【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は固定剤溶液に浸漬される生体試料を保管および移送するための組立体に関し、
この組立体が、固定剤溶液で予め充填されるキャップと、組織試料を保持するための容器との間に配設されるバルブを含む。組み立て時、バルブが、組立体が直立位置にあるときに流体がキャップから容器の中へ流れるのを可能にするように適合され、組立体が概して水平位置または反転位置にあるときはキャップと容器との間での流体の移し替えを防止する。好適には、バルブが閉位置を初期設定とするように適合され、その結果、キャップと容器との間での流体の移し替えを可能にするような開構成でバルブを保持するためには外力が必要となり、外力が取り除かれるときにバルブが自動で閉じるようになる。
【0007】
第1の実施形態では、組立体が、
・一定量の固定剤溶液で予め充填される第1のチャンバを備えるキャップと、
・生体試料を保持するための第2のチャンバを備える試料容器と、
・第1のチャンバと第2のチャンバとの間に位置して閉構成と開構成との間で切り替わるように適合されるバルブであって、ここでは、
・バルブが開構成であるときに、1つまたは複数のチャンネルが第1のチャンバと第2のチャンバとの間に形成され、第1のチャンバから第2のチャンバまで固定剤溶液が流れるのを可能にし、また、引き換えに空気を通気するのを可能にし、
・バルブが閉構成であるときに、バルブが第1のチャンバと第2のチャンバとの間にバリアを作り、このバリアが第2のチャンバから第1のチャンバまで固定剤溶液が流れるのを防止し、
・バルブが、第1の力の適用時に閉構成から開構成へと切り替わるように構成され、
・バルブが、第1の力が取り除かれるときに初期設定の閉構成に戻るように構成される、
バルブと、
・非係合位置と係合位置との間で移動可能であるアクチュエータであって、
・アクチュエータに対しての第2の力の適用がアクチュエータを非係合位置から係合位置へと移動させてアクチュエータを係合位置で保持し、それによりアクチュエータがバルブに対して第1の力を適用し、
・アクチュエータから第2の力を取り除くことによりバルブから第1の力が解放される、
アクチュエータと
を備える。
【0008】
実施例では、第1の実施形態のバルブが、第1のチャンバと第2のチャンバとの間のバリアの少なくとも一部を形成する、固有の弾性を有する材料を有する。第1の力がこの材料を変形させ、それにより第1のチャンバと第2のチャンバとの間にチャンネルを作り、このチャンネルを通って流体が流れることができる。第1の力が取り除かれると、この材料の固有の弾性が材料をその元の形状に戻し、それによりチャンネルが閉じられ、それにより、組立体の向きに関係なく第2のチャンバから第1のチャンバへの流体の逆流が防止される。この実施形態のアクチュエータが、変形させるように材料の表面に接触するように配置され得る剛体部材を有することができる。したがって、例えば、アクチュエータに対して第2の力を適用することにより、固有の弾性を有する材料に接触するように剛体部材が移動させられて材料が変形し、それによりバルブが開構成となる。また、このように材料に向かって剛体部材が移動することで、第2の力の反対に作用するような、アクチュエータに作用する第3の力を生じさせることができ、その結果、第2の力が取り除かれるときに第3の力が材料から離れるように剛体部材を移動させる。アクチュエータがこの材料に向かって移動させられるとき、例えば、アクチュエータに接触するように配置される弾性機構が、曲げられるか、圧縮されるか、広げられるか、捻じられるか、または、回転させられ、それにより弾性機構に張力を導入する。弾性機構に組み入れられる張力がアクチュエータに第3の力を作用させ、その結果、第2の力が取り除かれるときにアクチュエ
ータが材料から離れるように押され、材料がその元の形状に戻ることが可能となる。加えてまたは別法として、固有の弾性を有するこの材料により、第3の力がアクチュエータに作用されられ得る。この材料を変形させることによりこのシステムに張力が導入され、この張力がこの材料をその元の形状に戻すような傾向を有する。したがって、第2の力がアクチュエータに対して適用されて剛体部材がこの材料を変形させるとき、この材料に蓄積する張力により第3の力がアクチュエータに対して適用される。第2の力が維持される限りにおいて、張力が材料内で留保されることになる。しかし、第2の力が取り除かれると、張力が解放され、それにより材料がその元の形状に戻り、アクチュエータが材料から離れるように押される。固有の弾性を有するこのような材料を組み込むバルブの例には、例えば、アンブレラバルブおよびダックビルバルブが含まれる。
