(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
100kPaの応力で1000回繰り返し圧縮した後の25℃で圧縮変形させたときの圧縮弾性率が80〜200MPaであることを特徴とする請求項1に記載のエレクトレットシート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のエレクトレットシートは、帯電された多孔質シートを含む。多孔質シートとしては、内部に空隙部を有しておれば特に限定されないが、合成樹脂発泡シートが好ましい。合成樹脂発泡シートを構成する合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリ乳酸、液晶樹脂などが挙げられ、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、ポリプロピレン系樹脂を含むことがより好ましい。
【0011】
合成樹脂は絶縁性に優れていることが好ましく、合成樹脂としては、JIS K6911に準拠して印可電圧500Vにて電圧印可1分後の体積固有抵抗値(以下、単に「体積固有抵抗値」という)が1.0×10
10Ω・m以上である合成樹脂が好ましい。
【0012】
合成樹脂の上記体積固有抵抗値は、エレクトレットシートがより優れた圧電性を有することから、1.0×10
12Ω・m以上が好ましく、1.0×10
14Ω・m以上がより好ましい。
【0013】
ポリエチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体、又は、エチレン成分を50質量%を超えて含有するエチレンと少なくとも1種の炭素数が3〜20のα―オレフィンとの共重合体を挙げることができる。エチレン単独重合体としては、高圧下でラジカル重合させた低密度ポリエチレン(LDPE)、中低圧で触媒存在下で重合させた中低圧法高密度ポリエチレン(HDPE)などを挙げることができる。エチレンとα−オレフィンを共重合させることで直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を得ることができ、α―オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、炭素数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。なお、直鎖状低密度ポリエチレン中におけるα−オレフィンの含有量は通常、1〜15質量%である。
【0014】
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン成分を50質量%を超えて含有しておれば、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素数が20以下のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。なお、ポリプロピレン系樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。又、プロピレンと少なくとも1種のプロピレン以外の炭素数が20以下のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよい。
【0015】
なお、プロピレンと共重合されるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。
【0016】
合成樹脂発泡シートの発泡倍率は3〜15倍が好ましく、4〜10倍がより好ましい。合成樹脂発泡シートの発泡倍率が3倍以上であると、エレクトレットシートが微弱な応力によっても優れた圧電性を示し好ましい。合成樹脂発泡シートの発泡倍率が15倍以下であると、エレクトレットシートは加えられる応力に対して優れた弾性復元力を発揮し、エレクトレットシートは長期間に亘って優れた圧電性を維持する。なお、合成樹脂発泡シートの発泡倍率は、合成樹脂発泡シートを構成している合成樹脂全体の密度を合成樹脂発泡シートの密度で除した値をいう。
【0017】
合成樹脂発泡シートの厚みは、10〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。合成樹脂発泡シートの厚みが10μm以上であると、エレクトレットシートは加えられる応力に対して優れた復元力を発揮し、エレクトレットシートは長期間に亘って優れた圧電性を維持する。合成樹脂発泡シートの厚みが300μm以下であると、エレクトレットシートの気泡壁に分極状態で効果的に帯電させることができ、エレクトレットシートの圧電性の安定性が向上し好ましい。
【0018】
合成樹脂発泡シートの製造方法としては、特に限定されず、例えば、合成樹脂及び熱分解型発泡剤、並びに必要に応じて多官能モノマーを押出機に供給して熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度にて溶融混練し押出機に取り付けたTダイから発泡性合成樹脂シートを押出し、この発泡性合成樹脂シートを必要に応じて架橋した上で、発泡性合成樹脂シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させて合成樹脂発泡シートを製造する方法が挙げられる。
