(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1の送信装置10は、送信データ格納部11と、N個(Nは2以上の整数。
図1ではN=4)の無線送信部12A、12B、12C、12Dと、N本の送信アンテナ13A、13B、13C、13Dと、を備える。無線送信部12A、12B、12C、12Dは、それぞれ、N本の送信アンテナ13A、13B、13C、13Dと、1対1で接続されている。
【0013】
図1の受信装置20は、受信データ格納部21と、N個の無線受信部22A、22B、22C、22Dと、N本の受信アンテナ23A、23B、23C、23Dと、を備える。N個の無線受信部22A、22B、22C、22Dは、それぞれ、N本の受信アンテナ23A、23B、23C、23Dと、1対1で接続されている。
【0014】
送信アンテナ13A、13B、13C、13Dは、それぞれ、受信アンテナ23A、23B、23C、23Dと、1対1で無線リンク30A、30B、30C、30Dを確立する。
【0015】
送信装置10は、入力端子14から入力された配信データ40を、送信データ格納部11に格納する。そして、送信データ格納部11内の配信データ40は、4系統に分配されて無線送信部12A、12B、12C、12Dに入力され、無線送信部12A、12B、12C、12Dは、それぞれ、送信アンテナ13A、13B、13C、13Dから、4系統に分配された配信データ40を送信する。
【0016】
受信装置20において、無線受信部22A、22B、22C、22Dは、それぞれ、受信アンテナ23A、23B、23C、23Dから4系統に分配された配信データ40を受信し、受信データ格納部21に格納して、配信データ40を結合する。そして、受信装置20は、受信データ格納部21内の配信データ40を、必要に応じて、出力端子24から出力する。
【0017】
ここで、送信データ格納部11と無線送信部12A〜12Dとを結ぶ有線LAN15の通信速度が、送信装置10と受信装置20とを結ぶ無線リンク30A〜30Dの通信速度と比較して遅い場合、受信装置20への配信データ40の通信速度が、有線LAN15の通信速度に律速されてしまう。すなわち、送信装置10と受信装置20との間の無線リンク30A〜30Dの通信速度が高速であっても、有線LAN15の通信速度がボトルネックとなり、受信装置20へ配信データ40を高速に(短時間で)無線送信することが困難である。
【0018】
例えば、無線リンク30A〜30Dのそれぞれの最大通信速度が2Gbpsである場合、4系統の無線リンク30A〜30Dを束ねた場合の通信速度は、最大8Gbpsとなる。しかし、有線LAN15の最大通信速度が1Gbpsである場合、配信データ40の通信速度は、最大でも1Gbpsに律速されてしまう。
【0019】
そこで、開示者らは、配信データ40の通信速度が、無線通信に至るまでの区間(有線LAN15)の通信速度に律速されることを回避すべく、検討を行った。
【0020】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0021】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0022】
また、同種の要素を区別して説明する場合には、「無線送信部103A」、「無線送信部103B」のように参照符号を使用し、同種の要素を区別しないで説明する場合には、「無線送信部103」のように参照符号のうちの共通番号を使用することがある。
【0023】
(実施の形態1)
<データ配信システムの概要>
まず、
図2を参照しながら、実施の形態1に係るデータ配信システムの概要について説明する。
【0024】
データ配信システムは、送信装置100と、受信装置200と、配信データサーバ300と、制御局301と、を備える。配信データサーバ300と、制御局301と、送信装置100とは、インターネット網302に接続されている。制御局301は、配信データサーバ300及び送信装置100を制御して、配信データサーバ300から送信装置100に対して、インターネット網302を介して、配信データを送信することができる。送信装置100は、受信装置200に対して、無線通信により、配信データを送信することができる。
【0025】
<送信装置及び受信装置の構成>
次に、
図3を参照しながら、送信装置100及び受信装置200の構成について説明する。
【0026】
送信装置100は、送信データ格納部101と、N個(
図2ではN=4)の送信バッファ102A、102B、102C、102Dと、N個の無線送信部103A、103B、103C、103Dと、N本の送信アンテナ104A、104B、104C、104Dと、分配制御部105と、送信制御部106と、を備える。
【0027】
