(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959318
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】パワーインダクター
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20211021BHJP
H01F 1/24 20060101ALI20211021BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F1/24
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-224430(P2019-224430)
(22)【出願日】2019年12月12日
(62)【分割の表示】特願2017-513226(P2017-513226)の分割
【原出願日】2015年4月27日
(65)【公開番号】特開2020-57804(P2020-57804A)
(43)【公開日】2020年4月9日
【審査請求日】2019年12月12日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0120128
(32)【優先日】2014年9月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0032403
(32)【優先日】2015年3月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509275998
【氏名又は名称】モダ−イノチップス シーオー エルティディー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク インキル
(72)【発明者】
【氏名】キム ギョンテ
(72)【発明者】
【氏名】チョ ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】チョン チョンホ
(72)【発明者】
【氏名】ナム キチョン
(72)【発明者】
【氏名】イ チョンギュ
【審査官】
木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−089765(JP,A)
【文献】
特表2013−526787(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0002221(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0132387(US,A1)
【文献】
国際公開第2013/042691(WO,A1)
【文献】
特開2009−105368(JP,A)
【文献】
特開平11−067519(JP,A)
【文献】
特開2003−151829(JP,A)
【文献】
特開2008−060111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
H01F 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末、ポリマー及び熱伝導性フィラーを含む複数枚のシートが積層されて形成されたボディと、
前記ボディの内部に上下方向に設けられた金属磁性体からなる第1及び第2の基材と、
前記第1の基材の一方の面及び他方の面の上にそれぞれ形成された第1及び第2のコイルパターンと、
前記第2の基材の一方の面及び他方の面の上にそれぞれ形成された第3及び第4のコイルパターンと、
前記コイルパターンとそれぞれ接続されて前記ボディの外側に形成された第1及び第2の外部電極と、
を備え、
前記第1の外部電極は、前記ボディの向かい合う両側面に形成されて、前記第1の基材の上に形成された前記第1及び第2のコイルパターンと接続され、
前記第2の外部電極は、前記第1の外部電極から離れて前記ボディの外部の向かい合う両側面に形成されて、前記第2の基材の上に形成された第3及び第4のコイルパターンと接続され、
前記複数枚のシートは、前記第1の基材の上側に配置され、前記熱伝導性フィラーの含量が異なる少なくとも3枚のシートと、前記第2の基材の下側に配置され、前記熱伝導性フィラーの含量が異なる少なくとも3枚のシートと、を備え、
前記第1の基材の上側に配置された少なくとも3枚のシートは、前記第1の基材から上側に向かって遠ざかるにつれて前記熱伝導性フィラーの含量が次第に増加するように積層され、
前記第2の基材の下側に配置された少なくとも3枚のシートは、前記第2の基材から下側に向かって遠ざかるにつれて前記熱伝導性フィラーの含量が次第に増加するように積層されている、パワーインダクター。
【請求項2】
前記金属粉末は、含鉄金属合金粉末を含む請求項1に記載のパワーインダクター。
【請求項3】
前記金属粉末の表面に絶縁体がさらにコーティングされている請求項1に記載のパワーインダクター。
【請求項4】
前記熱伝導性フィラーは、MgOと、AlN及びカーボン系の物質よりなる群から選ばれるいずれか一種以上を含む請求項1に記載のパワーインダクター。
【請求項5】
前記熱伝導性フィラーは、前記金属粉末100wt%に対して0.5wt%〜3wt%の含量で含まれる請求項4に記載のパワーインダクター。
【請求項6】
前記熱伝導性フィラーは、0.5μm〜100μmの大きさを有する請求項5に記載のパワーインダクター。
【請求項7】
前記第1及び第2の外部電極は、前記ボディの同じ側面に互いに離れて形成されるか、あるいは、前記ボディの互いに異なる側面に形成される請求項1に記載のパワーインダクター。
【請求項8】
前記ボディの少なくとも1つの領域に設けられた磁性層を備える請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のパワーインダクター。
