(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
(粒子)
本発明に係る粒子は、2つの接続対象部材を接続する接続部を形成する接続材料を得るために用いられる粒子である。
【0027】
本発明に係る粒子は、(1)接続後の上記接続部の厚みが、接続前の上記粒子の平均粒子径の2倍を超えるように、上記接続部を形成するために用いられるか、又は、(2)上記粒子は、0.1μm以上、15μm以下の平均粒子径を有する。本発明では、上記(1)の構成を備えていてもよく、上記(2)の構成を備えていてもよく、上記(1)の構成と上記(2)の構成との双方を備えていてもよい。
【0028】
本発明に係る粒子は、3000N/mm
2を超え、20000N/mm
2以下の10%K値を有する。本発明に係る粒子は、50%以下の粒子径のCV値を有する。
【0029】
本発明では、上記の構成が備えられているので、2つの接続対象部材を接続する接続部において、応力負荷時にクラックの発生を抑えることができる。さらに、本発明では、接続強度を高めることもできる。
【0030】
本発明では、上記粒子は、接続時又は接続後に、上記接続部において、応力緩和材として作用することができる。
【0031】
上記10%K値は、粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率である。応力負荷時のクラックの発生を抑える観点からは、上記粒子の10%K値は、3000N/mm
2を超え、20000N/mm
2以下である。応力負荷時のクラックの発生をより一層抑える観点からは、上記10%K値は、好ましくは4000N/mm
2以上、より好ましくは6000N/mm
2以上である。応力負荷時のクラックの発生を抑える観点からは、10%K値は好ましくは17000N/mm
2以下、より好ましくは13000N/mm
2以下である。
【0032】
上記粒子の10%K値は、以下のようにして測定できる。
【0033】
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、最大試験荷重60mNを20秒かけて負荷する条件下で粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記10%K値(圧縮弾性率)を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
【0034】
10%K値(N/mm
2)=(3/2
1/2)・F・S
−3/2・R
−1/2
F:粒子が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:粒子が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:粒子の半径(mm)
【0035】
上記粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、50%以下である。応力負荷時のクラックの発生をより一層抑える観点からは、上記粒子の粒子径のCV値は、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。上記粒子の粒子径のCV値の下限は特に限定されない。上記CV値は0%以上であってもよく、5%以上であってもよく、7%以上であってもよく、10%以上であってもよく、10%を超えていてもよい。
【0036】
上記変動係数(CV値)は下記式で表される。
【0037】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:粒子の粒子径の標準偏差
Dn:粒子の粒子径の平均値
【0038】
上記粒子の平均粒子径は、0.1μm以上、15μm以下であることが好ましい。但し、上記(1)の構成が備えられる場合には、上記粒子の平均粒子径は0.1μm未満であってもよく、15μmを超えていてもよい。上記(1)の構成が備えられる場合には、上記粒子の平均粒子径は、50μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。
【0039】
応力負荷時のクラックの発生をより一層抑える観点からは、上記粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である。応力負荷時のクラックの発生をより一層抑える観点からは、上記粒子の平均粒子径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは6μm以下である。
【0040】
上記粒子の平均粒子径は、粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、観察された画像における任意に選択した50個の各粒子の最大径を算術平均することにより求められる。
【0041】
本発明では、1つの上記粒子が、2つの上記接続対象部材の双方に接しないように、上記接続部を形成するために用いられることが好ましい。1つの上記粒子が、2つの上記接続対象部材のうちの少なくとも一方に接しないように、上記接続部を形成するために用いられることが好ましい。
【0042】
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。以下の粒子の実施形態において、互いに異なる箇所が置き換え可能である。
【0043】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る粒子を示す断面図である。
【0044】
図1に示す粒子1は、導電部を有さない粒子である。粒子1は、例えば、金属粒子を除く粒子である。粒子1は、例えば、樹脂粒子である。
【0045】
粒子1のように、本発明に係る粒子は、導電部を有していなくてもよい。粒子が導電部を有さない場合には、粒子の表面上に導電部が形成されずに、粒子を用いることができる。後述する粒子のように、本発明に係る粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電部とを有していてもよい。
【0046】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る粒子を示す断面図である。
【0047】
図2に示す粒子11は、導電部を有する導電性粒子である。粒子11は、基材粒子12と、導電部13とを有する。導電部13は、基材粒子12の表面上に配置されている。導電部13は、基材粒子12の表面に接している。粒子11は、基材粒子12の表面が導電部13により被覆された被覆粒子である。粒子11では、導電部13は、単層の導電部(導電層)である。
【0048】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る粒子を示す断面図である。
【0049】
図3に示す粒子21は、導電部を有する導電性粒子である。粒子21は、基材粒子12と、導電部22とを有する。導電部22は全体で、基材粒子12側に第1の導電部22Aと、基材粒子12側とは反対側に第2の導電部22Bとを有する。
【0050】
粒子11と粒子21とでは、導電部のみが異なっている。すなわち、粒子11では、1層構造の導電部13が形成されているのに対し、粒子21では、2層構造の第1の導電部22A及び第2の導電部22Bが形成されている。第1の導電部22Aと第2の導電部22Bとは別の導電部として形成されている。粒子21では、導電部22は、多層の導電部(導電層)である。
