(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記端子内における圧痕の最も近接する他の圧痕との外縁間の距離の差が、同一端子内における平均から±30%以内である請求項1〜7のいずれか1項に記載の検査方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明が適用された接続体、接続体の製造方法及び検査方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
[液晶表示パネル]
以下では、本発明が適用された接続体として、ガラス基板に、電子部品として液晶駆動用のICチップが実装された液晶表示パネルを例に説明する。この液晶表示パネル10は、
図1に示すように、ガラス基板等からなる二枚の透明基板11,12が対向配置され、これら透明基板11,12が枠状のシール13によって互いに貼り合わされている。そして、液晶表示パネル10は、透明基板11,12によって囲繞された空間内に液晶14が封入されることによりパネル表示部15が形成されている。
【0019】
透明基板11,12は、互いに対向する両内側表面に、ITO(酸化インジウムスズ)等からなる縞状の一対の透明電極16,17が、互いに交差するように形成されている。そして、両透明電極16,17は、これら両透明電極16,17の当該交差部位によって液晶表示の最小単位としての画素が構成されるようになっている。
【0020】
両透明基板11,12のうち、一方の透明基板12は、他方の透明基板11よりも平面寸法が大きく形成されており、この大きく形成された透明基板12の縁部12aには、電子部品として液晶駆動用IC18が実装される実装部27が設けられている。なお、実装部27には、
図2、
図3に示すように、透明電極17の複数の入力端子19aが配列された入力端子列20a及び複数の出力端子19bが配列された出力端子列20b、液晶駆動用IC18に設けられたIC側アライメントマーク32と重畳させる基板側アライメントマーク31が形成されている。
【0021】
液晶駆動用IC18は、画素に対して液晶駆動電圧を選択的に印加することにより、液晶の配向を部分的に変化させて所定の液晶表示を行うことができるようになっている。また、
図3、
図4に示すように、液晶駆動用IC18は、透明基板12への実装面18aに、透明電極17の入力端子19aと導通接続される複数の入力バンプ21aが配列された入力バンプ列22aと、透明電極17の出力端子19bと導通接続される複数の出力バンプ21bが配列された出力バンプ列22bが形成されている。入力バンプ21a及び出力バンプ21bは、例えば銅バンプや金バンプ、あるいは銅バンプに金メッキを施したもの等が好適に用いられる。
【0022】
入力バンプ21aは、例えば、実装面18aの一方の側縁に沿って一列で配列され、出力バンプ21bは、一方の側縁と対向する他方の側縁に沿って複数列で千鳥状に配列されている。入出力バンプ21a,21bと、透明基板12の実装部27に設けられている入出力端子19a,19bとは、それぞれ同数かつ同ピッチで形成され、透明基板12と液晶駆動用IC18とが位置合わせされて接続されることにより、接続される。
【0023】
なお、入出力バンプ21a,21bの配列は、
図4に示す以外にも、一方の側縁に一又は複数列で配列され、他方の側縁に一又は複数列で配列されるいずれの構成であってもよい。また、入出力バンプ21a,21bは、一列配列の一部が複数列となってもよく、複数列の一部が一列となってもよい。さらに、入出力バンプ21a,21bは、複数列の各列が平行且つ隣接する電極端子同士が並列するストレート配列で形成されてもよく、あるいは複数列の各列が平行且つ隣接する電極端子同士が均等にズレる千鳥配列で形成されてもよい。
【0024】
また、液晶駆動用IC18は、IC基板の長辺に沿って入出力バンプ21a,21bを配列させるとともに、IC基板の短辺に沿ってサイドバンプを形成してもよい。なお、入出力バンプ21a,21bは、同一寸法で形成してもよく、異なる寸法で形成してもよい。また、入出力バンプ列22a,22bは、同一寸法で形成された入出力バンプ21a,21bが対称又は非対称に配列されてもよく、異なる寸法で形成された入出力バンプ21a,21bが非対称に配列されてもよい。
【0025】
なお、近年の液晶表示装置その他の電子機器の小型化、高機能化に伴い、液晶駆動用IC18等の電子部品も小型化、低背化が求められ、入出力バンプ21a,21bもその高さが低くなっている(例えば6〜15μm)。
【0026】
また、液晶駆動用IC18は、実装面18aに、基板側アライメントマーク31と重畳させることにより、透明基板12に対するアライメントを行うIC側アライメントマーク32が形成されている。なお、透明基板12の透明電極17の配線ピッチや液晶駆動用IC18の入出力バンプ21a,21bのファインピッチ化が進んでいることから、液晶駆動用IC18と透明基板12とは、高精度のアライメント調整が求められている。
【0027】
基板側アライメントマーク31及びIC側アライメントマーク32は、組み合わされることにより透明基板12と液晶駆動用IC18とのアライメントが取れる種々のマークを用いることができる。
【0028】
実装部27に形成されている透明電極17の入出力端子19a,19b上には、回路接続用接着剤として異方性導電フィルム1を用いて液晶駆動用IC18が接続される。異方性導電フィルム1は、導電性粒子4を含有しており、液晶駆動用IC18の入出力バンプ21a,21bと透明基板12の実装部27に形成された透明電極17の入出力端子19a,19bとを、導電性粒子4を介して電気的に接続させるものである。この異方性導電フィルム1は、熱圧着ヘッド33により熱圧着されることによりバインダー樹脂が流動化して導電性粒子4が入出力端子19a,19bと液晶駆動用IC18の入出力バンプ21a,21bとの間で押し潰され、この状態でバインダー樹脂が硬化する。これにより、異方性導電フィルム1は、透明基板12と液晶駆動用IC18とを電気的、機械的に接続する。
