(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、携帯機器をはじめとする電子機器の高性能化に伴い、これに使用される部品も高い性能が要求されている。特に、携帯機器においては消費電力を重視することが多く、このためコイル部品は低抵抗化が要求されている。
【0006】
ところが特許文献1の構成では、用いられるワイヤの直径が20μm〜60μmと比較的細いため、コイル部品の低抵抗化が困難になる。一方、特許文献2の構成によれば、30μm〜350μmの太さの導線が使用可能とされることから低抵抗化には有利である。しかし、この構成では、導線をコアの下フランジ表面に引き出し、下フランジ表面に設けられた凹部に導線を埋め込でいる。このような構成では、太い導線を固定する凹部と、凹部を充填する厚いハンダとが必要になるため小型化が困難になる。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、低抵抗化と小型化とを実現することができる巻線型のコイル部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るコイル部品は、コア部材と、コイル導線と、端子電極とを具備する。
上記コア部材は、柱状部を有する。
上記コイル導線は、上記柱状部に巻回されたコイル部と、上記コイル部のそれぞれの両端に設けられた扁平形状の接続端部とを有する。
上記端子電極は、上記コア部材の表面に形成され、上記接続端部と電気的に接続される。
上記端子電極は、電極層と、上記電極層を被覆する導電層とを有する。
上記接続端部は、上記電極層の表面に電気的に接続される第1主面と、上記導電層の表面から突出する第2主面と、上記第1主面と上記第2主面に連なる側面とを有する。
上記導電層は、第1の厚みを有する平坦領域と、上記平坦領域と上記側面との間に設けられ前記第1の厚みよりも大きい第2の厚みを有する裾野領域とを有する。上記裾野領域は、上記側面に寄り掛り、上記第1の厚みは、上記接続端部の厚みよりも薄く、上記第2の厚みは、上記側面から離れるにつれ薄くなっている。
このようなコイル部品によれば、低抵抗化と小型化とが実現し、信頼性の高い巻線型のコイル部品が提供される。
【0009】
上記のコイル部品においては、上記接続端部の厚みは、25μm以上145μm以下でもよい。
このようなコイル部品によれば、コイル部品の低抵抗化が確実になされる。
【0010】
上記のコイル部品においては、上記第1の厚みは、上記接続端部の厚みの20%以上50%以下であってもよい。
このようなコイル部品によれば、導電層にクラックが発生しにくく、信頼性が向上する。
【0011】
上記のコイル部品においては、上記平坦領域から上記側面に向かう方向における上記裾野領域の幅は、上記接続端部の厚みよりも小さくてもよい。
このようなコイル部品によれば、導電層にクラックが発生しにくく、信頼性が向上する。
【0012】
上記のコイル部品においては、上記端子電極は、上記接続端部と上記電極層との間に形成された第1合金層をさらに有してもよい。
このようなコイル部品によれば、上記接続端部と上記電極層との密着力が増し、信頼性が向上する。
【0013】
上記のコイル部品においては、上記端子電極は、上記接続端部と上記裾野領域との間に形成された第2合金層をさらに有してもよい。
このようなコイル部品によれば、上記接続端部と上記導電層との密着力が増し、信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように、本発明によれば、低抵抗化と小型化とを実現することができる巻線型のコイル部品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図面には、XYZ軸座標が導入される場合がある。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るコイル部品を示す概略斜視図である。
図2(a)、(b)、(c)のそれぞれは、コイル部品におけるコア部材の概略上面図、概略側面図及び概略下面図である。
各図において、X軸、Y軸及びZ軸は相互に直交する3軸方向をそれぞれ示している。
【0020】
本実施形態のコイル部品100は、コア部材10と、コイル導線20と、端子電極30とを具備する。
【0021】
コア部材10は、第1板部11と、第2板部12と、柱状部13とを有する。
【0022】
