特許第6959416号(P6959416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6959416
(24)【登録日】2021年10月11日
(45)【発行日】2021年11月2日
(54)【発明の名称】海底ケーブルルート計画ツール
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/10 20060101AFI20211021BHJP
   G06F 30/18 20200101ALI20211021BHJP
【FI】
   H02G1/10
   G06F30/18
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-154419(P2020-154419)
(22)【出願日】2020年9月15日
(65)【公開番号】特開2021-61736(P2021-61736A)
(43)【公開日】2021年4月15日
【審査請求日】2021年1月15日
(31)【優先権主張番号】62/903,230
(32)【優先日】2019年9月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】16/674,314
(32)【優先日】2019年11月5日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シルシェンドゥ・バタチャリア
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2019/0116090(US,A1)
【文献】 特開2011−242961(JP,A)
【文献】 特開2016−014955(JP,A)
【文献】 特開平11−154172(JP,A)
【文献】 特開2010−250559(JP,A)
【文献】 特開昭53−040894(JP,A)
【文献】 特開2015−018308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/10
G06F 30/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のプロセッサが、海底地形データを受信するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、複数の既存の水中ケーブルのルートについての既存ルートデータを受信するステップと、
前記海底地形データおよび前記既存ルートデータに基づいて、前記1つ以上のプロセッサが、水中ケーブルのルートを決定するためのモデルを作成するステップとを含み、前記モデルは、前記海底地形データおよび既存のルートデータを訓練用の入力として利用することによって生成される、方法。
【請求項2】
受信した前記海底地形データに基づいて、前記1つ以上のプロセッサが、前記複数の既存の水中ケーブルのルートに沿ってケーブルを敷設するための速度データ、前記複数の既存の水中ケーブルのルートに沿ったケーブル種類データ、または、水中ケーブルのルートを敷設するための所定のルールの中の少なくとも1つ含む追加データを生成するステップをさらに含み、前記モデルは、前記追加データにさらに基づいて作成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記追加データは、所定のルールを含み、前記所定ルールは、パイプラインを横断する際のルール、水中の多くの山を含んだ領域でケーブルのたるみを処理する際のルール、および、水深に基づくケーブルの種類のルールのうち、少なくとも1つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の既存の水中ケーブルのルートに沿った船舶通航量に基づいて、前記1つ以上のプロセッサが、前記複数の既存の水中ケーブルのルートについての機能停止データを生成するステップをさらに含み、前記モデルを作成するステップは、前記機能停止データにさらに基づく、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のプロセッサが、前記複数の既存の水中ケーブルのルートに沿った船舶の位置を、時間の経過とともに追跡するステップと、
前記船舶の位置に基づいて、前記1つ以上のプロセッサが、前記複数の既存の水中ケーブルのルートに沿った1つ以上の特定の場所に1つ以上の船舶が所定の期間留まっていると判断するステップと、
前記1つ以上の特定の場所に前記1つ以上の船舶が前記所定の期間留まっていることに基づいて、前記1つ以上のプロセッサが、前記1つ以上の特定の場所において機能停止が起こったと判断するステップとをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のプロセッサが、前記複数の既存の水中ケーブルのルートについてのコスト情報を受信するステップをさらに含み、前記モデルは、前記コスト情報にさらに基づいて作成される、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記コスト情報は、ケーブルコスト、船舶コスト、および、領土コストのうち、少なくとも1つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のプロセッサが、地表を表すグリッドを生成するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、受信した前記海底地形データの各々および受信した既存のルートのデータを前記グリッド上にマッピングするステップと、をさらに含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のプロセッサが、第1の位置と第2の位置とを繋ぐ水中ケーブルのルートを求める要求を受け付けるステップと、
前記第1の位置、前記第2の位置、および前記海底地形データに基づいて、前記1つ以上のプロセッサが、前記モデルを用いて1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成するステップとをさらに含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のプロセッサが、地表を表すグリッドを生成するステップと、
受信した前記海底地形データに基づいて、前記1つ以上のプロセッサが、1つ以上の所定の効率値を前記グリッド上の各ポイントに割り当てるステップとをさらに含み、
前記モデルは、総合効率性スコアを最小にすることによって前記1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成するようにさらに構成される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のプロセッサが、前記モデルを用いて、前記第1の位置と前記第2の位置とを繋ぐ複数の経路候補の距離を決定するステップをさらに含み、前記1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成するステップは、前記距離にさらに基づく、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のプロセッサが、地表を表すグリッドを生成するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記1つ以上の水中ケーブルのルート候補を、前記グリッド上に表示するために提供するステップとをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサが、前記モデルを用いて、前記1つ以上の水中ケーブルのルート候補の各々についての距離を決定するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記1つ以上の水中ケーブルのルート候補の各々についての距離を、表示用に提供するステップとをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上のプロセッサが、前記モデルを用いて、前記1つ以上の水中ケーブルのルート候補のコストを予想するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、予想された前記1つ以上の水中ケーブルのルート候補のコストを、表示用に提供するステップとをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の水中ケーブルのルート候補は、複数の水中ケーブルのルートであり、前記方法は、さらに、
前記1つ以上のプロセッサが、前記1つ以上の水中ケーブルのルート候補から選択された選択水中ケーブルルートを表すユーザ入力を受信するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記選択水中ケーブルルートから1以上の特徴を抽出するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記選択水中ケーブルルートから抽出された前記1以上の特徴を追加の訓練用の入力として利用して、前記モデルを更新するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記モデルは、回帰モデル、ニューラルネットワークモデル、ランダムフォレストモデル、または、決定木モデルの中の1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
システムであって、
1つ以上のプロセッサを備え、前記1つ以上のプロセッサは、
海底地形データを受信し、
複数の既存の水中ケーブルのルートについての既存ルートデータを受信し、
中ケーブルのルート候補を決定するためのモデルを作成し、
