(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
近年、電子機器の小型化及び軽量化の要請から、電子機器分野では様々なフレキシブルプリント配線板が使用されている。このようなフレキシブルプリント配線板として、一般に、ベースとなるベースフィルムと、ベースフィルムの表面に積層された銅箔等により形成された導電パターンとを備えるフレキシブルプリント配線板が使用されている。
【0007】
一般に接続端子は縦長形状であり、狭いピッチで並べて実装される。したがって、実装の際のわずかな位置ずれにより接続端子間のピッチが一定とならず、高い精度で実装することが困難である。また、接続端子を1つずつ実装するため、生産性が低い。
【0008】
そこで、本開示は、高い精度で接続端子を実装でき、かつ生産性の高いフレキシブルプリント配線板の製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
[本開示の効果]
本開示のフレキシブルプリント配線板の製造方法を用いることで、高い精度及び高い生産性で接続端子を実装できる。
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
(1)本発明の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの一方の面側に積層される導電パターンと、上記導電パターンの一端縁側の端子接続領域に固定される複数の接続端子とを備えるフレキシブルプリント配線板の製造方法であって、上記複数の接続端子を部品固定治具に並列に固定する工程と、固定された上記複数の接続端子を上記部品固定治具ごと実装する工程とを備える。
【0011】
当該フレキシブルプリント配線板の製造方法では、複数の接続端子を部品固定治具に並列に固定して一度に実装を行う。このため、接続端子間で方向ずれが生じ難く、高い精度で接続端子を実装できる。また、複数の接続端子を一度に実装するため、当該フレキシブルプリント配線板の製造方法を用いることで、生産性が向上する。
【0012】
(2)上記ベースフィルムが複数の治具固定用孔を有し、上記実装する工程において、上記治具固定用孔を用いて部品固定治具の位置合わせを行うとよい。ベースフィルムの複数の治具固定用孔を用いて部品固定治具の位置合わせを行うことで、フレキシブルプリント配線板と、部品固定治具に固定された接続端子との相対位置を規定できる。従って、接続端子を実装する工程において、ベースフィルムに対する接続端子の方向ずれが生じ難いので、さらに高い精度で接続端子を実装できる。
【0013】
(3)上記固定する工程の前に、上記導電パターンの一端縁側に櫛歯部を形成する工程を備え、上記形成する工程において、上記櫛歯部を形成する金型を用いて上記治具固定用孔を形成するとよい。この櫛歯部に、複数の接続端子が部品固定治具ごと実装される。櫛歯部の形成と治具固定用孔の形成とを同一金型で行うことで、櫛歯部の方向と複数の治具固定用孔の方向との相対関係を常に一定に保つことができる。このため、櫛歯部の方向と複数の治具固定用孔の方向とのずれが生じ難いので、方向ずれに起因する接続端子の実装誤差を低減できる。ここで、「櫛歯部の方向」とは櫛歯部の長手方向である。また、「複数の治具固定用孔の方向」とは、平面視で2個の治具固定用孔を結ぶ直線の方向である(治具固定用孔が3個以上の場合には、平面視で任意の2個の治具固定用孔を結ぶ直線の方向である)。
【0014】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法の実施形態について図面を参照しつつ詳説する。
【0015】
〔フレキシブルプリント配線板〕
まず、本発明の一態様に係るフレキシブルプリント配線板の製造方法により製造されるプリント配線板について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1及び
