特許第6959173号(P6959173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6959173除草ボート用アタッチメント、及び除草ボート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959173
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】除草ボート用アタッチメント、及び除草ボート
(51)【国際特許分類】
   A01B 39/18 20060101AFI20211021BHJP
   B63B 35/00 20200101ALI20211021BHJP
【FI】
   A01B39/18 Z
   B63B35/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-65979(P2018-65979)
(22)【出願日】2018年3月29日
(65)【公開番号】特開2019-170347(P2019-170347A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2020年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】堀 信夫
【審査官】 星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−158507(JP,A)
【文献】 特開2005−287366(JP,A)
【文献】 特開2000−125610(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3014532(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3003050(JP,U)
【文献】 実開昭55−113008(JP,U)
【文献】 特開2014−076004(JP,A)
【文献】 特開2006−136233(JP,A)
【文献】 実開平06−061005(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3213388(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 39/18
B63B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により水田の水上を走行するボートに取り付けられ、水田内に生育する雑草を抜く複数の除草部材を有する除草ボート用アタッチメントであって、
前記ボートの船尾に固定するための固定部と、
前記固定部と一体であり、前記ボートの走行方向と交差する方向に延びる状態で配置される支持腕と、
前記ボートの走行方向における前記船尾よりも後方にて前記雑草を抜くための棒状の前記除草部材と、
前記支持腕と前記除草部材の基端側とを連結した連結部と、を備え、
前記連結部には、一対の前記除草部材が一組として支持され、
一対の前記除草部材は、前記連結部から下方に延びる状態で設けられ、
前記連結部は、一対の前記除草部材を支持する取付部材と、
前記支持腕及び前記取付部材に固定され、かつ一対の前記除草部材の先端を上下動可能に当該一対の前記除草部材を支持する支持部と、
一対の前記除草部材の先端を下方に向けて付勢する第1付勢部材と、
前記取付部材、及び一対の前記除草部材の各々の基端側に挿通された揺動軸を有する軸支部であって、前記揺動軸を揺動中心として一対の前記除草部材の先端同士が接離する方向へ揺動可能に各除草部材を支持する軸支部と、を備えることを特徴とする除草ボート用アタッチメント。
【請求項2】
前記連結部は、一対の前記除草部材の先端同士が接近する方向に付勢する第2付勢部材を備える請求項に記載の除草ボート用アタッチメント。
【請求項3】
無線により水田の水上を走行するボートに取り付けられ、水田内に生育する雑草を抜く複数の除草部材を有する除草ボート用アタッチメントであって、
前記ボートの船尾に固定するための固定部と、
前記固定部と一体であり、前記ボートの走行方向と交差する方向に延びる状態で配置される支持腕と、
前記ボートの走行方向における前記船尾よりも後方にて前記雑草を抜くための棒状の前記除草部材と、
前記支持腕と前記除草部材の基端側とを連結した連結部と、を備え、
前記連結部には、一対の前記除草部材が一組として支持され、
一対の前記除草部材は、前記連結部から下方に延びる状態で設けられ、
前記連結部は、一対の前記除草部材の先端を上下動可能に当該一対の前記除草部材を支持する支持部と、