【請求項9】
前記磁性層は、前記ボディをなす複数枚のシートのそれぞれの透磁率よりも高い透磁率を有する請求項8に記載のパワーインダクター。
【請求項10】
前記磁性層は、熱伝導性フィラーを含んでなる請求項8に記載のパワーインダクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーインダクターに係り、特に、容量を増やすことのできるパワーインダクターに関する。
【背景技術】
【0002】
パワーインダクターは、主として携帯機器内のDC−DCコンバーターなどの電源回路に設けられる。この種のパワーインダクターは、電源回路の高周波化及び小型化が進むことに伴い、既存の巻線型チョークコイル(Choke Coil)パターンの代わりに好んでよく用いられている。なお、パワーインダクターは、携帯機器のサイズの縮小化及び多機能化が進むことに伴い、小型化、高電流化、低抵抗化などに向けた開発が行われている。
【0003】
パワーインダクターは、多数の磁性体(フェライト)または低誘電率の誘電体からなるセラミックシートが積み重ねられた積層体状に製造可能である。このとき、セラミックシートの上には金属パターンがコイルパターン状に形成されているが、それぞれのセラミックシートの上に形成されたコイルパターンは、それぞれのセラミックシートに形成された導電性ビアにより接続され、シートが積み重ねられる上下方向に沿って重なり合う構造を有する。このようなパワーインダクターを構成するボディは、従来には、多くの場合、ニッケル(Ni)−亜鉛(Zn)−銅(Cu)−鉄(Fe)の4元系で構成された磁性体材料を用いて製作していた。
【0004】
ところが、磁性体材料は、飽和磁化値が金属材料に比べて低いが故に、最近の携帯機器が必要とする高電流特性を実現することができなくなる虞がある。このため、パワーインダクターを構成するボディを金属粉末を用いて製作することにより、ボディを磁性体で製作した場合に比べて相対的に飽和磁化値を高めることができる。しかしながら、金属を用いてボディを製作する場合、高周波における渦電流損及びヒステリシス損が高くなって材料の損失が大幅に増えてしまうという問題が生じる虞がある。このような材料の損失を低減するために、金属粉末同士の間をポリマーで絶縁する構造を適用している。
【0005】
しかしながら、金属粉末及びポリマーを用いてボディを製造したパワーインダクターは、温度が上昇することに伴い、インダクタンスが低くなるという問題がある。すなわち、パワーインダクターが適用された携帯機器の発熱によりパワーインダクターの温度が上昇し、これにより、パワーインダクターのボディを構成する金属粉末が加熱されながらインダクタンスが低くなるという問題が生じる。
【0006】
また、このようなパワーインダクターは、ボディの内部に1枚の基板が設けられ、基板の両面にコイルパターンが形成されるが故に、容量を増やすのに限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第2007−0032259号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、温度に対する安定性を向上させ、それにより、インダクタンスの低下を防ぐことのできるパワーインダクターを提供する。本発明は、容量を増やすことのできるパワーインダクターを提供する。本発明は、透磁率を向上させることのできるパワーインダクターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によるパワーインダクターは、ボディと、前記ボディの内部に設けられた少なくとも2以上の基材と、前記少なくとも2以上の基材の上にそれぞれ形成された少なくとも2以上のコイルと、前記少なくとも2以上のコイルとそれぞれ接続されて前記ボディの外側に形成された少なくとも2以上の外部電極と、を備える。
【0010】
前記ボディは、金属粉末と、ポリマー及び熱伝導性フィラーを含む。
【0011】
前記金属粉末は、含鉄金属合金粉末を含む。
【0012】
前記熱伝導性フィラーは、MgOと、AlN及びカーボン系の物質よりなる群から選ばれるいずれか一種以上を含む。
【0013】
前記熱伝導性フィラーは、前記金属粉末100wt%に対して0.5wt%〜3wt%の含量で含まれる。
【0014】
前記熱伝導性フィラーは、0.5μm〜100μmの大きさを有する。
【0015】
前記基材は、含鉄金属板の両面の上に銅箔が貼り合わせられる。
【0016】
前記複数の外部電極は、前記ボディの同じ側面に互いに離れて形成されるか、あるいは、前記ボディの互いに異なる側面に形成される。
【0017】
前記パワーインダクターは、前記ボディの少なくとも1つの領域に設けられた磁性層をさらに備える。
【0018】
前記磁性層は、前記ボディの透磁率よりも高い透磁率を有する。
【0019】
前記磁性層は、熱伝導性フィラーを含んでなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るパワーインダクターは、少なくとも一方の面にコイルパターンが形成された少なくとも2以上の基材がボディ内に設けられて1つのボディ内に複数のコイルを形成することができ、これにより、パワーインダクターの容量を増やすことができる。
【0021】
また、ボディ内の少なくとも2以上の基材の上に形成されたコイルが異なる外部電極と接続されることにより、1つのボディ内に複数のパワーインダクターが実現可能になる。したがって、パワーインダクターの体積を減らして回路上にパワーインダクターが占める面積を狭めることができる。
【0022】
さらに、金属粉末と、ポリマー及び熱伝導性フィラーを含めてボディを製作することができ、それにより、金属粉末の加熱に伴うボディの熱を外部に放出してボディの温度の上昇を防ぐことができてインダクタンスの低下などの問題を防ぐことができる。
