(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ウイルス量又は腫瘍量について全血試料の定量分析を実施する方法であって、前記全血試料がウイルス又は腫瘍についての細胞表面マーカーを含有する複数の細胞を含み、ここで前記方法が、
a)流体流路であって、その中に配置される、試料前処理室を形成する第1の組の区画と、第2の組の区画とを含み、前記試料前処理室が、1又は複数の前記区画内に固定された抗細胞表面マーカー抗体を含有する表面を含み、そしてフィルターを含まない、前記流体流路を規定する管を含むデバイスに前記全血試料を加えること、
b)前記表面と前記試料を前記デバイスの前記試料前処理室内で混合して枯渇試料を生成し、ここで前記枯渇試料が、前記細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含み、そして混合工程が、前記流路中にフィルターを伴わず、かつ前記試料中の細胞を溶解させない条件で行われ、及び
c)核酸増幅技術を用いて前記枯渇試料中のウイルス量又は腫瘍量を前記デバイス内で測定すること、
を含み、ここで前記抗細胞表面マーカー抗体が前記細胞表面マーカーに特異的に結合し;
前記デバイスが、前記第1及び第2の組の区画と動作可能に接続された複数の圧縮部材をさらに含み;
前記流体流路内に位置する前記試料前処理室を形成する前記第1の組の区画が、近位端から遠位端にわたって第1の隣接区画、内部区画、及び第2の隣接区画を含み、
そして前記混合工程が、前記複数の圧縮部材の少なくとも1の圧縮部材によって、前記試料前処理室の1又は複数の区画を選択的に圧縮して、前記試料前処理室内の流路を、前記内部区画の流路の直径が、第1及び第2隣接区画の流路の直径よりも小さくなるように形成し、そして
前記デバイスが、前記流体流路内に、前記試料前処理区画に隣接する核酸分析領域を規定する第2の組の区画を含み、前記核酸分析領域が、試薬調製、標的濃縮、阻害剤除去、核酸抽出、増幅及び即時検出を含む、核酸分析の1又は複数の工程を実行するように各々構成された、1又は複数の追加の区画を含む、前記方法。
ウイルス又は腫瘍についての細胞表面マーカーを含有する複数の細胞を含む全血試料中の1つ以上のウイルス又は腫瘍の標的オリゴヌクレオチド配列のPCR定量分析を実施するように構成されたデバイスであって、当該デバイスが、流体流路及びその内部に配置された複数の区画を規定する管を含み、当該デバイスが、
a)近位端から遠位端にわたって第1の隣接区画、内部区画、及び第2の隣接区画を含み、そして1つ以上の前記区画内の表面に固定された抗細胞表面マーカー抗体を含む、
前記全血試料から枯渇試料を生成するための試料前処理室を規定する前記流体流路内の第1の組の区画であって、前記試料前処理室がフィルターを含まず、かつ前記抗細胞表面マーカー抗体が、前記細胞表面マーカーに特異的に結合する、第1の組の区画;
b)前記試料前処理室において生成された枯渇試料を使用して定量的PCR分析を実行するために、前記試料前処理室に隣接するPCR分析領域を規定することにより、定量的PCR分析を実行するように構成された前記流体流路内の第2の組の区画であって、前記PCR分析領域が、試薬調製、標的濃縮、阻害剤除去、核酸抽出、増幅及び即時検出を含む前記PCR分析のうちの1つ以上の工程を実施するように各々構成された1つ以上の追加の区画を含む、第2の組の区画;
c)前記複数の区画に動作可能に接続され、かつ前記試料前処理室の1つ以上の区画を選択的に圧縮して、前記内部区画の流路の直径が前記第1及び第2の隣接区画の流路の直径よりも小さくなるように前記試料前処理室内に流路を形成する複数の圧縮部材を含み、
前記試料前処理室を、全血試料から枯渇試料を形成するために十分である一方、枯渇試料が前記細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含むように、前記表面が固定された細胞表面マーカー細胞を含むのに十分な条件に供することにより、枯渇試料を生成するように構成される、前記デバイス。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載の方法は、ウイルス量又は腫瘍量に関して全血試料の定量分析を実施するために使用される。この方法で使用される全血試料は、ウイルス細胞又は腫瘍細胞の表面マーカーを含有する複数の細胞を含み、この方法は、(a)フィルターを含まず、かつ固定された抗ウイルス細胞又は抗腫瘍細胞の表面マーカー抗体を含有する表面を含むデバイス又はその構成要素に全血試料を加えること、(b)デバイス内で表面と試料とを試料中の細胞を溶解させない条件下で混合して、細胞の表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含む枯渇試料を生成すること、及び(c)枯渇試料中のウイルス量又は腫瘍量をデバイス内で測定することを含む。
【0006】
一態様において、標的核酸に対して全血試料の定量分析を実施する方法が提供され、前記全血試料は、標的核酸に関連する細胞表面マーカーを含有する複数の細胞を含み、前記方法は、a)流体流路を規定しかつ固定された抗細胞表面マーカー抗体を含有する表面を含む管を備えるデバイスに前記全血試料を加えること、(b)流路内にフィルターは含まずかつ前記試料中の細胞を溶解させない条件で、前記表面と試料を前記デバイス内で混合して、前記細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含む枯渇試料を生成すること、及び(c)前記枯渇試料中の標的核酸を前記デバイス内で測定することを含む。
【0007】
別の態様において、腫瘍量に対して全血試料の定量分析を実施する方法が提供され、前記全血試料は、腫瘍細胞表面マーカーを含有する複数の細胞を含み、この方法は、(a)フィルターを含まず、かつ固定された抗腫瘍細胞表面マーカー抗体を含有する表面を含むデバイス又はその構成要素に全血試料を加えること、b)試料中の細胞を溶解させない条件で、表面と試料をデバイス内で混合して、細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含む枯渇試料を生成すること、及び(c)枯渇試料中の腫瘍量をデバイス内で測定することを含む。
【0008】
さらに別の態様において、ウイルス量に対して全血試料の定量分析を実施する方法が提供され、前記全血試料は、ウイルス細胞表面マーカーを含有する複数の細胞を含み、この方法は、(a)フィルターを含まず、かつ固定された抗ウイルス細胞表面マーカー抗体を含有する表面を含むデバイス又はその構成要素に全血試料を加えること、b)試料中の細胞を溶解させない条件下で、表面と試料をデバイス内で混合して、細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含む枯渇試料を生成すること、及び(c)枯渇試料中のウイルス量をデバイス内で測定することを含む。
【0009】
さらなる態様において、ウイルス量又は腫瘍量に対して全血試料の定量分析を実施する方法が提供され、前記全血試料は、ウイルス又は腫瘍の細胞表面マーカーを含有する複数の細胞を含み、前記方法は、a)固定された抗細胞表面マーカー抗体を含有する表面を含む流体流路を規定する管を含むデバイスに前記全血試料を加えること、(b)流体流路中にフィルターは含まず、かつ前記試料中の細胞を溶解させない条件で前記表面と試料を前記デバイス内で混合して、前記細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含む枯渇試料を生成すること、及び(c)前記枯渇試料中のウイルス量又は腫瘍量を前記デバイス内で測定することを含む。
【0010】
一態様において、前記デバイスは、その内部に配置された試料前処理室を含み、前記試料前処理室は、近位端から遠位端にわたって第1の隣接区画、内部区画、及び第2の隣接区画を含み、前記混合工程は、前記試料前処理室の1つ以上の区画を選択的に圧縮して、内部区画の流路の直径が第1の隣接区画及び第2の隣接区画の流路の直径よりも小さくなるように、試料前処理室内の流路を形成することを含む。一態様において、前記内部区画の流路の直径は、第1隣接区画及び第2の隣接区画の流路の直径の25〜50%である。一態様において、前記内部区画の流路の直径は、第1隣接区画及び第2の隣接区画の流路の直径の約33%である。一態様において、前記デバイスは試料前処理室を備え、前記表面は前記前処理室の内壁である。一態様において、前記枯渇試料は、前記細胞表面マーカーを含有する2.5%未満の細胞を含む。別の態様において、前記枯渇試料は、前記細胞表面マーカーを含有する1%未満の細胞を含む。一態様において、この方法は、工程(b)に続いて細胞表面マーカー細胞が固定された表面から前記枯渇試料を前記デバイス内で分離することをさらに含む。一態様において、前記方法は、ウイルス又は腫瘍の100コピー/mL未満の検出限界を達成する。一態様において、前記細胞表面マーカーは、CD4、CD45、βミクログロブリン、又はそれらの混合物からなる群から選択される。特定の態様において、前記細胞表面マーカーはCD4である。一態様において、前記ウイルス量又は腫瘍量の測定値は、前記全血試料を提供する患者から採取した血漿試料中のウイルス量又は腫瘍量の測定値のそれぞれに対し直線関係にある。
【0011】
特定の態様において、この方法は、1つ以上のウイルス又は腫瘍関連標的オリゴヌクレオチド配列の核酸分析を実施するデバイス内で実行され、このデバイスは、フィルターを含まず、かつ固定された抗ウイルス又は抗腫瘍細胞表面マーカー抗体を含有する表面を含む試料前処理室を備え、この方法は、
a)全血試料を試料前処理室に加えること、
