(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
正面視において略長方形であり、かつ、コートに立設される一対の支柱間に張られる競技用ネットの下辺に沿って配設されるアンダーロープであって、前記下辺からはみ出した一端側が二股に分岐し、かつ、この分岐箇所に結び目を有するとともに、同じくはみ出した他端側が第1の前記支柱に固定されるアンダーロープに対し、前記下辺方向の張力を負荷するためのアンダーロープ張力負荷用具であって、
紐状であり、かつ、それぞれ第1の輪形に形成される引手部を両端に有する張力負荷用具本体と、
紐状であり、かつ、第2の輪形に形成される本体接続部を先端に有するとともに、前記張力負荷用具本体の長手方向の中央部が前記第2の輪形を貫通することにより前記張力負荷用具本体と接続する本体解放補助紐とを備え、
前記張力負荷用具本体は、前記中央部が、ひばり結びによって前記アンダーロープの前記結び目よりも前記他端側に結び付き、かつ、前記結び目と共に前記競技用ネットから離れる向きに引っ張られることにより前記張力を負荷することができ、
前記ひばり結びは、前記中央部が前記本体解放補助紐を介して前記の結び付き箇所から離れる向きに引っ張られることにより解ける
ことを特徴とするアンダーロープ張力負荷用具。
正面視において略長方形の競技用ネットを、コートに立設される一対の支柱間に張る際に、前記競技用ネットの下辺に沿って配設され、かつ、前記下辺からはみ出した一端側が結び目を境に二股に分岐するアンダーロープに対し、前記下辺方向の張力を負荷する競技用ネット張設方法であって、
紐状であり、かつ、それぞれ第1の輪形に形成される引手部を両端に有する張力負荷用具本体と、紐状であり、かつ、第2の輪形に形成される本体接続部を先端に有するとともに、前記張力負荷用具本体の長手方向の中央部が前記第2の輪形を貫通することにより前記張力負荷用具本体と接続する本体解放補助紐とを備えるアンダーロープ張力負荷用具を用意する準備工程と、
前記競技用ネットのケーブルを第1の前記支柱と第2の前記支柱との間に渡すとともに、前記アンダーロープの同じくはみ出した他端側を前記第1の支柱に固定する他端側固定工程と、
前記中央部をひばり結びによって前記アンダーロープの前記結び目よりも前記他端側に結び付けることにより、前記アンダーロープ張力負荷用具を前記アンダーロープに取り付ける用具取付け工程と、
前記中央部を前記結び目と共に前記競技用ネットから離れる向きに引っ張ることにより前記張力を負荷するとともに、前記一端側を緊縛することにより前記第2の支柱に固定する一端側固定工程と、
前記中央部を前記本体解放補助紐を介して前記の結び付き箇所から離れる向きに引っ張ることにより、前記ひばり結びを解くひばり結び解放工程と、
前記アンダーロープから前記アンダーロープ張力負荷用具を取り外す用具取外し工程とを含む
ことを特徴とする競技用ネット張設方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、バレーボールをはじめとする、競技用ネットを用いるボール競技においては、コート外であっても、
図18のバレーボール用ネットの例に示すような支柱とサイドラインとの間のプレー領域PZに選手が立ち入り、支柱やネットの支柱側端の間際でのプレーを行う。そのため、選手がこれらの器具に触れても怪我をしないように、プレー中には、支柱とネットとの間にアンダーロープ以外の付属具などが取り付けられていない構造でなければならない。
【0009】
なお、
図18の基となった規格図は、日本バレーボール協会が発行する2017年度版ルールブックから引用した。
【0010】
これに対し、滑車式アンダーロープ張力負荷用具91は、バレーボール用ネット92が張設されてから取り外されるまでの間、アンダーロープ93に対する張力を保持するため、滑車ロープ97がアンダーロープ93側及び支柱95側のそれぞれの滑車94,96間に掛け回され続けねばならない。
【0011】
すなわち、プレー中にもかかわらず、滑車94,96がアンダーロープ93側及び支柱95側に固定され続けねばならず、選手は滑車94,96に触れて怪我をする虞がある。
【0012】
また、ボール競技のコートは、競技場や体育館のような施設の中に、複数面が設置されることが多い。そのため、アンダーロープ張力負荷用具は、複数面のコートに同時に張られる競技用ネットのそれぞれのアンダーロープに対して張力を負荷しなければならない。
【0013】
これに対し、滑車式アンダーロープ張力負荷用具91は、一の面のコートに張られるバレーボール用ネット92が張設されてから取り外されるまでの間、この一の面のコートのアンダーロープ93に対する張力を保持し続けるため、他の面のコートに張られるバレーボール用ネットに用いることができない。
【0014】
本発明はこのような問題に鑑み、競技用ネットを張設した後に、その競技用ネットのアンダーロープに対する張力を保持しつつ、このアンダーロープから容易に取り外すことのできるアンダーロープ張力負荷用具、競技用ネット張設構造及び競技用ネット張設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明は、正面視において略長方形であり、かつ、コートに立設される一対の支柱間に張られる競技用ネットの下辺に沿って配設されるアンダーロープであって、前記下辺からはみ出した一端側が二股に分岐し、かつ、この分岐箇所に結び目を有するとともに、同じくはみ出した他端側が第1の前記支柱に固定されるアンダーロープに対し、前記下辺方向の張力を負荷するためのアンダーロープ張力負荷用具であって、紐状であり、かつ、それぞれ第1の輪形に形成される引手部を両端に有する張力負荷用具本体と、紐状であり、かつ、第2の輪形に形成される本体接続部を先端に有するとともに、前記張力負荷用具本体の長手方向の中央部が前記第2の輪形を貫通することにより前記張力負荷用具本体と接続する本体解放補助紐とを備え、前記張力負荷用具本体は、前記中央部が、ひばり結びによって前記アンダーロープの前記結び目よりも前記他端側に結び付き、かつ、前記結び目と共に前記競技用ネットから離れる向きに引っ張られることにより前記張力を負荷することができ、前記ひばり結びは、前記中央部が前記本体解放補助紐を介して前記の結び付き箇所から離れる向きに引っ張られることにより解けることを特徴とするアンダーロープ張力負荷用具を提供するものである。