【0009】
第1の実施形態の別の実施例では、バルブが、
・第1のチャンバおよび第2のチャンバを接続するアパーチャを画定するバルブ壁と、
・シールであって、ここでは、シールが、
・バルブが閉構成であるときにシールがバルブ壁に接触し、それにより第1のチャンバと第2のチャンバとの間にバリアを作り、
・バルブに対して第1の力が適用されることで、シールがバルブ壁との接触から外れてチャンネルを作り、
・第1の力が取り除かれるときにシールが自動でバルブ壁と接触するように戻る、
ように構成される、シールと
を備える。
【0010】
シールがバルブ壁に接触するとき、シールが、キャップ内に含まれる流体に対して不浸透性であるバリアを作る。シールはアパーチャ内で以下のように配列されるべきである:アクチュエータが係合位置まで移動させられるとき、シールがバルブ壁との接触から外れ、それにより、流体がそこを通って流れることができるようなチャンネルを作る。一配列では、シールが弾性機構に接触する間においてはアパーチャ内に配置される。第1の力がバルブに適用されると、張力が弾性機構に導入され(配列に応じて、広げたり、圧縮したり、捻じったり、または、曲げたり、などすることにより)、シールが第1の位置から、アパーチャ内部の第2の位置まで移動する。アパーチャは結果として以下のようになるようにサイズ決定される:シールが第1の位置にあるとき、シールの外側縁部がアパーチャの内側周囲部全体の周りでバルブ壁と接触し、それによりアパーチャを通って流体が流れるのを防止し(この実施形態では、閉構成)、シールが第2の位置にあるとき、シールの外側縁部の少なくとも一部分とバルブ壁との間に隙間が存在し、この隙間が、第1のチャンバから第2のチャンバまで流体がそこを通って流れることができるチャンネルを作る(この実施形態では、開構成)。第1の力が取り除かれると、弾性機構の張力が解放され、それによりシールが閉構成に戻るように押される。
【0011】
第2の実施形態では、組立体が、
・一定量の固定剤溶液で予め充填される第1のチャンバを備えるキャップと、
・生体試料を保持するための第2のチャンバを備える試料容器と、
・第1のチャンバと第2のチャンバとの間に位置して閉構成と開構成との間で切り替わるように適合されるバルブであって、ここでは、
・バルブが開構成であるときに、1つまたは複数のチャンネルが第1のチャンバと第2のチャンバとの間に形成され、第1のチャンバから第2のチャンバまで固定剤溶液が流れるのを可能にし、また、引き換えに空気を通気するのを可能にし、
・バルブが閉構成であるときに、バルブが第1のチャンバと第2のチャンバとの間にバリアを作り、このバリアが第2のチャンバから第1のチャンバまで固定剤溶液が流れるのを防止し、
・バルブが、第1の力の適用時に閉構成から開構成へと切り替わるように構成され
、
・バルブが、第1の力が取り除かれるときに初期設定の閉構成に戻るように構成される、
バルブと、
・非係合位置と係合位置との間で移動可能であるアクチュエータであって、
・アクチュエータに対しての第2の力の適用がアクチュエータを非係合位置から係合位置へと移動させ、バルブに対して第1の力を適用し、
・係合位置から非係合位置までのアクチュエータの移動により第1の力がバルブから解放される
アクチュエータと
を備える。
【0012】
この実施形態では、係合位置から非係合位置までのアクチュエータの移動が、第2の力を取り除くときに、自動で行われ得るか(第1の実施形態で考察された構成など)、または、追加の外力の適用を必要とする可能性がある。例えば、使用者が、アクチュエータが係合位置に移動するまでアクチュエータに対して第2の力を適用することができる。この場合、アクチュエータは、バルブを閉構成へと切り替えるためにアクチュエータを係合位置から非係合位置まで戻すように移動させる追加の外力を使用者が適用するまで、使用者による外力の適用なしで係合位置を維持するように適合される(保持機構を使用することによるか、または、摩擦嵌合による、など)。
【0013】
第3の実施形態では、組立体が、
・一定量の固定剤溶液で予め充填される第1のチャンバを備えるキャップと、
・生体試料を保持するための第2のチャンバを備える試料容器と、
・第1のチャンバと第2のチャンバとの間に位置して閉構成と開構成との間で切り替わるように適合されるバルブであって、ここでは、
