(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固体電解質層と、前記固体電解質層を挟んで第1の方向に対向する空気極および燃料極とを有する電気化学反応単セルが、前記第1の方向に複数並べて配置された電気化学反応セルスタックにおいて前記複数の電気化学反応単セルに対して前記第1の方向の少なくとも一方側に配置される平板状のスタック用プレートであって、前記電気化学反応セルスタックに形成されるガス流路を構成する貫通孔が形成されたスタック用プレートにおいて、
前記スタック用プレートの前記第1の方向視の外周線は、
前記外周線が内接する最小の仮想矩形の第1の仮想辺に平行で、かつ、前記第1の仮想辺上に位置する複数の第1の基準辺と、
前記第1の基準辺同士の間に位置し、前記仮想矩形において前記第1の仮想辺に対向する第2の仮想辺側に窪んだ凹部と、
前記第2の仮想辺に平行で、かつ、前記第2の仮想辺上に位置する1または複数の第2の基準辺と、を有し、
前記スタック用プレートの周縁部において前記複数の第1の基準辺のそれぞれに面している複数の縁部分の少なくとも1つに前記貫通孔が形成され、
全ての前記第2の基準辺の長さの合計は、前記複数の第1の基準辺の長さの合計より短く、
前記第1の仮想辺の一端に最も近い前記第1の基準辺の一端と、前記第1の仮想辺の他端に最も近い前記第1の基準辺の他端との間の第1の距離は、前記第2の仮想辺の一端に最も近い前記第2の基準辺の一端と、前記第2の仮想辺の他端に最も近い前記第2の基準辺の他端との間の第2の距離より長く、
前記第1の仮想辺と前記第2の仮想辺とが対向する方向視で、前記第2の仮想辺の一端に最も近い前記第2の基準辺の一端と、前記第2の仮想辺の他端に最も近い前記第2の基準辺の他端とは、いずれも、前記第1の仮想辺の一端に最も近い前記第1の基準辺の一端と、前記第1の仮想辺の他端に最も近い前記第1の基準辺の他端との間に位置し、
かつ、前記第1の仮想辺と前記第2の仮想辺とが対向する方向視で、前記凹部は、前記第2の仮想辺の一端に最も近い前記第2の基準辺の一端と、前記第2の仮想辺の他端に最も近い前記第2の基準辺の他端との間に位置していることを特徴とする、スタック用プレート。
固体電解質層と、前記固体電解質層を挟んで第1の方向に対向する空気極および燃料極とを有する電気化学反応単セルが、前記第1の方向に複数並べて配置された電気化学反応セルスタックにおいて、さらに、
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のスタック用プレートを有することを特徴とする、電気化学反応セルスタック。
固体電解質層と、前記固体電解質層を挟んで第1の方向に対向する空気極および燃料極とを有する電気化学反応単セルが、前記第1の方向に複数並べて配置されるとともに、前記複数の電気化学反応単セルに対して前記第1の方向の少なくとも一方側に平板状のスタック用プレートが配置された電気化学反応セルスタックの製造方法において、
前記スタック用プレートの前記第1の方向視の外周線は、
前記外周線が内接する最小の仮想矩形の第1の仮想辺に平行で、かつ、前記第1の仮想辺上に位置する複数の第1の基準辺と、
前記第1の基準辺同士の間に位置し、前記仮想矩形において前記第1の仮想辺に対向する第2の仮想辺側に窪んだ凹部と、
前記第2の仮想辺に平行で、かつ、前記第2の仮想辺上に位置する1または複数の第2の基準辺と、を有し、
前記スタック用プレートの周縁部において前記複数の第1の基準辺のそれぞれに面している複数の縁部分の少なくとも1つに貫通孔が形成され、
全ての前記第2の基準辺の長さの合計は、前記複数の第1の基準辺の長さの合計より短くなっており、
前記複数の電気化学反応単セルと前記スタック用プレートとが前記第1の方向に並べられた配列体を形成する配列工程と、
前記配列体のうち、前記スタック用プレートの複数の第1の基準辺側を基準壁に接触させつつ、前記スタック用プレートの前記1または複数の第2の基準辺側に対して、前記第2の基準辺から前記基準壁に向かう方向に力を付与する付与工程と、を含むことを特徴とする電気化学反応セルスタックの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような燃料電池スタックにおいてスタック用プレートを所定の位置に精度よく配置することが好ましい。スタック用プレートが所定の位置からずれて配置されると、スタック用プレートと燃料電池スタックの他の構成部材とが干渉するおそれがあるからである。また、スタック用プレートに、燃料電池スタックを締結するためのボルトを挿入するためのボルト孔を構成する貫通孔が形成されている場合、スタック用プレートが所定の位置からずれて配置されると、ボルトをボルト孔に挿入することが困難になるおそれがある。さらに、スタック用プレートに、燃料電池スタック内に形成されたガス経路(マニホールド)を構成するガス孔が形成されている場合、スタック用プレートが所定の位置からずれて配置されると、ガス経路内を流れるガスの圧力が損失するおそれがある。
【0006】
ところで、近年、燃料電池の軽量化の要請がある。例えば、略矩形のスタック用プレートの一部を除去することによって燃料電池の軽量化を図る方法が考えられる。しかし、除去する部分によっては、変更後のスタック用プレートにおいて位置決めするための部位が適正な位置になく、結局、燃料電池スタックにおいてスタック用プレートを所定の位置に精度よく配置することができないおそれがある。
【0007】
なお、このような課題は、製造後の燃料電池スタックにも共通の課題である。また、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という)の一形態である電解セルスタックにも共通の課題である。なお、本明細書では、燃料電池スタックと電解セルスタックとをまとめて「電気化学反応セルスタック」という。
【0008】
本明細書では、上述した課題の少なくとも一部を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示される技術は、以下の形態として実現することが可能である。
【0010】
(1)本明細書に開示されるスタック用プレートは、固体電解質層と、前記固体電解質層を挟んで第1の方向に対向する空気極および燃料極とを有する電気化学反応単セルが、前記第1の方向に複数並べて配置された電気化学反応セルスタックにおいて前記複数の電気化学反応単セルに対して前記第1の方向の少なくとも一方側に配置される平板状のスタック用プレートであって、前記電気化学反応セルスタックに形成されるガス流路を構成する貫通孔が形成されたスタック用プレートにおいて、前記スタック用プレートの前記第1の方向視の外周線は、前記外周線が内接する最小の仮想矩形の第1の仮想辺に平行で、かつ、前記第1の仮想辺上に位置する複数の第1の基準辺と、前記第1の基準辺同士の間に位置し、前記仮想矩形において前記第1の仮想辺に対向する第2の仮想辺側に窪んだ凹部と、前記第2の仮想辺に平行で、かつ、前記第2の仮想辺上に位置する1または複数の第2の基準辺と、を有し、前記スタック用プレートの周縁部において前記複数の第1の基準辺のそれぞれに面している複数の縁部分の少なくとも1つに前記貫通孔が形成され、全ての前記第2の基準辺の長さの合計は、前記複数の第1の基準辺の長さの合計より短い。本スタック用プレートの外周線は、複数の第1の基準辺と、その反対側に位置する第2の基準辺とを有する。このため、例えばスタック用プレートを用いて電気化学反応セルスタックを組み立てる際、スタック用プレートにおける複数の第1の基準辺に対応する部分を所定の基準面に接触させつつ、第2の基準辺に対応する部分に押し当て用部材を押し当てることにより、スタック用プレートを電気化学反応セルスタックにおける所定の位置に精度よく位置決めすることができる。しかも、第1の基準辺に面している縁部分に、ガス経路を構成する貫通孔が形成されているため、スタック用プレートとともに貫通孔を電気化学反応セルスタックにおける所定の位置に精度よく位置決めすることができる。さらに、本スタック用プレートによれば、第1の基準辺同士の間に凹部が形成され、また、少なくとも1つの第2の基準辺の長さの合計は、複数の第1の基準辺の長さの合計より短いことにより、肉抜きによる軽量化が図られている。すなわち、本スタック用プレートによれば、電気化学反応セルスタックにおけるスタック用プレートの位置決め精度の向上とスタック用プレートの軽量化とを両立することができる。