【0016】
すなわち、本発明のアンダーロープ張力負荷用具は、張力負荷用具本体の中央部がアンダーロープの結び目の他端側に巻き付き、複数の操作者のうちの二人の引手担当者が、それぞれ前記張力負荷用具本体の各引手部を引くことによって、前記アンダーロープに対して競技用ネットの下辺方向の張力を負荷することができる。そして、アンダーロープ張力負荷用具によって前記張力が負荷されている間に、前記複数の操作者のうちの一人の固定担当者は、前記アンダーロープの先端を支柱に固定することができる。
【0017】
このとき、アンダーロープ張力負荷用具は、ひばり結びによって前記アンダーロープに結び付く。そのため、前記アンダーロープを前記支柱に固定した後に、前記操作者は、このひばり結びを解くことによって、アンダーロープ張力負荷用具を容易に前記アンダーロープから取り外すことができる。
【0018】
このように、本発明のアンダーロープ張力負荷用具は、前記アンダーロープに対する張力が保持された状態で、前記アンダーロープから外れることができる。その結果、競技用ネットを張設した後は、アンダーロープに張力を負荷するための付属具などが支柱と前記競技用ネットとの間に残ることがない。また、一組の前記アンダーロープ張力負荷用具は、一の面に張られる競技用ネットを張設した後に取り外され、次に、他の面に張られる競技用ネットを張設するために用いることができる。
【0019】
さらに、本体解放補助紐が前記張力負荷用具本体の中央部に接続されるため、前記操作者は、この本体解放補助紐を引っ張ることによって前記ひばり結びを解くことができ、より容易に前記アンダーロープ張力負荷用具を前記アンダーロープから取り外すことができる。
【0020】
(2)また、本発明のアンダーロープ張力負荷用具において、前記各輪形は、さつま編み込みにより形成されていてもよい。
【0021】
すなわち、第1の輪形及び第2の輪形がさつま編み込みによってそれぞれ形成されることにより、強度の高い輪形を得ることができる。これにより、前記各輪形の崩れる虞が少なく、前記操作者は、より容易に前記競技用ネットの張設及び前記アンダーロープ張力負荷用具の取外しを行うことができる。
【0022】
(3)また、本発明のアンダーロープ張力負荷用具は、紐状であり、かつ、環状接続体を介して前記引手部に脱着可能な延長具を備えていてもよい。
【0023】
すなわち、前記二人の引手担当者は、環状接続体及び延長具を介して前記張力負荷用具本体を引くことができる。そして、前記環状接続体は前記張力負荷用具本体に対して脱着可能である。
【0024】
ところで、前記二人の引手担当者が、前記アンダーロープに対し前記競技用ネットの下辺方向の張力を負荷するため、この下辺の延長線上で作業をしたのでは、前記延長線上に立設される前記支柱及び前記支柱近くに立つ前記固定担当者が邪魔である。そのため、アンダーロープ張力負荷用具は、平面視において前記中央部を頂点とし、かつ、前記競技用ネットから離れる向きに開口するV字状を描くように配置される。
【0025】
このとき、前記中央部から両端までが短いと、たとえ前記V字状を描くように配置しても、前記各引手担当者と前記支柱又は前記固定担当者との距離が近く、作業がし難いため、アンダーロープ張力負荷用具は、一端から他端までの長さが十分に確保されていなければならない。
【0026】
そこで、前記操作者は、前記張力負荷用具本体をひばり結びによって前記アンダーロープに巻き付けた後に前記延長具を前記張力負荷用具本体に装着し、かつ、前記ひばり結びを解き、前記張力負荷用具本体を前記アンダーロープから取り外す前に予め前記延長具を前記張力負荷用具本体から離脱させる。
【0027】
そのため、本発明のアンダーロープ張力負荷用具によって、前記各引手担当者が引く時の一端から他端までの長さが前記延長具により補われると同時に、ひばり結びの後及びひばり結びを解く前に予め前記延長具を取り外すことにより、前記中央部と前記アンダーロープとが構成する通し穴に対して、全体の長さのうち前記延長具の長さ分を通過させる必要をなくすことができる。
【0028】
このように、本発明のアンダーロープ張力負荷用具は、前記アンダーロープに対して、より容易に取り付け及び取り外しを行うことができる。
【0029】
(4)本発明は、コートに立設される一対の支柱と、正面視において略長方形であり、かつ、前記一対の支柱間に張られる競技用ネットと、前記競技用ネットの下辺に沿って配設されるとともに、前記下辺からはみ出した一端側が二股に分岐し、かつ、この分岐箇所に結び目を有するアンダーロープと、該アンダーロープに対して前記下辺方向の張力を負荷するためのアンダーロープ張力負荷用具とを備える競技用ネット張設構造であって、前記アンダーロープ張力負荷用具は、紐状であり、かつ、それぞれ第1の輪形に形成される引手部を両端に有する張力負荷用具本体と、紐状であり、かつ、第2の輪形に形成される本体接続部を先端に有するとともに、前記張力負荷用具本体の長手方向の中央部が前記第2の輪形を貫通することにより前記張力負荷用具本体と接続する本体解放補助紐とを備え、 前記アンダーロープの同じくはみ出した他端側が第1の前記支柱に固定される一方で、前記張力負荷用具本体は、前記中央部が、ひばり結びによって前記アンダーロープの前記結び目よりも前記他端側に結び付き、かつ、前記結び目と共に前記競技用ネットから離れる向きに引っ張られることにより前記張力を負荷することができ、前記ひばり結びは、前記中央部が前記本体解放補助紐を介して前記の結び付き箇所から離れる向きに引っ張られることにより解けることを特徴とする競技用ネット張設構造を提供するものである。
【0030】
すなわち、本発明の競技用ネット張設構造は、アンダーロープに対する張力が保持された状態で、アンダーロープ張力負荷用具が前記アンダーロープから外れることを可能とする。その結果、競技用ネットを張設した後は、アンダーロープに張力を保持するための付属具などを支柱と前記競技用ネットとの間に残すことがない。