一対の前記除草部材の先端を下方に向けて付勢する第1付勢部材と、
一対の前記除草部材の先端同士が接近する方向に付勢する第2付勢部材と、を備えることを特徴とする除草ボート用アタッチメント。
【請求項4】
無線により水田の水上を走行するボートに取り付けられ、水田内に生育する雑草を抜く複数の除草部材を有する除草ボート用アタッチメントであって、
前記ボートの船尾に固定するための固定部と、
前記固定部と一体であり、前記ボートの走行方向と交差する方向に延びる状態で配置される支持腕と、
前記ボートの走行方向における前記船尾よりも後方にて前記雑草を抜くための棒状の前記除草部材と、
前記支持腕と前記除草部材の基端側とを連結した連結部と、を備え、
前記除草部材は、丸棒状であり、当該丸棒の軸方向の途中に、前記丸棒の周面よりも突出した突出部を備えるとともに、前記除草部材は、前記連結部から下方に延びる状態で設けられ、
前記連結部は、前記除草部材の先端を上下動可能に当該除草部材を支持する支持部を備えるとともに、前記除草部材の先端を下方に向けて付勢する第1付勢部材を備えることを特徴とする除草ボート用アタッチメント。
【請求項5】
前記連結部には、一対の前記除草部材が一組として支持され、当該一対の前記除草部材は、基端側から直線状に延びる第1部位と、前記第1部位に対し屈曲して前記第1部位から直線状に延びる第2部位と、を備え、一対の前記除草部材は、前記第1部位が前記除草部材の基端側から前記第2部位に向かうに従い互いに離間し、前記第1部位側から前記第2部位の先端に向かうに従い互いに近付く形状である請求項〜請求項4のうちいずれか一項に記載の除草ボート用アタッチメント。
【請求項6】
前記第2部位は、前記第1部位に対して、さらに後方に向けて屈曲している形状である請求項5に記載の除草ボート用アタッチメント。
【請求項7】
無線により水田の水上を走行するボートと、前記ボートに取り付けられ、水田内に生育する雑草を抜く除草ボート用アタッチメントと、を備える除草ボートであって、前記除草ボート用アタッチメントが請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の除草ボート用アタッチメントであることを特徴とする除草ボート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線により水田の水上を走行するボートに取り付けられ、水田内に生育する雑草を抜く複数の除草部材を有する除草ボート用アタッチメント、及び当該除草ボート用アタッチメントを備える除草ボートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば稲作を行う水田では、雑草の繁殖が稲の健全な生育に悪影響を与えることから除草作業が頻繁に行われており、水田の除草作業を無人で行うことができる除草ボートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の除草用ラジコンボートは、無線による操作によって水田の水上を走行するボート本体と、ボート本体の船尾側に設けられ、ボート本体より垂下したチェーンを備えた除草器具と、を有する。そして、ボート本体が水田の水上を走行すると、チェーンが水田の泥面に沿って引き摺られ、雑草が引き抜かれる。さらに、チェーンの先端に設けられた、四方に分岐した線条部材によっても雑草が引き抜かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−158507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の除草ラジコンボートにおいては、チェーン及び線条部材が泥面に沿って引き摺られるだけであるため、根の張ってきた雑草を引き抜ぬくことが困難になり、除草機能が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、除草機能を高めることができる除草ボート用アタッチメント、及び除草ボートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための除草ボート用アタッチメントは、無線により水田の水上を走行するボートに取り付けられ、水田内に生育する雑草を抜く複数の除草部材を有する除草ボート用アタッチメントであって、前記ボートの船尾に固定するための固定部と、前記固定部と一体であり、前記ボートの走行方向と交差する方向に延びる状態で配置される支持腕と、前記ボートの走行方向における前記船尾よりも後方にて前記雑草を抜くための棒状の前記除草部材と、前記支持腕と前記除草部材の基端側とを連結した連結部と、を備え、前記除草部材は、前記連結部から下方に延びる状態で設けられ、前記連結部は、前記除草部材の先端を上下動可能に当該除草部材を支持する支持部を備えるとともに、前記除草部材の先端を下方に向けて付勢する第1付勢部材を備えることを要旨とする。