【0011】
(2)上記スタック用プレートにおいて、前記全ての第2の基準辺の長さの合計は、さらに、前記第2の仮想辺の長さの50%以下の長さである構成としてもよい。本スタック用プレートによれば、全ての第2の基準辺の長さの合計が、第2の仮想辺の長さの50%より長い構成に比べて、スタック用プレートの軽量化を図ることができる。
【0012】
(3)上記スタック用プレートにおいて、前記第1の仮想辺の一端に最も近い前記第1の基準辺の一端と、前記第1の仮想辺の他端に最も近い前記第1の基準辺の他端との間の第1の距離は、前記第2の仮想辺の一端に最も近い前記第2の基準辺の一端と、前記第2の仮想辺の他端に最も近い前記第2の基準辺の他端との間の第2の距離より長い構成としてもよい。本スタック用プレートによれば、第1の距離が第2の距離より短い構成に比べて、基準面に対する第1の基準辺の位置が安定するため、電気化学反応セルスタックにおけるスタック用プレートの位置決め精度をより向上させることができる。
【0013】
(4)上記スタック用プレートにおいて、前記第1の仮想辺と前記第2の仮想辺とが対向する方向視で、前記第2の仮想辺の一端に最も近い前記第2の基準辺の一端と、前記第2の仮想辺の他端に最も近い前記第2の基準辺の他端とは、いずれも、前記第1の仮想辺の一端に最も近い前記第1の基準辺の一端と、前記第1の仮想辺の他端に最も近い前記第1の基準辺の他端との間に位置している構成としてもよい。本スタック用プレートによれば、第1の仮想辺と第2の仮想辺とが対向する方向視で、第2の仮想辺の一端に最も近い第2の基準辺の一端と、第2の仮想辺の他端に最も近い第2の基準辺の他端との少なくとも一方が、第1の仮想辺の一端に最も近い第1の基準辺の一端と、第1の仮想辺の他端に最も近い第1の基準辺の他端との間に位置しない構成に比べて、第2の方向において、上記第1の基準辺の一端と第1の基準辺の他端との外側に向かう力が、第2の基準辺に付与されることを原因として、電気化学反応セルスタックに対するスタック用プレートおよび貫通孔の位置決めの精度が低下することを抑制することができる。
【0014】
(5)上記スタック用プレートにおいて、前記複数の第1の基準辺の長さの合計は、前記第1の仮想辺の長さの10%以上の長さである構成としてもよい。本スタック用プレートによれば、複数の第1の基準辺の長さの合計が第1の仮想辺の長さの10%未満の長さである構成に比べて、基準面に対する第1の基準辺の位置が安定するため、電気化学反応セルスタックに対するスタック用プレートおよび貫通孔の位置決めの精度をより向上させることができる。
【0015】
(6)上記スタック用プレートにおいて、前記スタック用プレートの前記第1の方向視の前記外周線は、さらに、前記仮想矩形の第3の仮想辺に平行で、かつ、前記第3の仮想辺上に位置する複数の第3の基準辺と、前記第3の基準辺同士の間に位置し、前記仮想矩形において前記第3の仮想辺に対向する第4の仮想辺側に窪んだ凹部と、前記第4の仮想辺に平行で、かつ、前記第4の仮想辺上に位置する1または複数の第4の基準辺と、を有し、前記スタック用プレートの周縁部において前記複数の第3の基準辺に面している複数の縁部分の少なくとも1つに前記貫通孔が形成され、全ての前記第4の基準辺の長さの合計は、前記複数の第3の基準辺の長さの合計より短い構成としてもよい。本スタック用プレートによれば、互いに直交する2方向において、電気化学反応セルスタックにおける位置決め精度の向上と軽量化とを両立することができる。
【0016】
(7)上記スタック用プレートにおいて、前記全ての第4の基準辺の長さの合計は、さらに、前記第4の仮想辺の長さの50%以下の長さである構成としてもよい。本スタック用プレートによれば、全ての第4の基準辺の長さの合計が、第4の仮想辺の長さの50%より長い構成である場合に比べて、スタック用プレートの軽量化を図ることができる。
【0017】
(8)上記スタック用プレートにおいて、前記第3の仮想辺の一端に最も近い前記第3の基準辺の一端と、前記第3の仮想辺の他端に最も近い前記第3の基準辺の他端との間の第3の距離は、前記第4の仮想辺の一端に最も近い前記第4の基準辺の一端と、前記第4の仮想辺の他端に最も近い前記第4の基準辺の他端との間の第4の距離より長い構成としてもよい。本スタック用プレートによれば、第3の距離が第4の距離より短い構成に比べて、基準面に対する第3の基準辺の位置が安定するため、電気化学反応セルスタックにおけるスタック用プレートの位置決め精度をより向上させることができる。
【0018】
(9)上記スタック用プレートにおいて、前記第1の仮想辺の一端に最も近い前記第1の基準辺の一端と、前記第1の仮想辺の他端に最も近い前記第1の基準辺の他端との間の第1の距離は、前記第1の仮想辺の長さの30%以上であることと、前記第3の仮想辺の一端に最も近い前記第3の基準辺の一端と、前記第3の仮想辺の他端に最も近い前記第3の基準辺の他端との間の第3の距離は、前記第3の仮想辺の長さの30%以上であることと、の少なくとも一方を満たす構成としてもよい。本スタック用プレートによれば、互いに直交する2方向の少なくとも一方において、電気化学反応セルスタックに対するスタック用プレートおよび貫通孔の位置決めの精度をより向上させることができる。
【0019】
(10)上記スタック用プレートにおいて、前記複数の縁部分のそれぞれに前記貫通孔が形成されている構成としてもよい。本スタック用プレートによれば、複数の貫通孔のそれぞれについて、電気化学反応セルスタックにおける所定の位置に精度よく位置決めすることができる。
【0020】
(11)上記において、記載のスタック用プレートにおいて、前記第1の仮想辺と前記第2の仮想辺とが対向する方向視で、1つの前記貫通孔の全体は、前記1つの貫通孔の最も近くに位置する前記第1の基準辺である特定基準辺の両端より内側に位置している構成としてもよい。本スタック用プレートによれば、貫通孔の両端の少なくとも一方が第1の基準辺の両端より外側に位置している構成に比べて、電気化学反応セルスタックに対する貫通孔の位置決めの精度をより向上させることができる。
【0021】
(12)上記電気化学反応セルスタックにおいて、固体電解質層と、前記固体電解質層を挟んで第1の方向に対向する空気極および燃料極とを有する電気化学反応単セルが、前記第1の方向に複数並べて配置された電気化学反応セルスタックにおいて、さらに、請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載のスタック用プレートを有する構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックによれば、上述したスタック用プレートを備えるため、電気化学反応セルスタックにおけるスタック用プレートの位置決め精度の向上と電気化学反応セルスタックの軽量化とを両立することができる。
【0022】
