特許第6959354号(P6959354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6959354-電子部品実装装置 図000002
  • 特許6959354-電子部品実装装置 図000003
  • 特許6959354-電子部品実装装置 図000004
  • 特許6959354-電子部品実装装置 図000005
  • 特許6959354-電子部品実装装置 図000006
  • 特許6959354-電子部品実装装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959354
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】電子部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20211021BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-554075(P2019-554075)
(86)(22)【出願日】2017年11月14日
(86)【国際出願番号】JP2017040952
(87)【国際公開番号】WO2019097581
(87)【国際公開日】20190523
【審査請求日】2020年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100125737
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 昭博
(72)【発明者】
【氏名】国広 勉
(72)【発明者】
【氏名】西本 剛
(72)【発明者】
【氏名】服部 大輔
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−172021(JP,A)
【文献】 特開2011−082400(JP,A)
【文献】 特開2006−319299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品を所定ピッチで収納するキャリアテープにカバーテープが貼り合わされた部品テープと、
テープリールから前記部品テープを送り出し、部品供給位置において前記キャリアテープから前記カバーテープを剥がす剥離機構を備えたテープフィーダと、
前記部品供給位置でキャリアテープから電子部品を取り出して基板に搭載する実装ヘッドと、
電子部品が取り出された前記キャリアテープが前記テープフィーダから排出ダクトを通って回収ボックスまで送られる排出途中に除電部材が設けられたテープ回収部と、
を有し、
前記除電部材が前記テープ回収部を通る前記キャリアテープに対して非接触な状態で取り付けられた電子部品実装装置。
【請求項2】
前記除電部材は、前記テープフィーダの先端部分に取り付けられものである請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記除電部材は、前記排出ダクトのテープ投入口に取り付けられたものである請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項4】
前記除電部材は、除電ブラシ、除電板または除電紐である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に複数の電子部品が所定ピッチで収納された部品テープを使用するものであり、電子部品を取り出した部品テープの使用済み部分について除電処理を行うようにした電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装装置には、部品テープを使用して電子部品を順に送り出し、その部品テープから取り出した電子部品を回路基板へと搭載するようにした部品実装機を構成するものを例に挙げることができる。電子部品の供給は着脱可能な部品供給手段によって行われ、その部品供給手段にはテープフィーダなどが使用される。テープフィーダは、複数の電子部品を一定ピッチで収納した部品テープが供給リールに巻回され、その供給リールから部品テープをピッチ送りにより巻き出すよう構成されている。また、その部品テープは、収納凹部が形成されたキャリアテープにカバーテープが貼り合わされ、密閉された収納凹部内に電子部品が収められている。
【0003】