・バルブが開構成であるときに、1つまたは複数のチャンネルが第1のチャンバと第2のチャンバとの間に形成され、第1のチャンバから第2のチャンバまで固定剤溶液が流れるのを可能にし、また、引き換えに空気を通気するのを可能にし、
・バルブが閉構成であるときに、バルブが第1のチャンバと第2のチャンバとの間にバリアを作り、このバリアが第2のチャンバから第1のチャンバまで固定剤溶液が流れるのを防止し、
・バルブが、閾値を超える流体圧力の適用時に閉構成から開構成へと切り替わるように構成され、
・バルブが、流体圧力が低下して閾値を下回るときに初期設定の閉構成に戻るように構成される、
バルブと、
・閾値を超えるように流体圧力を増大させるように適合されるアクチュエータと
を備える。
【0014】
実施例では、アクチュエータが、キャップ内の一定量の固定剤溶液と機械的に連通(mechanical communication)するプランジャを装備することができる。アクチュエータが休止状態にあるとき、バルブに対する固定剤溶液の流体圧力が閾値を下回る。一定量の固定剤をバルブの方に流すような方向にアクチュエータが移動することにより、閾値を超えるまでバルブに対する流体圧力が増大する。増大した圧力がバルブ内のチャンネルを開け、それによりバルブを開構成にする。アクチュエータが移動を停止するかまたは流体が完全に容器内に流れると、バルブに対する流体圧力が低下し、バルブ内のチャンネルが自動で閉じ、それによりバルブが閉構成に戻る。このような配列で有用であるバルブの例には、ダックビルバルブおよびチェックバルブが含まれる。
【0015】
第4の実施形態では、生体試料を保管および/または移送するための組立体内で使用されるためのバルブ組立体が提供され、このバルブ組立体が、
・バルブ上面、バルブ底面およびバルブ周囲部を有するバルブであって、バルブが、バルブ周囲部の近くのバルブ上面に対して力を適用することによりバルブ周囲部が屈曲することで元の構成から変形するように、構築され、力が取り除かれるときにバルブが元の構成に戻る、バルブと、
・バルブの上面の上に嵌合されるようにサイズ決定されるバルブアクチュエータであって、バルブアクチュエータが、
・外側フレーム、
・支持体上面、支持体底面および少なくとも1つのアームを有する支持体構造であって、少なくとも1つのアームが、バルブ表面の頂部上にバルブアクチュエータが配設されているときに、支持体底面上に配設されてバブルの上面に向かって突出する、支持体構造、ならびに、
・外側フレームに取り付けられる第1の端部および支持体構造上に取り付けられる第2の端部を有する少なくとも1つの弾性機構
を備える、バルブアクチュエータと
を備える。
【0016】
別の実施形態では、支持体上面が、制御組立体を第1の位置から第2の位置まで移動させるように押圧され得るプランジャを有し、その結果、ばねが第1の緩み状態から圧縮され、アームがバルブ上面を押し動かして屈曲させ、それにより流体が排液アパーチャを通って流れることが可能となる。
【0017】
一実施形態では、バルブ組立体が、外側フレームを有するバルブアクチュエータと、支持体上面、支持体底面、および、支持体底面上に配設されて支持体構造から離れるように外側に突出する複数のアーム、を有する支持体構造と、を有することができる。外側フレームが少なくとも1つのフレームロックタブを備えることができ、フレームロックタブに対して相補的である少なくとも1つのハウジングロックタブを備えるバルブハウジングが提供され得る。フレームロックタブおよびハウジングロックタブが、バルブアクチュエータ屈曲部(valve actuator flexure)がバルブハウジング内で移動(つまり、回転)するのを防止する。例えば、外側フレームが、2つ、3つまたは4つのフレームロックタブを備えることができ、バルブハウジングが、2つ、3つまたは4つのハウジングロックタブを備えることができる。バルブ組立体が、第1の端部および第2の端部を有する複数のばねをさらに含むことができ、ここでは、各ばねの第1の端部が外側フレームに取り付けられ、各ばねの第2の端部が支持体構造に取り付けられる。ベースと、側壁と、複数の排液アパーチャと、複数のアームアパーチャと、ベース上に配設されるステム開口部と、を備えるバルブハウジングがさらに提供され得る。加えて、バルブ上面と、バルブ底面と、バルブステムとを備えるバルブがバルブ上面に配設され得、ここでは、バルブステムが球根状のステム端部を有する。バルブアクチュエータがバルブハウジング内部に配設され得、バルブがベース上に配設され得、その結果、バルブ上面がベース底面にインターフェース接続されるようになり、ベースがバルブアクチュエータとバルブとの間に位置決めされる。バルブステムの球根状のステム端部が支持体構造のステム開口部を通過することができ、球根状のステム端部がステム開口部に対してバルブステムを固着する。支持体構造の支持体上面がさらに支持体上面でプランジャに接触していてよく、プランジャが組立体を押圧するときに第2の位置まで移動させられ、そこで、複数のばねが圧縮され、バルブ上面がベース底面から離れるように押し動かされ、その結果、流体が排液アパーチャを通って流れることができるようになる。
