(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明は洗浄用部材に係るものである。本発明における洗浄とは、対象物の清掃及び清拭の両方の意味を含むものであり、例えば、床面、壁面、天井及び柱等の建物の清掃、建具や備品の清掃、各種物品の拭き取り、身体及び身体に係る器具の清拭等が含まれる。本発明の洗浄用部材は、シリコンウエハや半導体ウエハ等の半導体基板、磁気記録用基板等といった洗浄対象面の平滑性が要求される精密電子部品の表面の洗浄に特に好適に用いられる。
【0011】
本発明の洗浄用部材は、単繊維の集合体からなる不織構造体を備える。不織構造体は、単繊維どうしの絡合によって保形されている。不織構造体とは、単繊維がランダムに堆積して、該単繊維どうしが絡合した堆積物であり、必要に応じて、押圧等の保形が更に施されているものである。単繊維どうしの間には、単繊維が存在しない空隙がシート面方向及び厚み方向に貫通して三次元的に存在し、これとともに該空隙が連通して、不織構造体の内部に微細な空孔(以下、これを細孔ともいう。)を形成している。この空孔は、一般に連通した開空孔となっている。不織構造体に含まれる単繊維は、互いに接触する部位を有し得るが、融着等によって互いに接着していない。単繊維どうしが接触する接触点を有する場合、単繊維どうしは互いに接着していないが、単繊維どうしの接触点における少なくとも一方の単繊維の断面形状が、非接触点における単繊維の断面形状とは異なる形状に変形していることが好ましい。
【0012】
単繊維のメジアン繊維径は、好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上、更に好ましくは250nm以上であり、また、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下、更に好ましくは900nm以下である。このような繊維径を有する単繊維を用いることによって、洗浄対象面に付着した粒径100nm以下の微粒子の除去を効率よく行うことができる。繊維の繊維径は、例えば不織構造体の観察対象面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察して、その二次元画像から繊維の塊、繊維の交差部分を除いた繊維を任意に500本選び出し、繊維の長手方向に直交する直線と、繊維外形とが交差する2点の交点間長さを繊維径としたときに、これらの測定値の中央値をメジアン繊維径とすることができる。繊維径が100nm未満、或いは2000nm超の繊維が不織構造体に含まれることは本発明の効果を損なわない限り許容されるが、望ましくは100nm以上2000nm以下の単繊維のみを含む。
【0013】
不織構造体は、その厚みが好ましくは0.02mm以上、より好ましくは0.04mm以上、更に好ましくは0.06mm以上であり、また、好ましくは30mm以下、より好ましくは25mm以下、更に好ましくは20mm以下である。このような厚みを有していることによって、洗浄用部材の強度を維持しつつ、洗浄対象物に付着した微粒子の除去に優れたものとなる。このような範囲の厚みを有する不織構造体の形状は、例えば、シート状であるか、或いは板状、角柱状、円柱状、塊状等のバルク状であり得る。不織構造体の厚みは、例えば単繊維の含有量や成形時の圧縮等によって適宜調節することができる。不織構造体の厚みは、例えば後述するように、走査型電子顕微鏡を用いて、測定対象の不織構造体の断面を観察することで測定することができる。本発明におけるシート状とは、不織構造体の厚みが10μm以上1000μm以下のものを指す。また、バルク状とは、肉眼視して外形を認識し得る大きさを有する形状のことであり、例えば、不織構造体における縦、横及び奥行きの三つの次元のうち、最も短い次元の長さを厚みとして、厚みが1
mm超のものを指す。ここでいう厚みは、後述する測定方法によって測定した無荷重での不織構造体の厚みを意味する。
【0014】
不織構造体が上述したいずれの形状であっても、その見かけ密度は、好ましくは0.05g/cm
3以上、より好ましくは0.10g/cm
3以上、更に好ましくは0.20g/cm
3以上であり、また、好ましくは0.60g/cm
3以下、より好ましくは0.55g/cm
3以下、更に好ましくは0.50g/cm
3以下である。このような密度であることによって、洗浄対象面に付着した微粒子を単繊維によってかき取りやすくなるとともに、単繊維間の空隙を多くして、除去対象である微粒子の不織構造体への保持性を高めることができ、その結果、洗浄対象物に付着した微粒子の除去を効率的に行うことができる。このような見かけ密度を有する不織構造体は、例えば後述する方法によって製造することができる。
【0015】
不織構造体の見かけ密度は、以下の方法で測定することができる。具体的には、フェザー安全剃刀株式会社製の片刃(品番FAS−10)を使用して不織構造体を切断し、不織構造体の断面を形成する。続いて、日本電子株式会社製の走査型電子顕微鏡(型番JCM−5100)を使用して、切り出した断面を拡大観察する。拡大観察した断面を画像データや印刷物とし、無荷重での不織構造体の厚みを測定する。不織構造体の表面に不可避的に存在している毛羽立った繊維は、測定対象から除外する。不織構造体の厚みは、上述の方法によって拡大観察した画像における厚みの平均値とする。その後、不織構造体を所定の面積(例えば4cm×4cm)となるように切断して、その質量と面積とから坪量を算出し、坪量を厚みで除して、見かけ密度を算出する。
【0016】
以上の構成を有する洗浄用部材によれば、単繊維を含む不織構造体は、構成繊維が細径のものでありながら、繊維間に微細な空隙が連通した開空孔として多数形成されて、見かけ密度が低いものとなっているので、洗浄対象面に存在する微粒子を単繊維によってかき取って、洗浄対象面に付着している微粒子を効率的に捕集除去することができる。また、該微粒子を繊維間の空隙に保持して、洗浄対象面の再汚染を防ぐことができる。その結果、洗浄対象面の微粒子の洗浄性能に優れる。また、本発明の洗浄用部材を、シリコンウエハをはじめとする半導体ウエハ等の半導体基板等といった洗浄対象物の洗浄に用いた場合、洗浄対象面に残存する研磨砥粒や研磨屑等の粒径100nm以下の微粒子を効果的に除去することができるので、該微粒子の残存に起因した表面欠陥の発生の頻度を少なくすることができる。特に、洗浄用部材を研磨液等の洗浄液とともに用いた場合、研磨によって発生した微粒子を洗浄液とともに洗浄用部材側に吸着させることができるので、微粒子の洗浄除去に一層優れたものとなる。
【0017】
上述した効果を一層顕著なものとする観点から、洗浄用部材を構成する不織構造体は、その空隙率が特定の範囲であることが好ましい。空隙率(%)とは、以下の式(1)から算出された値とする。単繊維の原料を複数含む場合には、各原料の密度と、その含有質量比率から算出された密度を、単繊維の原料の密度として用いる。
空隙率(%)=100×((単繊維の原料の密度[g/cm
3])−(不織構造体の見かけ密度[g/cm
3]))/(単繊維の原料の密度[g/cm
3]) ・・・(1)
【0018】
本発明における不織構造体の空隙率は、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上であり、また、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは65%以下である。
【0019】