【0031】
また、本発明の競技用ネット張設構造が適用されることにより、一組の前記アンダーロープ張力負荷用具を用いて、一の面に張られる競技用ネットを張設した後に、前記一の面から取り外し、次に他の面に張られる競技用ネットを張設することができる。
【0032】
さらに、本体解放補助紐が前記張力負荷用具本体の中央部に接続されるため、操作者は、この本体解放補助紐を引っ張ることによって前記ひばり結びを解くことができ、容易に前記アンダーロープ張力負荷用具を前記アンダーロープから取り外すことができる。
【0033】
(5)また、本発明の競技用ネット張設構造において、前記各輪形は、さつま編み込みにより形成されていてもよい。
【0034】
すなわち、第1の輪形及び第2の輪形がさつま編み込みによってそれぞれ形成されることにより、強度の高い輪形を得ることができる。これにより、前記各輪形の崩れる虞が少なく、前記操作者は、より容易に前記競技用ネットの張設及び前記アンダーロープ張力負荷用具の取外しを行うことができる。
【0035】
(6)また、本発明の競技用ネット張設構造において、紐状であり、かつ、環状接続体を介して前記引手部に脱着可能な延長具を備え、前記中央部は、前記延長具を介して前記競技用ネットから離れる向きに引っ張られてもよい。
【0036】
すなわち、本発明の競技用ネット張設構造は、張力を負荷する時のアンダーロープ張力負荷用具の長さを延長具によって補うと同時に、ひばり結びの後及びひばり結びを解く前に前記延長具を取り外すことにより、前記中央部と前記アンダーロープとが構成する通し穴に対して、前記アンダーロープ張力負荷用具のうちの前記延長具の長さ分を通過させる必要をなくすことができる。
【0037】
このように、本発明の競技用ネット張設構造は、前記アンダーロープ張力負荷用具の、前記アンダーロープに対するより容易な取り付け及び取り外しを可能とする。
【0038】
(7)本発明は、正面視において略長方形の競技用ネットを、コートに立設される一対の支柱間に張る際に、前記競技用ネットの下辺に沿って配設され、かつ、前記下辺からはみ出した一端側が結び目を境に二股に分岐するアンダーロープに対し、前記下辺方向の張力を負荷する競技用ネット張設方法であって、 紐状であり、かつ、それぞれ第1の輪形に形成される引手部を両端に有する張力負荷用具本体と、紐状であり、かつ、第2の輪形に形成される本体接続部を先端に有するとともに、前記張力負荷用具本体の長手方向の中央部が前記第2の輪形を貫通することにより前記張力負荷用具本体と接続する本体解放補助紐とを備えるアンダーロープ張力負荷用具を用意する準備工程と、前記競技用ネットのケーブルを第1の前記支柱と第2の前記支柱との間に渡すとともに、前記アンダーロープの同じくはみ出した他端側を前記第1の支柱に固定する他端側固定工程と、前記中央部をひばり結びによって前記アンダーロープの前記結び目よりも前記他端側に結び付けることにより、前記アンダーロープ張力負荷用具を前記アンダーロープに取り付ける用具取付け工程と、前記中央部を前記結び目と共に前記競技用ネットから離れる向きに引っ張ることにより前記張力を負荷するとともに、前記一端側を緊縛することにより前記第2の支柱に固定する一端側固定工程と、前記中央部を前記本体解放補助紐を介して前記の結び付き箇所から離れる向きに引っ張ることにより、前記ひばり結びを解くひばり結び解放工程と、前記アンダーロープから前記アンダーロープ張力負荷用具を取り外す用具取外し工程とを含むことを特徴とする競技用ネット張設方法を提供するものである。
【0039】
すなわち、本発明の競技用ネット張設方法により、アンダーロープを支柱に緊縛し、前記アンダーロープに対する張力を保持した状態で、アンダーロープ張力負荷用具を前記アンダーロープから取り外すことができる。その結果、本発明の競技用ネット張設方法により競技用ネットを張設した後に、アンダーロープに張力を負荷するための付属具などが前記支柱と前記競技用ネットとの間に残ることがない。
【0040】
また、本発明の競技用ネット張設方法により、一の面に張られる競技用ネットを張設した後に、同じ前記アンダーロープ張力負荷用具を用いて、他の面に張られる競技用ネットを張設することができる。
【0041】
さらに、本発明のひばり結び解放工程及び用具取外し工程において、本体解放補助紐を引っ張ることによってひばり結びを解くことができ、容易に前記アンダーロープから前記アンダーロープ張力負荷用具を取り外すことができる。
【0042】
(8)また、本発明の競技用ネット張設方法において、前記アンダーロープ張力負荷用具は紐状の延長具を備え、前記用具取付け工程は、前記中央部を前記アンダーロープに結び付けた後に
、環状接続体を介して前記延長具を前記引手部に接続する工程を含み、前記一端側固定工程においては、前記中央部を前記引手部側から前記延長具を介して前記競技用ネットから離れる向きに引っ張り、前記ひばり結び解放工程は、前記中央部を前記本体解放補助紐を介して引っ張る前に、前記延長具を前記張力負荷用具本体から取り外す工程を含んでもよい。
さらに、前記アンダーロープ張力負荷用具は紐状の延長具を備え、前記準備工程は、前記延長具に予め接続された環状接続体を準備する工程を含み、前記用具取付け工程は、前記中央部を前記アンダーロープに結び付けた後に、前記環状接続体を介して前記延長具を前記引手部に接続する工程を含み、前記一端側固定工程においては、前記中央部を前記引手部側から前記延長具を介して前記競技用ネットから離れる向きに引っ張り、前記ひばり結び解放工程は、前記中央部を前記本体解放補助紐を介して引っ張る前に、前記延長具を前記張力負荷用具本体から取り外す工程を含んでもよい。
【0043】
すなわち、本発明の用具取付け工程及び用具取外し工程においては、張力を負荷する時のアンダーロープ張力負荷用具の長さを延長具によって補うと同時に、ひばり結びの後に前記延長具を接続し、かつ、ひばり結びを解く前に前記延長具を取り外すことにより、前記中央部と前記アンダーロープとが構成する通し穴に対して、前記アンダーロープ張力負荷用具のうちの前記延長具の長さ分を通過させる必要をなくすことができる。