部品テープには静電気が帯電しやすく、そのことによって部品実装機の稼動中に不具合が生じてしまうことがある。下記特許文献1では、静電気を課題とした発明が開示されている。その課題は、静電気が帯電した状態の部品テープについてカバーテープが剥がされると、キャリアテープに残っているはずの電子部品が、カバーテープに付着して持ち上げられてしまうといったことである。そこで、同文献の従来例では、テープフィーダの本体部のテープ導入孔に除電ブラシを配設した構成がとられ、供給リールから送り出された部品テープは、その表面がフィーダ本体部の導入部分で除電ブラシに接触することで除電が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−022865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、部品テープは、テープフィーダ先端まで送られた部品供給位置でも帯電する。キャリアテープからカバーテープが剥がされることで静電気が発生してしまうからである。しかもキャリアテープはカバーテープと粘着剤によって貼り合わされているので、カバーテープが剥がされた表面に粘着剤が残っている。電子部品が取り出されたキャリアテープの使用済み部分(以下、「使用済みキャリアテープ」という)は、廃棄のために排出ダクトを通って回収ボックス内に集められるが、静電気によって排出ダクトの壁面に引き寄せられ、表面に残る粘着剤によって壁面に貼り付いてしまう。
【0006】
使用済みキャリアテープは、壁面への貼り付きによって排出ダクト内で進行が止められてしまうと、続いて送られてくる部分が絡み合うなどして排出ダクト内を詰まらせてしまう。そして、排出ダクト内に入れなくなった使用済みキャリアテープが、電子部品を取り出す吸着ノズルと干渉してしまうこととなる。そのため、作業者は排出ダクト内で使用済みキャリアテープが詰まらないように注意しなければならず、詰まってしまった場合には、排出ダクト内から取り除かなければならない。また、その取り除き作業のためには、部品実装機を一旦停止させなければならず、電子基板の製造を遅らせてしまうこととなる。
【0007】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、部品テープの使用済み部分について除電処理を行う電子部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様における電子部品実装装置は、複数の電子部品を所定ピッチで収納するキャリアテープにカバーテープが貼り合わされた部品テープと、テープリールから前記部品テープを送り出し、部品供給位置において前記キャリアテープから前記カバーテープを剥がす剥離機構を備えたテープフィーダと、前記部品供給位置でキャリアテープから電子部品を取り出して基板に搭載する実装ヘッドと、
電子部品が取り出された前記キャリアテープが前記テープフィーダから排出ダクトを通って回収ボックスまで送られる排出途中に除電部材が設けられたテープ回収部とを有し、前記除電部材が前記テープ回収部を通る前記キャリアテープに対して非接触な状態で取り付けられたものである
【発明の効果】
【0009】
前記構成によれば、テープ回収部に除電部材が設けられ、電子部品が取り出されたキャリアテープの使用済み部分が排出の途中で除電されるため、テープフィーダから排出ダクトを通って回収ボックスまで送られる際、キャリアテープの使用済み部分が静電気によって排出ダクトに引き寄せられることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】部品実装機の一実施形態を示した外観斜視図である。
図2】部品供給装置を構成するテープフィーダの内部構造を示した側面図である。
図3】テープフィーダの前部を示した平面図である。
図4】部品実装機の一実施形態を簡略化して示した側面図である。
図5】除電ブラシを取り付けた排出ダクトへ使用済みキャリアテープが送り込まれる様子を簡略化して示した斜視図である。
図6】除電紐を取り付けた排出ダクトへ使用済みキャリアテープが送り込まれる様子を簡略化して示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る電子部品実装装置の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、部品実装機の外観斜視図であり一部を透視させるようにして表現したものである。本実施形態の電子部品実装装置は、回路基板に電子部品を搭載する部品実装機の主要部をなすものであり、主に電子部品を供給する部品供給装置3や、その部品供給装置3から取り出した電子部品を回路基板へと装着する部品装着装置4などで構成されている。部品実装機1は、スクリーン印刷機や他の部品実装機などと基板製造ラインを構成するものであって、機内を回路基板が搬送されるように構成されている。
【0012】
図1には、ベース10の上に2台の部品実装機1が設置された状態が示されている。その部品実装機1には幅方向側面に大きな開口部が形成され、隣り合う部品実装機との間で回路基板の搬送が可能となっている。なお、以下の説明では、回路基板を搬送する方向である部品実装機1の幅方向をX軸方向とし、それに直交する部品実装機1の長手方向をY軸方向、更に、部品実装機1の高さ方向をZ軸方向として説明する。
【0013】