【0051】
第1の導電部22Aは、基材粒子12の表面上に配置されている。基材粒子12と第2の導電部22Bとの間に、第1の導電部22Aが配置されている。第1の導電部22Aは、基材粒子12に接している。従って、基材粒子12の表面上に第1の導電部22Aが配置されており、第1の導電部22Aの表面上に第2の導電部22Bが配置されている。
【0052】
粒子1,11,21は外表面に突起を有さない。粒子1,11,21は球状である。
【0053】
粒子1,11,21のように、本発明に係る粒子は、外表面に突起を有していなくてもよく、導電部の外表面に突起を有していなくてもよく、球状であってもよい。
【0054】
上記粒子は、上記粒子100万個あたり、凝集している粒子の数が100個以下であることが好ましい。上記凝集している粒子は、1つの粒子が少なくとも1つの他の粒子と接している粒子である。例えば、上記粒子100万個に、3つの粒子が凝集している粒子(3個の粒子の凝集体)が3個含まれる場合に、上記粒子100万個あたり、凝集している粒子の数は9個である。上記凝集している粒子の数の測定方法としては、1視野に5万個程度の粒子が観察されるように倍率を設定した顕微鏡を用いて凝集している粒子をカウントし、20視野の合計として凝集している粒子の数を測定する方法等が挙げられる。
【0055】
上記粒子100万個あたり、凝集している粒子の数を100個以下とする方法としては、例えば上記粒子を上述の導電部を有する導電性粒子の形態とする方法、粒子が表面に、凝集を抑制するための連続又は非連続の被覆部(被覆層)を備える形態とする方法、及び粒子の表面に架橋性の化合物を装飾させる方法等が挙げられる。
【0056】
連続の上記被覆部を形成する方法としては、例えば被覆部の形成前の粒子よりも硬度が高い樹脂で、粒子を被覆する方法が挙げられる。上記被覆部の材料である上記樹脂としては、後述する粒子A及び基材粒子の材料と同様の樹脂及び親水性樹脂等が挙げられる。上記被覆部の材料である上記樹脂は、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン又はポリアクリル酸であることが好ましい。
【0057】
非連続の上記被覆層を形成する方法としては、例えば被覆層の形成前の粒子の表面に微粒子を付着させて、粒子を被覆する方法が挙げられる。上記被覆層の材料である上記微粒子としてはシリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛等の無機微粒子;樹脂微粒子;有機無機ハイブリッド微粒子等が挙げられる。
【0058】
粒子の表面に架橋性の化合物を装飾させる方法としては、例えば粒子の表面に存在する複数の水酸基に、多官能性のシランカップリング剤や多官能性カルボン酸を反応させる方法等が挙げられる。
【0059】
接続部において上記粒子は熱分解されていないことが好ましいことから、上記粒子は、200℃以上の熱分解温度を有することが好ましい。上記粒子の熱分解温度は、好ましくは220℃以上、より好ましくは250℃以上、更に好ましくは300℃以上である。なお、上記粒子が基材粒子と導電部とを有する場合に、上記基材粒子と上記導電部とのうち先に熱分解する温度を、上記粒子の熱分解温度とする。
【0060】
以下、粒子の他の詳細について説明する。なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」と「メタクリロイル」との一方又は双方を意味する。(不)飽和とは、飽和及び不飽和のいずれかを意味する。
【0061】
[導電部を有さない粒子及び基材粒子]
本発明に係る粒子において、導電部を有さない粒子を、粒子Aと呼ぶ。本発明に係る粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電部とを有していてもよい。
【0062】
上記粒子の10%K値は、上記粒子A及び上記基材粒子の状態により調整することもできる。上記粒子A及び上記基材粒子は、孔を有していなくてもよく、孔を有していてもよく、単孔であってもよく、多孔であってもよい。
【0063】
上記粒子A及び上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、及び有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。上記粒子A及び上記基材粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子であってもよい。上記コアが有機コアであってもよい。上記シェルが無機シェルであってもよい。金属粒子を除く粒子が好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子がより好ましい。本発明の効果により一層優れることから、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子が特に好ましい。
【0064】
応力負荷時のクラックの発生をより一層抑える観点からは、上記粒子A及び上記基材粒子は、樹脂粒子であることが好ましい。上記樹脂としては、例えばポリオレフィン、ポリエン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル及びポリシロキサン等が挙げられる。
【0065】
上記粒子A及び上記基材粒子の材料としては、例えばビニル化合物、(メタ)アクリル化合物、α−オレフィン化合物、ジエン化合物、シリコーン化合物、及びエポキシ化合物等が挙げられる。応力負荷時のクラックの発生をより一層抑える観点からは、上記粒子A及び上記基材粒子の材料が、ビニル化合物、(メタ)アクリル化合物、α−オレフィン化合物、ジエン化合物、又はシリコーン化合物であることが好ましく、ビニル化合物、(メタ)アクリル化合物、ジエン化合物、又はシリコーン化合物であることがより好ましい。上記粒子が導電部を有さない場合に、上記粒子の材料が、ビニル化合物、(メタ)アクリル化合物、α−オレフィン化合物、ジエン化合物、又はシリコーン化合物であることが好ましく、ビニル化合物、(メタ)アクリル化合物、ジエン化合物、又はシリコーン化合物であることがより好ましい。上記粒子が基材粒子及び導電部を有する場合に、上記基材粒子の材料が、ビニル化合物、(メタ)アクリル化合物、α−オレフィン化合物、ジエン化合物、シリコーン化合物、又はシリコーン化合物であることが好ましく、ビニル化合物、(メタ)アクリル化合物、ジエン化合物、又はシリコーン化合物であることがより好ましい。
【0066】
上記材料を用い、上記粒子A及び基材粒子を得る方法としては、例えばラジカル重合、イオン重合、配位重合、開環重合、異性化重合、環化重合、脱離重合、重付加、重縮合及び付加縮合等の方法等が挙げられる。
【0067】
上記粒子A及び上記基材粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合、耐熱性を高める観点から、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体として、フルオレン骨格を有する化合物(以下、フルオレン化合物)を用いることができる。上記フルオレン骨格は、末端以外に存在していてもよく、末端に存在していてもよく、側鎖に存在していてもよい。
【0068】
上記フルオレン化合物としては、ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物等が挙げられる。