(13)本明細書に開示される電気化学反応セルスタックの製造方法は、固体電解質層と、前記固体電解質層を挟んで第1の方向に対向する空気極および燃料極とを有する電気化学反応単セルが、前記第1の方向に複数並べて配置されるとともに、前記複数の電気化学反応単セルに対して前記第1の方向の少なくとも一方側に平板状のスタック用プレートが配置された電気化学反応セルスタックの製造方法において、前記スタック用プレートの前記第1の方向視の外周線は、前記外周線が内接する最小の仮想矩形の第1の仮想辺に平行で、かつ、前記第1の仮想辺上に位置する複数の第1の基準辺と、前記第1の基準辺同士の間に位置し、前記仮想矩形において前記第1の仮想辺に対向する第2の仮想辺側に窪んだ凹部と、前記第2の仮想辺に平行で、かつ、前記第2の仮想辺上に位置する1または複数の第2の基準辺と、を有し、前記スタック用プレートの周縁部において前記複数の第1の基準辺のそれぞれに面している複数の縁部分の少なくとも1つに前記貫通孔が形成され、全ての前記第2の基準辺の長さの合計は、前記複数の第1の基準辺の長さの合計より短くなっており、前記複数の電気化学反応単セルと前記スタック用プレートとが前記第1の方向に並べられた配列体を形成する配列工程と、前記配列体のうち、前記スタック用プレートの複数の第1の基準辺側を基準壁に接触させつつ、前記スタック用プレートの前記1または複数の第2の基準辺側に対して、前記第2の基準辺から前記基準壁に向かう方向に力を付与する付与工程と、を含む。
【0023】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、スタック用プレート、電気化学反応セルスタック、電気化学反応セルスタックを備える電気化学反応モジュール、電気化学反応モジュールを備える電気化学反応システム、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
A.実施形態:
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1から
図7は、本実施形態における燃料電池スタック100の構成を概略的に示す説明図である。
図1には、燃料電池スタック100の外観構成が示されており、
図2には、燃料電池スタック100の上側の平面構成が示されており、
図3には、燃料電池スタック100の下側の平面構成が示されており、
図4には、
図1から
図3のIV−IVの位置における燃料電池スタック100の断面構成が示されており、
図5には、
図1から
図3のV−Vの位置における燃料電池スタック100の断面構成が示されており、
図6には、
図1から
図3のVI−VIの位置における燃料電池スタック100の断面構成が示されており、
図7には、
図1から
図3のVII−VIIの位置における燃料電池スタック100の断面構成が示されている。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
図8以降についても同様である。
【0026】
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では8つの)発電単位102と、熱交換部103と、一対のエンドプレート104,106とを備える。8つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。ただし、8つの発電単位102の内、下から1つ目から4つ目までの4つの発電単位102は互いに隣接するように配置され、残りの上から1つ目から4つ目までの4つの発電単位102も互いに隣接するように配置されている。下側の4つの発電単位102と上側の4つの発電単位102との間に熱交換部103が配置されている。すなわち、熱交換部103は、8つの発電単位102と熱交換部103とから構成される集合体において上下方向の中央の位置に配置されている。一対のエンドプレート104,106は、8つの発電単位102と熱交換部103とから構成される集合体を上下から挟むように配置されている。以下、8つの発電単位102の内、下側の4つの発電単位102を「上流の発電単位102U」といい、残りの6つの発電単位102を「下流の発電単位102D」という。なお、燃料電池スタック100は、特許請求の範囲における電気化学反応セルスタックに相当し、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
【0027】
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、熱交換部103、エンドプレート104,106)のZ方向視の外形は、後述するように、略八角形である。各層の外周線(外形)が内接する矩形のうちの最小の矩形を「仮想矩形S」という。以下、また、該各層のZ方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。エンドプレート104,106に形成された連通孔108は、特許請求の範囲における貫通孔に相当する。
【0028】
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿入されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、
図4から
図7に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
【0029】
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。
図2から
図5に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における上記仮想矩形Sの第1の仮想辺S1(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入されるガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周において第1の仮想辺S1に対向する第2の仮想辺S2(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22C)と、そのボルト22Cが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、熱交換部103から排出された酸化剤ガスOGを各発電単位102に向けて運ぶガス流路である酸化剤ガス供給マニホールド163として機能する。また、
図2、
図3および
図5に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における第1の仮想辺S1付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102から排出された酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
【0030】
また、
図2、
図3および
図6に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における仮想矩形Sの第3の仮想辺S3(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)付近に位置するボルト22(ボルト22F)と、そのボルト22Fが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを上流の各発電単位102Uに供給する燃料ガス導入マニホールド171として機能し、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周において第3の仮想辺S3に対向する第4の仮想辺S4(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、上流の各発電単位102Uの燃料室176から排出されたガスである燃料中間ガスFMGを、下流の各発電単位102Dに向けて運ぶガス流路である燃料ガス中継マニホールド172として機能する。燃料中間ガスFMGには、上流の各発電単位102Uの燃料室176において発電反応に利用されなかった水素等が含まれる。
図2、
図3および
