特許第6958810号(P6958810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6958810葉状農作物の形状認識プログラム及び形状認識装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6958810
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】葉状農作物の形状認識プログラム及び形状認識装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/60 20170101AFI20211021BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20211021BHJP
   G06T 7/66 20170101ALI20211021BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20211021BHJP
【FI】
   G06T7/60 150S
   G01B11/24 K
   G06T7/66
   G06T7/70 B
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-186895(P2017-186895)
(22)【出願日】2017年9月27日
(65)【公開番号】特開2019-61567(P2019-61567A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年7月14日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、知の拠点あいち重点研究プロジェクト「次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト・ロボット分野」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】爪 光男
(72)【発明者】
【氏名】坂田 順
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健介
(72)【発明者】
【氏名】三浦 純
(72)【発明者】
【氏名】増沢 広朗
(72)【発明者】
【氏名】大石 修士
【審査官】 藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−222680(JP,A)
【文献】 特開2002−203242(JP,A)
【文献】 高木 一之、村上 伸一,葉の形状認識を用いた樹木の識別に関する一検討,映像情報メディア学会技術報告,日本,映像情報メディア学会,2013年02月19日,第37巻、第8号,第129-134頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00− 7/90
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
検査画像に映る葉状農作物の像から葉柄の領域を抽出すべく、前記葉状農作物の重心を中心として径外方向に膨らむように湾曲する曲線領域を少なくとも含む走査領域を設定する領域設定処理、前記領域設定処理で設定した前記走査領域のうち前記葉状農作物と重なる重複領域を抽出する第一の抽出処理、前記第一の抽出処理で抽出した重複領域から所定の長さ以下の短小領域をさらに抽出する第二の抽出処理、のそれぞれの処理を前記曲線領域が前記重心を中心として前記径外方向に変位するように前記走査領域を拡張しながら複数回繰り返して実行した後に、前記第二の抽出処理で抽出した複数の短小領域を結合する領域結合処理を実行して前記葉柄の領域を抽出する葉柄領域抽出手段、
前記葉状農作物の像から前記葉柄領域抽出手段で抽出した前記葉柄の領域を除くことにより前記葉状農作物の葉身の領域を抽出する葉身領域抽出手段、として機能させる葉状農作物の形状認識プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、
前記葉柄領域抽出手段で抽出した前記葉柄の領域に関する情報、及び前記葉身領域抽出手段で抽出した前記葉身の領域に関する情報を用いて前記葉状農作物の向きを導出する向き導出手段、として機能させ、