【0069】
上記ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物は、フルオレン骨格の5員環に2つのアリール基が結合している化合物である。なお、アリール基は、(メタ)アクリロイル基又はビニル基を有していてもよい。例えば、アリール基は、ベンゼン環に結合した基として、−O(C
2H
4O)
mCOCH=CH
2基(mは1〜13の整数)、−O(C
2H
4O)
mCOCH=CHCH
3基(mは1〜13の整数)、−O−C
2H
4O−COCH=CH
2基、−O−C
2H
4O−COCH=CHCH
3基、又は−O−CH
2−CH=CH
2基等を有していてもよい。これらの基は、アリール基におけるベンゼン環のフルオレン骨格の結合部位に対して、p位に結合していてもよい。
【0070】
上記フルオレン化合物の具体例としては、下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。
【0072】
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、−O(C
2H
4O)
mCOCH=CH
2基(mは1〜13の整数)、−O(C
2H
4O)
mCOCH=CHCH
3基(mは1〜13の整数)、−O−C
2H
4O−COCH=CH
2基、−O−C
2H
4O−COCH=CHCH
3基又は−O−CH
2−CH=CH
2基を表す。
【0073】
上記フルオレン化合物の市販品としては、大阪ガスケミカル社製「オグソールEA−0300」、及び東京化成工業社製「9,9’−ビス(4−アリルオキシフェニル)フルオレン」等が挙げられる。
【0074】
上記粒子A及び基材粒子の材料をメタセシス重合にて得る場合、メタセシス重合性モノマーの重合体、及びメタセシス重合性オリゴマー等のメタセシス重合性化合物が好適に用いられる。上記メタセシス重合性化合物を、例えば、触媒の存在下で開環重合させることで、メタセシス重合化合物が得られる。
【0075】
上記メタセシス重合性化合物は、メタセシス重合活性を有する。上記メタセシス重合性化合物は、特に限定されないが、重合反応活性の観点から、環状の不飽和化合物であることが好ましい。上記メタセシス重合性化合物は、官能基含有化合物であってもよい。上記官能基含有化合物としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、アセトキシ基、アルコキシ基、ハロゲン基、カルボニル基、メルカプト基、エポキシ基、シリル基、オキサゾリン基、スルフォン酸基、マレイミド基、アズラクトン基、及びビニル基等の官能基を有する化合物が挙げられる。上記官能基含有化合物における官能基は、極性官能基であってもよく、非極性官能基であってもよい。
【0076】
上記環状の不飽和化合物としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、及びシクロオクタジエン等の単環状オレフィン及びその誘導体;2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、トリシクロペンタジエン、及びテトラシクロペンタジエン等の多環状オレフィン及びその誘導体;2,3−ジヒドロフラン、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、9−オキサビシクロ[6.1.0]ノン−4−エン、exo−N−メチル−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、及び1,4−ジヒドロ−1,4−エポキシナフタレン等のヘテロ原子含有シクロオレフィン等が好適に用いられる。上記環状の不飽和化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0077】
上記メタセシス重合性化合物としては、反応性及びコストの観点から、シクロオクタジエン、2−ノルボルネン又はジシクロペンタジエン又はそれらの誘導体が好ましい。
【0078】
上記メタセシス重合性化合物の重合に用いる触媒は、有機金属錯体触媒であることが好ましい。上記メタセシス重合性化合物の重合に用いる触媒としては、中心金属として、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Ru、Hf、Ta、W、Re、Os又はIrから選ばれるいずれか1種の金属を有する、塩化物;アルキレン錯体;ビニリデン錯体;アレニリデン等のカルベン錯体;カルビン錯体等のメタセシス反応性錯体が挙げられる。中心金属がルテニウム(Ru)である触媒が好ましい。
【0079】
なお、上記メタセシス重合性化合物は、公知の重合方法によって重合させることができる。
【0080】
上記メタセシス重合化合物を用いる場合に、所望の10%K値に容易に調整する方法としては、合成時に、開環重合後に水素添加反応を行う方法等が挙げられる。なお、水素添加反応の方法は公知である。例えば、ウィルキンソン錯体、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセテート/トリイソブチルアルミニウム、パラジウム−カーボン、ルテニウム錯体、ルテニウム−カーボン、又はニッケル−けいそう土等を用いて、水素添加反応を行うことができる。
【0081】
上記粒子A及び上記基材粒子の材料としては、(不)飽和炭化水素、芳香族炭化水素、(不)飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸、(不)飽和ケトン、芳香族ケトン、(不)飽和アルコール、芳香族アルコール、(不)飽和アミン、芳香族アミン、(不)飽和チオール、芳香族チオール及び有機ケイ素化合物の1種以上の化合物から得られる縮合体及びそれらの1種以上の化合物から得られる重合体が挙げられる。
【0082】
上記縮合体及び上記重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。上記粒子A及び上記基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
【0083】
上記粒子A及び上記基材粒子をラジカル重合、イオン重合又は配位重合等の重合にて得る場合、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体が好適に用いられる。上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体は、エチレン性不飽和基を有しいていれば、その分子量及びエチレン性不飽和基数等は特に限定されない。上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
【0084】
上記非架橋性の単量体としては、例えば、ビニル化合物として、スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリル化合物として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート等のハロゲン含有(メタ)アクリレート化合物;α−オレフィン化合物として、ジイソブチレン、イソブチレン、リニアレン、エチレン、プロピレン等のオレフィン化合物;共役ジエン化合物として、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。
【0085】