【0044】
このように、本発明の競技用ネット張設方法は、前記アンダーロープ張力負荷用具の、より容易な取り付け及び取り外しを可能とする。
【発明の効果】
【0045】
本発明では、競技用ネットを張設した後に、その競技用ネットのアンダーロープに対する張力を保持しつつ、このアンダーロープから容易に取り外すことのできるアンダーロープ張力負荷用具、競技用ネット張設構造及び競技用ネット張設方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。
図1に示す競技用コートCには一対の支柱P1,P2が立設され、正面視において略長方形の競技用ネットNが第1の支柱P1と第2の支柱P2との間に渡される。
図2に、競技用ネットNの一部と第2の支柱P2の一部とを示す。競技用コートC及び競技用ネットNは、バレーボール、バドミントン等の運動競技のために用いられる。
【0048】
そして、
図2において競技用ネットNの下辺Nuの方向である第1の方向を矢印Xで表し、第1の方向Xにおいて、
図2に向かって右向きをネット中央向きといい、同じく左向きをネット外側向きという。第1の方向Xは、平面視において競技用コートCのサイドラインSLと直交する。
【0049】
また、競技用コートCのサイドラインSLと平行な方向である第2の方向を矢印Yで表す。第2の方向Yにおいて、
図2の手前側を競技用ネット手前側といい、同じく奥側を競技用ネット奥側という。
【0050】
さらに、支柱Pの立設方向である第3の方向を矢印Zで表す。第3の方向Zにおいて、競技用コートCから離れる向きが上向きであり、同じく近づく向きが下向きである。
【0051】
図1〜
図11は本発明に係るアンダーロープ張力負荷用具、競技用ネット張設構造及び競技用ネット張設方法の第1の実施形態を例示している。
図2において1は、アンダーロープUに対し第1の方向Xの張力を負荷するためのアンダーロープ張力負荷用具である。
【0052】
アンダーロープUは、第1の方向Xの両端が開口する、第2の方向Yに扁平な形状の筒状に形成された下辺Nuの内側を、第1の方向Xに貫通する。そして、アンダーロープUは、下辺Nuから
図1に示す第1の先端部U1が第1の支柱P1側にはみ出し、また、第2の先端部U2が第2の支柱P2側にはみ出す。第1の先端部U1は、縛り付けられるなどの方法により第1の支柱P1に固定される。
【0053】
第2の先端部U2は、
図2に示すように、ネット外側向きに二股に分岐する。すなわち、第2の先端部U2は分岐箇所に結び目Ukを有し、かつ、結び目Ukから分岐して、競技用ネット手前側から第2の支柱P2に巻き付くことのできる手前側先端部Uaと、競技用ネット奥側から第2の支柱P2に巻き付くことのできる奥側先端部Ubとを有する。また、アンダーロープUは4mm以上、かつ、6mm未満の直径を有する。
【0054】
アンダーロープ張力負荷用具1は、
図3が示すように張力負荷用具本体2と、本体解放補助紐3とを備える。
【0055】
張力負荷用具本体2は、飽和ポリエステルなどの合成繊維を三つ撚りしたロープにより形成され、
図3において両端が向かって左側に、これら両端間の略中央に位置する中央部2cが向かって右側にそれぞれ見えるように、中央部2cにおいてU字状に折り曲げられた状態で示されている。張力負荷用具本体2は、両端にそれぞれ引手部4,4を有する。
【0056】
張力負荷用具本体2は、前記ロープの両方の先端が各引手部4,4において折り返し、折り返し後にさつま編み込みESにより中央部2cに近づく位置において合流して輪を形成する。張力負荷用具本体2においてさつま編み込みESがなされる箇所である本体さつま編み込み箇所を、
図3の符号2eで表す。さつま編み込みESとは、アイスプライス加工とも呼ばれるロープの端末加工法の一種であり、杉浦他『繊維ロープのアイスプライス、結節強さ』(2003、尾張繊維技術センター、三河繊維技術センター)によれば、ストランド相互の摩擦力を利用した端末加工法として知られる。
【0057】
図4に本体さつま編み込み箇所2eの拡大写真を示す。この箇所でのさつま編み込みESは、前記各先端における三つ撚りと、各本体さつま編み込み箇所2e,2eにおける三つ撚りとをいったんほぐし、あらためて編み直すことによりなされる。
【0058】
また、張力負荷用具本体2は6mm以上、かつ、8mm未満の直径を有する。以下で述べるように張力負荷用具本体2がアンダーロープUに結び付く際に、張力負荷用具本体2の直径がアンダーロープUの直径よりも大きくないと、堅固に結び付くことができないからである。また、8mm以上のロープを用いると、嵩が大き過ぎて取り扱いにくいからである。
【0059】
本体解放補助紐3は、飽和ポリエステルなどの合成繊維を三つ撚りしたロープにより形成され、
図2の向かって左側に見える一端に本体接続部5を有する。
【0060】
本体解放補助紐3は、前記ロープの前記一端側の先端が本体接続部5において折り返し、折り返し後にさつま編み込みESにより他端に近づく位置において合流して輪を形成する。本体解放補助紐3は、本体接続部5を除いた長さが大人の手指における人差し指から小指までの4本指の幅よりもわずかに長いものであることが好ましい。本体解放補助紐3においてさつま編み込みESがなされる箇所である補助紐さつま編み箇所を、
図3の符号3eで表す。
【0061】
図5に補助紐さつま編み込み箇所3eの拡大写真を示す。この箇所でのさつま編み込みESは、前記先端における三つ撚りと、補助紐さつま編み箇所3eにおける三つ撚りとをいったんほぐし、あらためて編み直すことによりなされる。
【0062】
各引手部4,4は、ロープが折り返されることにより第1の輪形4aを形成する。
【0063】
本体接続部5は、ロープが折り返されることにより第2の輪形5aを形成する。第2の輪形5aは、内側を中央部2cが貫通する。これにより、本体解放紐3が張力負荷用具本体2と接続する。このとき、張力負荷用具本体2は第2の輪形5aの内側に遊嵌し、第2の輪形5aの中心線方向を自在に移動することができる。
