【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1の特徴を有する装置、及び請求項9の特徴を有する方法により解決される。
【0012】
したがって本発明は、第1の態様により、3次元工作物を製造するための装置に関する。本装置は、原料粉末を受容するための支持体と、支持体に塗布された原料粉末に電磁ビーム若しくは粒子ビームを選択的に照射して、支持体上に原料粉末から作られた工作物を付加的積層造形法によって生成するための照射ユニットを有する。本装置は更に、照射ユニットを支持体に対して垂直に移動させるように構成された垂直移動装置と、支持体に塗布された原料粉末に対する横方向境界をなしている、実質的に垂直に延びる構築シリンダ壁とを有しており、構築シリンダ壁は構築プロセス中にその垂直高さを増加するように構成されている。
【0013】
この場合、支持体は原料粉末を層状に、即ち水平な層で塗布できる水平表面を提供することができる。その際に構築シリンダ壁は、構築シリンダを横方向で限定するために用いることができる。本開示において構築シリンダという用語は、構築シリンダの形状が円柱形に限られていると理解すべきではない。むしろ構築シリンダの形状は、任意の底面を持つ一般的なシリンダであり得る。例として構築シリンダは−構築シリンダ壁によって規定されて−円形、楕円形、多角形又は方形(角の丸みの有無を問わない)、特に正方形の断面を持つことができる。構築シリンダ壁が原料粉末を所定の形に保持し及び/又は機械的に横方向で支持する限り、構築シリンダ壁は支持体に塗布された原料粉末に対する横方向境界をなすことができる。この目的のために原料粉末は直接構築シリンダ壁に接することができる。しかしながら以下に述べるように、原料粉末と構築シリンダ壁との間に延びる構築シリンダシェルを設けることもでき、それにより原料粉末は直接構築シリンダ壁に接することなく、直接構築シリンダシェルに接する。この場合、構築シリンダシェルは可撓性材料からなることができ、可撓性材料の横方向の膨張は構築シリンダ壁によって妨げられる。したがってこの場合も、原料粉末は構築シリンダ壁によって所定の形に保持される。
【0014】
構築シリンダ壁は、支持体に塗布された原料粉末を横方向で完全に取り囲み、原料粉末全側面で所定の形に保つように構成できる。ここで「全側面で」とは、構築シリンダ壁がすべての水平方向で原料粉末に対する障壁をなすことを意味する。
【0015】
構築シリンダ壁の垂直高さ(以下単に「高さ」とも呼ぶ)は、構築シリンダ壁として利用できる構築シリンダ壁の高さとして定義できる。換言すれば、高さは支持体に塗布された原料粉末に対する横方向境界のために利用できる高さとして定義できる。構築シリンダ壁の垂直高さは、例えば構築シリンダ壁の実質的に垂直に延びる部分の、構築シリンダ壁の垂直高さとして定義されてもよい。この実質的に垂直に延びる部分は、支持体の上方でも下方でも延びる範囲を有することができる。
【0016】
本開示において構築シリンダの用語は、その中で原料粉末層の塗布が行われ、下方向は支持体によって限定され、横方向は構築シリンダ壁によって限定される空間的領域であると理解されるべきである。構築シリンダの上方にはプロセスチャンバが接続でき、プロセスチャンバは照射ユニットのビームを最上粉末層の所望の箇所に当たるように誘導するための空間を形成している。更に、プロセスチャンバ内には、例えば粉末塗布装置などの装置の別の要素が配置されてもよい。
【0017】
一般的に言えば、本装置は支持体に原料粉末を層状に塗布するように構成された粉末塗布装置を有することができる。粉末塗布装置は、粉末容器を有することができ、及び/又は粉末貯蔵器と接続することができ、それにより粉末塗布装置に原料粉末を供給することができる。粉末塗布装置は、先行の粉末層の上を水平方向に移動し、その際に新しい粉末層を塗布するように構成できる。このために粉末塗布装置は、少なくとも1つのローラ、スライダ及び/又は原料粉末層を塗布するのに適した同様の手段を有することができる。
【0018】
プロセスチャンバは、構築シリンダと共に気密に閉じられた空間をなすことができる。この空間は構築プロセス中に不活性ガス(アルゴンや窒素など)で満たすことができる。
【0019】
本明細書に記載された構築シリンダは、実質的に矩形のベースを有し、例えば1辺の長さがそれぞれ50cmを超える構築シリンダであることができる。換言すれば、支持体の直交する2辺のうち少なくとも1辺の長さは50cm以上であることができる。更に、支持体の直交する2辺の長さのうち少なくとも1辺の長さは100cm以上であることができる。したがって本明細書で使用される支持体は、例えば1m×1mの底面を有する支持体であることができる。