上記架橋性の単量体としては、例えば、ビニル化合物として、ジビニルベンゼン、1,4−ジビニロキシブタン、ジビニルスルホン、9,9’−ビス(4−アリルオキシフェニル)フルオレン等のビニル系単量体;(メタ)アクリル化合物として、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;アリル化合物として、トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル;シリコーン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシランアルコキシド化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシシラン、ジメトキシエチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシエチルビニルシラン、エチルメチルジビニルシラン、メチルビニルジメトキシシラン、エチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性二重結合含有シランアルコキシド;デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサン;片末端シリコーンオイル、両末端シリコーンオイル、側鎖型シリコーンオイル等の変性(反応性)シリコーンオイル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
【0086】
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
【0087】
上記粒子A及び上記基材粒子の材料として、ポリシロキサンが好適に用いられる。ポリシロキサンは、シラン化合物の重合物であり、シラン化合物の重合によって得られる。
【0088】
上記シラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシランアルコキシド化合物;デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサン等が挙げられる。
【0089】
上記粒子A及び上記基材粒子の材料に耐熱性を付与する観点から、エチレン性不飽和基含有ポリシロキサンを用いることができる。上記エチレン性不飽和基含有ポリシロキサンの市販品としては、例えば、JNC社製のサイラプレーンFM−0711、サイラプレーンFM−0721、サイラプレーンFM−0725;信越化学工業社製のX−22−174DX、X−22−2426、X−22−2475、X−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−164E;Gelest社製のMCS−M11、RTT−1011;東亜合成社製のAK−5,AK−30、AK−32、HK−20等が挙げられる。
【0090】
上記粒子A及び上記基材粒子が金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、上記粒子A及び上記基材粒子の材料である無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は、金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
【0091】
[導電部]
上記導電部の材料は特に限定されない。上記導電部の材料は、金属を含むことが好ましい。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、ルテニウム、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。接続抵抗をより一層低くすることができるので、上記導電部の材料は、ニッケル、金、銀、銅、又は錫を含むことが好ましい。
【0092】
上記導電部は、1つの層により形成されていてもよい。導電部は、複数の層により形成されていてもよい。
【0093】
上記基材粒子の表面上に導電部を形成する方法は特に限定されない。導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。導電部の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0094】
上記導電部の厚み(導電部全体の厚み)は、好ましくは0.5nm以上、より好ましくは10nm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは500nm以下、特に好ましくは300nm以下である。上記導電部の厚みは、導電部が多層である場合には導電層全体の厚みである。導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ粒子が硬くなりすぎない。
【0095】
[その他]
後述する接続構造体を作製する場合等に、後述する金属原子含有粒子との密着性を向上させることを目的として、粒子の表面に、金属原子含有粒子が金属拡散しやすい金属微粒子を焼結促進剤として配置する方法、及び粒子の表面に、フラックスを焼結促進剤として配置する方法を採用してもよい。上記粒子は、金属微粒子を有していてもよく、フラックスを有していてもよい。
【0096】
焼結促進剤と作用する金属微粒子としては、金、銀、錫、銅、ゲルマニウム、インジウム、パラジウム及び亜鉛等の金属微粒子が挙げられる。上記金属微粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、金属微粒子は、2種以上の金属の合金であってもよい。この場合、金属微粒子が配置された粒子と、金属原子含有粒子とで構成される焼結体とがより接触しやすくなり、密着性が向上する。
【0097】
粒子の表面に、金属微粒子を焼結促進剤として配置する方法としては、例えば、粒子の分散液中に、金属微粒子を添加し、粒子の表面に金属微粒子をファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに粒子が入った容器に、金属微粒子を添加し、容器の回転等による機械的な作用により粒子の表面に金属微粒子を付着させる方法、並びに粒子の分散液中に、金属ナノコロイドを添加し、粒子の表面に金属ナノコロイドを化学結合により集積させ、還元剤により金属ナノコロイドを還元し、金属化させて粒子の表面に金属微粒子を付着させる方法等が挙げられる。付着させる金属微粒子の量を制御しやすい観点から、分散液中の粒子の表面に金属微粒子を集積させ、付着させる方法が好ましい。
【0098】
焼結促進剤として作用するフラックスとしては、樹脂系フラックス、有機系フラックス、及び無機系フラックス等が挙げられる。樹脂系フラックスとしては、アビエチン酸、パラストリン酸、デヒドロアビエチン酸、イソピマール酸、ネオアビエチン酸、及びピマール酸を主成分とするロジンが挙げられる。有機系フラックスとしては、脂肪族カルボン酸、及び芳香族カルボンが挙げられる。無機系フラックスとしては、臭化アンモニウムや塩化アンモニウムなどのハロゲン化物が挙げられる。フラックスは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。粒子の表面上に配置されたフラックス成分により、金属原子含有粒子の表面上の酸化被膜を除去し、粒子の表面で焼結反応が促進し、粒子と焼結体がより接触しやすくなり、密着性が向上する。