b)試料中の細胞を溶解させない条件下で表面及び試料を混合するのに十分な条件で試料前処理室を処理して、ウイルス又は腫瘍細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含む枯渇試料、及び細胞表面マーカーの細胞結合表面を生成すること、
c)枯渇試料を表面から分離すること、
d)枯渇試料をデバイス内の試料前処理室から核酸分析領域に移すこと、
e)デバイス内で枯渇試料の核酸分析を実施すること、及び
f)枯渇試料中の1つ以上の標的オリゴヌクレオチドをデバイス内で検出すること、かつ
g)検出工程f)に基づいてウイルス量又は腫瘍量を計算することを含む。
【0012】
一態様において、1つ以上のウイルス標的オリゴヌクレオチド配列の核酸分析を実施するデバイスで実行される方法が提供され、このデバイスは、フィルターを含まず、かつ固定された抗ウイルス細胞表面マーカー抗体を含有する表面を含む試料前処理室を備え、この方法は、
a)全血試料を試料前処理室に加えること、
b)試料中の細胞を溶解させない条件下で表面及び試料を混合するのに十分な条件で試料前処理室を処理して、ウイルス細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含む枯渇試料及び細胞表面マーカーの細胞結合表面を生成すること、
c)枯渇試料を表面から分離すること、
d)枯渇試料をデバイス内の試料前処理室から核酸分析領域に移すこと、
e)前記デバイス内で枯渇試料の核酸分析を実施すること、及び
f)枯渇試料中の1つ以上のウイルス標的オリゴヌクレオチドをデバイス内で検出すること、かつ
g)検出工程f)に基づいてウイルス量を計算することを含む。
【0013】
一態様において、1つ以上の腫瘍標的オリゴヌクレオチド配列の核酸分析を実施するデバイスで実行される方法が提供され、このデバイスは、フィルターを含まず、かつ固定された抗腫瘍細胞表面マーカー抗体を含有する表面を含む試料前処理室を備え、この方法は、
a)全血試料を試料前処理室に加えること、
b)試料中の細胞を溶解させない条件下で表面及び試料を混合するのに十分な条件で試料前処理室を処理して、ウイルス細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含む枯渇試料及び細胞表面マーカーの細胞結合表面を生成すること、
c)枯渇試料を表面から分離すること、
d)枯渇試料をデバイス内の試料前処理室から核酸分析領域に移すこと、
e)デバイス内で枯渇試料の核酸分析を実施すること、及び
f)枯渇試料中の1つ以上の腫瘍標的オリゴヌクレオチドをデバイス内で検出すること、かつ
g)検出工程f)に基づいてウイルス量を計算することを含む。
【0014】
別の態様において、細胞表面マーカーを含有する複数の細胞を含む全血試料中の1つ以上の標的オリゴヌクレオチド配列の核酸定量分析を実施するデバイスが提供され、このデバイスは、(a)フィルターを含まず、かつ固定された細胞表面マーカー抗体を含有する磁性粒子を含む試料前処理室、及び(b)試薬調製、標的濃縮、阻害剤除去、核酸抽出、増幅及び即時検出を含む前記核酸分析のうちの1つ以上の工程をそれぞれ実施する1つ以上の追加区画を備える核酸分析領域を含み、この試料前処理室は、細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含む枯渇試料を生成するようになっている。
【0015】
一態様において、細胞表面マーカーを含有する複数の細胞を含む全血試料中の1つ以上の標的オリゴヌクレオチド配列のPCR定量分析を実施するデバイスが提供され、前記デバイスは流体流路を規定する管及びその内部に配置した複数の区画を含み、前記デバイスは、(a)近位端から遠位端にわたって第1の隣接区画、内部区画、及び第2の隣接区画、及び前記区画の1つ以上に固定された抗細胞表面マーカー抗体を含み、かつフィルターを含まない試料前処理室を規定する前記流体流路内の第1組の区画、(b)前記試料前処理室に隣接し、かつ試薬調製、標的濃縮、阻害剤除去、核酸抽出、増幅及び即時検出を含む前記PCR分析のうちの1つ以上の工程をそれぞれ実施する1つ以上の追加区画を含むPCR分析領域を規定する前記流体流路内の第2組の区画、及び(c)前記複数の区画に動作可能に接続され、かつ前記試料前処理室の1つ以上の区画を選択的に圧縮して、内部区画の流路の直径が第1隣接区画及び第2の隣接区画内の流路の直径よりも小さくなるように、試料前処理室内に流路を形成する複数の圧縮部材を含み、前記デバイスは、前記細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含む枯渇試料を試料前処理室内に生成するようになっている。特定の態様において、このデバイスは、その内部に配置された試料前処理室を含み、前記試料前処理室は、近位端から遠位端にわたって第1の隣接区画、内部区画、及び第2の隣接区画を含み、前記混合工程は、前記試料前処理室の1つ以上の区画を選択的に圧縮して、内部区画の流路の直径が第1の隣接区画及び第2の隣接区画の流路の直径より小さくなるように、前記試料前処理室内に流路を形成することを含む。特定の態様において、内部区画の流路の直径は、第1の隣接区画及び第2の隣接区画の流路の直径の25〜50%であり、特に内部区画の流路の直径は、第1隣接区画及び第2の隣接区画内の流路の直径の約33%である。
【0016】
一態様において、ウイルス又は腫瘍の細胞表面マーカーを含有する複数の細胞を含む全血試料中の1つ以上のウイルス又は腫瘍標的オリゴヌクレオチド配列のPCR定量分析を実施するデバイスが提供され、前記デバイスは、流体流路を規定する管及びその内部に配置した複数の区画を含み、前記デバイスは、(a)近位端から遠位端にわたって第1の隣接区画、内部区画、及び第2の隣接区画、及び前記区画のうちの1つ以上に固定された抗細胞表面マーカー抗体を含み、かつフィルターを含まない試料前処理室を規定する前記流体流路内の第1組の区画、(b)前記試料前処理室に隣接し、かつ試薬調製、標的濃縮、阻害剤除去、核酸抽出、増幅及び即時検出を含む前記PCR分析のうちの1つ以上の工程をそれぞれ実施する1つ以上の追加区画を含むPCR分析領域を規定する前記流体流路内の第2組の区画、及び(c)前記複数の区画に動作可能に接続され、かつ前記試料前処理室の1つ以上の区画を選択的に圧縮して、内部区画の流路の直径が第1隣接区画及び第2の隣接区画の流路の直径よりも小さくなるように、前記試料前処理室内に流路を形成する複数の圧縮部材を含み、前記デバイスは、前記細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含む枯渇試料を試料前処理室内に生成するようになっている。このデバイスの一態様において、前記内部区画の流路の直径は、第1の隣接区画及び第2の隣接区画の流路の直径の25〜50%である。一態様において、前記内部区画の流路の直径は、第1隣接区画及び第2の隣接区画内の流路の直径の約33%である。一態様において、前記デバイスは、ウイルス又は腫瘍の100コピー/mL未満の検出限界を有する。一態様において、前記細胞表面マーカーは、CD4、CD45、βミクログロブリン、又はそれらの混合物からなる群から選択される。特定の態様において、前記細胞表面マーカーはCD4である。
【0017】
本明細書中に開示される方法及びデバイスの特定の態様において、複数の細胞は、単核細胞及びT細胞を含み、前記表面は、前記単核細胞及びT細胞の細胞表面マーカーに結合する。枯渇試料は、細胞表面マーカーを含有する2.5%未満の細胞、特に1%未満の細胞を含むことができる。この方法は、200コピー/mL未満の、特に100コピー/mL未満の標的の検出限界を達成できる。細胞表面マーカーは、CD4、CD45、βミクログロブリン、又はそれらの混合物からなる群から選択されてもよく、この表面は、例えば磁性粒子などの粒子、又はデバイスの前処理区画の内壁であってもよい。このデバイス及び方法は、限定はされないが試料中のHIVのウイルス量を含む標的核酸の量を評価するために、ならびに限定はされないが、肝炎(例えば、A型肝炎(HAV)、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)及びE型肝炎(HEV)、特にB型肝炎及びC型肝炎)、エスプタインバー(EBV)、ウエストナイルウイルス(WNV)、サイトメガロウイルス(CMV)、日本脳炎(JNV)、チクングニア(CHIK)、デング熱、BKウイルス、ジーカ、バベシア及びそれらの組み合わせを含む標的核酸の量を評価するために使用されてもよい。特定の態様において、このデバイス及び方法は、HIV、HBV、又はHCVのウイルス量を評価するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
定義
本明細書において他に定義のない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を持つものとする。さらに、文脈によって特に要求のない限り、単数形の用語は複数を含み、複数形の用語は単数も含むものとする。「a」及び「an」の冠詞は、本明細書では、その冠詞の文法的な対象である1つ又は1つより多い(すなわち、少なくとも1つ)ことを指すように使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0027】
「検出する(detect)」、「検出すること(detecting)」、「検出(detection)」及びその類似の用語は、本出願では、工程、あるいは何らかの有無、ならびに程度、量、水準、又は発生確率を知見又は判定することを広範囲に指すように使用される。例えば、標的核酸配列に関して使用される際の「検出すること」という用語は、その配列の有無、水準又は量、ならびに配列の有無の確率又は尤度の知見又は判定を示すことができる。「有無を検出すること」、「有無の検出」及びそれに関連する表現は、定性検出かつ定量検出を含むと理解すべきである。例えば、定量検出には、試料中のHIV関連核酸配列の水準、分量又は含量の判定が含まれる。