前記海底地形データおよび既存ルートデータを訓練用の入力として利用して、前記モデルを訓練し、
第1の位置と第2の位置とを繋ぐ水中ケーブルのルートを求める要求を受け付け、
前記第1の位置、前記第2の位置、および受信した前記海底地形データに基づいて、訓練された前記モデルを用いて1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成するように構成される、システム。
【請求項18】
地表を表すグリッド上に前記1つ以上の水中ケーブルのルート候補を出力するように構成されるディスプレイをさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ以上の水中ケーブルのルート候補は、複数の水中ケーブルのルートであり、前記1つ以上のプロセッサは、
前記1つ以上の水中ケーブルのルート候補から選択された選択水中ケーブルルートを表すユーザ入力を受信し、
前記選択水中ケーブルルートから1以上の特徴を抽出し、
前記選択水中ケーブルルートから抽出された1以上の特徴を第2の訓練用の入力として使用して、前記モデルを更新するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
1つ以上のプロセッサが、海底地形データを受信するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、複数の既存の水中ケーブルのルートについての既存ルートデータを受信するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、中ケーブルのルート候補を決定するためのモデルを作成するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記海底地形データおよび既存ルートデータを訓練用の入力として利用して、前記モデルを訓練するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、第1の位置と第2の位置とを繋ぐ水中ケーブルのルートを求める要求を受け付けるステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、記第1の位置、前記第2の位置、および受信した前記海底地形データに基づいて、前記モデルを用いて1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成するステップとを含む、方法。
【請求項21】
1つ以上のプロセッサによって実行されることにより、前記1つ以上のプロセッサに、請求項1〜請求項16および請求項20のいずれか1項に記載の方法を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年9月20日に出願された米国仮出願第62/903,230号の出願日の利益を主張し、そのすべての開示内容を引用により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
背景
海、川、湖など、水域間で電気通信信号を運ぶために、水中、たとえば海底にケーブルが敷設される場合がある。水中ケーブルのルートを計画する際は、たくさんの要因を考慮する必要がある。要因として、物理的な制約、領土的制約、規制などが挙げられる。このように、水中ケーブルのルートを計画するには、相当な時間と人力を必要とする。これらの要因をすべて考慮することを怠ると、天然資源および人材の無駄遣い、環境破壊、石油パイプラインとの衝突などが結果として生じる可能性がある。たとえ慎重に計画したとしても、既存の水中ケーブルのルートの特定の部分が機能停止を引き起こす故障を生じ易いことが後になってから分かることがある。また、故障を修理するのにも相当な時間、資源、および手間が掛かるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
本開示は、1つ以上のプロセッサが、海底地形データを受信するステップと、1つ以上のプロセッサが、複数の既存の水中ケーブルのルートについての既存ルートデータを受信するステップと、海底地形データおよび既存ルートデータに基づいて、水中ケーブルのルートを決定するためのモデルを作成するステップとを提供する。
【0004】
この方法は、受信した海底地形データに基づいて、1つ以上のプロセッサが、複数の既存の水中ケーブルのルートに沿ってケーブルを敷設するための速度データを生成するステップをさらに含んでもよく、モデルは、速度データにさらに基づいて作成されてもよい。
【0005】
この方法は、受信した海底地形データに基づいて、1つ以上のプロセッサが、複数の既存の水中ケーブルのルートに沿ったケーブル種類データを生成するステップをさらに含んでもよく、モデルは、ケーブル種類データにさらに基づいて作成されてもよい。
【0006】
この方法は、1つ以上のプロセッサが、水中ケーブルのルートを敷設するための所定のベストプラクティスルールを受信するステップをさらに含んでもよく、モデルを作成するステップは、所定のベストプラクティスルールにさらに基づいてもよい。所定のベストプラクティスルールは、パイプラインを横断する際のルール、水中の多くの山を含んだ領域でケーブルのたるみを処理する際のルール、水深に基づくケーブルの種類のルールのうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0007】
この方法は、複数の既存の水中ケーブルのルートに沿った船舶通航量に基づいて、1つ以上のプロセッサが、複数の既存の水中ケーブルのルートについての機能停止データを生成するステップをさらに含んでもよく、モデルを作成するステップは、機能停止データにさらに基づいてもよい。この方法は、1つ以上のプロセッサが、複数の既存の水中ケーブルのルートに沿った船舶の位置を、時間の経過とともに追跡するステップと、船舶の位置に基づいて、1つ以上のプロセッサが、複数の既存の水中ケーブルのルートに沿った1つ以上の特定の場所に1つ以上の船舶が所定の期間留まっていると判断するステップと、特定の場所に船舶が所定の期間留まっていることに基づいて、1つ以上のプロセッサが、特定の場所において機能停止が起こったと判断するステップとをさらに含んでもよい。
【0008】
この方法は、1つ以上のプロセッサが、複数の既存の水中ケーブルのルートについてのコスト情報を受信するステップをさらに含んでもよく、モデルは、コスト情報にさらに基づいて作成されてもよい。コスト情報は、ケーブルコスト、船舶コスト、領土コストのうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0009】
この方法は、1つ以上のプロセッサが、地表を表すグリッドを生成するステップと、1つ以上のプロセッサが、受信した海底地形データをグリッド上にマッピングするステップと、1つ以上のプロセッサが、受信した既存ルートデータをグリッド上にマッピングするステップとをさらに含んでもよく、モデルは、マッピングされた海底地形データおよびマッピングされた既存ルートデータを訓練用の入力として用いることによって作成されてもよい。
【0010】
この方法は、1つ以上のプロセッサが、第1の位置と第2の位置とを繋ぐ水中ケーブルのルートを求める要求を受け付けるステップと、第1の位置、第2の位置、および海底地形データに基づいて、1つ以上のプロセッサが、モデルを用いて1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成するステップとをさらに含んでもよい。
【0011】
この方法は、1つ以上のプロセッサが、地表を表すグリッドを生成するステップと、受信した海底地形データに基づいて、1つ以上のプロセッサが、1つ以上の所定の効率値をグリッド上の各ポイントに割り当てるステップとをさらに含んでもよく、モデルは、総合効率性スコアを最小にすることによって1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成するようにさらに構成されてもよい。
【0012】
この方法は、1つ以上のプロセッサが、モデルを用いて、第1の位置と第2の位置とを繋ぐ複数の経路候補の距離を決定するステップをさらに含んでもよく、1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成するステップは、距離にさらに基づいてもよい。
【0013】
この方法は、1つ以上のプロセッサが、地表を表すグリッドを生成するステップと、1つ以上のプロセッサが、1つ以上の水中ケーブルのルート候補を、グリッド上に表示するために提供するステップとをさらに含んでもよい。
【0014】
この方法は、1つ以上のプロセッサが、モデルを用いて、1つ以上の水中ケーブルのルート候補の各々についての距離を決定するステップと、1つ以上のプロセッサが、1つ以上の水中ケーブルのルート候補の各々についての距離を、表示用に提供するステップとをさらに含んでもよい。
【0015】
この方法は、1つ以上のプロセッサが、モデルを用いて、1つ以上の水中ケーブルのルート候補のコストを予想するステップと、1つ以上のプロセッサが、予想された1つ以上の水中ケーブルのルート候補のコストを、表示用に提供するステップとをさらに含んでもよい。
【0016】
この方法は、1つ以上のプロセッサが、1つ以上の水中ケーブルのルート候補のうちの、1つの水中ケーブルのルート候補の選択を受信するステップをさらに含んでもよく、1つ以上の水中ケーブルのルート候補は、複数の水中ケーブルのルートであってもよく、方法は、選択に基づいて、1つ以上のプロセッサが、モデルを最適化するステップをさらに含んでもよい。
【0017】