【0099】
粒子の表面に、フラックスを焼結促進剤として配置する方法としては、上述の被覆部にフラックスを含有させる方法等が挙げられる。
【0100】
(接続材料)
本発明に係る接続材料は、2つの接続対象部材を接続する接続部を形成するために用いられる。本発明に係る接続材料は、上述した粒子と、樹脂又は金属原子含有粒子とを含む。この場合に、上記接続材料は、上記樹脂及び上記金属原子含有粒子の内の少なくとも一方を含む。上記接続材料は、上記金属原子含有粒子を含むことが好ましい。本発明に係る接続材料は、金属原子含有粒子を溶融させた後に固化させることで、上記接続部を形成するために用いられることが好ましい。上記金属原子含有粒子には、本発明に係る粒子は含まれない。
【0101】
上記粒子の熱分解温度が、上記金属原子含有粒子の融点よりも高いことが好ましい。上記粒子の熱分解温度が、上記金属原子含有粒子の融点よりも、10℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましく、50℃以上高いことが最も好ましい。
【0102】
上記金属原子含有粒子としては、金属粒子及び金属化合物粒子等が挙げられる。上記金属化合物粒子は、金属原子と、該金属原子以外の原子とを含む。上記金属化合物粒子の具体例としては、金属酸化物粒子、金属の炭酸塩粒子、金属のカルボン酸塩粒子及び金属の錯体粒子等が挙げられる。上記金属化合物粒子は、金属酸化物粒子であることが好ましい。例えば、上記金属酸化物粒子は、還元剤の存在下で接続時の加熱で金属粒子となった後に焼結する。上記金属酸化物粒子は、金属粒子の前駆体である。上記金属のカルボン酸塩粒子としては、金属の酢酸塩粒子等が挙げられる。
【0103】
上記金属粒子及び上記金属酸化物粒子を構成する金属としては、銀、銅及び金等が挙げられる。銀又は銅が好ましく、銀が特に好ましい。従って、上記金属粒子は、好ましくは銀粒子又は銅粒子であり、より好ましくは銀粒子である。上記金属酸化物粒子は、好ましくは酸化銀粒子又は酸化銅粒子であり、より好ましくは酸化銀粒子である。銀粒子及び酸化銀粒子を用いた場合には、接続後に残渣が少なく、体積減少率も非常に小さい。該酸化銀粒子における酸化銀としては、Ag
2O及びAgOが挙げられる。
【0104】
上記金属原子含有粒子の平均粒子径は、10nm以上、10μm以下であることが好ましい。また、接続対象部材の接続強度を高める観点から、平均粒子径の異なる2種以上の金属原子含有粒子を有することが好ましい。平均粒子径の異なる2種以上の金属原子含有粒子を有する場合、平均粒子径の小さい金属原子含有粒子の平均粒子径は10nm以上であることが好ましく、100nm以下であることが好ましい。平均粒子径の大きい金属原子含有粒子の平均粒子径は1μm以上であることが好ましく、10μm以下であることが好ましい。平均粒子径の小さい金属原子含有粒子の平均粒子径の大きい金属原子含有粒子に対する配合量の比は1/9以上、9以下であることが好ましい。なお、上記金属原子含有粒子の平均粒子径は、金属原子含有粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、観察された画像における任意に選択した50個の各粒子の最大径を算術平均することにより求められる。
【0105】
上記金属原子含有粒子は、400℃未満の加熱で焼結することが好ましい。上記金属原子含有粒子が焼結する温度(焼結温度)は、より好ましくは350℃以下、好ましくは300℃以上である。上記金属原子含有粒子が焼結する温度が上記上限以下又は上記上限未満であると、焼結を効率的に行うことができ、更に焼結に必要なエネルギーを低減し、かつ環境負荷を小さくすることができる。
【0106】
上記金属原子含有粒子が金属酸化物粒子である場合に、還元剤が用いられることが好ましい。上記還元剤としては、アルコール化合物(アルコール性水酸基を有する化合物)、カルボン酸化合物(カルボキシ基を有する化合物)及びアミン化合物(アミノ基を有する化合物)等が挙げられる。上記還元剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0107】
上記アルコール化合物としては、アルキルアルコールが挙げられる。上記アルコール化合物の具体例としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール及びイコシルアルコール等が挙げられる。また、上記アルコール化合物としては、1級アルコール型化合物に限られず、2級アルコール型化合物、3級アルコール型化合物、アルカンジオール及び環状構造を有するアルコール化合物も使用可能である。さらに、上記アルコール化合物として、エチレングリコール及びトリエチレングリコールなど多数のアルコール基を有する化合物を用いてもよい。また、上記アルコール化合物として、クエン酸、アスコルビン酸及びグルコースなどの化合物を用いてもよい。
【0108】
上記カルボン酸化合物としては、アルキルカルボン酸等が挙げられる。上記カルボン酸化合物の具体例としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸及びイコサン酸等が挙げられる。また、上記カルボン酸化合物は、1級カルボン酸型化合物に限られず、2級カルボン酸型化合物、3級カルボン酸型化合物、ジカルボン酸及び環状構造を有するカルボキシル化合物も使用可能である。
【0109】
上記アミン化合物としては、アルキルアミン等が挙げられる。上記アミン化合物の具体例としては、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン及びイコデシルアミン等が挙げられる。また、上記アミン化合物は分岐構造を有していてもよい。分岐構造を有するアミン化合物としては、2−エチルヘキシルアミン及び1,5−ジメチルヘキシルアミン等が挙げられる。上記アミン化合物は、1級アミン型化合物に限られず、2級アミン型化合物、3級アミン型化合物及び環状構造を有するアミン化合物も使用可能である。
【0110】
上記還元剤は、アルデヒド基、エステル基、スルホニル基又はケトン基などを有する有機物であってもよく、カルボン酸金属塩などの有機物であってもよい。カルボン酸金属塩は金属粒子の前駆体としても用いられる一方で、有機物を含有しているために、金属酸化物粒子の還元剤としても用いられる。
【0111】
上記金属酸化物粒子100重量部に対して、上記還元剤の含有量は、好ましくは1重量部以上、より好ましくは10重量部以上であり、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは500重量部以下、更に好ましくは100重量部以下である。上記還元剤の含有量が上記下限以上であると、上記金属原子含有粒子をより一層緻密に焼結させることができる。この結果、接続部における放熱性及び耐熱性も高くなる。
【0112】
上記金属原子含有粒子の焼結温度(接続温度)よりも低い融点を有する還元剤を用いると、接続時に凝集し、接続部にボイドが生じやすくなる傾向がある。カルボン酸金属塩の使用により、該カルボン酸金属塩は接続時の加熱により融解しないため、ボイドが生じるのを抑制できる。なお、カルボン酸金属塩以外にも有機物を含有する金属化合物を還元剤として用いてもよい。
【0113】