送信データ格納部101は、送信バッファ102A、102B、102C、102Dと、有線LAN111で接続する。送信バッファ102A、102B、102C、102Dは、それぞれ、無線送信部103A、103B、103C、103Dと、1対1で接続する。無線送信部103A、103B、103C、103Dは、それぞれ、送信アンテナ104A、104B、104C、104Dと、1対1で接続する。
【0028】
送信データ格納部101には、配信データ310が、予め格納される。例えば、制御局301の指示により配信データサーバ300から送信装置100へ送信された配信データ310が、入力端子110を通じて送信データ格納部101に格納される。送信データ格納部101には、幾つかの配信データが予め格納されてよい。
【0029】
無線送信部103A、103B、103C、103Dは、それぞれ、送信アンテナ104A、104B、104C、104Dを通じて、無線リンク400A、400B、400C、400Dを、受信装置200との間で確立する。この無線リンク通信には、通信速度の比較的高速なミリ波が用いられる。ミリ波を用いる無線通信方式には、例えば、WirelessHD、WiGig、IEEE802.11ad/ayがある。また、複数の無線リンク400を確立することにより、この無線区間の通信速度がより高速になる。このような場合、この無線区間の通信速度が、送信データ格納部101と送信バッファ102との間の有線LAN111の通信速度よりも高速となる。
【0030】
また、無線送信部103A、103B、103C、103Dは、それぞれ、送信制御部106からの指示に基づいて、送信バッファ102A、102B、102C、102D内の配信データ310の少なくとも一部(例えば、送信装置100全体として未送信のデータを選択)を、無線リンク400A、400B、400C、400Dを通じて、受信装置200へ送信する。
【0031】
分配制御部105は、無線送信部103が無線リンク400を確立する前に、送信データ格納部101内の配信データ310を、有線LAN111を介して、送信バッファ102A、102B、102C、102Dに分配及び格納する。送信バッファ102に分配及び格納されたデータを、分配データという場合がある。なお、送信データ格納部101及び分配制御部105が、送信装置100内ではなく、サーバ装置に備えられ、当該サーバ装置と送信装置100とが有線LAN111で接続されている構成であってもよい。
【0032】
送信制御部106は、無線送信部103が無線リンク400を確立した後に、無線送信部103に対して、送信バッファ102内の分配データを送信するよう指示する。
【0033】
受信装置200は、受信データ格納部201と、N個の受信バッファ202A、202B、202C、202Dと、N個の無線受信部203A、203B、203C、203Dと、N本の受信アンテナ204A、204B、204C、204Dと、受信制御部205と、を備える。
【0034】
受信データ格納部201と、受信バッファ202A、202B、202C、202Dは、有線LAN211で接続されている。受信バッファ202A、202B、202C、202Dは、それぞれ、無線受信部203A、203B、203C、203Dと、1対1で接続する。無線受信部203A、203B、203C、203Dは、それぞれ、受信アンテナ204A、204B、204C、204Dと、1対1で接続する。なお、
図3において、受信バッファ202A、202B、202C、202Dの斜線部の位置が異なるのは、格納されるデータが異なることを示す。
【0035】
無線受信部203A、203B、203C、203Dは、それぞれ、受信アンテナ204A、204B、204C、204Dを通じて、無線リンク400A、400B、400C、400Dを、送信装置100との間で確立する。
【0036】
また、無線受信部203A、203B、203C、203Dは、それぞれ、無線リンク400A、400B、400C、400Dを通じて、送信装置100から分配データを受信し、受信バッファ202A、202B、202C、202Dに格納する。
【0037】
受信制御部205は、受信バッファ202A、202B、202C、202Dに格納された分配データを、有線LAN211を介して、受信データ格納部201に送信し、結合及び格納する。これにより、受信データ格納部201には、配信データ310が格納される。受信データ格納部201に格納された配信データ310は、必要に応じて、出力端子210から出力される。
【0038】
無線リンク400を確立するための制御信号については、無線送信部103A〜103Dの何れかが送信アンテナ104から受信アンテナ204へ送信しても良いし、無線受信部203A〜203Dの何れかが受信アンテナ204から送信アンテナ104へ送信しても良い。