【0028】
「核酸」、「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」の用語は、ヌクレオチド(例えば、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチド)のポリマーを指し、天然に存在する核酸(アデノシン、グアニジン、シトシン、ウラシル及びチミジン)、天然に存在しない核酸、及び修飾された核酸を含む。この用語は、ポリマーの長さ(例えばモノマーの数)によっては限定されない。核酸は一本鎖又は二本鎖であってもよく、かつ一般に5’−3’ホスホジエステル結合を含むが、場合によっては、ヌクレオチド類似体は他の結合を有していてもよい。モノマーは、典型的にはヌクレオチドを指す。「非天然ヌクレオチド」又は「修飾ヌクレオチド」という用語は、修飾された窒素性塩基、糖又はリン酸基を含有するか、又はその構造中に非天然部分を組み込んでいるヌクレオチドを指す。非天然ヌクレオチドの例として、ジデオキシヌクレオチド、及びビオチン化した、アミノ化した、脱アミノ化した、アルキル化した、ベンジル化した、かつ蛍光体で標識化した各ヌクレオチドが挙げられる。
【0029】
「プライマー」という用語は、適切な条件下で核酸ポリメラーゼによるポリヌクレオチド鎖合成の開始点として作用する短い核酸(オリゴヌクレオチド)を指す。ポリヌクレオチド合成反応及び増幅反応は、典型的には、適切な緩衝液、dNTP及び/又はrNTP、及び1つ以上の任意の補因子を含み、かつ適切な温度で実施される。プライマーは、典型的には、標的配列に少なくとも実質的に相補的である少なくとも1つの標的ハイブリダイズ領域を含む。この領域は、典型的には約15〜約40ヌクレオチドの長さである。「プライマー対」は、標的配列の対向鎖に相補的であり、かつ標的配列を増幅するように設計されたフォワードプライマー及びリバースプライマー(5’プライマー及び3’プライマーとも呼ばれる)を指す。フォワードプライマー及びリバースプライマーは、標的配列に互いに、例えば約10〜5000ヌクレオチド、又は約25〜500ヌクレオチドの増幅可能な距離以内に配置される。
【0030】
本明細書中で使用される「プローブ」は、特異的に意図された標的生体分子、例えばプローブにより結合、捕捉又はハイブリダイズされる目的の核酸配列に、選択的に結合可能な任意の分子を意味する。
【0031】
「相補的」又は「相補性」という用語は、ポリヌクレオチド中の核酸が別のポリヌクレオチド中の別の核酸と塩基対を形成する能力を意味する。例えば、5’−A−G−T−3’の配列(RNAでは、5’−A−G−U−3’)は、3’−T−C−A−5’(RNAでは、3’−U−C−A−5’)の配列に相補的である。相補性は、核酸の一部分のみが塩基対形成に沿って一致するような部分的なものであってもよく、又はすべての核酸が塩基対形成に沿って一致するような完全なものであってもよい。プローブ又はプライマーは、それが標的配列に対し少なくとも部分的に相補的である場合に、標的配列に対し「特異的」であると考えられる。条件にも依るが、標的配列に対する相補性の程度は、典型的には、より長い配列に対するよりも、プライマーのようなより短い核酸(例えば、80%を超え、90%、95%、又はそれ以上)に対する方が高い。
【0032】
「増幅条件」又はその類似の表現である用語は、プライマーのハイブリダイズ化及び鋳型依存性伸長を可能にする核酸増幅反応(例えばPCR増幅)での条件を指す。「アンプリコン」という用語は、標的核酸配列の全部分又は一部分を含み、かつ任意の適切な増幅方法による生体外での増幅産物として生成される核酸分子を指す。種々のPCR条件は、PCR Protocolsの第14章にあるPCR Strategies(Innis et al., 1995, Academic Press, San Diego, CA)、及びA Guide to Methods and Applications(Innis et al., Academic Press, NY, 1990)に記載されている。
【0033】
「熱安定性核酸ポリメラーゼ」又は「熱安定性ポリメラーゼ」という用語は、例えば大腸菌由来のポリメラーゼと比較した場合に、高温で相対的に安定であるポリメラーゼ酵素を指す。熱安定性ポリメラーゼは、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)に典型的な温度サイクル条件下での使用に適している。典型的な熱安定性ポリメラーゼには、サーマス・サーモフィラスThermus thermophilus、サーマス・カルドフィラス(Thermus caldophilus)、サーマス種Z05(Thermus sp. Z05)例えば、米国特許第5,674,738号を参照)、ならびにサーマス種Z05ポリメラーゼ(Thermus sp. Z05 polymerase)、サーマス・アクアチカス(Thermus aquaticus)、サーマス・フラバス(Thermus flavus)、サーマス・フィリホルミス(Thermus filiformis)、サーマス種sps17(Thermus sp. sps17)、ディノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)、ホットスプリングファミリーB/コロン7(Hot Spring family B/clone 7)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・カルドテナス(Bacillus caldotenax)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga neapolitana)、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)及びサーモシホ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)の各変異体、ならびにその修飾版が挙げられる。
【0034】
「試料」又は「生体試料」という用語は、個体由来の核酸を含むか、又は含むと推定される任意の組成物を指す。この用語は、細胞、組織又は血液の精製成分又は分離成分、例えばDNA、RNA、タンパク質、無細胞部分、又は細胞溶解物を含む。特定の態様において、分析は全血試料に対し実施される。本明細書で使用される「全血試料」は、身体から採取され、かつ血漿や血小板のような構成成分が除去されていない血液を含む。一般に、この試料は、抗凝血剤の添加以外は修飾されていない。この試料はまた、他の種類の生体試料、例えば、血漿、血清、血液成分(白血球膜)、及び乾燥血液滴を指すこともできる。この試料はまた、細胞株を含む個体から得られた細胞の生体外での培養物の組成分及び成分を含んでもよい。
【0035】
「キット」という用語は、本明細書に記載の標的核酸配列を特異的に増幅、捕捉、タグ付け/変換又は検出するために、本明細書に記載する固相担体を含有する少なくとも1つのデバイスを含む任意の製造物(例えば、パッケージ又は容器)を指す。このキットは、本明細書に記載の方法又はその工程で使用する使用説明書、補充試薬及び/又は構成要素又はモジュールをさらに含むことができる。
方法
【0036】
本開示は、細胞表面マーカーを含有する複数の細胞を含む全血試料に、標的核酸配列の定量分析を実施する方法を提供する。特定の態様において、標的核酸配列はウイルスの配列であり、細胞表面マーカーはウイルス細胞表面マーカーである。この方法は、
a)固定された抗細胞表面マーカー抗体を含有する表面を含むデバイスに全血試料を加える工程、
b)試料中の細胞を溶解させない条件で表面及び試料をデバイス内で混合して、細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含む枯渇試料を生成する工程、及び
c)枯渇試料中の標的核酸配列の量をデバイス内で測定する工程
を含む。
【0037】
標的核酸配列がウイルスの配列である場合に、枯渇試料中の標的核酸配列の量は、試料中のウイルス量と相関する。あるいは、標的核酸配列が腫瘍に関連する場合には、工程a)で抗腫瘍細胞表面マーカー抗体を表面に使用し、枯渇試料中の標的核酸配列の量は、試料中の腫瘍量と相関する。
【0038】
特定の態様において、混合工程は、試料から細胞表面マーカーを濾過することなく実施される。
【0039】
本明細書に記載の方法で試験される全血試料は、限定はされないが、単核細胞及びT細胞、ならびにマクロファージ及び樹状細胞を含む細胞表面マーカーを含有する複数の細胞型を含む。特定の態様において、複数の細胞は、単核細胞及びT細胞を含む。
【0040】
特定の態様において、本明細書に記載の方法及びデバイスは、HIVウイルス量を分析するために使用され、本明細書に記載の方法で使用されるHIV感染細胞マーカーは、CD4、CD45、βミクログロブリン、又はそれらの組み合わせであってもよい。特定の態様において、HIV感染細胞マーカーはCD4である。さらなるHIV感染マーカーには、限定はされないが、CD27、TNFR−II、IL−12、及び/又はCD38を含んでもよい。このデバイス及び方法は、HIVのウイルス量を評価するために、ならびに限定はされないが、肝炎(例えば、A型肝炎(HAV)、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)及びE型肝炎(HEV)、特にB型肝炎及びC型肝炎)、エスプタインバー(EBV)、ウエストナイルウイルス(WNV)、サイトメガロウイルス(CMV)、日本脳炎(JNV)、チクングニア(CHIK)、デング熱、BKウイルス、ジーカ、バベシア及びそれらの組み合わせを含む他のウイルス量を評価するために使用されてもよい。特定の態様において、このデバイス及び方法は、HIV、HBV、又はHCVのウイルス量を評価するために使用される。