本開示は、さらに、1つ以上のプロセッサを備えるシステムを提供する。1つ以上のプロセッサは、海底地形データを受信し、複数の既存の水中ケーブルのルートについての既存ルートデータを受信し、海底地形データおよび既存ルートデータに基づいて、水中ケーブルのルート候補を決定するためのモデルを作成し、第1の位置と第2の位置とを繋ぐ水中ケーブルのルートを求める要求を受け付け、第1の位置、第2の位置、および受信した海底地形データに基づいて、モデルを用いて1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成するように構成される。システムは、地表を表すグリッド上に1つ以上の水中ケーブルのルート候補を出力するように構成されるディスプレイをさらに備えてもよい。
【0018】
本開示は、さらに、1つ以上のプロセッサが、海底地形データを受信するステップと、1つ以上のプロセッサが、複数の既存の水中ケーブルのルートについての既存ルートデータを受信するステップと、1つ以上のプロセッサが、海底地形データおよび既存ルートデータに基づいて、水中ケーブルのルート候補を決定するためのモデルを作成するステップと、1つ以上のプロセッサが、第1の位置と第2の位置とを繋ぐ水中ケーブルのルートを求める要求を受け付けるステップと、1つ以上のプロセッサが、記第1の位置、第2の位置、および受信した海底地形データに基づいて、モデルを用いて1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成するステップとを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の態様に係る、水中ケーブルのルートを計画するための例示的なシステムを示すブロック図である。
図2】本開示の態様に係る、水中ケーブルのルート候補を生成するための例示的なフロー図である。
図3】本開示の態様に係る、例示的なグリッドシステムを示す絵図である。
図4】本開示の態様に係る、特徴を抽出するための例示的なフロー図である。
図5】本開示の態様に係る、例示的な入力および出力を示す絵図である。
図6】本開示の態様に係る、水中ケーブルのルート計画モデルを最適化するための例示的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
概要
水中ケーブルのルート候補を自動的に生成するためのシステムを提供する。この点に関して、海底地形データおよび既存の水中ケーブルのルートを受け付けてもよく、海底地形データおよび既存ルートデータに基づいてモデルを作成してもよい。モデルが作成されると、第1の位置と第2の位置とを繋ぐ水中ケーブルのルートを求める要求を受け付けた場合、このモデルを使って、第1の位置、第2の位置、および海底地形データに基づいて1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成してもよい。
【0021】
モデルは、複数の既存の水中ケーブルのルートを訓練用の入力として含み、複数の既存の水中ケーブルのルートの地理座標を訓練用の出力として含む、領域についての情報を用いて作成されてもよい。このような領域についての情報は、当該領域の海底地形データを含んでもよい。既存の水中ケーブルのルートは前回の最適化の結果であるため、モデルは、これらの最適化におけるパターンを認識するように訓練されてもよい。いくつかの例では、受信した海底地形データおよび受信した既存ルートデータは、訓練用の入力として使われる前に、まず、地表を表すグリッドにマッピングされてもよい。
【0022】
さらには、モデルは、訓練用の入力される特徴として効率パラメータを使うことによって作成されてもよい。地表または地球の海底面を表すためにグリッドシステムが使われる場合、様々な効率パラメータに基づいて、グリッド上の各ポイントおよび/または各ラインなど、各グリッド要素に1つ以上の所定の効率値が割り当てられてもよい。たとえば、効率パラメータは、海底地形、ケーブル敷設速度、ケーブルの種類、ケーブルの機能停止率、およびコスト情報を含んでもよい。複数の効率パラメータが用いられる場合、異なる効率パラメータに関して各グリッド要素に割り当てられた効率値の和演算または重み付き和演算を実行することによって、グリッド要素ごとに集約効率パラメータを決定してもよい。さらには、ルートに沿った各ポイントにおける集約効率値の和演算または重み付き和演算を実行することによって、既存の水中ケーブルのルートごとの総合効率性スコアを決定してもよい。したがって、既存の水中ケーブルのルートおよび割り当てられた所定の効率値を用いて、モデルを、より効率的な水中ケーブルのルート候補を形成するグリッド上のポイントを選択するように訓練してもよい。たとえば、モデルを、1つ以上の効率パラメータを含む損失関数を最小にするように訓練してもよい。その結果、総合効率性スコアが低い1つ以上の水中ケーブルのルート候補が得られる。これに加えて、モデルを、水中ケーブルのルート候補の総距離を最小にするグリッド上のポイントを選択するようにさらに訓練してもよい。
【0023】
いくつかの例では、特定の効率パラメータを、海底地形データに基づいて導出してもよい。たとえば、水の深度が高くなると、ケーブルを敷設するために必要な時間および/または資源が抑えられるので、水の深度が高いポイントほど、高い所定の効率値が割り当てられてもよい。このような依存関係は、数字関数によって、または所定の値を含んだルックアップテーブルによって表されてもよい。たとえば、ケーブル敷設速度およびケーブルの種類を、海底地形の値に基づいて導出してもよい。その他の例では、特定の効率パラメータを、海底地形データに基づいて導出しなくてもよい。たとえば、もう一つの選択肢として、ケーブル敷設速度およびケーブルの種類についてのデータを、海底地形の値に基づいて導出するのではなく、受信してもよい。下記の例で説明するが、コスト情報、ケーブルの機能停止率などを、海底地形データに基づいてではないその他の方法で導出したり、受信したりしてもよい。
【0024】
訓練が済むと、モデルを、水中ケーブルのルート候補を生成するために用いてもよい。たとえば、第1の位置と第2の位置とを繋ぐ水中ケーブルのルートを求める要求を受け付けてもよい。第1の位置、第2の位置、および海底地形データに基づいて、モデルは、1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成してもよい。モデルは、ケーブル敷設速度、ケーブルの種類、機能停止率、コスト情報など、効率パラメータをさらに利用して1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成してもよい。たとえば、モデルは、ルートの総合効率性スコアを最小にするための第1の位置と第2の位置とを繋ぐポイントを選択するなどによって、1つ以上の効率パラメータを含む損失関数を最小にしてもよい。これに加えて、モデルは、ルートの総距離を最小にすることによって水中ケーブルのルート候補を生成するようにさらに構成されてもよい。
【0025】
1つ以上の水中ケーブルのルート候補は、生成されると、出力として提供されてもよい。たとえば、1つ以上の水中ケーブルのルート候補の地理座標を、ファイルとして提供してもよい。別の例として、1つ以上の水中ケーブルのルート候補を、地表を表すグリッド上にマッピングするなどして、表示用に提供してもよい。総距離、コスト、ケーブルの種類、ケーブルを敷設するために必要な時間、領土情報など、1つ以上の水中ケーブルのルート候補についての追加情報を、表示用に提供してもよい。
【0026】
モデルを、さらなる訓練のために最適化してもよい。たとえば、モデルによって複数の水中ケーブルのルート候補を生成し、表示用に提供してもよい。水中ケーブルのルート計画の知識を有する者など、ユーザが水中ケーブルのルート候補の中から1つを選択してもよい。ユーザは、モデルによって生成されるルート候補についての情報に基づいて、またはモデルによって考慮されていない要因を含む個人的知識または経験に基づいて、この選択を行ってもよい。次に、選択されたルートを含む領域についての情報を訓練用の入力として利用してもよく、選択されたルートを訓練用の出力として利用してもよい。このように、モデルを、このような選択から学習するように訓練してもよい。これら選択は、人間による最適化による結果である。
【0027】
この技術は、天然資源を有効利用するため、および安全性を向上させるために最適化された水中ケーブルのルート候補を生成する。同時にたくさんの要因を考慮できるモデルを構築することによって、少ない時間でルートを計画できるようになり、これにより、人力も抑えられる。人間のフィードバックおよび新たに開発されたケーブルルートに基づいて、モデルを洗練して更新することができる。さらには、モデルを構築するために使われるデータの量は大きいかもしれないが、ユーザは、単純な情報をモデルに入力するだけでよく、分かりやすい情報がユーザに提示される。
【0028】
システム例
図1は、水中ケーブルのルートを生成するために使われる例示的なシステムを示す図である。これは、本開示の範囲または本明細書に記載の特徴の有用性を限定するものとして考えられるべきではない。この例では、システム100は、1つ以上のコンピューティングデバイス160、170およびストレージシステム140とネットワーク150を通して通信する1つ以上のコンピューティングデバイス110を備え得る。コンピューティングデバイス110、160、170の各々は、1つ以上のプロセッサと、メモリと、汎用コンピューティングデバイスにおいて通常存在するその他の構成要素とを備えてもよい。たとえば、コンピューティングデバイス110のメモリ130は、1つ以上のプロセッサ120によって実行され得る命令134を含む、1つ以上のプロセッサ120がアクセス可能な情報を格納することができる。
【0029】