【0018】
動作中、バルブ組立体が、頂部分および底部分を有する容器内に配設され、ここでは、頂部分が固定剤溶液を保管するためのものであり、底部分が生体試料を保管するためのも
のである。バルブは結果として以下のようになるようにサイズ決定される:バルブ周囲部が容器の内側表面に対してぴったり嵌合されるか、または、バルブハウジングが頂部分または底部分のいずれかにしっかり嵌合される。バルブ周囲部と容器またはバルブハウジングとの間のぴったりの嵌合により、容器の頂部分と底部分との間での流体の流れを防止するバリアが作られる。アクチュエータの使用者によって開始される作動を促進するプランジャまたは他のデバイスが、使用者とプランジャまたはデバイスとの相互作用を可能にするような配列で容器内に配設される。使用者がデバイスを起動し、支持体構造の上面に力が適用される。上面に適用される力が弾性機構に張力を導入し、バルブの上面に力を適用するような形で少なくとも1つのアームを移動させる。バルブの上面に適用される力がバルブを容器の内側表面から離すように屈曲させ、それによりバルブと容器の内側表面との間にチャンネルを作り、そのチャンネルを通って流体が流れることができる。オペレータがプランジャから力を取り除くと、弾性機構内の張力が解放され、少なくとも1つのアームがバルブの上面から離れるように移動してバルブの上面上の力を解放し、その結果、バルブ周囲部が元の構成に自動で戻り、チャンネルを閉じる。
【0019】
いくつかの実施形態では、バルブ組立体が、生体試料を保管および/または移送するためのシステムの一部であり、システムが:(a)バルブ組立体と、(b)組み立て時に固定剤流体をバルブから分離する主シールを任意選択で含む、保存流体で予め充填されるキャップと、(c)試料収集容器と、を備える。
【0020】
いくつかの実施形態では、バルブ組立体が試料収集容器または予め充填されたキャップを覆い、その結果、バルブが試料収集容器またはキャップの内部に配設されるようになる。例えば、バルブ組立体が容器またはキャップ上にねじ留めされるかまたはスナップ嵌合される。
【0021】
いくつかの実施形態では、キャップが、プランジャ、シールおよび流体をさらに備えることができる。キャップがバルブ組立体に取り外し可能に取り付けられ得る。シールがキャップ内部でプランジャおよび流体を密閉することができる。
【0022】
組立体が第1の位置にあるとき、ばねが緩み状態である。プランジャが支持体上面上に押圧されると、組立体が第1の位置から第2の位置まで移動させられる。組立体が第2の位置にあるとき、ばねが圧縮され、アームがバルブ上面を押し動かしてバルブを屈曲させ、その結果、流体が排液アパーチャを通って流れるようになり、容器内に配設される試料に接触するようになる。
【0023】
いくつかの実施形態では、流体が保存流体である。他の実施形態では、固定手順が、アルデヒドベースの固定剤溶液のような、架橋剤を利用する。例えば、アルデヒドベースの固定剤溶液はホルマリンである。固定剤溶液の別の例は、pH7.2〜7.6まで緩衝するようにつまりほぼ等張の溶液を提供するように配合される、リン酸ナトリウムを含む含水ホルムアルデヒド溶液であってよい。別の実施形態では、流体が、米国特許第8,658,109号に見られるような、ビス無水マレイン酸を含むことができる。他の例示の流体には、限定しないが、塩化第二水銀、ピクリン酸または硫酸亜鉛、などの凝固剤、グリオキサールまたはグルタルアルデヒドなどの非凝固剤の固定剤(noncoagulant fixative)、アセトン、酢酸、ブアン液、あるいは、他の有機溶媒、が含まれてよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、試料が収集され、試料収集容器内部に配置される。試料は、血液、尿、組織、細胞または粘液試料であってよい。例えば、試料は、生検のための異常組織の塊、または、パパニコロウ塗抹のための子宮頸部細胞、の一部分であってよい。
【0025】
好適には、試料収集システムはガス排出の危険がなく(fume−safe)であり、つまり、流体のガス(fluid fume)を放出しない。