前記向き導出手段は、前記葉柄領域抽出手段で抽出した前記葉柄の領域の重心と前記葉身領域抽出手段で抽出した前記葉身の領域の重心とを導出し、前記葉柄の領域の重心と前記葉身の領域の重心とを結ぶ直線の向きを前記葉状農作物の向きと判定する、請求項1に記載の葉状農作物の形状認識プログラム。
【請求項3】
葉状農作物が映る検査画像から該葉状農作物の形状を認識するための処理を実行する処理装置を備え、
前記処理装置は、
検査画像に映る前記葉状農作物の像から葉柄の領域を抽出すべく、前記葉状農作物の重心を中心として径外方向に膨らむように湾曲する曲線領域を少なくとも含む走査領域を設定する領域設定処理、前記領域設定処理で設定した前記走査領域のうち前記葉状農作物と重なる重複領域を抽出する第一の抽出処理、前記第一の抽出処理で抽出した重複領域から所定の長さ以下の短小領域をさらに抽出する第二の抽出処理、のそれぞれの処理を前記曲線領域が前記重心を中心として前記径外方向に変位するように前記走査領域を拡張しながら複数回繰り返して実行した後に、前記第二の抽出処理で抽出した複数の短小領域を結合する領域結合処理を実行して前記葉柄の領域を抽出する葉柄領域抽出手段と、
前記葉状農作物の像から前記葉柄領域抽出手段で抽出した前記葉柄の領域を除くことにより前記葉状農作物の葉身の領域を抽出する葉身領域抽出手段と、を有する葉状農作物の形状認識装置。
【請求項4】
前記葉柄領域抽出手段で抽出した前記葉柄の領域に関する情報、及び前記葉身領域抽出手段で抽出した前記葉身の領域に関する情報を用いて前記葉状農作物の向きを導出する向き導出手段を有し、
前記向き導出手段は、前記葉柄領域抽出手段で抽出した前記葉柄の領域の重心と前記葉身領域抽出手段で抽出した前記葉身の領域の重心とを導出し、前記葉柄の領域の重心と前記葉身の領域の重心とを結ぶ直線の向きを前記葉状農作物の向きと判定する、請求項3に記載の葉状農作物の形状認識装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉状農作物の形状を認識するための形状認識プログラム、及び形状認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、葉状農作物の選別や包装等の作業を行うシステムが提供されており、例えば特許文献1では、葉状農作物を撮像した画像データから葉状農作物のサイズを判定し、そのサイズの判定結果に基づいて前記作業を行うようにシステムを動作させるプログラムが導入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−331782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検査画像に映る葉状農作物の向きは常に一定であるとは限らないため、葉状農作物の形状やサイズの判定結果にばらつき(誤り)が生じると、前記システムにおける選別や包装等の作業が正しく行われなくなることがある。従って、葉状農作物を取り扱ううえでは、葉状農作物の形状を正確に認識することが重要である。
【0005】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、葉状農作物の形状を正確に認識できる葉状農作物の形状認識プログラム及び形状認識装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の葉状農作物の形状認識プログラムは、
コンピュータを、
検査画像に映る葉状農作物の像から葉柄の領域を抽出すべく、前記葉状農作物の重心を中心として径外方向に膨らむように湾曲する曲線領域を少なくとも含む走査領域を設定する領域設定処理、前記領域設定処理で設定した前記走査領域のうち前記葉状農作物と重なる重複領域を抽出する第一の抽出処理、前記第一の抽出処理で抽出した重複領域から所定の長さ以下の短小領域をさらに抽出する第二の抽出処理、のそれぞれの処理を前記曲線領域が前記重心を中心として前記径外方向に変位するように前記走査領域を拡張しながら複数回繰り返して実行した後に、前記第二の抽出処理で抽出した複数の短小領域を結合する領域結合処理を実行して前記葉柄の領域を抽出する葉柄領域抽出手段、
前記葉状農作物の像から前記葉柄領域抽出手段で抽出した前記葉柄の領域を除くことにより前記葉状農作物の葉身の領域を抽出する葉身領域抽出手段、として機能させる。
【0007】
上記構成の形状認識プログラムによれば、検査画像に映る葉状農作物の像から葉柄の領域と葉身の領域、すなわち、葉柄の形状と葉身の形状とを別々に抽出することで、葉状農作物の形状を正確に認識できるようになる。