柱状部13は、第1板部11と第2板部12との間に設けられる。柱状部13は、円柱状に形成され、Z軸方向に平行な軸心を有する。柱状部13の形状は、これに限られず、角柱状、楕円柱状等の他の形状であってもよい。柱状部13は、コイル導線20の巻き芯である。柱状部13の長さや径は、コイル導線20の線径や長さ(巻き数)等に応じて適宜設定される。巻き数は、例えば、20である。
【0023】
第1板部11は、柱状部13の一端部(
図2(b)において上端部)に接続され、第2板部12は、柱状部13の他端部(
図2(b)において下端部)に接続される。第1及び第2板部11、12のそれぞれの平面形状は、Y軸方向に長辺、X軸方向に短辺を有する長方形状に形成され、各々の中心部に柱状部13の各端部が接続されている。
【0024】
第2板部12は、短辺及び厚さ方向の辺によって画定される2つの平面(以下、ST面ともいう)と、長辺及び厚さ方向の辺によって画定される2つの平面(以下、LT面ともいう)と、長辺及び短辺によって画定される主面(以下、LS面ともいう)を有する(
図2(b)、(c))。
【0025】
第1板部11、第2板部12及び柱状部13は、典型的には、電気絶縁性の磁性材料で構成され、それぞれ一体的に形成される。磁性材料の種類は特に限定されず、フェライト材料や金属磁性粒子などを用いることができる。
【0026】
フェライト材料は、酸化鉄と他の金属酸化物との複合酸化物において磁性が発現する材料であり、公知のフェライト材料を特に限定なく用いることができる。例えば、Ni−ZnフェライトやMn−Znフェライトなどが好適に用いられる。こういったフェライト材料をバインダと混合し、金型を使い圧力をかけてドラム型を形成し、その後焼成するなどして、第1及び第2板部11、12と柱状部13とを得ることができる。フェライト材料にはガラスコートを施すなどの粉体処理が行われてもよい。
【0027】
金属磁性粒子は、酸化されていない金属部分において磁性が発現する材料であり、例えば、酸化されていない金属粒子が合金粒子、あるいはそれら粒子の周囲に酸化物等が設けられた粒子などが挙げられる。金属磁性粒子としては、例えばアトマイズ法で製造される粒子が挙げられる。金属磁性粒子は、例えば、合金系のFe−Si−Cr、Fe−Si−Al、Fe−Ni、非晶質のFe−Si−B−C、Fe−Si−B−Cr、またはFe、またはこれらの混合材料などが挙げられ、これらの粒子と樹脂から圧粉体を得たものが好適に用いられる。さらに、樹脂を熱硬化して形成したものでは高い絶縁性を呈し、熱処理して酸化膜を形成したものでは高い機械的強度を呈する点で好適である。
【0028】
コイル導線20は、コイル部22と、接続端部21(第1接続端部211、第2接続端部212)とを有する。コイル導線20のコイル部22は、銅(Cu)や銀(Ag)等からなる金属線の外周に、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等からなる絶縁被覆が形成された被覆導線で構成される。コイル部22は、コア部材10の柱状部13の周囲に巻回される。さらにコイル部22のそれぞれの両端には、
図1に示すように、一方及び他方の接続端部21(第1接続端部211、第2接続端部212)が設けられる。第1接続端部211、第2接続端部212は、絶縁被覆が除去された状態で、端子電極30(第1端子電極部301、第2端子電極部302)にそれぞれ接続される。
【0029】
コイル導線20の長さや線径、断面形状は特に限定されず、仕様に応じて適宜設定される。特に本実施形態におけるコイル導線20は、金属線の線径が55μm以上180μm以下であるコイル導線が用いられる。55μm以上180以下という比較的太い金属線を有するコイル導線を用いることが、直流抵抗が低い、大電流化にも対応可能なコイル部品を構成することができる。
【0030】
端子電極30は、第2板部12の表面に形成され、第1端子電極部301及び第2端子電極部302を有する。第1端子電極部301及び第2端子電極部302は、
図2(a)、(b)、(c)に示すように、第2板部12のY軸方向に対向する2つのST面側にそれぞれ形成される。
【0031】
例えば、第1端子電極部301は、左側のST面に形成されるとともに、LS面及びLT面各々の一部(左端付近)にまで折れ曲がって延びている。第2端子電極部302は、右側のST面に形成されるとともに、LS面及びLT面各々の一部(右端付近)にまで折れ曲がって延びている。好適には、第1端子電極部301及び第2端子電極部302は、LS面から厚みの半分以上まで延びている。各接続端部21(第1接続端部211、第2接続端部212)は、第2板部12の一方側のLT面に引き出され、端子電極30(第1端子電極部301、第2端子電極部302)に電気的に接続される。
【0033】