【0019】
熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられる。
【0020】
合成樹脂発泡シートは多官能モノマーを用いて架橋されていることが好ましい。多官能モノマーを用いることによって、合成樹脂の架橋効率を向上させることができ、エレクトレットシートは、微弱な応力下においても優れた圧電性を発揮する。
【0021】
多官能モノマーとしては、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、シアノエチルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。なかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
【0022】
多官能モノマーの量は、合成樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部が好ましい。多官能モノマーの量が0.1質量部以上であると、合成樹脂の架橋効率を十分に向上させることができる。多官能モノマーの量が10質量部以下であると、エレクトレットシートは、微弱な応力下においても優れた圧電性を発揮する。
【0023】
上記製造方法において、発泡性合成樹脂シートを養生することが好ましい。発泡性合成樹脂シートを養生することによって、合成樹脂中の残留歪みが開放され、得られる合成樹脂発泡シートの気泡が均一で且つ微細になり、得られるエレクトレットシートは、微弱な応力によっても優れた圧電性を発現する。
【0024】
発泡性合成樹脂シートを養生するときの雰囲気温度は、20〜70℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。発泡性合成樹脂シートの養生温度は、20℃以上であると、養生時間を短縮することができ、合成樹脂発泡シートの製造効率が向上する。発泡性合成樹脂シートの養生温度は、70℃以下であると、合成樹脂発泡シートの気泡が均一となり、得られるエレクトレットシートは、微弱な応力によっても優れた圧電性を発現する。
【0025】
発泡性合成樹脂シートの養生時間は、1〜120時間が好ましく、2〜72時間がより好ましく、20〜72時間が特に好ましい。発泡性合成樹脂シートの養生時間が1時間以上であると、得られる合成樹脂発泡シートの気泡が均一になり、得られるエレクトレットシートは、微弱な応力によっても優れた圧電性を発現する。発泡性合成樹脂シートの養生時間が120時間以下であると、表面平滑性に優れた合成樹脂発泡シートを得ることができ、エレクトレットシートは、微弱な応力によっても優れた圧電性を発現する。
【0026】
合成樹脂発泡シートは、合成樹脂発泡シートの電荷保持力を向上させることができるので、延伸されていることが好ましく、一軸延伸されていることがより好ましく、押出方向に対して直交する方向にのみ一軸延伸されていることが特に好ましい。合成樹脂発泡シートの延伸方法としては、例えば、(1)合成樹脂発泡シートの長さ方向(押出方向)又は幅方向(押出方向に直交する方向)に延伸を行う一軸延伸法、(2)合成樹脂発泡シートの長さ方向(押出方向)及び幅方向(押出方向に直交する方向)の双方向に延伸を行う二軸延伸法、(3)合成樹脂発泡シートの幅方向(押出方向に直交する方向)を固定した状態で長さ方向(押出方向)に延伸を行う延伸法、及び(4)合成樹脂発泡シートの長さ方向(押出方向)を固定した状態で幅方向(押出方向に直交する方向)に延伸を行う延伸法などが挙げられる。
【0027】
多孔質シートを帯電させることによってエレクトレットシートが構成されている。多孔質シートを帯電させる方法としては、特に限定されず、例えば、多孔質シートに直流電界を加える方法などが挙げられる。
【0028】
多孔質シートに直流電界を加える方法としては、特に限定されず、例えば、(1)多孔質シートを一対の平板電極で挟持し、帯電させたい表面に接触させている平板電極を高圧直流電源に接続すると共に他方の平板電極をアースし、多孔質シートに直流又はパルス状の高電圧を印加して合成樹脂に電荷を注入して多孔質シートを帯電させる方法、(2)多孔質シートの第一の面に、アースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、多孔質シートの第二の面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極又はワイヤー電極を配設し、針状電極の先端又はワイヤー電極の表面近傍への電界集中によりコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極又はワイヤー電極の極性により発生した空気イオンを反発させて多孔質シートを帯電させる方法などが挙げられる。
【0029】