【0029】
また、両透明電極16,17上には、所定のラビング処理が施された配向膜24が形成されており、この配向膜24によって液晶分子の初期配向が規制されるようになっている。さらに、両透明基板11,12の外側には、一対の偏光板25,26が配設されており、これら両偏光板25,26によってバックライト等の光源(図示せず)からの透過光の振動方向が規制されるようになっている。
【0030】
[異方性導電フィルム]
次いで、異方性導電フィルム1について説明する。異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)1は、
図5に示すように、通常、基材となる剥離フィルム2上に導電性粒子4を含有するバインダー樹脂層(接着剤層)3が形成されたものである。異方性導電フィルム1は、熱硬化型あるいは紫外線等の光硬化型の接着剤であり、液晶表示パネル10の透明基板12に形成された入出力端子19a,19b上に貼着されるとともに液晶駆動用IC18が搭載され、熱圧着ヘッド33により熱加圧されることにより流動化して導電性粒子4が相対向する透明電極17の入出力端子19a,19bと液晶駆動用IC18の入出力バンプ21a,21bとの間で押し潰され、加熱あるいは紫外線照射により、導電性粒子が押し潰された状態で硬化する。これにより、異方性導電フィルム1は、透明基板12と液晶駆動用IC18とを接続し、導通させることができる。
【0031】
また、異方性導電フィルム1は、膜形成樹脂、熱硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等を含有する通常のバインダー樹脂層3に導電性粒子4が所定のパターンで規則的に配列されている。
【0032】
バインダー樹脂層3を支持する剥離フィルム2は、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methylpentene-1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)等にシリコーン等の剥離剤を塗布してなり、異方性導電フィルム1の乾燥を防ぐとともに、異方性導電フィルム1の形状を維持する。
【0033】
バインダー樹脂層3に含有される膜形成樹脂としては、平均分子量が10000〜80000程度の樹脂が好ましい。膜形成樹脂としては、エポキシ樹脂、変形エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂等の各種の樹脂が挙げられる。中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂が特に好ましい。
【0034】
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、市販のエポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0035】
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0036】
アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じてアクリル化合物、液状アクリレート等を適宜選択することができる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等を挙げることができる。なお、アクリレートをメタクリレートにしたものを用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
潜在性硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、加熱硬化型、UV硬化型等の各種硬化剤が挙げられる。潜在性硬化剤は、通常では反応せず、熱、光、加圧等の用途に応じて選択される各種のトリガにより活性化し、反応を開始する。熱活性型潜在性硬化剤の活性化方法には、加熱による解離反応などで活性種(カチオンやアニオン、ラジカル)を生成する方法、室温付近ではエポキシ樹脂中に安定に分散しており高温でエポキシ樹脂と相溶・溶解し、硬化反応を開始する方法、モレキュラーシーブ封入タイプの硬化剤を高温で溶出して硬化反応を開始する方法、マイクロカプセルによる溶出・硬化方法等が存在する。熱活性型潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミン塩、ジシアンジアミド等や、これらの変性物があり、これらは単独でも、2種以上の混合体であってもよい。中でも、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤が好適である。
【0038】
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等を挙げることができる。シランカップリング剤を添加することにより、有機材料と無機材料との界面における接着性が向上される。
【0039】
[導電性粒子]
導電性粒子4としては、異方性導電フィルム1において使用されている公知の何れの導電性粒子を挙げることができる。導電性粒子4としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金等の各種金属や金属合金の粒子、金属酸化物、カーボン、グラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック等の粒子の表面に金属をコートしたもの、或いは、これらの粒子の表面に更に絶縁薄膜をコートしたもの等が挙げられる。樹脂粒子の表面に金属をコートしたものである場合、樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂等の粒子を挙げることができる。導電性粒子4の大きさは1〜10μmが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