本発明の洗浄用部材は、
図1(a)に示すように、複数の単繊維T2がランダムに配向して配置された不織の状態で絡合されているので、その繊維間距離は短いものから長いものまで存在し、これに伴って、繊維間に形成された空隙Wの大きさもランダムとなる。その結果、本発明の洗浄用部材の空隙分布を細孔容積分布として測定した場合、小さい細孔
径の範囲に高いピークが観測される。詳細には、不織構造体は、上述した好適な範囲の空隙率を有していることに加えて、好ましくは、細孔容積分布において50μm以下の細孔径の範囲にトップピークを有し、且つ50μm超の細孔径の範囲にトップピークを有していない。本発明において「50μm超の細孔径の範囲にトップピークを有していない」とは、50μm以下の細孔径の範囲にある最も高いピークのピーク高さ、すなわちトップピークを基準として、該ピーク高さの半分の高さよりも大きいピーク高さを有するピークが、50μm超の細孔径の範囲に存在していないことをいう。一方、従来技術の繊維シート、すなわち繊維束を用いるか、又は繊維束が形成されるように製造した繊維シート、織布及び編物では、
図1(b)に示すように、シートを構成する繊維T1が一定の配向性をもって存在している。この場合、
図1(b)に示す従来技術の繊維シートでは、繊維間距離が相対的に短く空隙が小さい繊維密集領域Uと、繊維間距離が相対的に長く空隙が大きい繊維離間領域Vとの二つの領域が存在する。このような繊維シートの空隙分布を測定した場合、小さい空隙を有する繊維密集領域由来のピークと、大きい空隙を有する繊維離間領域由来のピークとの二つのピークが観測される。
【0020】
不織構造体の空隙分布は、細孔容積分布として、例えば、JIS R 1655に規定される水銀圧入法に準じて、以下の方法で測定することができる。詳細には、測定対象から0.02g〜0.1gの測定サンプルを切り出し、該測定サンプルを入れた測定セルを水銀ポロシメーター(オートポアIV9500、マイクロメリティックス社製)にセットし、水銀注入圧力Pを所定の範囲内で上昇させていったときの該測定サンプルの累積細孔容積V(mL/g)を測定する。次いで、下記の式(2)に従って換算した換算細孔径D(μm)を横軸に、log微分細孔容積(dV/d(logD);mL/g)との関係を縦軸にプロットし、細孔容積分布を得る。つまり、換算細孔径Dを横軸にとり、累積細孔容積Vを細孔径Dの対数値で微分した細孔容積を縦軸にとって、細孔容積分布を得る。
D=4γcosθ/P ・・・(2)
(γ:水銀の表面張力、θ:接触角、P:水銀注入圧力)
【0021】
前記測定は22℃、65%RH環境下にて行う。水銀の表面張力γは480dyn/cm、接触角θは140°、水銀注入圧力Pは0psia(0MPa)以上60000psia(413.685MPa)以下の範囲とする。この測定条件で得られる換算細孔径Dの分布曲線に基づいて、0.0018μm以上100μm以下の範囲に亘る換算細孔径Dの累積合計値を累積細孔容積V(mL/g)とし、分布曲線における細孔径の中央値を本発明にいう細孔径D
0(μm)とする。本発明の不織構造体は、累積細孔容積を細孔径の対数値で微分した上述の細孔容積分布において、50μm以下の細孔径の範囲にトップピークを有し、且つ50μm超の細孔径の範囲にトップピークを有していない分布を有するものであることが好ましい。
【0022】
同様の観点から、不織構造体の細孔径D
0は、細孔直径として、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることが更に好ましく、また、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることが更に好ましい。
【0023】
また同様の観点から、不織構造体の累積細孔容積Vは、0.8mL/g以上であることが好ましく、1.0mL/g以上であることが更に好ましく、また、20mL/g以下であることが好ましく、10mL/g以下であることが更に好ましい。上述した空隙分布、細孔径及び細孔容積を有する不織構造体は、例えば後述する方法によって製造できる。
【0024】
本発明の洗浄用部材は、洗浄対象物の構造や用途に応じて、これに含まれる不織構造体の形状を変更したり、或いは不織構造体と他の部材とを組み合わせたりすることができる。詳細には、
図2に示すように、洗浄用部材1は、単繊維が絡合した堆積体を圧縮成形した成形体からなる不織構造体2を備えた形態とすることができる。同図に示す洗浄用部材
1は、バルク状の圧縮成形体であり、対向する二つの主面2a,2aを有する板状態である不織構造体2からなり、これをそのままで、又は不織構造体に水や洗浄液等を含浸させて、洗浄対象物の洗浄に供することができる。つまり、同図に示す形態では、洗浄用部材1の形状は、不織構造体2の形状と実質的に同一である。同図に示す形態の場合、洗浄用部材1における洗浄面(洗浄対象面と対向する面)はいずれの表面であっても本発明の効果は奏されるが、洗浄の効率化を図る観点から、洗浄面は、洗浄対象面との接触面積が大きくなる面、すなわち前記の主面2aであることが好ましい。
【0025】
また洗浄用部材は、不織構造体に加えて、スポンジ、洗浄パッド又はロール等の支持部材を更に備えて、支持部材と不織構造体とが互いに接するように配された形態とすることもできる。詳細には、
図3(a)に示すように、シート状の不織構造体2が、板状の支持部材3の全面を被覆するように配された形態とすることができる。あるいは、
図3(b)に示すように、シート状の又は板状等のバルク状の不織構造体2が、板状の支持部材3の少なくとも一つの板面に配された積層体の形態とすることができる。
【0026】
また、
図3(c)に示すように、シート状の不織構造体2を繰り出す第1ロール2Aと、繰り出された不織構造体2を巻き取る第2ロール2Bとを備え、繰り出されたシート状の不織構造体2の上面に支持部材3を配置可能な形態、すなわちロールトゥロール方式で一方向に搬送されているシート状の不織構造体2が支持部材3の一方の面に配された形態とすることもできる。あるいは、
図3(d)に示すように、ロール状の支持部材3の周面にシート状の不織構造体2が配された形態とすることもできる。
図3(a)ないし(d)に示す形態では、不織構造体2が配された側の面を洗浄用部材1における洗浄面として用いることによって、洗浄対象面に存在する微粒子の除去性能に優れたものとなる。特に、
図3(b)ないし(d)に示す形態では、支持部材の形状や材質に依存せず、既存の支持部材を微粒子の洗浄除去効率が高くなるように、簡便に改質して用いることができる点で有利である。洗浄対象面への意図しない傷等の欠陥の生成を防ぐ観点から、支持部材3は、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、エラストマー樹脂等を含むものであることが好ましい。
【0027】
不織構造体をシート状に成形する場合には、不織構造体の坪量は、不織構造体の具体的な用途に応じて、適切な坪量が適宜選択される。
【0028】
次に、上述の各実施形態に共通して適用可能な事項について説明する。洗浄用部材における不織構造体は、これをシート状としたときに、水滴の浸透時間が特定の範囲となっていることが好ましい。詳細には、シート状の不織構造体に対する水滴の浸透時間が1分以内であることが好ましく、より好ましくは40秒以下、更に好ましくは20秒以下である。このような水の吸収性を示すことによって、微粒子の洗浄性能を更に高めることができる。特に、洗浄用部材を洗浄液とともに用いたときに、洗浄液の保持性を高めることができ、その結果、微粒子の除去効率が一層高いものとなる。シート状の不織構造体に対する水滴の浸透時間が短いほど、単繊維の親水性が高いことを意味する。繊維の親水性とは、繊維間での水又は水性液の保持性が高くなることを指す。