図7に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における第3の仮想辺S3付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、下流の各発電単位102Dの燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド173として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
【0031】
図4から
図7に示すように、燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、
図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス導入マニホールド161に連通しており、
図5に示すように、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、
図6に示すように、燃料ガス導入マニホールド171を形成するボルト22Fの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス導入マニホールド171に連通しており、
図7に示すように、燃料ガス排出マニホールド173を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド173に連通している。
【0032】
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略八角形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。なお、エンドプレート104,106は、特許請求の範囲におけるスタック用プレートに相当する。
【0033】
(発電単位102の構成)
図8から
図10は、発電単位102の詳細構成を示す説明図である。
図8には、
図5に示す断面と同一の位置における互いに隣接する下流の1つの発電単位102Dと上流の1つの発電単位102UとのXZ断面構成が示されており、
図9には、
図6に示す断面と同一の位置における互いに隣接する上流の2つの発電単位102UのYZ断面構成が示されており、
図10には、
図7に示す断面と同一の位置における互いに隣接する下流の2つの発電単位102DのYZ断面構成が示されている。
【0034】
図8から
図10に示すように、発電の最小単位である発電単位102は、単セル110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電体144と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿入される連通孔108に対応する孔が形成されている。
【0035】
インターコネクタ150は、略八角形の平板形状の導電性部材であり、例えばフェライト系ステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(
図4から
図7参照)。
【0036】
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向(発電単位102が並ぶ配列方向)に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で電解質層112および空気極114を支持する燃料極支持形の単セルである。単セル110は、特許請求の範囲における電気化学反応単セルに相当する。
【0037】
電解質層112は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、CaSZ(カルシア安定化ジルコニア)等の固体酸化物により形成されている。空気極114は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄))により形成されている。燃料極116は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。このように、本実施形態の単セル110(発電単位102)は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
【0038】
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。セパレータ120における孔121の周囲部分は、電解質層112における空気極114の側の表面の周縁部に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリークが抑制される。なお、セパレータ120が接合された単セル110をセパレータ付き単セルともいう。
【0039】
空気極側フレーム130は、
図8から
図10に示すように、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス導入マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通孔132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通孔133とが形成されている。
【0040】
燃料極側フレーム140は、
図8から
図10に示すように、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。
図9に示すように、上流の各発電単位102Uの燃料極側フレーム140には、燃料ガス導入マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142Uと、燃料室176と燃料ガス中継マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通孔143Uとが形成されている。
図10に示すように、下流の各発電単位102Dの燃料極側フレーム140には、燃料ガス中継マニホールド172と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142Dと、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド173とを連通する燃料ガス排出連通孔143Dとが形成されている。
【0041】
空気極側集電体134は、
図8から
図10に示すように、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、所定の間隔をあけて並べられた複数の略四角柱状の導電性部材から構成されており、例えば、フェライト系ステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電体134は、このような構成であるため、空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。なお、空気極側集電体134とインターコネクタ150とが一体の部材として形成されていてもよい。
【0042】
燃料極側集電体144は、
図8から
図10に示すように、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、複数の電極対向部145と、各電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。各電極対向部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102におけるインターコネクタ対向部146は、下側のエンドプレート106に接触している。燃料極側集電体144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。なお、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極側集電体144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電体144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。