[導電性粒子の規則配列]
異方性導電フィルム1は、導電性粒子4が平面視において所定の配列パターンで規則的に配列され、例えば
図6や
図7に示すように、格子状かつ均等に配列され、あるいは六方格子状に配列される。このような導電性粒子4の配列距離は適宜調整することができる。即ち、配列の方向によって異なる配列距離であってもよい。後述するように、平面視において規則的に配列されることにより、異方性導電フィルム1は、導電性粒子4がランダムに分散されている場合に比して、液晶駆動用IC18の接続後における検査において、入出力端子19a,19bに現れる圧痕30の視認性を向上させることができる。
【0041】
一方、導電粒子がランダムに分散されている場合は、導電粒子同士が接続時に隣接もしくは重複したような状態になり、押圧後に個々の導電粒子を識別することが困難になる。
【0042】
また、異方性導電フィルム1は、平面視において規則的に配列されることにより、導電性粒子4がランダムに分散されている場合に比して、液晶駆動用IC18の隣接する入出力バンプ21a,21b間のスペース23がファインピッチ化し端子間面積が狭小化するとともに、導電性粒子4が高密度に充填されていても、液晶駆動用IC18の接続工程において、導電性粒子4の凝集体による入出力バンプ21a,21b間のスペース23におけるバンプ間ショートを防止することができる。
【0043】
また、異方性導電フィルム1は、導電性粒子4が規則的に配列されることにより、バインダー樹脂層3に高密度に充填した場合にも、導電性粒子4の凝集による疎密の発生が防止されている。したがって、異方性導電フィルム1によれば、ファインピッチ化された入出力端子19a,19bや入出力バンプ21a,21bにおいても導電性粒子4を捕捉することができる。導電性粒子4の均等配列パターンは、任意に設定することができる。
【0044】
このような異方性導電フィルム1は、例えば、延伸可能なシート上に粘着剤を塗布し、その上に導電性粒子4を単層配列した後、当該シートを、所望の延伸倍率で延伸させる方法、導電性粒子4を基板上に所定の配列パターンに整列させた後、剥離フィルム2に支持されたバインダー樹脂層3に導電性粒子4を転写する方法、あるいは剥離フィルム2に支持されたバインダー樹脂層3上に、配列パターンに応じた開口部が設けられた配列板を介して導電性粒子4を供給する方法等により製造することができる。
【0045】
なお、異方性導電フィルム1の形状は、特に限定されないが、例えば、
図5に示すように、巻取リール6に巻回可能な長尺テープ形状とし、所定の長さだけカットして使用することができる。
【0046】
また、上述の実施の形態では、異方性導電フィルム1として、バインダー樹脂層3に導電性粒子4を規則配列した熱硬化性樹脂組成物をフィルム状に成形した接着フィルムを例に説明したが、本発明に係る接着剤は、これに限定されず、例えばバインダー樹脂3のみからなる絶縁性接着剤層と導電性粒子4を規則配列したバインダー樹脂3からなる導電性粒子含有層とを積層した構成とすることができる。また、異方性導電フィルム1は、導電性粒子4が平面視で規則配列されていれば、
図5に示すように単層配列されている他、複数のバインダー樹脂層3にわたって導電性粒子4が配列されるとともに平面視において規則配列されるものでもよい。また、異方性導電フィルム1は、多層構成の少なくとも一つの層内で、所定距離で単一に分散されたものでもよい。
【0047】
[接続工程]
次いで、透明基板12に液晶駆動用IC18を接続する接続工程について説明する。先ず、透明基板12の入出力端子19a,19bが形成された実装部27上に異方性導電フィルム1を仮貼りする。次いで、この透明基板12を接続装置のステージ上に載置し、透明基板12の実装部27上に異方性導電フィルム1を介して液晶駆動用IC18を配置する。
【0048】
次いで、バインダー樹脂層3を硬化させる所定の温度に加熱された熱圧着ヘッド33によって、所定の圧力、時間で液晶駆動用IC18上から熱加圧する。これにより、異方性導電フィルム1のバインダー樹脂層3は流動性を示し、液晶駆動用IC18の実装面18aと透明基板12の実装部27の間から流出するとともに、バインダー樹脂層3中の導電性粒子4は、液晶駆動用IC18の入出力バンプ21a,21bと透明基板12の入出力端子19a,19bとの間に挟持されて押し潰される。
【0049】
その結果、入出力バンプ21a,21bと入出力端子19a,19bとの間で導電性粒子4を挟持することにより電気的に接続され、この状態で熱圧着ヘッド33によって加熱されたバインダー樹脂が硬化する。これにより、液晶駆動用IC18の入出力バンプ21a,21bと透明基板12に形成された入出力端子19a,19bとの間で導通性を確保された液晶表示パネル10を製造することができる。また、上記の挟持された導電性粒子4を押圧されたもの(歪み)が、入出力端子19a,19b内において圧痕になる。
【0050】
入出力バンプ21a,21bと入出力端子19a,19bとの間にない導電性粒子4は、隣接する入出力バンプ21a,21b間のスペース23においてバインダー樹脂に分散されており、電気的に絶縁した状態を維持している。したがって、液晶表示パネル10は、液晶駆動用IC18の入出力バンプ21a,21bと透明基板12の入出力端子19a,19bとの間のみで電気的導通が図られる。なお、バインダー樹脂として、ラジカル重合反応系の速硬化タイプのものを用いることで、短い加熱時間によってもバインダー樹脂を速硬化させることができる。また、異方性導電フィルム1としては、熱硬化型に限らず、加圧接続を行うものであれば、光硬化型もしくは光熱併用型の接着剤を用いてもよい。
【0051】