図2に示すフレキシブルプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルム1と、ベースフィルム1の一方の面側に積層される導電パターン2と、ベースフィルム1又は導電パターン2の一方の面に積層されるカバーレイ3と、を備える。また、フレキシブルプリント配線板は、導電パターン2の一端縁側に端子接続領域2aを有し、端子接続領域2aに固定される複数の接続端子4を備える。
【0016】
<ベースフィルム>
ベースフィルム1は、導電パターン2を支持する部材であって、フレキシブルプリント配線板の強度を担保する構造材である。
【0017】
ベースフィルム1の主成分としては、例えばポリイミド、液晶ポリエステルに代表される液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンエーテル、フッ素樹脂等の軟質材、紙フェノール、紙エポキシ、ガラスコンポジット、ガラスエポキシ、ガラス基材等の硬質材、軟質材と硬質材とを複合したリジッドフレキシブル材などを用いることができる。これらの中でも耐熱性に優れるポリイミドが好ましい。なお、ベースフィルム1は、多孔質化されたものでもよく、また、充填材、添加剤等を含んでもよい。ここで、「主成分」とは、最も多く含まれる成分であり、含有量が50質量%以上の成分を意味する。
【0018】
ベースフィルム1の厚さは、特に限定されないが、ベースフィルム1の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、12μmがより好ましい。また、ベースフィルム1の平均厚さの上限としては、500μmが好ましく、200μmがより好ましい。ベースフィルム1の平均厚さが上記下限未満であると、ベースフィルム1の強度が不十分となるおそれがある。ベースフィルム1の平均厚さが上記上限を超えると、フレキシブルプリント配線板の可撓性が不十分となるおそれがある。
【0019】
ベースフィルム1は、一対の治具固定用孔1aを有する。治具固定用孔1aは、カバーレイ3を貫通している。また、治具固定用孔1aは、平面視で導電パターン2と重なる場合、導電パターン2を貫通している。治具固定用孔1aの平面視形状は、特に限定されず、例えば多角形状であってもよいが、
図1に示すように円形状であることが好ましい。治具固定用孔1aの平面視形状が円形状であると、後述する部品固定治具7の位置合わせに用いる際に差し込み易い上に、ベースフィルム1の強度低下を抑止できる。
【0020】
治具固定用孔1aは、フレキシブルプリント配線板に構成される回路パターンに影響しない位置に設けられるが、端子接続領域2a内又はその近傍に設けることが好ましい。治具固定用孔1aを端子接続領域2a内又はその近傍に設けることで、治具固定用孔1aは接続端子4から比較的近くなる。したがって、治具固定用孔1aを用いて容易に部品固定治具7の位置合わせを行うことができる。
【0021】
また、一対の治具固定用孔1aは、ベースフィルム1の幅方向に離れて位置するとよい。特に、一対の治具固定用孔1aは、ベースフィルム1の幅方向の両端に位置するとよい。一対の治具固定用孔1aを幅方向に離して設けることで、治具固定用孔1aを用いた部品固定治具7の位置合わせ精度を向上させることができる。
【0022】
一対の治具固定用孔1aの中心間の距離の下限としては、1mmが好ましく、2mmがより好ましい。一対の治具固定用孔1aの中心間の距離が上記下限未満であると、位置合わせ精度の向上効果が不足するおそれがある。一対の治具固定用孔1aの中心間の距離の上限は、特に限定されないが、ベースフィルム1の幅により決まる。
【0023】
平面視での治具固定用孔1aの直径(治具固定用孔1aが多角形状である場合は対角線の長さ)の下限としては、0.5mmが好ましく、1mmがより好ましい。治具固定用孔1aの直径の上限としては、5mmが好ましく、4mmがより好ましい。治具固定用孔1aの直径が上記下限未満であると、位置合わせに用いる部品固定治具7の治具固定用孔1aに嵌合する柱状部7dが細くなり過ぎるため、部品固定治具7が破損し易くなるおそれがある。治具固定用孔1aの直径が上記上限を超えると、ベースフィルム1の強度が低下するおそれがある。
【0024】