【0064】
各引手部4,4及び本体接続部5のように、さつま編み込みESによって第1の輪形4a,4a又は第2の輪形5aがそれぞれ形成されることにより、例えばもやい結びや八の字結びのような結びに比べより強度の高い輪形を得ることができる。
【0065】
これにより、アンダーロープUに対する張力負荷時及びアンダーロープ張力負荷用具1の取外し時に輪形のくずれる虞が少なく、前記操作者はより容易に競技用ネットNの張設及びアンダーロープ張力負荷用具1の取外しを行うことができる。
【0066】
なお、下辺Nuは前記の筒状に形成されなくとも、アンダーロープUを下辺Nuに沿って第1の方向Xに張り渡すことができる構造であればよい。例えば、アンダーロープUが競技用ネットNの格子のうち、第1の方向Xに並んだ紐体の競技用ネット手前側と競技用ネット奥側とを交互に通過するように織り込まれている構造でもよい。
【0067】
また、各輪形4a,4a,5aを形成する際、折り返された張力負荷用具本体2又は本体解放補助紐3がさつま編み込みESにより合流させなくても、輪形の崩れる虞が少ない他の方法により合流させてもよい。例えば、縫製、テープによる縛り付けなどにより固定させてもよい。
【0068】
次に、
図6のフロー図により、競技用ネットNの張設方法を示す。
図6においてS01は、アンダーロープUに対し第1の方向Xの張力を負荷する競技用ネット張設方法である。
【0069】
競技用ネット張設方法S01は、順に、準備工程S02、第1の支柱P1側固定工程S03、用具取付け工程S04、第2の支柱P2側固定工程S05、ひばり結び解放工程S06及び用具取外し工程S07を含む。各工程に含まれるステップを以下の通り説明する。
【0070】
準備工程S02においては、張力負荷用具本体2と本体解放補助紐3とが予め接続された状態のアンダーロープ張力負荷用具1を準備する。準備工程S02において、張力負荷用具本体2が本体接続部5に遊嵌する位置を調節し、張力負荷用具本体2と本体解放補助紐3とを、中央部2cが第2の輪形5aの内側を貫通する位置に配置する。
【0071】
第1の支柱P1側固定工程S03においては、先ず、競技用ネットNの
図1に示す上辺Ntに沿って配設されるケーブルWが各支柱P1,P2の上端間に渡されて、各支柱P1,P2に固定される。これにより、ケーブルWから下向きに垂れ下がる競技用ネットNが、第1の支柱P1と第2の支柱P2との間に渡される。
【0072】
次に、アンダーロープUの第1の先端部U1が縛り付けられるなどの方法により第1の支柱P1に固定される。
【0073】
用具取付け工程S04においては、準備工程S02により準備されたアンダーロープ張力負荷用具1をアンダーロープUに取り付ける。
【0074】
このとき、アンダーロープ張力負荷用具1はひばり結びによってアンダーロープUに取り付けられる。ひばり結びとは、広辞苑第6版に掲載されるように、紐の結び方であり、吊り手や袋物のこはぜを取りつけるときなどに用いる結び方である。
【0075】
複数の操作者O1,O2,O3のうちの、例えば
図7の写真に示す一方の引手担当者O2が張力負荷用具本体2を第2の先端部U2に結び付けることにより、アンダーロープ張力負荷用具1をアンダーロープUに取り付けられる。
【0076】
すなわち、一方の引手担当者O2は、
図3のように中央部2cで折り曲げられた状態のアンダーロープ張力負荷用具1を、第2の先端部U2を周方向に一周するように巻き付けるとともに、
図2及び
図7が示すように中央部2cと第2の先端部U2とが構成する通し穴Hに中央部2c以外の張力負荷用具本体2を両方の引手部4,4から通すことによりひばり結びを行う。これにより、張力負荷用具本体2が中央部2cにおいて第2の先端部U2に結び付く。
【0077】
このとき、一方の引手担当者O2は、引手部4,4を第2の先端部U2から離れる向きに引っ張りつつ、中央部2cが第2の先端部U2の結び目Ukよりもネット中央向きの側に結び付くように調節する。すなわち、
図2及び
図7のような緩い状態から、
図8の写真のように固く結びつく状態に至る前に、中央部2cを結び目Ukの直ぐ隣りのネット中央向きの側に配置する。
【0078】
これにより、以下で述べるように引手担当者O2,O3が各引手部4,4をネット外側向きに引く際に、中央部2cが結び目Ukに引っ掛かることにより、中央部2cと結び目Ukとが共に引っ張られ、引く力が中央部2cを介して直接にアンダーロープUに伝わるためより効率的である。
【0079】
なお、中央部2cが堅固に第2の先端部U2に結び付くことによって上記の引く力が十分にアンダーロープUに伝わるのであれば、最初から中央部2cが結び目Ukの直ぐ隣りに配置されなくともよい。次で述べる第2の支柱P2側固定工程S05において各引手部4,4がネット外側向きに引かれる時に、中央部2cが移動しても結び目Ukに引っ掛かって止まるからである。
【0080】
また、アンダーロープ張力負荷用具1をアンダーロープUに取り付ける時、必ずしも
図7及び8に示すように第2の先端部U2を張った状態で取り付ける必要はなく、中央部2cを堅固に第2の先端部U2に結び付けることができれば、ゆるんだ状態で取り付けてもよい。
【0081】
さらに、張力負荷用具本体2を第2の先端部U2に結び付けるのは一方の引手担当者O2でなくともよく、他方の引手担当者O3または固定担当者O1でもよい。また、これらの操作者O1,O2,O3のうち2名又は3名が協力し合って結び付けてもよい。さらに、操作者O1,O2,O3以外の物が行ってもよい。
【0082】
第2の支柱P2側固定工程S05においては、用具取付け工程S04によりアンダーロープ張力負荷用具1がアンダーロープUに取り付けられた状態で、
図9に示すように、一方の引手部4を第2の先端部U2及び第2の支柱P2に対して競技用ネット手前側に配置し、他方の引手部4を第2の先端部U2及び第2の支柱P2に対して競技用ネット奥側に配置する。
【0083】