【0029】
シート状の不織構造体に対する水滴の浸透時間は、例えば以下の方法で測定することができる。すなわち、プレート厚みが10mmである一対のSUSプレートを二組用いて、シート状の不織構造体の両端をそれぞれ挟持し、その状態で該不織構造体に張力を付与して、該不織構造体と実験台とが離間するように固定
する。次いで、張力を付与した状態で固定した不織構造体の上方からイオン交換水を水滴として15μL滴下する。水滴が滴下された面を目視にて観察し、水滴の滴下時点から、水滴が完全に視認できなくなるまでの時間を水滴の浸透時間とする。測定する不織構造体のサイズを80mm×50mmとし、SUSプレート組間の距離を50mmとしてサンプルが弛まない程度に張力を付与して挟持し、中央の位置に高さ10mm上方から滴下
する。
【0030】
不織構造体を構成する単繊維は、太さが上述の範囲であればその製造方法に特に制限はなく、メルトブローン法や電界紡糸法で製造された繊維を用いることができる。特に、本発明に用いられる単繊維は、電界紡糸された繊維であることが好ましい。このような繊維を用いることによって、細径繊維を含み且つ所定の密度を有する不織構造体を簡便に製造することができる。電界紡糸とは、高電圧が印加されている状態で繊維の原料となる樹脂を含む溶液又は溶融液を電界中へ吐出することによって、吐出された溶液又は溶融液が細長く引き伸ばされ、繊維長が長く、繊維径が細い繊維を形成することができる方法である。
【0031】
単繊維は、その原料として、繊維形成性を有する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィンコポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド6及びポリアミド66等のポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニルやポリスチレン等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂などが挙げられ、これらのうち一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
原料樹脂として用いられる熱可塑性樹脂の含有量は、単繊維の全構成成分100質量部に対して、70質量部以上であることが好ましく、75質量部以上であることがより好ましく、80質量部以上であることが更に好ましく、また、98質量部以下であることが好ましく、97質量部以下であることがより好ましく、90質量部以下であることが更に好ましい。
【0033】
樹脂の溶液を電界紡糸に供する場合、樹脂を分散させるための分散溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒や、グリセリン、エチレングリコール及びエタノールなどのアルコール類、アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン類、ジクロロメタン及びクロロホルムなどのハロゲン系溶媒、硝酸、塩化亜鉛水溶液、チオシアン酸ナトリウム水溶液などの無機塩系溶媒が挙げられ、これらを単独で使用してもよく、二種以上の溶媒を混合して使用してもよい。
【0034】
また、不織構造体を構成する単繊維は、イオン性界面活性剤を含むことが好ましい。単繊維にイオン性界面活性剤を含有させることによって、細径繊維を含み且つ所定の密度を有する不織構造体を簡便に製造することができる。これに加えて、単繊維を電界紡糸によって形成する場合、原料樹脂の帯電量を高めることができるので、樹脂を含む溶液又は溶融液の延伸を効率よく行うことができ、その結果、より細径の繊維を高い生産効率で製造することができる。更に、生成した繊維に対して親水性の発現を容易に行うことができる。
【0035】
イオン性界面活性剤の含有量は、単繊維の全構成成分100質量部に対して、2質量部以上であることが好ましく、4質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましく、また、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましく、6質量部以下であることが更に好ましい。
【0036】
イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤が挙げられる。これらのイオン性界面活性剤のうち、一種を単独で使用してもよい。また、これらのイオン性界面活性剤は、同一のイオン性を有する界面活性剤であれば、二種以上を組み合わせて使用してもよい。例えば、イオン性界面活性剤として
、カチオン性界面活性剤を複数使用してもよく、両イオン性界面活性剤を複数使用してもよく、アニオン性界面活性剤を複数使用してもよい。
【0037】
カチオン性界面活性剤としては、例えば脂肪酸エステルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、尿素縮合アミン塩、イミダゾリン塩等のアミン塩型カチオン界面活性剤や、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、第四級アンモニウム有機酸塩、脂肪酸アミド型第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等の第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤等が挙げられる。両イオン性界面活性剤としては、例えばアルキルグルタミン酸、アルキル−β−アラニン、又はそれらの塩等のアミノ酸型両イオン性界面活性剤、アルキルベタイン等のベタイン型両イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0038】
アニオン性界面活性剤としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸等の炭素数8以上22以下の飽和又は不飽和の脂肪酸と、Li、Na、Mg,K、Ca、Ba、Zn等の金属との塩や、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルヒドロキシエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩(R−O−SO
3M)等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(R−O−(CH
2CH
2O)
n−SO
3M)等のアルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩(R−SO
3M)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(R−Ph−SO
3M)、アルキルナフタレンスルホン酸塩(R−Np−SO
3M)、オレフィンスルホン酸塩(R−CH=CH−(CH
2)
n−SO
3M及びR−CH(−OH)(CH
2)
n−SO
3M)、アルキルスルホこはく酸塩(R−OOC−CH