【0039】
なお、
図3では、送信バッファ102、無線送信部103、送信アンテナ104、受信バッファ202、無線受信部203、受信アンテナ204、無線リンク400が、それぞれ4つの場合を示しているが、本実施の形態はこれに限られず、これらの数は、2つ以上(つまりN≧2)であればよい。また、無線通信には、異なる周波数チャネルが使用されてもよい。
【0040】
また、有線LAN111、211は、例えば、USBやPCI Expressを用いた他の高速有線インターフェースであっても良い。
【0041】
また、データの送信方向は、一方向に限定されない。例えば、2組の送信装置100と受信装置200とを組み合わせて、データの送信方向を双方向にしても良い。
【0042】
また、送信データ格納部101、送信バッファ102、及び/又は、受信バッファ202に格納されたデータは、データの送信完了後に、必要に応じて消去されて良い。
【0043】
<データ配信装置の動作>
次に、
図3及び
図4を参照しながら、空港に設置されている送信装置100から、航空機に設置されている受信装置200に対して、航空機内で視聴等される配信データ310を無線送信する例について説明する。なお、配信データ310は、航空機が空港に到着する前に、配信データサーバ300から送信装置100の送信データ格納部101に送信済みであるとする。
【0044】
制御局301は、インターネット網302を介して、配信データ310の送信予約を、送信装置100へ送信する(S100)。
【0045】
送信装置100の分配制御部105は、S100の配信データ310の送信予約を受信した場合、送信データ格納部101内の当該送信予約された配信データ310を複製し、その複製データを、有線LAN111を介して、各送信バッファ102A〜102Dに送信し、格納する(S101)。有線LAN111の通信速度は、無線リンク400の通信速度よりも遅いため、分配制御部105は、当該S101の処理を、航空機が空港に到着する前に実行しておく。
【0046】
受信装置200の受信制御部205は、航空機が着陸し、航空機に搭乗橋が接続された後、無線リンク接続要求を、送信装置100へ送信する(S102)。無線リンク接続要求は、例えば、複数の受信アンテナ204A〜204Dのうちの1つから送信される。
【0047】
無線リンク接続要求を送受信した送信装置100及び受信装置200は、互いに制御パケットをやり取りし、複数系統の無線リンク400A〜400Dを確立する(S103)。
【0048】
次に、送信制御部106は、配信データ310の送信準備要求を、受信装置200へ送信する(S104)。当該送信準備要求を受信した受信制御部205は、配信データ310の受信準備を行う。
【0049】
次に、送信制御部106は、無線送信部103A、103B、103C、103Dのそれぞれに対して、送信バッファ102A、102B、102C、102D内の分配データ(複製データ)を送信するよう指示する(S105)。なお、送信制御部106は、受信バッファ202A、202B、202C、202Dに格納されるデータが重複しないように、送信バッファ102A、102B、102C、102Dから読み出すデータを調整する。
【0050】
無線送信部103A、103B、103C、103Dは、それぞれ、当該指示を受信すると、送信バッファ102A、102B、102C、102Dから分配データ(複製データ)を読み出し、当該分配データを、無線リンク400A、400B、400C、400Dを通じて送信する。
【0051】
このように、無線送信部103A、103B、103C、103Dは、それぞれ、分配データを送信バッファ102A、102B、102C、102Cから読み出せるので、有線LAN111の通信速度に律速されることなく、データを高速に無線送信することができる。なお、無線受信部203A、203B、203C、203Dは、それぞれ、無線リンク400A、400B、400C、400Dを介して受信した分配データを、受信バッファ202A、202B、202C、202Dに格納する。
【0052】
受信制御部205は、各無線受信部203が分配データを受信した後、各受信バッファ202内の分配データを、有線LAN211を介して、受信データ格納部201に送信し、格納及び結合する(S405)。これにより、受信データ格納部201には、配信データ310が格納される。なお、この結合処理は、航空機の停泊時に限らず、航空機の離陸後に実行されても良い。
【0053】
<実施の形態1の変形例>
次に、実施の形態1に係る変形例について説明する。
【0054】
図4のS105の無線通信処理において、送信制御部106は、各無線送信部103に対して、送信バッファ102内の分配データのうち、未送信の部分のデータを送信するよう指示する。