【0007】
また、除草ボート用アタッチメントについて、前記連結部には、一対の前記除草部材が一組として支持されていてもよい。
また、除草ボート用アタッチメントについて、前記連結部は、一対の前記除草部材の先端同士が接離する方向へ揺動可能に各除草部材を支持する軸支部を備えていてもよい。
【0008】
また、除草ボート用アタッチメントについて、前記連結部は、一対の前記除草部材の先端同士が接近する方向に付勢する第2付勢部材を備えていてもよい。
また、除草ボート用アタッチメントについて、前記除草部材は、基端側から直線状に延びる第1部位と、前記第1部位に対し屈曲して前記第1部位から直線状に延びる第2部位と、を備え、一対の前記除草部材は、前記第1部位が前記除草部材の基端側から前記第2部位に向かうに従い互いに離間し、前記第1部位側から前記第2部位の先端に向かうに従い互いに近付く形状であってもよい。
【0009】
また、除草ボート用アタッチメントについて、前記除草部材は丸棒状であり、丸棒の周面よりも突出した突出部を備えていてもよい。
また、除草ボート用アタッチメントについて、前記第2部位は、前記第1部位に対して、さらに後方に向けて屈曲している形状であってもよい。
【0010】
上記問題点を解決するための除草ボートは、無線により水田の水上を走行するボートと、前記ボートに取り付けられ、水田内に生育する雑草を抜く除草ボート用アタッチメントと、を備える除草ボートであって、前記除草ボート用アタッチメントが請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の除草ボート用アタッチメントであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、除草機能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の除草ボートを示す斜視図。
図2】実施形態の除草ボートを示す平面図。
図3】除草ボート用アタッチメントを示す正面図。
図4】除草ボート用アタッチメントを示す側面図。
図5】除草ボート用アタッチメントの一部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、除草ボート用アタッチメント、及び除草ボートを具体化した一実施形態を図1図5にしたがって説明する。
図1及び図2に示すように、除草ボート10はボート11と、ボート11に取り付けられた一対の除草ボート用アタッチメント20と、を備える。
【0014】
ボート11は、ボート本体12を備える。ボート本体12は、ビート板状の板状発泡性樹脂によって形成されている。ボート11は、ボート本体12に搭載された推進装置13を備える。推進装置13は、ボート11を走行方向に沿って前進させるためのものである。推進装置13は、推進用プロペラ13aと、推進用プロペラ13aを回転させるための動力装置13bと、透明性樹脂にて形成されたアーチ状のダクト13cとを有する。
【0015】
ボート11は、ボート本体12に搭載された旋回装置14を備える。旋回装置14は、旋回用プロペラ14aと、旋回用プロペラ14aを回転させるための動力装置(図示せず)とを有する。ボート11は、ボート本体12に搭載された受信部15を備える。受信部15は、図示しないコントローラーからの無線信号(指令)を受信する。なお、ボート11を走行させるための指令は、コントローラからの無線信号以外に、GPSからの指令でもよいし、その他の無線送信機からの指令でもよい。
【0016】
ボート11は、ボート本体12に搭載された図示しない制御部を備える。制御部は、受信部15で受信したコントローラーからの指令に基づいて推進装置13の動力装置13b、及び旋回装置14の動力装置を制御する。すると、ボート11がコントローラからの指令に基づいて水田の水上を走行する。
【0017】
次に、除草ボート用アタッチメント20について説明する。
図1に示すように、除草ボート用アタッチメント20は、アルミニウム製の長尺L型アングル製の支持部材21を備える。支持部材21は、L字の一辺側に矩形板状の固定部22を備え、他辺側に矩形板状の支持腕23を備える。固定部22の長手方向一端寄りには、固定孔22a(図4参照)が設けられている。支持腕23は、固定部22に対し直交している。除草ボート用アタッチメント20は、支持腕23に連結された連結部25を複数備える。複数の連結部25は、支持腕23の長手方向に等間隔おきに配置されている。本実施形態では、除草ボート用アタッチメント20は、連結部25を4つ備える。