2−CH(−SO
3M)−COOM)、ジアルキルスルホこはく酸塩(R−OOC−CH
2−CH(−SO
3M)−COO−R)、α−スルホ脂肪酸エステル(R−CH(−SO
3M)−COO−CH
3)、アシルイセチオン酸塩(R−CO−O−(CH
2CH
2)−SO
3M)、アシルタウリン塩(R−CO−NH−(CH
2)
2−SO
3M)、アシルアルキルタウリン塩(R−CO−N(−R’)−(CH
2)
2−SO
3M)等のN‐アルキル‐N‐アシルアミノアルキルスルホン酸、β‐ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(M−O
3S−Np−(CH
2−Np(−SO
3M))
n−H)等のスルホン酸塩等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
上述した硫酸エステル塩及びスルホン酸塩において、Rは、直鎖又は分枝鎖のアルキル基を表し、その炭素数は好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上であり、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。R’は、直鎖又は分枝鎖のアルキル基を表し、その炭素数は好ましくは5以下である。Phは、置換されていてもよいフェニル基を表す。Npは、置換されていてもよいナフチル基を表す。Mは一価の陽イオンを表し、好ましくは金属イオンであり、更に好ましくはナトリウムイオンである。nは、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上の数であり、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、更に好ましくは20以下の数を表す。これらの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩は、これらのうち一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせた混合物として用いてもよい。
【0040】
単繊維にイオン性界面活性剤を含有させる場合、イオン性界面活性剤のうち、アニオン性界面活性剤を用いることが好ましく、スルホン酸塩であることが更に好ましい。このような界面活性剤を含むことによって、細径の単繊維及び所定の密度の不織構造体を効率よく製造することができる。
【0041】
本発明の洗浄用部材は、本発明の効果が奏される限りにおいて、不織構造体に単繊維を構成する原料以外の他の構成成分を含んでいてもよい。このような他の構成成分としては
、例えばポリウレタン、ポリビニルアセテート、セルロース又はこれらの誘導体等が挙げられる。他の構成成分は、例えば不織構造体を構成する繊維状の態様として含まれていてもよく、不織構造体の一方の面に積層されるなどの層状の態様で含まれていてもよい。この場合、他の構成成分の含有量は少なければ少ないほど好ましいが、単繊維の全構成成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは95質量部以下、更に好ましくは90質量部以下である。
【0042】
また、本発明の洗浄用部材においては、本発明の効果を損なわない限り、単繊維に添加剤を配合していてもよい。添加剤としては、例えば酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤などが挙げられる。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤及びチオ系酸化防止剤などが例示できる。光安定剤及び紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン類、ニッケル錯化合物、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類などが例示できる。滑剤としては、ステアリン酸アマイドなどの高級脂肪酸アマイド類が例示できる。帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸モノエステルなどの脂肪酸部分エステル類が例示できる。金属不活性剤としては、フォスフォン類、エポキシ類、トリアゾール類、ヒドラジド類、オキサミド類等が挙げられる。単繊維に添加剤を更に含む場合、添加剤の含有量は、単繊維の全構成成分100質量部に対して0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることが更に好ましく、また、10質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることが更に好ましい。
【0043】
洗浄用部材を構成する不織構造体は、洗浄対象物の微粒子の洗浄効率を高める観点から、洗浄の目的に応じて、洗浄液を含浸させることも好ましい。洗浄液としては、水単独や、或いは、水に加えて、界面活性剤、殺菌剤、香料、芳香剤、消臭剤、pH調整剤、アルコール等の有機溶媒及び研磨粒子などの洗浄剤を含む分散液が挙げられる。また、基板等の電子部品の研磨に一般的に用いられる薬液や研磨液を洗浄液として含浸させることもできる。
【0044】
以上は、洗浄用部材に関する説明であったところ、以下に洗浄用部材の製造方法について説明する。本方法は、単繊維の原料を含む電界紡糸用組成物の溶液又は溶融液を電場中に吐出し、電界紡糸法によって紡糸して、単繊維の堆積体を形成する紡糸工程と、該堆積体を押圧して、所定の密度を有する不織構造体を形成する押圧工程との二つの工程に大別される。以下の説明では、本発明の製造方法の好適な態様である、樹脂を含む溶融液を用いた電界紡糸法を例にとって説明する。
【0045】
電界紡糸用組成物の溶融液を用いて電界紡糸を行う場合、例えば
図4に示す製造装置10によって好適に実施することができる。
図4に示す製造装置10は、組成物供給部10A、電極部10B、流体噴射部10C及び捕集部10Dに大別される。
【0046】
製造装置10は、筐体11、吐出ノズル12及び電界紡糸用組成物1Pを供給するホッパー19を備えた組成物供給部10Aを有する。筐体11では、ホッパー19から供給された電界紡糸用組成物1Pを筐体11内で加熱溶融して、電界紡糸用組成物の溶融液Rとすることができる。この溶融液Rは、筐体11に設けられたスクリュー(図示せず)によって、後述する吐出ノズル12の方向に向けて溶融液Rを供給できるようになっている。
【0047】
吐出ノズル12は、溶融液Rを電場中に吐出する部材であり、ノズルベース13と吐出ノズル先端部14とを備えている。吐出ノズル12は金属などの導電性材料から構成されている。ノズルベース13と吐出ノズル先端部14とは、絶縁性部材(図示せず)で電気的に絶縁されている。筐体11、吐出ノズル12、及びノズルベース13はそれぞれ連通しており、筐体11内の溶融液Rは、吐出ノズル先端部14の吐出口から吐出できるよう
になっている。吐出ノズル先端部14にはアースを施してあり、接地されている。
【0048】
吐出ノズル先端部14は、例えばノズルベース13に設けられたヒーター(図示せず)からの伝熱や筐体11内の溶融液Rからの伝熱によって加熱されている。吐出ノズル先端部14における溶融液Rの加熱温度は、電界紡糸用組成物の構成成分にもよるが、好ましくは100℃以上、更に好ましくは200℃以上であり、好ましくは450℃以下、更に好ましくは400℃以下である。