代替的実施形態では、試料収集システムが、子宮頸部組織を集めるための試料採取デバイスなどの試料採取デバイス、血液を集めるためのシリンジ、または、組織を集めるための生検ツール、に結合され得る。例えば、試料採取デバイスが試料を収集し、次いで、試料が試料収集容器内に入れられる。別の実施例では、試料が試料採取デバイスの一部分上で収集され得、次いで、試料含有部分が容器内に配置されて試料採取デバイスから分離され、それにより試料含有部分が容器の内部に残される。例示の試料採取デバイスを米国特許出願公開第2014/01850165号で見ることができ、その開示が本明細書に組み込まれる。
【0026】
他の実施形態では、システムがカセットをさらに備える。試料がカセット内に配置され得、カセットが試料収集容器内に配設され得る。好適には、収集容器は、組織学の標準的な組織カセット(standard histology tissue cassette)を完全に挿入するのを可能にするように十分な大きさとなるようにサイズ決定される。
【0027】
いくつかの実施形態では、試料収集容器が様々な形状および寸法を有してよい。容器の例示の形状には、限定しないが、円筒形および長方形の角柱(rectangular prism)が含まれる。また、容器は、約10mlから30ml、約30mlから50ml、約50mlから70ml、または、約70mlから100mlの範囲の容量を有することができる。例えば、容器は、約2cmの直径、および、約60mlのボリュームキャパシティ(volume capacity)を有する円筒であってよい。別の実施例として、容器が、20mlのボリュームキャパシティを有する正方形または長方形チューブであってもよい。
【0028】
他の実施形態では、試料収集システムが、試料収集容器を留保または保持するように構成されるキャリア組立体と、容器がキャリア組立体内に配置されてラボラトリに移送されるときに容器内の試料または流体に関する時間情報および温度情報の一方または両方を、取得、保管または伝送するように構成される、データロギングデバイスおよび少なくとも1つのセンサを備える監視システムと、をさらに備えることができる。さらに別の実施形態では、システムが、試料収集容器と、キャリア組立体と、監視システムとを移送するための内部保持コンパートメントを備える移送容器を備える。移送容器が、試料を試験施設まで配達するのを可能にする十分な時間量で内部保持チャンバの温度を約0℃から約20℃の間の温度で維持するように構成され得る。例えば、移送容器が少なくとも1時間にわたって5℃の温度を維持することができる。
【0029】
例示の移送容器または組立体が、限定しないが、パッケージ、ボトル、バイアル、または、液体媒体および少なくとの1つの試料を保持するのに使用される他の物体を有することができる。トランスポータシステムが、試料の識別情報(sample identity)、患者情報、試料の起源(sample origin)、試料の分析過程の管理、試料を処理するための命令、試料の性質に関する情報、試料の試験結果、試料の画像、または、組織試料に付随する他の情報、に関連してよい機械可読コード(例えば、視覚的記号、磁気パターンまたは電磁パターン、あるいは、情報コンテンツを有する静電気信号)を有することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、処理された試料を含む移送組立体が第1のロケーションから第2のロケーションまで移送され得る。例えば、第1のロケーションは、医者のオフィスなどの、試験施設からオフサイトであるロケーションであってよい。この場合、移送組立体が分析のために試験施設に送られる。別の実施例では、第1のロケーションが、試料収
集室などの、試験施設のオンサイトであってよい。この場合、移送組立体が、さらなる処理のために試験施設内の別個の部屋に送られる。
【0031】
本発明の代替的実施形態が、試料収集容器上に配設される握持構成要素を特徴とすることができる。例えば、握持構成要素は容器の外部表面上に配設される。握持構成要素は、取り扱い時の容器の落下するリスクを低減することができる。さらに、握持構成要素は容器を定位置で保持することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、握持構成要素が窪み部分を備え、キャリア組立体が突出部を備え、ここでは、窪み部分および突出部がキャリア組立体内で試料収集容器を対合的にロックし、それにより、試料収集容器が変位するのを防止する。他の実施形態では、握持構成要素が突出部を備え、キャリア組立体が窪み部分を備え、ここでは、突出部および窪み部分がキャリア組立体内で試料収集容器を対合的にロックし、それにより試料収集容器が変位するのを防止する。