[圧痕視認性]
入出力バンプ21a,21bとの間で導電性粒子4が押圧されることにより、透明基板12側から入出力端子19a,19bの箇所に、圧痕30を観察できる。液晶駆動用IC18の接続後、透明基板12の裏面(入出力端子19a,19bの反対側)より目視(顕微鏡など)あるいは撮像画像によって観察することで接続性の検査を行うことができる。
【0052】
圧痕30は、入出力バンプ21a,21bと入出力端子19a,19bとの間に硬度の高い導電性粒子4を捕捉した状態で熱圧着ヘッド33によって押圧されることにより、透明電極17の入出力端子19a,19bに現れる導電性粒子4の押圧痕であり、透明基板12の裏面側から観察することにより視認可能となっている。圧痕30の形状は、一般に導電性粒子4の粒径以上の径を有し、
図8(a)に示すように、略円形状となる。また、圧痕30の形状は、
図8(b)に示すように、片側がぼやけているものの大部分が曲線によって構成されるのが一般的である。この場合の曲線は、円形とした場合の40%以上、好ましくは50%以上、更により好ましくは60%以上の、即ち略円形であると認識できる曲線であればよい。なお、金属粒子の場合などには、直線的な状態が含まれる場合がある。
【0053】
圧痕30は、粒子の押し込みの強さに起因してコントラストや外径が異なる。そのため、圧痕は、熱圧着ヘッド33による押圧が各入出力端子19a,19b間及び個々の入出力端子19a,19b内で均一に押圧されているか否かの判定指標となる。
【0054】
ここで、導電性粒子4がバインダー樹脂層3にランダムに分散されている異方性導電フィルムを用いて接続された接続体においては、
図8(c)に示すように、入出力端子上に圧痕30が不規則に現れるとともに、近接、重複しているため、圧痕30の視認性が悪く、状態の把握に手間がかかるため検査に時間がかかり、また圧痕30の判定精度が落ちてしまう。即ち、圧痕30を形成する曲線の識別しにくい状態になっている。また、機械的な画像処理による検査の場合は、このような視認性の悪さから判定の基準を設けることが困難になってしまう。そのため、判定の精度そのものが悪化することになる。この場合、解像度によっては直線による組み合わせのように見えることがあるためである。
【0055】
一方、本発明に係る液晶表示パネル10では、導電性粒子4が配列されている異方性導電フィルム1を用いて形成されているため、入出力端子19a,19b内においても、導電性粒子4が配列された状態で挟持され、
図8(a)に示すように、圧痕30が個々に独立した状態で規則的に現れる。したがって、入出力端子19a,19bに現れる圧痕30は、コントラストないしはそれを形成する曲線が明確に現れ、個々の圧痕30の視認性が大幅に向上されている。これにより、液晶表示パネル10は、圧痕30に基づく入出力バンプ21a,21bと入出力端子19a,19bとの接続性を迅速、的確に検査することができる。
【0056】
入出力端子19a,19bに現れる個々の圧痕30は、規則的に現れていれば、導電性粒子4が存在していない平滑面とのコントラストにより視認性を確保することができるため、互いに隣接していてもよいが、所定の距離、例えば外径の0.2倍以上を隔てて現れることが好ましく、0.4倍以上離れて現れることがより好ましい。なお、上記の平滑面とのコントラストは、曲線により現れる場合も含む。
【0057】
このような圧痕30は一つの入出力端子19a,19b内で55%以上が独立して存在していることが好ましく、より好ましくは65%以上であり、更により好ましくは75%以上である。圧痕30が独立して存在する、とは導電性粒子4が1個で存在しているものを指し、独立していないものは、隣接や重複しているものを指す。但し、導電性粒子4を意図的に多数個連結して配列させている場合は、そのユニットで独立しているものと見なす。
【0058】
また、圧痕30は、
図9に示す複数の入出力端子19a,19bが配列する入出力端子列20a,20bの中央の入出力端子19aM,19bM内において55%以上が独立して存在していることが好ましく、より好ましくは65%以上であり、更により好ましくは75%以上である。なお、入出力端子列20a,20bに奇数個の入出力端子19a、9bが配列されている場合は、中央の入出力端子19aM,19bMは、当該端子列の真ん中の端子をいい、入出力端子列20a,20bに偶数個の入出力端子19a、9bが配列されている場合は、中央の入出力端子19aM,19bMは、当該端子列の真ん中2つの端子をいう。
【0059】
同様に、圧痕30は、
図9に示す複数の入出力端子19a,19bが配列する入出力端子列20a,20bの両端の入出力端子19aL,19aR,19bL,19bRの各端子においても55%以上が独立して存在していることが好ましく、より好ましくは65%以上であり、更により好ましくは75%以上である。両端の入出力端子19aL,19aR,19bL,19bRにおいて55%以上の圧痕30が独立して存在していることで、当該入出力端子列20a,20bの全入出力端子19a,19bが同様の視認性を備えていることが推認される。
【0060】
また、圧痕30は、
図9に示す複数の入出力端子19a,19bが配列する入出力端子列20a,20bの中央の入出力端子19aM,19bMに隣接した入出力端子19aMs,19bMsの各端子においても55%以上が独立して存在していることが好ましく、より好ましくは65%以上であり、更により好ましくは75%以上である。中央の入出力端子19aM,19bMに隣接した入出力端子19aMs,19bMsの各端子において55%以上の圧痕30が独立して存在していることで、当該端子列の中央のみならず、列全体における入出力端子19a,19bにおいて、同様の視認性を備えていることが推認される。
【0061】
さらに、圧痕30は、
