特許第6959270号(P6959270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6959270電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959270
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/06 20060101AFI20211021BHJP
   A47L 9/04 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
   A47L9/06 A
   A47L9/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-5667(P2019-5667)
(22)【出願日】2019年1月17日
(65)【公開番号】特開2020-110506(P2020-110506A)
(43)【公開日】2020年7月27日
【審査請求日】2020年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 将
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 則和
(72)【発明者】
【氏名】山谷 遼
(72)【発明者】
【氏名】中居 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 叶登
【審査官】 東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−136759(JP,U)
【文献】 特開2013−212216(JP,A)
【文献】 特開2006−075519(JP,A)
【文献】 特開2009−297377(JP,A)
【文献】 米国特許第02758331(US,A)
【文献】 特開平11−056704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/02 − 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に吸込口を有するケース体と、吸引力を発生する掃除機本体に連通し塵埃を吸い込む継手部と、前記ケース体下面の前記吸込口の周囲あるいは一側に前記ケース体内部の気密の漏れを防ぐ気密保持部材とを備え、前記気密保持部材は、前記ケース体の底面部を構成する複数の部品に跨って、前記吸込口の長手方向に、当該気密保持部材の底面から清掃面に接するように設けられることを特徴とする電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機。
【請求項2】
複数の前記部品には、第1部品と、前記第1部品とは異なる機能を有する第2部品と、が含まれ、
前記第1部品は、前記吸込口の後方において、前記吸込口の長手方向に設けられ、
前記第2部品は、前記長手方向において、前記第1部品の外側に設けられ、
前記気密保持部材は、前記第1部品と前記第2部品とに跨って、前記長手方向に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機。
【請求項3】
前記第1部品及び前記第2部品は、前記ケース体の底面部を構成していることを特徴とする請求項2に記載の電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機。
【請求項4】
前記第1部品は、刷毛台であり、
前記第2部品は、軸受押さえ部材であることを特徴とする請求項2に記載の電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機。
【請求項5】
前記刷毛台は、前記ケース体に対し着脱可能であることを特徴とする請求項に記載の電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機。
【請求項6】
前記気密保持部材は、パイルや不織布など繊維部材で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機。
【請求項7】
前記気密保持部材は、エラストマなど軟質部材で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の吸口体及びこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2013-212216号公報(特許文献1)がある。この公報に開示されている電気掃除機の吸口体には、吸口ケース体の底面(清掃面側)の吸込口後方に、清掃面に接触し清掃面と吸口体の気密を保持する刷毛体が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-212216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載の電気掃除機の吸口体は、吸口ケース体の底面が長手方向に渡って複数の部品で構成されているのに対し刷毛体は中央部の部品に設けられている。そのため刷毛体の設けられた吸込口後方中央部からの気密の漏れを防ぐことができる。
【0005】
本発明の目的は、さらに吸口体と清掃面との気密性を向上させることにより,掃除性能を高めるとともに,騒音を低減した電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、気密保持部材が、ケース体の底面部を構成する複数の部品に跨って、吸込口の長手方向に、当該気密保持部材の底面から清掃面に接するように設けられることにより、達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸口体と清掃面との気密性を向上させることにより,掃除性能を高めるとともに,騒音を低減した電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る電気掃除機の全体を示す外観斜視図である。