また、メモリ130は、プロセッサが検索したり、操作したり、格納したりできるデータ132を含み得る。メモリは、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、CD−ROM、書き込み可能メモリ、および読取り専用メモリなど、プロセッサがアクセス可能な情報を格納可能な非一時的なメモリであり得る。たとえば、データ132は、海底地形データ、ケーブル敷設速度データ、ケーブル種類データ、ベストプラクティスルール、船舶通航量のデータ、既存のケーブルルートのデータ、コスト情報、パラメータ、閾値、水中ケーブルのルートを生成するためのモデルなどを含んでもよい。
【0030】
命令134は、機械コードなど1つ以上のプロセッサによって直接実行される任意の命令セット、またはスクリプトなど間接的に実行される任意の命令セットであり得る。その点では、「命令」、「アプリケーション」、「ステップ」、および「プログラム」という用語は、本明細書において同義で用いられ得る。これらの命令は、プロセッサによって直接処理するためにオブジェクトコード形式で格納したり、その他のコンピューティングデバイス言語で格納したりすることができる。その他のコンピューティングデバイス言語として、要求に基づいて解釈されたり予めコンパイルされたりするスクリプトまたは独立したソースコードモジュールの集合などが挙げられる。命令の関数、メソッドおよびルーチンについてのさらなる詳細は、後述する。たとえば、命令134は、データを処理する方法、モデルを作成する方法、水中ケーブルのルートを作成するためにモデルを使うこと、ディスプレイを生成することなどを含んでもよい。
【0031】
データ132は、命令134に従って、1つ以上のプロセッサ120によって検索されたり、格納されたり、変更されてもよい。たとえば、本明細書に記載の発明の主題は、任意の特定のデータ構造によって限定されないが、データを、コンピュータレジスタに格納することができ、多くの異なるフィールドおよびレコードを有するテーブル、またはXML文書として、リレーショナルデータベースに格納することができる。また、データを、バイナリ値、ASCIIまたはUnicodeなど、任意のコンピューティングデバイスが読み取り可能な形式にフォーマットすることができるが、これらに限定されない。また、データは、数字、説明文、私有コード、ポインタ、その他のネットワークの場所など、その他のメモリに格納されたデータについての記述、または、関数が関連データを算出するために使う情報など、関連情報を識別するのに十分な任意の情報から構成され得る。
【0032】
1つ以上のプロセッサ120は、市販のCPUなど、任意の従来のプロセッサであり得る。あるいは、プロセッサは、特定用途向け集積回路(「ASIC」)またはその他のハードウェアベースのプロセッサなど、専用コンポーネントであり得る。必須ではないが、コンピューティングデバイス110は、映像の復号化、映像フレームを画像と一致させること、映像のディストーション、ディストーションされた映像の符号化など、特定の計算処理をより高速に、または効率よく実行するための専門のハードウェアコンポーネントを含んでもよい。
【0033】
図1は、コンピューティングデバイス110のプロセッサ、メモリ、およびその他の要素が同じブロック内にあると機能的に示しているが、実際は、プロセッサ、コンピュータ、コンピューティングデバイス、またはメモリは、複数のプロセッサ、複数のコンピュータ、複数のコンピューティングデバイス、または複数のメモリから構成され、これらは同じ物理的な筐体に格納されてもよいし、同じ物理的な筐体に格納されていなくてもよい。たとえば、メモリは、コンピューティングデバイス110の筐体とは異なる筐体に位置するハードドライブまたはその他の記憶媒体であり得る。したがって、プロセッサ、コンピュータ、コンピューティングデバイス、またはメモリについての記述は、複数のプロセッサ、複数のコンピュータ、複数のコンピューティングデバイス、または複数のメモリの集合についての記述を含み、これらは並列して動作してもよいし、並列して動作しなくてもよい。たとえば、コンピューティングデバイス110は、負荷が分散されたサーバファーム、分散システムなどとして動作するサーバコンピューティングデバイスを含んでもよい。さらには、後述するいくつかの機能は、1つのプロセッサを有する1つのコンピューティングデバイス上で実施されるとして示されているが、本明細書に記載の発明の主題の様々な態様は、たとえば、ネットワーク150上で情報を伝達する複数のコンピューティングデバイスによって実現することができる。
【0034】
コンピューティングデバイス110、160、170の各々は、ネットワーク150の異なるノードにあり、ネットワーク150のその他のノードと直接または間接的に通信可能である。図2では少数のコンピューティングデバイスしか示されていないが、当然のことながら、通常のシステムは、多数の互いに接続されたコンピューティングデバイスを含み得、各異なるコンピューティングデバイスは、ネットワーク150の異なるノードにある。ネットワークがインターネット、World Wide Web、特定のイントラネット、ワイドエリアネットワーク、またはローカルネットワークの一部になるよう、様々なプロトコルおよびシステムを用いて、本明細書に記載のネットワーク150および中間ノードをルーティングすることができる。このネットワークは、1つ以上の会社のプロプライエタリなプロトコルであるEthernet(登録商標)、WiFi、およびHTTPプロトコル、およびこれらの様々な組合せなど、標準の通信プロトコルを利用することができる。情報を上述したように送受信した場合特定の利点が得られるが、本明細書に説明する発明の主題のその他の態様は、いずれの特定の情報送信方法にも限定されない。
【0035】
例として、コンピューティングデバイス110は、サーバコンピューティングデバイスであってもよく、コンピューティングデバイス160、170は、クライアントコンピューティングデバイスであってもよい。たとえば、コンピューティングデバイス110は、ネットワーク150を経由してストレージシステム140およびコンピューティングデバイス160、170と通信可能なウェブサーバを含んでもよい。たとえば、コンピューティングデバイス110は、ユーザに情報を送信してコンピューティングデバイス160のディスプレイ165などのディスプレイ上で提示するためにネットワーク150を利用できるサーバコンピューティングデバイスであってもよい。
【0036】
クライアントコンピューティングデバイス160、170の各々は、サーバコンピューティングデバイス110と同様に、上述したような1つ以上のプロセッサ、メモリ、および命令を有して構成されてもよい。クライアントコンピューティングデバイス160、170の各々は、ユーザによって使用されることを意図したパーソナルコンピューティングデバイスであってもよく、パーソナルコンピューティングデバイスに関連して通常使われるすべてのコンポーネントを有してもよい。たとえば、図に示すように、クライアントコンピューティングデバイス160は、プロセッサ161(たとえば、CPU:Central Processing Unit)と、データ163および命令164を格納するメモリ162(たとえば、RAMおよび内蔵ハードドライブ)と、ディスプレイ165(たとえば、画面を有するモニタ、タッチスクリーン、プロジェクター、テレビ、または情報を表示するために動作可能なその他のデバイス)などのディスプレイと、ユーザ入力装置166(たとえば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、またはマイクロフォン)とを備える。また、クライアントコンピューティングデバイス160は、ビデオストリームを記録するおよび/または画像を撮影するためのカメラ167と、スピーカーと、ネットワークインターフェース装置と、これらの要素を互いに接続するために用いられるすべてのコンポーネントとを備えてもよい。また、クライアントコンピューティングデバイス160は、GPS168など、位置特定システムを備えてもよい。位置特定システムのその他の例は、ワイヤレスアクセス信号強度、ランドマークなど、地理的物体の画像、光または雑音の程度などの意味論的(セマンティック)表示に基づいて位置を特定してもよい。
【0037】
クライアントコンピューティングデバイス160、170の各々は、フルサイズのパーソナルコンピューティングデバイスから構成されてもよいが、もう一つの選択肢として、インターネットなどのネットワーク上でサーバとデータをワイヤレスにやり取りできるモバイルコンピューティングデバイスから構成されてもよい。あくまでも一例として、クライアントコンピューティングデバイス160、170は、携帯電話もしくはワイヤレス対応のPDAなどのデバイス、タブレット端末PC、ネットブック、スマートウォッチ、ヘッドマウント式のコンピューティングシステム、またはインターネットを経由して情報を取得可能なその他のデバイスであってもよい。例として、ユーザは、小型キーボード、キーパッド、マイクロフォン、カメラと合わせて映像信号を用いて、またはタッチスクリーンを用いて情報を入力してもよい。
【0038】
メモリ130と同様に、ストレージシステム140は、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、CD−ROM、書き込み可能メモリ、および読取り専用メモリなど、サーバコンピューティングデバイス110がアクセス可能な情報を格納可能な任意の種類のコンピュータ化されたストレージであり得る。これに加えて、ストレージシステム140は、複数の異なる記憶装置上にデータが格納される分散型ストレージシステムを含んでもよい。当該複数の異なる記憶装置は、同じ地理的位置に物理的に存在してもよく、異なる地理的位置に物理的に存在してもよい。図に示すように、ストレージシステム140は、ネットワーク150を経由して様々なコンピューティングデバイスに接続されてもよく、および/または、コンピューティングデバイス110、160、170のいずれかに直接接続されてもよい。