治具固定用孔1aと導電パターン2の一端縁との距離(治具固定用孔1a中心と導電パターン2の一端縁との距離)の下限としては、4mmが好ましく、5mmがより好ましい。治具固定用孔1aと導電パターン2の一端縁との距離の上限としては、50mmが好ましく、40mmがより好ましい。治具固定用孔1aと導電パターン2の一端縁との距離が上記下限未満であると、治具固定用孔1aが接続端子4と干渉するおそれがある。治具固定用孔1aと導電パターン2の一端縁との距離が上記上限を超えると、治具固定用孔1aを用いる部品固定治具7が大きくなり過ぎ、取扱いが困難となるおそれがある。
【0025】
<導電パターン>
導電パターン2は、電気配線構造、グラウンド、シールドなどの構造を構成するものである。
【0026】
導電パターン2を形成する材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されないが、例えば銅、アルミニウム、ニッケル等の金属が挙げられ、一般的には比較的安価で導電率が大きい銅が用いられる。また、導電パターン2は、表面にめっき処理が施されてもよい。
【0027】
導電パターン2の平均厚さの下限としては、2μmが好ましく、5μmがより好ましい。導電パターン2の平均厚さの上限としては、100μmが好ましく、70μmがより好ましい。導電パターン2の平均厚さが上記下限未満の場合、導電パターン2の導電性が不十分となるおそれがある。導電パターン2の平均厚さが上記上限を超える場合、フレキシブルプリント配線板が不必要に厚くなるおそれがある。
【0028】
フレキシブルプリント配線板は、導電パターン2の一端縁側に端子接続領域2aを有する。端子接続領域2aは、後述する接続端子4を介して他の電子機器等と接続するための領域である。端子接続領域2aでは、後述するカバーレイ3は取り除かれている。
【0029】
図1に示すように、導電パターン2は一端縁側で枝分かれしており、櫛状になっている。この櫛の歯、すなわち各櫛歯部5それぞれに、1つの接続端子4が固定される。
【0030】
櫛歯部5の大きさは、接続端子4の大きさにより適宜決定されるが、例えば平均幅0.5mm以上3mm以下、平均長さ3mm以上50mm以下とできる。また、櫛歯部5の数は接続端子4の数に対応して決定される。通常、端子接続領域2aを含めてベースフィルム1の幅は一定であるが、接続端子4の数によっては、端子接続領域2aを除くベースフィルム1の幅に収まらない場合がある。このような場合には、例えば
図1に示すように一端縁側でベースフィルム1の幅を広げることで、櫛歯部5の数を確保できる。
【0031】
<カバーレイ>
カバーレイ3は、導電パターン2を外力や水分等から保護するものである。カバーレイ3は、カバーフィルム及び接着層を有する。カバーレイ3は、接着層を介して導電パターン2のベースフィルム1とは反対側の面にカバーフィルムが積層されたものである。
【0032】
(カバーフィルム)
カバーフィルムの材質としては、特に制限されるものではないが、例えばベースフィルム1を構成する樹脂と同様のものを用いることができる。
【0033】
カバーフィルムの平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。カバーフィルムの平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、30μmがより好ましい。カバーフィルムの平均厚さが上記下限未満であると、絶縁性が不十分となるおそれがある。カバーフィルムの平均厚さが上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1の可撓性が損なわれるおそれがある。
【0034】
(接着層)
接着層は、カバーフィルムを導電パターン2及びベースフィルム1に固定するものである。接着層の材質としては、カバーフィルムを導電パターン2及びベースフィルム1に固定できる限り特に限定されないが、柔軟性や耐熱性に優れたものが好ましく、例えばポリイミド、ポリアミド、エポキシ、ブチラール、アクリル等が挙げられる。また、耐熱性の点において、熱硬化性樹脂が好ましい。
【0035】