また、各操作者O1,O2,O3は、固定担当者O1が第2の支柱P2のネット外側に立ち、一方の引手担当者O2が第2の先端部U2及び第2の支柱P2に対して競技用ネット手前側に立ち、かつ、他方の引手担当者O3が第2の先端部U2及び第2の支柱P2に対して競技用ネット奥側に立つようにそれぞれ配置につく。
【0084】
このとき、固定担当者O1は手前側先端部Uaと奥側先端部Ubとを持つ。また、一方の引手担当者O2は一方の引手部4を持ち、他方の引手担当者O3は他方の引手部4を持つ。
【0085】
以上のように各操作者O1,O2,O3が配置についた状態で、各引手担当者O2,O3は引手部4をネット外側向きに引き、中央部2cを結び目Ukと共にネット外側向きに引っ張ることにより、アンダーロープUに第1の方向Xの張力を負荷する。この張力の負荷により、アンダーロープUは、第1の支柱P1側固定工程S03によって第1の先端部U1が第1の支柱P1に固定されているため、全体に強く張られつつネット外側向きに変位する。
【0086】
そこで、固定担当者O1はアンダーロープUの全体が強く張られ、ネット外側向きに変位している間に、手前側先端部Uaと奥側先端部Ubとを第2の支柱P2に緊縛することにより固定する。第2の先端部U2が固定された後、引手担当者O2,O3は引手部4を引くことを止める。強く張られた状態で第2の支柱P2に固定するため、引手部4を引くことを止めても、アンダーロープUに対する第1の方向Xの張力は保持される。
【0087】
各引手担当者O2,O3が引手部4,4を引くとき、固定担当者O1、第2の支柱P2、または、固定担当者O1及び第2の支柱P2の存在が作業の邪魔になる場合は、引手担当者O2,O3がそれぞれ第2の先端部U2及び第2の支柱P2から離れて競技用ネットの手前側又は奥側に立つ。すなわち、アンダーロープ張力負荷用具1は、平面視において中央部2cを頂点とし、ネット外側向きに開口するV字状を描くように配置される。
【0088】
このとき、第2の先端部U2はネット外側向きに引っ張られるとともに、第1の引手担当者O2によって競技用ネット手前側向きに引っ張られ、かつ、第2の引手担当者O3によって競技用ネット奥側向きに引っ張られる。そのため、第2の先端部U2が競技用ネット手前側及び奥側のうちの何れかに変位してしまわないように、引手担当者O2,O3は、引手部4,4を引く際に、それぞれの力の入れ具合のバランスを保つ。
【0089】
このような力の入れ具合のバランスが保たれるのであれば、前記のV字の中心線が平面視において競技用ネットNの第1の方向Xにおける延長線上になくともよく、各引手担当者O2,O3の足場が悪いときなどには、競技用ネット手前側向きの角度と、競技用ネット奥側向きの角度とが異なっていてもよい。
【0090】
ひばり結び解放工程S06においては、第2の支柱P2側固定工程S05にて固定担当者O1が第2の先端部U2を第2の支柱P2に固定し、かつ、引手担当者O2,O3が引手部4,4を引くことを止めた後、用具取付け工程S04にて張力負荷用具本体2を第2の先端部U2に結び付けるために行ったひばり結びを解く。
【0091】
操作者O1,O2,O3のうちの何れかの者は、
図10に示すように本体解放補助紐3のうちの本体接続部5以外の部分を手指で掴む。このとき、
図3に示す補助紐さつま編み箇所3eを含む部分を掴んでもよい。
【0092】
その上で、操作者O1,O2,O3は本体解放補助紐3を第2の先端部U2と結び付いている箇所から離れる向きに引く。これにより、
図11に示すように中央部2cを本体解放補助紐3を介してこの結び付き箇所から離れる向きに引っ張ることができ、次第に中央部2cと第2の先端部U2との間に通し穴Hが形成されるとともに、用具取付け工程S04で行ったひばり結びを解くことができる。
【0093】
このように、張力負荷用具本体2には予め本体解放補助紐3が接続されており、かつ、操作者O1,O2,O3が本体解放補助紐3を手指で掴み易いため、本体解放補助紐3を引くことにより容易にひばり結びを解くことができる。
【0094】
なお、ひばり結び解放工程S06における作業は、操作者O1,O2,O3のうちの一人だけによって行われる必要はなく、複数の者どうしが協力し合って行ってもよい。また、操作者O1,O2,O3以外の者が行ってもよい。
【0095】
用具取外し工程S07においては、ひばり結び解放工程S06にてひばり結びを解いた後、
図11の状態からさらに本体解放補助紐3を引き、引手部4,4を含む張力負荷用具本体2の全体を通し穴Hに通過させる。これにより、アンダーロープ張力負荷用具1をアンダーロープUから取り外す。
【0096】
このとき、本体解放補助紐3を引き、張力負荷用具本体2を最後まで第2の先端部U2の周囲を一周させつつ通し穴Hを通過させる。また、最後まで本体解放補助紐3を引くことにより第2の先端部U2の周囲を一周させる以外に、途中で本体解放補助紐3を持つ手以外の手を通し穴Hにくぐらせて、引手部4,4を掴んで通し穴Hの通過を補助してもよい。
【0097】
このように、張力補助用具本体2を通し穴Hに通過させることにより、容易にアンダーロープ張力負荷用具1をアンダーロープUから取り外すことができる。
【0098】
また、アンダーロープ張力負荷用具1をアンダーロープUから取り外した後においても、アンダーロープUに張力を負荷するための付属具などを第2の支柱P2と競技用ネットNとの間に残すことなく、アンダーロープUの張力を保持することができる。
【0099】
以上のようなアンダーロープ張力負荷用具1を用いた競技用ネット張設方法S01により実現される競技用ネット張設構造のため、アンダーロープ張力負荷用具1の取り外し後は、例えばプレー中に第2の支柱P2と競技用ネットNとの間においてアンダーロープUに張力を負荷するための付属具などが残存せず、選手は、プレーに際してそうした付属具などに触れることがない。
【0100】
また、一組のアンダーロープ張力負荷用具1を用いて一方の競技用コートC1に張られる競技用ネットN1を張設した後に、この競技用ネットN1のアンダーロープUから前記一組のアンダーロープ張力負荷用具1を取り外し、次に、前記一組のアンダーロープ張力負荷用具1を用いて他方の競技用コートC2に張られる競技用ネットN2を張設することができる。