【0041】
さらに、本明細書に記載のデバイス及び方法はまた、その存在が所定の細胞表面マーカーと関連する任意の標的核酸配列の量を評価するために使用することができる。細胞表面マーカーは、患者の特定の疾患状態又は症状に特徴的な特定の細胞型のマーカーとして作用する、細胞の表面に発現されるタンパク質である。例えば、ウイルス細胞表面マーカーは、ウイルス感染のマーカーであり、同様に、腫瘍細胞マーカーは、様々な形態の癌のマーカーである。ウイルス細胞マーカーを評価する際に、試料中のウイルス量が算定され、腫瘍細胞マーカーを評価する際には、試料中の腫瘍量が算定される。通常の腫瘍マーカーとしては、限定はされないが、ALK、AFP、B2M、βhCG、BRCA1、BRCA2、BCR−ABL、BRAFV600変異体、C−kit/CD117、CA15−3/CA27.29、CA19−9、CA−125、カルシトニン、CEA、CD20、CgA、上皮由来循環性腫瘍細胞、サイトケラチン断片21−1、EGFR、ER、PR、フィブリン、フィブリノゲン、HE4、HER2/neu、IgG、KRAS、乳酸デヒドロゲナーゼ、NSE、核基質スタンパク質22、PD−L1、PSA、サイログロブリン、uPA、及びそれらの組み合わせが挙げられる。さらに、所定の疾患又は症状の他の細胞マーカー特性もまた、本明細書に記載の方法を用いて分析することができる。例えば、胎児の遺伝マーカーは、本明細書に記載の方法及びデバイスを使用して母体血漿中で検出することができる。
【0042】
本明細書に記載の方法及びデバイスは、ウイルスの細胞表面受容体に特異な抗体又は他の結合試薬を使用してもよい。「抗体」という用語は、(抗体サブユニットの体外での再会合によって集合したハイブリッド抗体を含む)生来の抗体分子、(例えば、Porter, R. R. and Weir, R. C. J. Cell Physiol., 67 (Suppl); 51-64 (1966)及びHochman, l. Inbar, D. and Givol, D. Biochemistry 12: 1130 (1973)に記載されるような)抗体断片及び抗体の抗原結合領域を含む組換えタンパク質構築物、ならびに化学的に修飾された抗体構築物を含む。本明細書で使用される抗体は、モノクローナル又はポリクローナルであってもよい。特定の態様において、抗体はモノクローナルである。さらに又はあるいは、本方法及びデバイスは、ウイルス細胞表面受容体に結合特異性を持つ他の結合試薬を使用することができる。この結合試薬は、天然由来であってもよく、又は完全な又は部分的な合成物であってもよく、限定はされないが、配位子、酵素、オリゴヌクレオチド、又はアプタマーが挙げられる。
【0043】
従って、本明細書に記載の表面は、細胞表面マーカーのための複数の結合試薬を含む。一態様において、この細胞表面マーカーは、限定はされないが、抗CD4、抗CD45、抗βミクログロブリン、抗CD27、抗TNFR−II、抗IL−12、及び/又は抗CD38を含むHIV感染細胞マーカーである。別の典型的な態様において、細胞表面マーカーは、限定はされないが、抗ALK、抗AFP、抗B2M、抗βhCG、抗BRCA1、抗BRCA2、抗BCR−ABL、抗BRAFV600変異体、抗C−kit/CD117、抗CA15−3/CA27.29、抗CA19−9、抗CA−125、抗カルシトニン、抗CEA、抗CD20、抗CgA、抗上皮由来循環性腫瘍細胞、抗サイトケラチン断片21−1、抗EGFR、抗ER、抗PR、抗フィブリン、抗フィブリノゲン、抗HE4、抗HER2/neu、抗IgG、抗KRAS、抗乳酸デヒドロゲナーゼ、抗NSE、抗核基質タンパク質22、抗PD−L1、抗PSA、抗サイログロブリン、又は抗uPAを含む腫瘍マーカーである。特定の態様において、粒子は、例えば2つ以上の異なる細胞マーカーである複数のマーカーを含み、例えば2つ以上のマーカーとして、抗CD4、抗CD45、抗βミクログロブリン、抗CD27、抗TNFR−II、抗IL−12、及び/又は抗CD38が挙げられ、または2つ以上のマーカーとして、抗ALK、抗AFP、抗B2M、抗βhCG、抗BRCA1、抗BRCA2、抗BCR−ABL、抗BRAFV600変異体、抗C−kit/CD117、抗CA15−3/CA27.29、抗CA19−9、抗CA−125、抗カルシトニン、抗CEA、抗CD20、抗CgA、抗上皮由来循環性腫瘍細胞、抗サイトケラチン断片21−1、抗EGFR、抗ER、抗PR、抗フィブリン、抗フィブリノゲン、抗HE4、抗HER2/neu、抗IgG、抗KRAS、抗乳酸デヒドロゲナーゼ、抗NSE、抗核基質タンパク質22、抗PD−L1、抗PSA、抗サイログロブリン、又は抗uPAが挙げられる。
【0044】
特に、この表面は、抗CD4、抗CD45、及び/又は抗βミクログロブリンのうちの2つ以上の複数を含む。あるいは、表面は、抗HIV感染細胞マーカーの均一な集団を含む。特定の態様において、表面は複数の抗CD4抗体を含み、又は複数の抗CD45抗体、又は複数の抗βマイクログロブリン抗体を含む。
【0045】
適切な表面には、ビーズ又は粒子、ならびにこの方法が実施されるデバイスの区画、例えば前処理室の内側の溶液対向壁に配置される結合表面が含まれる。一態様において、表面は、ビーズ、又は磁性粒子、ポリプロピレン粒子、及びラテックス粒子などの他の種類の粒子に基づく分析で一般に使用される(限定はされないが、コロイド又はビーズを含む)粒子などの粒子、及びポリスチレン粒子及びポリアクリルアミド粒子などの固相合成に典型的に使用される材料、ならびにシリカ、アルミナ、ポリアクリルアミド、ポリスチレンなどのクロマトグラフィー用途に典型的に使用される材料を含む。この材料はまた、炭素原線維のような繊維であってもよい。この粒子は、無生物であってもよく、あるいは、細胞、ウイルス、細菌などの生物を含んでもよい。
【0046】
本方法で使用される粒子は、1つ以上の結合試薬への付着に適し、かつ例えば遠心分離、重力、濾過又は磁気での収集により採取される任意の材料を含んでいてもよい。結合試薬に付着できる多種多様な種類の粒子は、結合分析に使用するように市販されている。これら粒子には、非磁性粒子、ならびに磁場で粒子を採取できる磁化可能材料を含有する粒子が含まれる。一態様において、粒子は、コロイド状金粒子などの導電性材料及び/又は半導電性材料を含む。
【0047】
粒子は、様々な大きさ及び形状であってもよい。限定はしないが例として、粒子は5nm〜100μmであってもよい。例えば、粒子は20nm〜10μmの大きさである。特定の態様において、粒子は0.1μm〜10μmであり、特に5μm以下である。例えば、粒子は1〜5μmである。粒子は、球形、長方形、棒状などであってもよく、あるいは形状は不規則であってもよい。
【0048】
別の態様において、本明細書に記載の方法を実施するために使用するデバイスは、ウイルス表面マーカーに対する固定された複数の結合試薬を含むように修飾された表面を含む。この態様において、この方法は、ウイルス感染細胞表面マーカーがその上に固定された複数の結合試薬を持つ内部試料対向壁を含む試料前処理室に全血試料を加えることを含む。次いで前処理室は、枯渇試料がウイルス細胞表面マーカーを含有する5%未満の細胞を含むように、枯渇試料及び固定されたウイルス表面マーカー細胞を含有する表面を形成するのに十分な条件で処理される。特定の態様において、試料中の細胞を溶解させない条件で、この処理工程を実施する。次に、より詳細に以下に記載するように、枯渇試料を前処理室から分離し、核酸分析領域に移す。
【0049】
本明細書に記載の方法を使用して、HIV−1及びHIV−2、ならびにその任意の群又は亜型を含むHIVの任意の病原性株を分析できる。例えば、この方法を使用して、HIV−1群のM、N、O、P、及びそれらの組み合わせを分析できる。特定の例において、この方法を使用して、HIV−1群のM及び/又はO、場合によって1つ以上のさらなるHIV−1群を分析する。この方法をさらに使用して、限定はされないが、亜型であるA、A1、A2、CRF19、B、C、D、F、G、CRF02_AG、H、CRF04_cpx、J、K、及びそれらの組み合わせを含む1つ以上のHIV−1の亜型を分析できる。さらにこの方法を使用して、HIV−2のA〜H群、特にHIV−2のA群及びB群を検出できる。さらにこの方法を使用して、B型肝炎、C型肝炎、又はCMVを検出できる。
【0050】
特定の態様において、本明細書に記載の方法は、細胞表面マーカーを持つ10%未満の細胞を含む枯渇試料を生成するように設計される。特に枯渇試料は、細胞表面マーカーを持つ5%未満の細胞、特に細胞表面マーカーを持つ3%未満の細胞、さらに特に1%未満の細胞を含む。さらなる特定の態様において、本明細書に記載の方法は、1000コピー/mL未満の全血ウイルス量及び/又は腫瘍量を達成できる。
【0051】
試料処理デバイス