多孔質シートに直流電界を加える時の直流処理電圧の絶対値は、5〜40kVが好ましく、10〜30kVがより好ましい。直流処理電圧を上記範囲に調整することによって、気泡を破壊することなく多孔質シートを帯電させることができ、エレクトレットシートは優れた弾性復元力を有し、微弱な応力によっても優れた圧電性を発現することができる。
【0030】
エレクトレットシートにおける100kPaの応力で100回繰り返し圧縮した後の25℃で圧縮変形させたときの圧縮弾性率は、120〜250MPaであり、125〜230MPaが好ましく、130〜220MPaがより好ましく、135〜200MPaが特に好ましい。エレクトレットシートにおける100kPaの応力で100回繰り返し圧縮した後の25℃で圧縮変形させたときの圧縮弾性率が120MPa以上であると、エレクトレットシートは応力に対して優れた弾性復元力を有し、長期間に亘って優れた圧電性を維持する。エレクトレットシートにおける100kPaの応力で100回繰り返し圧縮した後の25℃で圧縮変形させたときの圧縮弾性率が250MPa以下であると、エレクトレットシートは微弱な応力に対しても優れた圧電性を有する。
【0031】
エレクトレットシートにおける100kPaの応力で1000回繰り返し圧縮した後の25℃で圧縮変形させたときの圧縮弾性率は、80〜200MPaが好ましく、90〜190MPaがより好ましく、100〜180MPaが特に好ましい。エレクトレットシートにおける100kPaの応力で1000回繰り返し圧縮した後の25℃で圧縮変形させたときの圧縮弾性率が80MPa以上であると、エレクトレットシートは応力に対して優れた弾性復元力を有し、長期間に亘って優れた圧電性を維持する。エレクトレットシートにおける100kPaの応力で1000回繰り返し圧縮した後の25℃で圧縮変形させたときの圧縮弾性率が200MPa以下であると、エレクトレットシートは微弱な応力に対しても優れた圧電性を有する。
【0032】
エレクトレットシートにおける100kPaの応力で所定回数繰り返し圧縮した後の25℃で圧縮変形させたときの圧縮弾性率は、JIS K7181に準拠して測定された値をいう。
【0033】
エレクトレットシートにおける100kPaの応力で所定回数繰り返し圧縮した後の25℃で圧縮変形させたときの圧縮弾性率を上述の範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、多孔質シートの見掛け密度を調整する方法、多孔質シートの曲げ弾性率を調整する方法などが挙げられる。
【0034】
エレクトレットシートにおける25℃の50%圧縮応力は、120〜300kPaであり、130〜260kPaが好ましく、135〜240kPaがより好ましく、140〜220kPaが特に好ましい。エレクトレットシートにおける25℃の50%圧縮応力が120kPa以上であると、エレクトレットシートは応力に対して優れた弾性復元力を有し、長期間に亘って優れた圧電性を維持する。エレクトレットシートにおける25℃の50%圧縮応力が300kPa以下であると、エレクトレットシートは微弱な応力に対しても優れた圧電性を有する。
【0035】
なお、エレクトレットシートの25℃における50%圧縮応力は、JIS K6767に準拠して測定された値をいう。
【0036】
エレクトレットシートの25℃における50%圧縮応力を上述の範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、多孔質シートの見掛け密度を調整する方法、多孔質シートの曲げ弾性率を調整する方法などが挙げられる。
【0037】
エレクトレットシートの第一の面にシグナル電極を積層一体化し且つ第二の面にグランド電極を積層一体化することによって圧電センサが構成される。そして、グランド電極を基準電極としてシグナル電極の電位を測定することによって、圧電センサのエレクトレットシートにて発生した電位を測定することができる。
【0038】
シグナル電極は、エレクトレットシートの第一の面に必要に応じて固定剤を介して積層一体化されている。同様に、グランド電極は、エレクトレットシートの第二の面に必要に応じて固定剤を介して積層一体化されている。なお、シグナル電極及びグランド電極としては、導電性を有しておれば、特に限定されず、例えば、銅箔、アルミニウム箔などの金属シート、導電性膜などが挙げられる。
【0039】
シグナル電極及びグランド電極を導電性膜で構成する場合、導電性膜は、電気絶縁シート上に形成された上で、エレクトレットシート上に積層一体化されもよいし、又は、エレクトレットシートの表面に直接、形成されてもよい。電気絶縁シート又はエレクトレットシート上に導電性膜を形成する方法としては、例えば、(1)電気絶縁シート又はエレクトレットシート上に、バインダー中に導電性微粒子を含有させてなる導電ペーストを塗布、乾燥させる方法、(2)電気絶縁シート又はエレクトレットシート上に蒸着によって電極を形成する方法などが挙げられる。
【0040】
電気絶縁シートとしては、電気絶縁性を有しておれば、特に限定されず、例えば、ポリイミドシート、ポリエチレンテレフタレートシート、ポリエチレンナフタレートシート、ポリ塩化ビニルシートなどが挙げられる。
【0041】