図3(a)、(b)は、端子電極に対する接続端部の接合方法を説明する概略断面図である。
図3(a)、(b)は、
図1の矢印a1、a2方向における断面に対応している。
【0034】
まず、
図3(a)には、端子電極30に接続端部21が接合される前の状態が示されている。
【0035】
図3(a)に示すように、端子電極30は、多層構造を有する。端子電極30は、電極層31と、電極層31の表面を被覆する導電層32とを有する。さらに、電極層31は、第1電極層311と第2電極層312とを有する。第1電極層311は、第2板部12を被覆する。第2電極層312は、第1電極層311の表面を被覆する。
【0036】
第1電極層311は、例えば、Agペースト又はCuペーストの焼成体で構成される。第2電極層312は、Niめっきで構成される。なお、必要に応じて、第2電極層312は、除かれてもよい。導電層32は、電極層31の表面を被覆する。導電層32は、ハンダめっきで構成される。例えば、導電層32は、Sn、Sn−Au、Sn−Sb、Sn−Zn、Sn−Ag、Sn−Cu及びSn−Biの少なくとも1つを含む。なお、導電層32は、複数の層によって構成された多層構造でもよい。
【0037】
接続端部21は、絶縁被覆が除去された金属線であり、端子電極30への接合前の断面形状は略円形である。そして、接続端部21は、その周面が端子電極30の表面に対向配置された状態で、所定温度に加熱されたヒータチップ500を用いて端子電極30に熱圧着される。
【0038】
図3(b)には、端子電極30に接続端部21が接合された後の状態が示されている。
【0039】
熱圧着では、ヒータチップ500が接続端部21を変形させるのに十分な温度(例えば、700℃)に加熱され、接続端部21に対して離れた位置から接続端部21を所定の厚みとなる位置まで接続端部21を加圧する。
【0040】
ヒータチップ500による加圧の大きさは、コイル導線20の線径に合わせて設定可能であり、加圧方法としては、十分な加圧をかけて、接続端部21が所定の寸法となるよう、加圧時の停止位置を決める方法が採用可能である。
【0041】
ヒータチップ500の加圧動作については、加圧は比較的短時間とし、加圧力解除は比較的時間をかけるように調整されることが好ましい。これにより、接続端部21と端子電極30との間に局所的に残存する絶縁被覆層の分解消失が促進され、接続端部21と端子電極30との間に合金層が比較的容易に形成される。
【0042】
ヒータチップ500による接続端部21の加圧速度は、コイル導線20の線径に応じて異なり、線径が大きいほど高く設定され、典型的には、5mm/s以上30mm/s以下である。
【0043】
ヒータチップ500によって、接続端部21に対する加圧と加熱とが同時に行われることで、接続端部21が変形するとともに、接続端部21と端子電極30とが結合反応する。例えば、端子電極30に熱圧着された接続端部21は、断面形状が略円形でなくなり、ヒータチップ500によってX軸方向に押し潰された扁平形状を有する。従って、接続端部21の厚みは、コイル導線20の線径よりも薄い。例えば、接続端部21の厚みは、25μm以上145μm以下である。
【0044】
扁平形状の接続端部21は、電極層31の表面に対向し、電気的に接続された第1主面21Aと、導電層32の表面から突出する第2主面21Bと、第1主面21Aと第2主面21Bとに連なる側面21Wとを有する。第1主面21A及び第2主面21Bのそれぞれは、略平坦面である。一方、側面21Wは、曲面となり、接続端部21の外側に向かって凸状になっている。
【0045】
一方、接続端部21に接する導電層32は、その融点が加熱された接続端部21の温度よりも低く構成されている。このため、熱圧着時には、導電層32は溶融し、接続端部21の変形とともに、接続端部21によって導電層32の面内方向に退けられる。
【0046】
また、電極層31は、接続端部21の第1主面21Aと接触するものの、その融点は、加熱された接続端部21の温度よりもが高く構成されている。これにより、接続端部21に接する電極層31の表面は、平坦性を維持する。換言すれば、接続端部21の第1主面21Aは、ヒータチップ500と当接することによって平坦に形成され、接続端部21の第2主面21Bは、電極層31の表面と当接することによって平坦に形成される。
【0047】
熱圧着後の導電層32及び電極層31の形態をさらに詳細に説明する。
図4は、熱圧着後における電極層及び導電層の形態を説明する概略断面図である。
【0048】
