自走型装置と同様の作用効果を奏する。
【0191】
本発明の態様13に係るシステムは、上記態様12において、前記管理装置は、前記作業員端末が前記作業員による利用者記録データ要求操作を受付けたことに応じて、該作業員端末に所定の期間に前記利用者記録データベースに登録された前記利用者記録データを送信してもよい。
【0192】
上記の構成によれば、本発明の態様4に係る自走型装置と同様の作用効果を奏する。