特許第6959346号(P6959346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959346
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】テープフィーダ
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20211021BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-542957(P2019-542957)
(86)(22)【出願日】2017年9月25日
(86)【国際出願番号】JP2017034577
(87)【国際公開番号】WO2019058561
(87)【国際公開日】20190328
【審査請求日】2019年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】原 朗
(72)【発明者】
【氏名】倉 和明
(72)【発明者】
【氏名】島元 優一
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−073632(JP,A)
【文献】 特開2002−257590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収納したキャリアテープを搬送して電子部品装着機に前記電子部品を供給するテープフィーダであって、
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に回転可能に設けられ、前記キャリアテープに形成された複数の係合穴に係合する複数の係合突起を配置されたスプロケットと、
前記スプロケットの回転に連動して回転する磁石体と、
前記フィーダ本体に対する前記磁石体の角度に応じた検出信号を出力する磁気センサと、
予め設定されたオフセット値を用いて検出信号の原点を調整するオフセット処理、および予め設定されたゲイン値を用いて検出信号の大きさを調整するゲイン処理をそれぞれ実行するとともに、調整された検出信号に基づいて前記磁石体の角度を算出する角度算出部と、
前記角度算出部により算出された前記磁石体の角度に基づいて前記スプロケットの回転を制御する制御装置と、
を備え
前記制御装置は、前記電子部品装着機に前記電子部品を供給するように前記スプロケットを停止した状態で前記磁気センサから出力された検出信号に基づいて、前記オフセット値および前記ゲイン値の少なくとも一方を補正する補正処理を実行するテープフィーダ。
【請求項2】
電子部品を収納したキャリアテープを搬送して電子部品装着機に前記電子部品を供給するテープフィーダであって、
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に回転可能に設けられ、前記キャリアテープに形成された複数の係合穴に係合する複数の係合突起を配置されたスプロケットと、
前記スプロケットの回転に連動して回転する磁石体と、
前記フィーダ本体に対する前記磁石体の角度に応じた検出信号を出力する磁気センサと、
前記スプロケットが前記フィーダ本体に対して規定角度にある状態を検出する補助センサと、
予め設定されたオフセット値を用いて検出信号の原点を調整するオフセット処理、および予め設定されたゲイン値を用いて検出信号の大きさを調整するゲイン処理をそれぞれ実行するとともに、調整された検出信号に基づいて前記磁石体の角度を算出する角度算出部と、
前記角度算出部により算出された前記磁石体の角度に基づいて前記スプロケットの回転を制御する制御装置と、
を備え
前記制御装置は、前記スプロケットが前記規定角度にあるときに前記角度算出部により算出された前記スプロケットの角度が許容範囲外である場合に、前記磁気センサから出力された検出信号に基づいて、前記オフセット値および前記ゲイン値の少なくとも一方を補正する補正処理を実行するテープフィーダ。
【請求項3】
電子部品を収納したキャリアテープを搬送して電子部品装着機に前記電子部品を供給するテープフィーダであって、
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に回転可能に設けられ、前記キャリアテープに形成された複数の係合穴に係合する複数の係合突起を配置されたスプロケットと、
前記スプロケットの回転に連動して回転する磁石体と、
前記フィーダ本体に対する前記磁石体の角度に応じた検出信号を出力する磁気センサと、
予め設定されたオフセット値を用いて検出信号の原点を調整するオフセット処理、および予め設定されたゲイン値を用いて検出信号の大きさを調整するゲイン処理をそれぞれ実行するとともに、調整された検出信号に基づいて前記磁石体の角度を算出する角度算出部と、
前記角度算出部により算出された前記磁石体の角度に基づいて前記スプロケットの回転を制御する制御装置と、
を備え
前記制御装置は、前記テープフィーダの稼働時間、および前記キャリアテープの搬送量の少なくとも一方が予め設定された閾値を越えた場合に、前記磁気センサから出力された検出信号に基づいて、前記オフセット値および前記ゲイン値の少なくとも一方を補正する補正処理を実行するテープフィーダ。
【請求項4】
電子部品を収納したキャリアテープを搬送して電子部品装着機に前記電子部品を供給するテープフィーダであって、
フィーダ本体と、