【0008】
また、本発明の葉状農作物の形状認識プログラムは、
前記コンピュータを、
前記葉柄領域抽出手段で抽出した前記葉柄の領域に関する情報、及び前記葉身領域抽出手段で抽出した前記葉身の領域に関する情報を用いて前記葉状農作物の向きを導出する向き導出手段、として機能させ、
前記向き導出手段は、前記葉柄領域抽出手段で抽出した前記葉柄の領域の重心と前記葉身領域抽出手段で抽出した前記葉身の領域の重心とを導出し、前記葉柄の領域の重心と前記葉身の領域の重心とを結ぶ直線の向きを前記葉状農作物の向きと判定するように構成されていてもよい。
【0009】
葉状農作物の向きは葉柄の向きや位置が深く関係しているところ、上記構成の形状認識プログラムによれば、葉柄領域抽出手段で葉柄の領域を抽出したうえで、向き導出手段が葉状農作物の向きを導出するように構成されているため、葉柄の領域に関する情報を加味したうえで葉状農作物の向きを検出することができる。
【0010】
また、葉柄の領域の重心と葉身の領域の重心とを結ぶ直線の向きを葉状農作物の向きと判定するため、葉状農作物の向きを簡単に求めることができる。
【0011】
本発明の葉状農作物の形状認識装置は、
葉状農作物が映る検査画像から該葉状農作物の形状を認識するための処理を実行する処理装置を備え、
前記処理装置は、
検査画像に映る前記葉状農作物の像から葉柄の領域を抽出すべく、前記葉状農作物の重心を中心として径外方向に膨らむように湾曲する曲線領域を少なくとも含む走査領域を設定する領域設定処理、前記領域設定処理で設定した前記走査領域のうち前記葉状農作物と重なる重複領域を抽出する第一の抽出処理、前記第一の抽出処理で抽出した重複領域から所定の長さ以下の短小領域をさらに抽出する第二の抽出処理、のそれぞれの処理を前記曲線領域が前記重心を中心として前記径外方向に変位するように前記走査領域を拡張しながら複数回繰り返して実行した後に、前記第二の抽出処理で抽出した複数の短小領域を結合する領域結合処理を実行して前記葉柄の領域を抽出する葉柄領域抽出手段と、
前記葉状農作物の像から前記葉柄領域抽出手段で抽出した前記葉柄の領域を除くことにより前記葉状農作物の葉身の領域を抽出する葉身領域抽出手段と、を有する。
【0012】
上記構成の形状認識装置によれば、検査画像に映る葉状農作物の像から葉柄の領域と葉身の領域、すなわち、葉柄の形状と葉身の形状とを別々に抽出することで、葉状農作物の形状を正確に認識できるようになる。
【0013】
また、本発明の葉状農作物の形状認識装置は、
前記葉柄領域抽出手段で抽出した前記葉柄の領域に関する情報、及び前記葉身領域抽出手段で抽出した前記葉身の領域に関する情報を用いて前記葉状農作物の向きを導出する向き導出手段を有し、
前記向き導出手段は、前記葉柄領域抽出手段で抽出した前記葉柄の領域の重心と前記葉身領域抽出手段で抽出した前記葉身の領域の重心とを導出し、前記葉柄の領域の重心と前記葉身の領域の重心とを結ぶ直線の向きを前記葉状農作物の向きと判定する、ように構成されていてもよい。
【0014】
葉状農作物の向きは葉柄の向きや位置が深く関係しているところ、上記構成の形状認識装置によれば、葉柄領域抽出手段で葉柄の領域を抽出したうえで、向き導出手段が葉状農作物の向きを導出するように構成されているため、葉柄の領域に関する情報を加味したうえで葉状農作物の向きを導出することができる。
【0015】
また、葉柄の領域の重心と、葉身の領域の重心とを結ぶ直線の向きを葉状農作物の向きと判定するため、葉状農作物の向きを簡単に求めることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の葉状農作物の形状認識プログラム及び形状認識装置によれば、葉状農作物の形状を正確に認識できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る形状認識装置を備えた出荷システムの平面概略図である。
図2図2は、同実施形態に係る形状認識装置を備えた出荷システムの側面概略図である。
図3図3は、同実施形態に係る形状認識装置のハードウェア構成のブロック図である。
図4図4は、同実施形態に係る形状認識装置のステージの平面図である。
図5図5は、同実施形態に係る形状認識装置の機能ブロック図である。
図6図6において、(a)は検査画像の説明図であり、(b)は背景領域と葉領域を抽出した状態の検査画像の説明図である。