【0033】
好適な実施形態では、握持構成要素が、刻み目を有する表面などの、切り欠きのある表面またはパターンを有する表面を備える。刻み目を有する表面は、環状リングパターン、直線の刻み目パターン、または、ひし形の刻み目パターンであってよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、試料収集容器が、中に含まれる流体の温度を測定して監視システムに伝送するための温度センサをさらに備えることができる。他の実施形態では、試料収集容器が無線周波数識別(RFID:radio frequency identification)タグをさらに備え、監視システムがRFIDリーダをさらに備える。
【0035】
いくつかの実施形態では、バルブが、球根状のステム端部を有するバルブステムをさらに備え、ここでは、バルブステムがバルブ上面上に配設される。一実施形態では、バルブが球根状のステム端部を介してバルブハウジングに取り付けられ、ここでは、球根状のステム端部がバルブハウジングに対してバルブステムを固着する。別の実施形態では、バルブが球根状のステム端部を介してバルブアクチュエータ屈曲部の支持体構造に取り付けられ、ここでは、球根状のステム端部が支持体構造に対してバルブステムを固着する。別の実施形態では、バルブが球根状のステム端部を介してプランジャに取り付けられ、ここでは、球根状のステム端部がプランジャに対してバルブステムを固着する。
【0036】
複数のアームが支持体底面上に配設され得る。いくつかの実施形態では、複数のアームが支持体構造から離れるように外側に突出する。他の実施形態では、複数のアームが支持体構造から垂直下向きに突出する。
【0037】
いくつかの実施形態では、複数のばねの各ばねが第1の端部および第2の端部を備える。いくつかの実施形態では、各ばねの第1の端部が外側フレームに取り付けられ得る。例えば、各ばねの第1の端部が外側フレームの内側縁部に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、各ばねの第2の端部が支持体構造に取り付けられ得る。例えば、各ばねの第2の端部が支持体構造の周囲部または支持体底面に取り付けられ得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、組立体が第1の位置にあるとき、バルブが概略凹形である。他の実施形態では、組立体が第2の位置にあるとき、バルブが概略凸形である。
いくつかの実施形態では、複数のアームが複数のアームアパーチャに位置合わせされる。いくつかの実施形態では、アームの数がアームアパーチャの数に等しい。いくつかの実施形態では、複数のアームが4つのアームを含む。他の実施形態では、複数のアームが3つのアームを含む。さらに他の実施形態では、複数のアームが2つのアームを含む。
【0039】
本明細書で説明される特徴は組立体の任意の実施形態に適用可能である。
いくつかの実施形態では、バルブアクチュエータ屈曲部が可撓性材料から構築される。他の実施形態では、バルブアクチュエータ屈曲部がエラストマ材料から構築される。いくつかの実施形態では、バルブアクチュエータ屈曲部の外側フレームが概略リング形状である。他の実施形態では、バルブアクチュエータ屈曲部の外側フレームの形状が多角形であってよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、バルブが可撓性材料から構築される。他の実施形態では、バルブがエラストマ材料から構築される。いくつかの実施形態では、バルブが概略ディスク形状である。他の実施形態では、バルブがアンブレラバルブである。さらに他の実施形態では、バルブがダックビルバルブまたはチェックバルブであってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、外側フレームが少なくとも1つのフレームロックタブをさらに備える。いくつかの実施形態では、バルブハウジングが、フレームロックタブに対して相補的である少なくとも1つのハウジングロックタブを備える。フレームロックタブおよびハウジングロックタブが、バルブアクチュエータ屈曲部がバルブハウジング内で移動(つまり、回転)するのを防止する。例えば、外側フレームが、2つ、3つまたは4つのフレームロックタブを備えることができる。