【0049】
製造装置10は、帯電電極21と、これに接続された高電圧発生装置22とを備える電極部10Bを有する。帯電電極21は吐出ノズル先端部14から所定距離を隔てた位置に、吐出ノズル先端部14と向かい合わせに離間して配置されている。この構成によって、吐出ノズル12の該先端部14と、高電圧発生装置22によって高電圧が印加された帯電電極21との間に電場を発生させて、吐出ノズル先端部14から吐出された溶融液Rを帯電させることができるようになっている。帯電電極21は金属などの導電性材料で構成されているか、或いは誘電体で覆われていることが好ましい。
【0050】
吐出ノズル12と帯電電極21との距離は、所望の繊維の繊維径(直径)や後述する捕集電極27への集積性に依存するが、好ましくは10mm以上であり、好ましくは150mm以下である。吐出ノズル12と帯電電極21との距離がこの範囲であると、吐出ノズル12と帯電電極21との間でスパークやコロナ放電が起こりにくくなり、製造装置10の動作不良が起こりにくくなる。
【0051】
製造装置10は、更に流体噴射部10Cを備えている。流体噴射部10Cは、組成物供給部10Aと電極部10Bとを結ぶ仮想直線の下側に、流体噴射装置23を備えている。流体噴射装置23は、組成物供給部10Aと電極部10Bとの間に設けられている。
【0052】
吐出ノズル先端部14の先端と帯電電極21との間には、両者を結ぶ方向と交差する方向に向けて空気流Aが流れている。この空気流Aは流体噴射装置23から噴出している。吐出ノズル先端部14から吐出された溶融液Rは、空気流Aに搬送されることによって一層極細化した繊維を形成することができる。この目的のために空気流Aとして、加熱流体である空気を用いることが好ましい。加熱された空気の温度は、電界紡糸用組成物の構成成分にもよるが、好ましくは100℃以上、更に好ましくは200℃以上であり、また、好ましくは500℃以下、更に好ましくは400℃以下である。同様の目的のために、空気流Aを噴出させるときの流体噴射装置23の吐出口における空気流Aの流量は、好ましくは50L/min以上、更に好ましくは150L/min以上であり、また、好ましくは500L/min以下、更に好ましくは400L/min以下である。
【0053】
製造装置10は、更に捕集部10Dを備えている。捕集部10Dは、繊維Fを捕集する捕集シート24、繊維Fを搬送する搬送コンベア25、高電圧発生装置26及び捕集電極27を備えている。捕集部10Dは、組成物供給部10Aと電極部10Bとを結ぶ仮想直線より上側の位置であって、且つ該流体噴射部10Cと対向する位置に設けられている。捕集部10Dは、それぞれが電気的に接続されている。
【0054】
捕集シート24は、原反ロール24aから繰り出されて搬送コンベア25に搬送されている。搬送コンベア25の内部には、電界紡糸された繊維を捕集するための捕集電極27が配置されている。捕集電極27には高電圧発生装置26が接続されており、該高電圧発生装置26によって捕集電極27に高電圧が印加される。捕集電極27に高電圧が印加されることで、繊維Fは負に帯電している搬送コンベア25側に引き寄せられて捕集シート24の表面に堆積する。また捕集電極27は、高電圧発生装置26に代えて、アースに接地されていてもよい。
【0055】
以上は、
図4に示す製造装置10の説明であったところ、以下に製造装置10を用いた本発明の繊維の製造方法を説明する。
【0056】
まず、ホッパー19に電界紡糸用組成物1Pを充填し、筐体11内で電界紡糸用組成物を加熱溶融する。その溶融液Rを吐出ノズル12に向けて押し出して、吐出ノズル先端部14の吐出口へ溶融液Rを供給する。
【0057】
電界紡糸用組成物1Pは、目的とする単繊維の原料樹脂である熱可塑性樹脂と、必要に応じて、イオン性界面活性剤及び添加剤とを含み、これらを混合したものを用いることができる。電界紡糸用組成物1Pの製造方法は特に制限はなく、例えば前記の各原料を予め混合することでマスターバッチとして製造してもよく、これに代えて、各原料を個別に製造装置10へ供給し、その装置内で加熱溶融しながら混練して製造してもよい。
【0058】
次に、吐出ノズル先端部14から溶融液Rを電場中に吐出して、電界紡糸法によって紡糸する(紡糸工程)。この電場を発生させるには、例えば吐出ノズル12の先端部14を接地するとともに、帯電電極21を高電圧発生装置22に接続して電圧を印加することによって発生させることができる。帯電した溶融液Rは、引力と、溶融液R自身が有する電荷による自己反発力とによる延伸を繰り返して極細繊維化し、帯電電極21に向けて電気的引力によって引き寄せられる。
【0059】
溶融液Rの引き伸ばしの効率化と、繊維の製造効率とを両立する観点から、溶融した電界紡糸用組成物の吐出量は、1g/min以上であることが好ましく、2g/min以上であることが更に好ましく、また、20g/min以下であることが好ましく、5g/min以下であることが更に好ましい。
【0060】
電界紡糸時に溶融液Rを延伸させやすくして、製造される繊維を一層細径なものとする観点から、溶融した電界紡糸用組成物のメルトフローレート(MFR)を、吐出ノズル先端部14の吐出口において、10g/min以上、特に100g/min以上に設定することが好ましい。メルトフローレート(MFR)は、JIS K 7210に従い、例えば原料樹脂としてポリプロピレン樹脂を用いた場合は、230℃、2.16kgの荷重下に、孔径2.095mm、長さ8mmのダイを用いて測定される。
【0061】
その後、更に流体噴射装置23から溶融液Rに向けて空気流Aを吹き付けることによって、吐出ノズル先端部14から吐出された溶融液Rが更に延伸されるとともに、極細の繊維を生成させながら搬送される。吐出ノズル先端部14から吐出された溶融液Rは、帯電電極21に到達する前に空気流Aに搬送されることで、その飛翔方向が変化するとともに、溶融液Rが引き延ばされて極細化され固化することによって、繊維Fを生成する。溶融液Rから生成した繊維Fは、空気流Aによって搬送されるとともに、捕集電極27に生じている電気的引力により引き寄せられ、捕集シート24の流体噴射装置23と対向する面に堆積する。
【0062】
吐出ノズル12と帯電電極21又は捕集電極27との間に印加する印加電圧は、好ましくは−100kV以上、更に好ましくは−80kV以上であり、また、好ましくは−5kV以下、更に好ましくは−10kV以下である。印加電圧がこの範囲であると、溶融液Rが良好に帯電しやすくなり、繊維径の細い繊維の生産効率を一層高めることができる。また吐出ノズル12と帯電電極21又は捕集電極27との間でスパークやコロナ放電が起こりにくくなり、装置の動作不良が起こりにくくなる。
【0063】
このように製造された繊維は、吐出ノズル12から捕集シート24までの間で、連続し
た1本の繊維、すなわち単繊維であると考えられる。仮に、製造の条件や周囲の環境等によって、一時的に繊維が切断したとしても、すぐに切断した繊維どうしが接触するようになり、結果として極細繊維は、吐出ノズル12から捕集シート24までの間で、あたかも連続した1本の繊維になっていると考えられる。この単繊維は捕集シート24に堆積し、捕集シート24上に単繊維の堆積体を形成する。
【0064】
以上の工程を経て製造された単繊維及びその堆積体は、上述した電界紡糸用組成物を原料として紡糸されたものであり、溶融電界紡糸による該組成物の変質は実質的にないので、原料である電界紡糸用組成物の組成と、製造物である単繊維の組成は実質的に同一である。