【0101】
そのため、競技場、体育館等の施設の中に、複数面の競技用コートC1,C2が設置される場合でも、それぞれに張られる競技用ネットN1,N2に対して、一組のアンダーロープ張力負荷用具1を共用することができる。
【0102】
図12〜
図16は本発明に係るアンダーロープ張力負荷用具、競技用ネット張設構造及び競技用ネット張設方法の第2の実施形態を例示している。
図12において11は、アンダーロープUに対して第1の方向Xの張力を負荷するためのアンダーロープ張力負荷用具である。
【0103】
アンダーロープ張力負荷用具11は、張力負荷用具本体12と本体解放補助紐13と一対の延長具16a,16bとを備える。
【0104】
張力負荷用具本体12は両端にそれぞれ引手部14,14を有する。また、張力負荷用具本体12は、各引手部14,14がそれぞれスプリングフック17,17を介して延長具16a,16bと接続する。
【0105】
各延長具16a,16bは、
図13が示すようなロープ状であり、一端側にスプリングフック17と接続するスプリングフック接続部18を有し、かつ、他端側にグリップ部19を有するとともに、グリップ部19以外の部分が飽和ポリエステルなどの合成繊維を三つ撚りしたロープにより形成される。
【0106】
各延長具16a,16bは、一端がスプリングフック接続部18において折り返し、折り返し後にさつま編み込みESにより他端に近づく位置において合流する。各延長具16a,16bにおいてさつま編み込みESがなされる箇所である延長具さつま編み込み箇所を
図13の符号16eで表す。
【0107】
各スプリングフック17,17は、各引手部14,14がそれぞれ形成する第1の輪形14a,14aの内側を貫通することができる。以下で図(
図15)を用いて説明するスプリングフック17の可動部17aを開いて第1の輪形14aの内側を貫通させるとき、スプリングフック17と引手部14とが接続する。スプリングフック17と引手部14とが接続した後に、再び可動部17aを開いて第1の輪形14aから外すときは、スプリングフック17が引手部14から外される。
【0108】
スプリングフック接続部18は、前記の折り返しにより第3の輪形18aを形成する。第3の輪形18aは、内側をスプリングフック17が貫通する。これにより、スプリングフック接続部18がスプリングフック17と接続する。このとき、スプリングフック17は第3の輪形18aの内側に遊嵌し、第3の輪形18aの中心線方向を自在に移動することができる。
【0109】
こうした構造により、各延長具16a,16bはそれぞれがスプリングフック17,17を介して張力負荷用具本体12に対して脱着可能である。なお、スプリングフック17、17は環状接続体の一種である。
【0110】
グリップ部19は、筒状であり、大人が手指によって握ることのできる程度の高さを有する。そのため、引手担当者O2,O3が一方の手によってグリップ部19を掴むことにより、延長具16a,16bをその長手方向に容易に引くことができる。
【0111】
次に、
図14のフロー図により、競技用ネットNの張設方法を示す。
図14においてS11は、アンダーロープUに対し第1の方向Xの張力を負荷する競技用ネット張設方法である。
【0112】
競技用ネット張設方法S11は、順に、準備工程S12、第1の支柱P1側固定工程S13、用具取付け工程S14、第2の支柱P2側固定工程S15、ひばり結び解放工程S16及び用具取外し工程S17を含む。以下においては、第1の実施形態に対して追加されるステップを工程毎に説明する。それら以外のステップは、第1の実施形態と共通する。
【0113】
準備工程S12においては、張力負荷用具本体12と、張力負荷用具本体12に予め接続された本体解放補助紐13とに加え、一対の延長具16a,16bと、各延長具16a,16bに予め接続されたスプリングフック17,17とを準備する。
【0114】
準備工程S12においては、未だスプリングフック17,17を引手部14,14に接続しない。
【0115】
用具取付け工程S14においては、準備工程S12において準備された張力負荷用具本体12をアンダーロープUに取り付け、その後に、各スプリングフック17,17をそれぞれ引手部14,14に接続する。これにより、各延長具16a,16bはそれぞれスプリングフック17,17を介して引手部14,14に接続される。
【0116】
すなわち、
図15に示すように、複数の操作者O1,O2,O3のうちの例えば一方の引手担当者O2がスプリングフック17の可動部17aを開いて、スプリングフック17を第1の輪形14aの内側に貫通させる。この後、可動部17aを閉じることにより、延長具16aはスプリングフック17を介して引手部14に接続される。接続後は可動部17aを閉じる。
【0117】
このように、アンダーロープ張力負荷用具11をひばり結びによって第2の先端部U2に取り付けた後に延長具16a,16bを張力負荷用具本体12に接続することができる。
【0118】
そのため、引手担当者O2,O3がアンダーロープ張力負荷用具11を引くときの一端から他端までの長さが延長具16a,16bによって補われると同時に、張力負荷用具本体12のひばり結びは、延長具16a,16bを接続していない状態で行うことができる。これにより、中央部12cと第2の先端部U2とが構成する通し穴Hには、延長具16a,16bを通過させる必要がなく、容易にアンダーロープ張力負荷用具11をアンダーロープUに取り付けることができる。
【0119】
第2の支柱P2側固定工程S15においては、用具取付け工程S14により張力負荷用具本体12がアンダーロープUに取り付けられ、かつ、延長具16a,16bが引手部14,14に接続された状態で、
図16(a)に示すように、一方の延長具16aを第2の支柱P2に対して競技用ネット手前側に配置し、他方の延長具16bを第2の支柱P2に対して競技用ネット奥側に配置する。
【0120】
また、各操作者O1,O2,O3は、固定担当者O1が第2の支柱P2のネット外側に立ち、一方の引手担当者O2が第2の支柱P2に対して競技用ネット手前側に立ち、かつ、他方の引手担当者O3が第2の支柱P2に対して競技用ネット奥側に立つように配置につく。