例えば、バルブハウジングが、2つ、3つまたは4つのハウジングロックタブを備えることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、複数の空気チャンネルがバルブハウジングの側壁のところまたはその近くに配設される。例えば、複数の空気チャンネルは、2つ、3つまたは4つの空気チャンネルである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの空気チャンネルがバルブハウジングの側壁のところまたはその近くに配設される。空気チャンネルが空気および流体を移し替えるのを可能にする。例えば、キャップ内の圧力が大気圧未満になるまで、流体が容器内に流れ出る。これは流体の流れを止めるものであり、空気の移し替えを必要とする。容器内の空気が空気チャンネルを通ってキャップに入ることになり、圧力を増大させ、それにより流体が再び流れることが可能となる。
【0043】
別の実施例では、キャップ内の液面が低い場合、流れ出る流体に対する重力の影響が大幅に小さくなり、したがって、空気チャンネルが空気の移し替えを必要とする。別の実施例では、容器が傾斜した向きである場合、空気チャンネルのうちのいくつかの空気チャンネルが流体によって塞がれる可能性がある。側壁の周りにいくつかの他の空気チャンネルが存在することから、それらの他の空気チャンネルが塞がれていないときは空気の移し替えが可能である。他の実施形態では、空気チャンネルが、毛細管現象による流体の吸い上がりを原因として遮断されるリスクを低減するのに十分な広さとなるように構築される。
【0044】
本発明の別の実施形態が、流体中の試料を保存または固定するなどの、試料を処理する方法を特徴とする。試料を固定することで、試料中の細胞の代謝活動を一時中断することができる。
【0045】
一実施形態では、流体中の試料を保存する方法が、本明細書で説明される試料収集容器を提供するステップと、試料収集容器からの流体の逆流を防止するための本明細書で説明される任意のバルブ組立体を提供するステップと、試料収集容器の内部に試料を配置するステップと、バルブ組立体を用いて試料収集容器を覆うステップと、本明細書で説明される任意のキャップを提供するステップと、バルブ組立体にキャップを取り付けるステップと、試料収集容器内の試料に接触させるように流体を容器内に解放するステップと、を含む。
【0046】
別の実施形態では、本発明が、試料を処理するための方法を特徴とすることができる。この方法が、本明細書で説明される任意の試料収集容器を提供するステップと、試料収集容器からの流体の逆流を防止するための本明細書で説明される任意のバルブ組立体を提供するステップと、試料収集容器の内部に試料を配置するステップと、バルブ組立体を用いて試料収集容器を覆うステップと、本明細書で説明される任意のキャップを提供するステップと、バルブ組立体にキャップを取り付けるステップと、流体を容器内に解放するステップと、試料収集容器内に含まれる試料に流体を接触させるステップと、キャリア組立体の保持壁内に試料収集容器を配置するステップと、キャリア組立体を移送組立体内に配置するステップと、第1のロケーションから第2のロケーションまで移送組立体を移送するステップと、を含むことができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、流体の平均温度が約0℃から5℃の間である。例えば、流体の平均温度が最大で約5℃である。別の実施形態では、流体の平均温度が最大で約0℃である。
【0048】
いくつかの実施形態では、キャリア組立体が少なくとも1つのデータロギングデバイスをさらに備える。いくつかの実施形態では、この方法が、キャリア組立体のデータロガーデバイス内で、試料に関連する時間情報および温度情報を検出および保管するステップをさらに含むことができる。他の実施形態では、時間情報および温度情報を検出するステップが、流体または試料の温度を測定するステップと、流体が試料に接触するときの接触時間を測定するステップと、温度・接触時間の測定値を保管するステップと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、移送組立体が第1のロケーションから第2のロケーションまで移送される間、試料に関連する時間・温度情報が検出される。
【0049】
いくつかの実施形態では、試料収集容器がバルブ組立体で覆われ、その結果、バルブが試料収集容器の内部に配設される。他の実施形態では、キャップがバルブ組立体に取り付けられ、その結果、バルブアクチュエータ屈曲部がベースとキャップとの間に位置決めされる。