カバーレイ3の接着層の平均厚さは、特に限定されるものではないが、接着層の平均厚さの下限としては、例えば5μmが好ましく、10μmがより好ましい。接着層の平均厚さの上限としては、例えば100μmが好ましく、80μmがより好ましい。接着層の平均厚さが上記下限未満であると、接着性が不十分となるおそれがある。接着層の平均厚さが上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1の可撓性が損なわれるおそれがある。
【0036】
<接続端子>
接続端子4は、フレキシブルプリント配線板を他の電子機器等と接続するための部品である。
【0037】
接続端子4の材質は、導電性を有する限り特に限定されないが、例えば接続端子4は、金属製とできる。金属としては、例えば軟銅、黄銅、リン青銅等を挙げることができる。また、接続端子15の表面は、酸化を防ぐために、めっきを施すことが好ましい。めっきとしては、Snめっき、Niめっき、Auめっき等を挙げることができる。中でも安価でかつ防蝕性に優れるNiめっきが好ましい。
【0038】
接続端子4の形状は、接続する電子機器等の端子形状等に応じて適宜決定されるが、一般に縦長(ベースフィルム1の長さ方向に長い形状)である。接続端子4の形状としては、例えば平均幅0.5mm以上3mm以下、平均長さ3mm以上50mm以下、平均高さ0.1mm以上3mm以下の板状又は成形加工された立体形状とできる。
【0039】
また、接続端子4の一部は、端子接続領域2aより突出している。突出部分の平均長さは、接続する電子機器等の端子形状等にもよるが、接続端子4の平均長さの20%以上80%以下が好ましい。突出部分の平均長さが上記下限未満であると、他の電子機器等への接着強度が不足するおそれがある。突出部分の平均長さが上記上限を超えると、フレキシブルプリント配線板への接着強度が不足するおそれがある。
【0040】
〔フレキシブルプリント配線板の製造方法〕
当該フレキシブルプリント配線板の製造方法は、
図3に示すようにフレキシブルプリント配線板本体形成工程S1と、櫛歯部形成工程S2と、接続端子固定工程S3と、接続端子実装工程S4と、治具取外し工程S5とを備える。
【0041】
<フレキシブルプリント配線板本体形成工程>
フレキシブルプリント配線板本体形成工程S1では、絶縁性を有するベースフィルム1と、ベースフィルム1の一方の面側に積層される導電パターン2と、ベースフィルム1又は導電パターン2の一方の面に積層されるカバーレイ3とを備えるフレキシブルプリント配線板本体を形成する(
図4参照)。具体的には、以下の手順による。
【0042】
まず、ベースフィルム1の一方の面に導体層を形成する。
【0043】
導体層は、例えば接着剤を用いて箔状の導体を接着することにより、あるいは公知の成膜手法により形成できる。導体は、導電パターン2を構成する材料と同じ材質であり、導体の材質としては、例えば、銅、銀、金、ニッケル等が挙げられる。接着剤としては、ベースフィルム1に導体を接着できるものであれば特に制限はなく、公知の種々のものを使用することができる。成膜手法としては、例えば蒸着、メッキ等が挙げられる。導体層は、ポリイミド接着剤を用いて銅箔をベースフィルム1に接着して形成することが好ましい。
【0044】
次に、導体層をパターニングして導電パターン2を形成する。
【0045】
導体層のパターニングは、公知の方法、例えばフォトエッチングにより行うことができる。フォトエッチングは、導体層の一方の面に所定のパターンを有するレジスト膜を形成した後に、レジスト膜から露出する導体層をエッチング液で処理し、レジスト膜を除去することにより行われる。
【0046】
最後に、導電パターン2の端子接続領域2aを除いて、導電パターン2を覆うようにカバーレイ3を積層する。具体的には、導電パターン2を形成したベースフィルム1の表面に接着剤層を積層し、接着剤層の上にカバーフィルムを積層する。または、予めカバーフィルムに接着剤層を積層しておき、そのカバーフィルムの接着剤層が積層されている側の面を導電パターン2に対面させて接着してもよい。
【0047】
接着剤を使用したカバーフィルムの接着は、通常、熱圧着により行うことができる。熱圧着する際の温度及び圧力は、使用する接着剤の種類や組成等に応じて適宜決定すればよい。