【0043】
(熱交換部103の構成)
図4から
図7に示すように、熱交換部103は、八角形の平板形状部材であり、例えば、フェライト系ステンレスにより形成されている。熱交換部103の中央付近には、上下方向に貫通する孔182が形成されている。また、熱交換部103には、中央の孔182と酸化剤ガス導入マニホールド161を形成する連通孔108とを連通する連通孔184と、中央の孔182と酸化剤ガス供給マニホールド163を形成する連通孔108とを連通する連通孔186とが形成されている。熱交換部103は、熱交換部103の上側に隣接する発電単位102Dに含まれる下側のインターコネクタ150と、熱交換部103の下側に隣接する発電単位102Uに含まれる上側のインターコネクタ150とに挟持されている。これらのインターコネクタ150間において、孔182と連通孔184と連通孔186とにより形成される空間は、後述する熱交換のために酸化剤ガスOGを流す熱交換流路188として機能する。
【0044】
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給される。酸化剤ガス導入マニホールド161に供給された酸化剤ガスOGは、
図4に示すように、熱交換部103内に形成された熱交換流路188内に流入し、熱交換流路188を通って酸化剤ガス供給マニホールド163へと排出される。熱交換部103は、上側および下側について発電単位102に隣接している。また、後述するように、発電単位102における発電反応は発熱反応である。そのため、酸化剤ガスOGが熱交換部103内の熱交換流路188を通過する際に、酸化剤ガスOGと発電単位102との間で熱交換が行われ、酸化剤ガスOGの温度が上昇する。なお、酸化剤ガス導入マニホールド161は、各発電単位102の空気室166には連通していないため、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給されることはない。酸化剤ガス供給マニホールド163へと排出された酸化剤ガスOGは、
図4、
図5、
図8に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド163から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。
【0045】
また、
図6、
図9に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から上流の各発電単位102Uの燃料ガス供給連通孔142Uを介して、上流の各発電単位102Uの燃料室176に供給される。なお、燃料ガス導入マニホールド171は、下流の各発電単位102Dの燃料室176には連通していないため、燃料ガス導入マニホールド171から下流の各発電単位102Dの燃料室176に燃料ガスFGが供給されることはない。上流の各発電単位102Uの燃料室176から排出された燃料中間ガスFMGは、燃料ガス排出連通孔143Uを介して燃料ガス中継マニホールド172に排出される。
図7、
図10に示すように、下流の各発電単位102Dの燃料室176には、この上流の各発電単位102Uから排出された燃料中間ガスFMGが、燃料ガス中継マニホールド172、および、下流の各発電単位102Dの燃料ガス供給連通孔142Dを介して供給される。
【0046】
上流の各発電単位102Uの空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、上流の各発電単位102Uの燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、上流の各発電単位102Uの単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。また、下流の各発電単位102Dの空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、下流の各発電単位102Dの燃料室176に燃料中間ガスFMGが供給されると、下流の各発電単位102Dの単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料中間ガスFMGの電気化学反応による発電が行われる。これらの発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、熱交換部103を介しているものの、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
【0047】
図5、
図8に示すように、下流および上流の各発電単位102U,102Dの空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、酸化剤ガス排出連通孔133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、
図7、
図10に示すように、下流の各発電単位102Dの燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、燃料ガス排出連通孔143Dを介して燃料ガス排出マニホールド173に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド173の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。このように、燃料電池スタック100の燃料ガスFGの流路構成は、外部から導入された燃料ガスFGが、上流の複数の発電単位102に並列に供給され、上流の各発電単位102Uから排出された燃料中間ガスFMGが、燃料ガス中継マニホールド172を介して、下流の複数の発電単位102Dに並列に供給される、いわゆる並直列型になっている。
【0048】
A−3.エンドプレート104,106の詳細構成について:
図11は、エンドプレート104の上側のXY平面構成を示す説明図である。上側のエンドプレート104と下側のエンドプレート106とは同一構造であるため、以下では、エンドプレート104,106の詳細構成について、上側のエンドプレート104を例に挙げて説明する。
図11に示すように、エンドプレート104のZ方向視の外形は、全体として、略八角形である。以下、エンドプレート104のZ方向視の外周線について、仮想矩形Sにおける第1の仮想辺S1側および第2の仮想辺S2側と、第3の仮想辺S3側および第4の仮想辺S4側とに分けて説明する。
【0049】
(第1の仮想辺S1側および第2の仮想辺S2側)
エンドプレート104のZ方向視の外周線は、2つの第1の基準辺201と、第1の凹部203と、1つの第2の基準辺205とを有する。各第1の基準辺201は、第1の仮想辺S1に平行で、かつ、該第1の仮想辺S1上に位置する直線である。2つの第1の基準辺201の長さは、互いに異なるとしてもよいが、以下では、互いに同じ(長さA1)であるものとする。第1の仮想辺S1上に位置する全ての第1の基準辺201の長さの合計(=A1+A1)は、第1の仮想辺S1の長さの10%以上であり、さらには、第1の仮想辺S1の長さの30%以上であることがより好ましい。
【0050】