本明細書に記載の方法は、核酸増幅技術を実施する試料処理デバイス内で実行される。生体試料から抽出された核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写媒介増幅(TMA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、及び鎖置換増幅反応(SDAR)の典型的な手法のうちの少なくとも一つを使用する核酸の増幅によって、さらに処理されてもよい。いくつかの態様において、生物から抽出された核酸は、リボ核酸(RNA)であり、それらの処理は、TthポリメラーゼとTaqポリメラーゼ又は逆転写酵素とTaqポリメラーゼなどの酵素の組合せを用いる結合型逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を含んでもよい。いくつかの態様において、刻み目付き環状核酸プローブは、T4DNAリガーゼ又はAmpligase
TMを用いて環状化でき、DNA標的やRNA標的のような核酸を誘導でき、続いて体外での選択工程後に閉環状プローブの生成を検出する。この検出は、当業者に周知の酵素を用いてPCR、TMA、RCA、LCR、NASBA又はSDARを介して実施できる。典型的な態様において、核酸の増幅は、核酸増幅中の蛍光の増大を検出する蛍光標識核酸プローブ又はDNA挿入色素、ならびに分子分析器内の光度計又は電荷結合デバイスを使用して即時に検出することができる。これらの蛍光標識されたプローブは、当業者に周知の検出方式(すなわち、TaqMan
TM、molecular beacons
TM、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)プローブ、scorpion
TMプローブ)を使用し、蛍光の消光ならびに消光時の放出、又は一方のレポーターから他方のレポーターへの蛍光エネルギー移動を通常は使用して、特定の核酸の合成又は存在を検出する。
【0052】
一態様において、本明細書で開示される方法は、ミクロ寸法からマクロ寸法の内蔵型経路、室、貯蔵部、検出領域及び処理領域を含むデバイスで実行される。このデバイスは、例えば、米国特許第6,440,725号、6,783,934号、6,818,185号、6,979,424号、8,580,559号、及び8,940,526号に記載されるカートリッジ、デバイス、容器、又はパウチであってもよく、ならびにCepheid Corp.、Idaho Technology, Inc.、及び/又はBiofire Diagnostics, Incから入手できるようなデバイスであってもよい。
【0053】
例えば、本明細書中に記載される方法は、米国公開特許第20100056383号の
図1に示されるように、細胞溶解領域、核酸調製領域、第1段階増幅領域、第2段階増幅領域を含む内蔵型核酸分析パウチ内で実行できる。このパウチは、様々なサイズの種々の経路及び膨らみ部を含み、かつ試料がシステム及び種々の領域を通って流れ、それに応じて処理されるようには配置されている。試料処理は、パウチ内に配置された種々の膨らみ部で行われる。処理領域内及び処理領域間で試料を移動させるように多数の経路が設けられ、流体及び試薬を試料に送達し、あるいは試料からその流体及び試薬を除去するようにその他の経路が設けられる。パウチ内の液体は、圧力、例えば空気圧によって膨らみ部間を移動する。特定の態様において、本明細書に記載の細胞枯渇工程は、細胞溶解領域に先行する領域で実施される。
【0054】
別の例において、本明細書に記載された方法は、米国特許第9,322,052号の
図3〜5及び
図9に示されるような内蔵型核酸分析カートリッジで実行できる。このカートリッジは、特に、入口ポートを通して導入された流体試料を保持する試料室、洗浄液を保持する洗浄室、溶解試薬を保持する試薬室、溶解室、使用済みの試料と洗浄液を受け入れる廃物室、中和剤を保持する中和剤室、及び主要混合物(例えば、増幅試薬及び蛍光プローブ)を保持し、その試薬とプローブを液体試料から分離された検体と混合する主要混合物室、反応容器、及び検出室を含む。この特定の態様において、本明細書に記載の細胞枯渇工程は、溶解室に先行する室内で行われる。
【0055】
特定の態様において、本明細書に記載の方法は、米国特許第7,718,421号に記載されるような試料処理デバイスで実施される。米国特許第7,718,421号に記載されるような区画化デバイスは、生体試料を受取り、保存し、処理し、及び/又は分析するのに好都合な容器を提供する。特定の態様において、区画化措置は、複数の処理工程を含む試料処理手順を容易にする。特定の態様において、試料デバイス内に試料を収集し、次いでそのデバイスをデバイス及びその内容物を操作する分析器内に配置して試料を処理する。
【0056】
特定の態様は、破断可能なシールによって区画に分割された可撓性デバイスを含む。個々の区画は、試料を処理する様々な試薬及び緩衝剤を含んでもよい。締め具及びアクチュエータは、様々な組み合わせで、かつ様々なタイミングで適用されて、流体の移動を導き破断可能なシールを破裂させることができる。この破断可能なシールの破裂では、流体流れに対する障害物を実質的に含まない内部デバイス表面を残していてもよい。一態様において、生体試料の流れは、処理が進行するにつれてデバイスの遠位端に向かって導かれ、一方で廃物の流れは、試料が最初に注入されたデバイスの開口部に向かって反対方向に移動することができる。この試料注入口は、係止機構を備えたキャップによって、場合によっては恒久的に密封されてもよく、廃物室はキャップ内に配置されて、保管するように廃物を受け入れてもよい。この手段の顕著な利点は、処理試料が未処理試料に接した表面と接触しないことにある。その結果、未処理試料中にあり、かつデバイスの壁を覆う可能性がある微量の反応阻害物質が、処理試料を汚染しにくいことになる。
【0057】
試料処理デバイスは、
図1に示され、16、110、120、130、140、150、160、170、180及び/又は190などの複数の区画を形成でき、圧縮によって実質的に平坦にできる透明な可撓性デバイス10を含んでもよい。一態様において、デバイスには少なくとも2つの区画があってもよい。一態様において、デバイスには少なくとも3つの区画があってもよい。この可撓性デバイスは、約2〜105℃での動作機能性、試料、標的及び試薬との適合性、低いガス透過性、最小限の蛍光特性、及び/又は反復の圧縮及び屈曲サイクル中の弾力性を提供できる。このデバイスは、様々な材料で作製でき、その材料の例として、限定はされないが、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリウレタン、ポリオレフィンコポリマー及び/又は適切な特性を提供する他の材料が挙げられる。
【0058】
さらなる態様において、フィルターをデバイス区画内に埋め込むことができる。一態様において、複数層の可撓性フィルター材料を積み重ねてフィルターを形成することができる。試料と直接接触するフィルターの最上層は、濾過用に選択された孔径を備えてもよく、フィルターの底部層は、はるかに大きな孔径を備える材料を含んで、濾過中に圧力が加えられた際に最上層のための支持構造を提供してもよい。この好ましい態様において、フィルターを折り畳んで袋を形成してもよく、その開放端の端部はデバイスの壁に強固に取り付けられている。フィルター袋を備える区画は、デバイスの外部を圧縮して実質的に平坦にできる場合がある。
【0059】
さらに、デバイスの試料注入口は、ウイルス感染細胞マーカーの固定化基質又は試料中のウイルス細胞マーカーに結合する培地を含む細胞枯渇モジュールを受け入れ、枯渇試料をその基質又は培地を通して流し、デバイスの試料入口内に流すことができる。このモジュールを使用して、培地/試料の手動混合による細胞枯渇方法を実施することができる。
【0060】
典型的な態様において、1つ以上の試薬は、デバイス区画内で、乾燥物質として及び/又は溶液として保存することができる。試薬が乾燥形状で保存される場合の態様において、溶液を隣接する区画に保存して、試薬溶液の再構成を容易に行える。典型的な試薬の例として、溶解試薬、溶出緩衝液、洗浄緩衝液、DNA分解酵素阻害剤、RNA分解酵素阻害剤、タンパク質分解酵素阻害剤、キレート剤、中和試薬、カオトロピック塩溶液、洗浄剤、界面活性剤、抗凝固剤、発芽溶液、イソプロパノール、エタノール溶液、抗体、核酸プローブ、ペプチド核酸プローブ、及びホスホロチオ酸核酸プローブが挙げられる。試薬のうちの1つがカオトロピック塩溶液である態様において、好ましい成分は、イソシアン酸グアニジニウム又は塩酸グアニジニウム又はそれらの組み合わせである。いくつかの態様において、試料が注入される開口部に関連して試薬をデバイス内に保存する順序は、管を活用する方法において試薬の使用可能な順序に反映される。好ましい態様において、試薬は、試料中の所定の成分に特異的に結合可能な物質を含む。例えば、その物質は核酸に特異的に結合してもよく、又は核酸プローブは特定の塩基配列を備える核酸に特異的に結合してもよい。
【0061】
特定の態様において、上記に説明した枯渇表面に加えて、デバイスは、さらに1つ以上の粒子などの基質を含んで、核酸の選択的吸着を促進できる。この粒子は、例えば、シリカ粒子、磁性粒子、シリカ磁性粒子、ガラス粒子、ニトロセルロースコロイド粒子、及び磁化ニトロセルロースコロイド粒子である。この粒子を常磁性にできるくつかの態様において、粒子は磁場によって捕捉できる。官能基で被覆された表面への核酸分子の選択的吸着を可能にし得る試薬の例は、例えば、米国特許第5,705,628号、5,898,071、及び6,534,262号に記載されている。分離は、溶液のイオン強度及びポリアルキレングリコール濃度を操作して、核酸を固相表面に選択的に沈殿させ、かつ可逆的に吸着させることで達成できる。これらの固相表面が常磁性微粒子である場合に、標的核酸分子が吸着された磁性粒子は、核酸は保持するが他の分子は保持しない条件下で洗浄できる。この工程により単離された核酸分子は、哺乳類細胞のキャピラリー電気泳動、ヌクレオチド配列決定、逆転写、クローニング、形質移入、形質導入、微量注入に適し、遺伝子治療手順、RNAプローブの生体外合成、cDNAのライブラリー構築、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅に適している。いくつかの企業が、例えばQIAGENのMagAttract