【0039】
方法例
上述した例示的なシステムに加えて、例示的な方法をここで説明する。このような方法は、上述したシステム、その変形例、または異なる構成を有する多種多様なシステムのいずれかを用いて実行されてもよい。下記の方法に含まれる動作を、記載の順序に厳密に実行する必要はないことを理解されたい。むしろ、様々な動作を異なる順序または同時に処理してもよく、動作を追加してもよいし、省略してもよい。
【0040】
図2は、モデルを用いて水中ケーブルのルート候補を生成するための例示的なフロー図200を示す。フロー図200は、図1に示す1つ以上のプロセッサ120など、1つ以上のプロセッサによって実行されてもよい。たとえば、フロー図200に示すように、プロセッサ120は、データを受信して、様々な判断を行ってもよい。
【0041】
図2を参照すると、ブロック210において、海底地形データを受信してもよい。たとえば、図1のプロセッサ120は、海底地形データを、データベースから受信する、ネットワーク上で別のコンピューティングデバイスから受信するなどしてもよい。受信した海底地形データは、図1に示すメモリ130のデータ132など、メモリに格納されてもよい。受信した海底地形データは、水中の地形または高度に関連する任意のデータを含んでもよい。たとえば、受信した海底地形データは、水深データを含んでもよい。受信した海底地形データは、地球規模のデータであってもよく、湖、河川、海など、地球上の任意の数の水域についてのデータを含んでもよい。あるいは、海底地形データは、領域的なデータであって、特定の海洋、特定の領界内の領域など、1つ以上の特定の対象領域についてのデータのみを含んでもよい。
【0042】
ブロック220において、複数の既存の水中ケーブルのルートについての既存ルートデータを受信してもよい。たとえば、プロセッサ120は、既存ルートデータを、データベースから受信する、ネットワーク上で別のコンピューティングデバイスから受信するなどしてもよい。受信した既存ルートデータは、図1に示すメモリ130のデータ132など、メモリに格納されてもよい。受信した既存ルートデータは、複数の既存の水中ケーブルのルートに関連する任意のデータを含んでもよい。たとえば、既存の水中ケーブルのルートについての既存ルートデータは、当該既存の水中ケーブルのルートに沿った様々なポイントの地理座標を含んでもよい。このような地理座標は、GPS座標、経度、緯度などであってもよい。たとえば、ケーブルルートの地理座標は、RPL(Route Position List)として提供されてもよい。既存ルートデータは、地球規模のデータであって、世界中の任意の数の既存の水中ケーブルのルートデータを含んでもよく、あるいは、領域的なデータであって、特定の対象領域のデータに限られてもよい。
【0043】
いくつかの例では、受信した海底地形データおよび受信した既存ルートデータを、モデルを訓練するために使用する前に、訓練データとして用意してもよい。そうするために、受信した既存ルートデータを、受信した海底地形データと相関付けてもよい。たとえば、図3は、グリッドシステム上に受信した海底地形データと受信した既存ルートデータとの相関関係を、簡略化された絵によって表したものである。
【0044】
図3に示すように、地表および/または地球の海底面を表すためのグリッド300を生成してもよい。たとえば、グリッド300は、緯度線310および経度線320など、複数の緯度線および複数の経度線を含む。さらに、図に示すように、緯度線310と経度線320との交差によって形成されたポイント330など、緯度線と経度線とが様々なポイントで交差してもよい。交点330は、地表上の座標[x,y]に相当してもよい。説明を容易にするために、グリッド300では少ない数の経度線、緯度線、および交点しか示していないが、実際の状況では、グリッド300は、細粒化され、多数の経度線、緯度線、および交点を含むであろう。たとえば、グリッドは、実際の状況で適切であると思われる、1メートル以内、数メートル以内などで離れたラインを含んでもよい。さらには、ラインを直線で示しているが、その他の例では、グリッドのラインは、水域の境界をなぞるように曲線状であってもよい。
【0045】
次に、受信した海底地形データをグリッド300上にマッピングしてもよい。このように、グリッド300のポイントごとに海底地形値があってもよい。たとえば、図に示すように、交点330は、ここで、値のセット[x,y,z]を含んでもよい。xおよびyは、地表上の地理座標であり、zは、水深である。受信した海底地形データの粒度がグリッド300よりも細粒化されている場合、追加の海底地形値は、削除してもよい。受信した海底地形データの粒度がグリッド300よりも粗い場合、外挿法を利用して、グリッド300上に中間の海底地形値のポイントを生成してもよい。
【0046】
また、さらに図3に示すように、複数の既存の水中ケーブルのルート上にある、受信した既存ルートデータを、グリッド300にマッピングしてもよい。たとえば、地表の地理座標に基づいて、既存の水中ケーブルのルート340および既存の水中ケーブルのルート350を、グリッド300上にマッピングする。このように、既存の水中ケーブルのルート340、350に沿った各ポイントは、値のセット[x,y,z]を含んでもよい。xおよびyは、地表上の地理座標であり、zは、水深である。ポイントおよび/またはラインによってなど、グリッド300の要素によって所与のルートを近似したり、表したりしてもよい。たとえば、最小二乗誤差またはその他の適切な近似法など、特定の測定パラメータに従って所与のルートを近似してもよい。受信した既存ルートデータの粒度がグリッド300よりも細かい場合、追加の既存ルートデータポイントは、削除してもよい。受信した既存ルートデータの粒度がグリッド300よりも粗い場合、外挿法を利用して、既存の水中ケーブルのルートに沿って中間ポイントを生成してもよい。
【0047】
図2に戻ると、ブロック230において、海底地形データおよび既存ルートデータに基づいて、水中ケーブルのルートを決定するためのモデルを作成してもよい。この点に関して、当該モデルは、受信した海底地形データおよび既存ルートデータを訓練データとして用いて機械学習モデルを訓練することによって作成されてもよい。既存の水中ケーブルのルートは、前回実行された最適化の結果であると思われるため、最適化によって生じ得るパターンを学習するよう、これらの既存の水中ケーブルのルートを用いて機械学習モデルが訓練されてもよい。この点に関してさらには、モデルは、いくつかの種類のモデルのうちのいずれであってもよい。いくつかの例として、モデルは、線形回帰モデルなどの回帰モデル、ニューラルネットワークモデル、ランダムフォレストモデル、決定木モデルなどであってもよい。
【0048】
教師あり訓練法を使ってモデルを訓練してもよい。たとえば、複数の既存の水中ケーブルのルートを含んだ領域における地理座標および海底地形データを訓練用の入力として利用し、既存の水中ケーブルのルートの地理座標および海底地形データを訓練用の出力として利用してもよい。領域は、いずれの方法で選択されてもよい。たとえば、既存の水中ケーブルのルート340を囲むいくつかの任意の境界を有する領域342が選択されてもよい。別の例として、既存の水中ケーブルのルート350がある水域に対応する境界を有する領域352が選択されてもよい。このように、モデルを、最適化されたルートをもたらす既存の水中ケーブルのルートの海底地形データにおけるパターンを認識するように訓練する。たとえば、モデルを、既存の水中ケーブルのルートが所定の値よりも水深が浅いエリアを回避していると認識するように訓練してもよい。前述したように、海底地形データおよび既存ルートデータを、訓練データとして使用する前に、まず、グリッド300など、同じシステムにマッピングしてもよい。
【0049】
さらには、モデルを、1つ以上の効率パラメータにさらに基づいて水中ケーブルのルートを生成するように訓練してもよい。たとえば、水中の深さなど、特定の条件が、ケーブルを敷設するために必要な特定の時間および/または特定の量の資源に対応してもよい。これらの条件を、効率パラメータとして利用してもよい。たとえば、1つ以上の所定の効率値を、対応する海底地形値に基づいて、グリッド300上の各ポイントおよび/または各ラインに割り当ててもよい。たとえば、水深が高いポイントほど、高い所定の効率値が割り当てられてもよく、これにより、ケーブルを敷設するために必要な時間および/または資源が減少する。あるいは、水深が低いポイントほど、低い所定の効率値が割り当てられるよう、関係性が定義されてもよい。このように、既存の水中ケーブルのルートは、既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイントに割り当てられた所定の効率値に基づいた総合効率性スコアを有してもよい。たとえば、総合効率性スコアは、既存の水中ケーブルのルートに沿った複数のポイントに割り当てられた所定の効率値の和または重み付き和であってもよい。したがって、既存の水中ケーブルのルートを利用して、モデルを、総合効率性を最適化する水中ケーブルのルート候補を生成するように訓練してもよい。この点に関して、最適化は、効率値がどのように割り当てられるかに応じて、総合効率性スコアを最小にしたり、最大にしたりしてもよい。たとえば、モデルは、ルートに沿った所定の効率値の和または重み付き和が最小の総合効率性スコアをもたらすグリッド上のポイントを選択するなど、様々な効率パラメータを有する損失関数を最小にすることによって、水中ケーブルのルート候補を生成するように構成されてもよい。
【0050】