前E記フィーダ本体に回転可能に設けられ、前記キャリアテープに形成された複数の係合穴に係合する複数の係合突起を配置されたスプロケットと、
前記スプロケットの回転に連動して回転する磁石体と、
前記フィーダ本体に対する前記磁石体の角度に応じた検出信号を出力する磁気センサと、
予め設定されたオフセット値を用いて検出信号の原点を調整するオフセット処理、および予め設定されたゲイン値を用いて検出信号の大きさを調整するゲイン処理をそれぞれ実行するとともに、調整された検出信号に基づいて前記磁石体の角度を算出する角度算出部と、
前記角度算出部により算出された前記磁石体の角度に基づいて前記スプロケットの回転を制御する制御装置と、
を備え
前記制御装置は、前記磁気センサから出力された検出信号に基づいて、前記オフセット値および前記ゲイン値の少なくとも一方を補正する補正処理を実行し、
前記制御装置は、前記補正処理を実行する場合に、前記スプロケットを予め設定された一または複数の検出用角度に角度決めし、
前記補正処理に用いられる検出信号には、前記検出用角度に角度決めされた際に前記磁気センサから出力された検出信号が含まれるテープフィーダ。
【請求項5】
前記磁気センサは、正弦波状の検出信号を出力し、
一または複数の前記検出用角度には、検出信号の偏差が最大または最小となる角度が含まれる、請求項に記載のテープフィーダ。
【請求項6】
前記制御装置は、前記角度算出部が検出信号の調整に用いている前記オフセット値に対して現在の前記磁気センサから出力された検出信号に基づいて算出された前記オフセット値が許容範囲外である場合に、前記オフセット値を補正する前記補正処理を実行する、請求項1−5の何れか一項に記載のテープフィーダ。
【請求項7】
前記制御装置は、前記角度算出部が検出信号の調整に用いている前記ゲイン値に対して現在の前記磁気センサから出力された検出信号に基づいて算出された前記ゲイン値が許容範囲外である場合に、前記ゲイン値を補正する前記補正処理を実行する、請求項1−6の何れか一項に記載のテープフィーダ。
【請求項8】
前記磁気センサは、正弦波状の検出信号を出力し、
前記制御装置は、前記角度算出部により調整された検出信号の振幅および検出信号の最大値と最小値との中間値の少なくとも一方が許容範囲外である場合に、前記補正処理を実行する、請求項1−7の何れか一項に記載のテープフィーダ。
【請求項9】
前記磁石体は、前記スプロケットに設けられ、
前記角度算出部は、前記フィーダ本体に対する前記スプロケットの角度を直接的に算出する、請求項1−8の何れか一項に記載のテープフィーダ。
【請求項10】
前記テープフィーダは、前記磁石体の回転方向に互いに所定の角度だけ離間して配置された一対の前記磁気センサを備え、
一対の前記磁気センサのそれぞれは、正弦波状の検出信号を出力し、
前記角度算出部は、一対の前記磁気センサごとに予め設定された前記オフセット値を用いてオフセット処理、および一対の前記磁気センサごとに予め設定された前記ゲイン値を用いたゲイン処理をそれぞれ実行するとともに、調整された各検出信号の位相差に基づいて前記磁石体の角度を算出し、
前記制御装置は、一対の前記磁気センサの少なくとも一方から出力された検出信号に基づいて、検出信号に対応する前記磁気センサの前記オフセット値および前記ゲイン値の少なくとも一方を補正する、請求項1−9の何れか一項に記載のテープフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープフィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テープフィーダは、例えば特許文献1に開示されているように、電子部品装着機による装着処理に用いられる。テープフィーダは、電子部品を収納したキャリアテープに係合するスプロケットを回転させることによりキャリアテープを搬送して、供給部において電子部品装着機に電子部品を供給する。テープフィーダは、電子部品を供給部に高精度に位置決めするために、例えば角度センサにより検出されたスプロケットの角度に基づいて制御する構成が採用され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−011316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなテープフィーダにおいては、電子部品の位置決め精度を高めるために、スプロケットの回転をより正確に制御する必要がある。また、角度センサの感度の変動が生ずると検出したスプロケットの角度に誤差が生じて、電子部品の位置決め精度に影響するおそれがある。さらに、角度センサを含むテープフィーダのメンテナンスには所定の時間を要し、生産効率に影響するおそれがある。
【0005】