図7図7において、(a)は検査画像に走査領域を設定した状態の説明図であり、(b)は該走査領域により検査画像から重複領域を抽出した状態の説明図である。
図8図8において、(a)は拡張した走査領域を検査画像に設定した状態の説明図であり、(b)は該走査領域により検査画像から重複領域を抽出した状態の説明図である。
図9図9において、(a)はさらに拡張した走査領域を検査画像に設定した状態の説明図であり、(b)は該走査領域により検査画像から重複領域を抽出した状態の説明図である。
図10図10において、(a)は短小領域を結合した状態の説明図であり、(b)は葉柄領域を抽出した状態の説明図である。
図11図11は、同実施形態に係る形状認識装置による葉状農作物の向きを導出する処理の説明図である。
図12図12は、同実施形態に係る形状認識装置の動作を説明するためのメインフローチャートである。
図13図13は、同実施形態に係る形状認識装置の葉領域抽出手段による葉領域の抽出処理のサブフローチャートである。
図14図14は、同実施形態に係る形状認識装置の葉柄領領域抽出手段による葉柄領領域の抽出処理のサブフローチャートである。
図15図15は、同実施形態に係る形状認識装置の向き導出手段による大葉の向きの導出処理のサブフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る葉状農作物の形状認識プログラム及び形状認識装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0019】
形状認識プログラムは、コンピュータを、葉状農作物を撮像して得た検査画像に基づいて葉状農作物の形状を特定するための葉状農作物の形状認識装置として機能させるように構成されたものである。
【0020】
また、形状認識装置は、例えば、葉状農作物の検査及び出荷準備を行うための葉状農作物の出荷システムに組み込まれる。
【0021】
本実施形態では、この出荷システムに形状認識装置が組み込まれていることを一例に挙げて、形状認識装置、及び形状認識プログラムの説明を行うこととする。なお、本実施形態に係る葉状農作物とは、大葉のことであるが、平面寸法に比べて厚み寸法の小さい葉であれば他種の葉状農作物であってもよい。
【0022】
出荷システム1は、図1、及び図2に示すように、複数枚の大葉を収容する収容具2と、該収容具2から取り出した大葉の形状を認識するための形状認識装置3と、該形状認識装置3で形状を認識した大葉を搬送する搬送装置4と、該搬送装置4で搬送されている大葉を取得して出荷するための加工を行う加工装置5とを備えている。
【0023】
収容具2は、複数枚の大葉を積み上げた状態で内部に収容できるように構成されている。
【0024】
形状認識装置3は、図2図3に示すように、撮像対象とする大葉を載置するステージ30と、該ステージ30に載置されている大葉を撮像する撮像装置31と、該撮像装置31で撮像した大葉の画像である検査画像に基づいて該大葉の形状を認識するための処理装置32と、該処理装置32に対して有線又は無線により接続された記憶装置33と、を備えている。
【0025】
ステージ30には、収容具2から取り出された大葉が一枚ずつ載置される。なお、本実施形態では、収容具2内で積み上げられている複数の大葉のうち最上部に位置する大葉を吸引搬送する吸引搬送部(以下、第一の吸引搬送部と称する)P1により収容具2からステージ30まで運ばれている。
【0026】
なお、吸引搬送部は、大葉の表面又は裏面のうち上側を向いている一面を吸引することによって該大葉を保持し、大葉に対する吸引状態を解除すると、吸引搬送部から大葉が離れる(落ちる)ように構成されている。
【0027】
また、本実施形態に係るステージ30は、透明な載置板部300を有し、この載置板部300上に収容具2から取り出された大葉が載置される(図4参照)。
【0028】
撮像装置31は、ステージ30の下方側、具体的には、載置板部300の下方側に配置されている。そして、撮像装置31は、載置板部300上に載置された大葉を、表面又は裏面のうち下側を向いている一面側(本実施形態では表面側)から撮像するように構成されている。
【0029】
なお、撮像装置31は、ステージ30(載置板部300)の上方側に配置され、載置板部300上に載置された大葉を、表面又は裏面のうち上側を向いている一面側から撮像するように構成されていてもよい。
【0030】
