特許第6959192号(P6959192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6959192-給湯システム 図000002
  • 特許6959192-給湯システム 図000003
  • 特許6959192-給湯システム 図000004
  • 特許6959192-給湯システム 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959192
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20211021BHJP
【FI】
   F24H1/00 602P
   F24H1/00 602H
   F24H1/00 602X
   F24H1/00 602E
   F24H1/00 602Z
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-140864(P2018-140864)
(22)【出願日】2018年7月27日
(65)【公開番号】特開2020-16416(P2020-16416A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2020年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 耕士
(72)【発明者】
【氏名】厚東 良和
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−197275(JP,A)
【文献】 実開平04−120567(JP,U)
【文献】 特開平11−063660(JP,A)
【文献】 特開2011−196588(JP,A)
【文献】 特開2016−205753(JP,A)
【文献】 特開2005−160515(JP,A)
【文献】 特開2017−129333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を浴槽に供給する給湯部と、
目標ふろ温度の指令を受付ける目標ふろ温度設定部と、
湯はり開始の指令を受付ける湯はり指令部と、
外気若しくは浴室の温度を取得する外気温度センサ又はヒートショック予報を取得する情報送受信部と、を有し、
前記湯はり開始の指令を受付けた場合、前記外気温度センサの検知結果又はヒートショック予報を含む情報に基づいて、前記目標ふろ温度よりも高い温度での湯張りを開始可能であり、かつ、その場合の前記給湯部からの湯はり速度は、通常の湯はり時の湯はり速度よりも少ない給湯システム。
【請求項2】
前記浴槽内の湯水の温度を検知可能な浴槽温度センサと、
湯はり完了を報知する報知部と、を有し、
前記給湯部は、前記報知部を作動させる前に、前記浴槽温度センサの検知温度が前記目標ふろ温度より高いかを判定し、高い場合は、前記浴槽温度センサの検知温度よりも低い冷水を供給してから又は前記浴槽温度センサの検知温度が略目標ふろ温度に低下するまで待機してから、前記報知部を作動させることを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
湯はり水量の指令を受付ける水量設定部と、
入出浴検知部と、
前記浴槽内の湯水の温度を検知可能な浴槽温度センサと、を有し、
前記湯はり開始の指令を受付けた場合、前記湯はり水量よりも少ない水量での湯張りを開始し、
前記湯はりの開始後又は完了後に入浴を検知した後、前記給湯部は、前記浴槽温度センサの検知温度が前記目標ふろ温度より低い場合、前記浴槽温度センサの検知温度よりも高い温度で足し湯を行うことが可能なヒートポンプ式の請求項1又は2に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記目標ふろ温度より低い温度で湯はりが行われ、
前記足し湯によって前記浴槽内の湯水の温度が上昇する請求項3に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記浴槽内の湯水に気体を供給可能な気体導入部、又は、
前記浴槽内の湯水を気体を使わずに撹拌する撹拌部、と、
湯はり完了を報知する報知部と、を有し、
前記湯はりの実行による出湯が一部又は全部完了した後、かつ、前記報知部による湯はり完了の報知前に、前記気体導入部又は前記撹拌部が作動することを特徴とする請求項1乃至4何れか一項に記載の給湯システム。
【請求項6】
前記気体導入部又は前記撹拌部が前記湯水に作用するのに必要な作動水量を検知または設定可能であり、
該作動水量以上の前記出湯を実行してから前記気体導入部又は前記撹拌部が作動することを特徴とする請求項5に記載の給湯システム。
【請求項7】
浴室内の空気を浴槽内の湯水に導入する前記気体導入部を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の給湯システム。
【請求項8】
前記浴槽のふたが該浴槽に載置されているか否かを検知するふたセンサを有し、
前記湯はり開始の指令を受付けた場合、前記ふたセンサがふた無しを検知したとき、前記外気温度センサの検知結果又はヒートショック予報に基づいて、前記目標ふろ温度よりも高い湯はり温度で湯はりを行うことが可能なことを特徴とする請求項1乃至7何れか一項に記載の給湯システム。
【請求項9】
前記浴槽のふたが該浴槽に載置されているか否かを検知するふたセンサ有し、
前記ふたセンサがふた有りを検知したとき、前記目標ふろ温度で湯はりを行うことが可能なことを特徴とする請求項1乃至8何れか一項に記載の給湯システム。
【請求項10】
入浴を検知してから出浴を検知した後、ヒートショックを警戒する旨の報知を行うことを特徴とする請求項1乃至9何れか一項に記載の給湯システム。
【請求項11】
湯水を浴室内のシャワー又はカランに供給可能であり、
出浴を検知した後、所定時間内の前記シャワー及びカランを含む箇所からの累計流量が所定以下の場合、ヒートショックを警戒する旨の報知を行うことを特徴とする請求項10に記載の給湯システム。
【請求項12】
日付情報を取得可能であり、
該日付情報に応じて、湯はり開始の際、ヒートショックに気をつける旨の報知を行うことを特徴とする請求項1乃至11何れか一項に記載の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特に冬季における入浴の際、浴室(外気)から湯はりされた浴槽に移動する際の急激な温度変化によって、心筋梗塞や脳卒中などが発生するヒートショックの危険性が知られている。
【0003】
特許文献1によれば、初期湯張り温度Tsを浴槽目標温度Tgより設定温度Tdだけ低くすることで温度変化を低減する給湯機が開示されている。また、入浴開始から設定遅延時間tcが経過して収縮期血圧の最高値となった後に浴槽3の湯水が浴槽目標温度Tgに追焚される(0050,0054)。
【0004】
特許文献2によれば、外気温度が所定温度以下である場合に暖房湯張り運転として、ユーザに風呂の蓋を開くように報知する。暖房湯張りは、風呂設定温度(42℃)よりも高く、浴室に蒸気を大量に発生させることができる予め定められた所定暖房温度(50℃)にて湯を供給する。その後、設定温度より低い(38℃)湯を供給して、風呂設定温度及び風呂設定量に達したことを確認し、浴槽17への湯の供給を停止する(0027−0029)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−84383号公報
【特許文献2】特開2018−48795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ヒートショックの発生を抑制するには、例えば入浴初期の湯温が高すぎないように調整することが望まれるところ、湯温が低すぎると入浴者に不快感を与える虞がある。また、入浴の際に利用される湯温は通常体温(36℃程度)より高いこと、また、少なくとも入浴が開始される際には風呂蓋が除去されるから、浴室空気と湯との熱交換が開始すること、から、入浴に伴い湯温は初期温度からさらに低下していく。
【0007】
特許文献1は追焚によって目標温度に近づけようとするが、追焚は通常、熱交換効率が高温足し湯に比べて悪く、湯温を高めるのには比較的時間を要する。