本明細書は、スプロケットの回転をより正確に制御することができるテープフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電子部品を収納したキャリアテープを搬送して電子部品装着機に前記電子部品を供給するテープフィーダであって、フィーダ本体と、前記フィーダ本体に回転可能に設けられ、前記キャリアテープに形成された複数の係合穴に係合する複数の係合突起を配置されたスプロケットと、前記スプロケットの回転に連動して回転する磁石体と、前記フィーダ本体に対する前記磁石体の角度に応じた検出信号を出力する磁気センサと、予め設定されたオフセット値を用いて検出信号の原点を調整するオフセット処理、および予め設定されたゲイン値を用いて検出信号の大きさを調整するゲイン処理をそれぞれ実行するとともに、調整された検出信号に基づいて前記磁石体の角度を算出する角度算出部と、前記角度算出部により算出された前記磁石体の角度に基づいて前記スプロケットの回転を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記電子部品装着機に前記電子部品を供給するように前記スプロケットを停止した状態で前記磁気センサから出力された検出信号に基づいて、前記オフセット値および前記ゲイン値の少なくとも一方を補正する補正処理を実行する、テープフィーダを開示する。
【発明の効果】
【0007】
このような構成によると、制御装置は、磁気センサによる検出信号に対してオフセット処理およびゲイン処理を実行して調整する。これにより、テープフィーダにおいて、磁気センサを含む角度センサの個体差、取り付け誤差などを勘案したスプロケットの角度検出が可能となる。よって、調整された検出信号に基づくことにより、スプロケットの角度をより正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子部品装着機の構成の概略を示す斜視図である。
図2】テープフィーダの外観を示す斜視図である。
図3】キャリアテープの一部を示す上面図である。
図4】テープフィーダの構造を模式的に示す側面図である。
図5】角度センサによる検出信号とスプロケットの角度との関係を示すグラフである。
図6】検出信号の値とオフセット値およびゲイン値を示す表である。
図7】角度センサのメンテナンス処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
1−1.電子部品装着機10の概要
電子部品装着機10は、テープフィーダ20を用いて回路基板90に電子部品を装着する。以下では、電子部品装着機を「部品装着機」、テープフィーダを「フィーダ」、回路基板を「基板」、電子部品を「部品」と称する。部品装着機10は、図1に示すように、基板搬送装置11と、上部スロット12と、下部スロット13と、装着ヘッド14と、ヘッド移動装置15とを有する。基板搬送装置11は、部品装着機10の機内に基板90を搬入するとともに所定位置に位置決めする。また、基板搬送装置11は、部品装着機10による装着処理が実行された後に、部品装着機10の機外に基板90を搬出する。
【0010】
上部スロット12は、部品装着機10の前部側の上部に配置される。上部スロット12は、フィーダ20を動作可能に保持する。上部スロット12にセットされたフィーダ20は、部品装着機10による装着処理において動作を制御され、当該フィーダ20の上部の規定位置に設けられた供給部211(図2を参照)において部品を供給する。
【0011】
下部スロット13は、上部スロット12の下方に配置される。下部スロット13は、部品装着機10による装着処理に用いられる予定のフィーダ20、または装着処理に用いられた使用済みのフィーダ20をストックする。なお、上部スロット12と下部スロット13との間でのフィーダ20の交換は、交換ロボット(図示しない)による自動交換、または作業者による手動交換によりなされる。
【0012】
装着ヘッド14は、フィーダ20により供給された部品を採取する吸着ノズル(図示しない)が取り付けられる。吸着ノズルは、負圧エアを供給されて部品を吸着する。また、装着ヘッド14には、吸着ノズルに替えて、部品を把持するチャックなどが保持する部品に対応して取り付けられる。装着ヘッド14は、吸着ノズルを上下方向に移動可能に、且つ鉛直軸周りに回転可能に保持する。ヘッド移動装置15は、例えば直動機構により装着ヘッド14を水平方向に移動させる。
【0013】
上記のような構成からなる部品装着機10は、装着処理の実行中において、装着ヘッド14やヘッド移動装置15、フィーダ20の動作を適宜制御する。これにより、部品装着機10は、フィーダ20により供給された部品を採取するとともに、基板90の所定位置に当該部品を装着し、種々の基板製品を生産する。
【0014】
1−2.フィーダ20の構成
フィーダ20の構成を、図2図6を参照して説明する。フィーダ20は、フィーダ本体21と、駆動装置30と、角度センサ40と、検出センサ50と、制御装置60とを備える。フィーダ本体21は、図2に示すように、扁平な箱形状に形成される。フィーダ本体21は、部品装着機10に部品を供給する供給部211を有する。供給部211は、フィーダ本体21の前部側(図2の右下側)の上部に形成されている。
【0015】
また、フィーダ本体21は、キャリアテープ80が巻回されたテープリール70を着脱可能(交換可能)に保持する。テープリール70は、フィーダ本体21に対して回転可能に支持される。キャリアテープ80は、図3に示すように、部品を収容する複数のキャビティ81と、搬送方向(キャリアテープの長手方向)に所定の間隔で形成された複数の係合穴82とを有する。
【0016】
キャリアテープ80は、上面にカバーテープ83が接着され、キャビティ81の開口部が閉塞されている。キャリアテープ80のうち供給部211まで搬送された部位は、装着ヘッド14が部品を採取できるようにカバーテープ83を剥離される。換言すると、フィーダ20は、キャリアテープ80における複数のキャビティ81の一つを供給部211に位置決めすることにより、当該キャビティ81に収納された部品を採取可能に供給する。以下、キャリアテープを「テープ」と称する。