【0055】
例えば、無線送信部103A、103B、103C、103Dの送信するデータが予め決められている場合、送信制御部106は、各無線送信部103の進捗状況を確認し、送信速度が速い無線送信部103に対して、他の無線送信部103の未送信の部分データを送信するように指示する。
【0056】
これにより、送信装置100は、複数系統の無線リンク400を効率的に利用し、配信データ310をより短時間で受信装置200に送信し終えることができる。例えば、送信装置100は、大容量の配信データ310を、航空機が空港に停泊している限られた時間内に、航空機内の受信装置200に無線送信し終えることができる。
【0057】
<実施の形態1の効果>
実施の形態1では、送信装置100は、無線リンク400の確立前に、送信データ格納部101内の配信データ310の複製を、各送信バッファ102に分配しておく。そして、送信装置100は、受信装置200と複数の無線リンク400を確立した後に、各送信バッファ102内の分配データ(複製データ)を、各無線リンク400を通じて、受信装置200へ無線送信する。
【0058】
これにより、送信装置100は、送信データ格納部101と送信バッファ102との間の通信速度に律速されること無く、配信データ310を受信装置200へ高速に(短時間で)無線送信することができる。これは、航空機が空港に停泊している時間内、又は、列車が駅に停車している時間内等、所定の時間内に大容量の配信データ310を受信装置200へ無線送信する必要がある場合に有用である。
【0059】
(実施の形態2)
実施の形態2では、配信データ310を分割し、分割データのそれぞれを送信バッファ102に分配して無線送信する送信装置100について説明する。なお、実施の形態2では、実施の形態1と異なる部分について説明し、実施の形態1と共通する部分についての説明を省略する。
【0060】
<配信データの分割>
次に、
図5及び
図6を参照しながら、配信データ310の分割について説明する。
【0061】
分配制御部105は、送信データ格納部101内の配信データ310を、4つの分割データに分割し、
図5に示すように、それら4つの分割データを、それぞれ、送信バッファ102A、102B、102C、102Dに格納する。なお、配信データ310の分割数は、無線リンク400の系統数Nに対応する。つまり、
図5の場合、無線リンク400の系統数N=4であるので、分配制御部105は、配信データ310を、4つの分割データに分割している。なお、
図5において、送信バッファ102A、102B、102C、102Dの斜線部の位置が異なるのは、格納されるデータが異なることを示す。
【0062】
<配信データの重複分割>
分配制御部105は、
図6に示すように、分割データ122に、他の分割データの一部と同じデータである重複データ123を付加してもよい。以下、重複データ123が付加された分割データ122を、重複分割データ124という場合がある。重複データ123の割合は、例えば、次のように決定される。
【0063】
配信データ310全体に対する1つの分割データ122の割合がα%であるとする。この場合、当該分割データ122に付加する重複データ123の割合(以下「重複割合」という)は、0%から(100−α)%の間で設定されてよい。すなわち、重複割合が0%の場合、分割データ122に重複データ123が付加されず、「重複分割データ=分割データ」となる。つまり、送信バッファ102は、全て異なるデータとなる。
【0064】
また、重複割合が(100−α)%の場合、分割データ122に、配信データ310の当該分割データ122以外の全データが重複データ123として付加され、「重複分割データ=配信データ」となる。つまり、送信バッファ102は、全て同じデータとなる。また、重複割合が10%の場合、分割データ122に、配信データ310の当該分割データ122以外の10%分の重複データ123が付加される。
【0065】
重複割合は、無線リンク400の通信速度のバラツキ(例えば分散)に応じて設定される。例えば、無線リンク400の通信速度に10%のバラツキが生じる場合、重複割合は「10%」に設定される。これにより、無線リンク400の通信速度のバラツキが比較的大きい場合、送信バッファ102には、重複割合の比較的大きい重複分割データ124が格納される。反対に、無線リンク400の通信速度のバラツキが比較的小さい場合、送信バッファ102には、重複割合の比較的小さい重複分割データ124が格納される。なお、重複割合は、無線リンク400のバラツキの予測値に応じて、予め設定される。ただし、重複割合は、無線リンク400のバラツキの実測値に応じて、適宜設定又は変更されてもよい。
【0066】
各無線送信部103は、送信バッファ102内の重複分割データ124を、無線リンク400を通じて送信する。このとき、送信制御部106は、まず、無線送信部103に対して、送信バッファ102内の重複分割データ124のうち、未重複データ(つまり分割データ122に相当)を送信するよう指示する。次に、送信制御部106は、未重複データの送信を完了した無線送信部103に対して、重複データ123を送信するよう指示する。
【0067】
これにより、或る無線リンク400において通信速度が高速な方に偏重し、未重複データの送信が他の無線リンク400よりも早く完了した場合に、重複データ123を無線送信することができる。よって、分割データ122に重複データ123を付加しない場合と比較して、配信データ310の無線送信に要する時間を短縮することができる。
【0068】
なお、或る無線リンク400において通信速度が低速な方に偏重した場合、他の無線リンク400において重複分割データ124の送信が完了しても、当該或る無線リンク400に対応する送信バッファ102に、未重複かつ未送信のデータが残るという状況が生じ得る。この場合、分配制御部105は、未重複かつ未送信のデータの少なくとも一部を、送信完了の送信バッファ102へ送信する。又は、分配制御部105は、送信データ格納部101から、未重複かつ未送信のデータの少なくとも一部を、送信完了の送信バッファ102へ送信する。そして、送信制御部106は、当該送信完了の無線送信部103に対して、当該送信バッファ102内の分配データを無線送信するよう指示する。
【0069】
これにより、未重複かつ未送信のデータの少なくとも一部を送信完了の送信バッファ102へ送信するための時間を要するものの、送信装置100は、各無線リンク400を効率的に活用し、配信データ310の無線送信に要する時間を短縮することができる。
【0070】
<実施の形態2の効果>
実施の形態2では、送信装置100は、無線リンク400の確立前に、送信データ格納部101内の配信データ310を分割し、それらの分割データ122を、各送信バッファ102に格納しておく。そして、送信装置100は、受信装置200と複数の無線リンク400を確立した後に、各送信バッファ102内の分割データ122を、各無線リンク400を通じて、受信装置200へ無線送信する。
【0071】
これにより、送信装置100は、配信データ310の複製データを各送信バッファ102へ送信及び格納する場合と比較して、送信データ格納部101から各送信バッファ102へのデータ送信に要する時間を短縮することができる。また、各送信バッファ102の容量を小さくすることができる。
【0072】
また、送信装置100は、無線リンク400の確立前に、分割データ122に重複データ123を付加し、それらの重複分割データ124を、各送信バッファ102に分配しておく。そして、送信装置100は、受信装置200と複数の無線リンク400を確立した後、各送信バッファ102から、未重複データを優先して無線送信し、次に重複データ123を無線送信する。
【0073】
これにより、送信装置100は、或る無線リンク400において通信速度のバラツキが高速な方に偏重し、未重複データの送信が他の無線リンク400よりも早く完了した場合に、重複データ123を無線送信することができる。よって、送信装置100は、分割データ122に重複データ123を付加しない場合と比較して、配信データ310の無線送信に要する時間を短縮することができる。
【0074】
(実施の形態3)
実施の形態3では、無線リンク400の通信速度に応じて、分割データ122の分割の割合に重みを付ける送信装置100について説明する。なお、実施の形態3では、実施の形態2と異なる部分について説明し、実施の形態2と共通する部分についての説明を省略する。
【0075】
<配信データの重み付け分割>
次に、
図7及び
図8を参照しながら、配信データ310の重み付け分割について説明する。
【0076】
分配制御部105は、送信データ格納部101に格納されている配信データ310を、分割サイズに重みを付けて4つの分割データ125に分割し、それら分割データ125を、
図7に示すように、送信バッファ102A、102B、102C、102Dにそれぞれ格納する。なお、配信データ310の分割数は、
図5と同様、無線リンク400の系統数Nに対応する。以下、重みを付けて分割された分割データを、重み付け分割データ125という。
【0077】
分配制御部105は、各無線リンク400の通信速度に応じて、重み付けの大きさを決定する。無線リンク400の通信速度は、事前に取得したハードウェアの実測結果、又は、前回の無線通信の結果に基づいて算出された推定値であってよい。例えば、分配制御部105は、各無線リンク400の通信速度に比例するように、重み付けの大きさを決定する。次に具体例を説明する。
【0078】