【0018】
図3図4、又は図5に示すように、各連結部25は、支持腕23に固定されたステンレス製のバネ蝶番26と、バネ蝶番26に固定された取付部材30と、取付部材30に支持された除草部材31と、を有する。バネ蝶番26は、矩形板状の一対の連結板27と、一対の連結板27を回動可能に支持する支軸28と、一対の連結板27を付勢するため、支軸28に装着されたコイルバネ製の第1付勢部材29とを有する。バネ蝶番26は、一対の連結板27が互いに直交し、長手方向の一端側から見てL字となる基準位置Kを取り得る。そして、一対の連結板27は、基準位置Kから一対の連結板27が離間する方向へ、支軸28を回動中心として回動可能である。第1付勢部材29は一対の連結板27を基準位置Kに向けて付勢している。
【0019】
バネ蝶番26の一方の連結板27は支持腕23に固定され、他方の連結板27にはステンレス製の取付部材30が固定されている。取付部材30は、支持腕23の長手方向に長手が延びる矩形板状である。
【0020】
取付部材30の長手方向両端部には除草部材31が支持されている。除草部材31は、ステンレス製の丸棒状であり、本実施形態では除草部材31の長さが25cmである。なお、除草部材31の長さは25cm以外に設定してもよい。除草部材31の長手方向の一端である基端側には、棒状部材を潰して扁平状とされた連結端部32が設けられている。連結端部32には、バネ連結孔32aが形成されるとともに、バネ連結孔32aよりも基端寄りには軸孔32bが形成されている。
【0021】
取付部材30の長手方向両端部に挿通された揺動軸33が連結端部32の軸孔32bに挿通されている。除草部材31は、揺動軸33を揺動中心として揺動可能に取付部材30に支持されている。取付部材30の長手方向両端側に支持された除草部材31は、揺動軸33により、それぞれ除草部材31の先端が接離する方向へ揺動可能に独立して支持されている。したがって、一対の除草部材31のうち、一方の除草部材31だけが揺動することが可能であり、両方の除草部材31が揺動することも可能である。さらに、一対の除草部材31それぞれが別々の方向へ揺動することも可能である。
【0022】
取付部材30の長手方向両端側に支持された一対の除草部材31のバネ連結孔32aには、コイルバネよりなる第2付勢部材34の端部が掛止されている。一対の除草部材31は、第2付勢部材34により、一対の除草部材31の先端が互いに接近する方向に付勢されている。そして、一対の除草部材31は、外力が作用していない状態では、図3の実線に示すように、第2付勢部材34の付勢力により、除草部材31の先端同士が接触しており、取付部材30を含めて正面視ホームベース形となっている。
【0023】
各除草部材31は、基端側、すなわち連結端部32から直線状に延びる第1部位31aと、第1部位31aに対し屈曲して第1部位31aから直線状に延びる第2部位31bと、を備える。各除草部材31は、第1部位31aと第2部位31bの境界に屈曲部31cを備える。
【0024】
第2付勢部材34の付勢力によって一対の除草部材31の先端同士が接触した状態では、一対の除草部材31は、第1部位31aが、除草部材31の基端側から第2部位31bに向かうに従い互いに離間し、第1部位31a側から第2部位31bの先端に向かうに従い互いに近付く形状となっている。
【0025】
そして、第2付勢部材34の付勢力によって一対の除草部材31の先端同士が接触した状態では、一対の除草部材31は、屈曲部31cにより、第2部位31bの先端、すなわち除草部材31の先端が互いに近付くように屈曲している。また、図4に示すように、支持腕23の長手方向一端側から除草部材31を見た側面視では、各除草部材31は、屈曲部31cにより、第2部位31bの先端が第1部位31aよりも後方に位置するように屈曲している。すなわち、各除草部材31の第2部位31bは、第1部位31aに対して、さらに後方に向けて屈曲した形状である。
【0026】
各除草部材31は、第2部位31bを潰して扁平状とされた扁平部31eを2箇所備える。各扁平部31eは、丸棒の周面よりもはみ出した突出部31fを備える。突出部31fは、丸棒の部分の径方向に沿って相反する方向へ突出している。
【0027】
上記構成の除草ボート用アタッチメント20は、固定部22の固定孔22aに挿通した固定部材Bをボート11の船尾に螺合することにより、ボート11の船尾に固定されている。図1又は図2に示すように、除草ボート用アタッチメント20の支持腕23は、ボート11の走行方向と交差する方向(本実施形態では直交方向)に延びる状態で配置されている。