【0017】
ここで、複数のキャビティ81は、複数の係合穴82と同様に、搬送方向に所定の間隔で形成される。キャビティ81の間隔T1は、収容する部品の寸法に応じて適宜設定される。例えば、キャビティ81の間隔T1は、図3に示すように、係合穴82の間隔T2の半分(T1=T2/2)に設定される。その他に、キャビティ81の間隔T1は、係合穴82の間隔T2の整数倍(T1=N・T2、Nは1以上の整数)に設定され得る。
【0018】
駆動装置30は、図4に示すように、フィーダ本体21に回転可能に支持されるスプロケット31を有する。スプロケット31は、テープ80の係合穴82に係合可能な係合突起311を周方向に等間隔で配置されている。駆動装置30は、スプロケット31を回転させる駆動源としてのステッピングモータ32を有する。ステッピングモータ32は、供給されたパルス電力に応じてスプロケット31を回転させる。
【0019】
具体的には、ステッピングモータ32の回転軸321が回転すると、回転軸321に設けられたドライブギヤ322に噛合する減速ギヤ33が回転する。ステッピングモータ32により出力される駆動力は、減速ギヤ33に噛合する中間ギヤ34を介してスプロケット31に伝達される。中間ギヤ34は、スプロケット31に設けられたスプロケットギヤ312に噛合する。これにより、スプロケット31は、中間ギヤ34の回転に伴って回転する。
【0020】
角度センサ40は、フィーダ本体21に対するスプロケット31の角度を検出する。本実施形態において、角度センサ40は、磁石体41と、一対の磁気センサ42と、センサ制御部43とにより構成される。磁石体41は、スプロケット31の回転に連動して回転するように設けられる。本実施形態において、磁石体41は、円筒状に形成され、スプロケット31と同軸上にスプロケット31と一体的に回転するように設けられる。磁石体41は、径方向に二極となるように磁化されている。
【0021】
一対の磁気センサ42のそれぞれは、フィーダ本体21に対する磁石体41の角度に応じた検出信号を出力する。具体的には、磁石体41が発する磁気の大きさおよび向きを検出して、正弦波状の検出信号を出力する。上記の「正弦波状の検出信号」は、全体として正弦波に近似可能な周期的な信号であり、分解能によっては矩形波となる信号を含む。一対の磁気センサ42は、磁石体41の回転方向に沿って所定の角度(本実施形態では90度)だけ離間して配置される。これにより、一対の磁気センサ42が出力する検出信号は、図5に示すように、位相が90度ずれたものとなる。
【0022】
センサ制御部43は、フィーダ20の制御装置60から指令に応じて角度センサ40の動作を制御する。センサ制御部43は、検出したスプロケット31の角度を出力する。センサ制御部43は、図2に示すように、記憶部431と、角度算出部432とを有する。記憶部431は、フラッシュメモリなどにより構成される。記憶部431には、角度センサ40の制御に用いられる各種のプログラムや校正値などが記憶される。
【0023】
上記の校正値には、スプロケット31の所定の角度ごとに設定される値であって、ステッピングモータ32に供給するパルス電力の補正値が含まれる。パルス電力の補正値は、スプロケット31を一定の回転量だけ回転させるために、駆動装置30の動作量のばらつきを補正する値である。その他に、上記の校正値には、図6に示すように、一対の磁気センサ42ごとに設定される値であって、角度算出部432が磁石体41の角度を算出する際に用いるオフセット値およびゲイン値が含まれる。
【0024】
角度算出部432は、一対の磁気センサ42よりそれぞれ出力された検出信号に対してオフセット処理およびゲイン処理をそれぞれ実行し、これにより調整された各検出信号に基づいて磁石体41の角度を算出する。本実施形態において、磁石体41がスプロケット31に一体的に設けられていることから、角度センサ40は、フィーダ本体21に対する磁石体41の角度をスプロケット31の角度として出力する。
【0025】
ここで、上記の「オフセット処理」とは、予め設定されたオフセット値を用いて検出信号の原点を調整する処理である。磁気センサ42から出力された正弦波状の検出信号は、平均値が0とならず、全体として正側か負側にシフトすることがある。そこで、角度算出部432は、オフセット処理を実行することにより、磁気センサ42から出力された検出信号をオフセット値だけオフセットして、検出信号の原点を調整する。
【0026】
なお、オフセット値は、フィーダ20の組み付け後において、例えばフィーダ20が専用の校正装置にセットされた状態で初期値を設定される。上記の校正装置は、スプロケット31を複数周回に亘って回転させる際に、例えば角度センサ40の分解に応じた角度(例えば、1度)ごとにスプロケット31を停止させて、一対の磁気センサ42により出力される検出信号をサンプリングする。そして、校正装置は、検出信号の平均値に基づいて、一対の磁気センサ42ごとのオフセット値を設定する。
【0027】