【0050】
いくつかの実施形態では、プランジャを押し下げて主シールを破損し、支持体構造の支持体上面を押し動かしてばねを圧縮することにより、流体が容器内に解放される。次いで、アームがアームアパーチャ(134)を通過してバルブ上面を押し動かす。バルブが屈曲し、その結果、バルブ上面がベース底面から離れるように押し動かされ、その結果、流体が、破損したシールから流れ出て排液アパーチャを通って試料収集容器に入ることが可能となる。
【0051】
いくつかの実施形態では、試料を提供するステップが、体腔内に試料採取デバイスを挿入するステップと、試料採取デバイスを用いて体腔から試料を収集するステップと、試料採取デバイスを体腔から取り出すステップと、を含む。試料が試料採取デバイスの試料収集部分によって収集され得る。例えば、試料収集部分が、吸収性スワブ(absorbent swab)、ニードルまたは生検パンチツールであってよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、試料収集容器の内部に試料を配置するステップが、試料を有する試料収集部分を容器内に挿入するステップと、試料収集部分を試料採取デバイスから分離するステップあって、その結果、試料収集部分および試料が容器の内部に配設されることになる、ステップと、を含む。他の実施形態では、試料を有する試料収集部分を容器内に挿入して試料収集部分から試料が抽出して試料のみを容器の内部に配設するような形で、試料が容器内部に配置され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、主シールが非反応性の可撓性材料から構築され得る。好適に
は、主シールが、プランジャによりシールを破損するのを可能にするように十分に薄い。
いくつかの実施形態では、ばねの第1の端部がバルブハウジングのベースに取り付けられる。例えば、ばねの第1の端部がベースの任意の場所に取り付けられ得る。第1の端部がベースの周囲部の近くにまたは周囲部のところに取り付けられ得る。別法として、第1の端部がベースの中心の近くにまたは中心のところに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、ばねの第2の端部が支持体構造に取り付けられる。例えば、ばねの第2の端部が支持体構造上の任意の場所に取り付けられ得る。第2の端部が支持体構造の周囲部の近くにまたは周囲部のところに取り付けられ得る。別法として、第2の端部が支持体構造の中心の近くにまたは中心のところに取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、支持体構造が、約2つ、3つ、4つまたは5つのばねなどの、複数のばねを備えることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、アームが支持体底面上に配設され得る。いくつかの実施形態では、アームが支持体構造から離れるように外側に突出する。別法として、支持体構造が、約2つ、3つ、4つまたは5つのアームなどの、複数のアームを備えることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、排液アパーチャおよびアームアパーチャ(134)がベース上に配設される。いくつかの実施形態では、バルブハウジングが、約2つ、3つ、4つまたは5つの排液アパーチャなどの、複数の排液アパーチャを備えることができる。いくつかの実施形態では、バルブハウジングが、約2つ、3つ、4つまたは5つのアームアパーチャなどの、複数のアームアパーチャを備えることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、バルブがさらにプランジャまたはアクチュエータを用いて「屈曲」させられ得るか、または、バルブが平行移動させられ得る。バルブが平行移動させられる場合、バルブは屈曲する必要がなく、それにより可能性として、バルブに対してより多くの材料を選択することが可能となる。
【0057】
任意の組み合わせに含まれる特徴が互いに矛盾しないことが、文脈、本明細書、および、当業者の知識から明らかである場合、本明細書で説明されるいかなる特徴または特徴のいかなる組み合わせも本発明の範囲に含まれる。本発明の追加の利点および態様が、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなる。