特許第6959203号(P6959203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6959203ポリウレタン製伝動ベルトの製造方法、及び、それに用いる金型装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959203
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】ポリウレタン製伝動ベルトの製造方法、及び、それに用いる金型装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/26 20060101AFI20211021BHJP
   F16G 1/14 20060101ALI20211021BHJP
   B29C 39/02 20060101ALI20211021BHJP
   B29D 29/08 20060101ALI20211021BHJP
   B29K 75/00 20060101ALN20211021BHJP
   B29L 29/00 20060101ALN20211021BHJP
【FI】
   B29C39/26
   F16G1/14
   B29C39/02
   B29D29/08
   B29K75:00
   B29L29:00
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-170751(P2018-170751)
(22)【出願日】2018年9月12日
(65)【公開番号】特開2019-59232(P2019-59232A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年11月16日
(31)【優先権主張番号】特願2017-187172(P2017-187172)
(32)【優先日】2017年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 章
(72)【発明者】
【氏名】大崎 侑
【審査官】 神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−77986(JP,A)
【文献】 特開昭63−214538(JP,A)
【文献】 特開平11−156857(JP,A)
【文献】 特開2001−30253(JP,A)
【文献】 特開2007−147027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 35/00−35/18
B29C 39/00−39/24
B29D 29/00−29/10
F16G 1/00−1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状のポリウレタン原料を硬化させて、ポリウレタン製伝動ベルトを成形する金型装置であって、
内型と、
加圧可能な加圧用ジャケットが設けられた外型と、を備え、
前記内型と前記外型とが適合された際に、
前記外型に設けられた前記加圧用ジャケットと前記内型との間に、前記液状のポリウレタン原料が充填され、密閉可能な空洞が形成される、金型装置。
【請求項2】
前記外型は、前記内型を収納可能な有底筒形状をしており、
前記内型は、円柱形状で、加熱手段により加熱可能にされており
前記加圧用ジャケットは、前記外型の内筒面側に設けられ、
更に、前記内型を収納した前記外型を密閉可能な上蓋を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の金型装置。
【請求項3】
外型及び内型を備えた金型装置を使用した、ポリウレタン製伝動ベルトの製造方法であって、
前記外型に設けられた加圧用ジャケットと前記内型との間の空洞に、液状のポリウレタン原料を充填し密閉する、原料充填工程と、
前記加圧用ジャケットにより、密閉された前記空洞に充填されている前記ポリウレタン原料を加圧した状態で硬化させる、加圧硬化工程とを含むことを特徴とする、ポリウレタン製伝動ベルトの製造方法。
【請求項4】
前記金型装置において、
前記外型は、前記内型を収納可能な有底筒形状をしており、
前記内型は、円柱形状で、加熱手段により加熱可能にされており、
前記加圧用ジャケットは、前記外型の内筒面側に設けられ、
更に、前記内型を収納した前記外型を密閉可能な上蓋を備え、
前記原料充填工程では、前記外型の上部を前記上蓋で覆うことにより、前記内型を収納した前記外型を密閉し、
前記加圧硬化工程では、前記空洞に充填されている前記ポリウレタン原料を、前記加圧用ジャケットにより加圧した状態で、前記加熱手段により前記内型を介した加熱により硬化させることを特徴とする、請求項3に記載のポリウレタン製伝動ベルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン製伝動ベルトの製造方法及び、製造に用いる金型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン製の伝動ベルトは外観性に優れ、摩耗屑を生じにくい等の理由により、一般産業用、精密機器用等の動力伝達用ベルトとして、幅広く使用されている。このポリウレタン製の伝動ベルトには、ベルト周長方向に延びる複数のV字状リブ部を形成したVリブドベルトや、ベルト長手方向に一定ピッチで歯部と溝部とが交互に形成された歯付きベルト等があり、どれもポリウレタン弾性体で形成されるベルト本体内に、複数本のスチール繊維やアラミド繊維等からなる心線(撚りコード)が埋設されている。なお、図1に、ポリウレタン製伝動ベルトの一例として、ポリウレタン製歯付きベルトの一部破断斜視図を示す。
【0003】
ポリウレタン製の伝動ベルトは、ポリウレタンプレポリマーと硬化剤等を混合させた液状のポリウレタン原料(ポリウレタン組成物)を金型に注型し、加熱による硬化反応により、ポリウレタン弾性体を生成することで、ベルト成形体を得る。
【0004】
注型方式でのポリウレタン製伝動ベルトの製造方法の一例として、特許文献1の手順が挙げられる。この手順は次の(1)〜(5)のようなものである。図2に示すように、まず、(1)内周面が円筒形状の外型の内部に液状のポリウレタン原料を注型する。次に、(2)予め心線を螺旋状に巻き付けた円筒形状の内型を外型の内部に挿入する。そして、(3)内型と外型との隙間(キャビティ、空洞)に液状のポリウレタン原料を充満させる。そして、(4)ポリウレタン原料に熱を加えながら大気圧化で硬化反応させてポリウレタン弾性体を形成することで、心線が埋設されたポリウレタン製ベルトスリーブを成形する。最後に、(5)成形後のポリウレタン製ベルトスリーブを脱型して、冷却後、所定の幅に輪状に切断することによりポリウレタン製伝動ベルトが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−172005号公報
【特許文献2】特開平8−118363号公報
【特許文献3】特開平11−156857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなポリウレタン製の伝動ベルトは、設置レイアウトのコンパクト化によるベルトの細幅化や、機械の大型化に伴い、ベルトが受ける負荷が増大しており、そのため母材として使用されるポリウレタンの耐摩耗性や機械物性の更なる向上が求められている。
【0007】
この点、クロロプレンゴム(CR)やエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等のゴム製の伝動ベルトの製造方法(特許文献2、特許文献3)では、図3に示す加硫装置や、図4に示す加硫缶を用いて、ジャケットを介して、ゴム組成物を含む未加硫成形材料を加圧しながら加硫する方式が採用される場合がある。これによれば、ゴム組成物を含む未加硫成形材料を所定形状に成形固化し、気泡を含まず密にして品質の良いゴム製の伝動ベルトを得ることができる。
【0008】
例えば、図3に示す加硫装置では、まず、(1)成形型(内型)に、必要に応じて、ゴム層を形成する未加硫ゴムシート、心線、補強布などの成形材料を巻き付け、未加硫状態の積層体を形成する。次に、(2)この未加硫状態の積層体を巻き付けた成形型の外周側にゴム製のジャケットを配置する。次に(3)ジャケットの外周側からエアー又は加圧水蒸気により、ジャケットを加圧することで、未加硫状態の積層体が押圧された状態で未加硫ゴムシートを加硫しつつ、積層体を一体化して加硫ベルトスリーブを成形する。最後に(4)成形後のベルトスリーブを脱型し、所定の幅に輪状に切断することによりゴム製(CRやEPDM)の伝動ベルトが得られる。
【0009】
もっとも、上記加硫装置や加硫缶は、固形の未加硫ゴムシートを前提とした加硫・加圧に使用されることから、液状のポリウレタン原料を加硫する場合には採用することが難しい。
【0010】
そこで、本発明では、液状のポリウレタン原料から製造されるポリウレタン製伝動ベルトの耐摩耗性などの物性の向上を図ることができる、ポリウレタン製伝動ベルトの製造方法、及び、それに用いる金型装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、液状のポリウレタン原料を硬化させて、ポリウレタン製伝動ベルトを成形する金型装置であって、
内型と、
加圧可能な加圧用ジャケットが設けられた外型と、を備え、
前記内型と前記外型とが適合された際に、
前記外型に設けられた前記加圧用ジャケットと前記内型との間に、前記液状のポリウレタン原料が充填され、密閉可能な空洞が形成されている。
【0012】
上記構成によれば、外型に設けられた加圧用ジャケットと内型との間の空洞に、液状のポリウレタン原料を充填し、密閉する。その後、密閉された液状のポリウレタン原料を、加圧用ジャケットにより加圧した状態で、硬化させることができる。これにより、液状のポリウレタン原料を、加圧状態で架橋反応させることによって、ポリウレタン分子の架橋構造が密になる(架橋密度が大きくなる)ため、耐摩耗性等において高い物性を持つポリウレタン製伝動ベルトを成形することができる。
また、耐摩耗性に優れていることから、従来に比べて、厚みが薄いポリウレタン製伝動ベルトを成形することができる。
【0013】
また、本発明は、上記金型装置において、
前記外型は、前記内型を収納可能な有底筒形状をしており、
前記内型は、円柱形状で、加熱手段により加熱可能にされており
前記加圧用ジャケットは、前記外型の内筒面側に設けられ、
更に、前記内型を収納した前記外型を密閉可能な上蓋を備えている。
【0014】
上記構成によれば、加圧用ジャケットは、外型の内筒面に沿って円弧状に設けられている。そして、ポリウレタン原料は、円弧状に設けられた加圧用ジャケットと円柱形状をした内型の外周面との間に配置される。これにより、ポリウレタン原料に均一な加圧及び加熱をすることができる。その結果、ポリウレタン製伝動ベルト全体に対して均一な耐摩耗性を持たせることができる。
【0015】
また、本発明は、外型及び内型を備えた金型装置を使用した、ポリウレタン製伝動ベルトの製造方法であって、
前記外型に設けられた加圧用ジャケットと前記内型との間の空洞に、液状のポリウレタン原料を充填し密閉する、原料充填工程と、
前記加圧用ジャケットにより、密閉された前記空洞に充填されている前記ポリウレタン原料を加圧した状態で硬化させる、加圧硬化工程とを含むことを特徴としている。
【0016】
上記方法によれば、外型に設けられた加圧用ジャケットと内型との間の空洞に、液状のポリウレタン原料を充填し、密閉する。その後、密閉された液状のポリウレタン原料を、加圧用ジャケットにより加圧した状態で硬化させることができる。これにより、液状のポリウレタン原料を、加圧状態で架橋反応させることによって、ポリウレタン分子の架橋構造が密になる(架橋密度が大きくなる)ため、耐摩耗性等において高い物性を持つポリウレタン製伝動ベルトを製造することができる。
また、耐摩耗性に優れていることから、従来に比べて、厚みが薄いポリウレタン製伝動ベルトを製造することができる。
【0017】
また、本発明は、上記ポリウレタン製伝動ベルトの製造方法において、
前記外型は、前記内型を収納可能な有底筒形状をしており、
前記内型は、円柱形状で、加熱手段により加熱可能にされており、
前記加圧用ジャケットは、前記外型の内筒面側に設けられ、
更に、前記内型を収納した前記外型を密閉可能な上蓋を備え、
前記原料充填工程では、前記外型の上部を前記上蓋で覆うことにより、前記内型を収納した前記外型を密閉し、
前記加圧硬化工程では、前記空洞に充填されている前記ポリウレタン原料を、前記加圧用ジャケットにより加圧した状態で、前記加熱手段により前記内型を介した加熱により硬化させることを特徴としている。
【0018】
上記方法によれば、加圧用ジャケットは、外型の内筒面に沿って円弧状に設けられている。そして、ポリウレタン原料は、円弧状に設けられた加圧用ジャケットと円柱形状をした内型の外周面との間に配置される。これにより、ポリウレタン原料に均一な加圧及び加熱をすることができる。その結果、ベルト全体が均一な耐摩耗性を有するポリウレタン製伝動ベルトを製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
液状のポリウレタン原料から製造されるポリウレタン製伝動ベルトの耐摩耗性などの物性の向上を図ることができる、ポリウレタン製伝動ベルトの製造方法、及び、それに用いる金型装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態の製造方法により得られる、ポリウレタン製歯付きベルトの一部破断斜視図である。
図2】従来の注型方式でのポリウレタン製歯付きベルトの製造方法の説明図である。
図3】従来の加硫装置を使用したゴム製の伝動ベルトの製造方法の説明図である。
図4】従来の加硫缶を使用したゴム製の伝動ベルトの製造方法の説明図である。
図5】本実施形態に係る金型装置を使用した、ポリウレタン製歯付きベルトの製造方法の説明図である。
図6】本実施形態に係る金型装置を使用した、ポリウレタン製歯付きベルトの製造方法の説明図である。
図7】本実施形態に係る金型装置を使用した、ポリウレタン製歯付きベルトの製造方法の説明図である。
図8】実施例に係るテーバー摩耗試験の説明図である。
図9】本実施形態の製造方法により得られる、補強布を備えたポリウレタン製歯付きベルトの一部破断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本願発明に係るポリウレタン製伝動ベルトの製造方法、及び、それに用いる金型装置について説明する。本実施形態では、製造対象物となるポリウレタン製伝動ベルトとして、ポリウレタン製歯付きベルト1を例示して説明する
【0022】
(ポリウレタン製歯付きベルト1)
ポリウレタン製歯付きベルト1は、図1に示すように、ベルト長手方向に一定ピッチで歯部3と溝部4とが交互に形成されており、ポリウレタン弾性体で形成されるベルト本体2(背部)内に、スチール繊維やアラミド繊維等からなる心線5(撚りコード)がベルト幅方向に所定の間隔(ピッチ)をおいて(又は等間隔で)、螺旋状に埋設されている。ポリウレタン製歯付きベルト1は、精密機器などの動力伝動システムにおいて、駆動プーリと従動プーリ等複数のプーリ間に巻き掛けられて使用される。
【0023】
ベルト本体2及び歯部3を構成するポリウレタン弾性体(又はウレタンエラストマー)は、特に限定されず、慣用のポリウレタンが利用できるが、成形性などの点から、ウレタンプレポリマーと硬化剤との硬化物(二液硬化型ポリウレタン)であってもよい。
ウレタンプレポリマーとしては、硬化剤で硬化可能なプレポリマーであればよく、慣用のプレポリマーを利用できるが、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(例えば、末端に2個以上のイソシアネート基を有するプレポリマー)が汎用される。
末端にイソシアネート基を有するプレポリマーは、ポリオール類に対して過剰量のポリイソシアネート類を反応させて得られたポリウレタンプレポリマーであってもよい。
ポリオール類としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリル系ポリマーポリオールなどが挙げられる。これらのポリオール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリオール類のうち、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオールが汎用され、柔軟性や耐水性などの点から、ポリテトラメチレングリコールエーテルなどのポリエーテルジオールが好ましい。
ポリイソシアネート類には、例えば、脂肪族ポリイソシアネート[プロピレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、リジンジイソシアネート(LDI)などの脂肪族ジイソシアネートや、1,6,11−ウンデカントリイソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートなどの脂肪族トリイソシアネート]、脂環族ポリイソシアネート[シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート、水添ビス(イソシアナトフェニル)メタンなどの脂環族ジイソシアネートや、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどの脂環族トリイソシアネートなど]、芳香族ポリイソシアネート[フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ビス(イソシアナトフェニル)メタン(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、1,3−ビス(イソシアナトフェニル)プロパンなどの芳香族ジイソシアネートなど]などが含まれる。
これらのポリイソシアネート類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリイソシアネート類のうち、HDIなどの脂肪族ジイソシアネート、IPDIなどの脂環族ジイソシアネート、XDIなどの芳香脂肪族ジイソシアネート、MDIやTDIなどの芳香族ジイソシアネートが汎用され、機械的特性などの点から、TDIなどの芳香族ポリイソシアネートが特に好ましい。
【0024】
硬化剤としては、慣用の硬化剤であるポリオール類やポリアミン類を利用でき、プレポリマーの種類に応じて選択できるが、反応性などの点から、ポリアミン類が好ましい。
ポリアミン類としては、例えば、脂肪族ジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミンなど)、脂環族ジアミン(例えば、1,4−シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミンなど)、芳香族ジアミン(例えば、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、フェニレンジアミンなど)、芳香脂肪族ジアミン(例えば、m−キシリレンジアミンなど)、トリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなど)などが挙げられる。
これらのポリアミン類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリアミン類のうち、反応性及び機械的特性などの点から、MOCAなどの芳香族ポリアミン類が特に好ましい。
【0025】
ウレタンプレポリマーと硬化剤とは、通常、イソシアネート基と活性水素原子(例えば、アミノ基)が略当量となる割合(イソシアネート基/活性水素原子=0.8/1〜1.2/1程度)で組み合わせて用いられる。硬化剤の割合は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、例えば、1〜50質量部程度の範囲から選択でき、好ましくは3〜30質量部、さらに好ましくは5〜20質量部程度である。
【0026】
心線5としては、マルチフィラメント糸の撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)を使用できる。心線5を構成する繊維としては、特に制限されず、低伸度高強度の点から、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維などの合成繊維、スチール繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維などが汎用される。
【0027】
上記実施形態では、歯部3及び溝部4の表面に補強布を設けていないポリウレタン製歯付きベルト1について説明したが、歯部3及び溝部4の表面に補強布(歯布)を設けてもよい(図9参照)。
【0028】
この場合、補強布は、ポリウレタン製歯付きベルトの製造時に、歯部3及び溝部4の表面に沿った状態で型付けされる必要があるため、ベルト長手方向に伸びる糸(弾性糸)が盛り込まれる。例えば、補強布は、経糸と緯糸を一定の規則によって縦横に交錯させて織られた織布で構成される。織布の織り方は、綾織り、朱子織等のいずれでもよい。経糸および緯糸の形態は、フィラメント(長繊維)を引き揃えたり、撚り合せたマルチフィラメント糸、1本の長繊維であるモノフィラメント糸、短繊維を撚り合せたスパン糸(紡績糸)のいずれであってもよい。経糸または緯糸がマルチフィラメント糸またはスパン糸の場合、複数種類の繊維を用いた混撚糸または混紡糸であってもよい。緯糸および経糸の少なくとも一方には、伸縮性を有する弾性糸を含んでいてもよい。弾性糸としては、例えば、ポリウレタンからなるスパンデックスのように材質自体が伸縮性を有するものや、繊維を伸縮加工(例えばウーリー加工、巻縮加工等)した加工糸が用いられる。
【0029】
そして、織布をポリウレタン製歯付きベルトの補強布として用いる場合は、弾性糸を含まない経糸をベルト幅方向に、弾性糸を含む緯糸をベルト長手方向に延びるように配置するのが好ましい。それにより、補強布のベルト長手方向の伸縮性を確保できる。補強布を構成する繊維の材質としては、ナイロン、アラミド、ポリエステル、ポリベンゾオキサゾール、綿等の何れかまたはこれらの組み合わせを採用できる。
【0030】
また、補強布として用いる織布は、ポリウレタンとの接着性を高めるために、公知の接着処理を施してもよい。
【0031】
(金型装置10)
次に、ポリウレタン製歯付きベルト1の製造方法で使用する金型装置10について説明する。
【0032】
金型装置10は、図5に示すように、内型20、外型30及び上蓋40を備えた構成をしている。
【0033】
内型20は、円柱形状をしており、内部には、加圧水蒸気が供給される空間部21が設けられている。また、内型20の上部には、後述する上蓋40に設けられた孔41に嵌る円柱状の上側凸部22が設けられている。この上側凸部22には、空間部21と内型20の外部とを連通する2本の配管24(加圧水蒸気の供給路・排出路)が設けられている。また、内型20の下部には、後述する外型30の底部に形成された凹部33と係合する下側凸部23が設けられている。また、内型20の外周面には、軸方向に延びる複数の溝が形成されている(図示せず)。この内型20の外周面に形成された複数の溝により、ポリウレタン製歯付きベルト1の歯部3及び溝部4を型付けることができる。
【0034】
外型30は、内型20を収納可能な有底筒形状をしており、その内周面には加圧用ジャケット31(可撓部材)が配置されている。外型30の外周面には、加圧用ジャケット31にエアーを供給する供給路32及びエアーを排出する排出口36が形成されている。また、外型30の底部には、内型20の下側凸部23と係合する凹部33が設けられている。
【0035】
上蓋40は、円盤形状をしており、上蓋40の中心部分に、外型30に収納された内型20の上側凸部22が嵌められる孔41が形成されている。この上蓋40は、内型20を収納した外型30の上部を覆い、外型30にロック(固定)されることにより、内型20を収納した外型30を密閉する。
【0036】
ここで、図6に示すように、内型20が外型30の内部に収納され(内型20と外型30とが適合された状態に相当)、上蓋40が外型30にロックされた状態で、外型30の内周面に配置された加圧用ジャケット31と内型20の外周面との間には、空洞35が形成される。この空洞35は、液状のポリウレタン原料が充填される空間として使用され、密閉状態を形成可能である。
【0037】
なお、金型装置10には、図示しないが、加圧用ジャケット31に供給路32を介してエアー(圧力媒体)を供給するエアーポンプや、配管24を介して内型20の空間部21に加圧水蒸気を供給する加圧水蒸気供給装置(加熱手段)などが接続される。なお、本実施形態では、加熱手段として、加圧水蒸気供給装置を使用して内型20を加熱しているが、空洞35を加熱する構成を採用してもよいし、外型30や上蓋40に加熱手段を設けた構成にしてもよい。
【0038】
(製造方法)
次に、金型装置10を使用した、ポリウレタン製歯付きベルト1の製造方法について説明する。
【0039】
まず、液状のポリウレタン原料50を用意する。本実施形態では、液状のポリウレタン原料50は、ポリウレタンプレポリマー(ポリエーテル系ウレタンプレポリマー等)に、可塑剤(アジビン酸ビス(DOA)等)を配合して、攪拌混合した液状原料と、硬化剤(3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(MOCA))を溶解した液状原料とを、攪拌混合したものを用意する。
【0040】
そして、図5に示すように、金型装置10の外型30の内部に、液状のポリウレタン原料50を充填する。
【0041】
次に、予め外周面に心線5を螺旋状に巻き付けた内型20を、外型30の内部に挿入し、内型20を外型30の内部に収納する。そうすると、外型30の底部に貯まっている液状のポリウレタン原料50が、外型30の内周面に配置された加圧用ジャケット31と内型20の外周面との間に形成された空洞35に押しやられる。その結果、液状のポリウレタン原料50が空洞35に充満した状態になる(図6参照)。その後、図6に示すように、上蓋40によって外型30の上部を覆い、上蓋40を外型30にロック(固定)することにより、内型20及び液状のポリウレタン原料50を収納した外型30を密閉する(原料充填工程)。
【0042】
次に、加圧水蒸気供給装置により、配管24を介して内型20の空間部21に加圧水蒸気を供給し、内型20の外周面の温度が90〜120℃になるように設定する(図7参照)。
【0043】
また、エアーポンプにより、供給路32を介して加圧用ジャケット31に所定圧力のエアーを供給する(図7参照)。例えば、加圧用ジャケット31によるポリウレタン原料50への加圧の圧力は0.3〜0.9MPaに設定され、加圧時間は、20〜60分に設定される。
【0044】
これにより、図7に示すように、空洞35に密閉された液状のポリウレタン原料50を、加圧用ジャケット31により加圧した状態で、内型20の外周面を介した加熱により硬化させる。その結果、心線5が埋設した筒状のベルトスリーブが成形される(加圧硬化工程)。
【0045】
その後、上蓋40のロックを解除し、外周面にベルトスリーブが張り付いた内型20を外型30から取り出す。そして、ベルトスリーブを内型20から脱型し、冷却した後、所定の幅に輪状に切断してポリウレタン製歯付きベルト1を得る。なお、ベルトスリーブの脱型方法に関しては、上蓋40のロックを解除した後、ベルトスリーブを外型30の内周面側に張り付けておいて、内型20のみを外型30から取り出した後、ベルトスリーブを外型30から脱型する方法でもよい。
【0046】
なお、補強布を備えたポリウレタン製歯付きベルト1を製造する場合には、上記原料充填工程において、予め筒状にした補強布を内型20の外周面に配置してから、その補強布の外周面に心線5を螺旋状に巻き付けた内型20を、外型30の内部に挿入し、内型20を外型30の内部に収納する。これにより、加圧用ジャケット31の加圧を利用して、ポリウレタン製歯付きベルト1の歯部3を形成するとともに、補強布(歯布)も歯部3及び溝部4の表面に沿った状態で型付けすることができる(図9参照)。
【0047】
(効果)
上記金型装置10及び製造方法によれば、密閉された液状のポリウレタン原料50を、加圧用ジャケット31により加圧した状態で硬化させることができる。これにより、液状のポリウレタン原料50を、加圧状態で架橋反応させることによって、ポリウレタン分子の架橋構造が密になる(架橋密度が大きくなる)ため、耐摩耗性等において高い物性を持つポリウレタン製歯付きベルト1(ポリウレタン製伝動ベルト)を製造することができる。また、耐摩耗性に優れていることから、従来に比べて、厚みが薄いポリウレタン製歯付きベルト1を製造することができる。
【0048】
また、加圧用ジャケット31は、外型30の内筒面に沿って円弧状に設けられている。そして、液状のポリウレタン原料50は、円弧状に設けられた加圧用ジャケット31と円柱形状をした内型20の外周面との間に配置される。これにより、ポリウレタン原料50に均一な加圧及び加熱をすることができる。その結果、ベルト全体が均一な耐摩耗性を有するポリウレタン製歯付きベルト1を製造することができる。
【0049】
なお、上記のように、加圧用ジャケット31側から内型20の外周面側へポリウレタン原料50を加圧及び加熱することにより、ポリウレタン原料50に均一な加圧及び加熱を可能としていることから、製造されるポリウレタン製歯付きベルト1の厚みがあまりに大きすぎると、加圧及び加熱の効果が、ポリウレタン製歯付きベルト1の内周側まで十分に伝わらない場合がある。即ち、ポリウレタン製歯付きベルト1の厚み方向で(背部と歯部とで)架橋密度が均一にならない場合がある。
【0050】
そこで、本発明の製造方法で効果を十分に発揮するためには、ポリウレタン製歯付きベルト1の厚み方向の寸法である「背部厚み」や「歯高さ」や、更には、「歯ピッチ(歯部3と歯部3との間のベルト長手方向の距離)」について最適な大きさが想定される(図1参照)。なお、一般的に、歯付ベルトの製品体系では、「歯ピッチ」がベルトのスケールを表す指標(呼称)として規格等で規定されていることから、当業者においては、「歯ピッチ」が大きいほど、歯部が大きく(「歯高さ」が大きい)、「背部の厚み」も大きいことを意味する。
【0051】
具体的には、ポリウレタン製歯付きベルト1のような歯付ベルトの製品体系であれば、「背部の厚み」は0.8mm〜1.9mmの範囲であることが好ましく、「歯ピッチ」は2.0mm〜8.0mmの範囲であることが好ましく、「歯高さ」は0.8mm〜2.9mmの範囲であることが好ましく、「ベルト周長」は300mm〜1000mmの範囲であることが好ましい。
【実施例】
【0052】
次に、上記実施形態の金型装置10(加圧用ジャケットあり)を使用して成形したベルトスリーブを実施例1とし、従来(特許文献1参照)の注型方式で成形したベルトスリーブ(図2参照、加圧用ジャケットなし)を比較例とし、耐摩耗性試験を実施した。
【0053】
実施例1のベルトスリーブ及び比較例のベルトスリーブの寸法は、背部厚みが1mm、歯ピッチ(歯部と歯部との間の距離)が5mm、歯部の数が124個、周長が620mm、ベルトスリーブ長さが200mmとした。
【0054】
(実施例1のベルトスリーブの製造方法)
実施例1のベルトスリーブの製造方法としては、上記実施形態で説明した製造方法を採用した。
【0055】
具体的には、液状のポリウレタン原料50としては、ポリエーテル系ウレタンプレポリマー100質量部に、可塑剤としてアジビン酸ビス(DOA)25質量部を配合して、60℃で攪拌混合した液状原料と、硬化剤として3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)12.5質量部を120℃で溶解した液状原料とを、攪拌混合したものを用意した。
【0056】
そして、図5に示すように、金型装置10の外型30の内部に、液状のポリウレタン原料50を充填した。
【0057】
次に、複数の溝が形成された内型20の外周面に、スチール製の心線5(心線径:0.32mm)を間隔0.6mmで螺旋状に巻き付けた内型20を、外型30の内部に挿入し、内型20を外型30の内部に収納した。その結果、液状のポリウレタン原料50が空洞35に充満した状態になった(図6参照)。その後、図6に示すように、上蓋40によって外型30の上部を覆い、上蓋40を外型30にロック(固定)することにより、内型20及び液状のポリウレタン原料50を収納した外型30を密閉した(原料充填工程)。
【0058】
次に、加圧水蒸気供給装置により、配管24を介して内型20の空間部21に加圧水蒸気を供給し、内型20の外周面の温度が110℃になるように設定した(図7参照)。
【0059】
また、エアーポンプにより、供給路32を介して加圧用ジャケット31に、0.8MPaの圧力でエアーを供給した(図7参照)。
【0060】
そして、図7に示すように、空洞35に密閉された液状のポリウレタン原料50を、加圧用ジャケット31により加圧した状態で、60分間、内型20の外周面を介した加熱により硬化させた。その結果、心線5が埋設した筒状のベルトスリーブを成形した(加圧硬化工程)。
【0061】
その後、上蓋40のロックを解除し、外周面にベルトスリーブが張り付いた内型20を外型30から取り出した。そして、ベルトスリーブを内型20から脱型し、冷却した後、実施例1のベルトスリーブを得た。
【0062】
(比較例のベルトスリーブの製造方法)
比較例のベルトスリーブの製造方法としては、加圧用ジャケット31を備えない金型装置を使用することと、加圧用ジャケット31による加圧の工程を有しないことを除いては、実施例1のベルトスリーブの製造方法と同じ方法を採用した。
【0063】
(耐摩耗性試験(テーバー摩耗試験):JIS K7204)
作製した実施例1および比較例のベルトスリーブから100×100mmの試験片を採取し、図8に示すように、ベルトの背面を摩耗輪に設置させ、テーバー摩耗試験を実施した。評価としては、試験片が1000回転した後の試験片の摩耗減量を計った。試験条件を表1に、試験結果を表2に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
耐摩耗性試験の結果、実施例1のベルトスリーブの方が、比較例のベルトスリーブよりも摩耗減量が少なく、耐摩耗性に優れていることが分かった。
【0067】
(本発明の製造方法が適用可能なポリウレタン製歯付きベルトの大きさの検証)
本発明の製造方法が適用可能なポリウレタン製歯付きベルトの大きさを検証するために、ポリウレタン製歯付きベルトの厚み方向の寸法である「背部厚み」の異なる、実施例1〜実施例5のベルトスリーブを製造し、各ベルトスリーブから採取した100×100mmの試験片に対して、上記耐摩耗性試験(テーバー摩耗試験)を行った。
【0068】
具体的には、表3に示すように、実施例1(「背部厚み」が1mm、「歯ピッチ」が5mmのベルトスリーブ)、実施例2(「背部厚み」が0.8mm、「歯ピッチ」が2mmのベルトスリーブ)、実施例3(「背部厚み」が1.9mm、「歯ピッチ」が8mmのベルトスリーブ)の各ベルトスリーブを製造した。また、実施例3のベルトスリーブに対して、歯部及び溝部の表面に補強布(歯布)を配置した、実施例4のベルトスリーブを製造した(図9参照)。さらに、実施例3のベルトスリーブ(0.8MPa)に対して、加圧の圧力を0.3MPaと低い圧力で製造したベルトスリーブを実施例5とした。
【0069】
実施例4のベルトスリーブで使用する補強布には、綾織りの織布を用い、織布の経糸をベルト幅方向に、緯糸をベルト長手方向に延びるように配置した。織布の緯糸としては、66ナイロンの繊度155dtexのマルチフィラメント糸と、スパンデックス(ポリウレタン弾性繊維)の繊度122dtexのマルチフィラメント糸を用いた。織布の経糸は、繊度が155dtexの66ナイロンのマルチフィラメント糸を用いた。なお、dtex(デシテックス)とは、10000メートルの糸の質量をグラム単位で表したものである。
【0070】
なお、実施例2、実施例3、及び、実施例5のベルトスリーブの製造方法に関しては、上記ベルトスリーブの大きさ、及び、ベルトスリーブにアラミド製の心線(心線径:実施例2では0.25mm、実施例3では1.0mm、実施例5では1.0mm)を所定の間隔(実施例2では0.5mm、実施例3では0.7mm、実施例5では0.7mm)で螺旋状に埋設させたこと以外は、実施例1のベルトスリーブの製造方法と同じ方法を採用した(表3参照)。また、実施例4の補強布を備えたベルトスリーブの製造方法に関しては、上記ベルトスリーブの大きさ、及び、原料充填工程において、予め筒状にした補強布を内型20の外周面に配置してから、その補強布の外周面にアラミド製の心線5(心線径:1.0mm)を間隔0.7mmで螺旋状に巻き付けた内型20を、外型30の内部に挿入し、内型20を外型30の内部に収納した以外は、実施例1の製造方法と同じ方法を採用した(表3参照)。
【0071】
【表3】
【0072】
実施例1〜5のベルトスリーブはいずれも、加圧をしない比較例のベルトスリーブよりも摩耗減量が少なく、耐摩耗性に優れることが分かった。実施例1〜5の寸法を備えたベルトスリーブを製造する過程で、ポリウレタン原料を加圧用ジャケットにより加圧した状態で架橋反応させることによって、耐摩耗性等において高い物性を備えたポリウレタン製歯付きベルトを製造することができることが確認できた(本発明の製造方法が適用可能なポリウレタン製歯付きベルトの大きさを確認することができた)。
【符号の説明】
【0073】
1 ポリウレタン製歯付きベルト
10 金型装置
20 内型
21 空間部
22 上側凸部
23 下側凸部
24 配管
30 外型
31 加圧用ジャケット
32 供給路
33 凹部
35 空洞
36 排出口
40 上蓋
41 孔
50 液状のポリウレタン原料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9