固定剤層を構成している固定剤は、反応系・溶剤系・水系・ホットメルト系の接着剤又は粘着剤から構成されており、エレクトレットシートの感度を維持する観点から、誘電率の低い固定剤が好ましい。
【実施例】
【0042】
次に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0043】
下記のポリプロピレン系樹脂A〜E及びポリエチレン系樹脂A、Bを用意した。
〔ポリプロピレン系樹脂〕
プロピレン−エチレンランダム共重合体(ポリプロピレン系樹脂A、日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックEG8B」、エチレン単位の含有量:5質量%)
プロピレン−エチレンランダム共重合体(ポリプロピレン系樹脂B、日本ポリプロ社製 商品名「ウィンテックWFW4」、エチレン単位の含有量:2質量%)
プロピレン−エチレンランダム共重合体(ポリプロピレン系樹脂C、日本ポリプロ社製 商品名「ウィンテックWFX4T」、エチレン単位の含有量:4質量%)
プロピレン−エチレンランダム共重合体(ポリプロピレン系樹脂D、日本ポリプロ社製 商品名「ウィンテックWEG7T」、エチレン単位の含有量:1質量%)
プロピレン−エチレンランダム共重合体E(ポリプロピレン系樹脂E、プライムポリマー社製 商品名「プライムポリプロB241」、エチレン単位の含有量:2.5質量%)
【0044】
〔ポリエチレン系樹脂〕
直鎖状低密度ポリエチレン(ポリエチレン系樹脂A、エクソンケミカル社製 商品名「EXACT3027」)
低密度ポリエチレン(ポリエチレン系樹脂B、日本ポリプロ社製 商品名「ノバテックLE520H」)
【0045】
(実施例1〜5、比較例1、2)
ポリプロピレン系樹脂A〜E、ポリエチレン系樹脂A、B、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アゾジカルボンアミド及びフェノール系酸化防止剤を表1に示した所定量ずつ押出機に供給して溶融混練してTダイからシート状に押出し、厚みが180μmである発泡性樹脂シートを製造した。発泡性樹脂シートを一辺が30cmの平面正方形状に切り出した。
【0046】
得られた発泡性樹脂シートを雰囲気温度25℃にて48時間養生した。得られた発泡性樹脂シートの両面に電子線を加速電圧500kV及び強度25kGyの条件にて照射し、発泡性樹脂シートを構成しているポリオレフィン系樹脂を架橋した。架橋させた発泡性樹脂シートを250℃に加熱して発泡性樹脂シートを発泡させてポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートをその表面温度が130℃に維持された状態で自動一軸延伸装置(井元製作所社製 商品名「IMC−18C6型」)を用いて厚み200μmになるまで押出方向に対して直交する方向に延伸速度900mm/minにて一軸延伸して200μmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。なお、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの発泡倍率及び厚みを表1に示した。
【0047】
ポリオレフィン系樹脂発泡シートの第一の面に、アースされた平板電極を密着状態に重ね合わせ、ポリオレフィン系樹脂発泡シートの第二の面側に所定間隔を存して直流の高圧電源に電気的に接続された針状電極を配設し、針状電極の表面近傍への電界集中により、電圧−10kV、放電距離30mm及び電圧印可時間10秒の条件下にてコロナ放電を発生させ、空気分子をイオン化させて、針状電極の極性により発生した空気イオンを反発させてポリオレフィン系樹脂発泡シートに直流電界を加えて電荷を注入してポリオレフィン系樹脂発泡シートを全体的に帯電させた。ヒートガンを用いてポリオレフィン系樹脂発泡シートをその表面温度が40℃となるように維持しながら、ポリオレフィン系樹脂発泡シートに上記帯電処理を施した。その後、電荷を注入したポリオレフィン系樹脂発泡シートを、接地されたアルミニウム箔で包み込んだ状態で3時間に亘って保持してエレクトレットシートを得た。
【0048】
得られたエレクトレットシートについて、100kPaの応力で100回又は1000回繰り返し圧縮した後の25℃で圧縮変形させたときの圧縮弾性率、並びに、25℃における50%圧縮応力を上記の要領で、圧電定数d33を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
【0049】
(圧電定数d33)
エレクトレットシートから一辺が10mmの平面正方形状の試験片を切り出し、試験片の両面に金蒸着を施して試験体を作製した。
【0050】
試験体に加振機を用いて荷重Fが1.0N、動的荷重が±0.50N、周波数が110Hz、雰囲気温度25℃の条件下にて押圧力を加え、その時に発生する電荷Q(クーロン)を計測した。電荷Q(クーロン)を荷重F(N)で除することによって圧電定数d33を算出した。なお、圧電定数dijはj方向の荷重、i方向の電荷を意味し、d33はエレクトレットシートの厚み方向の荷重及び厚み方向の電荷となる。製造直後のエレクトレットシートの圧電定数d33を測定した。
【0051】
【表1】