応力負荷時のクラックの発生をより一層抑える観点からは、本発明に係る接続材料は、樹脂を含むことが好ましい。上記樹脂は特に限定されない。上記樹脂は、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂を含むことが好ましく、硬化性樹脂を含むことがより好ましい。上記硬化性樹脂としては、光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。上記光硬化性樹脂は、光硬化性樹脂及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含むことが好ましい。上記樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0114】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0115】
応力負荷時のクラックの発生をより一層抑える観点からは、本発明に係る接続材料は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
【0116】
本発明の粒子による効果が効果的に発揮されるので、上記接続材料において、上記金属原子含有粒子の含有量は、本発明に係る粒子の含有量よりも、多いことが好ましく、10重量%以上多いことがより好ましく、20重量%以上多いことが更に好ましい。
【0117】
上記接続材料の分散剤を除く成分100重量%中、本発明に係る粒子の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。上記粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、応力負荷時のクラックの発生がより一層抑えられる。上記分散剤は、揮発により除去される。
【0118】
上記接続材料の分散剤を除く成分100重量%中、上記金属原子含有粒子の含有量は好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上であり、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。上記金属原子含有粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続抵抗がより一層低くなる。
【0119】
上記接続材料が樹脂を含む場合に、上記接続材料の分散剤を除く成分100重量%中、上記樹脂の含有量は好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。上記樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、応力負荷時のクラックの発生がより一層抑えられる。
【0120】
(接続構造体)
本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部が、上記接続材料により形成されている。上記接続部の材料が、上記接続材料である。
【0121】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る粒子を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
【0122】
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続構造体51では、
図1に示す粒子1が用いられている。
【0123】
接続部54は、1つの粒子1が、2つの第1,第2の接続対象部材52,53の双方に接していない。
【0124】
接続部54は、粒子1と、ギャップ制御粒子61と、金属接続部62とを含む。接続部54では、1つのギャップ制御粒子61が、2つの第1,第2の接続対象部材52,53の双方に接している。ギャップ制御粒子61は導電性粒子であってもよく、導電性を有さない粒子であってもよい。金属接続部62は、金属原子含有粒子を溶融させた後に固化させることにより形成されている。金属接続部62は、金属原子含有粒子の溶融固化物である。
【0125】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。上記接続構造体の製造方法の一例としては、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材との間に上記接続材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。
【0126】
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。
【0127】
上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材の内の少なくとも一方は、半導体ウェハ又は半導体チップであることが好ましい。上記接続構造体は、半導体装置であることが好ましい。
【0128】
上記第1の接続対象部材は第1の電極を表面に有していてもよい。上記第2の接続対象部材は第2の電極を表面に有していてもよい。上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、チタン電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、チタン電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、チタン電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0129】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0130】
(粒子(基材粒子)の材料)
1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(東京化成工業社製)
ジメチルジメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−22」)
メチルビニルジメトキシシラン(東京化成工業社製)
メチルフェニルジメトキシシラン(東京化成工業社製)
メチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−13」)
テトラエトキシシラン(東京化成工業社製)
イソプレン(和光純薬工業社製)
ジビニルベンゼン(新日鐵住金化学社製「DVB570」)
ポリテトラメチレングリコールジアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートPTMGA−250」)
1,4−ブタンジオールビニルエーテル(日本カーバイド工業社製「1,4−ブタンジオールビニルエーテル」)
ジイソブチレン(和光純薬工業社製)
フルオレンモノマー(9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、大阪ガスケミカル社製「オグソールEA−0200」)
テトラシクロドデセン(東京化成工業社製)
シリカ(積水化学工業社製「ミクロパールSI」)
【0131】
(接続材料の粒子X以外の材料)
銀粒子(平均粒子径50nm、平均粒子径5μm)
酸化銀粒子(平均粒子径50nm、平均粒子径5μm)
銅粒子(平均粒子径50nm、平均粒子径5μm)
エポキシ樹脂(長瀬産業社製「EX−201」)
【0132】
(実施例1)
(1)シリコーンオリゴマーの作製