【0028】
各支持腕23は、ボート11の幅方向の両側から長手方向の半分以上が突出した状態である。本実施形態では、各除草ボート用アタッチメント20の2つの連結部25がボート11の幅内に配置され、残りの2つの連結部25がボート11の側面からはみ出している。2つの除草ボート用アタッチメント20がボート11に取り付けられた状態では、合計8本の除草部材31がボート11の幅内に配置され、合計8本の除草部材31がボート11の幅外に配置されている。
【0029】
図4に示すように、各除草部材31は、ボート11の走行方向における船尾よりも後方に延びる状態で支持腕23に支持されている。詳細には、各除草部材31は、連結部25から下方及び後方へ延びているとともに、第2部位31bは屈曲部31cから後方へ延びている。
【0030】
また、除草ボート10において、連結部25のバネ蝶番26の一対の連結板27及び支軸28により、除草部材31は、その先端が上下動可能に支持されている。よって、連結板27及び支軸28により、除草部材31を支持する支持部が構成されている。また、第1付勢部材29により、一対の連結板27が付勢されることにより、他方の連結板27に対し、取付部材30を介して連結された各除草部材31の先端が下方を向くように付勢されている。
【0031】
また、一対の除草部材31は、揺動軸33によって、一対の除草部材31の先端同士が接離する方向へ独立して揺動可能に支持されている。したがって、取付部材30及び揺動軸33が、軸支部を構成している。さらに、第2付勢部材34によって、一対の除草部材31の先端同士が接近する方向に付勢されている。
【0032】
次に、本実施形態の作用について説明する。
水深約10cm程度の水を張った水田で除草ボート10を使用する。水田は、田植え後、一週間以上経過し、苗がある程度大きく育ち、田に活着した状態である。よって、雑草もある程度大きく育ち、根がある程度張った状態にある。
【0033】
このような水田において除草ボート10が水上を走行すると、除草部材31は、第1付勢部材29によって下方に付勢されているため、水田の泥面に向けて付勢されている。よって、第1付勢部材29の付勢力により、除草部材31の第2部位31bの先端側が泥面に押し付けられる。さらに、石や凸部に除草部材31が乗り上げても、第1付勢部材29の付勢力によって第2部位31bの先端側が泥面に押し付けられる。そして、第2部位31bの先端側が泥面に食い込み、その食い込んだ状態のまま除草ボート10が走行するため、除草部材31が泥面を掻き起こし、ある程度まで育った雑草であっても根から引き抜く。なお、当然ながら、根の強く張っていない雑草であっても引き抜くことができる。
【0034】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)除草ボート用アタッチメント20は、支持腕23と除草部材31を連結する連結部25を備え、連結部25はバネ蝶番26を備える。そして、バネ蝶番26によって、除草部材31の先端を上下動可能に支持するとともに、バネ蝶番26の第1付勢部材29によって除草部材31の先端を下方に向けて付勢する。このため、除草部材31における第2部位31bの先端側を泥面に常に押し付け、食い込ませることができる。よって、除草部材31によって泥面を掻き起こし、根の張っていない雑草だけでなく、ある程度まで育ち、根の強く張った雑草であっても根から引き抜くことができ、除草機能を高めることができる。
【0035】
(2)除草ボート用アタッチメント20の各連結部25には一対の除草部材31が支持されている。このため、一つの連結部25により、二本の除草部材31の先端を下方に向けて付勢することができる。したがって、一つの連結部25により、一本の除草部材31を付勢する場合と比べると、除草機能を高めることができる。
【0036】
(3)連結部25において、一対の除草部材31は、揺動軸33及び取付部材30により、除草部材31の先端同士が接離する方向へ揺動可能に支持されている。よって、除草ボート10の走行中に、除草部材31に雑草等の大きな残渣が絡まった場合、走行中に発生する水流と残渣の自重によって、一対の除草部材31を離間する方向に揺動させることができる。このため、除草部材31に絡まった残渣を除草部材31から除去することができる。
【0037】
(4)一対の除草部材31は、それぞれ屈曲部31cによって第2部位31bが第1部位31aに対してさらに後方に向けて屈曲する形状である。このため、一対の除草部材31が離間する方向へ揺動したとき、除草部材31に絡まった残渣を除草部材31から除去しやすい。