TM, Cortex BiochemのMagaZorb
TM、及びRoche Life ScienceのMagNA Pure LC
TMなどの磁気に基づく精製システムを提供している。これらの製品は、負に帯電した粒子を使用し、かつ種々の核酸を粒子に選択的に結合させ、粒子を洗浄し、水性緩衝液中で粒子を溶出するように緩衝液条件を操作する。これらの企業によって使用される製品の多くは、核酸の磁性粒子への沈殿を支援するようにカオトロピック塩を活用している。それらの例は、米国特許第4,427,580号、4,483,920号、及び5,234,809号に記載されている。
【0062】
好ましい典型的な態様は、110、120、130、140、150、160、170、180及び/又は190(
図1)のうちの2つ以上のデバイス区画の直線配列を含んでもよい。この直線配列は、試料及び結果としての廃物及び目的物を管を通して制御された方法で移動させることを容易にする。試料、例えば全血試料は、デバイスの第1の区画110内の第1の開口部12を通して注入できる。その後に、処理された試料からの廃物は、目的物が対向端部に向かって押し出される間に第1の開口部に向かって戻され、それにより、デバイス壁に取り付けられた反応阻害剤による目的物の汚染が最小限に抑えられ、目的物の更なる操作に適切な試薬を収容可能な清浄なデバイス区画に目的物を封入できる。いくつかの態様では、各々が少なくとも1つの試薬を含有する複数の区画を使用する場合がある。いくつかの態様において、これらの区画は、次の通りに試薬を含んでもよい。第2の区画は、枯渇粒子及び/又は固定化結合試薬及び希釈緩衝液を備える表面を含むことができる。第3の区画は、2つの副区画に分割することができ、このうち第1の副区画はタンパク質分解酵素Kを含み、第2の副区画はシリカ磁気ビーズ又は他の適切な粒子を含む。第4の区画中の試薬は、溶解試薬であってもよく、第5の区画中の試薬は、いずれかの洗浄緩衝液であってもよく、第6〜第8の区画の試薬は、洗浄緩衝液、中和試薬、懸濁緩衝液、溶出試薬、又は核酸増幅試薬及び核酸検出試薬であってもよい。いくつかの態様において、これらの区画は連続的に配置されてもよく、他の態様においては、これらの区画は、別の区画又は間に入れた区画によって分離されてもよい。
【0063】
いくつかの態様において、前の段落で説明したデバイスを用いて生体試料から核酸を抽出する方法が検討される。特定の態様において、このような試験での経緯は、1)採取器具で採集された生体試料、2)試験中に必要となる試薬を含有する複数の区画を含み、かつ採取された試料がデバイス中で第1開口部を用いて配置されることができる可撓性デバイス、3)制御された温度及び/又は他の条件に設定され、所定の培養期間中に標的有機物又は核酸を捕捉し得る少なくとも1つの基質、4)基質に結合せず、それにより液体を廃物貯蔵部に移して除去できる未処理の試料中の有機物又は分子、5)デバイスに対して圧縮した締め具及び/又はアクチュエータによって目的物から分離され得る廃物貯蔵部に保管されている廃物、6)デバイスの別の区画から放出され、反応阻害剤を除去できる洗浄緩衝液、7)制御された温度での培養後に基質に結合した目的物を脱離できる別の区画からの溶出試薬、及び8)当業者に周知の技術によって検出され、あるいはデバイス内の第2開口部を通して採取され得る核酸を含む。典型的な態様において、試験が進行するにつれて試料の流れは、デバイスの第1の開口部から遠位端部に向かってもよく、廃物の流れは、デバイスの閉じられた試料注入口に向かってもよく、ここでデバイスのキャップにある廃物室は保管のために廃物を受け取る。その結果、処理された試料と未処理の試料が接触した反応容器の表面との間の望まない接触は回避され、それにより未処理試料中にあり、かつ反応容器壁を覆う可能性のある微量の反応阻害剤による反応阻害を防止する。
【0064】
いくつかの態様は、区画16、110、120、130、140、150、160、170、180及び/又は190などの複数の区画に分割された可撓性デバイス10を備える試験管1の使用を組み込んでもよく、複数の区画は、デバイスの長手方向軸にわたって配置してもよく、210、221、222、230、240、250、260、270、280及び/又は290などの試薬を含んでもよく、ならびにアクチュエータ312、322、332、342、352、362、372、382、及び/又は392などの複数の圧縮部材、310、320、330、340、350、360、370、380、及び/又は390などの締め具、及び314、344、及び/又は394(簡略化のため他は番号なし)などのアクチュエータ及び締め具に対向するブロックを備える分析器を含んで、試料を処理できる。これらのアクチュエータ、締め具及び/又はブロックの様々な組み合わせを使用して、デバイスを閉鎖してそれにより流体を分離できるように効果的に締めることができる。典型的な態様において、アクチュエータ又はブロックのうちの少なくとも1つは、試料処理のためのデバイス区画の温度を制御する熱制御要素を備えてもよい。試料処理デバイスは、区画に磁場をかけることが可能な少なくとも1つの磁場源430をさらに備えることができる。試料処理デバイスは、光度計又はCCDのような検出デバイス492をさらに備えて、デバイス内で起こる反応又は完了した反応を監視できる。
【0065】
中央に配置されたアクチュエータと、もし配置したならその側面締め具とを用いてデバイスを圧縮して、流路を介して流体を駆動して、各区画を貫通する約1〜約500μm、好ましくは約5〜約500μmの間隙を持つ流路を形成できる。隣接するアクチュエータは、流路に流体連通する隣接区画を穏やかに圧縮して、内圧の片寄りを生成し流路に実質的に均一な間隙を確保する。次いで、2つの隣接するアクチュエータは、デバイスのそれぞれの区画に交互に圧縮し圧力を解放して、制御した流量の流れを発生させることができる。任意の流れ、圧力、及び/又は力センサを組み込んで、流れ挙動の閉ループ制御を可能にしてもよい。流路工程は、洗浄、基質結合効率の向上、及び検出に使用することができる。
【0066】
粒子固定化及び再懸濁工程を用いて、粒子を試料液体から分離することができる。磁気源430(
図1)によって生成された磁場は、磁性粒子懸濁液を含有する区画にかけられて、粒子を管壁に捕捉し固定化できる。捕捉固定中に撹拌工程を使用することができる。別の態様において、磁場をかけた区画に流路を形成することができ、磁性粒子を流れ中で捕捉して捕捉効率を高めることができる。固定化された粒子を再懸濁させるために、磁場を切るか又は除去してもよく、撹拌工程又は流路工程を用いて再懸濁することができる。
【0067】
ある特定の態様において、生体試料から抽出された核酸は、さらにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)転写増幅法(TMA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、及び鎖置換増幅反応(SDAR)の群からの1つ以上の方法を用いて、核酸の増幅処理を実施されてもよい。いくつかの態様において、生物から抽出された核酸は、リボ核酸(RNA)であってもよく、それらの処理は、TthポリメラーゼとTaqポリメラーゼ、又は逆転写酵素とTaqポリメラーゼなどの酵素の組合せを用いる結合した逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を含んでもよい。いくつかの態様において、刻み目付き環状核酸プローブは、T4DNAリガーゼ又はAmpligase
TMを用いて環状化され、DNA標的又はRNA標的のような核酸を誘導でき、続いて生体外の選択工程後に閉環状プローブの生成を検出することができる。この検出は、当業者に周知の酵素を用いて、PCR、TMA、RCA、LCR、NASBA又はSDARを経て行うことができる。典型的な態様において、核酸の増幅は、核酸増幅中に蛍光の増大を検出する分子分析器で、蛍光標識核酸プローブ又はDNA挿入色素、ならびに光度計又は電荷結合デバイスを使用して即時に検出できる。これらの蛍光標識されたプローブは、当業者に周知の検出方式(すなわち、TaqMan
TM、molecular beacons
TM、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)プローブ、scorpion
TMプローブ)を使用し、蛍光の消光ならびに消光時の放出、又は一方のレポーターから他方のレポーターへの蛍光エネルギー移動を通常は使用して、特定の核酸の合成又は存在を検出する。
【0068】
デバイス区画からの信号の即時検出は、ブロック490などのブロックに接続された光度計、分光計、CCDなどのセンサ492(
図1)を使用して達成できる。典型的な態様において、デバイス区画190のアクチュエータ392によって圧力を加えて、デバイス区画の形状を適切に規定することができる。信号の方式は、蛍光、スペクトルのような特定の波長の光の強度、及び/又は細胞の画像などの画像、又は量子ドットのような人工要素であってもよい。蛍光の検出のために、光学システムからの光の励起を用いて反応系を照射することができ、その発光は光度計によって検出することができる。特定の波長を持つ複数の信号を検出するように、専用の検出チャネル又は分光器によって異なる波長信号を直列又は並列で検出できる。
【0069】
キット