温浴槽内に設置した100mlのセパラブルフラスコに、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン1重量部(表の重量%となる量)と、0.5重量%p−トルエンスルホン酸水溶液20重量部とを入れた。40℃で1時間撹拌した後、炭酸水素ナトリウム0.05重量部を添加した。その後、メチルビニルジメトキシシラン40重量部(表の重量%となる量)、メチルフェニルジメトキシシラン10重量部(表の重量%となる量)、メチルトリメトキシシラン10重量部(表の重量%となる量)を添加し、1時間撹拌を行った。その後、10重量%水酸化カリウム水溶液1.9重量部を添加して、85℃まで昇温してアスピレーターで減圧しながら、10時間撹拌し、反応を行った。反応終了後、常圧に戻し40℃まで冷却して、酢酸0.2重量部を添加し、12時間以上分液漏斗内で静置した。二層分離後の下層を取り出して、エバポレーターにて精製することでシリコーンオリゴマーを得た。
【0133】
(2)シリコーン粒子(有機ポリマーを含む)の作製
得られたシリコーンオリゴマー30重量部に、tert−ブチル−2−エチルペルオキシヘキサノアート(重合開始剤、日油社製「パーブチルO」)0.5重量部を溶解させた溶解液Aを用意した。また、イオン交換水150重量部に、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(乳化剤)0.8重量部とポリビニルアルコール(重合度:約2000、けん化度:86.5〜89モル%、日本合成化学社製「ゴーセノールGH−20」)の5重量%水溶液80重量部とを混合して、水溶液Bを用意した。
【0134】
温浴槽内に設置したセパラブルフラスコに、上記溶解液Aを入れた後、上記水溶液Bを添加した。その後、Shirasu Porous Glass(SPG)膜(細孔平均径(SPG孔径)5μm)を用いることで、乳化を行った。その後、85℃に昇温して、9時間重合を行った。重合後の粒子の全量を遠心分離により水洗浄した後、粒子をイオン交換水100重量部に再度分散させて、分散液Cを得た。次に、分散液Cにコロイダルシリカ(日産化学工業社製「MP−2040」)0.7重量部を添加した後に凍結乾燥させることで、基材粒子を得た。得られた基材粒子を分級操作することで、粒子Xを得た。
【0135】
(3)接続材料の調製
平均粒子径50nmである銀粒子を20重量部と、平均粒子径5μmである銀粒子を20重量部(表の重量%となる量)と、上記粒子Xを1重量部(表の重量%となる量)と、溶媒であるトルエン40重量部とを配合し、混合して、接続材料を得た。
【0136】
(4)接続構造体の作製
第1の接続対象部材として、パワー半導体素子を用意した。第2の接続対象部材として、窒化アルミニウム基板を用意した。
【0137】
第2の接続対象部材上に、接続材料を、約30μmの厚みとなるように塗布し、接続材料層を形成した。その後、接続材料層上に、上記第1の接続対象部材を積層して、積層体を得た。得られた積層体を3MPaの圧力をかけて300℃で10分加熱することにより、接続材料に含まれている上記金属原子含有粒子を焼結させて、焼結物と粒子Xとを含む接続部を形成し、該焼結物により上記第1,第2の接続対象部材を接合して、接続構造体を得た。
【0138】
(実施例2〜6、実施例14〜
17、参考例18、実施例19,20及び比較例2)
シリコーンオリゴマーの作製に用いたシリコーンモノマーを表1,2に示すように変更したこと、SPG孔径を下記の表1,2に示すように変更したこと、並びに粒子及び接続材料の構成を表1,2に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、粒子X、接続材料及び接続構造体を作製した。
【0139】
なお、実施例19,20では、表2に示す導電部を有する粒子を作製した。
【0140】
(実施例7)
シリコーン粒子作製時にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの添加量を0.5重量部に変更し、ポリビニルアルコール5重量%水溶液の添加量を60重量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、粒子X、接続材料及び接続構造体を作製した。
【0141】
(実施例8)
シリコーン粒子作製時にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの添加量を0.5重量部に変更し、ポリビニルアルコール5重量%水溶液の添加量を45重量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、粒子X、接続材料及び接続構造体を作製した。
【0142】
(実施例23)
実施例1の分散液Cを用意した。
【0143】
分散液C中の粒子100重量部に対してメチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−13」)1重量部と、添加後のアンモニアの濃度が1重量%となる量でアンモニア水溶液とを添加し、室温で24時間撹拌させ、その後水洗浄して、基材粒子を得た。得られた基材粒子を分級操作することで、粒子Xを得た。
【0144】
得られた粒子Xを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続材料及び接続構造体を作製した。
【0145】
(実施例9)
イソプレン粒子の作製:
モノマーとしてイソプレン25重量部、DVB570を75重量部、及び重合開始剤として過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)1重量部を溶解させた溶解液Aを用意した。
【0146】
また、イオン交換水800重量部に、ポリビニルアルコール(重合度:約2000、けん化度:86.5〜89モル%、日本合成化学社製「ゴーセノールGL−03」)の5重量%水溶液200重量部を混合して、水溶液Bを用意した。
【0147】
温浴槽内に設置したセパラブルフラスコに、上記溶解液Aを入れた後、上記水溶液Bを添加した。その後、Shirasu Porous Glass(SPG)膜(細孔平均径約3μm)を用いることで、乳化を行った。その後、90℃に昇温して、10時間重合を行った。重合後の粒子の全量を遠心分離により水及びアセトンで洗浄した後、得られた基材粒子を分級操作することで、粒子Xを得た。
【0148】
得られた粒子Xを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続材料及び接続構造体を作製した。
【0149】
(実施例10〜13)
粒子の組成(溶解液Aの組成)を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、粒子X、接続材料及び接続構造体を作製した。
【0150】
(実施例21)
フルオレン粒子の作製:
フルオレンモノマー(大阪ガスケミカル社製「オグソールEA−0200」)100重量部と、重合開始剤であるtert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート(日油社製「パーブチルO」)1重量部とを溶解させた溶解液Aを用意した。実施例9の溶解液Aを、得られた溶解液Aに変更したこと、SPG孔径を下記の表2に示すように変更したこと以外は実施例9と同様にして、粒子X、接続材料及び接続構造体を作製した。
【0151】
(実施例22)
(1)ROMP(開環メタセシス重合)粒子の作製
ルウテニウムビニリデン錯体化合物(式(2)で表される化合物)の合成