【0008】
特許文献2は事前に風呂蓋が除去されなければ効果を発揮しづらく、風呂蓋がされたままであると、余計な高温化と注水による低温化が行われるためエネルギー消費量が大きくなる。また、浴槽の湯水による放熱が自然対流によるもののため、熱交換速度が低く、また湯はり時間内に設定温度より高く湯はりした後、即時に設定温度より低い湯を供給して冷やしているため、浴室との熱交換があまり期待できない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記事情に鑑みてなされた本発明は、
湯水を浴槽に供給する給湯部と、
目標ふろ温度の指令を受付ける目標ふろ温度設定部と、
湯はり開始の指令を受付ける湯はり指令部と、
外気若しくは浴室の温度を取得する外気温度センサ又はヒートショック予報を取得する情報送受信部と、
前記湯はり開始の指令を受付けた場合、前記外気温度センサの検知結果又はヒートショック予報を含む情報に基づいて、前記目標ふろ温度よりも高い温度での湯張りを開始可能であり、かつ、その場合の前記給湯部からの湯はり速度は、通常の湯はり時の湯はり速度よりも少ない給湯システムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の給湯システムの構成図
図2】実施例1の(a)リモコン装置の外観図と目標ふろ温度設定画面、(b)水量設定画面、(c)ヒートショック抑制機能設定画面
図3】実施例1の給湯機を含む情報通信システム構成図
図4】実施例1の給湯システムの制御フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を添付の図面を用いて説明する。なお、以下では、水を加熱して湯水を生成する熱源機としてヒートポンプを用いた給湯システムを例に説明を行うが、ガス燃焼機を熱源機として用いても良い。
【0012】
本発明の制御方法及びコンピュータプログラムには複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の手順を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明の実施例に掲げる制御方法の手順の順番は、内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【実施例1】
【0013】
[給湯システム]
図1は実施例1の給湯機11を含む給湯システムの構成図である。給湯機11は、湯水を貯留・生成する部分として、ヒートポンプユニット13と、生成された温水を貯湯する貯湯タンク12と、貯湯タンク12内の湯量を検知する貯湯量検知部と、給湯熱交換器14と、追いだき熱交換器18と、を有する。
また、給湯機11は、制御等に関連して、使用者の操作を受付けるリモコン装置6と、リモコン装置6からの操作に応じて動作する制御部の一例としての制御基板10と、外気温度を検知する外気温度センサ40と、浴槽15の水位の変動を検知する水位センサ41と、浴槽15の温水の温度を検知する浴槽温度センサ(不図示)と、浴槽15の蓋(風呂蓋)の有無を検知するふたセンサ51と、を有する。外気温度センサ40は、外気(屋外温度)に代えて浴室50の温度を検知しても良い。また、ふたセンサ51としては例えば、浴槽15の上面(風呂蓋を載置する面)に設けられることができるメカスイッチ、重量センサ、近距離の物体有無を検知可能な光センサ等を採用できる。
また、給湯機11は、浴槽15のアダプタ52に取付けられた気体導入部又は撹拌部と、気体導入部又は撹拌部の動作に必要な湯水を浴槽15から吸引するフロースイッチ43と、を備える。
【0014】
ヒートポンプユニット13は、清水源の一例としての水道管19から配管20を経て供給される水を加熱して温水を生成し、貯湯タンク12に供給できる。貯湯タンク12の温水は、浴室50に配された浴槽15に供給されることができる。清水源としては、水道管19や井戸水等の外部の給水源等を採用できる。清水とは、利用者が直接接触し得る状態を未だ経ていない使用前の水を指すものであり、給水源からの水や貯湯タンク12に貯溜されている水を含むものである一方、浴槽15等に供給されたような汚れを含む使用後の水ではない。給湯機11には、温水を一般給湯端末(蛇口、シャワー、混合栓17等)に供給する一般給湯回路21と、温水を浴槽15に供給する給湯部を有する湯はり回路とが含まれる。一般給湯回路21の途中に配接されている流量調整弁31によって給湯時の流量を制御しており、本体側制御基板10からの指示により流量変動を可能としている。
【0015】
給湯熱交換器14は、水道管19からの低温水を貯湯タンク12内の温水と熱交換させて加熱し、浴槽15とは別の場所で利用される給湯用の温水を生成する。例えば台所や浴室50内のシャワーやカラン等への温水を生成できる。給湯システムからの出湯量は、流量センサ(不図示)で検知可能であるが、この出湯量は、貯湯タンク12から浴槽15になされた量と、給湯熱交換器14からシャワーやカランになされた量とを区別可能であることが好ましい。給湯熱交換器14からシャワーやカラン等になされた量を測定可能であることがより好ましい。給湯機は、貯湯タンク12に張り付いている各温度センサよりタンク残熱湯量を算出しており、出湯、あるいは熱交換による熱の使用は、その前後の残熱湯量の差分より累計流量の増減を把握することが可能である。
追いだき熱交換器18は、浴槽15内から導出したふろ水を貯湯タンク12内の温水と熱交換させ加熱する。
水位センサ41は、急激な水位上昇を検知した場合、人が入浴したと判断することができ、急激な水位下降を検知した場合、人が出浴したと判断することができる。
【0016】
気体導入部は、浴槽15の湯水を気体で攪拌することができる。浴槽15には空気を吐出するホースが取付けられており、ジェットバスのように動作する。これにより、浴槽15のお湯は乱流となって波打ち放熱が進むため、浴室50との空気との熱交換が行われて、室温を高めることができる。気体導入部が浴槽15に導入する気体は、浴室50内の気体を利用すると好ましく、すなわち、ホースの一端が浴室50に連通し、他端が浴槽15内面に連通することが好ましい。こうすると、浴室50内の気体が効果的に浴槽15の湯水と熱交換できるため、浴室50を温めやすくなる。
【0017】
気体導入部に代えて、単に浴槽15内の湯水を強制的に循環させて撹拌する撹拌部としてのふろ循環ポンプ42を設けても良いが、撹拌部よりも気体導入部の方が好ましい。気体導入部であれば浴槽15の湯水に気体が導入されることから、仮に浴槽15に風呂蓋がされていても、浴槽15内が高圧になることで風呂蓋が浮き上がるなどして、浴室50側に気体が漏れて熱交換が進みやすくなる。
【0018】
[リモコン装置6]
図2は(a)リモコン装置6a又は6bの外観図と目標ふろ温度設定画面、(b)水量設定画面、(c)ヒートショック抑制機能設定画面、である。
【0019】
リモコン装置6(浴室内のふろリモコン6aと、浴室以外の部屋(例えば台所)に設けられた台所リモコン6b)はそれぞれ、発音部33と、ユーザの操作を受付ける操作部4と、各種の情報を表示する表示部5を備えている。
操作部4は、足し湯指令部41、水量設定部42、目標ふろ温度設定部43、湯はり指令部44、追焚指令部45、レベル設定部49を有する。
表示部5は、給湯温度表示部51、湯はり量表示部52、目標ふろ温度表示部53、を有する。
【0020】
足し湯指令部41を操作すると、例えば給湯温度表示部51に示される温度程度の、所定量の湯水が浴槽15に供給される。
水量設定部42を操作すると、湯はり量表示部52が表示されるとともに、レベル設定部49の操作を通じて湯はり時の湯はり量を変更できる。
目標ふろ温度設定部43を操作すると、目標ふろ温度表示部53(目標ふろ温度表示部53に表示される温度)が表示されるとともに、レベル設定部49の操作を通じて、湯はり指令及び追焚指令時の目標温度を変更できる。
湯はり指令部44を操作すると、目標ふろ温度の湯水が、湯はり量表示部52に表示される量程度、浴槽15に供給される湯はりが行われる。但し、後述のように、外気温度センサ40の検知温度が比較的低い場合、本実施例では、目標ふろ温度より低めの温度の湯水が、湯はり量表示部52に表示される量より少なく、浴槽15に供給される。