形状認識装置3では、処理装置32が形状認識プログラムを実行することにより、大葉の形状を認識するための各種手段を実行するように構成されている。
【0031】
具体的に説明すると、形状認識装置3は、処理装置32で形状認識プログラムを実行することにより、図5に示すように、検査画像を取得する画像取得手段60、検査画像から大葉が映る領域全体(以下、葉領域と称する)を抽出する葉領域抽出手段61、検査画像に基づいて大葉の葉柄の領域(以下、葉柄領域と称する)を抽出する葉柄領域抽出手段62、検査画像に基づいて大葉の葉身の領域(以下、葉身領域と称する)を抽出する葉身領域抽出手段63、葉柄領域と葉柄領域とに基づいて大葉の向きを導出する向き導出手段64、として機能するように構成されている。
【0032】
画像取得手段60は、形状を認識する対象とする大葉が映る画像を取得するように構成されている。本実施形態に係る画像取得手段60は、載置板部300上に載置されている大葉を撮像するよう撮像装置31を制御し、さらに、撮像装置31によって撮像した大葉の画像を検査画像として取得するように構成されている。すなわち、画像取得手段60は、撮像装置31から直接的に検査画像を取得するように構成されている。
【0033】
葉領域抽出手段61は、図6(a)及び図6(b)に示すように、検査画像Tから葉領域RE1と、該葉領域RE1の外側の領域(すなわち、背景が映っている領域)BEとを識別するように構成されている。本実施形態では、葉領域RE1の外側の領域BEを背景領域BEと称して以下の説明を行うこととする。
【0034】
より具体的に説明すると、葉領域抽出手段61は、検査画像Tから背景領域BEを識別する背景領域識別処理と、検査画像Tから葉領域RE1を識別する葉領域識別処理とを実行するように構成されている。
【0035】
葉領域抽出手段61は、背景領域識別処理において、検査画像Tの各領域に対して背景であるか否かを判断する基準となる背景領域識別情報に基づいて検査画像T全体の中から背景領域BEを識別するように構成されている。
【0036】
背景領域識別情報には、例えば、背景領域に含まれている色を示す情報(色情報)が設定され、葉領域抽出手段61は、検査画像Tのうちの背景領域識別情報が有する色情報に該当する色を有する領域を背景領域BEであると識別するように構成されていればよい。
【0037】
なお、背景領域識別情報に色情報を設定する場合は、大葉が載置されていない状態のステージ30を撮像した画像に含まれている色に基づいて色情報を決定することが可能である。また、色情報は、単色を示す情報であってもよいし、色域の範囲を示す情報であってもよい。
【0038】
さらに、葉領域抽出手段61は、葉領域識別処理において、検査画像Tの各領域に対して大葉が映っている領域であるか否かを判断する基準となる葉領域識別情報に基づいて葉領域RE1を識別するように構成されている。
【0039】
葉領域識別情報にも、例えば、色を示す情報(色情報)が設定されており、葉領域抽出手段61は、検査画像Tのうち、葉領域識別情報が有する色情報に該当する色を有する領域を背景領域BEであると識別するように構成されていてもよい。
【0040】
なお、葉領域識別情報に設定する色情報は、例えば、大葉を撮像した画像に基づいて設定でき、本実施形態では、撮像装置31で大葉を撮像した検査画像Tに基づいて葉領域識別情報が設定されている。
【0041】
また、本実施形態に係る葉領域抽出手段61は、背景領域識別処理で背景領域BEであると識別した領域と、葉領域識別処理で葉領域RE1であると識別した領域とを別々の色で示すように構成されている。すなわち、葉領域抽出手段61は、検査画像Tの葉領域RE1と背景領域BE内とを別々の色で色分けするように構成されている。
【0042】
葉柄領域抽出手段62は、前記葉状農作物の重心を中心として径外方向に膨らむように湾曲する曲線領域を少なくとも含む走査領域を設定する領域設定処理、事前に設定されている走査領域と葉領域RE1とが重なる重複領域を抽出する第一の抽出処理、前記第一の抽出処理で抽出した重複領域から所定の長さ以下の短小領域をさらに抽出する第二の抽出処理、事前に設定されている走査領域を拡張したうえで第一の抽出処理を実行する拡張処理、前記第二の抽出処理で抽出した複数の短小領域を結合して結合領域を作成する領域結合処理、領域結合処理により結合された領域のうち、最も寸法の長い領域を選出する選出処理、を実行するように構成されている。
【0043】