【0065】
電界紡糸用組成物の溶液を用いて電界紡糸を行う場合、上述した製造装置10に代えて、例えば、特開2012−012715号公報及び特開2015−52193号公報に記載の製造装置を用いて、繊維を紡糸することができる。詳細には、電界紡糸用組成物の溶液を吐出する吐出ノズルと、該吐出ノズルと連通し、該吐出ノズルに電界紡糸用組成物を供給可能なシリンジと、紡糸された繊維を捕集する導電性コレクタ(図示せず)を備え、シリンジと導電性コレクタとの間に電圧を印加した状態で紡糸することができる。シリンジには前記組成物の溶液が収容されており、シリンジから吐出ノズルに該溶液を供給し、該吐出ノズルから溶液を電場中に吐出し、電界紡糸法によって原料樹脂を含む極細の単繊維を紡糸して、単繊維の堆積体を導電性コレクタ上に形成することができる。
【0066】
所望の繊維径及び繊維長を有する単繊維を製造するためには、電界紡糸法の実施条件を適宜変更することによって行うことができる。特に、ナノファイバと呼ばれる繊維径が極めて細い単繊維を製造することができる。単繊維のメジアン繊維径は、上述したとおり、好ましくは100nm以上2000nm以下である。また、単繊維の平均繊維長は、10mm以上であることが好ましく、50mm以上であることがより好ましく、100mm以上であることが更に好ましい。単繊維の平均繊維長は、500本の繊維の長手方向の長さを測定し、その算術平均値とすることができる。
【0067】
次に、形成された単繊維の堆積体を押圧して、見かけ密度が好ましくは0.05g/cm
3以上0.60g/cm
3以下の不織構造体を形成する。不織構造体の見かけ密度をこのような範囲となるようにするためには、加える圧力及び温度を制御して押圧すればよい。また、加える圧力は、不織構造体が所望の形状となるように適宜変更することができる。
【0068】
図2に示すように、単繊維の堆積体を圧縮成形体となるように成形する場合、例えば、得られた単繊維の堆積体を、目的とする不織構造体の寸法及び形状に対応する金型に入れて圧力を加えることによって、圧縮成形された不織構造体2とすることができる。このとき、堆積体に加える圧力は、好ましくは10N/cm
2以上、更に好ましくは100N/cm
2以上であり、また、好ましくは100000N/cm
2以下、更に好ましくは50000N/cm
2以下である。また押圧時の温度は、単繊維の原料樹脂の融点又は流動点を超えない温度で適宜設定することができる。原料樹脂として複数の樹脂を用いる場合は、用いられる樹脂のうち、最も低い融点又は流動点を有するものを基準として温度を設定する。流動点とは、測定対象の樹脂を長さ40mm×幅5mm×厚み1mmのプレート状固体にして、これを粘弾性測定装置(例えば、(株)日立ハイテクサイエンス製のDMA7100)に供する。測定対象の樹脂のガラス転移点及びガラス転移領域より高い温度領域に温度を上昇させながら動的粘弾性を測定(測定時の振動数を1Hz、ひずみ振幅を0.025%に設定)したときに、貯蔵弾性率E’が損失弾性率E”よりも高い状態から、損失弾性率E”が貯蔵弾性率E’よりも高い状態となったときの、貯蔵弾性率−温度曲線と、損失弾性率−温度曲線との交点での温度を指す。
【0069】
図3(a)ないし(d)に示すように、単繊維の堆積体をシート状又は板状に成形して不織構造体2とする場合には、例えば、得られた単繊維の堆積体を一対のプレスロールの間に導入することによって、シート状又は板状の不織構造体とすることができる。また押圧時の圧力及び温度は、上述した圧力及び温度とすることができる。上述した条件で不織構造体を押圧することで、不織構造体の成形態様によらず、単繊維どうしは互いに融着せず、単繊維どうしの接触点における少なくとも一方の単繊維の断面形状が、非接触点における単繊維の断面形状とは異なる形状に変形したものとなる。
【0070】
図3(a)ないし(d)に示すように、不織構造体2に加えて、支持部材3を更に備える場合、シート状の不織構造体2で支持部材の外面を被覆する工程、シート状又は板状の不織構造体と支持部材とを積層する工程、或いはシート状の不織構造体2を支持部材の外面に巻きつける工程等の工程を更に行うことによって、不織構造体2と支持部材3とを備えた洗浄用部材1とすることができる。不織構造体2と支持部材3とを接合する方法は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に制限されず、例えばヒートシール、接着剤等の接合手段を用いて、部分的に又は全体的に接合することができる。
【0071】
電界紡糸用組成物にイオン性界面活性剤を含む場合、繊維表面に親水性を一層効果的に発現させて、不織構造体の親水性を高める観点から、少なくとも不織構造体に対して加熱処理を行うことも好ましい。加熱処理の方法は、単繊維どうしの融着が生じない条件であれば特に制限されず、例えば熱風を繊維に吹き付けて処理する方法や、赤外線を繊維に照射する方法、熱水などの加熱液体に繊維を浸漬する方法、加熱した一対のロール間に繊維を通過させる方法、恒温槽などの加熱された空間に繊維を保持する方法、加熱した金属板で挟んで繊維をプレスする方法等が挙げられる。これらの方法は、紡糸された単繊維又はその堆積体に対してそのまま行ってもよく、単繊維を所定の形状に成形して繊維の成形体とすると同時に行ってもよく、該成形体を形成した後に行ってもよい。単繊維どうしの融着が生じない条件としては、例えば、上述するように、単繊維の原料樹脂の融点又は流動点を超えない温度で加熱処理すればよい。
【0072】
このように製造された不織構造体を備える洗浄用部材は、洗浄用部材単体で、又はワイパー等の洗浄用具若しくは洗浄装置に装着させて、床面、壁面等の建物、戸棚、窓ガラス、鏡、ドア、ドアノブ等の建具、ラグ、カーペット、机食卓等の家具、身体の皮膚表面等の洗浄対象物の表面の洗浄に用いることができる。洗浄用部材は、これを乾燥した状態で用いてもよく、洗浄液又は薬液を含浸させた状態で用いてもよい。特に、本発明の洗浄用部材は、研磨砥粒等の数十〜数百nm程度の粒径を有する微粒子も効果的に洗浄除去することができるので、シリコンウエハ等の半導体基板や、磁気記録用基板等といった、洗浄対象面の平滑性が高度に要求される精密電子部品の表面の洗浄に好適に用いることができ、これらの基板の表面欠陥の頻度を低減することができる。
【0073】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、
図4に示す製造装置10は、組成物供給部10Aと流体噴射部10Cとをそれぞれ別に設けていたが、これに代えて、組成物供給部10Aに流体噴射部10Cを組み入れてもよい。具体的には、特開2016−204816号公報に示すように、電界紡糸用組成物の溶液又は溶融液を吐出するノズルと、ノズルとの間に電場を発生させる電極と、該電極に電圧を印加する高電圧発生装置と、電界紡糸用組成物から生成した繊維を捕集する捕集部を備え、筐体とノズルとの間に溶液又は溶融液を流通可能な流通路が形成されており、該流通路を囲むように、流体噴射部が形成されている製造装置としてもよい。この場合、電極部10Bに代えて、捕集部10Dにおける捕集電極27に電圧を印加してノズルとの間に電場を発生させて、この状態で、吐出ノズル12から捕集部10Dに向けて溶液又は溶融液を直接吐出できるようになっていてもよい。本形態における流体
噴射部10Cは、吐出ノズル12における溶融液Rの吐出方向に沿って、空気流Aを噴射できるようになっている。