この点に関して、図4は、効率的な水中ケーブルのルートを生成するようにモデルを訓練するための様々な特徴がどのように抽出されるかを示すフロー図400を示す。たとえば、フロー図400に示す各特徴を、任意の組合せで、モデルにおける効率パラメータとして利用してもよい。フロー図400は、図1に示す1つ以上のプロセッサ120など、1つ以上のプロセッサによって実行されてもよい。たとえば、フロー図400に示すように、プロセッサ120は、データを受信して、様々な決定を行ってもよい。
【0051】
図4を参照すると、ブロック410において、受信した海底地形データに基づいて、水中にケーブルを敷設するための速度データを生成してもよい。速度データは、水中ケーブルを敷設するときに船舶などの船が達成できる速度であってもよい。たとえば、ケーブル敷設速度は、水深によって異なってもよく、速度は、水深が浅いほうよりも水深が深いほうが速くてもよい。さらには、特定の所定の水深に対するケーブル敷設速度が既知であってもよい。このように、既知の値および/または既知の関係性に基づいて、既存の水中ケーブルのルートに沿ったポイントごと、1つ以上の対象領域でのポイントごと、またはグリッド300上のポイントおよび/またはラインごとに、ケーブル敷設速度が生成されてもよい。たとえば、既知の値および/または既知の関係性に基づいて、各水深または水深の範囲に対応する速度値を含んだルックアップテーブルを作成してもよい。次に、グリッド300上のポイントに対する速度値を生成するために、プロセッサ120は、ルックアップテーブルにアクセスして、そのノードにおける水深または水深の範囲に対応する速度値を見つけてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、線形関数または非線形関数など、数字関数を生成して、速度値と水深との対応関係を表してもよい。
【0052】
モデルを、速度データに基づいて効率的な水中ケーブルのルートを生成するように訓練してもよい。たとえば、ケーブル敷設速度が速いと、ルートに沿ってケーブルを敷設するために必要な時間が抑えられ、これにより、燃料および人力などの資源の使用量が抑えられる。したがって、所定の効率値を、対応する速度データに基づいて、既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイント、1つ以上の対象領域における各ポイント、またはグリッド300上の各ポイントおよび/または各ラインに割り当ててもよい。たとえば、ケーブル敷設速度が速いポイントほど、高い所定の効率値が割り当てられてもよく、これにより、ケーブルを敷設するために必要な時間および/または資源が減少する。よって、既存の水中ケーブルのルートの総合効率性スコアは、既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイントでの速度データにさらに基づいてもよい。このように、既存の水中ケーブルのルートを利用して、モデルを、全体のケーブル敷設速度を上げることによって総合効率性スコアを最大にする水中ケーブルのルート候補を生成するように訓練してもよい。たとえば、モデルは、ケーブル敷設速度をパラメータとして含む損失関数を最小にすることによって水中ケーブルのルート候補を生成するように構成されてもよい。
【0053】
ブロック420において、受信した海底地形データに基づいて、ケーブル種類データを生成してもよい。ケーブルの種類は、異なる材料、異なる伝送速度、伝送モードなど、多くの異なるプロパティを含んでもよい。たとえば、適切な種類のケーブルは、水深、水温、水の組成物、水流の速度などによって異なってもよい。さらには、特定の所定の水深範囲に対して要求または推奨されるケーブルの種類が既知であってもよい。よって、既知の値および/または既知の関係性に基づいて、既存の水中ケーブルのルートに沿ったポイントごと、1つ以上の対象領域でのポイントごと、またはグリッド300上のポイントおよび/またはラインごとにケーブルの種類を生成してもよい。たとえば、既知の値および/または既知の関係性に基づいて、各水深または水深の範囲に対応する1つ以上の要求または推奨されるケーブルの種類を含んだルックアップテーブルを作成してもよい。次に、グリッド300上のポイントに対するケーブルの種類を決定するために、プロセッサ120は、ルックアップテーブルにアクセスして、そのノードにおける水深または水深の範囲に対応する1つ以上のケーブルの種類を見つけてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、線形関数または非線形関数など、数字関数を生成して、速度値と水深との対応関係を表してもよい。
【0054】
モデルを、ケーブル種類データに基づいて効率的な水中ケーブルのルートを生成するように訓練してもよい。たとえば、特定の種類のケーブルは、少量の材料を使う、エネルギー消費が少ない、環境にやさしい、および/または費用がかからないなどの点で、その他の種類よりも効率的である可能性がある。したがって、所定の効率値を、対応する要求されるケーブルの種類に基づいて、既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイント、1つ以上の対象領域における各ポイント、またはグリッド300上の各ポイントおよび/または各ラインに割り当ててもよい。たとえば、少量の材料を使う、エネルギー消費が少ない、環境にやさしい、および/または費用がかからないケーブルの種類を使用するポイントほど、高い所定の効率値が割り当てられてもよい。よって、既存の水中ケーブルのルートの総合効率性スコアは、既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイントでのケーブル種類データにさらに基づいてもよい。このように、既存の水中ケーブルのルートを利用して、モデルを、より効率的なケーブルの種類が使われるポイントを優先することによって総合効率性スコアを最大にする水中ケーブルのルート候補を生成するように訓練してもよい。たとえば、モデルは、ケーブルの種類をパラメータとして含む損失関数を最小にすることによって水中ケーブルのルート候補を生成するように構成されてもよい。
【0055】
ブロック430において、既存の水中ケーブルのルートについての機能停止データを生成してもよい。水中ケーブルの故障または破損の結果、機能停止が起こる場合がある。機能停止データは、船舶通航量のデータに基づいて生成されてもよい。船舶通航量のデータは、衛星画像、レーダ画像、およびその他の信号を含んでもよい。例として、AIS(Automatic Identification System)は、VTS(Vessel Traffic Service)が利用する自動追跡システムである。この点に関して、トランシーバまたはトランスポンダーなど、船舶上のAIS設備が、船舶の一意のIDまたはシグネチャ、およびその地理的位置、航路、速度などの情報を一斉送信してもよい。このように、AISトランシーバが装備された船舶は、沿岸に沿って位置するAIS基地局によって追跡される場合があり、地上ネットワークの圏外にいる場合は、大量の船舶シグネチャ同士を区別できる特殊なAISレシーバを装備した衛星によって追跡される場合がある。
【0056】
たとえば、既存の水中ケーブルのルートに沿って機能停止が起こった場合、船舶は、機能停止した場所に少しの間留まり、機能停止を修理する場合がある。通常の修理時間は、12時間と36時間との間であり得る。このように、船舶の位置を時間の経過とともに追跡するために、船舶通航量のデータを利用してもよい。時間の経過とともに追跡された場所に基づいて、船舶が既存の水中ケーブルのルートに沿ったポイントに所定の期間留まっているかどうかを判断してもよい。これは、そのポイントでの機能停止を示す。たとえば、所定の期間は、12時間〜36時間の間など、平均修理時間に基づいて設定されてもよい。
【0057】
これに加えて、1つ以上の特定の種類の船舶を工作船として識別してもよい。たとえば、工作船は、船が一斉送信するAIS信号に含まれる一意のIDおよび/またはシグネチャによって識別されてもよい。このように、場合によっては、工作船として識別された船舶の通航量データのみを監視してもよい。これは、すべての船舶の通航量を監視するよりも効率的であろう。さらには、工作船がこれまでドックに入れられた港またはドックに入れられる可能性のある港として、1つ以上の位置を識別してもよい。このように、場合によっては、このような位置からの船舶の通航量データのみを監視してもよい。あるいは、このような位置からの船舶の通航量データは、その他の位置よりも頻度の高い時間間隔で追跡されるなど、より厳重に監視されてもよい。
【0058】
さらには、一定期間の間に既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイントで発生した修理の回数を追跡することによって、そのポイントでの機能停止率を、時間の経過とともに判断してもよい。よって、これに加えて、既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイントの機能停止率に基づいて、ヒートマップを作成してもよい。
【0059】
モデルを、機能停止データに基づいて効率的な水中ケーブルのルートを生成するように訓練してもよい。たとえば、機能停止率が高い場所が、その場所でケーブルを保守するためにより多くの天然資源および人材が必要になることを示し得、これにより、資源が有効に利用されない。したがって、所定の効率値を、既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイントに割り当ててもよい。たとえば、機能停止率が低いポイントほど、高い所定の効率値が割り当てられてもよい。よって、既存の水中ケーブルのルートの総合効率性スコアは、既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイントにおける機能停止率にさらに基づいてもよい。このように、既存の水中ケーブルのルートを利用して、モデルを、機能停止率が低いポイントを優先するまたは機能停止率が高いポイントを回避することによって総合効率性スコアを最大にする水中ケーブルのルート候補を生成するように訓練してもよい。たとえば、モデルは、機能停止率をパラメータとして含む損失関数を最小にすることによって水中ケーブルのルートを生成するように構成されてもよい。これに加えて、または代わりに、機能停止率が高いポイントについて、モデルは、追加の外装、埋設、バイパス、またはウェットメッシュが、このようなポイントの近くのエリアのどこにあるかを示す情報など、追加情報を提供してもよい。