【0038】
(5)連結部25において、一対の除草部材31は第2付勢部材34によって、除草部材31の先端同士が互いに接近する方向に付勢されている。このため、一対の除草部材31が離間する方向に揺動して残渣が除去された後は、第2付勢部材34によって除草部材31の先端同士が接近する状態に戻すことができ、一対の除草部材31によって泥面を掻き起こす動作を継続できる。
【0039】
(6)連結部25において、一対の除草部材31は揺動軸33及び取付部材30によって独立して揺動可能に支持されている。よって、片方の除草部材31が苗に接触しても、苗を避けるように除草部材31を揺動させることができ、苗を通過した後は、第2付勢部材34の付勢力によって、元の状態に戻すことができる。よって、除草部材31が苗に引っ掛かって苗を抜いてしまうことを抑制できる。
【0040】
(7)連結部25に支持された一対の除草部材31はホームベース型であるため、例えば、一本の除草部材31の場合と比べて広範囲の泥面を掻き起こすことができる。
(8)除草ボート用アタッチメント20はステンレス製又はアルミニウム製の部品によって形成されているため、水中使用後や水洗浄後の錆の発生を抑制でき、メンテナンス性に優れる。
【0041】
(9)除草部材31は、第2部位31bに扁平部31eを備え、扁平部31eの一部が突出部31fとして第2部位31bの周面から突出している。よって、突出部31fによって、雑草を引っ掛けやすく、雑草を抜きやすい。
【0042】
(10)除草ボート用アタッチメント20は8本の除草部材31を備える。そして、ボート11に2つの除草ボート用アタッチメント20を取り付けることで合計16本の除草部材31をボート11に設けた。例えば、16本の除草部材31を1つの除草ボート用アタッチメント20に設ける場合と比べると、1つの除草ボート用アタッチメント20の長手方向への長さを短くしてその運搬性を高めることができ、さらには、収納性、メンテナンス性を高めることができる。
【0043】
(11)除草ボート10は、ボート11と、そのボート11に脱着可能な除草ボート用アタッチメント20とを備える。除草ボート用アタッチメント20のメンテナンスをする場合は、ボート11から除草ボート用アタッチメント20を取り外すことで、メンテナンスが行いやすい。また、ボート11と除草ボート用アタッチメント20とを別体とすることで、その運搬性及び収納性も高めることができる。
【0044】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 除草ボート10は、ボート11に除草ボート用アタッチメント20を一つだけ取り付けて構成されていてもよい。
【0045】
○ 除草部材31は、第2部位31bが第1部位31aに対して後方に向けて屈曲した形状ではなく、支持腕23の長手方向一端側から除草部材31を見た側面視で直線状に延びる形状でもよい。
【0046】
○ 各除草部材31の第2部位31bは、扁平部31eを備えない丸棒状であってもよい。
○ 扁平部31e及び突出部31fを第1部位31a及び第2部位31bに設けてもよいし、第1部位31aのみに設けてもよい。
【0047】
○ 各除草部材31は、平面視において第2部位31bの先端が他方の第2部位31bの先端に近付くように屈曲していなくてもよい。
○ 連結部25は、第2付勢部材34を備えなくてもよい。この場合、各除草部材31は、揺動可能に連結部25に支持されている。
【0048】
○ 一対の除草部材31は、同時に離間する方向へ揺動するように連結部25に支持されていてもよい。
○ 連結部25は、一本の除草部材31を支持していてもよい。
【0049】
○ 除草ボート用アタッチメント20の支持腕23は、その長手方向がボート11の走行方向に対し斜めに交差する状態でボート11に取り付けられていてもよい。
○ 除草ボート用アタッチメント20の支持部材21の長さを変更し、支持部材21の長さに応じて連結部25の数を変更してもよい。又は、支持部材21の長さは変更せずに連結部25の数を変更してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…除草ボート、11…ボート、20…除草ボート用アタッチメント、22…固定部、23…支持腕、25…連結部、26…支持部を構成するバネ蝶番、29…第1付勢部材、30…軸支部としての取付部材、31…除草部材、31a…第1部位、31b…第2部位、31f…突出部、33…軸支部としての揺動軸、34…第2付勢部材。
図1
図2
図3
図4
図5