【0048】
<櫛歯部形成工程>
櫛歯部形成工程S2では、フレキシブルプリント配線板本体形成工程S1で形成したフレキシブルプリント配線板本体の導電パターン2の一端縁側に櫛歯部5を形成する。
【0049】
図5に示すように、櫛歯部5は、櫛歯部形成金型6を用いて打ち抜き加工により形成することができる。櫛歯部形成金型6は、櫛歯部5間の空隙に対応する部分を打ち抜く金型である。また、櫛歯部形成金型6は、櫛歯部5間の空隙に対応する抜き型6aと共に治具固定用孔1aに対応する抜き型6bとを有する。これにより、櫛歯部5を形成する金型を用いて治具固定用孔1aを形成できる。櫛歯部5の形成と治具固定用孔1aの形成とを同一金型で行うことで、櫛歯部5の方向と一対の治具固定用孔1aの方向との相対関係を常に一定に保つことができる。このため、櫛歯部5の方向と一対の治具固定用孔1aの方向とのずれが生じ難いので、方向ずれに起因する接続端子4の実装誤差を低減できる。
【0050】
櫛歯部形成金型6の材質としては、特に限定されず、例えば一般的な炭素工具鋼(SK材)とできる。また、櫛歯部形成金型6の形状は、櫛歯部5と治具固定用孔1aとを加工できる形状に適宜決定される。
【0051】
<接続端子固定工程>
接続端子固定工程S3では、複数の接続端子4を部品固定治具7に並列に固定する。
【0052】
接続端子固定工程S3で用いる部品固定治具7は、例えば
図6及び
図7に示すように、直方体状の治具本体7aと、治具本体7aの1つの面の上部から外側から延びる板状の鍔部7bと、治具本体7aの面に設けられ、接続端子4を固定可能な複数の差込み口7cと、鍔部7bの下面に設けられる一対の柱状部7dとを備える。
【0053】
部品固定治具7の材質としては、特に限定されず、例えば一般的な炭素工具鋼(SK材)とできる。
【0054】
部品固定治具7の差込み口7cの個数は、製造されるフレキシブルプリント配線板の接続端子4の個数と同数である。隣接する差込み口7cの間隔は、隣接する接続端子4の間隔と同じである。部品固定治具7の差込み口7cの深さは、接続端子4の実装後の突出部分の平均長さに対応して決定される。
【0055】
部品固定治具7の一対の柱状部7dは、一対の治具固定用孔1aと嵌合可能である。
【0056】
つまり、部品固定治具7の複数の差込み口7cの全てに接続端子4を固定し、一対の柱状部7dを一対の治具固定用孔1aと嵌合させることで、固定された複数の接続端子4が、各櫛歯部5の実装位置に載置される。
【0057】
<接続端子実装工程>
接続端子実装工程S4では、接続端子固定工程S3で固定された複数の接続端子4を部品固定治具7ごと櫛歯部5に実装する。具体的には、以下の手順による。
【0058】
まず、導電パターン2の端子接続領域2aに半田を設ける。
【0059】
次に、
図8に示すように複数の接続端子4が固定された部品固定治具7の一対の柱状部7dを一対の治具固定用孔1aと嵌合させることで、複数の接続端子4を、各櫛歯部5の実装位置に載置する。一対の治具固定用孔1aを用いて部品固定治具7の位置合わせを行うことで、フレキシブルプリント配線板と、部品固定治具7に固定された接続端子4との相対位置を規定できる。従って、ベースフィルム1に対する接続端子4の方向ずれが生じ難いので、さらに高い精度で接続端子4を実装できる。
【0060】
その後、リフローにより半田を溶融させて、導電パターン2に接続端子4を半田付けする。
【0061】
<治具取外し工程>
治具取外し工程S5では、接続端子実装工程S4後に部品固定治具7を取り外す。
【0062】
部品固定治具7を取り除くことで、接続端子4が実装されて、フレキシブルプリント配線板が形成される。
【0063】
〔利点〕
当該フレキシブルプリント配線板の製造方法では、複数の接続端子4を部品固定治具7に並列に固定して一度に実装を行う。このため、当該フレキシブルプリント配線板の製造方法を用いることで、接続端子4間で方向ずれが生じ難いので、高い精度で接続端子4を実装できる。また、複数の接続端子4を一度に実装するため、当該フレキシブルプリント配線板の製造方法を用いることで、生産性が向上する。