【0060】
ブロック440において、既存の水中ケーブルのルートについての距離データを生成し、モデルを訓練するために利用してもよい。たとえば、既存の水中ケーブルのルート毎の総距離は、ルートに沿ったポイントの海底地形データおよび/または地理座標に基づいて判断されてもよい。距離が短いと、燃料、労働力、ケーブル材料など、必要とする天然資源および人材が少なくて済むので、この距離データは、モデルがより短い距離の経路を優先するように学習するよう、訓練用の入力として使われてもよい。たとえば、総距離が短いほど、所定の効率値が高くなるよう、総距離に基づいて所定の効率値が割り当てられてもよい。この点に関して、既存の水中ケーブルのルートを利用して、モデルを、より短い距離の経路候補を優先することによって総合効率性スコアを最大にする水中ケーブルのルート候補を生成するように訓練してもよい。たとえば、モデルは、総距離を効率パラメータとして含む損失関数を最小にすることによって水中ケーブルのルート候補を生成するように構成されてもよい。
【0061】
ブロック410、420、430、440において速度データ、ケーブル種類データ、機能停止データ、距離データを生成することの代わりに、場合によっては、これらのデータの一部またはすべてを受信してもよい。たとえば、速度データ、ケーブル種類データ、機能停止データ、距離データのうちの1つ以上を、プロセッサ120によって、データベースから受信する、ネットワーク上で別のコンピューティングデバイスから受信するなどしてもよい。別の例では、複数の既存の水中ケーブルのルートについての速度データおよび/またはケーブル種類データを受信してもよいが、グリッド300上のその他のポイントについての速度データおよび/またはケーブル種類データを、外挿法などによって生成してもよい。
【0062】
また、モデルを訓練するためのその他の情報を受信してもよい。図4を引き続き参照すると、ブロック450において、コスト情報を受信してもよい。たとえば、既存の水中ケーブルのルートについて、異なる種類のケーブル、船の燃料、人による労働力、領土の許可などのコストを受信してもよい。このように、所定の効率値を、既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイント、対象領域における各ポイント、またはグリッド300上の各ポイントおよび/または各ラインに割り当ててもよい。たとえば、コストが低いポイントほど、高い所定の効率値が割り当てられてもよい。よって、既存の水中ケーブルのルートの総合効率性スコアは、既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイントのコスト情報にさらに基づいてもよい。このように、既存の水中ケーブルのルートを利用して、モデルを、コストが低いポイントを優先することによって総合効率性スコアを最大にする水中ケーブルのルート候補を生成するように訓練してもよい。たとえば、モデルは、コストをパラメータとして含む損失関数を最小にすることによって水中ケーブルのルートを生成するように構成されてもよい。
【0063】
ブロック460において、水中ケーブルを敷設するための所定のベストプラクティスルールを受信してもよい。このような所定のベストプラクティスルールは、様々な団体から取得されてもよい。当該団体は、安全上の理由、環境上の理由、効率性上の理由、およびその他の理由に基づいてルールを設定してもよい。例示的なルールとして、国際ガイドラインが、水中ケーブルは石油パイプラインに垂直に敷設されなければならないと規定している場合がある。別の例示的なルールが、山の多い領域でどのようにケーブルのたるみを処理しなければならないかを規定している場合がある。さらには、水深に基づいて使われるケーブルの種類についてのベストプラクティスルールがあってもよい。これらのベストプラクティスルールは、モデルがこれらのルールに従う既存の水中ケーブルのルートにおけるパターンを認識するように学習するよう、訓練用の入力として使われてもよい。たとえば、領域のすべての石油パイプラインのマップを取得する代わりに、モデルは、その領域のすべての既存の水中ケーブルが同じ方向に沿って敷設されていると認識してもよい。水中ケーブルは石油パイプラインに垂直に敷設されなければならないというベストプラクティスルールに基づいて、モデルは、その領域の石油パイプラインの存在および方向を推測することにより、石油パイプラインについての実際の知識がなくてもその方向に沿って水中ケーブルのルートを生成し続ければよい。
【0064】
さらには、その他の種類のデータを用いてモデルを訓練してもよい。また、たとえば、漁業データを使ってモデルを訓練してもよい。この点に関して、衛星画像、レーダ画像、AIS信号、およびその他の信号など、船舶通航量のデータを用いて漁業活動を分析してもよい。たとえば、漁業活動が水中ケーブルに影響を与える可能性がある。たとえば、漁網がケーブルに絡まって故障の原因となる可能性があり、これによって機能停止が起こる場合がある。このように、時間の経過とともに漁船通航量を追跡して、漁業活動のレベルを判断してもよい。所定の効率値を、既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイント、1つ以上の対象領域における各ポイント、またはグリッド300上の各ポイントおよび/または各ラインに割り当ててもよい。たとえば、漁業活動レベルが低いポイントほど、高い所定の効率値が割り当てられてもよい。
【0065】
これに加えて、異なる種類の漁船、設備、および/または移動パターンなど、異なる種類の漁船および/または活動を、水中ケーブルを破損させる異なるリスクレベルと対応付けてもよい。この点に関して、既存の水中ケーブルのルートの場所またはその近くの漁船の通航量データと、これらの場所またはその近くのケーブルの機能停止率とを利用して、モデルを、異なる種類の漁船および/または活動によって生じる、水中ケーブルのルートに対する異なるレベルのリスクを認識するように訓練してもよい。このように、漁船および/または活動の種類にさらに基づいて、所定の効率値を、既存のケーブルルートに沿った各ポイント、1つ以上の対象領域における各ポイント、またはグリッド300上の各ポイントおよび/または各ラインに割り当ててもよい。
【0066】
既存の水中ケーブルのルートの総合効率性スコアは、漁業活動レベル、漁船の種類、および/または既存の水中ケーブルのルートに沿った各ポイントでの漁業活動の種類にさらに基づいてもよい。このように、既存の水中ケーブルのルートを利用して、モデルを、漁業活動レベルが低いポイントおよび/または水中ケーブルに対するリスクが高い特定の種類の漁船または漁業活動があまり一般的でないポイントを優先することによって総合効率性スコアを最大にする水中ケーブルのルート候補を生成するように訓練してもよい。たとえば、モデルは、漁業活動レベル、漁船の種類、および/または漁業活動の種類をパラメータとして含む損失関数を最小にすることによって水中ケーブルのルートを生成するように構成されてもよい。
【0067】
ポイントまたはラインのような各グリッド要素に関して、図3および図4で説明したような複数の効率パラメータがモデルによって考慮される場合、グリッド要素ごとに、総計効率値を決定してもよい。たとえば、グリッド要素の総計効率値は、ケーブル敷設速度に基づいてそのグリッド要素に割り当てられる所定の効率値、ケーブルの種類に基づいてそのグリッド要素に割り当てられる所定の効率値、機能停止データに基づいてそのグリッド要素に割り当てられる所定の効率値、および/またはコストに基づいてそのグリッド要素に割り当てられる所定の効率値などの和または重み付き和であってもよい。次に、ルートに沿ったすべてのグリッド要素の集約効率値の和または重み付き和を加算して、ルートの総合効率性スコアを取得してもよい。このように、複数の効率パラメータに基づいたルート最適化が行われてもよい。
【0068】
モデルが作成されると、モデルは、使用のために1つ以上のコンピューティングデバイス上にロードされてもよい。たとえば、モデルをメモリ130上にロードして、当該モデルをプロセッサ120が利用して水中ケーブルのルート候補を生成してもよい。これに代えて、またはこれに加えて、モデルをメモリ162上にロードして、当該モデルをプロセッサ161が利用して水中ケーブルのルート候補を生成してもよい。
【0069】
図2に戻ると、ブロック240において、水中ケーブルのルートを求める要求を受け付けてもよい。たとえば、この要求は、ユーザから、またはコンピューティングデバイス160などのユーザデバイスを通して、プロセッサ120によって受け付けられてもよい。たとえば、ユーザは、ユーザ入力装置166を使ってこの要求を入力してもよい。いくつかの例では、ディスプレイ165上などに要求のプロンプトが生成されてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、要求は、ユーザ入力装置166からプロセッサ161によって受け付けられてもよい。
【0070】