【0023】
一方、少なくとも2以上の基材を金属磁性体を用いて形成することにより、パワーインダクターの透磁率の減少を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態によるパワーインダクターの斜視図である。
【
図2】
図1のA−A'線に沿って切り取った状態の断面図である。
【
図3】
図1のB−B'線に沿って切り取った状態の断面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態によるパワーインダクターの斜視図である。
【
図5】本発明の他の実施形態によるパワーインダクターの断面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態によるパワーインダクターの断面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態によるパワーインダクターの断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるパワーインダクターの製造方法を説明するための断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるパワーインダクターの製造方法を説明するための断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態によるパワーインダクターの製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態による「パワーインダクター」について詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態によるパワーインダクターの斜視図であり、
図2は、
図1のA−A'線に沿って切り取った状態の断面図であり、
図3は、
図1のB−B'線に沿って切り取った状態の断面図である。
【0027】
図1から
図3を参照すると、本発明の一実施形態によるパワーインダクターは、ボディ100と、ボディ100の内部に設けられた少なくとも2以上の基材200(210、220)と、少なくとも2以上の基材200のそれぞれの少なくとも一方の面の上に形成されたコイルパターン300(310、320、330、340)と、ボディ100の向かい合う両側面に設けられ、コイルパターン310、320とそれぞれ接続された第1の外部電極400(410、420)と、ボディ100の向かい合う両側面に第1の外部電極410、420から離れて設けられ、コイルパターン330、340とそれぞれ接続される第2の外部電極500(510、520)と、を備えていてもよい。すなわち、少なくとも2以上の基材200の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300が異なる外部電極400、500により接続されることにより、1つのボディ100内に2以上のパワーインダクターが実現される。
【0028】
ボディ100は、例えば、六面体状であってもよい。しかしながら、ボディ100は、六面体に加えて、多面体の形状を有していてもよい。このようなボディ100は、金属粉末110、ポリマー120を含んでいてもよく、熱伝導性フィラー130をさらに含んでいてもよい。すなわち、ボディ100は、金属粉末110及びポリマー120を含んでいてもよく、金属粉末110と、ポリマー120及び熱伝導性フィラー130を含んでいてもよい。金属粉末110は、平均粒径が1μm〜50μmであってもよい。また、金属粉末110としては、同じ粒径の単一の粒子または2種以上の粒子を用いてもよく、複数の粒径を有する単一の粒子または2種以上の粒子を用いてもよい。例えば、30μmの平均粒径を有する第1の金属粒子及び3μmの平均粒径を有する第2の金属粒子を混合して用いてもよい。粒径が異なる2種以上の金属粉末110を用いる場合、ボディ100の充填率を高めることができて容量を最大限に実現することができる。例えば、30μmの金属粉末を用いる場合、30μmの金属粉末同士の間には空隙が発生する虞があり、これにより、充填率が低くならざるを得ない。しかしながら、30μmの金属粉末同士の間にこれよりも小さい3μmの金属粉末を混合して用いることにより、充填率を高めることができる。このような金属粉末110としては、含鉄(Fe)金属を用いてもよいが、例えば、鉄−ニッケル(Fe−Ni)、鉄−ニッケル−ケイ素(Fe−Ni−Si)、鉄−アルミニウム−ケイ素(Fe−Al−Si)及び鉄−アルミニウム−クロム(Fe−Al−Cr)よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の金属を含んでいてもよい。すなわち、金属粉末110は、鉄を含んで磁性組織を有していてもよく、磁性を帯びる金属合金により形成されて所定の透磁率を有していてもよい。また、金属粉末110は、表面が磁性体によりコーティングされてもよいが、金属粉末110とは透磁率が異なる物質によりコーティングされてもよい。例えば、磁性体は、金属酸化物磁性体により形成されてもよいが、ニッケル酸化物磁性体、亜鉛酸化物磁性体、銅酸化物磁性体、マンガン酸化物磁性体、コバルト酸化物磁性体、バリウム酸化物磁性体及びニッケル−亜鉛−銅酸化物磁性体よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の酸化物磁性体を用いてもよい。すなわち、金属粉末110の表面にコーティングされる磁性体は、含鉄金属酸化物により形成されてもよく、金属粉末110よりも高い透磁率を有することが好ましい。のみならず、金属粉末110は、表面が少なくとも1つの絶縁体によりコーティングされてもよい。例えば、金属粉末110は、表面が酸化物によりコーティングされてもよく、パリレン(parylene)などの絶縁性高分子物質によりコーティングされてもよい。酸化物は、金属粉末110を酸化させて形成してもよく、TiO