【0074】
また、
図4に示す製造装置10では、吐出ノズル12との間に電場を発生させる電極は、帯電電極21として、組成物供給部10Aと別に設けられていたが、これに代えて、組成物供給部10Aに帯電電極21を組み入れてもよい。詳細には、特開2016−204816号公報に示すように、帯電電極21が、吐出ノズル12を囲むように凹曲面が配置された凹曲面電極となっており、該電極に電圧を印加可能となっていてもよい。この場合、吐出ノズル12に対向して配置される捕集部10Dは、捕集電極27に代えて、例えば電気的に接続されていないサクションボックス等の吸引手段を設けて、紡糸された繊維Fを吸引して、該繊維を捕集シート24上に堆積できるようになっていてもよい。
【0075】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の洗浄用部材及びその製造方法を開示する。
【0076】
<1>
メジアン繊維径が100nm以上2000nm以下である単繊維の絡合によって保形されている不織構造体を備え、
前記不織構造体は、見かけ密度が0.05g/cm
3以上0.60g/cm
3以下である、洗浄用部材。
【0077】
<2>
前記不織構造体は、その空隙率が30%以上75%以下であり、
累積細孔容積を細孔径の対数値で微分した細孔容積分布において、50μm以下の細孔径の範囲にトップピークを有し、且つ50μm超の細孔径の範囲にトップピークを有していない分布を有する、前記<1>に記載の洗浄用部材。
<3>
前記不織構造体が、前記単繊維が絡合してなる堆積体の圧縮成形体である、前記<1>又は<2>に記載の洗浄用部材。
<4>
支持部材を更に備え、
前記支持部材と前記不織構造体とが互いに接するように配されている、前記<1>ないし<3>のいずれか一に記載の洗浄用部材。
<5>
前記不織構造体が、前記支持部材の全面を被覆するように配されている、前記<4>に記載の洗浄用部材。
【0078】
<6>
シート状又はバルク状の前記不織構造体が、板状の前記支持部材の少なくとも一つの面に配されている、前記<4>に記載の洗浄用部材。
<7>
シート状の前記不織構造体が、ロール状の前記支持部材の周面に配されている、前記<4>に記載の洗浄用部材。
<8>
前記不織構造体がシート状であり、該不織構造体に対する水滴の浸透時間が1分以内である、前記<1>ないし<7>のいずれか一に記載の洗浄用部材。
<9>
前記不織構造体がシート状であり、該不織構造体に対する水滴の浸透時間が1分以内であることが好ましく、より好ましくは40秒以下、更に好ましくは20秒以下である、前記<1>ないし<8>のいずれか一に記載の洗浄用部材。
<10>
前記単繊維が電界紡糸された繊維である、前記<1>ないし<9>のいずれか一に記載の洗浄用部材。
【0079】
<11>
前記単繊維は、熱可塑性樹脂を含み、
前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィンコポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド6及びポリアミド66等のポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニルやポリスチレン等のビニル系樹脂、並びにポリアクリル酸やポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂等から選ばれる少なくとも一種である、前記<1>ないし<10>のいずれか一に記載の洗浄用部材。
<12>
前記熱可塑性樹脂の含有量は、前記単繊維の全構成成分100質量部に対して、70質量部以上であることが好ましく、75質量部以上であることがより好ましく、80質量部以上であることが更に好ましく、また、98質量部以下であることが好ましく、97質量部以下であることがより好ましく、90質量部以下であることが更に好ましい、前記<11>に記載の洗浄用部材。
<13>
前記単繊維はイオン性界面活性剤を含む、前記<1>ないし<12>のいずれか一に記載の洗浄用部材。
<14>
前記イオン性界面活性剤の含有量は、前記単繊維の全構成成分100質量部に対して、2質量部以上であることが好ましく、4質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましく、また、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましく、6質量部以下であることが更に好ましい、前記<13>に記載の洗浄用部材。
【0080】
<15>
前記不織構造体の見かけ密度が、好ましくは0.05g/cm
3以上、より好ましくは0.10g/cm
3以上、更に好ましくは0.20g/cm
3以上であり、また、好ましくは0.60g/cm
3以下、より好ましくは0.55g/cm
3以下、更に好ましくは0.50g/cm
3以下である、前記<1>ないし<14>のいずれか一に記載の洗浄用部材。
<16>
前記不織構造体の空隙率が、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上であり、また、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは65%以下である、前記<1>ないし<15>のいずれか一に記載の洗浄用部材。
<17>
前記不織構造体の累積細孔容積が、0.8mL/g以上であることが好ましく、1.0mL/g以上であることが更に好ましく、また、20mL/g以下であることが好ましく、10mL/g以下であることが更に好ましい、前記<1>ないし<16>のいずれか一に記載の洗浄用部材。
【0081】
<18>
前記<1>ないし<17>のいずれか一に記載の洗浄用部材の製造方法であって、
電界紡糸用組成物の溶液又は溶融液を電場中に吐出し、電界紡糸法によって紡糸して、単繊維の堆積体を形成する工程と、
前記堆積体を押圧して、見かけ密度が0.05g/cm
3以上0.60g/cm
3以下
の不織構造体を形成する工程とを備える、洗浄用部材の製造方法。
<19>
前記堆積体に、好ましくは10N/cm
2以上、更に好ましくは100N/cm
2以上、好ましくは100000N/cm
2以下、更に好ましくは50000N/cm
2以下の圧力を加えて、圧縮成形体である不織構造体を形成する、前記<18>に記載の洗浄用部材の製造方法。
<20>
前記堆積体を一対のプレスロールの間に導入して、シート状又は板状の不織構造体を形成する、前記<18>に記載の洗浄用部材の製造方法。
<21>
シート状の前記不織構造体で支持部材の外面を被覆する工程、シート状若しくは板状の前記不織構造体と支持部材とを積層する工程、又はシート状の不織構造体を支持部材の外面に巻きつける工程のうちいずれかの工程を備え、該不織構造体と該支持部材とを備えた洗浄用部材を形成する、前記<18>ないし<20>のいずれか一に記載の洗浄用部材の製造方法。
【0082】
<22>
前記不織構造体に対して加熱処理を行う、前記<18>ないし<21>のいずれか一に記載の洗浄用部材の製造方法。
<23>
樹脂を含む前記電界紡糸用組成物を用いて電界紡糸法によって紡糸して、該樹脂を含む単繊維の堆積体を形成し、
前記堆積体を押圧して、見かけ密度が0.05g/cm
3以上0.60g/cm
3以下の不織構造体を形成し、
前記不織構造体に対して、前記樹脂の融点又は流動点を超えない温度で加熱処理を行う、前記<18>ないし<22>のいずれか一に記載の洗浄用部材の製造方法。