本実施形態にかかる領域設定処理は、図7(a)に示すように、葉領域RE1の重心C1を中心とした環状(具体的には、周方向における全周に亘って曲率が一定の円環状)の走査領域PE1を設定するように構成されている。
【0044】
第一の抽出手段は、上述のように、走査領域PE1と葉領域RE1とが重なる領域を重複領域PE2として抽出するように構成されている。なお、図7(b)には、一つの検査画像T上に複数の重複領域PE2が抽出されている状態を図示している。また、事前に設定されている走査領域とは、第一の抽出手段が実行される際に、既に設定されている走査領域(本実施形態では、領域設定処理で設定された走査領域、若しくは拡張処理によって拡張された走査領域)のことである。
【0045】
第二の抽出処理は、第一の抽出処理が重複領域PE2を抽出した場合に、該第一の抽出処理に続いて実行される。
【0046】
複数の重複領域PE2には、長尺な重複領域PE2や、短小な重複領域PE2が含まれているが、葉柄領域抽出手段62は、第二の抽出処理において、短小な重複領域PE2を短小領域PE3として抽出するように構成されている。なお、短小領域PE3であるか否かを判定する基準とする長さは、適宜変更可能であるが、2mm〜5mmの範囲内で設定されることが好ましい。
【0047】
拡張処理は、第二の抽出処理に続いて実行されるように構成されている。また、拡張処理は、図7(a)、図8(a)、図9(a)に示すように、事前に設定されている走査領域PE1の大きさを、曲線領域が葉領域RE1の重心C1を中心とする径外方向に変位するように拡張して設定し直すように構成されている。本実施形態に係る拡張処理では、走査領域PE1の幅を変えずに、走査領域PE1の直径のみが拡張される。
【0048】
領域結合処理は、第二の抽出処理により重複領域PE2が抽出されなかった場合に、該第二の抽出処理に続いて実行されるように構成されている。葉柄領域抽出手段62は、例えば、拡張処理によって拡張された走査領域PE1全体が葉領域RE1よりも外側に位置するまで第一の抽出処理、第二の抽出処理、及び拡張処理をくり返し実行するように構成されていればよい。
【0049】
結合処理は、図10(a)に示すように、第二の抽出処理によって複数回に亘って抽出された短小領域PE3を一つの画像に重ねて表示するように構成されている。本実施形態では、結合処理で一つの画像に重ねて表示されている短小領域PE3を結合領域PE4と称する。
【0050】
図10(a)に示す検査画像Tには、複数の結合領域PE4が図示されているが、該複数の結合領域PE4には、単一の短小領域PE3で構成されている結合領域PE4と、複数の短小領域PE3が連続することで構成されている結合領域PE4とが含まれている。
【0051】
選出処理は、領域結合処理に続いて実行されるように構成されている。葉柄領域抽出手段62は、図10(b)に示すように、選出処理において、結合領域PE4のうち、最も寸法の長い領域、すなわち、葉柄領域RE2を選出するように構成されている。
【0052】
葉身領域抽出手段63は、葉領域RE1と葉柄領域抽出手段62で抽出した葉柄領域RE2とに基づいて葉身領域RE3を抽出するように構成されており、本実施形態では、葉領域RE1から葉柄領域RE2に対応する領域を切り取り、残った領域を葉身領域RE3とするように構成されている。
【0053】
これにより、一つの葉領域RE1を構成する葉柄領域RE2と、葉身領域RE3とが別々に抽出される(図11参照)。すなわち、葉柄の形状と、葉身の形状とが別々に認識される。
【0054】
向き導出手段64は、図11に示すように、葉柄領域RE2の重心C2を導出し、葉身領域RE3の重心C3を導出し、それぞれの重心C2、C3を結ぶ直線Lの向きを大葉の向きとするように構成されている。
【0055】
本実施形態に係る搬送装置4は、形状認識装置3で形状を認識した大葉を加工装置5に引き渡し可能な場所まで搬送するように構成されている。なお、形状認識装置3から搬送装置4への大葉の引き渡しも、吸引搬送部(以下、第二の吸引搬送部と称する)P2により行われる(図1参照)。
【0056】
加工装置5は、搬送装置4によって搬送されている大葉を取得して出荷するための加工を行うように構成されている。なお、搬送装置4から加工装置5への大葉の引き渡しも、吸引搬送部(以下、第三の吸引搬送部と称する)P3により行われる(図1参照)。
【0057】