具体的には、校正装置は、先ず一対の磁気センサ42より出力された検出信号の平均値(Av1,Av2)の差分ΔSを算出する(ΔS=Av1−Av2)。そして、校正装置は、例えば一方側の磁気センサ42を基準とし(オフセット値=0)、他方側の磁気センサ42のオフセット値に差分ΔSを設定する。このように、オフセット値は、一対の磁気センサ42からそれぞれ出力される検出信号の原点を一致させるように、一方を基準に他方を調整するように設定され得る。その他に、オフセット値は、一対の磁気センサ42からそれぞれ出力される検出信号の原点をともに0とするような値に設定され得る。
【0028】
また、上記の「ゲイン処理」とは、予め設定されたゲイン値を用いて検出信号の大きさを調整する処理である。磁気センサ42より出力された正弦波状の検出信号は、磁気センサ42の感度に応じた振幅となり、個体差により信号の大きさが相違することがある。そこで、角度算出部432は、ゲイン処理を実行することにより、磁気センサ42より出力された検出信号をゲイン値に応じて増減して、検出信号の大きさを調整する。
【0029】
なお、ゲイン値は、フィーダ20の組み付け後において、例えばフィーダ20が専用の校正装置にセットされた状態で初期値を設定される。上記の校正装置は、スプロケット31を複数周回に亘って回転させる際に、例えば角度センサ40の分解に応じた角度(例えば、1度)ごとにスプロケット31を停止させて、一対の磁気センサ42により出力される検出信号をサンプリングする。そして、校正装置は、出力された検出信号の最大値と最小値に基づいて、一対の磁気センサ42ごとのゲイン値を設定する。
【0030】
具体的には、校正装置は、先ず一対の磁気センサ42により出力された検出信号の最大値(Max1,Max2)と最小値(Min1,Min2)から振幅(P1,P2)を算出する(P1=(Max1−Min1)/2,P2=(Max2−Min2)/2)。そして、校正装置は、例えば一方側の磁気センサ42を基準とし(ゲイン値=1)、他方側の磁気センサ42のゲイン値に振幅(P1,P2)の比の逆数(P2/P1)を設定する。このように、ゲイン値は、一対の磁気センサ42からそれぞれ出力される検出信号の振幅を一致させるように、一方を基準に他方を調整するように設定され得る。その他に、ゲイン値は、一対の磁気センサ42からそれぞれ出力される検出信号の振幅をともに一定値とするような値に設定され得る。
【0031】
角度算出部432は、一対の磁気センサ42によりそれぞれ出力された検出信号に対してオフセット処理およびゲイン処理をそれぞれ実行する。但し、上記のように一対の磁気センサ42のうち一方側を基準としてオフセット値(=0)およびゲイン値(=1)が設定されている場合には、基準とされた磁気センサ42により出力された検出信号については、実質的にオフセット処理およびゲイン処理を省略することができる。
【0032】
なお、上記では、検出信号の平均値、最大値、および最小値については、検出信号そのものの値として説明した。これに対して、検出信号が正弦波状となることが既知である場合には、サンプリングした複数の検出信号に基づいて正弦波状の近似曲線を算出し、当該近似曲線から平均値、最大値、および最小値を算出したり、また近似曲線を示す関数から原点や振幅を算出したりしてもよい。
【0033】
角度算出部432は、調整された各検出信号に基づいて磁石体41の角度を算出する。具体的には、角度算出部432は、一対の磁気センサ42によりそれぞれ出力された検出信号に対してオフセット処理およびゲイン処理を実行し、調整された検出信号(X,Y)の位相差に基づいて磁石体41の角度αを算出する(α=arctan(Y/X))。センサ制御部43は、算出された磁石体41の角度を、スプロケット31の現在角度として出力する。
【0034】
検出センサ50は、スプロケット31の複数の係合突起311の一つを検出する。本実施形態において、検出センサ50は、発光部51と、受光部52とにより構成される。発光部51および受光部52は、図4に示すように、係合突起311が形成されたスプロケット31の径方向位置に、係合突起311を挟むように対向して配置される。検出センサ50は、発光部51から照射された光を受光部52により受光する。検出センサ50は、受光部52の受光状態が遮光状態に遷移した場合に、発光部51と受光部52との間に複数の係合突起311の一つが位置すると認識する。
【0035】
制御装置60は、スプロケット31を回転させてテープ80の搬送を制御する。フィーダ20は、部品装着機10の上部スロット12にセットされると、コネクタ212を介して部品装着機10から電力を供給される。これにより、制御装置60は、部品装着機10との間で通信可能な状態となる。制御装置60は、部品装着機10による制御指令などに基づいて、駆動装置30の動作を制御する。
【0036】
具体的には、制御装置60は、駆動装置30のステッピングモータ32にパルス電力を供給して、テープ80の複数のキャビティ81を供給部211に順次位置決めするように制御する。テープ80は、駆動装置30の動作によりピッチ送りされると、供給部211の手前でカバーテープ83を剥離される。このように、フィーダ20は、供給部211において部品装着機10に対して部品を採取可能に供給する。
【0037】
1−3.角度センサ40のメンテナンス処理
フィーダ20の制御装置60は、角度センサ40の校正値として初期設定されたオフセット値およびゲイン値を補正する機能を備える。制御装置60は、例えば部品装着機10による装着処理が実行されているフィーダ20の運用状態において、一対の磁気センサ42からそれぞれ出力された検出信号に基づいて、オフセット値およびゲイン値を適宜補正するメンテナンス処理を実行する。