2、SiO
2、ZrO
2、SnO
2、NiO、ZnO、CuO、CoO、MnO、MgO、Al
2O
3、Cr
2O
3、Fe
2O
3、B
2O
3及びBi
2O
3よりなる群から選ばれるいずれか一種がコーティングされてもよい。また、パリレンに加えて、様々な絶縁性高分子物質を用いて金属粉末110の表面をコーティングしてもよい。ここで、金属粉末110は、二重構造の酸化物によりコーティングされてもよく、酸化物及び高分子物質の二重構造にコーティングされてもよい。いうまでもなく、金属粉末110は、表面が磁性体によりコーティングされた後に絶縁性物質によりコーティングされてもよい。このように金属粉末110の表面が絶縁体によりコーティングされることにより、金属粉末110間の接触による短絡を防ぐことができる。ポリマー120は、金属粉末110間を絶縁するために金属粉末110と混合されてもよい。すなわち、金属粉末110は、高周波における渦電流損及びヒステリシス損が高くなって材料の損失が大幅に増えるという問題が生じる虞があるが、このような材料の損失を低減すべく、金属粉末110の間を絶縁するためにポリマー120を含めてもよい。このようなポリマー120は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)及び液晶ポリマー(Liquid Crystalline Polymer;LCP)よりなる群から選ばれるいずれか一種以上のポリマーを含んでいてもよいが、これに制限されない。また、ポリマー120は、金属粉末110の間に絶縁性を提供するものであり、熱硬化性樹脂からなることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ノボラックエポキシ樹脂(Novolac Epoxy Resin)、フェノキシ型エポキシ樹脂(Phenoxy Type Epoxy Resin)、BPA型エポキシ樹脂(BPA Type Epoxy Resin)、BPF型エポキシ樹脂(BPF Type Epoxy Resin)、水素化BPAエポキシ樹脂(Hydrogenated BPA Epoxy Resin)、ダイマー酸改質エポキシ樹脂(Dimer Acid Modified Epoxy Resin)、ウレタン改質エポキシ樹脂(Urethane Modified Epoxy Resin)、ゴム改質エポキシ樹脂(Rubber Modified Epoxy Resin)及びDCPD型エポキシ樹脂(DCPD Type Epoxy Resin)よりなる群から選ばれるいずれか一種以上が挙げられる。ここで、ポリマー120は、金属粉末100wt%に対して2.0wt%〜5.0wt%の含量で含まれてもよい。ところが、ポリマー120の含量が増大する場合、金属粉末110の体積分率が低下して飽和磁化値を高める効果が正常に実現されないという問題があり、ボディ100の磁性特性、すなわち、透磁率を低下させる虞がある。これに対し、ポリマー120の含量が減少する場合、インダクターの製造過程において用いられる強酸または強塩基溶液などが内部に浸透してインダクタンス特性を損なうという問題が生じる虞がある。このため、ポリマー120は、金属粉末110の飽和磁化値及びインダクタンスを低下させない範囲内で含まれてもよい。また、熱伝導性フィラー130は、外部の熱によりボディ100が加熱されてしまうという問題を解消するために含まれる。すなわち、外部の熱によりボディ100の金属粉末110が加熱されることがあるが、熱伝導性フィラー130が含まれることにより、金属粉末110の熱を外部に放出することができる。このような熱伝導性フィラー130は、MgOと、AlN及びカーボン系の物質よりなる群から選ばれるいずれか一種以上を含んでいてもよいが、これに制限されない。ここで、カーボン系の物質は炭素を含み、様々な形状を呈してもよいが、例えば、黒鉛、カーボンブラック、グラフェン、グラファイトなどが含まれてもよい。さらに、熱伝導性フィラー130は、金属粉末100wt%に対して0.5wt%〜3wt%の含量で含まれてもよい。熱伝導性フィラー130の含量が前記範囲未満である場合には熱放出効果が得られず、前記範囲を超える場合には金属粉末110の透磁率を低下させてしまう。さらにまた、熱伝導性フィラー130は、例えば、0.5μm〜100μmの大きさを有していてもよい。すなわち、熱伝導性フィラー130は、金属粉末110よりも大きくてもよく、 金属粉末110よりも小さくてもよい。一方、ボディ100は、金属粉末110、ポリマー120及び熱伝導性フィラー130を含む材料からなる複数枚のシートを積み重ねて製作されてもよい。ここで、複数枚のシートを積み重ねてボディ100を製作する場合、各シートの熱伝導性フィラー130の含量は異なっていてもよい。例えば、基材200を中心として上側及び下側に遠ざかるにつれてシート内の熱伝導性フィラー130の含量は増大してもよい。なお、ボディ100は、金属粉末110、ポリマー120及び熱伝導性フィラー130を含む材料からなるペーストを所定の厚さで印刷して形成する方法や、このようなペーストを枠に入れて圧着する方法など必要に応じて様々な方法により形成されてもよい。このとき、ボディ100を形成するために積み重ねられるシートの枚数または所定の厚さで印刷されるペーストの厚さは、パワーインダクターに求められるインダクタンスなどの電気的な特性を考慮して適正な枚数や厚さに決定されればよい。
【0029】