本実施形態において、大葉に対する出荷するための加工とは、複数枚の大葉を重ねて一束にまとめる加工、より具体的には、複数枚の大葉を重ねた状態で葉柄の部分を結束する加工のことであるが、例えば、大葉の包装や、タグ付け等の加工も一例として挙げられる。
【0058】
本実施形態に係る出荷システム1の構成は、以上の通りである。続いて、出荷システム1における形状認識装置3による大葉の形状認識処理(すなわち、形状認識プログラムを実行した場合の形状認識装置3の動作)についての説明を行うこととする。
【0059】
出荷システム1では、収容具2から取り出した大葉の形状を形状認識装置3で認識した後、該大葉を搬送装置4により加工装置5まで搬送する。
【0060】
形状認識装置3は、図12に示すように、画像取得手段60により検査画像Tを取得する(S1)。本実施形態では、収容具2から載置板部300上に載置された大葉を撮像装置31で撮像した画像を検査画像Tとして取得する。また、本実施形態では、検査画像Tを取得した後に該検査画像Tに基づいて葉領域識別情報を設定する。
【0061】
そして、葉領域抽出手段61が背景領域BE及び葉領域RE1を抽出する(S2)。葉領域抽出手段61では、図13に示すように、背景領域識別情報が選択され(S20)、選択した背景領域識別情報の色情報に該当する色の領域を背景領域BEであると識別する(S21)。また、葉領域抽出手段61では、葉領域識別情報の色情報に該当する領域を葉領域RE1であると識別する(S22)。
【0062】
これにより、検査画像T内が葉領域RE1と背景領域BEとに区分け(色分け)される。
【0063】
続いて、図12に示すように、葉柄領域抽出手段62が葉柄領域RE2を抽出する(S3)。葉柄領域抽出手段62が葉柄領域RE2を抽出する処理では、図14に示すように、領域設定処理で検査画像T上に走査領域PE1を設定する(S30)。本実施形態では、領域設定処理で葉領域RE1の重心C1を中心とする円環状の走査領域PE1を設定する(図7(a)参照)。
【0064】
次に、第一の抽出処理を行った結果、重複領域PE2が抽出された場合(S31でYes)、第二の抽出処理が重複領域PE2の中から短小領域PE3をさらに抽出する(S32)。
【0065】
そして、第二の抽出処理が実行された後、拡張処理が走査領域PE1を拡張する(S33)。より具体的に説明すると、拡張処理は、走査領域PE1の幅を変えずに、走査領域PE1の直径のみを拡張する。
【0066】
さらに、拡張処理が実行された後は、新たな走査領域PE1を用いて第一の抽出処理、第二の抽出処理が再び実行される。
【0067】
第一の抽出処理、第二の抽出処理、拡張処理は、第一の抽出処理で重複領域PE2が抽出されている限り繰り返して実行される。そして、第一の抽出処理で重複領域PE2が抽出されなかった場合(S31でNo)は、領域結合処理において、第二の抽出処理で抽出した複数の短小領域PE3を一つの画像上に重ねて表示することで結合領域PE4とし(S34)、続いて、選出処理において、複数の結合領域PE4の中から最も寸法の長い領域を葉柄領域RE2として抽出する(S35)。
【0068】
これにより、葉領域RE1の中から葉柄領域RE2が抽出される。すなわち、葉柄領域RE2(葉柄の形状)と、葉身領域RE3(葉身の形状)とが別々に認識される。
【0069】
葉柄領域抽出手段62が葉柄領域RE2を抽出した後、図12に示すように、葉身領域抽出手段63が葉身領域RE3を抽出する(S4)。
【0070】
葉身領域抽出手段63は、葉領域RE1から葉柄領域RE2に対応する領域を切り取り、残った領域を葉身領域RE3とする。これにより、葉領域RE1の中から葉身領域RE3も抽出され、大葉の葉柄、及び葉身の形状が認識(特定)される。
【0071】
続いて、向き導出手段64が大葉の向きを導出する(S5)。向き導出手段64は、図15に示すように、葉柄領域RE2の重心C2を導出し(S50)、葉身領域RE3の重心C3を導出し(S51)、それぞれの重心C2,C3を結ぶ直線の向きを大葉の向きとする(S52)。
【0072】
以上のように、本実施形態に係る形状認識装置3によれば、検査画像Tに映る葉状農作物である大葉の像から葉柄領域RE2と葉身領域RE3、すなわち、葉柄の形状と葉身の形状とを別々に抽出することで、大葉の形状を正確に認識できるようになる。
【0073】
また、本実施形態では、走査領域PE1が円環状であるため、重複領域PE2に含まれている短小領域PE3を結合した結合領域PE4には、必ず葉柄領域RE2となる領域が含まれるようになっている。