【0038】
上記のフィーダ20による角度センサ40のメンテナンス処理について、図3および図7を参照して説明する。ここで、フィーダ20は、テープ80が装填された状態で、部品装着機10の上部スロット12にセットされているものとする。制御装置60は、フィーダ20が上部スロット12にセットされて電源を投入されると、角度センサ40によりスプロケット31の現在角度を取得する。制御装置60は、取得したスプロケット31の現在角度に基づいてステッピングモータ32に供給するパルス電力を補正する。
【0039】
フィーダ20は、部品装着機10による装着処理が実行されている運用状態において、上記のように制御装置60がスプロケット31を回転させて、複数のキャビティ81を供給部211に順次位置決めする。ここで、フィーダ20に装填されているテープ80は、図3に示すように、キャビティ81の間隔T1が係合穴82の間隔T2の半分に設定されているものとする。この場合に、フィーダ20は、スプロケット31における隣り合う係合突起311のなす角度の半分だけスプロケット31を回転させるように、ステッピングモータ32に対してパルス電力を供給する。
【0040】
制御装置60は、上記のような運用状態において、フィーダ20が部品装着機10に部品を供給するようにスプロケット31を停止した状態で角度センサ40により検出されるスプロケット31の現在角度を取得する。制御装置60は、スプロケット31の現在角度に基づいて、例えば回転後のスプロケット31の角度が適正か否かを判断し、またステッピングモータ32の脱調が発生していないか否かを必要に応じて判断する。
【0041】
制御装置60は、上記のように角度センサ40によるスプロケット31の角度を取得するとともに、当該角度の算出に用いられた一対の磁気センサ42からそれぞれ出力された検出信号を記憶部431に記憶させる。記憶部431は、例えば現在から所定回数分の新しい検出信号を記憶し、所定回数分を越えた古い検出信号を削除する。上記の所定回数は、スプロケット31が1周または複数周回転する間に停止する回数などに適宜設定される。
【0042】
より具体的には、スプロケット31が1周回転する間に停止する回数に所定回数が設定されている場合には、図3に示すテープ80が装填されていると仮定すると、スプロケット31に配置された係合突起311の2倍だけ停止し、その度に検出信号が記憶される。つまり、スプロケット31に36個の係合突起311が配置されている場合には、スプロケット31が5度回転するごとに停止し、1周回転する間に72回分の検出信号(以下、「1周分の検出信号」と称する)が一対の磁気センサ42にそれぞれ対応して記憶される。
【0043】
本実施形態において、制御装置60は、部品装着機10による装着処理の実行中において、スプロケット31が1周回転するごとに、例えば原点角度(角度センサ40により0度と検出される角度)となった場合に、図7に示すように、角度センサ40のメンテナンス処理を実行する。制御装置60は、先ず、記憶部431に一対の磁気センサ42ごとに記憶されている1周分の検出信号に基づいて、一対の磁気センサ42ごとのオフセット値を算出する(ステップ11(以下、「ステップ」を「S」と表記する))。オフセット値は、例えば初期設定と同様に、一対の磁気センサ42の一方を基準(オフセット値=0)に他方を調整するように算出される。
【0044】
次に、制御装置60は、角度算出部432が検出信号に用いているオフセット値に対して、現在の磁気センサ42から出力された検出信号に基づいて算出されたオフセット値が許容範囲外である場合に(S12:No)、オフセット値を補正する補正処理を実行する(S13)。具体的には、制御装置60は、一対の磁気センサ42の一方側のオフセット値を0とし、他方側のオフセット値をS11にて算出されたオフセット値として、角度センサ40の記憶部431に記憶させる。なお、上記の許容範囲は、現在使用されているオフセット値と、S11にて算出されたオフセット値との差分が、角度センサ40に要求される検出精度に与える影響として許容されるか否かを示す範囲である。
【0045】
制御装置60は、現在使用しているオフセット値に対して、S11にて算出されたオフセット値が許容範囲内である場合に(S12:Yes)、またはオフセット値の補正処理(S13)を実行した場合に、記憶部431に一対の磁気センサ42ごとに記憶されている1周分の検出信号に基づいて、一対の磁気センサ42ごとのゲイン値を算出する(S14)。ゲイン値は、例えば初期設定と同様に、一対の磁気センサ42の一方を基準(ゲイン値=1)に他方を調整するように算出される。
【0046】
続いて、制御装置60は、角度算出部432が検出信号に用いているゲイン値に対して、現在の磁気センサ42から出力された検出信号に基づいて算出されたゲイン値が許容範囲外である場合に(S15:No)、ゲイン値を補正する補正処理を実行する(S16)。具体的には、制御装置60は、一対の磁気センサ42の一方側のゲイン値を1とし、他方側のオフセット値をS14にて算出されたゲイン値として、角度センサ40の記憶部431に記憶させる。なお、上記の許容範囲は、現在使用されているゲイン値と、S14にて算出されたゲイン値との差分が、角度センサ40に要求される検出精度に与える影響として許容されるか否かを示す範囲である。
【0047】
制御装置60は、現在使用しているゲイン値に対して、S14にて算出されたゲイン値が許容範囲内である場合に(S15:Yes)、またはゲイン値の補正処理(S16)を実行した場合に、角度センサ40のメンテナンス処理を終了する。角度センサ40は、次回以降の角度検出において、補正されたオフセット値を用いたオフセット処理、および補正されたゲイン値を用いたゲイン処理を実行するとともに、これらにより調整された検出信号に基づいてスプロケット31の現在角度を出力する。制御装置60は、上記のようにスプロケット31の現在角度に基づいて、例えば回転後のスプロケット31の角度が適正か否かを判断する。
【0048】
2.実施形態の構成による効果
上記のフィーダ20によると、制御装置60は、磁気センサ42による検出信号に対してオフセット処理およびゲイン処理を実行して調整する。これにより、フィーダ20において、磁気センサ42を含む角度センサ40の個体差、取り付け誤差などを勘案したスプロケット31の角度検出が可能となる。よって、調整された検出信号に基づくことにより、スプロケット31の角度をより正確に制御することができる。
【0049】
また、制御装置60は、角度センサ40が角度算出に用いるオフセット値およびゲイン値の少なくとも一方を適宜補正できるので、経年変化等による角度センサ40の感度の変動に対応することができる。これにより、角度センサ40の検出精度の低下を防止することができる。よって、フィーダ20による部品の位置決め精度の維持を図ることができる。また、例えばフィーダ20を検査装置においてメンテナンスを長期に省略することができるので、フィーダ20を用いた部品装着機10の生産効率への影響を低減できる。
【0050】
3.実施形態の変形態様
3−1.補正処理について
実施形態において、制御装置60は、フィーダ20が部品を部品装着機10に供給するためにスプロケット31を停止させた角度(5度ごとに停止させた角度)において一対の磁気センサ42によりそれぞれ出力された検出信号を用いて補正処理を実行する。一方で、校正装置は、オフセット値およびゲイン値を初期設定する際に、角度センサ40の分解能に応じてスプロケット31を停止させて検出信号を取得する。例えば、校正装置がスプロケット31を1度回転するごとに停止させて検出信号を取得する場合には、スプロケット31が1周回転する間に出力される360回分の検出信号に基づいて校正値が算出される。
【0051】
換言すると、実施形態において補正処理に用いられる検出信号は、初期設定で用いられる検出信号よりも少数(上記の構成では72回分)の検出信号である。これに対して、制御装置60は、補正処理に初期設定と同様の回数分だけ出力された検出信号を用いてもよいし、また実施形態にて例示した補正処理に所定の回数分だけ増加させた検出信号を用いてもよい。
【0052】
具体的には、制御装置60は、先ず補正処理を実行する場合に、スプロケット31を予め設定された一または複数の検出用角度に角度決めする。上記の検出用角度には、検出信号の偏差が最大または最小となる角度が含まれ得る。ここで、スプロケット31に磁石体41が一体的に設けられている場合には、スプロケット31の角度に対する磁石体41の磁極の位置が固定されていることから、磁気センサ42の取付位置との関係では検出信号の原点に対する偏差が最大と最小となる角度は既知である。
【0053】
具体的には、図5に示すように、スプロケット31の角度が0度のときに一対の磁気センサ42の一方の検出信号の偏差が最小(偏差=0)となるように且つ他方の検出信号の偏差が最大(偏差=Max)となるように角度センサ40が構成されている場合には、上記の検出用角度に、0度、90度、180度、および270度が含まれる。そして、制御装置60は、検出用角度を含む角度にスプロケット31を角度決めし、一対の磁気センサ42によりそれぞれ出力された検出信号を補正処理に用いる。
【0054】
ここで、例えばキャビティ81の間隔T1が係合穴82の間隔T2の2倍以上のテープ80がフィーダ20に装填されている場合には、スプロケット31は、フィーダ20の運用状態において上記の検出用角度に位置決めされるとは限らない。そこで、制御装置60は、補正処理を実行するに際して、テープ80をピッチ送りする期間に検出用角度にスプロケット31が達する場合には、当該検出用角度にてスプロケット31を一時的に停止させて検出信号のサンプリングを行う。上記のような構成によると、検出用角度において出力された検出信号が磁気センサ42の特性を顕著に示すことから、補正処理の精度を向上できる。
【0055】
なお、検出用角度にスプロケット31を一時的に停止させることが生産に影響しないように、制御装置60は、補正処理が必要と認識した場合にのみ検出用角度にスプロケット31を停止させるようにしてもよい。つまり、制御装置60は、例えば実施形態にて例示したようにフィーダ20の運用状態でスプロケット31が停止される角度での検出信号に基づいて補正処理の要否を判定する。そして、制御装置60は、補正処理が必要と判定された場合に、以降にスプロケット31が1周回転する期間において検出用角度にスプロケット31を一時的に停止させる。これにより、生産への影響を最小限にすることができる。
【0056】