図5は、システムの例示的な入力および出力を示す絵図である。たとえば、ディスプレイ165上で確認するためにグリッド300が生成されてもよい。グリッド300を使って、ユーザは、水中ケーブルのルートを要求する領域または場所を選択してもよい。要求は、水中ケーブル開始位置など、第1の位置510と、水中ケーブルの終了位置など、第2の位置520とを含んでもよい。これらの位置は、GPS、緯度、経度など、地理座標として提供されてもよい。これに代えて、またはこれに加えて、要求は、図に示す領域530など、水中ケーブルが敷設される領域を選択してもよい。要求された領域は、任意の境界を有してもよく、水域、国境内の領土などの境界であってもよい。これに加えて、この要求は、その他の情報を含んでもよい。たとえば、要求は、最大総距離、最大総コスト、完成にかかる最大時間、好ましいケーブルの種類、好ましい領土など、追加要件を含んでもよい。
【0071】
図2に戻ると、ブロック250において、モデルを用いて1つ以上の水中ケーブルのルート候補を生成してもよい。この点に関して、プロセッサ120は、要求に基づいて、モデルに対する入力として情報を提供してもよい。たとえば、まだ要求に含まれていない場合、プロセッサ120は、第1の位置と第2の位置とを含んだ領域を選択してもよい。第1の位置および第2の位置を囲む任意の境界を有する領域が選択されてもよく、第1の位置および第2の位置を含んだ水域全体としての領域が選択されてもよい。プロセッサ120は、選択領域の地理座標および選択された領域の海底地形データなど、選択領域についての情報をモデルへの入力として提供してもよい。プロセッサ120は、追加情報を要求に含めてモデルにさらに提供してもよい。
【0072】
プロセッサ120は、モデルに対する入力として追加データを使用してもよい。たとえば、選択領域についての速度データ、ケーブル種類データ、および/または機能停止データを生成し、モデルに対する入力として使用してもよい。さらには、コスト情報、ベストプラクティスルールなど、受信した選択領域についての任意の追加情報をモデルの入力として使用してもよい。これに加えて、海底地形データ、速度データ、ケーブル種類データ、機能停止データ、コスト情報などに基づいて選択領域の各ポイントに割り当てられた所定の効率値を、モデルに対する入力として使用してもよい。
【0073】
プロセッサ120は、1つ以上の水中ケーブルのルート候補をモデルからの出力として受信してもよい。たとえば、モデルは、1つ以上の水中ケーブルのルート候補に沿った各ポイントの地理座標を出力してもよい。たとえば、1つ以上の水中ケーブルのルート候補の地理座標は、RPLとして提供されてもよい。この点に関して、モデルは、総合効率性スコアを最大にするであろう提供された入力に基づいて、選択領域内のポイントを選んでもよい。そうするために、モデルは、選択領域内の各ポイントにおける速度データ、ケーブル種類データ、機能停止データ、コスト情報など、1つ以上の効率パラメータを考慮してもよい。たとえば、モデルは、これらの効率パラメータを含んだ1つ以上の損失関数を最小にすることによって、ルート候補を生成してもよい。モデルは、さらに、ルート候補の総距離を最小にすることを優先することによって、これらのポイントを選択してもよい。モデルは、1つの水中ケーブルのルート候補を生成するように構成されてもよく、複数の水中ケーブルのルート候補を生成するように構成されてもよい。
【0074】
1つ以上の水中ケーブルのルート候補の地理座標に加えて、プロセッサ120は、モデルからの追加の出力を受信してもよい。たとえば、モデルは、1つ以上の水中ケーブルのルート候補の総距離を出力として生成するようにさらに構成されてもよい。たとえば、モデルは、水中ケーブルのルート候補に沿った地理座標および海底地形データに基づいて総距離を計算してもよい。これに加えて、モデルは、たとえば、速度データ、ケーブル種類データ、コスト情報、総距離に基づいて、1つ以上の水中ケーブルのルート候補の総コストを出力として生成するように構成されてもよい。モデルは、たとえば、速度データに基づいて、1つ以上の水中ケーブルのルート候補のケーブルを敷設するための予想される時間を出力として生成するように構成されてもよい。モデルによって、追加情報または別の情報が出力として生成されてもよい。
【0075】
モデルから1つ以上の水中ケーブルのルート候補を受信すると、プロセッサ120は、さらに出力を生成してもよい。たとえば、プロセッサ120は、水中ケーブルのルート候補の地理座標および/またはその他の情報を含んだファイルを、ケーブルを敷設するための船舶に出力してもよい。これに加えて、または代わりに、プロセッサ120は、1つ以上の水中ケーブルのルート候補の表示を生成してもよい。たとえば、生成された表示は、コンピューティングデバイス160のディスプレイ165など、ユーザデバイス上で提供されてもよい。
【0076】
図5を再び参照すると、モデルによって生成された水中ケーブルのルート540をグリッド300上にマッピングして示す表示を生成してもよい。さらに図示するように、追加情報550を表示してもよい。たとえば、図に示すように、追加情報は、開始ポイントおよび終了ポイントの地理座標と、予想距離と、予想コストとを含んでもよい。図示しないが、表示される追加情報は、ルート候補に必要なケーブルの種類、ケーブルを敷設するための予想される時間、ルート候補が横断する領界、水中ケーブルのルート候補が横断する可能性のある石油パイプラインおよび多くの山を含んだ領域などをさらに含んでもよい。
【0077】
1つ以上の水中ケーブルのルート候補の選択に基づいて、モデルをさらに訓練してもよい。図6は、モデルをさらに訓練するための例示的なフロー図600を示す。フロー図600は、図1に示す1つ以上のプロセッサ120など、1つ以上のプロセッサによって実行されてもよい。たとえば、フロー図600に示すように、プロセッサ120は、データを受信して、様々な決定を行ってもよい。
【0078】
図6を参照すると、ブロック610において、複数の水中ケーブルのルートを表示してもよい。たとえば、複数の水中ケーブルのルートは、図5に示すようなグリッド上に表示されてもよく、その他のフォーマットで表示されてもよい。
【0079】
ブロック620において、複数の水中ケーブルのルートについての情報を表示してもよい。たとえば前述したように、このような情報は、各水中ケーブルのルート候補の地理座標、および/または、各水中ルート候補の距離、各水中ケーブルのルート候補のコスト、水中ケーブルのルート候補ごとにケーブルを敷設するための時間など、追加情報を含んでもよい。
【0080】
ブロック630において、複数の水中ケーブルのルート候補のうちの、1つのルート候補の選択を受信してもよい。たとえば、水中ケーブルを敷設した経験または知識を有する者など、ユーザが、モデルが生成した複数の水中ケーブルのルート候補を確認し、その中から最適なオプションを選択してもよい。たとえば、この選択は、ユーザに表示される情報に基づいてもよく、ユーザの知識など、その他の情報に基づいてもよい。たとえば、ユーザは、より効率的なケーブルの種類を有するルートよりも、ケーブル敷設速度がより速いルートを優先してもよい。別の例として、ユーザは、特定の領界が現在進行中の紛争を抱えていることを把握しており、その特定の境界を回避する水中ケーブルのルート候補を選択してもよい。
【0081】
ブロック640において、モデルを、選択された水中ケーブルのルートを用いてさらに訓練することによって最適化してもよい。たとえば、選択された水中ケーブルのルートから特徴を抽出して訓練用の入力として利用してもよい。このような特徴は、図4で説明した例のいずれかを含んでもよい。選択された水中ケーブルのルートの地理座標を訓練用の出力として利用してもよい。さらに訓練すると、モデルは、ユーザの選択に基づいてパターンを認識するように学習するであろう。この選択によって、モデルが考慮済みの要因に基づいて最適化するという点においてモデルが改善されるであろう、および/または、モデルが考慮しなかったがユーザが考慮した要因に関してモデルが改善されるであろう。たとえば、より効率的なケーブルの種類を有するルートよりも、ケーブル敷設速度がより速いルートをほとんどのユーザが優先した場合、モデルは、これらの効率パラメータに使う重みを変更してもよい。別の例として、特定の領域におけるすべての選択が特定の領界を回避するものであった場合、モデルは、この特定の境界を横断しないようにポイントを選択するように学習してもよい。
【0082】
この技術では、天然資源を有効利用するため、および安全性を向上させるために最適化された水中ケーブルのルートが生成される。同時にたくさんの要因を考慮できるモデルを構築することによって、少ない時間でルートを計画できるようになり、これにより、人力も抑えられる。人間のフィードバックおよび新たに開発されたケーブルルートに基づいて、モデルを洗練して更新することができる。さらには、モデルを構築するために使われるデータの量は大きいかもしれないが、ユーザは、単純な情報をモデルに入力するだけでよく、分かりやすい情報がユーザに提示される。
【0083】
特に明示しない限り、これまで説明した別例は、相互に排他的ではなく、一意の利点を実現するために様々な組合せで実施されてもよい。上述した特徴のこれらの変形例および組合せ、ならびにその他の変形例および組合せは、特許請求の範囲によって示される発明の主題を逸脱することなく、利用することができるため、上記実施形態の説明は、特許請求の範囲によって示される発明の主題の限定として考慮されるのではなく、例示と考えられるべきである。これに加えて、本明細書に記載した例の提供、および、「such as」、「including」などで表現される節は、特許請求の範囲の発明の主題を具体例に限定すると解釈されるべきではない。むしろ、これらの例は、数ある実現可能な実施形態のうちの1つを例示しているに過ぎない。さらには、異なる図面における同じ参照番号は、同じまたは同様の要素を識別し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6