図9に示す複数の入出力端子19a,19bが配列する入出力端子列20a,20bの両端の入出力端子19aL,19aR,19bL,19bRに隣接した入出力端子19aLs,19aRs,19bLs,19bRsの各端子においても55%以上が独立して存在していることが好ましく、より好ましくは65%以上であり、更により好ましくは75%以上である。両端の入出力端子19aL,19aR,19bL,19bRに隣接した入出力端子19aLs,19aRs,19bLs,19bRsの各端子において55%以上の圧痕30が独立して存在していることで、当該端子列の両端のみならず、列全体における入出力端子19a,19bにおいて、同様の視認性を備えていることが推認される。
【0062】
また、透明基板に平行に存在する入出力端子列20a,20bの全ての入出力端子19a,19bにおいても、同様に、圧痕30は、55%以上が独立して存在していることが好ましく、より好ましくは65%以上であり、更により好ましくは75%以上である。平行に存在する端子列同士の圧痕を比較することで、熱圧着ヘッド33の押圧面全域における均一性も検査することができる。
【0063】
また、入出力端子19a,19bにおいて、入出力バンプ21a,21bとの電気的な接続が行われていることを確認するために、圧痕30は、入出力端子19a,19b毎に2個以上現れることが好ましく、より好ましくは3個以上、さらに好ましくは4個以上である。
【0064】
圧痕30の少なくとも一部が規則的に現れることにより、これが指標になることで、液晶駆動用IC18の接続時におけるバインダー樹脂の、入出力端子19a,19b及び入出力バンプ21a,21bに挟まれた領域における接続状態と、隣接する入出力バンプ21a,21bの端子間スペース23における接続状態とを同時に把握することができる。これは、圧痕30が視認性の良い状態であるため、入出力端子19a,19bやその周辺部位でのバインダー樹脂の状態に浮き等が発生すると、当該浮き等は透過性が異なるために、指標となる圧痕30との比較が容易になるためである。また、異物が接続体内に混入した場合にも、規則配列が指標になることで、不良になる異物の発見と場所の特定、影響の度合いの把握が容易になる。
【0065】
[近接端子同士における圧痕の配列の同一性又は相似性]
また、液晶表示パネル10は、近接する入出力端子19a,19b同士で、圧痕30の配列の一部が同一又は相似性を持つことが好ましい。これにより、液晶表示パネル10は、圧痕30の相対比較を容易に行うことができ、検査の判定基準の設定や、判定評価も迅速、的確に行うことができる。特に、目視にて検査を行う場合には、例えば隣り合う入出力端子19a,19b同士で圧痕30の配列が同一又は相似性をもって現れれば、相互の圧痕の評価を容易かつ迅速に行うことができる。これを繰り返すことで、押圧面全域の把握が高精度で且つ容易に行えることになる。
【0066】
なお、配列は、圧痕30が直線状に並ぶものであってもよく、同一性とは直線状に配列された圧痕の配列ピッチや長さが同じに現れることをいい、相似性とはこの直線状に配列された圧痕の配列ピッチや長さが変化しているものを含む。この場合の直線とはファインピッチの入出力端子19a,19bにおいて、圧痕が2個などの最小数で形成されるものも配列と見なしている。相似性とは、これの距離ないしは間隔が変化したものを指す。ファインピッチになると、挟持される導電性粒子の配列が直線、もしくはそれに近い状態としか見なされなくなるためである。
【0067】
液晶表示パネル10は、導電性粒子4が規則配列された異方性導電フィルム1を用いることにより、近接する入出力端子19a,19bにわたって導電性粒子4が規則的に配置される。この状態で熱圧着ヘッド33によって加熱押圧されると、バインダー樹脂の流動性も近接する入出力端子19a,19bの間でほぼ同一となるため、圧痕30の配列が同一又は相似性を持つことができる。
【0068】
[一端子内における圧痕間距離]
また、圧痕30は、一つの入出力端子19a,19b内における全圧痕30の圧痕間距離が平均圧痕間距離±30%以内であることが好ましく、より好ましくは15%以内、更により好ましくは7%以内である。圧痕間距離とは、ある圧痕30と近接する圧痕30のうち外縁間の最短距離が最も短い圧痕30との当該外縁間の最短距離をいい、平均圧痕間距離とは、一つの入出力端子19a,19b内における全圧痕30の圧痕間距離の平均値をいう。これにより、本発明では、圧痕30の検査工程において、一つの入出力端子19a,19b内における押圧の均一性も検査することができる。
【0069】
すなわち、一つの入出力端子19a,19b内において、全圧痕30の圧痕間距離が平均圧痕間距離±30%以内であれば、導電性粒子4に掛かる押圧力もほぼ均一となり、入出力バンプ21a,21bと入出力端子19a,19bとが平行に押圧され、各入出力端子19a,19bの導通抵抗のばらつきも少ないと考えられる。一方、一つの入出力端子19a,19b内において、全圧痕30の圧痕間距離が平均圧痕間距離±30%を超えていると入出力バンプ21a,21bと入出力端子19a,19bとが平行に押圧されていないと考えられ、各入出力端子19a,19b間における導通抵抗のばらつきが大きいと考えられる。
【0070】
[一端子列内における押圧の均一性]
また、圧痕30は、一つの入出力端子19a,19b内における平均圧痕間距離と、当該入出力端子19a,19bが配列されている端子列の中央の入出力端子19aM,19bMにおける平均圧痕間距離との差が±30%以内であることが好ましく、より好ましくは15%以内、更により好ましくは7%以内である。これにより、本発明では、圧痕30の検査工程において、一つの入出力端子列20a,20b内における押圧の均一性も検査することができる。なお、入出力端子列20a,20bに奇数個の入出力端子19a、9bが配列されている場合は、中央の入出力端子19aM,19bMは、当該端子列の真ん中の端子をいい、入出力端子列20a,20bに偶数個の入出力端子19a、9bが配列されている場合は、中央の入出力端子19aM,19bMは、当該端子列の真ん中2つの端子をいう。
【0071】
すなわち、入出力端子列20a,20bは、液晶駆動用IC18や透明基板12が平行に押圧された場合はもちろん、反りが発生した場合においても、中央の入出力端子19aM,19bMが最もよく押圧されるため、圧痕の視認性も最もよく現れることから、当該端子列の押圧の均一性を測る基準となる。
【0072】
そして、一つの入出力端子19a,19bの平均圧痕間距離と、入出力端子列20a,20bの中央の入出力端子19aM,19bMにおける平均圧痕間距離との差が±30%以内であれば、当該入出力端子19a,19bにおいて、導電性粒子4に掛かる押圧力も端子列中央の入出力端子19aM,19bMとほぼ同一となり、入出力バンプ21a,21bが平行に押圧され、他の入出力端子19a,19bとの導通抵抗のばらつきも少ないと考えられる。一方、一つの入出力端子19a,19bの平均圧痕間距離と、入出力端子列20a,20bの中央の入出力端子19aM,19bMにおける平均圧痕間距離との差が±30%を超えていると、当該端子列において入出力バンプ21a,21bと当該入出力端子19a,19bとが平行に押圧されていないと考えられ、各入出力端子19a,19b間における導通抵抗のばらつきが大きいと考えられる。この場合の導通抵抗のばらつきは、信頼性試験などの経年劣化する際の影響も含めたものである。
【0073】
さらに、透明基板12に平行に存在する入出力端子列20a,20bの各入出力端子19a,19bにおいても、同様に、圧痕30は、一つの入出力端子19a,19b内における全圧痕30の圧痕間距離が平均圧痕間距離±30%以内であることが好ましく、より好ましくは15%以内、更により好ましくは7%以内である。また、透明基板12に平行に存在する入出力端子列20a,20bにおいても、一つの入出力端子19a,19b内における平均圧痕間距離と、当該入出力端子19a,19bが配列されている入出力端子列20a,20bの中央の入出力端子19aM,19bMにおける平均圧痕間距離との差が±30%以内であることが好ましく、より好ましくは15%以内、更により好ましくは7%以内である。このように、平行に存在する端子列同士の圧痕を比較することで、押圧面全域の均一性も検査することができる。
【0074】
[凹凸部]
ここで、液晶駆動用IC18の入出力バンプ21a,21bは、導電性粒子4を捕捉する表面に、導電性粒子4の粒子径の50%以内の高低差を有する凹凸部28が設けられたものでもよい。凹凸部28は、例えば
図10、
図11に示すように、導電性粒子4を捕捉する表面の両側縁、あるいは中央部が突出することにより形成される。また、凹凸部28の高低差とは、入出力バンプ21a,21bの表面において最も高い凸部28aと最も低い凹部28bとの差をいうものとする。
【0075】
そして、凹凸部28は、高低差が押圧前における導電性粒子4の粒子径の50%以内とされる。高低差を導電性粒子4の粒子径の50%以内とすることによって、導電性粒子4を凹部28bで捕捉した場合にも、当該凹部28bにおいて導電性粒子4を十分に押し込むとともに、凸部28aが入出力端子19a,19bに直接当接することもない。したがって、入出力バンプ21a,21bと入出力端子19a,19bとが、導電性粒子4を挟持することにより導通接続され、接続後における環境変化によっても良好な導通信頼性を確保することができる。なお、入出力バンプ21a,21bの表面に、導電性粒子4の粒子径の50%以内の高低差を有する凹凸部28を設けることによっても、入出力端子19a,19bにおいて圧痕の視認性には特段の影響はなく、良好な視認性を確保することができる。
【0076】
一方、凹凸部28の高低差が押圧前における導電性粒子4の粒子径の50%を超えると、
図12、
図13に示すように、導電性粒子4を凹部28bで捕捉した場合に、導電性粒子4の押し込みが不足し導通抵抗の上昇を招くとともに、凸部28aが入出力端子19a,19bに直接当接することにより、接続後における入出力バンプ21a,21bと入出力端子19a,19bとの距離の変化に対する追従性が低く、導通信頼性を損なうおそれがある。なお、
図12における導電性粒子4は、入出力バンプ21a,21bの凹部28bで補足した場合の一例として、凹部28b側に食い込んだ状態も説明している。入出力バンプ21a,21bの材質ばらつきによって硬さがばらつき、圧着工程において導電性粒子4が入出力バンプ21a,21bに食い込むことがある。この場合にも、接続後における入出力バンプ21a,21bと入出力端子19a,19bとの距離の変化に対する追従性が低くなり、導通信頼性を損なうおそれがあると言える。
【実施例】
【0077】
[第1の実施例]
次いで、本発明の第1の実施例について説明する。第1の実施例では、導電性粒子が規則配列された異方性導電フィルムと、導電性粒子がランダムに分散された異方性導電フィルムを用いて、評価用ガラス基板に評価用ICを接続した接続体サンプルを作成し、それぞれ評価用ガラス基板の端子に現れる圧痕の個数及び独立性を評価するとともに、初期導通抵抗、隣接するICバンプ間のショート発生率を測定した。
【0078】
[異方性導電フィルム]
評価用ICの接続に用いる異方性導電フィルムのバインダー樹脂層は、フェノキシ樹脂(商品名:YP50、新日鐵化学社製)60質量部、エポキシ樹脂(商品名:jER828、三菱化学社製)40質量部、カチオン系硬化剤(商品名:SI‐60L、三新化学工業社製)2質量部を溶剤に加えたバインダー樹脂組成物を調整し、このバインダー樹脂組成物を剥離フィルム上に塗布、焼成することにより形成した。
【0079】
[導通抵抗測定用の評価用IC]
導通抵抗測定用の評価素子として、外形;0.7mm×20mm、厚み0.2mm、バンプ(Au‐plated);幅15μ×長さ100μm、高さ12μmの評価用ICを用いた。
【0080】
[ICバンプ間ショート測定用の評価用IC]