【0020】
照射ユニットの光学素子は、例えば走査ユニット、焦点ユニット及び/又はFシータレンズであることができる。更に、照射ユニットは電子ビーム源やレーザなどのビーム源を有することができる。しかしながら照射ユニットから送出されるビームは、照射ユニットの外部にあるビーム源からも照射ユニットに供給できる。この目的のために、例えばミラー、光ファイバ及び/又は他の光導体を使用することができる。
【0021】
支持体は、本装置の基礎と位置固定的に接続できる。本装置の基礎は、例えば装置の底板を有することができる。この基礎は、本装置の設置後及び/又は本装置の運転中(即ち構築プロセス中)は動かないように構成することができる。特に基礎は垂直方向に対して動かないようにできる。ここで「動かない」という用語は、装置が設置されている周囲環境に対して位置固定的であることを意味する。
【0022】
垂直移動装置は、例えば昇降装置を有することができる。垂直移動装置は1つ以上の油圧式及び/又は機械式アクチュエータを有することができる。垂直移動の間、照射ユニットは前述のプロセスチャンバと共に(即ちプロセスチャンバのプロセスチャンバの壁と共に)垂直に移動させることができる。
【0023】
本装置は更に、互いに取り外し可能に接続されるように構成された複数の壁要素を有しており、これらの壁要素は接続された状態で実質的に垂直に延びるシリンダ壁を形成する。
【0024】
構築シリンダ壁の垂直高さは、接続された状態にある壁要素の垂直高さの合計によって定義できる。
【0025】
構築シリンダ壁の最上壁要素は、プロセスチャンバの下部領域に機械的に接続でき、プロセスチャンバ及び照射ユニットと共に垂直に移動できる。例えばプロセスチャンバと固定的に接続された構築シリンダ壁を設けることができ、構築プロセス中はこれに別の壁要素を下から固定することができる。
【0026】
複数の壁要素は、例えば適当な接続手段によって互いに接続可能であってもよい。この接続は、壁要素及び/又は設けられた接続手段を破壊することなく、明確に規定されたやり方で再び取り外せるという意味で取り外し可能である。接続手段として、例えば差込継手、ラッチ接続、雄ねじ、雌ねじ、ボルト、その他の適当な接続手段及び/又は前述の手段の任意の組み合わせを設けることができる。
【0027】
接続された状態で、互いに接続された壁要素は、実質的に垂直な連続した壁面を形成できる。これらの壁要素は、手で又は適当な接続手段を用いて互いに接続されるように構成できる。
【0028】
本装置は、本明細書に記載されている方法のいずれか1つを実施するように構成できる。特に、本装置は、本明細書に記載された方法のいずれか1つを実施するように装置を制御するようにプログラムされた制御ユニットを持つことができる。この制御ユニットは、プロセッサ(例えばCPU)及びメモリを含むことができる。
【0029】
壁要素は、接続された状態で少なくとも2つの壁要素が垂直方向で互いに上下に配置されているように、互いに接続可能であってよい。
【0030】
この場合、壁要素は、壁要素を垂直方向で互いに接続できる適当な垂直接続手段を有してよい。垂直接続は、壁要素の実質的に水平に延びる境界面で行うことができる。
【0031】
壁要素は、接続された状態で少なくとも2つの壁要素が水平方向で並置されているように、互いに接続可能であってよい。
【0032】
この場合、壁要素は、壁要素を水平方向で互いに接続できる適当な水平接続手段を有してよい。水平接続は、壁要素の実質的に垂直に延びる境界面で行うことができる。
【0033】
垂直移動装置は、構築シリンダ壁を照射ユニットと共に支持体に対して垂直に移動させるように構成できる。
【0034】
この目的のために、構築シリンダ壁は接続された状態で照射ユニットと機械的に連結できる。例えば構築シリンダ壁はプロセスチャンバと接続でき、照射ユニットもプロセスチャンバと接続されている。特に照射ユニットはプロセスチャンバの上部天井領域と接続でき、構築シリンダ壁はプロセスチャンバの壁の下部床領域と接続することができる。この場合、例えば構築シリンダ壁の一部はプロセスチャンバと剛性的に取り外し不可能に接続することができ、別の壁要素を構築シリンダ壁のこの剛性部分と接続可能で、構築シリンダ壁を形成することができる。
【0035】
本装置は更に、構築シリンダ壁を支持体に対して垂直に移動させるように構成された別の垂直移動装置を備えてもよい。
【0036】