上記の補正処理の要否の判定としては、種々の態様を採用し得る。具体的には、実施形態にて例示したように磁気センサ42が正弦波状の検出信号を出力する場合には、制御装置60は、例えば角度算出部432により調整された検出信号の振幅および検出信号の最大値と最小値の中間値の少なくとも一方が許容範囲外である場合に、補正処理を実行すると判定してもよい。
【0057】
つまり、制御装置60は、ゲイン処理を実行したにも関わらず検出信号の振幅(原点に対する最大偏差)が過不足している場合に補正処理を要すると判定する。また、制御装置60は、オフセット処理を実行したにも関わらず検出信号の最大値と最小値の中間値(原点に対する最小偏差)が過不足している場合に補正処理を要すると判定する。
【0058】
また、制御装置60は、スプロケット31が規定角度にあるときに角度算出部432により算出されたスプロケット31の角度が許容範囲外である場合に、補正処理を実行すると判定してもよい。ここで、フィーダ20は、スプロケット31がフィーダ本体21に対して規定角度にある状態を検出する補助センサをさらに備えることがある。補助センサとしては、例えばスプロケット31が原点角度にあることを検出する原点センサが想定される。
【0059】
つまり、制御装置60は、原点センサによりスプロケット31が原点角度にあることを検出されたにも関わらず、角度センサ40により検出されたスプロケット31の角度が原点角度から一定以上の誤差を含む場合に、補正処理を要すると判定する。制御装置60は、原点センサの他に、実施形態にて例示した検出センサ50や、フィーダ20の駆動源がサーボモータである場合に当該サーボモータのエンコーダを補助センサとして用いてもよい。このような構成により、角度センサ40と補助センサとの検出信号を利用して、各センサの検出精度の低下を防止できる。
【0060】
さらに、制御装置60は、上記のように検出信号や算出された角度に基づいて補正処理の要否を判定する他に、フィーダ20の稼働時間、およびテープ80の搬送量の少なくとも一方が予め設定された閾値を越えた場合に、補正処理を実行すると判定してもよい。このような構成によると、制御装置60は、現在の角度センサ40の感度に関係なく、例えば定期的に補正処理を実行する。これにより、角度センサ40の検出精度を好適に維持できる。
【0061】
また、制御装置60は、補正処理において、1周分の検出信号に基づいてオフセット値およびゲイン値を算出するものとした。これに対して、制御装置60は、複数周分の検出信号に基づいてオフセット値およびゲイン値を算出してもよい。このような場合に、制御装置60は、複数周分の検出信号のうちスプロケット31が同じ角度にて取得された値については、平均値または中央値を当該角度における検出信号としてもよいし、これら検出信号を用いて近似曲線を算出して同様の処理を実行してもよい。
【0062】
また、制御装置60は、実施形態において、補正処理を含む角度センサ40のメンテナンス処理を、部品装着機10による装着処理が実行されているフィーダ20の運用状態において実行するものとした。これに対して、制御装置60は、フィーダ20に電力を供給可能な状態であれば、メンテナンス処理を任意のタイミングで実行できる。例えば、制御装置60は、部品装着機10の休止状態、またはフィーダ20に給電可能な保管庫や準備台車にフィーダ20が保持されている状態でメンテナンス処理を実行してもよい。
【0063】
上記のような状態でメンテナンス処理を実行する際に、フィーダ20にテープ80が装填されていると、スプロケット31の回転に伴ってテープ80が搬送される。これによる部品の無駄を防止するために、制御装置60は、メンテナンス処理の実行に際して、先ずスプロケット31を運用状態とは逆方向に1周回転させる。次に、制御装置60は、その後にスプロケット31を順方向に所定の角度ごとに回転させて検出信号を取得する。このような構成によると、メンテナンス処理に伴う部品の無駄が発生することを防止できる。
【0064】
3−2.角度センサ40について
実施形態において、角度センサ40は、磁石体41と一対の磁気センサ42とにより構成されるものとした。これに対して、角度センサ40は、磁石体41と1以上の磁気センサ42を用いてスプロケット31の角度を検出可能であれば、種々の態様を採用し得る。具体的には、磁石体41の磁極は二極より多くてもよいし、一対の磁気センサ42は検出信号の位相がずれるものであれば任意の角度だけ離間して配置されてもよい。
【0065】
また、実施形態において、角度算出部432は、磁石体41がスプロケット31に設けられていることから、スプロケット31の角度を直接的に算出する構成とした。これに対して、角度算出部432は、スプロケット31の角度を間接的に算出する構成としてもよい。例えば、角度算出部432は、スプロケット31の回転に連動して回転する他のギヤである例えば中間ギヤ34の角度を検出するように角度センサ40の磁石体41が設けられ、中間ギヤ34の角度に基づいてスプロケット31の角度を算出してもよい。
【符号の説明】
【0066】
10:電子部品装着機、 20:テープフィーダ、 21:フィーダ本体、 30:駆動装置、 31:スプロケット、 32:ステッピングモータ、 40:角度センサ、 41:磁石体、 42:磁気センサ、 43:センサ制御部、 432:角度算出部、 60:制御装置、 80:キャリアテープ、 90:回路基板、 T1,T2:間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7