ICバンプ間ショート測定用の評価素子として、外形;0.7mm×20mm、厚み0.2mm、バンプ(Au‐plated);幅15μ×長さ100μm、高さ12μm、バンプ間スペース幅;7.5μmの評価用ICを用いた。
【0081】
[評価用ガラス基板]
導通抵抗測定用の評価用IC及びICバンプ間ショート測定用の評価用ICが接続される評価用ガラス基板として、外形;30mm×50mm、厚み0.5mm、導通抵抗測定用の評価用ICのバンプと同サイズ同ピッチの端子が複数配列された端子列が形成されたITOパターングラスを用いた。
【0082】
この評価用ガラス基板に異方性導電フィルムを仮貼りした後、ICバンプと基板電極とのアライメントを取りながら評価用ICを搭載し、熱圧着ヘッドにより180℃、80MPa、5secの条件で熱圧着することにより接続体サンプルを作成した。各接続体サンプルについて、評価用ガラス基板の端子に現れる圧痕の個数及び独立性、初期導通抵抗、隣接するICバンプ間のショート発生率を測定した。
【0083】
評価用ガラス基板の端子に現れる圧痕の独立性は、導通抵抗測定用の評価用ICを接続した各接続体サンプルについて、圧痕が複数現れる端子を評価用ガラス基板の裏面から観察し、圧痕を1000個カウントしたときの独立していない圧痕の数を計測した。
【0084】
また、評価用ガラス基板の1つの端子内に現れる圧痕の個数を目視、及び撮影画像を画像処理機(WinRoof:三谷商事社製)で処理することによりカウントし、それぞれ基板電極50個の平均を求めた。
【0085】
また、評価用ICが均一に押圧されているかを確認するため、
図9に示すように、2つの出力端子列20bのうち、外側の出力端子列20bの中央の出力端子19bM、中央の出力端子19bMに隣接する出力端子19bMs、両端の出力端子19bL,19bR、両端の出力端子19bL,19bRに隣接する出力端子19bLs,19bRsについて、各端子内に現れる圧痕の75%以上が独立性を有するか否かを評価した。列の中央の端子19bMと列の両端の端子19bL,19bRが同一に押圧されていれば、同列における他の端子もほぼ同一に押圧されているとみなすことができる。また、列の中央の端子19bMに隣接する端子19bMsと端子列の両端の端子に隣接する端子19bLs,19bRsが同一に押圧されていれば、均一性がより高いと評価できる。これは簡易な検査方法の一例である。
【0086】
なお、外側の出力端子列20bの出力端子数は偶数であり、中央の端子は真ん中の2個の出力端子で測定しており、電極列の両端の端子、両端の端子に隣接する端子、及び中央の端子に隣接する端子の各部の観測面積は同一となる。
【0087】
また、導通抵抗は、接続初期及び信頼性試験後において測定し、初期導通抵抗が1.0Ω以下、信頼性試験後の導通抵抗が6Ω以下を良好と評価した。信頼性試験の条件は、85℃、85%RH、500hrである。また、ICバンプ間のショート発生率は、50ppm以下を良好と評価した。
【0088】
[実施例1]
実施例1では、導電性粒子がバインダー樹脂層に規則配列された異方性導電フィルムを用いた。実施例1で用いた異方性導電フィルムは、延伸可能なシート上に粘着剤を塗布し、その上に導電性粒子を格子状かつ均等に単層配列した後、当該シートを所望の延伸倍率で延伸させた状態で、バインダー樹脂層をラミネートすることにより製造した。使用した導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業社製)は粒子径4μmで、接続前における粒子間距離は0.5μm、粒子個数密度は28000個/mm
2である。
【0089】
[実施例2]
実施例2では、接続前における粒子間距離が1μm、粒子個数密度が16000個/mm
2の異方性導電フィルムを用いた他は、実施例1と同じ条件とした。
【0090】
[実施例3]
実施例3では、接続前における粒子間距離が1.5μm、粒子個数密度が10500個/mm
2の異方性導電フィルムを用いた他は、実施例1と同じ条件とした。
【0091】
[実施例4]
実施例4では、接続前における粒子間距離が3μm、粒子個数密度が5200個/mm
2の異方性導電フィルムを用いた他は、実施例1と同じ条件とした。
【0092】
[実施例5]
実施例5では、粒子径が3μmの導電性粒子(商品名:AUL703、積水化学工業社製)を用い、接続前における粒子間距離が0.5μm、粒子個数密度が50000個/mm
2の異方性導電フィルムを用いた他は、実施例1と同じ条件とした。
【0093】
[比較例1]
比較例1では、バインダー樹脂組成物に導電性粒子を加えて調整し、剥離フィルム上に塗布、焼成することにより、バインダー樹脂層に導電性粒子がランダムに分散されている異方性導電フィルムを用いた。使用した導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業社製)は粒子径4μmで、粒子個数密度は100000個/mm
2である。
【0094】
[比較例2]
比較例2では、粒子個数密度が60000個/mm
2である他は、比較例1と同じ条件とした。
【0095】
【表1】
【0096】
表1に示すように、比較例1及び比較例2に係る接続体サンプルでは、1000個の圧痕の内、104個(比較例1)、232個(比較例2)と、少なくとも10%以上の圧痕が隣接ないしは重複しており、視認性が悪いことが伺える。一方、実施例1〜5に係る接続体サンプルでは、隣接ないしは重複が各比較例より2桁少ないことから、視認性が良いことが伺える。なお、実施例、比較例どちらも導電性粒子の個数密度に比例して、圧痕の独立性が悪化する傾向がある。
【0097】
また、1端子内における圧痕個数を目視と画像処理機で比較すると、各比較例ではその差が大きく、各実施例ではその差が小さい。これは、比較例では圧痕の隣接や重複などにより、個々の圧痕の独立性が低く、複数の圧痕を1個にカウントしてしまい、識別性が悪いことが伺える。一方、実施例では圧痕の隣接や重複がほぼ無いために、目視と画像処理機で差が生じない。このため、個々の圧痕の識別が容易に、且つ精度が良くなっていることが分かる。