【0064】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0065】
上記実施形態では、当該フレキシブルプリント配線板の製造方法が櫛歯部形成工程を備える場合を説明したが、櫛歯部形成工程は必須の構成要件ではない。櫛歯部を設けないフレキシブルプリント配線板、例えば平面視で方形状の端子接続領域を有するフレキシブルプリント配線板に対しても当該フレキシブルプリント配線板の製造方法を用いることができる。
【0066】
上記実施形態では、当該フレキシブルプリント配線板の製造方法が治具取外し工程を備える場合を説明したが、治具取外し工程は必須の構成要件ではない。例えば部品固定治具をそのままフレキシブルプリント配線板の一部として、例えば接続端子のハウジングとして使用する場合、部品固定治具を取外す必要はなく、治具取外し工程を省略できる。
【0067】
上記実施形態では、ベースフィルムが一対の治具固定用孔を有する場合を説明したが、治具固定用孔は一対、つまり2個には限定されず、3個以上であってもよい。
【0068】
上記実施形態では、ベースフィルムが一対の治具固定用孔を有し、接続端子実装工程において、治具固定用孔を用いて部品固定治具の位置合わせを行う場合を説明したが、部品固定治具の位置合わせは、治具固定用孔を用いて行う方法には限定されず、例えば目視で行ってもよい。この場合、ベースフィルムの一対の治具固定用孔は、省略することもできる。また、部品固定治具は、鍔部及び柱状部を有さない構成とすることができる。
【0069】
上記実施形態では、櫛歯部形成工程において、櫛歯部を形成する金型を用いて治具固定用孔を形成する場合を説明したが、櫛歯部と治具固定用孔とは異なる金型を用いて別々に形成してもよい。櫛歯部と治具固定用孔とを別々に形成した場合においても、当該フレキシブルプリント配線板の製造方法を用いることで、高い精度で接続端子を実装することができる。
【0070】
上記実施形態では、部品固定治具を用いて複数の接続端子を一括して実装する場合を説明したが、一度に実装する接続端子が複数であれば、複数回に分けて実装してもよい。複数回に分けて実装することで、一度に固定すべき接続端子の数が減るため、部品固定治具を小型化できる。複数回に分けて実装する場合、実装回数の上限としては、4が好ましく、3がより好ましく、2がさらに好ましい。実装回数が上記上限を超えると、実装精度が低下するおそれや、生産性が低下するおそれがある。
【0071】
部品固定治具の形状は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、差込み口により接続端子を固定する場合を説明したが、固定する部分の形状は、例えば部品固定治具の下面側に設けられた凹部であってもよい。また、上記実施形態では、板状の鍔部に柱状部を設ける場合を説明したが、鍔部は部品固定治具の両端に設けられる短冊状としてもよく、鍔部が中空であってもよい。上記実施形態では、鍔部を治具本体の上部から延びるように設けているが、治具本体の下部から延びるように設け、柱状部をこの鍔部の上面に設けることも可能である。
【0072】
上記実施形態では、治具固定用孔がフレキシブルプリント配線板を貫通している場合を説明したが、治具固定用孔は、貫通していなくともよい。治具固定用孔は、例えばベースフィルムのみ貫通している孔、つまりフレキシブルプリント配線板の裏面の凹部であってもよい。
【0073】
また、治具固定用孔は、例えば
図9に示す治具固定用孔1bのようにその周縁の一部がフレキシブルプリント配線板の外縁とつながっていてもよい。つまり、治具固定用孔1bは、フレキシブルプリント配線板の外縁に連続する溝形状であってもよい。溝形状としては、特に限定されないが、例えば
図9に示すU字溝のほか、平面視で長方形状や、フレキシブルプリント配線板の内側へ向かって溝幅が漸減する台形状、三角形状などとすることができる。
【0074】
フレキシブルプリント配線板は、上記実施形態には限定されず、ベースフィルムの他方の面に補強部を備えたフレキシブルプリント配線板や、カバーレイを備えないフレキシブルプリント配線板等にも、当該フレキシブルプリント配線板の製造方法を用いることができる。