部品実装機1は、機体長手方向であるY軸方向に見た場合に、中央部に回路基板を搬送する基板搬送装置2があり、図面手前側に位置する部品実装機1の前部には電子部品を供給する部品供給装置3が設けられている。そして、機体後方側に配置された装着ヘッド11を移動させ、部品供給装置3から取り出した電子部品を基板搬送装置2上の回路基板へと装着する部品装着装置4が構成されている。
【0014】
部品実装機1の基板搬送装置2は、同じ構成の2つの搬送部201,202が並設され、回路基板の搬送や、その回路基板に対する電子部品の装着作業が2箇所で行われるようになっている。搬送部201,202は、共に回路基板のサイズに合わせたベルトコンベアによって構成され、機内の作業位置で搬送された回路基板を位置決めするためクランプ機構が設けられている。部品供給装置3は、装置本体5の前方部分に複数のテープフィーダ6が搭載されている。部品実装機1は、本体カバー7の前方部分に開口部が形成され、そこに設置されたデバイステーブル8に対して複数のテープフィーダ6がそれぞれ着脱可能な状態で装着されている。
【0015】
部品装着装置4は、テープフィーダ6から電子部品を取り出して回路基板へと実装する作業装置である。その部品装着装置4は、電子部品を吸着保持する装着ヘッド11をXY平面上で移動させるよう構成されている。本体カバー7の天井側にY軸方向に沿って2本のY軸レール12が平行に固定され、そのY軸レール12に対してY軸スライド13が摺動自在に取り付けられている。Y軸スライド13にはナット14が固定され、Y軸サーボモータ15に連結されたネジ軸16がナット14を貫通して螺合している。
【0016】
また、Y軸スライド13にはX軸レール17が形成され、そのX軸レール17に対してX軸スライド18が摺動自在に取り付けられている。装着ヘッド11は、このX軸スライド18に搭載されている。そして、Y軸スライド13に搭載されたX軸サーボモータにネジ軸が連結され、そのネジ軸がX軸スライドに固定されたナットに螺合している。更に、装着ヘッド11には電子部品を吸着保持する吸着ノズルが設けられ、特にその吸着ノズルは昇降機構によってZ軸方向に昇降可能に組み付けられている。
【0017】
次に、図2は、部品供給装置3を構成するテープフィーダ6の内部構造を示した側面図である。デバイステーブル8には、平行に並べられた複数のスロットが形成され、スロット毎にテープフィーダ6が抜き差しできるようになっている。従って、部品供給装置3には複数のテープフィーダ6が幅方向に並べられている。テープフィーダ6は、幅の薄い箱型のフィーダ本体部21に部品テープ50を送り出すためのテープ送り機構が構成され、その後方側にはリール保持部としてリールホルダ22が構成されている。
【0018】
テープフィーダ6は、部品テープ50が巻回された供給リール23がリールホルダ22に着脱可能に装着される。テープフィーダ6のハンドル24には制御基板25に接続された操作パネル26が構成され、部品テープ50の送り出しや戻し、あるいは送りのピッチ調節などが操作可能になっている。一方、供給リール23から巻き出された部品テープ50は、フィーダ本体部21の上面部分を滑るようにして前方に送り出されるよう構成されている。そして、部品供給部41として設定された場所で電子部品が露出し、そこで電子部品が取り出されるようになっている。
【0019】
ここで、図3は、テープフィーダ6の前部を示した平面図であり、部品テープ50が送り出されている状態が示されている。部品テープ50は、下側のキャリアテープ51と上側のカバーテープ52とが貼り合わされたものである。キャリアテープ51には、凹状の部品収容部53が長手方向に等間隔で形成され、その中に電子部品55が1個ずつ入れられている。そのキャリアテープ51に上からカバーテープ52が貼り合わされ、部品収容部53内の電子部品55が密封される。
【0020】
キャリアテープ51の長手方向には、部品収容部53が連続する隣に一定のピッチで多数の送り孔54が形成されている。よって、部品テープ50は、その送り孔54に回転するスプロケット31(図2参照)の歯が引っ掛けられることにより、矢印で示す前方へとピッチ送りが行われるようになっている。
【0021】
フィーダ本体部21は、上面部に長手方向に部品テープ50の送り出しルートが形成され、そこに設けられたガイド部によって、送り孔54側の横ずれや浮き上がりを防止した部品テープ50の送り出しが安定して行われるようになっている。そのガイド部には図3に示すような形状の切欠き部分が部品供給部41として形成され、返し端部42においてカバーテープ52が折り返されるようになっている。また、ガイド板43には長円形の送り窓44が形成され、その位置で送り孔54にスプロケット31の歯が引掛けられるようになっている。
【0022】
スプロケット31は、図2に示すように、フィーダ本体部21の最前部に軸支され、後方に固定された駆動モータ32の回転が複数のギヤを介して伝達されるようになっている。一方、駆動モータ32の後方にはカバーテープ52を引き剥がすための構成が設けられている。すなわち、駆動モータ32の回転がギヤ33からタイミングベルト34およびギヤ35を介して伝達され、カバーテープ52を挟み込む送りローラ36に回転が与えられるようになっている。
【0023】
キャリアテープ51から剥がされたカバーテープ52は、使用済み部分のカバーテープ(以下、「使用済みカバーテープ」という)520として回収される。その使用済みカバーテープ520は、返し端部42でテープフィーダ6の後方側へと反転し(図3参照)、テーパローラ37,38を介して一対の送りローラ36まで送られるようになっている。そして、電子部品実装機1には、その送られた使用済みカバーテープ510を回収するための回収ボックス61が図4に示すように設けられている。図4は、部品実装機1を簡略化して示した側面図である。
【0024】
部品実装機1には、基板搬送装置2、部品供給装置3および部品装着装置4が搭載された装置本体5の内部に回収ボックス61が形成され、そこに使用済みカバーテープ520が送り込まれて回収されるようになっている。また、部品実装機1の電子部品実装装置には、電子部品55が取り出されたキャリアテープの使用済み部分(使用済みキャリアテープ)510を回収ボックス61へと送るテープ回収部が構成されている。
【0025】
テープ回収部には、使用済みキャリアテープ510を回収ボックス61へと導く排出ダクト62が設けられている。キャリアテープ51は、前述したようにスプロケット31によって送り出され、電子部品55が取り出された使用済みキャリアープ510はそのまま送り出されることとなる。そこで、使用済みキャリアテープ510の進行方向に、回収ボックス61への通路として排出ダクト62が設けられている。テープフィーダ6の先端から送り出された使用済みキャリアテープ510は、支えが無くなるため自重によって撓み、下の回収ボックス61に向けて進むこととなる。排出ダクト62は、そうした使用済みキャリアテープ510の排出ルートに合わせるようにして形成されている。
【0026】
排出ダクト62は、テープフィーダ6に向けて横向き(機体前方側)に開口した矩形のテープ投入口620が形成され(図5参照)、そこから湾曲部分を介して下方の回収ボックス61へ向けて筒状に延びている。排出ダクト62は、テープ投入口620とは反対の下端が回収ボックス61の上面開口部に接続されている。そして、その排出ダクト62は、一つのテープフィーダ6に対応するだけではなく、複数のものに対応するようにデバイステーブル8に合わせた幅寸法で形成されている(図5参照)。デバイステーブル8には複数のテープフィーダ6が横並びするため、どの位置に取り付けられたテープフィーダ6であっても送り出された使用済みキャリアテープ510が排出ダクト62のテープ投入口620へ入るように形成されている。
【0027】
こうしたテープ回収部には除電部材が設けられている。前記課題の欄でも述べたように、キャリアテープ51からカバーテープ52が剥がされるなどして静電気が発生してしまい、排出ダクト62内を通る使用済みキャリアテープ510が壁面に引き寄せられてしまう。本来であれば、使用済みキャリアテープ510が排出ダクト62とは非接触のまま、或は接触したとしても滑って回収ボックス61へと落ちていく。しかし、静電気は使用済みキャリアテープ510を壁面に引き寄せてしまい、更にはカバーテープ52が貼られたテープ上面の粘着によって使用済みキャリアテープ510を壁面へ貼り付きやすくしてしまう。
【0028】
使用済みキャリアテープ510は、それ自体の弾性によって排出ダクト62内を湾曲しながら進行方向を下向きに変えて送られるが、横向きの送り出し方向から回収ボックス61へと下向きに方向を変えるところで貼り付きやすくなる。そのため、使用済みキャリアテープ510が貼り付いてしまう前の位置で除電することが望ましい。そこで、本実施形態では、図2の拡大部分に示すように、テープフィーダ6の先端部に除電ブラシ63が取り付けられている。
【0029】
テープフィーダ6の先端部には、フィーダ本体部21の幅に合わせるようにして除電ブラシ63が取り付けられる。除電ブラシ63は、導電性繊維のブラシ部分が金属板のブラシ本体によって一つに束ねられ、矩形形状の小チップのようにして形成されている。その除電ブラシ63は、フィーダ本体部21の先端面にボルトによってネジ止めされる。除電ブラシ63は、使用済みキャリアテープ510の下側に、そのテープと垂直になるようにテープフィーダ6に取り付けられる。このとき、除電効果があれば必ずしも除電ブラシ63の先端を使用済みキャリアテープ510に接触させる必要はない。
【0030】