第1の凹部203は、2つの第1の基準辺201同士の間に位置し、仮想矩形Sの第2の仮想辺S2側に窪んでいる。第1の凹部203の第2の仮想辺S2に平行な方向の長さは、各第1の基準辺201の長さA1と同じであるとしてもよいし、該長さA1より短いとしてもよいし、該長さA1より長いとしてもよい。第2の基準辺205は、第2の仮想辺S2に平行で、かつ、第2の仮想辺S2上に位置する直線である。第2の基準辺205の長さ(A2)は、第1の基準辺201の長さA1と同じであるとしてもよいし、該長さA1より短いとしてもよいし、該長さA1より長いとしてもよい。また、第2の基準辺205は、第1の仮想辺S1と第2の仮想辺S2との対向方向(X方向)視で、第1の凹部203に重なる位置に配置されている。また、第2の仮想辺S2上に位置する全ての第2の基準辺205の長さの合計(=A2)は、第2の仮想辺S2の長さの50%以下である。
【0051】
また、上記全ての第2の基準辺205の長さの合計(=A2)は、全ての第1の基準辺201の長さの合計(=A1+A1)より短い。また、第1の仮想辺S1の一端に最も近い第1の基準辺201の一端P11と、第1の仮想辺S1の他端に最も近い第1の基準辺201の他端P12との間の第1の距離L1は、第2の仮想辺S2の一端に最も近い第2の基準辺205の一端P21と、第2の仮想辺S2の他端に最も近い第2の基準辺205の他端P22との間の第2の距離(本実施形態ではA2と同じ)より長い。また、第1の仮想辺S1と第2の仮想辺S2とが対向する方向(X方向)視で、第2の仮想辺S2の一端に最も近い第2の基準辺205の一端P21と、第2の仮想辺S2の他端に最も近い第2の基準辺205の他端P22とは、いずれも、第1の仮想辺S1の一端に最も近い第1の基準辺201の一端P11と、第1の仮想辺S1の他端に最も近い第1の基準辺201の他端P12との間に位置している。
【0052】
また、エンドプレート104の周縁部において2つの第1の基準辺201のそれぞれに面している縁部分に、エンドプレート104を上下に貫通する連通孔108が形成されている。連通孔108は、特許請求の範囲における貫通孔に相当する。第1の基準辺201に面している縁部分とは、エンドプレート104の外周線に沿った周縁部のうち、1つの第1の基準辺201に最も近く、かつ、該1つの第1の基準辺201に沿って延びる部分である。また、第1の仮想辺S1と第2の仮想辺S2とが対向する方向(X方向)視で、エンドプレート104に形成された1つの連通孔108の全体は、該1つの連通孔108の最も近くに位置する第1の基準辺201である特定基準辺の両端より内側に位置している。
【0053】
(第3の仮想辺S3側および第4の仮想辺S4側)
エンドプレート104のZ方向視の外周線は、さらに、2つの第3の基準辺211と、第2の凹部213と、1つの第2の基準辺215とを有する。各第3の基準辺211は、第3の仮想辺S3に平行で、かつ、該第3の仮想辺S3上に位置する直線である。2つの第3の基準辺211の長さは、互いに異なるとしてもよいが、以下では、互いに同じ(長さB1)であるものとする。第3の仮想辺S3上に位置する全ての第3の基準辺211の長さの合計(=B1+B1)は、第3の仮想辺S3の長さの10%以上であり、第3の仮想辺S3の長さの30%以上であることがより好ましい。
【0054】
第2の凹部213は、2つの第3の基準辺211同士の間に位置し、仮想矩形Sの第4の仮想辺S4側に窪んでいる。第3の凹部213の第3の仮想辺S3に平行な方向の長さは、各第3の基準辺211の長さB1と同じであるとしてもよいし、該長さB1より短いとしてもよいし、該長さB1より長いとしてもよい。第4の基準辺215は、第4の仮想辺S4に平行で、かつ、第4の仮想辺S4上に位置する直線である。第4の基準辺215の長さ(B2)は、第3の基準辺211の長さB1と同じであるとしてもよいし、該長さB1より短いとしてもよいし、該長さB1より長いとしてもよい。また、第4の基準辺215は、第3の仮想辺S3と第4の仮想辺S4との対向方向(Y方向)視で、第2の凹部213に重なる位置に配置されている。また、第4の仮想辺S4上に位置する全ての第4の基準辺215の長さの合計(=B2)は、第4の仮想辺42の長さの50%以下である。
【0055】
また、上記全ての第4の基準辺215の長さの合計(=B2)は、全ての第3の基準辺211の長さの合計(=B1+B1)より短い。また、第3の仮想辺S3の一端に最も近い第3の基準辺211の一端P31と、第3の仮想辺S3の他端に最も近い第3の基準辺211の他端P32との間の第3の距離L2は、第4の仮想辺S4の一端に最も近い第4の基準辺215の一端P41と、第4の仮想辺S4の他端に最も近い第4の基準辺215の他端P42との間の第4の距離(本実施形態ではA2と同じ)より長い。また、第3の仮想辺S3と第4の仮想辺S4とが対向する方向(Y方向)視で、第4の仮想辺S4の一端に最も近い第4の基準辺215の一端P41と、第4の仮想辺S4の他端に最も近い第4の基準辺215の他端P42とは、いずれも、第3の仮想辺S3の一端に最も近い第3の基準辺211の一端P31と、第3の仮想辺S3の他端に最も近い第3の基準辺211の他端P32との間に位置している。
【0056】
また、エンドプレート104の周縁部において2つの第3の基準辺211のそれぞれに面している縁部分に、エンドプレート104を上下に貫通する連通孔108が形成されている。また、第3の仮想辺S3と第4の仮想辺S4とが対向する方向(Y方向)視で、エンドプレート104に形成された1つの連通孔108の全体(幅D1)は、該1つの連通孔108の最も近くに位置する第3の基準辺211である特定基準辺の両端より内側に位置している。
【0057】
A−4.燃料電池スタック100の製造方法について:
図12は、上述した構成の燃料電池スタック100の製造方法のフローチャートである。まず、燃料電池スタック100を構成する各部材(発電単位102、熱交換部103、エンドプレート104,106)を準備する(S110)。次に、各部材を、例えば上下方向に並ぶように積層された配列体を形成する(S120)。S120は、特許請求の範囲における配列工程に相当する。この配列体では、エンドプレート104,106が、上下方向に直交する面方向において、発電単位102や熱交換部103に対してずれた位置に配置されることがある。エンドプレート104,106が発電単位102等に対してずれた位置に配置されると、エンドプレート104,106に形成された連通孔108と、発電単位102等に形成された連通孔108とが上下方向視で互いにずれるため、連通孔108にボルト22が円滑に挿入できなかったり、連通孔108により構成される各マニホールド(161,162,171,172)における圧力損失の原因になったりするおそれがある。
【0058】
そこで、配列体のうち、エンドプレート104,106の2つの第1の基準辺201側を所定の第1の基準壁(図示せず)に接触させつつ、エンドプレート104,106の第2の基準辺205に対して、第2の基準辺205から第1の基準壁に向かう方向に力を付与する(S130)。S130は、特許請求の範囲における付与工程に相当する。第1の基準壁は、上下方向に平行な平面を有するとともに所定の位置に固定された壁である。ここで、各部材は、エンドプレート104,106における第1の基準辺201側の端面から各連通孔108までの最短距離は互いに略一致する。例えば、発電単位102および熱交換部103について、第1の基準壁に向かう方向に力を付与しつつ、エンドプレート104,106の第2の基準辺205に対して第1の基準壁に向かう方向に力を付与する。これにより、第1の仮想辺S1と第2の仮想辺S2との対向方向(X方向)において、エンドプレート104,106とともに、該エンドプレート104,106に形成された連通孔108を燃料電池スタック100における所定の位置に精度よく位置決めすることができる。
【0059】