導電層32は、平坦領域32aと、裾野領域32bとを有する。平坦領域32aは、導電層32の外表面における電極層31と平行な平面部に相当する。一方、裾野領域32bは、平坦領域32aと接続端部21の側面21Wとの間に設けられる。平坦領域32a及び裾野領域32bのそれぞれは、所定の厚みを有する。但し、平坦領域32aの厚み(第1の厚み)は、接続端部21の厚み(第2の厚み)よりも薄い。裾野領域32bは、その厚みが平坦領域32aの厚み以上に構成され、側面21Wに寄りかかるように構成され、接続端部21の側面32Wから離れるに従って厚みが小さくなる形状を有する。
【0049】
裾野領域32bは、接続端部21の熱圧着時の入熱により溶融し、接続端部21の周縁部に濡れ広がるように平坦領域32aから接続端部21の第2主面21Bに向かってせり上がるようにして形成される。また、裾野領域32bと平坦領域32aとの間に位置する導電層32の表面には、窪み、突起がなく、その表面は、滑らかになっている。
【0050】
平坦領域32aの厚みは、例えば、5μm以上72.5μm以下である。但し、平坦領域32aの表面は、接続端部21の表面よりも低く位置する。例えば、平坦領域32aの厚みは、接続端部21の厚みの20%以上50%以下であることが好ましい。平坦領域32aから接続端部21の側面21Wに向かう方向における裾野領域32bの幅W1は、接続端部21の厚みよりも小さい。なお、第1電極層311の厚みは、10μm以上20μmである。第2電極層312の厚みは、2μm以上6μm以下である。
【0051】
また、接続端部21と電極層31との間には、第1合金層331が形成されている。第1合金層331は、典型的には、接続端部21の構成金属と、第2電極層312の構成金属あるいは導電層32の構成金属との合金で構成される。接続端部21の熱圧着において印加される熱による接続端部21、第2電極層312及び導電層32のそれぞれの拡散現象と、合金化現象によって生成される。例えば、第1合金層331は、主に、Cu−Ni、Cu−Ag、Cu−Ni−Sn及びCu−Ag−Sn等の少なくとも1つの合金層で構成される。ここで、第1合金層331は、電極層31上で連続的に形成された層でもよく、電極層31上で点在する合金領域であってもよい。本実施形態では、一例として、連続的な第1合金層331を図示し、連続的な第1合金層及び点在する第1合金層の合金領域を総括的に第1合金層331とする。第1合金層331の厚みは、特に限定されず、典型的には、第2電極層312の厚み以下である。例えば、第1合金層331(例えば、Sn−Cu−Ni合金層)の厚みは、0.05μm以上2μm以下である。なお、第1合金層331は空隙を含んでも良い。この空隙の存在は、熱応力だけでなく、外部衝撃等などによるクラック等の欠陥の進展が吸収、緩和され、接合強度の低下の進行が抑制される。
【0052】
また、接続端部21と導電層32の裾野領域32bとの間には、第2合金層332が形成されている。ここで、第2合金層332は、側面21Wに連続的に形成された層でもよく、側面21Wにおいて点在する合金領域であってもよい。本実施形態では、一例として、連続的な第2合金層332を図示し、連続的な第2合金層及び点在する第2合金層の合金領域を総括的に第2合金層332とする。第2合金層332は、典型的には、接続端部21の構成金属と、導電層32あるいは第2電極層312の構成金属の構成金属との合金で構成される。接続端部21の熱圧着において印加される熱による接続端部21、第2電極層312及び導電層32のそれぞれの拡散現象と、合金化現象によって生成される。例えば、第2合金層331は、主に、Cu−Sn、Cu−Sn−Au、Cu−Sn−Sb、Cu−Sn−Zn、Cu−Sn−Ag、Cu−Sn−Cu及びCu−Sn−Bi等の少なくとも1つの合金層で構成される。第2合金層332の厚みは、特に限定されず、例えば、0.05μm以上5μm以下である。
【0053】
さらに、導電層32と電極層31との間には、第3合金層333が形成されている。ここで、第3合金層333は、電極層31上に連続的に形成された層でもよく、電極層31上において点在する合金領域であってもよい。本実施形態では、一例として、連続的な第3合金層333を図示し、連続的な第3合金層及び点在する第3合金層の合金領域を総括的に第3合金層333とする。第3合金層333は、典型的には、導電層32の構成金属と第2電極層312の構成金属の構成金属との合金で構成される。接続端部21の熱圧着において印加される熱による第2電極層312及び導電層32のそれぞれの拡散現象と、合金化現象によって生成される。例えば、第3合金層333は、例えば、Sn−Ni等の合金層で構成される。第3合金層333の厚みは、特に限定されず、典型的には、第2電極層312の厚み以下である。例えば、第3合金層333(例えば、Sn−Ni合金層)の厚みは、0.5μm以上5μm以下である。