一方、除電ブラシ63は、ボルト締めではなく粘着剤などによって固定するようにしてもよく、そのため除電ブラシ63の構造も予めブラシ部分を粘着テープなどによって束ねるような構成であってもよい。その他には、フィーダ本体部21の先端面にブラシ用ポケットを形成し、そこに除電ブラシ63を挿入するようにした構造であってもよい。また、除電ブラシ63には電荷がすばやく流れるようにアースが接続されている。
【0031】
ところで、テープフィーダ6ごとに除電ブラシ63を取り付ける構造では、除電ブラシ63が小さい部品であることもあり、取り付け作業が負担になる。そこで、他の実施形態として排出ダクト62に除電ブラシを取り付けるようにしてもよい。排出ダクト62は、図5に示すように、デバイステーブル8に取り付けられる全てのテープフィーダ6に対応する大きさで形成されている。そのため、横幅の大きい長尺除電ブラシ65が使用され、それが図示するようにテープ投入口620に取り付けられる。なお、図5は、テープフィーダ6から排出ダクト62へ使用済みキャリアテープ510が送り込まれる様子を簡略化して示した斜視図である。
【0032】
長尺除電ブラシ65は、排出ダクト62のテープ投入口620の下側に固定され、導電性繊維のブラシ部分が使用済みキャリアテープ510の下側に配置され、同テープとほぼ垂直になるように起立した状態で設けられている。排出ダクト62のテープ投入口620は十分な大きさがあるわけではない。そのため、使用済みキャリアテープ510の先端が長尺除電ブラシ65に接触することで進行方向が上向き、テープ投入口620を外してしまうおそれもある。そこで、長尺除電ブラシ65の先端は、使用済みキャリアテープ510の下面に接する高さであるが、除電効果があれば必ずしも接触させる必要はなく、非接触であってもよい。そして、この長尺除電ブラシ65にも電荷がすばやく流れるようにアースが接続されている。
【0033】
次に、図6は、他の実施形態を示した図であり、テープフィーダ6から排出ダクト62へ使用済みキャリアテープ510が送り込まれる様子を簡略化して示した斜視図である。本実施形態では、排出ダクト62のテープ投入口620に、例えば繊維状のステンレス鋼が紐状に加工された除電紐66が水平に張り渡たされている。除電紐66は、使用済みキャリアテープ510の通過位置の下方に非接触な状態で張り渡されその除電紐66にもアースが接続されている。
【0034】
長尺除電ブラシ65や除電紐66は、テープ投入口620からの排出ダクト62の奥に入り込んだ位置に取り付け、前述したように使用済みキャリアテープ510の先端が接触して方向を変えても確実に排出ダクト62内に進入するようにすることが好ましい。また、長尺除電ブラシ65や除電紐66は、使用済みキャリアテープ510が通過する位置の下側に配置するようにしたが上側、あるいは上下両側に配置させるようにしてもよい。更に、長尺除電ブラシ65に代えて同様のサイズで形成された金、銀、銅、アルミニウムやステンレスなどで形成された除電板を取り付けるようにしてもよい。
【0035】
よって、以上のような部品実装機1では、搬送された回路基板に対し部品供給装置3から装着ヘッド11によって取り出された電子部品55が装着される。その際、電子部品実装装置では、テープフィーダ6の供給リール23から部品テープ50がピッチ送りによって巻出され、キャリアテープ510からカバーテープ52が剥がされることにより、装着ヘッド11による電子部品55の取り出しが可能になる。そして、剥がされた使用済みカバーテープ520は、反転して向きを変え送りローラ35まで送られて回収ボックス61内に入れられる。
【0036】
一方、使用済みキャリアテープ510はそのまま進んでテープフィーダ6の先端から飛び出してテープ投入口620から排出ダクト62内に入り込み、同じく回収ボックス61に回収される。そのテープ回収部には、除電ブラシ63や長尺除電ブラシ65或いは除電紐66、除電板などの除電部材が設けられているため、カバーテープ52の剥離によって使用済みキャリアテープ510が帯電していたとしても、その除電部材によって除電が行われる。そして、除電された使用済みキャリアテープ510は、排出ダクト62内を通過の際に壁面に引き寄せられて貼り付いてしまうことが回避できる。つまり、使用済みキャリアテープ510が適切に回収ダクトへと送り込まれるようになる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、テープ投入口620の面積が小さい排出ダクト62を示したが、テープ投入口が上方に大きく開口した排出ダクトなどであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…部品実装機 3…部品供給装置 4…部品装着装置 6…テープフィーダ 11…装着ヘッド 50…部品テープ 51…キャリアテープ 52…カバーテープ 55…電子部品 61…回収ボックス 62…排出ダクト 510…使用済みキャリアテープ 520…使用済みカバーテープ

図1
図2
図3
図4
図5
図6