少なくとも2以上の基材200(210、220)は、ボディ100の内部に設けられてもよい。例えば、 少なくとも2以上の基材200は、ボディ100の内部にボディ100の長軸方向に沿って設けられ、ボディ100の厚さ方向に所定の間隔を隔てて設けられてもよい。このような基材200は、例えば、銅張積層板(Copper Clad Lamination;CCL)または金属磁性体などにより製作されてもよい。このとき、基材200は、金属磁性体により製作されることにより実効透磁率を増加させ、容量を手軽に実現することができる。すなわち、銅張積層板(CCL)は、ガラス強化繊維に銅箔(foil)を貼付して製作するが、銅張積層板(CCL)は透磁率を有さないが故に、パワーインダクターの透磁率を低下させてしまう。しかしながら、金属磁性体を基材200として用いると、金属磁性体が透磁率を有するため、パワーインダクターの透磁率を低下させなくなる。このような金属磁性体を用いた基材200は、含鉄金属、例えば、鉄−ニッケル(Fe−Ni)、鉄−ニッケル−ケイ素(Fe−Ni−Si)、鉄−アルミニウム−ケイ素(Fe−Al−Si)及び鉄−アルミニウム−クロム(Fe−Al−Cr)よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の金属からなる所定の厚さの板に銅箔を貼付して製作してもよい。すなわち、鉄を含んで少なくとも1つの金属からなる合金を所定の厚さの板状に製作し、金属板の少なくとも一方の面に銅箔を貼り合わせることにより基材200が製作されてもよい。なお、基材200の所定の領域には少なくとも1つの導電性ビア(図示せず)が形成されてもよく、導電性ビアにより基材200の上側及び下側にそれぞれ形成されるコイルパターン310、320が電気的に接続されてもよい。導電性ビアは、基材200に厚さ方向に沿って貫通するビア(図示せず)を形成した後、ビアに導電性ペーストを充填するなどの方法により形成されてもよい。
【0030】
コイルパターン300(310、320、330、340)は、少なくとも2以上の基材200それぞれの少なくとも一方の面、好ましくは、両面に形成されてもよい。ここで、コイルパターン310、320は、第1の基板210の下部及び上部にそれぞれ形成されて第1の基材210に形成された導電性ビアにより電気的に接続されてもよい。同様に、コイルパターン330、340は、第2の基板220の下部及び上部にそれぞれ形成されて第2の基材220に形成された導電性ビアにより電気的に接続されてもよい。ここで、コイルパターン310、330及びコイルパターン320、340は、向かい合う方向に露出されるように形成される。これらの複数のコイルパターン300は、基材200の所定の領域、例えば、中央部から外側に向かってスパイラル状に形成されてもよく、それぞれの基材200の上に形成された2つのコイルパターンが接続されて1つのコイルを構成してもよい。すなわち、1つのボディ100内に2以上のコイルが形成されてもよい。ここで、基材200の上側のコイルパターン310、330及び下側のコイルパターン320、340は互いに同じ形状に形成されてもよい。なお、複数のコイルパターン300が重なり合うように形成されてもよく、上側のコイルパターン310、330が形成されていない領域に重なり合うように下側のコイルパターン320、340が形成されてもよい。 一方、第1の基材210上のコイルパターン310及び第2の基材220上のコイルパターン330は、互いに同じ方向に露出されるが、重なり合うことなく所定の間隔を隔てて形成される。同様に、第1の基材210上のコイルパターン320及び第2の基材220上のコイルパターン340は、互いに同じ方向に露出されるが、重なり合うことなく所定の間隔を隔てて形成される。このため、第1基材210上のコイルパターン310、320及び第2の基材220上のコイルパターン330、340が第1及び第2の外部電極400、500によりそれぞれ接続されてもよい。これらの複数のコイルパターン300は、例えば、厚膜印刷、塗布、蒸着、メッキ及びスパッタリングなどの方法を用いて形成してもよい。さらに、複数のコイルパターン300及び導電性ビアは、銀(Ag)、銅(Cu)及び銅合金のうちの少なくとも一種を含む材料により形成されてもよいが、これに制限されない。一方、複数のコイルパターン300をメッキ工程を用いて形成する場合、例えば、基材200のそれぞれの上部にメッキ工程を用いて金属層、例えば、銅層を形成し、リソグラフィ工程を用いてパターニングしてもよい。すなわち、基材200の表面に形成された銅箔をシード層として銅層をメッキ工程を用いて形成し、これをパターニングすることによりコイルパターン300をそれぞれ形成してもよい。いうまでもなく、基材200の上に所定の形状の感光膜パターンを形成した後にメッキ工程を行って露出された基材200の表面から金属層を成長させた後、感光膜を除去することにより所定の形状のコイルパターン310、320を形成してもよい。一方、基材200の上に形成されるコイルパターン300は多層に形成されてもよい。例えば、第1の基材210の上側に形成されたコイルパターン310の上側に複数のコイルパターンがさらに形成されてもよく、第2の基材210の下側に形成されたコイルパターン320の下側に複数のコイルパターンがさらに形成されてもよい。複数のコイルパターン300がそれぞれ多層に形成される場合、下層と上層との間に絶縁層が形成され、絶縁層に導電性ビア(図示せず)が形成されて多層コイルパターンが接続されてもよい。
【0031】