これにより照射ユニットの運動は、構築シリンダ壁の運動とは独立して実施することができる。しかしながらこの場合、別の垂直移動装置は、照射ユニットに従うように、即ち照射ユニットの垂直移動装置の運動に対応する垂直運動を実施するように構成できる。
【0037】
本装置は更に、内側の構築シリンダシェルを有しており、構築シリンダシェルの下縁部は支持体と接続されていて、構築シリンダシェルの上縁部は垂直移動装置により照射ユニットと共に垂直に移動可能であり、その際に内側の構築シリンダシェルは、壁要素が接続された状態で支持体に塗布された原料粉末に対する内側の壁をなすように構成されており、原料粉末は直接構築シリンダシェルに接している。
【0038】
「内側の構築シリンダシェル」と「構築シリンダシェル」は、本明細書では同義語として使用される。構築シリンダシェルの下縁部は、例えば支持体の縁部に固定されてよい。構築シリンダシェルの上縁部は、例えば本装置のプロセスチャンバの下部床領域に固定することができる。
【0039】
構築シリンダシェルの材料は、粉末不透過性であってよく、任意選択でガス不透過性(特に使用された不活性ガスに対して不透過性)であってよい。
【0040】
内側の構築シリンダシェルは、次の要素の少なくとも1つ、即ち伸縮性材料からなる可撓性シェル、ベローズ及び/又は複数の壁要素を有することができ、壁要素は引っ込んだ状態では入れ子式に収納され、そして伸縮自在に展開した状態になるように構成されている。
【0041】
伸縮性材料は、例えば可撓性プラスチック及び/又はゴム材料を含むことができる。壁要素は、構築シリンダ壁の壁要素よりもそれぞれ著しく薄肉であってよい(例えば最大4分の1の厚さ)。
【0042】
本装置は更に、構築プロセス中に壁要素を互いに接続するように構成された接続手段を有することができる。
【0043】
接続手段は、例えばロボットアーム及び/又は壁要素を互いに接続するための他の適当な手段を含むことができる。接続手段は、壁要素を掴み、これらの壁要素を構築プロセス中に既に接続されている(既に接続された状態にある)壁要素に下から固定するように構成できる。この場合、壁要素のあらゆる種類の自動化された接続が可能である。
【0044】
本装置は更に、可撓性接続部材によって互いに接続された複数の壁要素を有してよく、壁要素の第1の部分は垂直状態にあり、垂直状態にある第1の部分の壁要素は実質的に垂直に延びる構築シリンダ壁を形成しており、壁要素の第2の部分は巻き上げられた状態にあり、巻き上げられた状態にある第2の部分の壁要素は実質的に垂直に延びる構築シリンダ壁を形成せず、複数の壁要素は、壁要素が巻き上げられた状態から垂直状態に巻き出されることができて構築シリンダ壁の垂直高さが増加するように構成されている。
【0045】
構築シリンダ壁の垂直高さは、垂直状態にある壁要素の垂直高さの合計によって定義できる。
【0046】
壁要素は、ブラインドの形で互いに接続されてよい。構築プロセス中にますます多くの壁要素が垂直状態に巻き出されることができるので、構築シリンダ壁の高さは増加する。巻き出された状態の壁要素は、支持体の下方にあることができる。
【0047】
構築シリンダ壁は、伸縮性材料からなる可撓性壁によって形成されることができ、可撓性壁の下縁部は支持体と接続されており、可撓性壁の上縁部は垂直移動装置によって照射ユニットと共に垂直に移動可能である。
【0048】
上で構築シリンダシェルについて述べたことが可撓性壁についても該当するが、唯一の違いは、可撓性壁に対して追加の構築シリンダ壁を可撓性壁の外部に設ける必要がないことである。可撓性壁は、垂直方向で可撓であるため、構築プロセス中に垂直方向に変形する一方、水平方向にはそれほど可撓ではないように構成することができるので、原材料粉末を所定の形(例えば直方体形状)に保つことができる。換言すれば、可撓性壁は水平方向よりも垂直方向で変形しやすいように構成することができる。
【0049】
本装置は更に、構築プロセスの終了後に構築シリンダ壁を少なくとも部分的な持ち上げ又は取り外した後で支持体から横方向に落下する原料粉末を捕集するための捕集トレイと、支持体から横方向に落下する原料粉末を捕集トレイに案内するように構成された密閉部材を有することができる。密閉部材は、例えばベローズの形態で形成できる。密閉部材は、例えば密閉部材の第1の端部でプロセスチャンバの下側に取り付けられてもよい。更に、密閉部材は密閉部材の第2の端部で捕集トレイに固定することができる。密閉部材は、密閉部材の垂直高さを変更することを可能にする伸縮性材料を含んでよい。密閉部材は構築シリンダ壁の最下部の壁要素と取り外し可能に接続されてもよい。
【0050】
第2の態様によれば、本発明は、3次元工作物を製造する方法に関する。本方法は、支持体に原料粉末を塗布し、支持体に塗布された原料粉末に照射ユニットにより電磁ビーム若しくは粒子ビームを選択的に照射して、支持体上に原料粉末から作られた工作物を付加的積層造形法によって生成することを含む。本方法は更に照射ユニットを垂直移動装置によって支持体に対して垂直に移動させ、構築プロセス中に、支持体に塗布された原料粉末に対する横方向境界をなしている、実質的に垂直に延びる構築シリンダ壁の垂直高さを増加することを含む。
【0051】
本方法は、例えば本明細書に記載された装置の1つによって実施できる。本明細書で提示される方法のステップは、別途明確に指定されない限り、任意の順序で実施できる。特に垂直に移動するステップは、増加するステップの前又は後に実施できる。更に、増加及び/又は垂直移動の複数のステップを設けることもできる。増加するステップは本装置の構築プロセス中に実施できる。換言すれば、増加するステップは、製造すべき工作物が部分的に製造されたが、まだ完全に仕上がっていない段階、したがって工作物に必要なすべての粉末層が塗布及び固化されていない段階で実施できる。
【0052】
増加するステップは更に、複数の壁要素を互いに取り外し可能に接続して、これらの壁要素が接続された状態で実質的に垂直に延びる構築シリンダ壁を形成することを含んでよい。
【0053】
本方法は更に、少なくとも1つの別の壁要素を、構築シリンダ壁を形成する少なくとも1つの壁要素の下側に取り外し可能に接続し、構築シリンダ壁を上方に垂直に移動させることを含んでよい。
【0054】
これにより少なくとも2つ(又はそれ以上)の壁要素を互いに接続することができ、特に互いに上下に接続して、構築シリンダ壁を形成することができる。
【0055】
壁要素は、接続された状態で、少なくとも2つの壁要素が垂直方向で上下に配置されるように互いに接続できる。更に、壁要素は、接続された状態で、少なくとも2つの壁要素が水平方向で並置されるように互いに接続できる。
【0056】
構築シリンダ壁は、垂直移動装置によって照射ユニットと共に支持体に対して垂直に移動できる。
【0057】
構築シリンダ壁は、別の垂直移動装置によって支持体に対して垂直に移動できる。
【0058】
本方法は更に、少なくとも1つの壁要素を取り除き、取り除かれた壁要素が構築シリンダ壁の最下部の壁要素の1つをなすことによって、原料粉末が支持体から横方向に落下できることを含むことができる。
【0059】
取り除くステップは、構築プロセスが行われた後で実施できる。特に、取り除くステップは、完成した工作物の「開梱工程」の開始として実施できる。
【0060】
本方法は更に、構築シリンダ壁を上方に垂直に移動させることにより、構築シリンダ壁の最下部壁要素と支持体との間に隙間ができ、この隙間を通って支持体から横方向に原料粉末が落下できることを含んでよい。
【0061】
上方に垂直に移動させるステップは、構築プロセスが行われた後で実施できる。特に、上方に垂直に移動させるステップは、完成した工作物の「開梱工程」の開始として実施できる。
【0062】
上記の取り外すステップの後で、又は上記の上方に垂直に移動させるステップの後で、以前に接続された壁要素を再び取り除く(取り外す)ことができ、照射ユニットは(場合によってはプロセスチャンバと一緒に)再び初期状態に(下方に)移行して、新しい構築プロセスを開始できる。
【0063】
更に、可撓性接続部材によって互いに接続された複数の壁要素を設けることができ、壁要素の第1の部分は垂直状態にあり、垂直状態にある第1の部分の壁要素は実質的に垂直に延びる構築シリンダ壁を形成しており、壁要素の第2の部分は巻き上げられた状態にあり、巻き上げられた状態にある第2の部分の壁要素は実質的に垂直に延びる構築シリンダ壁を形成しない。本方法は更に壁要素が巻き上げられた状態から垂直状態に巻き出されて、構築シリンダ壁の垂直高さが増加することを含んでよい。
【0064】
構築シリンダ壁は更に伸縮性材料からなる可撓性壁によって形成されることができ、可撓性壁の下縁部は支持体と接続されている。この場合、本方法は更に、可撓性壁の上縁部が垂直移動装置によって照射ユニットと共に垂直に移動することを含む。
【0065】
方法は更に、落下する原料粉末を捕集トレイに捕集し、落下する原料粉末を密閉部材によって捕集トレイに案内することを含むことができる。更に、本方法は密閉部材の端部をプロセスチャンバの下側又は構築シリンダ壁の最下部の壁要素に固定することを含んでよい。この場合、密閉部材は原料粉末を案内するだけでなく、原料粉末の粉塵が装置1の周囲に放出されるのを防ぐように構成することができる。
【0066】
以下に本発明を添付の図面を参照して説明する。