いくつかの態様において、本開示の方法を実施する試薬、材料、及びデバイスが、キット内に含まれる。いくつかの態様において、このキットは、試料を入手し、保存し、及び/又は調製する構成要素を含む。この構成要素には、例えば、無菌針及びシリンジ、枯渇モジュール、EDTA被覆チューブ、(例えば、核酸を基質に結合させ、基質から溶出する)緩衝液、RNA分解酵素阻害剤、及び/又はDNA分解酵素などが含まれる。
【0070】
さらに、このキットは、上述のような分析処理デバイスを含み、及び試料を入手し、保存し、及び/又は調製し、かつ限定はされないが上述のような枯渇モジュールを備える1つ以上の構成要素を任意に含む。特定の態様において、分析処理デバイスは、本明細書に開示された方法を実施するのに必要な様々な試薬を含み、その試薬はデバイスの1つ以上の区画内に保存される。
【0071】
このキットは、例えば、検出される配列が野生型であるポリヌクレオチド、又は検出される配列を含むポリヌクレオチドなどの対照をさらに含むことができる。
【0072】
このキットはまた、試料管又はバイアルのような追加のデバイス、反応容器(例えば、管、複数のウェル板、マイクロ流体チップ又はマイクロ流体室など)、ならびに使用又はウェブサイトへの照合のための指示書を含む。
【実施例】
【0073】
実施例1:ウイルスRNAの単離及び全血からの検出
RNA単離及びRNA配列検出は、管1(
図1)内で実施でき、この管は、剥離可能なシールによって分離され、予め充填された試薬を含む9つの区画を備える可撓性デバイス、及びその内部に収容された廃物貯蔵部を備えるキャップを含む。デバイスの1つの区画又は副区画から他の区画又は副区画への流体の流れは、デバイスの1つ以上の区画又は副区画内に動作可能に接続された1つ以上のアクチュエータ及び締め具の選択的な係合によって本明細書に記載されるように制御される。このデバイスの第1の区画は、全血試料を受入れることができる。第2の区画は、100μLのリン酸緩衝食塩水(PBS)(137mMのNaCl、2.7mMのKCl、4.3mMのNa
2HPO
4、1.4mMのKH
2PO
4、pH7.3)を含む希釈緩衝液中に懸濁した抗CD4抗体に結合した560μgのDynal Particles
TM(Dynal Biotech)を含有する。第3の区画は、定量標準を含有する。第4の区画は、2つの副区画に分割され、第1の副区画は200μgのタンパク質分解酵素Kを含み、第2の副区画は250μgのシリカ磁性粒子を含み、これら副区画は剥離可能なシールによって分離されている。第5の区画は、4.7Mの塩酸グアニジニウムを含有するカオトロピック塩、10mMの尿素、10mMのトリス塩酸、pH5.7、及び2%のトリトンX−100を含む200μLの溶解緩衝液を含有する。第6の区画は、(例えば、50%エタノール、20mMのNaCl、10mMのトリス塩酸、pH7.5を含む)80μLの洗浄緩衝液を含有する。第7の区画は、80μLの20mMの2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)緩衝液をpH5.3で含有する。MES緩衝液は、粒子からのDNA溶出を回避するのに十分な低いpHに調整される。第8の区画は、40μLの溶出緩衝液(例えば、10mMのトリス塩酸、pH8.5、又はPCRに適した任意の緩衝液)を含有する。溶出緩衝液は、粒子の表面から緩衝液中にDNAを溶出させるのに十分な高いpHに調整される。第9の区画は、PCR試薬を含有する(その試薬は、それぞれ10nmolのdATP、dCTP及びdGTP、20nmolのdUTP、2.5mmolのKCl、200nmolのMgCl
2、1〜5単位のTaqDNAポリメラーゼ、1〜5単位のTthDNAポリメラーゼ、それぞれ20〜100pmolの各オリゴヌクレオチドプライマー、及び6〜25pmolのTaqManプローブ)。第10の区画は、MgCl
2などの二価の金属補因子を含んでもよい。第9(又は第10)の区画の端部は、増幅反応の生成物を回収するために恒久的に密封され、又は圧力ゲートを備えて、DNA配列決定又は当業者に周知のいくつかの他の試験による遺伝子型判定試験の結果を確認する。
【0074】
ウイルスRNAの単離及び検出のために、100μLの全血を第1の区画に負荷する。次にデバイスはキャップで閉じ分析器内に挿入できる。試料処理は、以下の手順を含むことができる。
(a)細胞の枯渇及び試料の溶解: 第1の締め具を除くすべての締め具を、デバイスの上から閉じる。第1の区画に作動可能に接続されたアクチュエータを、血液量を調節するように使用し、区画内に約100μLを保持し、次いで第1の区画を対応する区画締め具を用いて閉じる。第2の区画に動作可能に接続されたアクチュエータは、全体的に又は部分的に、第2の区画の第1の副区画を圧縮して第1、第2及び第3の区画間の剥離可能なシールを破壊し、抗CD4粒子を試料及び定量標準と混合する。第1の副区画に動作可能に接続されたアクチュエータを、この副区画を交互に圧縮して、粒子を試料と混合できる。次に第3の区画の近傍の磁気源によって磁場を発生させて粒子を捕捉できる。その区画/副区画内の対応するアクチュエータ及び締め具を係合させて、細胞枯渇試料を第4の区画に移動させ、第4の区画上の締め具を閉じて、枯渇細胞が下流の枯渇試料と混合しないようにし、次に第5の区画に移動させて溶解緩衝液と細胞枯渇試料とを混合する。第4及び第5の区画内の混合物を50℃で2分間培養する。
(b)核酸捕捉: 溶解液の培養後に、アクチュエータは、それらの各区画を交互に圧縮し、混合物を攪拌しかつ室温で2分間培養して粒子へのDNA結合を促進する。次いで、磁場が区画の近傍の磁気源によって形成され、懸濁液中の粒子を捕捉する。アクチュエータは、それらの区画を交互に圧縮して粒子を捕捉できる。アクチュエータ及び締め具は、未結合試料及び廃物を廃物貯蔵部に移動するように順次開閉される。
(c)洗浄; 捕捉行程に続いて、洗浄工程が、さらなる試料処理に使用される粒子及び区画から、残留かす及び反応阻害剤を除去するために実施される。希釈に基づく洗浄はエタノール洗浄緩衝剤と共に使用され、流動に基づく洗浄はMES洗浄緩衝液と共に使用される。締め具とアクチュエータがまず開いて、次にアクチュエータが閉じてエタノール緩衝液を第6の区画に移動させ、続いて締め具が閉じる。アクチュエータ及び少なくとも1つの隣接するアクチュエータを、磁場はかけずにそれらの各区画に対して交互に圧縮して、粒子を再懸濁する流れを生成する。その後、磁場をかけて実質的に全ての粒子を捕捉し、液体を廃物貯蔵部に移動させる。最初の洗浄が完了した後に、MES洗浄緩衝液をある区画から別の区画に移動させ、対応するアクチュエーター及び締め具を順次適用及び解放しその緩衝液を操作して、流路を通る洗浄緩衝液を本質的に層流とすることを確実にする。洗浄が完了すると、アクチュエータ及び締め具を閉じ、実質的にすべての廃物を廃物貯蔵部に移動させる。
(d)核酸溶出: 前述と類似の工程を用いて、溶出緩衝液を第の8区画から移動させる。磁場をかけずに、粒子を第4及び第5の区画間の流動下で溶出緩衝液中に再懸濁する。粒子懸濁液を、定常流又は攪拌条件で95℃で2分間培養する。磁場をかけて、実質的に全ての粒子を固定化し、アクチュエータ及び締め具を順次開閉して、溶出した核酸溶液を第8の区画に移動する。アクチュエータは、第8の区画を圧縮して、溶出された核酸溶液の容量を40μLに調整し、次に締め具をデバイスに対し閉じてDNA抽出工程を完了する。
(e)核酸増幅及び検出: 次に核酸溶液を第9の区画に移し、混合し、UNG280と共に37℃で1分間培養して、生体試料中に存在していた可能性がある任意の汚染PCR産物を分解できる。培養後に、温度を95℃に上げて、核酸及びUNGを2分間で変性させてもよい。その後、核酸溶液を第10の区画に移し、65℃で10分間RT−PCR試薬と混合し、続いて60℃で培養してホットスタートPCRを開始することができる。95℃で2秒間及び60℃で15秒間の50サイクルによる典型的な二温度増幅分析は、第8の区画を95℃に第9の区画を60℃に設定し、かつ関連のアクチュエータを開閉して区画間で反応混合物を交互に移動させることにより実施される。95℃で2秒間、60℃で10秒間、72℃で10秒間の50サイクルによる典型的な三温度増幅分析は、第8の区画を95℃に、第9の区画を72℃に、第10の区画を60℃に設定し、かつ関連のアクチュエータを開閉して区画間で反応混合物を交互に移動させることにより実施される。第9の区画に光学的に接続された光度計のような検出センサは、デバイス壁の一部を通してレポーター色素からの即時蛍光発光を監視することができる。分析の完了後に、試験結果が報告される。
【0075】
実施例2:オフラインのCD4枯渇及び分析
ロッシュのコバスLiat(登録商標)6800/8800HIV定量較正パネルを用いて、血漿のダイナミックレンジを決定した。パネル成分は、以下の表1に提供される。
【表1】
【0076】
各ロッシュパネル部材に対して、3つの複製物をコバスLiat(登録商標)分析器で試験した。コバスLiat(登録商標)分析器で試験を行うために、100μLの各パネル部材材料を100μLの希釈緩衝液(1×PBS、0.1%BSA、0.1%アジ化ナトリウム)と混合し、次いでこの希釈した材料を下記の分析試薬を予め詰めたコバスLiat(登録商標)デバイスに加えた。このデバイスをコバスLiat(登録商標)分析器内で分析し、分析の完了時に、Ct(サイクル閾値)と標的注入量水準をダイナミックレンジの回帰分析に使用した。その結果は、
図2A〜2Bのように、血漿中では6点に対し対数直線性を示し、かつその分析の定量基準性能に対するHIVの阻害は見られない。
【0077】