図7及び
図8では、無線リンク400A、400B、400C、400Dの通信速度の比率が、1:3:3:1である。分配制御部105は、
図8に示すように、1:3:3:1の割合で分割サイズに重みを付けて、配信データ310を4つの重み付け分割データ125に分割し、これら4つの重み付け分割データ125を、それぞれ、送信バッファ102A、102B、102C、102Dに分配する。なお、
図7及び
図8において、送信バッファ102A、102B、102C、102Dの斜線部の位置が異なるのは、格納されるデータが異なることを示す。
【0079】
これにより、送信装置100は、通信速度の比較的速い無線リンク400で、分割サイズの大きい重み付け分割データ125を無線送信し、通信速度の比較的遅い無線リンク400で、分割サイズの小さい重み付け分割データ125を無線送信することができる。よって、送信装置100は、配信データ310を同じ割合で分割した場合と比較して、配信データ310を受信装置200に無線送信し終えるまでに要する時間を短縮することができる。
【0080】
なお、分配制御部105は、重み付け分割データ125に、実施の形態2で説明したように、重複データ123を付加してもよい。
【0081】
<実施の形態3の効果>
実施の形態3では、送信装置100は、無線リンク400の確立前に、送信データ格納部101内の配信データ310を、各無線リンク400の通信速度に応じた割合で重みを付けて分割し、それらの重み付け分割データ125を、各送信バッファ102に分配しておく。そして、送信装置100は、受信装置200と複数の無線リンク400を確立した後、各送信バッファ102内の重み付け分割データ125を、各無線リンク400を通じて、受信装置200へ無線送信する。
【0082】
これにより、送信装置100は、通信速度の比較的速い無線リンク400で、分割サイズの大きい重み付け分割データ125を無線送信し、通信速度の比較的遅い無線リンク400で、分割サイズの小さい重み付け分割データ125を無線送信することができる。よって、データ配信システムは、配信データ310を同じ割合で分割した場合と比較して、無線リンク400の通信速度が互いに異なる場合において、配信データ310を無線送信し終えるまでに要する時間を短縮することができる。
【0083】
以上、本開示に係る実施形態について図面を参照して詳述してきたが、上述した送信装置100、受信装置200、配信データサーバ300、及び、制御局301の機能は、コンピュータプログラムにより実現され得る。
【0084】
図9は、各装置の機能をプログラムにより実現するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。このコンピュータ2100は、キーボード又はマウス、タッチパッドなどの入力装置2101、ディスプレイ又はスピーカーなどの出力装置2102、CPU(Central Processing Unit)2103、ROM(Read Only Memory)2104、RAM(Random Access Memory)2105、ハードディスク装置又はSSD(Solid State Drive)などの記憶装置2106、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)又はUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る読取装置2107、ネットワークを介して通信を行う送受信装置2108を備え、各部はバス2109により接続される。
【0085】
そして、読取装置2107は、上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置2106に記憶させる。あるいは、送受信装置2108が、ネットワークに接続されたサーバ装置と通信を行い、サーバ装置からダウンロードした上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記憶装置2106に記憶させる。
【0086】
そして、CPU2103が、記憶装置2106に記憶されたプログラムをRAM2105にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM2105から順次読み出して実行することにより、上記各装置の機能が実現される。
【0087】
上記の実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0088】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0089】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。