図2】本発明に係る実施例1の吸口体の上面図である。
図3】本発明に係る実施例1の吸口体の底面図である。
図4】本発明に係る実施例1の吸口体の側面図である。
図5】本発明に係る実施例1の吸口体の上側部分を取り外した状態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施例1について図面を参照して説明する。図1に本発明の実施例1に係る電気掃除機の外観図を示す。電気掃除機1は、操作スイッチSW等が設けられた掃除機本体2と、延長管5と、吸口体6とで構成されている。
【0010】
掃除機本体2は、吸引力を発生させる電動送風機2a、この電動送風機2aの吸引力で集塵した塵埃を収容する集塵部2bなどを備えている。なお、本実施例では、いわゆる充電式スティック掃除機を例に挙げて説明するが、サイクロン式、紙パック式などの床移動式の電気掃除機や非充電式のスティック電気掃除機などに適用してもよい。
【0011】
延長管5の一端は、掃除機本体2の集塵部2bと連通するように掃除機本体2の接続口2cに接続されている。また、延長管5の他端は、吸口体6に接続されている。また延長管5は、図示しない通風路が連通しており,掃除機本体2から給電される図示しない給電端子を備えている。
【0012】
手元操作スイッチSWを操作することによって、電動送風機2aの運転と停止や強中弱の切り替え、吸口体6に設けられた電動機40(図5参照)の運転と停止が可能となっている。
【0013】
2dは,掃除機本体2および吸口体6の駆動用電源である充電式電池である。
【0014】
図2は、吸口体の上面図である。図2に示すように、吸口体6は、上面視において略T字形状を呈する吸口ケース10と、吸口ケース10に連結される吸口継手13とを備えている。
【0015】
吸口ケース10は、上面視において、左右方向(幅方向)に細長く形成された吸口本体11と、吸口本体11の左右方向の中央部に吸口継手13と連結される連結部12とを備えている。連結部12には、吸口本体11と吸口継手13とを連通させる流路R(図3参照)が形成されている。
【0016】
吸口本体11には、前端面から左右側面にかけてバンパ11aがインサート成形により設けられている。バンパ11aは、ゴムやエラストマー等の弾性材料、或いはポリプロピレン等の樹脂材料から形成されており、使用時に吸口本体11内の気密を確保するとともに、電気掃除機1(図1参照)の使用時に吸口本体11が家具等に衝突した際に、当該家具等への傷付き防止と吸口本体11への衝撃を吸収する緩衝材の役割を果たしている。
【0017】
なお、バンパ11aは必ずしもインサート成形により吸口本体11に設けられている必要はなく、接着、ツメによる嵌合など、使用中に意図せず外れない手段により吸口本体11に設けられていればよい。
【0018】
吸口継手13は、連結部12に対して回動自在に連結される第1連結部14と、この第1連結部14に対して回動自在に連結される第2連結部15とを備えている。第1連結部14は、図2の上面視において略D字形状を呈し、連結部12と連結される円筒形状の軸14aを有している。この軸14aは、軸方向が吸口本体11の左右方向であって、軸14aの両端部が連結部12に形成された軸受部12g(図5参照)に支持されている。また、第1連結部14は、床面(清掃面)M(図4参照)に対して略平行な状態から略垂直な状態まで回動可能となるように構成されている。すなわち、第1連結部14を吸口ケース10に対して軸14aを支点として回動させることによって、延長管5(図1参照)を床面M(図4参照)に略平行な状態と略垂直な状態との間において回動させることができる。
【0019】
第2連結部15は、第1連結部14に対して吸口本体11の左右方向に(図2の紙面時計回り方向および反時計回り方向に)回動可能となるように構成されている。これにより、例えば、延長管5を床面Mに対して略垂直にした状態から、延長管5を床面Mに略平行な状態に向けて倒すことができる。また、第2連結部15には、給電が行われる給電端子15aが設けられている。なお、本実施例の電気掃除機1(図1参照)では、吸口体6に給電する電力を、掃除機本体2から延長管5を通じて供給するように構成している。
【0020】
図3は、吸口体の底面図である。図4は、吸口体の側面図である。図3および図4に示すように、吸口体6は、回転清掃体(回転ブラシ)20を備えている。吸口ケース10(吸口本体11)には、底面(清掃面と向き合う面)に吸込口Pを有するブラシ室Qが形成されている。
【0021】
回転清掃体20は、吸口本体11の左右方向に沿って前後方向の前側に配置され、ブラシ室Q内に回転可能に支持されている。また、回転清掃体20は、硬さや高さ等が異なるブラシなど複数種類のブラシ20a、20bと,それらをらせん状に保持するロータリーコアを備えており、吸口本体11の左右方向(回転清掃体20の軸方向)の一端側から他端側まで連続して設けられている。
【0022】
なお、本実施の形態例では、2種類のブラシ20a、20bを配設した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、1種類であってもよく、3種類以上であってもよく、また,らせん状に配置されたブラシ間にゴムなどの弾性材料からなるブレード部材をらせん状に配置する構成を追加してもよく、適宜変更することができる。このように,回転清掃体20のブラシ構成を容易に変更できるので,たとえば木床用や絨毯用のような目的別の吸口体に対応が容易であるという効果もある。
【0023】
また,複数のらせん状の溝に,各ブラシ20a、20bを挿入する構成のため,組み立て工程が容易であり,製造コストが抑えられるという効果もある。
【0024】