【0098】
また、端子列の中央の端子、中央の端子に隣接する端子、両端の端子、両端の端子に隣接する端子の各端子内に現れる個々の圧痕の75%以上が独立性を有するか否かについて、比較例ではいずれの端子においても独立性を有する個々の圧痕が75%以上ある識別容易な状態は得られず、実施例ではすべての端子において独立性を有する個々の圧痕が75%以上ある識別容易な状態が得られた。
【0099】
これら実施例に係る接続体サンプルは、初期導通抵抗及び信頼性試験後の導通抵抗ともに1Ω以下であり、また、ICバンプ間ショートの発生率も50ppm以下であった。すなわち、実施例に係る接続体サンプルによれば、端子列の中央部及び両端部に設けられた4〜8個の端子における圧痕を検査することで、当該端子列における押圧の均一性を確認することができることが分かる。
【0100】
なお、各実施例に係る接続体サンプルでは、圧痕の独立性を観察した端子列と平行に、当該圧痕の独立性を観察した端子列が形成された基板側縁と反対側の側縁に形成された端子列(入力端子列20a)も、同様に観察したところ、同様に、端子列の中央の端子、中央の端子に隣接する端子、両端の端子、両端の端子に隣接する端子の各端子内に現れる圧痕の75%以上が独立性を有するものであった。すなわち、各実施例に係る接続体サンプルは、評価用ICの押圧箇所全域で押圧の均一性が得られていることが分かる。
【0101】
[第2の実施例]
次いで、本発明の第2の実施例について説明する。第2の実施例では、導電性粒子が規則配列された異方性導電フィルムと、導電性粒子がランダムに分散された異方性導電フィルムを用いるとともに、バンプ表面に導電性粒子の粒子径の50%以内の高低差を有する凹凸部が形成された評価用ICを用いて接続体サンプルを作成し、それぞれ評価用ガラス基板の端子に現れる圧痕の個数及び独立性を評価するとともに、初期及び信頼性試験後の導通抵抗、隣接するICバンプ間のショート発生率を測定した。
【0102】
第2の実施例で使用した評価用ICは、導通抵抗測定用、ICバンプ間ショート測定用のいずれも、入出力バンプ表面に導電性粒子の粒子径の50%以内の高低差を有する凹凸部が形成されている他は、第1の実施例で用いたものと同じである。また、異方性導電フィルム、及び評価用ガラス基板は、第1の実施例で用いたものと同じである。
【0103】
また、評価用ガラス基板の端子に現れる圧痕の個数及び独立性の評価位置及び評価基準も第1の実施例と同じである。なお、第2の実施例では、評価用ガラス基板の1つの端子内に現れる圧痕の個数を目視でカウントした。また、導通抵抗及びICバンプ間のショート発生率の評価基準、信頼性試験の条件も第1の実施例と同じである。
【0104】
[実施例6〜10]
実施例6では実施例1で用いた異方性導電フィルムを用い、実施例7では実施例2で用いた異方性導電フィルムを用い、実施例8では実施例3で用いた異方性導電フィルムを用い、実施例9では実施例4で用いた異方性導電フィルムを用い、実施例10では実施例5で用いた異方性導電フィルムを用いた。
【0105】
[比較例3,4]
また、比較例3では比較例1で用いた異方性導電フィルムを用い、比較例4では比較例2で用いた異方性導電フィルムを用いた。
【0106】
【表2】
【0107】
表2に示すように、バンプ表面に導電性粒子の粒子径の50%以内の高低差を有する凹凸部が形成された評価用ICを用いた場合においても、第1の実施例と同様の傾向が現れた。すなわち、比較例3及び比較例4に係る接続体サンプルでは、1000個の圧痕の内、121個(比較例3)、265個(比較例4)と、少なくとも10%以上の圧痕が隣接ないしは重複しており、視認性が悪いことが伺える。一方、実施例6〜10に係る接続体サンプルでは、隣接ないしは重複が各比較例より1桁以上少ないことから、視認性が良いことが伺える。なお、実施例、比較例どちらも導電性粒子の個数密度に比例して、圧痕の独立性が悪化する傾向がある。
【0108】
また、端子列の中央の端子、中央の端子に隣接する端子、両端の端子、両端の端子に隣接する端子の各端子内に現れる個々の圧痕の75%以上が独立性を有するか否かについて、比較例ではいずれの端子においても独立性を有する個々の圧痕が75%以上ある識別容易な状態は得られず、実施例ではすべての端子において独立性を有する個々の圧痕が75%以上ある識別容易な状態が得られた。
【0109】
これら実施例に係る接続体サンプルは、初期導通抵抗及び信頼性試験後の導通抵抗ともに1Ω以下であり、また、ICバンプ間ショートの発生率も50ppm以下であった。すなわち、実施例に係る接続体サンプルによれば、端子列の中央部及び両端部に設けられた4〜8個の端子における圧痕を検査することで、当該端子列における押圧の均一性を確認することができることが分かる。
【0110】
なお、比較例4は、表1の比較例2との比較で、導電性粒子がバインダー樹脂中にランダムに分散している点で共通するが、ICバンプ間ショート発生率が大きく異なっている。導電性粒子がランダムである場合、導電性粒子の偏在によってICバンプ間ショート発生率がばらつくことが分かる。すなわち、導電性粒子が規則配列していることで、ICバンプ間ショート発生率を抑制できることが、このことからも分かる。
【0111】
なお、各実施例に係る接続体サンプルでは、圧痕の独立性を観察した端子列と平行に、当該圧痕の独立性を観察した端子列が形成された基板側縁と反対側の側縁に形成された端子列(入力端子列20a)も、同様に観察したところ、同様に、端子列の中央の端子、中央の端子に隣接する端子、両端の端子、両端の端子に隣接する端子の各端子内に現れる圧痕の75%以上が独立性を有するものであった。すなわち、各実施例に係る接続体サンプルは、評価用ICの押圧箇所全域で押圧の均一性が得られていることが分かる。