全血のダイナミックレンジについて、ロッシュHIV−1定量較正パネル部材(表2参照)に、貯蔵した正常ヒトEDTA全血を1:20の比で添加した。例えば、HIV−1を添加した1mLの全血試料を作製するために、50μLのパネル部材を950μLの正常ヒト全血(Bioreclamation IVT、カタログ番号:HMWBEDTA2)と組み合わせて、ピペット操作により混合した。以下の表2に示すように、全血のダイナミックレンジに対して4つの試験試料を調製した。
【表2】
【0078】
各試料に対して、3つの複製物をコバスLiat(登録商標)分析器で試験した。コバスLiat(登録商標)分析器で試験を行うために、100μLの全血試料を100μLの希釈緩衝液と混合し、次に充填した他の分析試薬を予め詰めたコバスLiat(登録商標)デバイスに加えた。このデバイスをコバスLiat(登録商標)分析器内で分析し、分析の完了時に、Ct及び標的注入量の水準をダイナミックレンジの回帰分析に使用した。その結果は、
図3A〜3Bのように、全血中で少なくとも4点に対し対数直線性を示し、分析の定量基準性能に対するHIVの阻害は見られない。さらに、血漿と全血に対する分析の検出限界(LOD)を
図4に示す。
【0079】
各患者の血液試料について、血漿及び全血中のウイルス量を評価し、ならびにCD4抗体の細胞枯渇後の全血中のウイルス量を測定した。
【0080】
Vacutainer Lavender採血管中の10mLの全血から血漿を分離するために、室温のSorvall遠心分離機により1200gで10分間遠心分離を実施した。上清(血漿)を標識化した50mLの遠心分離管に移した。Eppendorf管に80μLの希釈緩衝液を添加し、続いて100μLの全血試料を添加した。Eppendorf管に血液試料を加える前に、血液が均一になるまで試料管を逆にして全血試料を混合し、続いてピペット操作を3〜5回実施した。血液及び希釈緩衝液をピペット操作で6回混合した。
【0081】
CD4抗体粒子を15秒間渦巻き混合して粒子を再懸濁させ、次いで20μLのCD4抗体を備えるDynabeadsをEppendorf管に添加した(CD4抗体粒子の種類に依るが、100〜500μg)。この混合物を2回渦巻き混合して(1回当たり1秒)、試料を粒子と混合した。その管を回転機に載せ、室温で10分間回転しながら培養した(回転機は60°の傾斜角と10rpmに設定した)。この管を磁気棚に1分間配置し、その後にすべての液体(〜200μL)をコバスLiat(登録商標)デバイスに移した。管が第2の区画内に粒子を含まないこと以外は、実施例1に記載の管内で、枯渇試料中のRNA単離及び配列検出を完了した。第2の区画は、代わりに定量標準を含んだ。
【0082】
各患者試料に対して、100μLの希釈緩衝液と混合した100μLの血漿、100μLの希釈緩衝液と混合した100μLのEDTA全血、及びCD4抗体細胞枯渇を含む100μLのEDTA全血を、コバスLiat(登録商標)デバイスに負荷して、コバスLiat(登録商標)分析器で試験した。試験の終了後にデータを収集した。血漿又は全血でのダイナミックレンジの回帰において生成された関係式を使用して、各試料種のウイルス量を計算した。血漿と全血の間のウイルス量の相関性、又は血漿とCD4細胞枯渇を含む全血の間のウイルス量の相関性を評価した。
【0083】
上記の方式に従って、CD4磁性粒子との1回の結合により、未凍結全血試料から96%のCD4陽性細胞を削除できた。結果を表3及び
図5、及び
図6A〜
図6Bに示す。
図5では、CD4の枯渇処理が、試料3及び5においてウイルス量の相関性を改善したことを示す。
図6Aでは、CD4の枯渇前のウイルス量の相関性を示し、
図6Bは、枯渇処理後のウイルス量の相関性を示す。
【表3】
【0084】
試験した5つの患者試料のうち、2つの試料の血漿中ウイルス量の測定値は、1000コピー/mL未満であり、2つの患者試料の直接的全血中ウイルス量の測定値は、1000コピー/mLより高かった。2つの患者全血試料をCD4抗体粒子で前処理することにより、全血及び血漿のウイルス量の相関性が改善された。抗CD4粒子による前処理の後には、その前に検討した同一の2つの試料の全血のウイルス量は、1000コピー/mL未満となった。
【0085】
実施例3:コバスLiat(登録商標)デバイスでのCD4枯渇の最適化条件
所望の細胞溶解度に基づいて、管内での種々の流体の流動駆動機構を評価した。上述のように、通常は
図1に示すデバイスでは、流体の流動は、中央に配置されたアクチュエータ及びそれに隣接する締め具を用いて管の所定の区画を圧縮して制御されて、約1〜約500μm(0.001〜0.5mm)、例えば約5〜500μm(0.005〜0.5mm)の間隙(すなわち流路の直径)を持つ流路をデバイス内に形成する。隣接するアクチュエータは、流路と液体連通する隣接区画を穏やかに圧縮し、ずれた内圧を生成流路に形成して、実質的に均一な流路の間隙を確保する。細胞溶解の程度は、完全な細胞溶解を達成するのに使用された範囲に対して、前処理区画のより短い範囲にわたって間隙を変化させて変更できることが見出された。したがって、この方法を使用して、細胞前処理区画に配置されるフィルターを使用せずとも、細胞溶解の無い細胞枯渇を達成することができた。
【0086】
試料前処理区画(すなわち、試料導入ポートと核酸捕捉に使用する区画との間に配置されたデバイス部分)で使用するように、3種の異なる流体流動機構を設計した。
a)通常の溶解の流体流動(細胞溶解を伴う低剪断の混合)、
b)激しい溶解の流体流動(細胞溶解を伴う高剪断の混合)、及び
c)細胞枯渇の流体流動(細胞溶解を伴わない低剪断の混合)
【0087】
試料前処理室は、複数の区画、例えば5つ以下の区画を含み、通常の溶解及び激しい溶解では、その室の区画の各々を、流体混合が室の流体流路の全長にわたって実施されるように使用した。対照的に、細胞枯渇及びその後の細胞枯渇した試料の核酸抽出を達成するためには、室内の区画の部分集合を使用し、例えば5区画のうちの少なくとも3区画から室内の全区画までを使用することができる。流体流動機構は、より少ない区画内で実施し、混合/溶解工程中の区画内及び区画間の流路の直径は、通常の溶解及び激しい溶解と比較して変更できることを見出した。従来の溶解、激しい溶解、及び細胞枯渇での最適化条件を以下に示す。
【表4】
【0088】
通常の溶解(表の第2列に示す)を達成するためには、アクチュエータ及び締め具を選択的に係合/解放して、前処理室全体にわたって流路内に液体を移動させた。激しい溶解を達成するためには、流路(P2)の最内側の区画を内部区画に隣接する間隙に比較してより狭い固定間隙に保持し、それにより、比較的激しい溶解条件を生じる剪断力で処理流路の内部区画中の流体を処理した。最内側の区画の間隙は、隣接する区画での間隙に比較して実質的に縮小され、かつ固定され、すなわちP0〜P1及びP3〜P4での最大3mmに対してP2では0.15mmであった。対照的に、細胞溶解を伴わない細胞枯渇を達成するためには、より少数のデバイス区画(例えばP0〜P2)を含むより短い流体流路にわたって混合の全工程を実施することができ、かつ隣接する区画での間隙の約3分の1である最大1.1mmの間隙に最内側の区画を圧縮して、それによって細胞溶解をもたらさない穏やかな混合を達成できる。一態様において、間隙は、隣接する区画での流路の直径の25〜50%、例えば直径の33%まで縮小することができる。
【0089】
この工程を
図7A〜
図7Dに説明する。試料処理デバイス部分が
図7Aに示されており、管701は、試料処理デバイス708内の残りの区画と流体連通する複数の区画703〜707を含む試料前処理室702を備える。流体流路709は、試料処理デバイスの残りの区画内まで前処理室に広がっている。前処理室と連通しているアクチュエータ(P0〜P4)と締め具(C0〜C5)が管に係合していない場合は、流体流路は約5mmの直径であるが、管がデバイス内に配置される場合は、アクチュエータと締め具の位置を制御するモータ(図示せず)は、アクチュエータ及び締め具を管の外壁に対し押し付け、流体流路が約3mmの直径であるように管を僅かに圧縮し、この状態を処理室の全開位置とする。
図7Bは、通常の溶解中の流体流路の相対寸法を示し、流体流路はP0〜P5に亘り、流路の直径は最大3mmである。
図7Cは、激しい溶解中の流体流路の相対的な寸法を示し、流体流路はP0〜P5に亘り、最内側の区画P2は最大0.15mmの直径まで縮小されている。したがって、激しい溶解中の流体流動は、隣接する区画に比較してP2に高圧をかけられ、激しい細胞溶解をもたらす高い剪断力を導入する。対照的に、
図7Dは、細胞枯渇中の流体流路の相対的な寸法を示し、流体流路はP0〜P2にわたり、最内側の区画P1の流路の直径は(P0及びP2での)最大3mmから最大1.1mmまで縮小されている。最内側の流路は、激しい溶解中と同じ程度には圧縮されず、流体中の細胞を溶解させないより穏やかな混合サイクルとなる。
【0090】
変更された流体流動機構に加えて、アクチュエータ及び締め具の各々に作動可能に接続されたモータの速度は、細胞枯渇中の細胞溶解を回避するように調節された。通常の溶解及び激しい溶解中に、アクチュエータ及び締め具と係合している各モータは、アクチュエータ及び締め具を等速度で迅速に係合かつ解放する。しかし、細胞溶解を伴わない細胞枯渇を達成するためには、解放中のモータ速度は、モータが加速度に対して対数的に減速するように調節された。これは
図8A及び
図8Bに示され、
図8Aは通常の溶解及び激しい溶解中のモータの動きを示し、
図8Bは、細胞枯渇中のモータの動きを示す。
【0091】
本明細書及び実施例1に記載の方法を用いて、試料処理デバイス中の患者試料のウイルス量を測定した。その結果を以下に示す。
【表5】
【0092】
表5に示す結果は、実施例2で説明したオフライン処理を用いて得られた結果と同様である。