追焚指令部45を操作すると、浴槽15内に貯留されていた湯水が一部追いだき熱交換器18に供給され、貯湯タンク12の高温水と熱交換して温められ、浴槽15に還流する。
また、メニューボタン48の操作を通じて、図2(c)に例示するような画面に遷移する。この画面を操作することで、ヒートショック抑制制御のON/OFFを切替えることができる。
発音部33は、湯はり指令部44によって開始される湯はりが完了した場合に、その旨を報知する音声等を出力できる。
【0021】
また、レベル設定部49を通じて、リモコン装置6に日付情報の設定をすることができる。日付情報は、後述の電気通信回線ネットワーク103を通じて取得しても良い。
【0022】
図3は実施例1の給湯機11を含む情報通信システム構成図である。給湯機11は、ほかの家電機器106,107,108とともに家屋内105にてHEMS(Home Energy Management System)コントローラ101を介して情報的に接続されている。HEMSコントローラ101は、家屋外に設置された情報サーバ102や可搬のユーザ端末104と電気通信回線ネットワーク103を介して接続している。電気通信回線ネットワーク103は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワークなどである。
【0023】
このようにして、給湯機11は他の機器や情報サーバ102との間で情報の送受信が可能である。
【0024】
[給湯システムによるヒートショック抑制制御]
図4は本実施例の給湯システムのヒートショック抑制制御のフローチャートである。湯はり指令部44の操作によって湯はり指令がなされた場合(ステップS100)、図2(c)に例示するヒートショック抑制制御がONかどうかが確認される。ONの場合(ステップS200,Yes)、外気温度センサ40の検知温度が低いかが確認され、低い場合(ステップS210)はまず、ヒートショックに気を付ける旨の報知が発音部33からなされる(ステップS300)。ヒートショック抑制制御がOFF又は外気温度が低くない場合(ステップS200,No又はステップS210,No)は、リモコン装置6に設定されていた目標ふろ温度、水量設定、及び湯はり速度に従って湯はりがなされる(ステップS211)。湯はり速度とは、湯はり開始から湯はり終了までの時間で、湯はり終了までに浴槽15に供給された湯量を除した値にすることができる。この場合の湯はり速度を通常の湯はり速度ということがある。また、湯はり終了とは、例えば発音部33がユーザに入力ができる状態になった旨を報知した時をいうことができる。また、通常の湯はり速度として、上記のように湯はり開始から湯はり終了までの時間で算出しても良いが、湯はり終期に何らかの特別な制御をする等のために湯はり速度を低下させ得るため、湯はり開始から所定時間経過まで、例えば5分経過までの累計流量を所定時間で除して算出しても良い。
【0025】
ステップS300の後は、ふたセンサ51が風呂蓋を検知しているかが確認される(ステップS310)。ふたセンサ51が風呂蓋を検知しない場合は、目標ふろ温度として設定された温度超の湯温で湯はりが開始される(ステップS311)。例えば、目標ふろ温度より1℃以上4℃以下、好ましくは3℃以下高い温度での湯はりをすることができる。この際の湯はり水量は、ステップS332で差し水を行う可能性があることから、ステップS320の水量設定より少ない水量設定にすることが好ましい。また、ステップS211のような通常の湯はり時に比して低速(低流量)で湯はりを行う。これにより、高温の湯と浴室50の空気との熱交換量を多くすることができる。
【0026】
ふたセンサ51が風呂蓋を検知した場合又はふたセンサ51が設けられていない給湯システムの場合(すなわち、風呂蓋の有無を検知できない又は風呂蓋の有無が不明の場合)は、目標ふろ温度未満の温度かつ水量設定未満の水量で湯はりが開始される(ステップS320)。例えば目標ふろ温度より2℃以上3℃以下低い温度、水量設定より20L以上40L以下少ない水量での湯はりをすることができる。なお、ふたセンサ51が設けられていない場合は、ステップS310,Noに分岐させるようにしても良い。
【0027】
ステップS320,311それぞれで定められた水量だけ出湯を終えたら、撹拌部又は気体導入部の作動が開始する(ステップS330)。例えば所定時間だけ作動した後、湯温がふろ目標温度超かが確認され(ステップS331)、高い場合は低温水を供給する差し水を行う(ステップS331,Yes、ステップS332)。差し水は、例えば清水源の水を供給することができる。湯温が高くない場合(ステップS331,No)又は差し水完了後、湯はり完了の報知が発音部33からなされる(ステップS340)。
【0028】
その後、水位センサ41によって入浴が検知され、かつ、湯温が目標ふろ温度より低い場合(ステップS350,Yes)は、即時又は所定時間待機後、浴槽温度センサで取得可能な現在の湯温より高い湯による足し湯がなされる(ステップS360)。足し湯は、好ましくは目標ふろ温度に到達するまで行われる。また、少なくとも水量設定に到達するまで足し湯がなされることが好ましい。
【0029】
水位センサ41が出浴を検知したら(ステップS400,Yes)、所定時間経過を待って出浴後から現在までの、貯湯タンク12からの累計流量が少ないかを確認する。累計流量が少ない場合(ステップS410,Yes)、入浴の終了が見込まれるため、ヒートショックを警戒する旨の報知が発音部33からなされる(ステップS420)。この際、風呂蓋を除去したままにすることをお願いする旨を併せて報知すると好ましい。また、浴槽15温度が低ければ追焚又は高温足し湯を行うことができる(ステップS430)。また、本実施例のように、貯湯タンク12内に設けた複数の温度センサを利用して流量を検知する給湯機11では、2つの温度センサを跨がない範囲の出湯は検知できないが、温度センサを多数設けるなどして、細やかに流量を検知可能にするのが好ましい。
【0030】
ステップS210では、外気温度センサ40による外気又は浴室50の温度に代えて、情報サーバ102等から取得したヒートショック予報を利用しても良い。また、外気温度は、外気温度センサ40に代えて情報サーバ102等から取得してもよい。
【0031】
ステップS300の、ヒートショックに気を付ける旨の報知とは、「今日は寒いのでヒートショックに注意してください。」や、ふたセンサ51の検知結果に応じて異なるメッセージ、例えば「お風呂のふたが開いているため設定より高い温度で湯はりします。」、「お風呂のふたが閉じているため設定より低い温度で湯はりします。」といったメッセージにすることができる。
【0032】
(各ステップの補足)
ステップS310でふたセンサ51によって湯はり時に風呂蓋が載置されていないことを検知したら、給湯機11は、目標ふろ温度よりも高い温度で湯はりを開始することができる。すると、高めの温度で湯はりが開始されるから、浴室50の空気との熱交換が期待できる。
【0033】
ステップS311/S320の湯はり温度を目標ふろ温度よりどの程度高く/低くするかは、ユーザが設定可能にしても良い。
【0034】
ステップS330では、風呂蓋が載置されていない場合は、気体導入部又は撹拌部の作動によって浴室50の空気がさらに暖まりやすくなる。風呂蓋が載置されている場合でも、特に気体導入部が作動される場合は、上述のように、浴室50の空気との熱交換がされやすくなる。
ステップS330では、アダプタ52に取付けられた気体導入部又は撹拌部が動作を開始すると、フロースイッチ43が浴槽15内の湯水を吸引する。ここで、本実施例の給湯機11では、ステップS311又はS320での湯はり量は、アダプタ52が湯水を吸引可能になるのに必要な水量を下回らないように制限されることができる。この最低水量は、例えば給湯機11の設置者が予め測定しておいて制御基板10に入力しておくことで設定することができる。
【0035】
ステップS340の湯はり完了の音声出力は、ステップS311,320が完了した段階で行っても良いが、気体導入部又は撹拌部を動作させて浴室50の暖めを実行した後や、必要に応じての差し水を実行した後に行う方が好ましい。これにより、浴室50を暖めたり浴槽温度を好ましく調整してから湯はり完了を報知できる。また、ステップS311を実行した場合は、浴槽温度センサの検知値が設定した温度(例えば、目標ふろ温度)まで低下するまで単に待機してから湯はり完了の報知をしても良い。このようにすれば、入浴の適切なタイミングで入浴者に報知できる。
【0036】
ステップS360の足し湯の湯温は、目標ふろ温度に略等しくても良いし、それより高くても良い。高めだと、早期に目標ふろ温度に近付けることができる観点では好ましい。
本実施例の給湯システムはヒートポンプ式のため、追焚でなく足し湯で湯温を上昇させることにより、熱効率を改善することができる。
【0037】
上記のような制御により、ユーザのヒートショックを予防しつつ、入浴が開始されると自動で設定水量にすることができるため、安全に入浴することができる。また、目標ふろ温度より低め、かつ水量設定部での設定量より少なめに湯はりをし、入浴検知後に熱いお湯を追加するので、追焚より早期に目標ふろ温度に近付けることができるし、熱効率もよい。
【0038】
ステップS420の、ヒートショックを警戒する旨の報知とは、「お風呂のふたを開けたまま上がってください。」や「次に入る方がいる場合はヒートショック防止のためおふろのふたを開けたままあがってください。」などのように、現在または次の入浴者にヒートショックへの警戒をうながすための報知である。これにより、最初に入浴した者へのヒートショック予防だけではなく、2人目以降のお風呂への入浴に関しても、ヒートショックを抑制することができる。
【0039】
この報知は、上記ステップS410のように、水位センサ41にて入浴者が浴槽から出たことを検知してから所定時間の給湯累計量が所定以下だった場合に初めて行ってもよい。浴槽15内から出た入浴者は、入浴を終了するのではなく、体などを洗うために一時的に浴槽15から出ていることも考え得る。その場合はシャワー等を利用するであろうから給湯タンク12からいくらかの出湯が行われる。上記の報知は、入浴者が入浴を終了する際に行うのが好ましいから、給湯累計量を測定し、所定量以下の場合に行うことで効果的に警戒を促すことができる。
【0040】
なお、ステップS200に代えて、リモコン装置6が取得した日付情報を利用して、冬季のようにヒートショックに注意が必要と考えられる時期には、ヒートショックに気をつける旨の報知を行ってもよい。
【0041】
本実施例とは異なり、ふたセンサ51を設けない場合は、ステップS310から分岐す
るステップS311やS320どちらかを実行すべきかを、予めリモコン装置6で選択し
ておくようにしても良い。また、例えばステップS330は実行しなくても良い。
本願は次の技術的思想を包含する。
湯水を浴槽に供給する給湯部と、
目標ふろ温度の指令を受付ける目標ふろ温度設定部と、
湯はり開始の指令を受付ける湯はり指令部と、
外気若しくは浴室の温度又はヒートショック予報を取得する外気温度センサと、を有し、
前記湯はり開始の指令を受付けた場合、前記外気温度センサの検知結果又はヒートショック予報を含む情報に基づいて、前記目標ふろ温度よりも高い温度での湯張りを開始可能であり、かつ、その場合の前記給湯部からの単位時間当たりの流量は、通常の湯はり時の単位時間当たりの流量よりも少ない給湯システム。
【符号の説明】
【0042】
4・・・表示部
5・・・操作部
6・・・リモコン装置
6a・・・風呂リモコン
6b・・・台所リモコン
10・・・本体側制御基板
11・・・給湯機
12・・・貯湯タンク
13・・・ヒートポンプユニット
14・・・給湯熱交換器
15・・・浴槽
16・・・タンクユニット
17・・・混合栓
18・・・追いだき熱交換器
19・・・水道管
20・・・配管
21・・・一般給湯回路
28・・・給湯循環ポンプ
29・・・給湯温度センサ
30・・・タンク上部温度センサ
31・・・流量調整弁
33・・・発音部
40・・・外気温度センサ
41・・・水位センサ(入出浴検知部)
42・・・ふろ循環ポンプ
43・・・フロースイッチ
50・・・吸気用ホース
51・・・浴槽ふたセンサ
52・・・アダプタ
101・・・HEMSコントローラ
102・・・情報サーバ
103・・・電気通信回線ネットワーク
104・・・ユーザ端末
105・・・家屋内
図1
図2
図3
図4