【0054】
本実施形態では、第1合金層331、第2合金層331及び第3合金層333は、端子電極30の一部とする。
【0056】
以上のように構成されるコイル部品100の製造方法について説明する。
【0057】
まず、
図2(a)〜
図2(c)に示すドラムコア型のコア部材10が作製される。続いて、コア部材10の第2板部12に端子電極30(301、302)が形成される。
【0058】
第2板部12のST面を含む所定領域に、金属ペーストを転写により塗布後、例えば、680℃での焼き付け処理を行うことで、第1電極層311が形成される。続いて、第1電極層311の表面に第2電極層312が形成され、さらに、その表面に、4μm以上15μm以下の厚みの導電層32が形成される。
【0059】
続いて、端子電極30が設けられたコア部材10の柱状部13にコイル導線20が所定の巻き数で巻回された後、コイル導線20の両接続端部21が端子電極30(301、302)へそれぞれ接続される。
【0060】
接続端部21と端子電極30との接続には、熱圧着法が用いられる。この工程では、コイル導線20の接続端部21が端子電極30の直上に位置決めされた後、ヒータチップ500を用いて接続端部21が端子電極30へ熱圧着される(
図3(a)、(b))。このとき、接続端部21は、絶縁被覆層により周囲が覆われた状態で端子電極30に熱圧着される。
【0062】
本実施形態に係るコイル部品100においては、コイル導線20の線径が55μm以上180μm以下である。これにより、コイル部品100では、コイル部22の抵抗が下がり、低抵抗化が実現する。さらに、コイル部品100においては、接続端部21が第2板部12のLT面に固定され、接続端部21を第2板部12の下面にまで引き出す必要がない。さらに、接続端部21を固定する凹部及び凹部を覆う厚いハンダも要しない。これにより、コイル部品100は小型になる。
【0063】
但し、このような低抵抗且つ小型のコイル部品100においては、接続端部21の接合形態によって不具合が起きる場合がある。本実施形態に係るコイル部品100の作用を説明する前に、比較例に係るコイル部品について説明する。
【0064】
図5(a)、(b)は、比較例に係る端子電極に対する接続端部の接合方法を説明する要部の概略断面図である。
【0065】
ここで、
図5(a)には、熱圧着前の状態が示され、
図5(b)には、熱圧着後の状態が示されている。比較例で例示された導電層35の構成金属は、本実施形態に係る導電層32の構成金属と同じである。また、比較例で例示された導電層35の厚みは、本実施形態に係る導電層32の厚みよりも厚い。これは、接続端部21を厚いハンダを用いて端子電極30に確実に接合させる意図に基づく。
【0066】
比較例においても、熱圧着では、接続端部21がヒータチップ500によってX軸方向に押し潰され、接続端部21は、熱圧着後に扁平形状を有する。但し、比較例においては、導電層35の厚みが熱圧着後の接続端部21の厚みと同じ程度になっている。このような構成では、以下の現象が起こりやすくなる。
【0067】
図6(a)、(b)は、比較例に係る導電層の内部応力を説明する概略断面図である。
【0068】
熱圧着中に、ヒータチップ500から導電層35に印加された熱は、熱圧着後に、自然冷却によって導電層35から導電層35外に逃げて行く。自然冷却の際、導電層35は熱収縮をおこし、導電層35内には内部応力35stが発生する(
図6(a))。また、熱収縮は、コイル導線20の通電によって生じたジュール熱が冷めるときにも起きる。
【0069】
ここで、接続端部21と導電層35との間には、第2合金層332が形成され、導電層35と電極層31との間にも第3合金層332が形成されている。これにより、接続端部21と導電層35との間及び導電層35と第2電極層312との間における密着力は強くなっている。また、第2合金層332の機械的強度は、バルクの導電層35の機械的強度よりも強い。
【0070】
これにより、導電層35にとっては、例えば、内部応力35stが導電層35の表面側で大きな負荷となる。これにより、導電層35の表面側においては、例えば、機械的強度が強い第2合金層332と、バルクの導電層35との間において、クラック35cが発生する場合がある(
図6(b))。また、一旦、クラック35cが発生すると、その後の熱サイクルによって、クラック35cは、益々大きくなる可能性もある。これにより、比較例では、コイル部品の信頼性が低下する。
【0071】