【0121】
固定担当者O1は第2の先端部U2を持つ。また、一方の引手担当者O2は一方の延長具16aのグリップ部19を持ち、他方の引手担当者O3は他方の延長具16bのグリップ部19を持つ。
【0122】
このとき、各引手担当者O2,O3が、アンダーロープUに対し第1の方向Xの張力を負荷するため、平面視において競技用ネットNの第1の方向Xにおける延長線上で作業をしたのでは、前記延長線上に立設される第2の支柱P2及び第2の支柱P2のネット外側に立つ固定担当者O1が邪魔である。そのため、アンダーロープ張力負荷用具11は、平面視において中央部12cを頂点とし、かつ、ネット外側向きに開口するV字状を描くように配置される。
【0123】
ここで、もし延長具16a,16bを接続しない場合は、張力負荷用具本体12の中央部12cから両端までが短いと、たとえ前記V字状を描くように配置しても、各引手担当者O2,O3と第2の支柱P2又は固定担当者O1との距離が近く作業がし難い。
【0124】
これに対し、用具取付け工程S14にて張力負荷用具本体12のひばり結びを行った後に延長具16a,16bを接続することにより、通し穴Hに延長具16a,16bの長さ分を通過させる必要がなく、かつ、各引手担当者O2,O3が延長具16a,16bのグリップ部19,19を持って引くことができる。このように、中央部2cから各引手担当者O2,O3が持つ部分までの距離が延長されるので、各引手担当者O2,O3と第2の支柱P2又は固定担当者O1との距離を空けることができ作業がし易い。
【0125】
また、各引手担当者O2,O3の足場が悪いときなどには、平面視における前記延長線に対する延長具16aの競技用ネット手前側向きに開く角度と、延長具16bの競技用ネット奥側向きに開く角度とを変えることにより、各引手担当者O2,O3の立ち位置を調整することができる。
【0126】
以上のように各操作者O1,O2,O3が配置についた状態で、各引手担当者O2,O3はグリップ19,19をネット外側向きに引く。これにより、中央部12cを引手部14,14側から延長具16a,16bを介して結び目Ukと共にネット外側に引っ張ることによりアンダーロープUに第1の方向Xの張力を負荷する。
【0127】
図16(b)は、張力が負荷されることによってアンダーロープUの全体が強く張られ、ネット外側向きに変位している間に、固定担当者O1が手前側先端部Ua及び奥側先端部Ubを第2の支柱P2に緊縛することにより固定した状態を示す。
【0128】
ひばり結び解放工程S16においては、第2の支柱P2側固定工程S15にて
図16(b)のように第2の先端部U2を第2の支柱P2に固定し、かつ、引手担当者O2,O3がグリップ部19,19を引くことを止めた後、先ず用具取付け工程S14にて張力負荷用具本体12に接続された延長具16a,16bを取り外した上で、同じく用具取付け工程S14にて張力負荷用具本体12を第2の先端部U2に結び付けるために行ったひばり結びを解く。
【0129】
延長具16a,16bを取り外すには、接続時と同様にスプリングフック17,17の可動部17a,17aを開いて、各スプリングフック17,17を両方の第1の輪形14a,14aの内側から引き抜く。引き抜き後は各可動部17a,17aを閉じる。これにより、スプリングフック17,17と、各スプリングフック17,17に接続される延長具16a,16bとが張力負荷用具本体12から取り外される。
【0130】
以上の構成以外の構成は第1の実施形態と共通する。
【0131】
このように延長具16a,16bを取り外すことにより、次の用具取外し工程17にては、延長具16a,16bを通し穴Hに通過させる必要がなく、張力負荷用具本体12だけを通し穴Hに通過させればよい。これにより、容易にアンダーロープ張力負荷用具11をアンダーロープUから取り外すことができる。
【0132】
なお、各延長具16a,16bを張力負荷用具本体12に接続するために、必ずしもスプリングフック17,17を用いる必要はなく、用具取付け工程S15及びひばり結び解放工程S17において各延長具16a,16bと張力負荷用具本体12とを脱着自在に接続又は取外しすることができれば、例えば、ピンフック、リングキャッチ、チェーンキャッチ等の環状接続体を介して接続してもよい。
【0133】
また、各輪形18a,18aを形成する際、折り返された張力負荷用具本体12又は本体解放補助紐13がさつま編み込みESにより合流させなくても、輪形の崩れる虞が少ない他の方法により合流させてもよい。例えば、縫製、テープによる縛り付けなどにより合流させてもよい。
【0134】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0135】
例えば、張力負荷用具本体2,12の直径が6mm以上、かつ、8mm未満であり、または、アンダーロープUの直径が4mm以上、かつ、6mm未満である必要はなく、張力負荷用具本体2,12がアンダーロープUに堅固に結び付くことができれば、これらの範囲外の直径を有していてもよい。
【0136】
また、張力負荷用具本体2,12、本体解放補助紐3,13、または、延長具16a,16bは、飽和ポリエステルなどの合成繊維を三つ撚りしたロープにより形成される必要がない。アンダーロープUに対する張力を負荷するための十分な強度があれば、例えば、綿などの天然素材を使用したロープにより形成されてもよく、また、金剛打ち編みなどの三つ撚り以外の方法により製作されるロープにより形成されてもよい。
【0137】
さらに、張力負荷用具本体2,12、本体解放補助紐3,13、または、延長具16a,16bは、必ずしもロープにより形成される必要がなく、相手方との取付け及び取外しが容易であれば他の形状の紐状具でもよい。例えば、テープ、ベルト等により形成されてもよい。
【0138】
競技用コートC及び競技用ネットNはバレーボール又はバドミントンのために用いられるものに限らず、例えば第3の方向Zにおける競技用コートCから下辺Nuまでの距離が短く、テニスのような運動競技に用いられるものでもよい。