【0074】
さらに、大葉の葉身の外周縁部は、先鋭に延出した複数の先鋭部が並ぶ形状となっているため、短小領域PE3には、葉柄領域RE2の一部に該当するものに加えて、葉身の先鋭部に該当するものも含まれることとなるが、本実施形態では、重複領域PE2から長尺な領域を除外する処理と、結合領域PE4のうち、最も寸法の長い領域を選出する処理とを行うことにより、葉柄領域RE2のみを高い精度で抽出することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る形状認識装置3では、向き導出手段64が大葉の向きを導出するように構成されているため、向き導出手段64で導出した大葉の向きの情報を活用すれば、形状認識装置3で形状を認識した大葉に対して行われる搬送や加工等の作業の精度を高めることができる。
【0076】
本実施形態の出荷システム1は、複数枚の大葉を重ねた状態で葉柄の部分を結束する加工装置5を備えているため、形状認識装置3で形状を認識した大葉を結束する加工の精度を高めることができる。
【0077】
なお、本発明の形状認識プログラム及び形状認識装置は、上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
【0078】
上記実施形態の出荷システム1では、形状認識装置3で形状を認識した大葉が搬送装置4に搬送するように構成されていたが、この構成に限定されない。出荷システム1は、例えば、形状認識装置3で形状を認識した大葉を、加工装置5や、その他の装置に直接搬送するように構成されていてもよい。
【0079】
上記実施形態において、形状認識プログラムは、撮像装置31で大葉を撮像するように構成されていたが、検査画像を取得することができれば、撮像装置31を制御するように構成されていなくてもよい。
【0080】
上記実施形態において、画像取得手段60は、撮像装置31から直接的に検査画像を取得するように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、画像取得手段60は、撮像した検査画像を記憶装置33に記憶させておき、記憶装置33から必要に応じて検査画像を読み出すように構成されていてもよいし、形状認識装置3に対して有線接続されている外部の記憶装置に記憶されている検査画像や、形状認識装置3と無線通信可能な外部の記憶装置に記憶されている検査画像を読み出すように構成されていてもよい。
【0081】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、形状認識プログラムは、形状認識装置3の記憶装置33に記憶されていてもよいし、処理装置32がアクセス可能であれば、形状認識装置3に有線接続された外部の記憶装置に記憶されていてもよいし、形状認識装置3と無線通信可能な外部の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、背景領域識別情報と葉領域識別情報も形状認識装置3の記憶装置33に保存されていたが、処理装置32がアクセス可能であれば、形状認識装置3に有線接続された外部の記憶装置や、形状認識装置3と無線通信可能な外部の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0083】
上記実施形態において、領域設定処理は、円環状の走査領域PE1を設定するように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、領域設定処理は、楕円環状の走査領域PE1を設定するように構成されていてもよいし、曲線領域のみで構成される曲線状の走査領域PE1を設定するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…出荷システム、2…収容具、3…形状認識装置、4…搬送装置、5…加工装置、30…ステージ、31…撮像装置、32…処理装置、33…記憶装置、60…画像取得手段、61…葉領域抽出手段、62…葉柄領域抽出手段、63…葉身領域抽出手段、64…向き導出手段、300…載置板部、BE…背景領域、C1…重心、C2…重心、C3…重心、L…直線、PE1…走査領域、PE2…重複領域、PE3…短小領域、PE4…結合領域、RE1…葉領域、RE2…葉柄領域、RE3…葉身領域、T…検査画像
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