吸口体6は、吸口ケース10の底面に、ブラシ駆動スイッチ16、車輪17を備えている。ブラシ駆動スイッチ16は、吸口体6の底面が床面M(清掃面)に接触しているか否かを検出するスイッチであり、車輪16aとともに構成されている。この車輪16aは、ばね等の付勢手段によって常に吸口ケース10の底面から一部が突出するように設けられている。そして、車輪16aが吸口ケース10から飛び出して床面Mと接触していないと検出されたときには、回路基板50(制御基板)(図5参照)の制御によって電動機40(図5参照)の駆動が停止され、回転清掃体20の回転が停止する。また、車輪16aが押し込まれて床面Mと接触していると検出されたときには、回路基板50の制御によって電動機40が駆動され、回転清掃体20が回転する。
【0025】
吸口ケース10の吸込口P後方には、吸口ケース10に対して着脱可能な刷毛台31が設けられており、また、吸込口Pの両端部には、軸受の一部を構成する一対の軸受押さえ部材60,61が装着され、吸口ケース10の底面を構成している。刷毛台31は吸込口Pの長手方向の長さと略同じ長さを有している。
【0026】
刷毛台31と軸受押さえ部材60,61は別部材のため、その間には、わずかながら隙間が生じる。その隙間は、ブラシ室Qの略後方に生じるため、気密の確保が困難である。
【0027】
そこで、固定刷毛30が、刷毛台31及び軸受押さえ部材61に跨って配設され、底面から床面M(清掃面)に接するように設けられている。固定刷毛30は、刷毛台31と軸受抑え部材61の長さを合わせたものと略同じ長さを有している。
【0028】
これによりブラシ室Qの気密性を向上させ微細な塵埃の集塵性能を向上させるとともに,回転清掃体20によりはじかれた塵埃が,吸口ケース10の底面と床面M(清掃面)との隙間をすり抜けて吸口体6の後方へ出てしまうのを防ぐ役目をしている。さらに、後方からの風の流入を防ぐことにより騒音を低減すること効果もある。また、このように固定刷毛30が吸口ケース10の長手方向を構成する複数の部品に跨って配設されることにより吸口ケース10の長手方向を幅広くカバーすることができるため、これらの効果をより大きくすることができる。
【0029】
固定刷毛30は刷毛台31や軸受押さえ部材61にツメ31a、61aにより係止されるが、接着による固定や、インサート成形、それらの組合せでも構わない。
【0030】
このとき、固定刷毛30が吸口ケース10に係止されるのではなく刷毛台31や軸受押さえ部材61に係止されることで、組立効率を向上することができ、また、使用者が使用環境に合わせ刷毛台31を別部材に変更することで操作性や掃除性能を調整することも可能となる。
【0031】
なお、本実施の形態例では固定刷毛30を吸込口Pの後方に設ける例に挙げて説明したが、例えばゴムやエラストマなどの軟質部材や空気を通しづらいパイルや不織布など、同様にブラシ室Qの気密性を保持できる部材を設けてもよい。また、固定刷毛30は刷毛台31と軸受部材61の二部品に跨るように設けるよう説明したが、3部品以上の部品に跨るように設けられていてもよい。また、これらの気密保持部材は刷毛台31を介せず直接吸口ケース10に係止されていても良い。
【0032】
一対の軸受押さえ部材60,61には、刷毛部材(刷毛)62が配置されている。刷毛部材62は、下面60b、61bに設けられた縁部60c、61cの内側に配置されている。このような刷毛部材62が配置されていることにより、刷毛部材62がクッション材として作用し、吸口体6が前のめりの姿勢になった時などに、吸口体6の角部が清掃面に直接触れないようにすることができ、清掃面の損傷を好適に防止することができる。
【0033】
なお、刷毛部材62は、回転清掃体20よりも軸方向外側に位置するので、回転清掃体20で捕集できなかった回転清掃体20の外側の塵埃を好適に捕集することもできる。
【0034】
ここで刷毛部材62の刷毛方向は、吸口体6の後方へ向かって傾斜する形態、つまり、刷毛部材62の刷毛方向は、吸口体6の進行方向に対して順目であるのが好ましい。これによって、刷毛部材62が、吸口体6の進行に対して抵抗になるのを抑制することができる。
【0035】
図5は、吸口体6の吸口ケース10の上側部分を取り外した状態の上面図である。図5に示すように、吸口体6は、回転清掃体20(図3参照)後方に、回転清掃体20を駆動する電動機40および電動機40を制御する回路基板50を備えている。
【0036】
電動機40は、吸口本体11の左右方向の一端側に取り付けられている。また、電動機40は、その出力軸が吸口本体11の左右方向と平行に配置されている。また、電動機40の出力軸は、左右方向の一端側に向けて延び、吸口本体11内の一端部(図示左側の端部)において、歯付きベルト41を介して回転清掃体20と連結されている。
【0037】
回路基板50は、吸口本体11の左右方向で電動機40とは反対側に取り付けられている。また、回路基板50は、長辺が前後方向に沿って配置された長方形状の基板やコネクタ50a、50b、50cを有しており、それぞれ電動機40や吸口継手13、ブラシ駆動スイッチ16と連動し電動機40の回転を制御するための図示されないマイクロスイッチが接続される。このように回路基板50に対し電動機等をコネクタを介し接続することで、電動機の異なる他機種と回路基板50を共用することが可能である。
【0038】
なお、本実施の形態例では電動機40や吸口継手13などと回路基板50はコネクタにより接続されているが、半田付けで接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
2a 電動送風機
2b 集塵部
6 吸口体
20 回転清掃体(回転ブラシ)
30 固定刷毛
31 刷毛台
40 電動機
50 回路基板(制御基板)
60、61 軸受押さえ部材
20a、20b 回転清掃体のブラシ
P 吸込口
M 床面
Q ブラシ室
図1
図2
図3
図4
図5