また、配列体のうち、エンドプレート104,106の複数の第3の基準辺211側を所定の第2の基準壁(図示せず)に接触させつつ、エンドプレート104,106の第4の基準辺215に対して、第4の基準辺215から第2の基準壁に向かう方向に力を付与する(S140)。S140は、特許請求の範囲における付与工程に相当する。第2の基準壁は、上下方向に平行で、かつ、上記第1の基準壁に直交する平面を有するとともに所定の位置に固定された壁である。ここで、各部材は、エンドプレート104,106における第3の基準辺211側の端面から各連通孔108までの最短距離は互いに一致する。例えば、発電単位102および熱交換部103について、第2の基準壁に向かう方向に力を付与しつつ、エンドプレート104,106の第4の基準辺215に対して第2の基準壁に向かう方向に力を付与する。これにより、第3の仮想辺S3と第4の仮想辺S4との対向方向(Y方向)において、エンドプレート104,106とともに、該エンドプレート104,106に形成された連通孔108を燃料電池スタック100における所定の位置に精度よく位置決めすることができる。
【0060】
その後、残りの組み立て工程(例えば、空気極114と空気極側集電体134との接合やボルト22による燃料電池スタック100の締結)が行われ、燃料電池スタック100の組み立てが完了する(S150)。
【0061】
A−5.本実施形態の効果について:
以上説明したように、本実施形態のエンドプレート104,106の外周線は、複数の第1の基準辺201と、その反対側に位置する第2の基準辺205とを有する。このため、例えばエンドプレート104,106を用いて燃料電池スタック100を組み立てる際、エンドプレート104,106における複数の第1の基準辺201に対応する部分を所定の基準面に接触させつつ、第2の基準辺205に対応する部分に押し当て用部材を押し当てることにより、エンドプレート104,106を100における所定の位置に精度よく位置決めすることができる。しかも、第1の基準辺201に面している縁部分に、ガス経路161,162を構成する連通孔108が形成されているため、エンドプレート104,106とともに連通孔108を燃料電池スタック100における所定の位置に精度よく位置決めすることができる。さらに、本実施形態のエンドプレート104,106では、第1の基準辺201同士の間に第1の凹部203が形成され、また、少なくとも1つの第2の基準辺205の長さの合計は、複数の第1の基準辺201の長さの合計より短いことにより、肉抜きによる軽量化が図られている。すなわち、本実施形態のエンドプレート104,106によれば、燃料電池スタック100におけるエンドプレート104,106の位置決め精度の向上とエンドプレート104,106の軽量化とを両立することができる。
【0062】
また、本実施形態では、第2の仮想辺S2上に位置する全ての第2の基準辺205の長さの合計(=A2)は、第2の仮想辺S2の長さの50%以下である。このため、第2の仮想辺S2上に位置する全ての第2の基準辺205の長さの合計(=A2)が第2の仮想辺S2の長さの50%より長い構成に比べて、エンドプレート104,106の軽量化を図ることができる。また、本実施形態では、第1の基準辺201の一端P11と他端P12との間の第1の距離L1は、第2の基準辺205の一端P21と他端P22との間の第2の距離より長い。このため、第1の距離L1が第2の距離より短い構成に比べて、基準面に対する第1の基準辺201の位置が安定するため、燃料電池スタック100におけるエンドプレート104,106の位置決め精度をより向上させることができる。
【0063】
また、上記実施形態では、第1の仮想辺S1と第2の仮想辺S2とが対向する方向(X方向)視で、第2の基準辺205の一端P21と他端P22とは、いずれも、第1の基準辺201の一端P11と他端P12との間に位置している。このため、第2の基準辺205の一端P21と他端P22との少なくとも一方が、第1の基準辺201の一端P11と他端P12との間に位置しない構成に比べて、第1の仮想辺S1に平行な方向(Y方向)において、第1の基準辺201の一端P11と他端P12との外側に向かう力が、第2の基準辺205に付与されることを原因として、燃料電池スタック100に対するエンドプレート104,106のおよび連通孔108の位置決めの精度が低下することを抑制することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、第1の仮想辺S1上に位置する全ての第1の基準辺201の長さの合計(=A1+A1)は、第1の仮想辺S1の長さの10%以上である。このため、第1の基準辺201の長さの合計(=A1+A1)が第1の仮想辺S1の長さの10%未満の長さである構成に比べて、基準面に対する第1の基準辺201の位置が安定するため、燃料電池スタック100に対するエンドプレート104,106および連通孔108の位置決めの精度をより向上させることができる。
【0065】
また、上記実施形態では、エンドプレート104の周縁部において2つの第1の基準辺201のそれぞれに面している縁部分に、エンドプレート104を上下に貫通する連通孔108が形成されている。このため、複数の連通孔108のそれぞれについて、燃料電池スタック100における所定の位置に精度よく位置決めすることができる。
【0066】
また、上記実施形態では、第1の仮想辺S1と第2の仮想辺S2とが対向する方向(X方向)視で、エンドプレート104に形成された1つの連通孔108の全体は、該1つの連通孔108の最も近くに位置する第1の基準辺201である特定基準辺の両端より内側に位置している。このため、連通孔108の両端の少なくとも一方が第1の基準辺201の両端より外側に位置している構成に比べて、燃料電池スタック100に対する連通孔108の位置決めの精度をより向上させることができる。
【0067】
なお、第3の仮想辺S3側および第4の仮想辺S4側において、第1の仮想辺S1側および第2の仮想辺S2側と同様の効果を得ることができる。
【0068】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0069】
上記実施形態では、スタック用プレートとして、エンドプレート104,106を例示したが、これに限らず、例えば、外部端子を備えるターミナルプレートでもよい。また、燃料電池スタック100における第1の方向の端に位置するプレートに限らず、複数の単セルと他の部材との間に配置されるプレートでもよい。また、上記実施形態では、エンドプレート104,106)のZ方向視の外形は、略八角形であったが、これに限らず、仮想矩形に内接する他の形状であるとしてもよい。
【0070】
上記実施形態において、エンドプレート104のZ方向視の外周線が有する第1の基準辺201は3つ以上であるとしてもよいし、該外周線が有する第2の基準辺205は2つ以上であるとしてもよい。各基準辺201,205は、各仮想辺に沿った直線に限らず、全体として、概ね各仮想辺に沿った線であればよく、例えば若干湾曲した線であるとしてもよい。また、第1の仮想辺S1上に位置する全ての第1の基準辺201の長さの合計(=A1+A1)は、第1の仮想辺S1の長さの10%未満であるとしてもよいし、第1の仮想辺S1の長さの40%以上、50%以上、60%以上であるとしてもよい。また、上記実施形態において、第2の仮想辺S2上に位置する全ての第2の基準辺205の長さの合計(=A2)は、第2の仮想辺S2の長さの50%以上であるとしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態において、第1の基準辺201の一端P11と他端P12との間の第1の距離L1は、第2の基準辺205の一端P21と他端P22との間の第2の距離以下の長さであるとしてもよい。また、上記実施形態において、第1の仮想辺S1と第2の仮想辺S2とが対向する方向(X方向)視で、第2の基準辺205の一端P21と他端P22との少なくとも一方が、第1の基準辺201の一端P11と他端P12との間になく、両端P11,P22の外側に位置しているとしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態において、エンドプレート104の周縁部において2つの第1の基準辺201のそれぞれに面している縁部分の一部(例えば1つの縁部分)だけに連通孔108が形成されているとしてもよい。また、上記実施形態において、第1の仮想辺S1と第2の仮想辺S2とが対向する方向(X方向)視で、エンドプレート104に形成された1つの連通孔108の一部が、該1つの連通孔108の最も近くに位置する第1の基準辺201である特定基準辺の両端より外側に位置しているとしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態において、エンドプレート104のZ方向視の外周線が有する第3の基準辺211は、ゼロ、1つ、または、3つ以上であるとしてもよいし、該外周線が有する第4の基準辺215はゼロ、または、2つ以上であるとしてもよい。各基準辺211,215は、各仮想辺に沿った直線に限らず、全体として、概ね各仮想辺に沿った線であればよく、例えば若干湾曲した線であるとしてもよい。また、第3の仮想辺S3上に位置する全ての第3の基準辺211の長さの合計(=B1+B1)は、第3の仮想辺S3の長さの10%未満であるとしてもよいし、第3の仮想辺S3の長さの40%以上、50%以上、60%以上であるとしてもよい。また、上記実施形態において、第4の仮想辺S4上に位置する全ての第4の基準辺215の長さの合計(=B2)は、第4の仮想辺S4の長さの50%以上であるとしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態において、第3の基準辺211の一端P31と他端P32との間の第3の距離L2は、第4の基準辺215の一端P41と他端P42との間の第4の距離以下の長さであるとしてもよい。また、上記実施形態において、第3の仮想辺S3と第4の仮想辺S4とが対向する方向(Y方向)視で、第4の基準辺215の一端P41と他端P42との少なくとも一方が、第3の基準辺211の一端P31と他端P32との間になく、両端P31,P32の外側に位置しているとしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態において、エンドプレート104の周縁部において2つの第3の基準辺211のそれぞれに面している縁部分の一部(例えば1つの縁部分)だけに連通孔108が形成されているとしてもよいし、エンドプレート104の周縁部において2つの第3の基準辺211のそれぞれに面している縁部分のいずれにも、連通孔108が形成されていないとしてもよい。また、上記実施形態において、第3の仮想辺S3と第4の仮想辺S4とが対向する方向(Y方向)視で、エンドプレート104に形成された1つの連通孔108の一部が、該1つの連通孔108の最も近くに位置する第3の基準辺211である特定基準辺の両端より外側に位置しているとしてもよい。
【0076】
上記実施形態において、エンドプレート104,106は、第1の仮想辺と第2の仮想辺との対向方向視で、2つの第1の基準辺201の間に、第2の基準辺205の全体が位置する構成(換言すれば、同対向方向視で、第2の基準辺205の全体が第1の凹部203に重なる構成)であるとしてもよい。このような構成であれば、より効果的に、電気化学反応セルスタックにおけるスタック用プレートの位置決め精度の向上とスタック用プレートの軽量化とを両立することができる。
【0077】
また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる発電単位102の個数は、あくまで一例であり、発電単位102の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、上流の発電単位102Uの個数や下流の発電単位102Dの個数も、あくまでも一例である。
【0078】
上記実施形態において、燃料電池スタック100の締結に使用されるボルト22の個数は、あくまで一例であり、ボルト22の個数は燃料電池スタック100に要求される締結力等に応じて適宜決められる。
【0079】
また、上記実施形態では、ボルト22の両側にナット24が嵌められているとしているが、ボルト22が頭部を有し、ナット24はボルト22の頭部の反対側にのみ嵌められているとしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、エンドプレート104,106が出力端子として機能するとしているが、エンドプレート104,106の代わりに、エンドプレート104,106のそれぞれと接続された別部材(例えば、エンドプレート104,106のそれぞれと発電単位102との間に配置された導電板)が出力端子として機能するとしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間の空間を各マニホールドとして利用しているが、これに代えて、各ボルト22の軸部に軸方向の孔を形成し、その孔を各マニホールドとして利用してもよい。また、各マニホールドを各ボルト22が挿入される各連通孔108とは別に設けてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合には、1つのインターコネクタ150が隣接する2つの発電単位102に共有されるとしているが、このような場合でも、2つの発電単位102がそれぞれのインターコネクタ150を備えてもよい。また、上記実施形態では、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102の上側のインターコネクタ150や、最も下に位置する発電単位102の下側のインターコネクタ150は省略されているが、これらのインターコネクタ150を省略せずに設けてもよい。
【0083】
また、上記実施形態において、燃料極側集電体144は、空気極側集電体134と同様の構成であってもよく、燃料極側集電体144と隣接するインターコネクタ150とが一体部材であってもよい。また、空気極側フレーム130ではなく燃料極側フレーム140が絶縁体であってもよい。また、空気極側フレーム130や燃料極側フレーム140は、多層構成であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。
【0085】
また、上記実施形態において、都市ガスを改質して水素リッチな燃料ガスFGを得るとしているが、LPガスや灯油、メタノール、ガソリン等の他の原料から燃料ガスFGを得るとしてもよいし、燃料ガスFGとして純水素を利用してもよい。
【0086】
本明細書において、部材(または部材のある部分、以下同様)Aを挟んで部材Bと部材Cとが互いに対向するとは、部材Aと部材Bまたは部材Cとが隣接する形態に限定されず、部材Aと部材Bまたは部材Cとの間に他の構成要素が介在する形態を含む。例えば、電解質層112と空気極114との間に他の層が設けられた構成であっても、空気極114と燃料極116とは電解質層112を挟んで互いに対向すると言える。
【0087】
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(SOEC)の最小単位である電解セル単位や、複数の電解セル単位を備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016−81813号公報に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、連通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、連通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解セルスタックにおいても、本発明を適用することによって上述の効果を得ることができる。