ジクロロシメンルテニウム(東京化成工業社製「Ru(p−cymene)Cl2」)5.57g(9.1mmol)と、トリシクロヘキシルホスフィン(東京化成工業社製「PCy3」)18.2mmolと、t−ブチルアセチレン9.1mmolと、トルエン150mlとを、300mlのフラスコ中に入れ、窒素気流下、80℃で7時間反応させた。反応終了後、トルエンを減圧により除去し、テトラヒドロフラン/エタノールにて再結晶を行うことにより、下記式(2)で表される化合物を得た。
【0153】
上記式(2)中、Cyはシクロヘキシル基を表す。
【0154】
(2)メタセシス重合反応
テトラシクロドデセン(東京化成工業社製)10molをシクロヘキサン4Lに溶解させた溶液を用意した。この溶液に、アリルアセテート0.01molと式(2)で表される化合物0.002molとをシクロヘキサン10mLに溶解させた液を加えて、反応溶液を得た。得られた反応溶液を、窒素気流下、シクロヘキサンの還流温度にて24時間反応させた。次に、室温まで降温させ、エチルビニルエーテル0.02molを加えた。その後、メタノール10Lを用いて再沈殿により精製し、減圧により乾燥して、開環重合体を得た。
【0155】
得られた開環重合体450gをテトラヒドロフラン9Lに溶解させた溶解液Aを得た。この溶解液Aに、パラジウム濃度が5重量%のパラジウム−アルミナ触媒(和光純薬工業社製)45gを加え、水素ガスを圧力が9.8MPaとなるように導入し、150℃で5時間水素添加反応させた。水素添加反応後、触媒をろ別し、ろ液Cを回収した。
【0156】
(3)粒子の作製
1重量%のPVP(和光純薬工業社製)を塩酸酸性の大過剰量のメタノール中に溶解させ、溶解液を撹拌しながらろ液Cを注ぎ、開環重合体の水素添加物粒子を得た。得られた粒子を分級操作することで、粒子Xを得た。
【0157】
得られた粒子Xを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続材料及び接続構造体を作製した。
【0158】
(実施例24)
実施例1の粒子Xを用意した。
【0159】
ポリビニルピロリドン5重量%を含む溶液100重量部に、粒子Xを10重量部添加し、超音波分散器により分散させて、懸濁液Aを得た。
【0160】
次に、金属銀微粒子(乾庄貴金属化工社製、平均粒子径50nm)1重量部を3分間かけて懸濁液Aに添加し、金属銀微粒子が付着された粒子を含む懸濁液Bを得た。その後、懸濁液Bをろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、表面に金属銀微粒子が配置された粒子(実施例24の粒子Xとする)を得た。
【0161】
得られた粒子Xを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続材料及び接続構造体を作製した。
【0162】
(実施例25)
実施例1の粒子Xを用意した。
【0163】
銀ナノコロイド溶液5重量%を含む水溶液100重量部に、粒子Xを10重量部添加し、超音波分散器により分散させた後、ジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部をゆっくりと添加し、粒子の表面に吸着した銀ナノコロイドを還元析出させた。その後、ろ過することにより粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、表面に金属銀微粒子が配置された粒子(実施例25の粒子Xとする)を得た。
【0164】
得られた粒子Xを用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続材料及び接続構造体を作製した。
【0165】
(比較例1)
粒子Xとして、シリカ(積水化学工業社製「ミクロパールSI」)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続材料及び接続構造体を作製した。
【0166】
(比較例3)
シリコーン粒子作製時にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの添加量を0.3重量部に変更し、ポリビニルアルコールの5重量%水溶液の添加量を30重量部に変更したこと以外は実施例2と同様にして、粒子X、接続材料及び接続構造体を作製した。
【0167】
(評価)
(1)10%K値
フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」を用いて、粒子の10%K値を測定した。導電性粒子に関しては、導電部を有する粒子の10%K値を測定した。
【0168】
(2)平均粒子径
粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、観察された画像における任意に選択した50個の各粒子の最大径を算術平均することにより、粒子の平均粒子径を求めた。導電性粒子に関しては、導電部を有する粒子の平均粒子径を測定した。
【0169】
(3)導電部の厚み
導電部を有する粒子に関しては、任意の50個の粒子の断面を観察することにより、粒子の導電部の厚みを求めた。
【0170】
(4)CV値
粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、観察された画像における任意に選択した50個の各粒子の粒子径の標準偏差を求め、上述した式により粒子の粒子径のCV値を求めた。導電性粒子に関しては、導電部を有する粒子の粒子径のCV値を測定した。
【0171】
(5)熱分解温度
日立ハイテック社製示差熱熱重量同時測定装置「TG−DTA6300」を用い、大気雰囲気下中にて、粒子10mgを30℃〜800℃(昇温速度5℃/min)で加熱した際、粒子の重量が5%低下した温度を熱分解温度とした。
【0172】
(6)凝集状態
光学顕微鏡(Nikon ECLIPSE社製「ME600」)を用いて、粒子の凝集状態を評価した。粒子の凝集状態を以下の基準で判定した。
【0173】
[粒子の凝集状態の判定基準]
A:粒子100万個あたり、凝集している粒子の数が100個以下
B:粒子100万個あたり、凝集している粒子の数が100個を超える
【0174】
(7)応力負荷時のクラック及び剥離
得られた接続構造体における上層の半導体素子の表面上に、アルミニウムリボンを超音波接続させた。ボンディング条件は、80kHzの周波数で、潰れ幅がリボン幅の1.1倍になる荷重及び超音波条件である。超音波接続によって、応力を付与した。半導体素子及び接続部にクラック及び剥離が生じているか否かを評価した。応力負荷時のクラック及び剥離を以下の基準で判定した。
【0175】
[応力負荷時のクラック及び剥離の判定基準]
○○:クラック及び剥離ありの数が5サンプル中0個
○:クラック及び剥離ありの数が5サンプル中1〜2個
×:クラック及び剥離ありの数が5サンプル中3〜5個
【0176】
(8)接続強度
4mm×4mmのシリコンチップ及び接合面に金蒸着層を設けた裏面金チップを、半導体用樹脂ペーストを用いて、無垢の銅フレーム及びPPF(Ni−Pd/Auめっきした銅フレーム)にマウントし、200℃、60分で硬化した。硬化及び吸湿処理(85℃、相対湿度85%、72時間)後、マウント強度測定装置を用い、260℃での接続強度(シェア強度)を測定した。
【0177】
[接続強度の判定基準]
○○:シェア強度が150N/cm
2以上
○:シェア強度が100N/cm
2以上、150N/cm
2未満
×:シェア強度が100N/cm
2未満