第1の外部電極400(410、420)は、ボディ100の両端部に形成されてもよい。例えば、外部電極400は、ボディ100の長軸方向に向かい合う両側面に形成されてもよい。これらの第1の外部電極410、420は、第1の基材210の上に形成されたコイルパターン310、320と電気的に接続されてもよい。すなわち、コイルパターン310、320の少なくとも一方の端部が向かい合う方向のボディ100の外側に露出され、第1の外部電極410、420がコイルパターン310、320の端部と接続されるように形成されてもよい。これらの第1の外部電極410、420は、導電性ペーストにボディ100を浸漬する方法、印刷、蒸着及びスパッタリングを行う方法など様々な方法を用いてボディ100の両端に形成した後にパターニングして形成してもよい。また、第1の外部電極410、420は、電気伝導性を有する金属により形成されてもよいが、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の金属により形成されてもよい。一方、第1の外部電極410、420は、表面にニッケルメッキ層(図示せず)または錫メッキ層(図示せず)がさらに形成されてもよい。
【0032】
第2の外部電極500(510、520)は、ボディ100の両端部に形成され、第1の外部電極410、420から離れて形成されてもよい。すなわち、第1の外部電極410、420及び第2の外部電極510、520は、ボディ100の同じ側面に形成されてもよいが、これらは互いに離れて 形成される。このような第2の外部電極510、520は、第2の基材220の上に形成されたコイルパターン330、340と電気的に接続されてもよい。すなわち、コイルパターン330、340の少なくとも一方の端部が向かい合う方向のボディ100の外側に露出され、第2の外部電極510、520がコイルパターン330、340の端部と接続されるように形成されてもよい。このとき、コイルパターン330、340は、コイルパターン310、320と同じ方向において露出されるが、重なり合うことなく所定の間隔を隔てて露出されることにより、第1及び第2の外部電極400、500とそれぞれ接続されてもよい。このような第2の外部電極510、520は、第1の外部電極410、410と同じ工程により同時に形成されてもよい。すなわち、第2の外部電極510、520は、導電性ペーストにボディ100を浸漬する方法、印刷、蒸着及びスパッタリングを行う方法など様々な方法を用いてボディ100の両端に形成した後にパターニングして形成してもよい。また、第2の外部電極510、520は、電気伝導性を有する金属により形成されてもよいが、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の金属により形成されてもよい。なお、外部電極400は、電気伝導性を有する金属により形成されてもよいが、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の金属により形成されてもよい。一方、第1及び第2の外部電極410、420は、表面にニッケルメッキ層(図示せず)または錫メッキ層(図示せず)がさらに形成されてもよい。
【0033】
一方、複数のコイルパターン300とボディ100との間には複数のコイルパターン300及び金属粉末110を絶縁するために絶縁層600がさらに形成されてもよい。すなわち、絶縁層600が複数のコイルパターン300をそれぞれ覆うように基材200の上部及び下部に形成されてもよい。このような絶縁層600は、エポキシ、ポリイミド及び液晶ポリマーよりなる群から選ばれるいずれか一種以上の物質を含んでいてもよい。すなわち、絶縁層600は、ボディ100を構成するポリマー120と同じ物質からなることが好ましい。なお、絶縁層600は、コイルパターン300の上にパリレン(parylene)などの絶縁性高分子物質によりコーティングされてもよい。すなわち、絶縁層600は、コイルパターン300の段差に沿って均一な厚さにコーティングされてもよい。いうまでもなく、絶縁層600は、絶縁シートを用いてコイルパターン300の上に形成してもよい。
【0034】
上述したように、本発明の一実施形態によるパワーインダクターは、 少なくとも一方の面にコイルパターン300がそれぞれ形成された少なくとも2以上の基材200がボディ100内に設けられて、1つのボディ100内に複数のコイルを形成してもよく、 これらが異なる外部電極400、500と接続されて1つのボディ100内に複数のパワーインダクターが実現されてもよい。したがって、パワーインダクターの体積を減らして回路上にパワーインダクターが占める面積を狭めることができる。なお、1つのボディ100内に2つのパワーインダクターが実現されることにより、 パワーインダクターの容量を増やすことができる。また、金属粉末110、ポリマー120及び熱伝導性フィラー130を含めてボディ100を製作してもよい。このため、金属粉末110の加熱に伴うボディ100の熱を外部に放出することができてボディ100の温度の上昇を防ぐことができ、これにより、インダクタンスの低下などの問題を防ぐことができる。なお、ボディ100の内部の基材200を金属磁性体を用いて形成することにより、パワーインダクターの透磁率の減少を防ぐことができる。
【0035】
図4は、本発明の他の実施形態によるパワーインダクターの断面図であり、第1の外部電極410、420及び第2の外部電極510、520が異なる方向に形成される。すなわち、第1の外部電極410、420及び第2の外部電極510、520は、ボディ100の互いに直交する側面に形成されてもよい。例えば、第1の外部電極410、420がボディ100の長軸方向に向かい合う両側面に形成され、第2の外部電極510、520がボディ100の短軸方向に向かい合う両側面に形成されてもよい。
【0036】
図5は、本発明の他の実施形態によるパワーインダクターの断面図である。
【0037】
図5を参照すると、本発明の他の実施形態によるパワーインダクターは、ボディ100と、ボディ100の内部に設けられた少なくとも2以上の基材200(210、220 )と、少なくとも2以上の基材200のそれぞれの少なくとも一方の面の上に形成されたコイルパターン300(310、320、330、340)と、ボディ100の向かい合う両側面に設けられ、コイルパターン310、320とそれぞれ接続された第1の外部電極400(410、420)と、ボディ100の向かい合う両側面に第1の外部電極410、420から離れて設けられ、コイルパターン330、340とそれぞれ接続される第2の外部電極500(510、520)と、ボディ100の上部及び下部にそれぞれ設けられた少なくとも1つの磁性層710、720と、をさらに備えていてもよい。なお、コイルパターン300の上にそれぞれ形成された絶縁層500をさらに備えていてもよい。
【0038】
磁性層700(710、720)は、ボディ100の少なくとも1つの領域に設けられてもよい。すなわち、第1の磁性層710がボディ100の上部の表面に形成され、第2の磁性層720がボディ100の下部の表面に形成されてもよい。ここで、第1及び第2の磁性層710、720は、ボディ100の透磁率を増加させるために設けられ、ボディ100よりも高い透磁率を有する物質により製作されてもよい。例えば、ボディ100の透磁率が20であり、第1及び第2の磁性層710、720は40〜1000の透磁率を有するように設けられてもよい。これらの第1及び第2の磁性層710、720は、例えば、磁性体粉末及びエポキシを用いて製作してもよい。すなわち、第1及び第2の磁性層710、720は、ボディ100よりも高い透磁率を有するようにボディ100の磁性体よりも高い磁性を有する物質により形成されてもよく、さらに高い磁性体の含有率を有するように形成されてもよい。ここで、ポリマーは、金属粉末100wt%に対して15wt%で添加されてもよい。また、磁性体粉末としては、ニッケル磁性体(Ni Ferrite)、亜鉛磁性体(Zn Ferrite)、銅磁性体(Cu Ferrite)、マンガン磁性体(Mn Ferrite)、コバルト磁性体(Co Ferrite)、バリウム磁性体(Ba Ferrite)及びニッケル−亜鉛−銅磁性体(Ni−Zn−Cu Ferrite)よりなる群から選ばれるいずれか一種以上またはこれらの一種以上の酸化物磁性体を用いてもよい。すなわち、含鉄金属合金粉末または含鉄金属合金酸化物を用いて磁性層600を形成してもよい。さらに、金属合金粉末に磁性体をコーティングして磁性体粉末を形成してもよい。例えば、ニッケル酸化物磁性体、亜鉛酸化物磁性体、銅酸化物磁性体、マンガン酸化物磁性体、コバルト酸化物磁性体、バリウム酸化物磁性体及びニッケル−亜鉛−銅酸化物磁性体よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の酸化物磁性体を、例えば、含鉄金属合金粉末にコーティングして磁性体粉末を形成してもよい。すなわち、含鉄金属酸化物を金属合金粉末にコーティングして磁性体粉末を形成してもよい。いうまでもなく、ニッケル酸化物磁性体、亜鉛酸化物磁性体、銅酸化物磁性体、マンガン酸化物磁性体、コバルト酸化物磁性体、バリウム酸化物磁性体及びニッケル−亜鉛−銅酸化物磁性体よりなる群から選ばれるいずれか一種以上の酸化物磁性体を、例えば、含鉄金属合金粉末と混合して磁性体粉末を形成してもよい。すなわち、含鉄金属酸化物を金属合金粉末と混合して磁性体粉末を形成してもよい。一方、第1及び第2の磁性層710、720は、金属粉末及びポリマーに熱伝導性フィラーをさらに含めて製作してもよい。熱伝導性フィラーは、金属粉末100wt%に対して0.5wt%〜3wt%で含有されてもよい。これらの第1及び第2の磁性層710、720は、シート状に製作されて複数枚のシートが積み重ねられたボディ100の上部及び下部にそれぞれ設けられてもよい。さらにまた、金属粉末110、ポリマー120及び熱伝導性フィラー130を含む材料からなるペーストを所定の厚さで印刷する方法、ペーストを枠に入れて圧着する方法などを用いてボディ100を形成した後、ボディ100の上部及び下部に第1及び第2の磁性層710、720をそれぞれ形成してもよい。いうまでもなく、磁性層710、720は、ペーストを用いて形成してもよいが、ボディ100の上部及び下部に磁性物質を塗布して磁性層710、720を形成してもよい。
【0039】
一方、本発明の他の実施形態によるパワーインダクターは、
図6に示すように、ボディ100と少なくとも2以上の200との間の上部及び下部に第3及び第4の磁性層730、740がさらに設けられてもよく、
図7に示すように、これらの間に第5及び第6の磁性層750、760がさらに設けられてもよい。すなわち、ボディ100内に少なくとも1つの磁性層700が設けられてもよい。このような磁性層700は、シート状に製作されて複数枚のシートが積み重ねられたボディ100の間に設けられてもよい。すなわち、ボディ100を製作するための複数枚のシートの間に少なくとも1つの磁性層700を設けてもよい。また、金属粉末110、ポリマー120及び熱伝導性フィラー130を含む材料からなるペーストを所定の厚さで印刷してボディ100を形成する場合に印刷中に磁性層を形成してもよく、ペーストを枠に入れて圧着する場合であっても磁性層をその間に入れて圧着してもよい。いうまでもなく、磁性層700は、ペーストを用いて形成してもよいが、ボディ100を印刷するときに軟磁性物質を塗布してボディ100内に磁性層700を形成してもよい。
【0040】
図8から
図10は、本発明の一実施形態によるパワーインダクターの製造方法を説明するために順番に示す断面図である。
【0041】
図8を参照すると、少なくとも2以上の基材210、220を設け、少なくとも2以上の基材210、220のそれぞれの少なくとも一方の面、好ましくは、一方の面及び他方の面の上に所定の形状のコイルパターン310、320、330、340をそれぞれ形成する。基材210、220は、銅張積層板(CCL)または金属磁性体などにより製作されてもよいが、実効透磁率を高め且つ容量を実現し易い金属磁性体を用いることが好ましい。例えば、基材210、220は、含鉄金属合金からなる所定の厚さの金属板の一方の面及び他方の面に銅箔を貼り合わせることにより製作されてもよい。さらに、コイルパターン310、320、330、340は、基材210、220の所定の領域、例えば、中央部から円形のスパイラル状に形成されたコイルパターンとして形成されてもよい。このとき、基材210、220の一方の面の上にコイルパターン310、330を形成した後、基材210、220の所定の領域を貫通し且つ導電物質が埋め込まれた導電性ビアを形成し、基材210、220の他方の面の上にコイルパターン320、340を形成してもよい。導電性ビアは、レーザーなどを用いて基材210、220の厚さ方向にビア孔を形成した後、ビア孔に導電性ペーストを充填して形成してもよい。さらにまた、コイルパターン310、320、330、340は、例えば、メッキ工程を用いて形成してもよい。このために、例えば、第1の基材210の一方の面の上に所定の形状の感光膜パターンを形成し、第1の基材210上の銅箔をシードとして用いたメッキ工程を行って露出された 第1の基材210の表面から金属層を成長させた後に感光膜を除去することにより形成してもよい。コイルパターン320は、第1の基材210の他方の面の上にコイルパターン310の形成方法と同じ方法を用いて形成してもよい。もちろん、コイルパターン330、340は、第2の基材220の一方の面及び他方の面の上にコイルパターン310、320の形成方法と同じ方法を用いて形成してもよい。一方、コイルパターン310、320、330、340は、多層に形成されてもよい。コイルパターン310、320、330、340が多層に形成される場合、下層と上層との間に絶縁層が形成され、絶縁層に導電性ビア(図示せず)が形成されて多層コイルパターンが接続されてもよい。このように基材210、220の一方の面及び他方の面の上にコイルパターン310、320、330、340をそれぞれ形成した後、コイルパターン310、320、330、340を覆うように絶縁層600を形成する。絶縁層600は、エポキシ、ポリイミド及び液晶ポリマーよりなる群から選ばれるいずれか一種以上の物質を含むシートをコイルパターン310、320、330、340の上に密着することにより形成してもよい。
【0042】
図9を参照すると、金属粉末110及びポリマー120を含む材料からなる複数枚のシート100a〜100hを設ける。ここで、複数枚のシート100a〜100iは、熱伝導性フィラー130をさらに含む材料からなることが好ましい。金属粉末110としては、含鉄(Fe)金属物質を用いてもよく、ポリマー120としては、金属粉末110の間を絶縁可能なエポキシ、ポリイミドなどを用いてもよく、熱伝導性フィラー130としては、金属粉末110の熱を外部に放出可能なMgOと、AlN及びカーボン系の物質などを用いてもよい。また、金属粉末110の表面が磁性体、例えば、金属酸化物磁性体によりコーティングされてもよい。ここで、ポリマー120は、金属粉末100wt%に対して2.0wt%〜5.0wt%の含量で含まれてもよく、熱伝導性フィラー130は、金属粉末110100wt%に対して0.5wt%〜3wt%の含量で含まれてもよい。これらの複数枚のシート100a〜100iをコイルパターン310、320、330、340が形成された少なくとも2以上の基材210、220の上部及び下部並びにこれらの間にそれぞれ配置する。例えば、少なくとも2以上の基材210、220の間に少なくとも1枚のシート100aが設けられ、基材210の上側に複数枚のシート100b〜100eが設けられ、基材220の下側に複数枚のシート100f〜100iが設けられてもよい。一方、複数枚のシート100a〜100hは、熱伝導性フィラー130の含量が異なっていてもよい。例えば、基材200の一方の面及び他方の面から上側及び下側に進むにつれて熱伝導性フィラー130の含量が高くなってもよい。すなわち、基材210、220に接するシート100a、100dの上側及び下側に配設されるシート100c、100fの熱伝導性フィラー130の含量がシート100b、100eの熱伝導性フィラー130の含量よりも高く、シート100c、100fの上側及び下側に配設されるシート100d、100hの熱伝導性フィラー130の含量がシート100c、100fの熱伝導性フィラー130の含量よりも高くてもよい。このように基材210、220から遠ざかるにつれて熱伝導性フィラー130の含量が高くなることにより、熱伝達効率をなお一層向上させることができる。
【0043】
図10を参照すると、少なくとも2以上の基材210、220を間に挟んで複数枚のシート100a〜100iを積み重ね、且つ押し付けた後に成形してボディ100を形成する。また、ボディ100の両端部にコイルパターン310、320、330、340の引き出された部分と電気的に接続されるように第1及び第2の部電極400、500を形成してもよい。
【0044】
第1及び第2の外部電極400、500は、導電性ペーストにボディ100を浸漬する方法、ボディ10の両端部に導電性ペーストを印刷する方法、蒸着及びスパッタリングを行う方法などを用いて形成した後に互いに離れるようにパターニングして形成してもよい。ここで、導電性ペーストとしては、第1及び第2の外部電極400、500に電気伝導性を与える金属物質を用いてもよい。なお、第1及び第2の外部電極400、500の表面には、必要に応じて、ニッケルメッキ層及び錫メッキ層をさらに形成してもよい。
【0045】
本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化可能である。すなわち、上記の実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に本発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明の範囲は本願の特許請求の範囲により理解されるべきである。