これに対して、本実施形態に係るコイル部品100の作用を説明する。
【0072】
図7は、本実施形態に係る導電層の内部応力を説明する概略断面図である。
【0073】
本実施形態に係る導電層32においては、平坦領域32aと、裾野領域32bとを有する。そして、平坦領域32a高さが接続端部21の高さよりも低く構成されている。これにより、本実施形態に係る導電層32の容積は、比較例に係る導電層35の容積よりも小さく、導電層32の表面側での内部応力32stがより緩和される。
【0074】
また、裾野領域32bは、平坦領域32aから接続端部21の第2主面21Bに向かってせり上がっている。これにより、比較例に比べて、Y軸方向における導電層32の表面の距離が実質的に長くなる。これにより、導電層32の表面側の内部応力32stは、より緩和されやすくなる。
【0075】
さらに、接続端部21と導電層32との間には、第2合金層332が形成され、導電層32と第2電極層312との間にも第3合金層332が形成されている。これにより、接続端部21と導電層32と間及び導電層32と第2電極層312との間における密着力が強くなっている。
【0076】
また、裾野領域32bは、平坦領域32aから接続端部21の第2主面21Bに向かってせり上がっている。これにより、導電層32と接続端部21との接触面積が稼げる。さらに、接続端部21の側面21Wは、外側に向かって凸状に構成されているため、接続端部21と裾野領域32aとが強固に噛み合う。これにより、接続端部21は、合金層の機能のほか、接続端部21の側面21Wと裾野領域32aとの接合によっても、端子電極30(電極層31、導電層32)から剥がれにくくなる。
【0077】
このように、本実施形態に係るコイル部品100は、低抵抗で小型であるとともに、導電層32(端子電極30)にクラックが生じにくく、接続端部21の剥離が生じにくくなっている。これにより、コイル部品100の信頼性は、より向上する。
【実施例】
【0078】
以下、実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されることはない。
【0079】
表1は、実施例1〜7及び比較例の評価結果である。
【0080】
【表1】
【0081】
(実施例1)
【0082】
図2(a)〜
図2(c)に示す端子電極30を有するコア部材10を上述のような方法で作製した後、柱状部13に巻回したコイル導線20の接続端部21を端子電極30へ以下の手順で熱圧着した。
【0083】
700℃に加熱したヒータチップを用いて、線径(φ)75μmの絶縁被覆層付き接続端部21を端子電極30に向けて10mm/sの速度で加圧した後、ヒータチップを停止させ、その状態を0.3秒間保持した。その後、10mm/sの速度でヒータチップを接続端部21から引き離すことで、接続端部21に対する加圧力を解放した。
【0084】
続いて、接続端部21が接続された端子電極30内の平坦領域32aの高さと、裾野領域32bの幅(W1)と平坦領域32aの高さの比を測定した。ここで、「高さ」とは、接続端部21の厚みに対する平坦領域32aの厚みの割合(%)である。また、裾野領域32bの幅(W1)と平坦領域32aの高さの比(以下、幅と高さの比)とは、幅(W1)に対する高さの割合(%)である。
【0085】
第1電極層311としてAgペーストの焼結体層を用い、第2電極層312としてNiめっき層を用いた。導電層32として、Snめっき層を用いた。また、コイル部品を20個準備し、これら20個のコイル部品から高さ、幅、幅に対する高さの割合及び接合強度の平均値を求めた。
【0086】
さらに、作製したコイル部品について、ヒートサイクル試験の前後における導電層32のクラック(欠陥)を確認した。ヒートサイクル試験としては、−25℃〜85℃の範囲で温度を1000サイクル変化させる試験1、または、−40℃〜125℃の範囲で温度を1000サイクル変化させる試験2のいずれかを選択した。試験2は、試験1に比べてより過酷な試験になっている。
【0087】
さらに、接続端部21の端子電極30に対する接合強度を測定した。接合強度は、コイル導線20にフックをかけてテンションメータで測定した。高さ、幅(W1)及び欠陥は、光学顕微鏡像(100倍像)から測定した。
【0088】
評価の結果、実施例1においては、平坦領域の高さが10%、幅と高さの比が200%になった。また、ヒートサイクル試験前に、導電層にクラックが認められなかった。さらに、ヒートサイクル試験(試験1)の後においても導電層にクラックが認められなかった。接続端部21の接合強度は、104(gf)になった。
【0089】
(実施例2)
【0090】
実施例2においては、導電層の厚みを実施例1よりも薄く形成したこと以外は、実施例1と同様にコイル部品を形成した。実施例2においては、平坦領域の高さが20%、幅と高さの比が200%になった。また、ヒートサイクル試験前に、導電層にクラックが認められなかった。さらに、ヒートサイクル試験(試験2)の後においても導電層にクラックが認められなかった。接続端部21の接合強度は、100(gf)になった。
【0091】
(実施例3)
【0092】
実施例3においては、導電層の厚みを実施例2よりもさらに薄く形成したこと以外は、実施例1と同様にコイル部品を形成した。実施例3においては、平坦領域の高さが50%、幅と高さの比が200%になった。また、ヒートサイクル試験前に、導電層にクラックが認められなかった。さらに、ヒートサイクル試験(試験2)の後においても導電層にクラックが認められなかった。接続端部21の接合強度は、96(gf)になった。
【0093】
(実施例4)
【0094】
実施例4においては、導電層の厚みを実施例3よりもさらに薄く形成したこと以外は、実施例1と同様にコイル部品を形成した。実施例4においては、平坦領域の高さが70%、幅と高さの比が200%になった。また、ヒートサイクル試験前に、導電層にクラックが認められなかった。さらに、ヒートサイクル試験(試験1)の後においても導電層にクラックが認められなかった。接続端部21の接合強度は、60(gf)になった。
【0095】
(実施例5)
【0096】
実施例5においては、導電層の厚みを実施例4よりもさらに薄く形成したこと以外は、実施例1と同様にコイル部品を形成した。実施例5においては、平坦領域の高さが90%、幅と高さの比が200%になった。また、ヒートサイクル試験前に、導電層にクラックが認められなかった。さらに、ヒートサイクル試験(試験1)の後においても導電層にクラックが認められなかった。接続端部21の接合強度は、56(gf)になった。
【0097】
(実施例6)
【0098】
実施例6においては、導電層の厚みを実施例2よりもさらに薄く形成し、幅と高さの比を90%に調整したこと以外は、実施例1と同様にコイル部品を形成した。実施例6においては、平坦領域の高さが50%になった、また、ヒートサイクル試験前に、導電層にクラックが認められなかった。さらに、ヒートサイクル試験(試験2)の後においても導電層にクラックが認められなかった。接続端部21の接合強度は、94(gf)になった。
【0099】
(実施例7)
【0100】
実施例7においては、電極層をCuめっき層の単層とし、導電層をハンダめっき(例えば、スズめっき層、スズ合金めっき層等)とし、導電層の厚みを実施例2よりもさらに薄く形成し、幅と高さの比を90%に調整したこと以外は、実施例1と同様にコイル部品を形成した。実施例7においては、平坦領域の高さが50%になった、また、ヒートサイクル試験前に、導電層にクラックが認められなかった。さらに、ヒートサイクル試験(試験2)の後においても導電層にクラックが認められなかった。接続端部21の接合強度は、96(gf)になった。
【0101】
実施例1〜7においては、いずれもヒートサイクル試験前後で導電層にクラックが発生せず、接続端部21が所望の接合強度になった。これにより、平坦領域32aの厚みは、接続端部21の厚みの10%以上90%以下であることが好ましい。さらに、幅と高さの比は、90%以上200%以下であることが好ましい。
【0102】
特に、平坦領域32aの厚みを接続端部21の厚みの20%とした実施例2では、試験1より過酷な試験2によってもクラックが発生せず、所望の接合強度が得られた。また、平坦領域32aの厚みを接続端部21の厚みの90%とした実施例5では、接合強度が56(gf)となったものの、平坦領域32aの厚みを接続端部21の厚みの70%とした実施例4では、接合強度が60(gf)に上昇した。これにより、平坦領域32aの厚みは、接続端部21の厚みの20%以上50%以下であることがより好ましい。
【0103】
(比較例)
【0104】
比較例においては、接続端部及び導電層の構成を
図5のように調整したこと以外は、実施例1と同様にコイル部品を形成した。すなわち、比較例では、導電層の厚みは、接続端部の厚みと同じである。比較例においては、接続端部の接合強度が94(gf)になったもののヒートサイクル試験前に、導電層にクラックが認められた。さらに、ヒートサイクル試験(試験1)の後においても導電層にクラックが認められた。
【0105】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。