【実施例】
【0083】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0084】
〔実施例1〕
図4に示す製造装置10を用いて、原料樹脂としてポリプロピレン樹脂(PP;PolyMirae社製、MF650Y、融点160℃)と、イオン性界面活性剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム(バイエルAG社製、メルソラートH−95)とを、原料樹脂とイオン性界面活性剤との合計100質量部に対してイオン性界面活性剤を5質量部含む分量で筐体11内に供給し、これらを筐体11内で加熱溶融しながら混練し、溶融状態の電界紡糸用組成物を製造した。また、溶融状態の電界紡糸用組成物を用いて、単繊維の堆積体を、溶融電界紡糸法によって以下の製造条件で製造した。得られた単繊維のメジアン繊維径は900nmであった。
【0085】
〔単繊維の製造条件〕
・製造環境:27℃、50%RH
・筐体11内の加熱温度:220℃
・溶融液Rの吐出量:1g/min
・吐出ノズル先端部14(ステンレス製)への印加電圧:0kV(アースに接地されている。)
・帯電電極21(80mm×80mm、厚さ10mm、ステンレス製)への印加電圧:−40kV
・吐出ノズル先端部14と捕集部10Dとの間の距離:600mm
・流体噴射装置23から噴出される空気流の温度:350℃
・流体噴射装置23から噴出される空気流の流量:320L/min
【0086】
次いで、得られた単繊維の堆積体をハンドプレス機(Mini test press−10、東洋精機株式会社製)に供給して、室温(25℃)で9400N/cm
2で押圧し、単繊維の絡合によって保形されたシート状の不織構造体を製造した。この不織構造体の厚さは76μmであり、水滴の浸透時間は45秒であった。不織構造体の見かけ密度は0.4g/cm
3であり、空隙率は55%であり、8μmの細孔径の位置にトップピークを示す細孔分布を有していた。この不織構造体を、板状の支持部材(ポリビニルアセタール製の基板洗浄パッド、アイオン株式会社製、型番:Wシリーズ)の外面全体を被覆するように配して、本実施例の洗浄用部材1を得た。
【0087】
〔比較例1〕
上述した板状の支持部材をそのまま洗浄用部材として用いた。つまり、本比較例の洗浄用部材は、板状の支持部材のみからなり、不織構造体を配さないものであった。
【0088】
〔実施例2〕
圧縮成形体である不織構造体からなる洗浄用部材を製造した。詳細には、上述の方法で得られた単繊維の堆積体(坪量:10g/m
2)を、縦18mm×横18mm×深さ30mmの直方体状の金型を満たすように入れ、次いで、18mm角の杵型を用いて、室温(25℃)で25N/cm
2の圧力を単繊維の堆積体に加えて、直方体状に圧縮成形された不織構造体を製造した。この不織構造体の見かけ密度は、0.2g/cm
3であった。
【0089】
〔微粒子の洗浄性能の評価〕
実施例1及び比較例1の洗浄用部材を基板洗浄装置に装着して、シリコンウエハの表面欠陥の数を計測することによって、微粒子の洗浄性能を評価した。具体的な手順は、シリコンウエハの仕上げ研磨、洗浄用部材による洗浄、及び表面欠陥の測定の順に行った。評価手順の詳細及び条件を以下に示す。
【0090】
<1.仕上げ研磨>
以下に示す組成の仕上げ研磨液と、シリコンウエハとを用いて、以下の研磨条件でシリコンウエハの仕上げ研磨を行った。シリコンウエハに対して市販の研磨液を用いて粗研磨を行い、その後、以下に示す仕上げ研磨条件で仕上げ研磨を行った。粗研磨後のシリコンウエハのヘイズは、2〜3ppmであった。ヘイズは、KLA Tencor社製「Surfscan SP1−DLS」装置を用いて測定される暗視野ワイド斜入射チャンネル(DWO)での値である。
【0091】
(仕上げ研磨液)
ヒドロキシエチルセルロース(ダイセル株式会社製、SE−400、分子量25万)、ポリエチレングリコール(PEG)6000(重量平均分子量6000、和光純薬工業株式会社製、和光一級)、アンモニア水(キシダ化学株式会社製、試薬特級)、シリカ粒子(PL−3、扶桑化学工業株式会社製)、及びイオン交換水を混合して得られた研磨液濃縮液を、使用直前にイオン交換水で40倍に希釈して、仕上げ研磨液とした。仕上げ研磨液における組成は以下のとおりである。
・ヒドロキシエチルセルロース:0.01質量%
・PEG6000:0.0008質量%
・シリカ粒子:0.17質量%
・アンモニア:0.01質量%
【0092】
(シリコンウエハ)
単結晶シリコンウエハ(直径200mmのシリコン片面鏡面ウエハ、伝導型:P、結晶方位:100、抵抗率:0.1Ω・cm以上100Ω・cm未満)
【0093】
(仕上げ研磨条件)
・研磨機:片面8インチ研磨機「GRIND−X SPP600s」(岡本工作製)
・研磨パッド:スエードパッド(東レ コーテックス社製、アスカー硬度:64、厚さ:1.37mm、ナップ長:450μm、開口径:60μm)
・シリコンウエハ研磨圧力:100g/cm
2
・定盤回転速度:60rpm
・研磨時間:5分
・仕上げ研磨液の供給速度:150g/min
・仕上げ研磨液の温度:23℃
・キャリア回転速度:62rpm
【0094】
<2.洗浄用部材による洗浄>
仕上げ研磨後シリコンウエハに対して、洗浄用部材による洗浄、オゾン洗浄及び希フッ酸洗浄を1セットとして、計2セット行った。その後、洗浄後のシリコンウエハを1,500rpm、2分間回転させて、スピン乾燥を行った。各洗浄の条件は以下のとおりとした。
洗浄用部材による洗浄では、600rpmで回転するシリコンウエハの中央部に向かって、超純水を流速1L/minで噴射しながら、実施例又は比較例の洗浄用部材をシリコンウエハの中央部から外周部へ移動させながら押し当てて、該ウエハの一面を洗浄した。洗浄時間は1分間とした。
オゾン洗浄では、600rpmで回転するシリコンウエハの中央部に向かって、20ppmのオゾンを含む常温(23℃)のオゾン水を、流速1L/minで3分間噴射した。
希フッ酸洗浄では、600rpmで回転するシリコンウエハの中央部に向かって、0.5質量%のフッ化水素アンモニウム(試薬特級、ナカライテクス株式会社製)を含む常温(23℃)の水溶液を、流速1L/minで6秒間噴射した。
【0095】
<3.表面欠陥の測定>
洗浄後のシリコンウエハの表面欠陥は、KLA Tencor社製「Surfscan
SP1−DLS」装置を用いて、シリコンウエハ表面上に存在する45nm以上50nm以下の粒径を有するパーティクル数を測定することによって評価した。表面欠陥の評価結果は、前記装置を用いて測定される暗視野斜光ビームコンポジットチャンネル(DCO)での値に基づいて評価した。この数値が小さいほど表面欠陥が少ないことを示す。
【0096】
実施例1及び比較例1の洗浄用部材を用いて洗浄したときのシリコンウエハの表面欠陥の発生数を、
図5(a)及び(b)に結果として示す。
図5(a)では、円で囲われた内側の黒色領域に白点が少ないほど表面欠陥の発生が少なく、微粒子の洗浄性能に優れていることを示している。
【0097】
図5(a)及び(b)に示すように、実施例1の洗浄用部材は、比較例1のものと比較して、シリコンウエハ表面の微粒子の残存が少なくなっており、表面欠陥の数が少なっていることが判る。したがって、本発明の洗浄用部材は、微粒子の洗浄性能に優れたものであり、特に、微粒子の効果的な除去が望まれる基板等の精密電子部品の洗浄に好適なものである。